勇者と魔王の瞬瞬必生   作:きゃぷてん

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今回も三人称視点なのぉぉぉぉぉ♡ビクンッビクンッ

アンケートでムチムチが好きに投票したらもれなく俺の親友になるの、怖いな(他人事)
ついでにスレンダー派と筋肉女子派に投票した人も俺の親友だ。マイベストフレンド…!


矛VS盾2019

-城の庭-

 

辺りには松明が焚かれ、宴を楽しんでいた人々はその場に集まっている。

 

その真ん中では元康が槍を持って立っていた。彼の前に、尚文が現れる。

 

「よう、遅かったな。まさか逃げようとしてたんじゃないだろうな?」

 

「誰がするか」

 

元康からの挑発に尚文は短く応じた。

 

「ではこれより、槍の勇者と盾の勇者の決闘を開始する。勝敗の判定はトドメを刺す寸前まで相手を追い詰めるか、敗北を認めること」

 

審判のオルトクレイが決闘についてのルールを告げた。

 

「矛と盾が戦ったらどっちが勝つかなんて話が俺の世界にはあったが……今回は余裕だな」

 

元康はしたり顔で尚文のことを見ていた。

 

そんな中、尚文は直前までしていた作戦会議のことを思い出す。

 

 

-数分前-

 

『多分決闘の勝利条件は、相手を追い込むか、相手が降参するかだよね。王様も元康が勝つって思ってそうだし、変なルールは入れられたりしないと思う』

 

ソウゴは今回の決闘の勝利条件に対する推測を述べる。事実、それは大体合っていた。

 

「追い詰めるって言ってもどうすりゃ良いんだ? 相手を攻撃できる盾もあるっちゃあるが、少ししかダメージ与えられないぞ」

 

『少しだけでもバカには出来ないしね。使うことは考えておいた方が良いと思う。うーん……攻撃方法は盾で殴るか攻撃効果のある盾……後は、搦手を使ったりもしよっか』

 

「搦手? 何すりゃ良いんだよ?」

 

『シンプルに急所を狙う。首とか男の大事なところとか』

 

「お、お前怖いこと言うな……」

 

『しょうがないでしょー。攻撃力が少ないなら、そうでもしなきゃだし』

 

「……つっても、そこ狙ったところで痛くも痒くもないかもしれないしなぁ。そもそも狙わせてくれるか……」

 

『そこで、今まで手に入れた盾を使えば良いんだよ。色々手に入れたでしょ。エアストシールドとかシールドプリズンとか』

 

それから短時間で打ち合わせを続けた。この盾を利用すれば効果があるのではないかとか、どのような搦手を使うかとか。

 

『まぁとりあえずこれで……どうするかのタイミングはそっちに任せるよ』

 

「おう、分かった」

 

『あ、そうだ。今魔物の死骸が側にあるんだけど届けようか?』

 

「届けるって……時間が」

 

『「あるんだな〜これが」』

 

「うおっ!?」

 

ソウゴのファイズフォン越しの声と直に聞こえてきた声が重なり、思わず驚いた尚文。

 

「お、お前どうやって……!?」

 

「ウォズがここまで連れてきてくれたんだよ。ちょうど良いタイミングで来てくれて助かった」

 

ソウゴがウォズの方を見たので、尚文も視線を向ける。当の本人はドヤ顔をしていた。

 

そして、ソウゴの側には今回の波で倒した魔物の死骸がある。

 

「さ、時間もないし早く入れるよ」

 

「お、おう!」

 

それからさっさと盾に魔物の死骸を入れていった。解体もついでにやってもらった。

 

そして様々な効果を持つ盾が一気に解放されていく。

 

「おっ、これは……」

 

とある盾の効果を見て、これは使えるんじゃないか? と思い浮かべた尚文。ちょうど良いタイミングでちょうど良い盾が来た。

 

「マジで助かったソウゴ。おかげで勝ち筋が見えたからな」

 

「お、そう? なら良かった」

 

「とりあえず、もう行ってくる。これで棄権敗退とかにされたくはないしな」

 

そう言いながら尚文が行こうとした時だった。

 

「あ、ちょっと待って」

 

「ん?」

 

呼び止められて立ち止まり、振り返る尚文。そんな彼にソウゴが近づくと

 

「うおっ」

 

ソウゴは尚文の背中をバシッと叩いた。そのせいで思わず声を漏らす。

 

「————勝っておいで!」

 

笑みを浮かべながら、ソウゴは尚文に向けて激励の言葉を送る。

 

それに一瞬面食らうが、それに応えるように尚文は口角を上げて

 

「……応!」

 

ソウゴは、俺に期待している。ソウゴは、俺が勝つことを信じている。誰もが元康が勝つだろうと思ってる中でだ。

 

今から一人で戦いに行く。しかし本当に一人ではない。そう思うと、何か湧き上がるものを感じる。

 

「わざわざお膳立てしたんだ。一矢報いるくらいの成果は見せてもらわないとね」

 

「あーはいはい、分かってるよ」

 

ウォズからの小言には手をひらひらとさせて適当に流した。

 

「……行ってくる!」

 

最後にそれだけ告げて、尚文は決闘の場に向かった。

 

 

 

「……悪いが、負けるつもりは無い」

 

「あ?」

 

怪訝そうにしている元康に尚文は口角を上げた。

 

「こっちは期待掛けられてるんでな、勝ちにいくつもりだ。余裕こいてたら足元掬われるかもしれねぇぞ?」

 

「……言ってくれるじゃねぇか」

 

不適な笑みによる挑発を受けて、目を鋭くし尚文を睨みつける元康。

 

「では……始めッ!」

 

「うおおおおおおおおおおおおっ!」

 

「でりゃああああああああああっ!」

 

オルトクレイの声が引き金となり、両者は走り出す。

 

勇者のタイマン。盾と槍のぶつかり合う音がゴングとなった。

 

 

「"乱れ突き"ッ!」

 

元康の矛が一瞬にして何個にも分かれて飛ぶ。とはいえスキル名的に、何個にも分かれてるのではなく、そう見えるくらい何回も素早く突きを入れてるのだろう。

 

「ッ!」

 

咄嗟に盾で受け止めるが、何発かは身体に命中。

 

「食らえ!」

 

スキルが打ち切りクールタイムに入っても、元康は矛を放つ。

 

作戦は立てたは良いものの、それを実行するタイミングはこちらに任せるとのことだ。どうするべきか。尚文は悩んだ末、最初の一手を繰り出す。

 

(まずはこれだ!)

 

攻撃を避けながら双頭黒犬の盾に変化。その名のように、盾には黒犬の双頭が剥製のように付けられている。

 

次の一撃を盾で受け止めた時、双頭が動き出して元康の腕に噛みついた。

 

これは専用効果"ドッグバイト"。攻撃を受け止めると、黒犬の頭が相手に噛み付くカウンター技。効果時間は30秒だ。

 

「いっ……!?」

 

(! 効いてる!)

 

噛みつかれたことで思わず苦悶の声をあげる元康。牽制程度になるかと思ったがダメージは入ってるようで、尚文は少し驚いていた。

 

「ッ、テメェッ! "エアストジャベリン"!」

 

効果時間が終わり黒犬の牙から解放されると、元康は尚文を睨みつけながら次のスキルを発動。エネルギーで形成された槍が飛ばされる。

 

「っ!」

 

咄嗟に盾で受けたは良いものの、距離の近さもあり後ずさる。

 

「うおおっ!」

 

その隙を狙い、元康は駆け出して槍で突いてきた。どうにかドックバイトで抵抗をするが

 

「"昇竜槍"!」

 

「————ッ!!」

 

元康からスキルを放たれて受け止めるが、威力が高いのか大きく後ずさる尚文。

 

(いっ、てぇ……!)

 

防御力を持ってしても身体に走る痛み。そんな中で、『敗北』の二文字が脳裏に思い浮かぶ。

 

(…………でも!)

 

その敗色と同時に思い浮かんだのは————。

 

『————勝っておいで!』

 

「はああああっ!」

 

そのまま元康は尚文に素早く近づき、槍を突き出そうと————

 

「"流星盾"!」

 

「うおっ!?」

 

尚文の周りに流星盾による壁が発生した瞬間、元康はその外に弾き飛ばされた。

 

「ッ、すげっ」

 

相手が近くにいる状態で流星盾を使えばどうなるのか。それが気になったのもあり使用してみたが、弾き飛ばされるという結果に尚文は驚いてる様子。

 

「…………負けられるか!」

 

直前で浮かんだ敗北というたった二文字の言葉と、仲間からの激励の言葉。

 

どっちが響くかなんて、明白なことだった。

 

掛けられた期待を、自ら裏切るなんて選択肢は、今の尚文には無かった。

 

「野郎!」

 

態勢を整えた元康は尚文に向かって走り出した。それに気づき、次のスキルを発動。

 

「! "エアストシールド"ッ!」

 

「ぐっ!?」

 

盾が横向きに出現し、先端が元康の腹に食い込む。

 

「"シールドプリズン"ッ!」

 

そのままパイプシールドのスキル"シールドプリズン"を発動。これは6メートルくらいの範囲内にいる敵に対し、盾による檻で閉じ込めるスキルだ。

 

「っ! なんだ!?」

 

檻の中にいる元康はシールドプリズンに戸惑っている。

 

「ちっ! "大風車"ッ!」

 

元康は槍をバトンのように振り回し、盾を薙ぎ払う。それによりシールドプリズンが破壊される。

 

「! 尚文……!」

 

シールドが解けた瞬間、元康は尚文を攻撃しようと構えるが————彼の目の前に尚文はいなかった。

 

「何処に————」

 

前方には何処にもいない。

 

(後ろ!!)

 

気づいた時にはもう既に、尚文は別の盾を構えていた。

 

「が……!?」

 

(行けるか……!?)

 

その盾を元康に向けてぶつけた尚文は息を飲む。今変化させてる盾を使うのに関しては賭けの部分もあるからだ

 

「う、あ……!? なん、だ……!?」

 

元康がふらついて地面に膝を付くと、身体が震え始める。

 

「……盾の毒だ。ぶっつけ本番だったけど……お前に効くみたいで、良かったよ」

 

尚文は盾をビーニードルシールドに変えていた。専用効果にハチの毒(麻痺)があり、それを使ったのである。

 

本当はキメラヴァイパーシールドを使いたいところだったが、まだ変化させられる段階ではないので使用は諦めていた。

 

元康は身体を震わせながら尚文の方を睨みつける。

 

「て、めぇ……!」

 

「悪いな、生憎俺の攻撃手段はこれしか————おっ……!?」

 

言いかけた時、尚文の身体に何かがぶつかりよろめいた。

 

思わず振り返り見てみれば、マインが尚文の方に向けて手をかざしていた。

 

(アイツ……!)

 

この期に及んで横槍を入れてくるとは。思わず睨みつけると、マインはあっかんべーと挑発している。

 

「皆の者! 槍の勇者殿を盾から救うのじゃ!」

 

その上オルトクレイがそう命じて、兵士達を尚文にけしかける。

 

「……おい! 何やってるんだ!」

 

そこで観戦をしていた錬が声を上げた。

 

「なぜ一騎打ちに元康の仲間や城の人間が攻撃しているんだ!」

 

「盾の勇者は毒という卑劣な攻撃を使った! であるからしてこの決闘はモトヤス殿の勝利に決まっておるのじゃ! これでは正当な決闘にならん!」

 

「なら決闘を行う前にそれを提示しておけば良かったでしょう!」

 

オルトクレイの言い分に、錬や隣にいた樹も異議を唱えた。

 

「レン様、イツキ様、これは誤解なのです! 私はモトヤス様が負けそうになっている姿にいたたまれなくなって……」

 

「そんな言い訳をされても……」

 

「少なくとも、この勝負は元康の反則負けで尚文の勝ちだ!」

 

マインからの弁解に樹は呆れた顔をし、錬もそう告げる。

 

「錬、樹……」

 

味方をしてくれた二人を思わず呆然とした表情で見る尚文。

 

「俺は……まだ……!」

 

「残念だがモトヤス、お前の負けだ。お前の仲間のせいでな」

 

「ぐっ……! ラフタリアちゃんが、洗脳されてるかも、なのに……!」

 

そう言いかけた時、元康の元に魔法使いらしき人間がやってきて彼の解毒を始めた。

 

「とにかく、尚文さんの勝ちなんですからラフタリアさんを解放してあげてください」

 

樹はキッと鋭くした目をオルトクレイに向ける。

 

「……解放してやるのじゃ」

 

オルトクレイに命じられ、兵士によりラフタリアの拘束が解かれた。

 

「ナオフミ様!」

 

そのまま彼女は尚文の元へ。

 

「大丈夫ですか!? 怪我は……」

 

「平気だ。なんともない。ラフタリアの方は大丈夫なのか?」

 

「私もなんともありません。……ごめんなさいナオフミ様、私のせいで……」

 

「ラフタリアのせいじゃない。そう自分を責めんなよ」

 

心配そうに身を案ずるラフタリアに尚文はなんてことないという様子だ。

 

「……まったく、あの様子で洗脳なんてないだろ」

 

「そうですね」

 

そのまま錬と樹が立ち去り、その流れで他の観客達も立ち去る。

 

「……ちっ!」

 

「……遺憾な結果だ」

 

結局最後の悪あがきまで無駄になり、舌打ちをするマイン。オルトクレイも溜息を吐いて戻っていった。

 

「直前で波の魔物を取り込んで勝ちに繋がった……我が魔王の慧眼は正しかったようだね」

 

完全に己自身の予想でしかないが、常磐ソウゴは魔物の死骸を見て役に立つと踏んだのだろう。これさえあれば尚文の勝利に繋がると。

 

「後でちゃんと礼を言わないとな……」

 

尚文も、ソウゴに対して感謝の念を抱いてる。

 

「フーッ」

 

当の本人は、復興作業で一息ついている。

 

空を見上げると何を思ったのか、薄く微笑んだ。




WINNER
IWATANI NAOHUMI!!(CV駒田航さん)カンカンカンカンカーン

元康、あんたが良いところ見せるシーンはもうちょい後になるんや…すまんな(・ω・`)
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