勇者と魔王の瞬瞬必生   作:きゃぷてん

2 / 11
4にんのユウシャ2019

「うぉぉ……」

 

 廊下の窓から見える景色に俺、岩谷尚文は感嘆の声を上げた。

 

 窓の外に見えたのは、一度テレビ番組で見たヨーロッパを思わせる大きな街並みだったのだ。

 

「……本当に異世界に来てしまったんですね……」

 

 弓の少年がそう言った。一瞬は何かのセットかと思ったが、日本にこんな大きい街並みをドッキリの為だけに建てられる程の余裕、そして予算があるとも思えなかった。だから、少年の言葉に内心で同意をする。

 

 しばらくして、俺たちは謁見の間に辿り着いた。

 

「……ほォう、その者達が四聖の勇者達か。……して、その二人は?」

 

 玉座に腰掛ける何処か尊大な雰囲気の爺さんが俺たちのことを値踏みするように見た。

 

 何というか、嫌な印象を感じてしまう。

 

 その後、爺さんは武器を持っていない二人を見てローブの男に問いかけた。

 

「分かりません。儀式で召喚されたので、勇者かもしれない、とは考えているのですが……」

 

「ふむ……」

 

「何かしらの事故か、聖武器の所有者が死亡した時の予備か、もしくは勇者を手助けする為に呼び出された助っ人、の可能性が考えられます」

 

「…………そう考えるとするか」

 

小声で話を終えた後、改めて俺たちに向き直った。

 

「改めて名乗ろう。ワシはこの国の王、オルトクレイ=メルロマルク32世である」

 

「へぇ〜……王様なんだ」

 

 武器を持たない二人の内の片方が呟く。

 

「まずは説明しよう。この世界の現状を」

 

 それから王様の説明が始まった。

 

 この国には終末の予言というものがあった。未来に世界を破滅に導く波が訪れる。その波による災厄を打ち倒されなければ世界は滅ぶというのだ。

 

 その予言の年は今年であり、古から存在する龍刻の砂時計の砂が落ち出したという。

 

 龍刻の砂時計とは波を予測し、一ヶ月前から警告する物である。

 

 伝承によると波が終わる度に一ヶ月の猶予が出来る。

 

 最初、この国の住民は予言を信じていなかったが龍刻の砂時計の砂が落ちきったとき、災厄は来た。

 

 次元の亀裂がこのメルロマルクに発生し、凶悪な魔物達が大量に亀裂から現れた。

 

 その時はどうにか国の騎士と冒険者達で退治出来たが、次に来る波は更に強力なものとなる。

 

 このままでは災厄を阻止することが出来ない。だから国の重鎮達は伝承に則り、勇者の召喚を行った。

 

 ということらしい。ちなみに言葉が分かるのは俺達が持っている伝説の武器にそんな能力があるからだと。じゃあ武器を持ってない二人は何で通じてるんだ?

 

「話は分かった。それで俺達にタダ働きしろと?」

 

「うーん……虫の良い話ですね」

 

「……だな、自分勝手だ。滅ぶのなら勝手に滅べばいい。俺達にとってどうでもいい話だ」

 

 さっきのニヤつきようから分かるが、内心は大喜びのくせに白々しいなあ。仕方ないのだろうけど、ツッコミたくなってしまう。

 

「……皆はこう言ってるみたいだけど、アンタはどう思う?」

 

「え?」

 

 と思ってたら例の二人の片方が俺に振ってきた。

 

「……ええっと、まあ他の奴らの意見には同意するよ。タダ働きして全て終わったらポーイ、ってのはやだな。それに帰れる手段があるかも知りたいし」

 

 とりあえず、俺も他の奴らの意見に便乗しておいた。

 

「……だってさ。俺は元から助けるつもりでいたけど、他の皆が必ずしもそうって訳じゃないのは当たり前だよね。王様ならその辺りの意見も汲んでくれるでしょ?」

 

 と、振ってきたやつも便乗してきた。というか助けるつもりでいたのか。なんともお人好しな……。でもさらっと軽く煽り入れてきたぞ。故意なのか無意識なのか。

 

「ぐぬ……」

 

 王様は家臣に向けて視線を送る。

 

「もちろん、勇者様には相応の報酬を差し上げるつもりです」

 

 俺を含む武器を持ってる四人は握り拳を作っていた。

 

 よーし、言質取ったぞ。

 

「他に援助金も用意できております。是非、勇者様方には世界を守って頂きたくその為の場を整える所存です」

 

「へー……約束してくれるなら良いんだけど」

 

「俺達を飼いならせると思うなよ。敵にならない限り協力はしてやる」

 

「……だな」

 

「そうですね」

 

 なぜお前らはそこまで上から目線なんだ。

 

 現状、王国が敵になって一番困るのは俺達だぞ。どれだけの戦力があるのか分からないし。

 

 まあ、ここは言質取らないと骨折り損のくたびれ儲けになりかねないからしょうがないのだろうが。

 

「では、それぞれの名を聞こう」

 

 ここで俺はあることに気づいた。この状況、さっきの“四聖武器書“の内容にそっくりじゃないか?

 

 剣、槍、弓、そして俺の盾。

 

 勇者、という共通項もあるし、俺達は本の世界に来たのかもしれない。しかし、唯一例外があるとすればやはり武器を持たない二人だ。

 

 この二人に該当する人物は確か出てなかった筈。どうしてだろう。召喚されたのも四人だと書いてあったし。言語翻訳が出来てる事といい気になる。

 

 そう考えていると、剣を持った少年が自己紹介を始めた。

 

「俺の名前は天木錬だ。年齢は16歳、高校生だ」

 

 剣の勇者、天木錬。外見はまさしく美少年だ。

 

 顔は整っていて、体格は165cmくらいだろうか。

 

 女装をしたら女の子に間違う奴だって居そうだ。いわゆる中性的というやつだろうか。髪型はショートヘアだ。

 

 切れ長の瞳と白い肌、クールな印象を受ける。

 

「じゃあ次は俺だな。俺の名前は北村元康。年齢は21歳、大学生だ」

 

 槍の勇者、北村元康。外見は軽い感じのお兄さんと言った印象だ。最初に感じたチャラい雰囲気を感じる。

 

 錬に負けず整ったイケメンだ。彼女の一人や二人は居そうなくらい人付き合いを経験してそうである。

 

 髪型は後ろに纏めたポニーテール。男がしているのに似合っていた。

 

「次は僕ですね。僕の名前は川澄樹。年齢は17歳、高校生です」

 

 弓の勇者、川澄樹。外見はピアノとかを嗜んでそうな大人しそうな少年だ。顔も可愛らしい童顔って感じ。

 

 儚げな感じだが、同時にしっかりとした感じもする。

 

 髪型は若干パーマが掛かったウェーブヘアー。大人しそうな弟分という感じ。

 

 みんな日本人のようだ。これで外人とかだったら驚くけど。というか結構美形揃いなんだな。おっと、次は俺の番か。

 

「俺だな。俺の名前は岩谷尚文。年齢は20歳、大学生だ」

 

「ふん……」

 

 何故か王様が俺を舐めるように見てきた。何かむず痒い。

 

「俺は常磐ソウゴ。19歳で、アンタと同じ王様だよ」

 

王様、常磐ソウゴ。彼も他の三人に負けず劣らずに顔が整っていて……。

 

………………うん?

 

「王……様?」

 

 俺が反芻してソウゴに聞き返した。

 

「そ、王様。勇者じゃなくて」

 

……………………。

 

……もしかしてこう……頭がアレな人……?

 

「おい……あいつ王様って言ったか……?」

 

「無職ですよきっと……」

 

「19にもなって厨二病拗らせたのか…………」

 

ほら、他の三人もこそこそ言ってるじゃねぇか。

 

「…………そうか…………王か…………それは…………凄いな…………」

 

王様も何言ってんだこいつって目してるよ。

 

「いやー、それ程でも」

 

本人は王様の言葉に頭を掻いて笑いながらそう言った。いやお世辞に決まってるだろ、どう考えても。

 

「私はウォズ。このお方の、我が魔王の忠実なる家臣です。以後、お見知り置きを」

 

 家臣、ウォズ。顔はやはりというか整っていて、妖しげな雰囲気も合わさってミステリアスなイケメンという感じが……。

 

……………………。

 

……もう突っ込まないぞ。

 

「……家臣かあ」

 

「……家臣ですか」

 

「……家臣、な」

 

 もう憐れんだ目しか向けてないよ他三人も。

 

「……そうか、家臣か……」

 

 王様も最早可哀想なものを見る目をしている。

 

 何というか、そういう設定のコンビ漫才師だと言われた方がまだ納得できるぞ。ていうか、我が魔王って。魔王ってむしろ勇者と敵対する側じゃないか。

 

「まあともかく……レンにモトヤスにイツキにソウゴにウォズか」

 

「王様、俺を忘れてる」

 

「おお、すまないな、ナオフミ殿」

 

 たく、抜けた爺さんだ。そこは忘れないで欲しい。

 

「それと、ソウゴ殿とウォズ殿には先に説明しておくことがある」

 

 王様はソウゴとウォズに視線を向けた。

 

「実は、儀式で呼び出される勇者は武器を持った4人だけの筈だったのだ。しかし、何故かお主ら二人も現れた。ワシはこれを儀式が原因で起きた何かしらの事故か、もしくは波における戦いで勇者を手助けする為に助っ人として呼び出されたものかと考えておる」

 

 なるほど、それがソウゴとウォズが伝説の武器を持ってない理由か。が、それは前者であった場合だ。

 

「……仮に助っ人として呼び出されたのなら、この二人も何か力を持っているのか? そうじゃなきゃ戦力にならないだろう」

 

 錬がソウゴとウォズに視線を向ける。樹と元康も同じようにした。俺も一応そうしておく。

 

 確かに後者だった場合、何かしら能力がないと助っ人にはならないだろうしな。

 

 これで持っていなければ事故、持っていれば助っ人ということになる。

 

「持ってるよ、力ならね」

 

「私も同じく」

 

錬の疑問に自信ありげにそう答えた。どうやらこの二人は力を持ってるらしい。

 

「それはどのような?」

 

樹が問いかけた。妙に食いついてるように見えるのは気のせいか?

 

「これだよ」

 

問いかけられた本人達は、懐から何かを取り出した。

 

ソウゴは白と黒がベースの長方形のものを、ウォズは蛍光グリーンと黒がベースの長方形のものを。

 

一見すると玩具のように見えるが、勇者の力を手に入れた影響か、何か力を感じた。

 

「何だそりゃ?」

 

「言うなれば、これが私達の武器だね」

 

「武器……確かに力は感じるが、戦う為の形状をしてるとは思えないな」

 

 錬がそう言った。

 

「まあ、そのうち真価は分かるさ」

 

 ウォズがそう言った。その内って、勿体つけるように言うなあ。気になるじゃ無いか。

 

「俺たちが持ってる伝説の武器とは違うのか? ほら、宝石みたいなのもないしよ」

 

 元康が二人に質問したことによって気付いた。確かに、俺たちの伝説武器にはそれぞれ違う色の丸い宝石が埋め込まれている。

 

 それに対し、ソウゴとウォズが持ってる物にはそれらしき物が見当たらない。

 

「違うよ。そもそも、ここに来る前から持ってたしね」

 

「ここに来る前から……? どういうことだ?」

 

 この世界に召喚されて手に入れたんじゃないのか?

 

「どういうことも何も、元の世界にいた時から異能力を持っていたということでしょう?」

 

 俺の質問に答えたのはソウゴでもウォズでもなく、樹だった。

 

「へぇー……よく分かったね」

 

 と、本人の答えを聞くにそれは正解だった。

 

「おいおい……そんな事ありえんのかよ?」

 

「あり得るさ。力を持ってる本人がそう言ってるのだからね」

 

 ソウゴとウォズと樹の三人以外、信じられないといった目をしていた。かくいう俺もそんな目をしてると思う。が、証拠として二人の武器が目の前にあるからひとまずは信じることにする。

 

 もしかしたら王様ではないにせよ、こいつらはこう、なんか凄いやつなのだろうか。

 

「まあ……助っ人として呼び出されたって考えていい感じか?」

 

「それでいいんじゃない?」

 

 召喚された本人はすごい適当な感じだ。良いのかそれで。

 

 と思ってたら二人は例の武器を仕舞った。

 

「話は纏まったようだな。それではステータスを確認し、自らを客観視してもらいたい」

 

「え?」

 

 と、こっちの王様がそう言ってきた。

 

 What is ステータス!?

 

「そ、それはどうやってですか?」

 

樹がおずおずと王様に質問した。

 

「何だお前ら、気がついてなかったのか?」

 

 錬が情報に疎い連中だと呆れたように声を出す。

 

 何だよ、その俺は知ってるぞって顔は。

 

「視界の端にアイコンがあるだろう? それに意識を集中してみろ」

 

 言われるままに見ると、視界の端に何かマークがあった。

 言われた通りやってみると、ピコンと音がして視界に大きく四角いホログラムのようなものが表示された。

 

岩谷尚文

 

職業 盾の勇者 Lv1

装備 スモールシールド(伝説武器)

異世界の服

スキル 無し

魔法 無し

 

 さらっと見るだけで色々な項目があった。これがステータスなのか。

 

「Lv1……これでは不安ですね」

 

「そうだな、戦えるかどうか分からねぇや」

 

「というか……何だよこれ?」

 

「皆様の世界には存在しないので? これはステータス魔法というこの世界の者なら誰でも使えますぞ」

 

「そうなのか?」

 

 現実の肉体を数値化して見ることが出来るのが当たり前なのか、そりゃあすげーな。

 

「……………………」

 

ソウゴが妙に険しい顔をしてるのが見えた。恐らくステータスを見てるのだろうが、そんなに不服な内容だったのか? 力を持ってるはずなのに。一応声をかけてみるか。

 

「……大丈夫か?」

 

「……ん?」

 

「いや、何か妙に険しい感じの顔してたからさ。大丈夫か? ステータスがやばかったか?」

 

「ああ……大丈夫。何でも無いから気にしないで」

 

「そうか……」

 

 先程とは変わって小さく笑いそう言った。

 

 その時、大丈夫かと聞かれたら人間は大丈夫と言ってしまうとどっかで見た話を思い出した。

 

 ちょっと聞き方を間違えたか、と思うが、これ以上しつこく聞くのもアレだしな……。

 

「俺達はどうすれば良いんだ? この値は不安だ」

 

 そう考えてたら元康が大臣に聞いていた。

 

「四聖の勇者様方には冒険の旅に出て自らを鍛え、伝説武器を強化していただきたいのです」

 

「ん? この武器は最初から強いんじゃないのか?」

 

「伝承によりますと勇者様が自らの所持する伝説の武器を育て、強くしていくそうです」

 

「ふーん、伝承ね。その武器が役に立つまで別の武器とか使えばいいんじゃねーか?」

 

 元康が槍を回しながら意見する。

 

 それもそうだ。俺に至っては盾だし。

 

「そこは後々どうにかなるだろう。とにかく、頼まれたのなら俺達は鍛えるべきだ」

 

 錬の言葉に皆頷いた。いや、よく見たらウォズは頷いてねぇわ。頷いとこうぜそこは。

 

 ま、異世界に勇者として召喚されるというのは燃えるシチュだ。なんていうか夢一杯の状態で興奮が冷めそうに無い。それは他の連中も同様でみんな己の武器にご熱心だ。

 

「俺達6人でパーティーを結成するのか?」

 

「いえ、勇者様方は別々に仲間を募り冒険に出る事になります」

 

「それは何故ですか?」

 

「はい。伝承によると、伝説の武器はそれぞれ反発する性質を持っておりまして、勇者様たちだけで行動すると成長を妨げると記載されております」

 

「俺達が一緒に行動すると成長しないのか?」

 

 と、よく見たら武器の所に伝説の武器の使い方とかヘルプがあった。

 みんな気が付いたようで目で追っている。

 

 『注意:伝説の武器を所持した者同士で共闘する場合、反作用が発生します。なるべく別々に行動しましょう』

 

 本当みたいだな。

 

 というか何このゲームっぽい説明は。ゲームの世界に入り込んだみたいだ。現実ではあるんだけど、そういう感想を抱かざるを得ない。

 

 武器の使い方が丁寧に記載されているけれど、今は全部読んでいる暇はなさそうだ。

 

「俺たちはそういうの無いみたいだけど、伝説武器じゃないからかな?」

 

「そうでしょうな」

 

「ふーん……じゃあ、他の勇者と一緒に冒険しても良い感じ?」

 

「まあ……構いませぬが」

 

 ソウゴと大臣の間でそんなやり取りがあった。

 

「俺たちは仲間を募集した方が良いのかな?」

 

 とりあえず質問してみる。

 

「ワシが仲間を用意しておくとしよう。今日は日も傾いておる。ゆっくりと休み、明日旅立つのが良いであろう。それまでに仲間になりそうな逸材を集めておく」

 

「ありがとうございます」

 

「サンキュ」

 

 それぞれの言葉で感謝を示した。その日は王様が用意した来客部屋で俺達は休むこととなった。

 

◇◇◇◇

 

「……………………」

 

 来客室のベットに座っているソウゴは自身のウェポンブックを見ていた。

 

 ちなみにウォズはいない。散策に行ったらしい。

 

 ページにはゲームでいうスキルツリーが載っており、中心には仮面ライダービルドのライダーズクレストが記されている球体があった。

 

 しかし、他の球体には鎖がかかっていた。まるで、力が封印されているかのように。

 

 次に、他のページを見始めた。

 

 そのページもスキルツリーがあり、中心には仮面ライダークウガのライダーズクレストがあった。しかし、ビルドと同じように他の球体に鎖がかかっている。

 

 他にも、ページを見た。

 

 ブレイド、キバ、ダブル、オーズ、フォーゼ、鎧武、エグゼイド————。

 

 現在ソウゴが所持しているライダーの力はどれも、スキルツリーの球体に鎖がかかっていた。

 

 その他ライダーの力はゲイツとツクヨミが所持している。

 

「ソウゴさんはどう思いますか?」

 

「ん? ……ああごめん、聞いてなかった。何?」

 

 突然樹に声をかけられて、パッと顔を上げるソウゴ。しかし、ページを見ることに集中してたので、何の話なのか分からなかった。

 

「今、皆さんでこの世界が何のゲームなのかを話してたんです。僕はディメンションウェーブで、錬さんはブレイブスターオンライン、元康さんはエメラルドオンライン、らしいです。尚文さんは分からないそうです」

 

「さあ……俺も分かんないかな」

 

「そうですか……」

 

「一旦、情報を整理してみよう。錬、VRMMOはそのままの意味でいいのか?」

 

 元康が錬に聞いた。

 

「ああ、そうだ」

 

「尚文と樹とソウゴも意味はわかるか?」

 

「ラノベで読んだことあるな」

 

「SF系ゲームにありましたね」

 

「VRは分かるけどVRMMOは知らない、何それ?」

 

「あー、ソウゴは分かんねえクチか。簡単に言うとまあ……特殊なVRを付けてゲームの世界にダイブ出来るんだ。五感を使うことによって、さもその世界に入り込んだようになれるんだよ」

 

「へえー」

 

「それで錬、ブレイブスターオンラインはVRMMOのゲームなのか?」

 

「ああ、それで合っている。この世界のシステムはブレイブスターオンラインに非常に酷似していた」

 

 VRMMOとは架空の技術だが、錬にとっては当たり前にある物のようであった。

 

「それが本当なら……錬、お前のいる世界に俺達が言ったような古いオンラインゲームはあるか?」

 

 錬は首を横に振った。

 

「これでもゲームの歴史には詳しい方だと思っているがお前達が言うようなゲームは聞いたことが無い。お前達の認識では有名なタイトルなんだろう?」

 

 尚文と元康と樹は頷く。

 

「……念のため、一般常識の問題だ。今の総理大臣の名前は言えるよな」

 

「ああ」

 

 その後は総理大臣に関する話になった。元康の言葉に対しては、ソウゴも頷いていた。

 

「一斉に言うぞ?」

 

 せーの、と元康が言って彼らは一斉に告げた。

 

「湯田正人!」

 

「谷和原剛太郎!」

 

「小高縁一!」

 

「壱富士茂野!」

 

「氷室泰山!」

 

 ……………………。

 

「「「「「誰!?」」」」」

 

 その後は千円札に書かれてる人物や、去年の流行語大賞、第二次世界大戦ではどの国が勝ったか、等を言い合ったが、全員バラバラであった。

 

「どうやら僕達は別の世界の日本から来てしまったようですね」

 

「パラレルワールドってやつか」

 

「時代がバラバラの線もあったが、ここまで符合しないとなるとそうなるな。聞いたことない言葉や人名ばかりだし」

 

 何とも奇妙なメンツが集まったものだと、尚文は思っていた。

 

「このパターンだとみんな色々な理由で来てそうだけど」

 

「無駄話をするのは趣味じゃないが、情報共有は必要か」

 

 まずは錬が話し始めた。

 

 錬は学校の下校中に殺人鬼に遭遇し、幼馴染を助け取り押さえたは良いものの、刺されてしまったという。

 

 元康は余り詳細は話さなかったが、彼はガールフレンドが多いらしく、痴情の絡れで刺されたようだ。

 

 樹は塾の帰りに横断歩道を渡っていたところ、ダンプカーが突っ込んできて轢かれたらしい。

 

 その後、尚文に番が回ってきた。

 

「……この世界に来た時のエピソードって絶対話さなきゃダメか?」

 

「そりゃあ、みんな話しているしな」

 

「そうだよな。うん、みんなごめんな。俺は図書館で見覚えの無い本を読んでいて気が付いたらって感じだ」

 

「「「…………」」」

 

 尚文の話を聞いた時、ソウゴ以外の三人の表情は何故か冷たかった。

 

 その後、ひそひそと耳打ちし始める。

 

「でも……あの人……盾だし……」

 

「やっぱ……元康の所もそうか?」

 

「ああ……」

 

「え、何の話?」

 

「へ? あーいやぁ……なあ?」

 

 ソウゴが話に入ってくると、元康は慌てたようにはぐらかした。

 

「ソウゴはどうだ? 召喚直前までは何があった?」

 

「ああ……俺?」

 

 話を振られたので、ソウゴは経緯を話し始めた。

 

「仲間と一緒に話してたらさ……突然灰色のオーロラが現れてそれに呑み込まれたんだよ。ウォズも一緒にね」

 

「「「へぇー……」」」

 

(何だその……何とも言えない顔は)

 

 ソウゴの話を聞いた元康達の目を見た尚文はそう思った。本当に文字通り、何とも言えない表情をしていたのだ。

 

「…………気になっていたのですが、ソウゴさんの持っている力は生まれつき持っていたものですか? それとも、後天的なものですか?」

 

 ソウゴに対し、樹が質問した。尚文達にとっても、それは気になっていたことであった。

 

「ん? あーうん、後天的なやつ」

 

「どのようにして手にしたのですか?」

 

「ウォズから貰ったんだよ」

 

「ウォズさんが? ウォズさんは一体、何者なんですか?」

 

「んー……強いて言うなら……俺の家臣、ってだけ言っとく」

 

「は、はあ…………」

 

 ソウゴの言葉に少し戸惑った様子の樹。尚文達的には、少しはぐらかされたように感じた。

 

「そんなことよりさ、アンタ達に試してほしいことがあるんだ」

 

「「「「?」」」」

 

 すると、ソウゴは懐から何かを取り出した。

 

「これ、持ってみてくれない?」

 

 ソウゴは四人にあるものを差し出した。それは、ブランクウォッチだった。

 

「何だ、それ?」

 

「まあ……俺の力の一部、って言っておこうかな。とりあえず持ってみて」

 

 四人は恐る恐るそれを手に取る。

 

 シーン…………。

 

「……何も起こらないけど、何だ?」

 

 尚文は少々困惑した様子でソウゴに尋ねた。

 

「うーん……まだ覚醒できないってことかな?」

 

「覚醒? どういうことだよ?」

 

「…………俺さ、実はここに来る前にある夢を見たんだ」

 

 ソウゴは話し始めた。

 

 24の武器と仮面ライダーの覚醒を促す夢のことを。

 

「…………そういうわけで、俺はアンタ達が仮面ライダーになるんじゃないかと思ってる」

 

 ソウゴの話を聞き終えて、四者の反応はそれぞれだった。

 

「剣に槍に弓に盾……まんま俺たちの武器じゃねーか」

 

「だとしたら、僕らが持ってる物の他にも聖武器があるということでしょうか?」

 

「……ただの偶然とは言い切れないな。その話が本当なら、俺はその仮面ライダーソードとやらに覚醒するのか?」

 

「じゃあ俺は仮面ライダーシールドってか? ていうか、仮面ライダーって何なんだよ?」

 

「俺達が持ってる力……ってとこだよ。まあ、その内分かるから」

 

「その内って…………もうこの際いいや。にしても、どうして覚醒出来ないんだ?」

 

 またもやはぐらかすソウゴに眉を顰めたが、質問する尚文。

 

「Lv1だからじゃねえーの? 覚醒って段階には程遠いんだろ」

 

 元康は手にあるブランクウォッチを弄る。

 

「そもそも、その声の人はどうして僕たちに仮面ライダーになって欲しいんでしょう?」

 

 樹が疑問を提示する。

 

「…………それなんだよね。敵を倒す分なら変身しなくてもアンタ達は大丈夫そうだし。…………多分、仮面ライダーであることが大事なのかもしれない」

 

「それはどういう?」

 

「…………仮面ライダーの力を集結させることによって更に大きな力を生み出す、とか」

 

 かつて、ソウゴはジオウトリニティライドウォッチとグランドジオウライドウォッチという強力なウォッチを手にした。

 

 その二つのウォッチは、どちらも様々なライダーの力が集結することによって生み出されたのだ。

 

 だから、ソウゴはその考えに行き着いたのである。

 

「更に大きな力? 何のために?」

 

「…………そうでもしないと倒せない敵がいるから…………なのかも」

 

「敵…………」

 

 もしかすると、波の戦いを続けていくうちにとんでもない敵と合間見るのだろうか? そう考えた尚文。

 

「……ま、いつか分かるんじゃない? 色々。それも一応持っといて」

 

「適当だな……」

 

 夢を見た本人がそんな反応なので、呆れ気味の尚文。

 

「勇者様、お食事の用意が出来ました」

 

 扉がノックされ、そう告げられた。

 

「飯か、行ってみようぜ」

 

 元康のその一言で一同は立ち上がる。扉から出ると案内のメイドがいて、食堂まで案内されることになった。

 

「————想いが足りない、からかな」

 

 一番後ろにいたソウゴのその呟きは、誰にも聞こえなかった。

 

「……………………」

 

 そして、五人とすれ違ったとある兵士は、振り返ってマゼンタの二眼レフを片手で構える。その後、シャッターを切った。

 

「やあ、先に食べさせてもらってるよ」

 

余談だが、食堂にはウォズが何故か先にいたのであった。

 

 




どうでもいいけど錬の幼馴染って戸松遥さんの声してそう(小並感)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。