勇者と魔王の瞬瞬必生   作:きゃぷてん

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死ぬほど遅れてごめんちょ

盾勇GSのラフタリア「盾って武器なの?」
おれ「盾は武器だろ?(洗脳済み)」


波まで2019

 ラフタリアが犬の魔物を倒してからしばらく時間が経って、俺は色んな盾を解放した。

 

 でもって今は草原にいるわけだが。

 

「ふっ! たあっ!」

 

「遅いよ」

 

「うぐっ!」

 

 目の前ではラフタリアがウォズに地面に転がされていた。

 

 今はラフタリアはウォズから素手での戦いによる手合わせ中だ。俺とソウゴはそれを傍らで見ていた。

 

2人はこれまでにも手合わせをしているが、未だにラフタリアはウォズから一本取れない。全戦全敗なのである。

 

 ここで、ラフタリアはウォズと手合わせできるほどの身長があったか? と疑問に思うかもしれない。しかし、今のラフタリアの見た目は18は行ってそうなほどの見た目になっていた。

 

 これが前にウォズが言ってた亜人族の特性らしい。レベルを上げることで、大人の姿になれたのだ。

 

 そんなラフタリアを転がすウォズを見ていると、手合わせとはいえあんな美人をよくもまあ無表情で転がせるよなあ、と少しモヤついた。

 

…………本人に言ったことはないが、美人とはラフタリアのことである。

 

「一旦このくらいにしておこうか」

 

「っ、分かりました」

 

 ウォズとラフタリアは手合わせを一度終了する。

 

「んじゃ、波も近づいてることだし、装備の準備にでも行こっか」

 

 ソウゴの提案に俺達は同意し、城下町の方に向かった。

 

 

「ようアンちゃん! 一週間ぶりくらいだな」

 

「早いよなぁ、何だかんだで」

 

親父からの言葉に少し時間の流れの早さを感じた。

 

「おお!? 嬢ちゃん……しばらく見ないうちに見違えたじゃねぇか。こんな別嬪さんに育って……感慨深いもんだぜ」

 

「マジの親父みたいな感想だな」

 

成長した娘を見て感動してるお父さん感出てたぞさっき。

 

「恰幅も良くなって……前の痩せこけてた姿とは大違いだ」

 

「言い方」

 

「私が太ってるみたいじゃないですかー」

 

ラフタリアは頬を膨らませて少し拗ねたようにそう答えている。

 

「あー悪い悪い! でもまあ何だ、可愛く育ってるじゃないか! アンちゃんもそう思うだろ?」

 

「な、何で俺に振るんだよ」

 

「そりゃあお前、アンちゃんは一番近くで見てるだろ? 聞きたくもなるさ。んで、どうなんだい?」

 

「え、いや、まあ……可愛く育ったと思う、ぞ?」

 

思わず、言葉を途切れ途切れにして答えてしまう。

 

「ははっ! なんで疑問系になってるんだよ!」

 

「うっせ! そっちが急に振ってきたせいだっての!」

 

つか本人の目前で可愛いとか言うのは恥ずかしいってのを理解してくれないか。全く、この親父は……。

 

「んで、今日は何の用だい?」

 

「装備の調達に来たんだ」

 

前に買った装備のままでここまでやってきた。が、波に挑むなら新調はした方がいい。お金も貯まってるし、少し奮発してもいいかも?

 

「まあ、装備の調達って言っても俺は鎧とかしか無理だろうけどさー。これのせいで盾しか使えないし」

 

聖武器のルールで俺は剣等の武器を使うことはできない。

 

「……気になったんだけどよ、逆に盾に触ったらどうなるんだ?」

 

親父が疑問を提示した。確かにそれは試したことがない。

 

「ちょっと試してみるか。もしかしたら、両手で盾を持つとか出来たりして……」

 

そう言って、俺は店にある盾の一つに触れてみた。

 

『ウェポンコピーが発動しました。』

 

「へっ」

 

『アイアンシールドの条件が解放されました。』

 

何これ知らん、コワ……。

 

なんかアイアンシールドとそれのカラバリが解放された。いやマジでどういう……??

 

「尚文様、どうされました?」

 

「いや……ウェポンコピーってのが発動したみたいで……」

 

声をかけてきたラフタリアにウェポンコピーが発動したことを説明する。

 

「ウェポンコピー? なんだそりゃ?」

 

「多分……武器を持ったらこの盾で変化させられるようになる……やつだと思う」

 

試しに武器を変化させてみると、俺の盾はアイアンシールドになった。

 

親父は俺の盾と壁にかけてあるアイアンシールドを交互に見た。

 

「はぁ〜……! なるほど……ってことは、あいつらが武器を触ってたのは……」

 

「どうした?」

 

「いや、なんでもない。こっちの話だ」

 

「…………これお金払った方が良いよな…………?」

 

「あー、良いよ良いよ。兄ちゃんも知らなかったみてぇだし。そもそも、俺が盾に触ったらどうなるかとか言い出したのが原因だしな」

 

頭を掻きながらそう言って許してくれた。親父の優しさに感謝である。

 

他の盾も見てみて、これも触れれば全部使えるんだよな〜……とふと思う。

 

「…………物欲しそうにしてんな兄ちゃん」

 

「はは……触れれば使えるって思うとさ……」

 

「……たく、しょうがねぇ。そうだなぁ……今後とも俺の店を贔屓にしてくれるって約束するってなら、盾一枚分の金で使いたい放題にするぞ?」

 

頭を掻いた後に親父は指を一本立て、ニヤリと笑みを浮かべながらそう提案する。

 

「……ははっ、そりゃ随分とお得な話だな! 分かった、贔屓にするって約束するよ!」

 

「お、言ったな? その言葉、忘れんなよ〜?」

 

「分かってるよ! で、いくらなんだ?」

 

俺が聞いた後、親父は盾一枚分の金を提示してくれた。その分の金を俺は払う。

 

それから店にかけてある様々な盾に触れていった。

 

ラウンドシールド、バックラー、ナイトシールド、銅の盾、青銅の盾、鋼鉄の盾、銀の盾、皮の盾、魔法銀の盾、ヘビーシールド、鉄甲の盾、魔力の盾などなど……。

 

うはーっ、沢山盾が解放されていく。ちょっと楽しい。途中で解放した魔力の盾は、取っ手にあるスイッチで魔力を盾に変換する変わりものらしい。エネルギーシールド的なやつかな。

 

「後はそうだな……ちょっと待っててくれよ」

 

そう言いながら親父は店の奥へ行く。階段を登る音と何かを漁るような音がした。

 

「待たせたな。ほれ」

 

戻ってきた親父が見せてきたのは無骨だけど、光沢のある盾だった。

 

「これは?」

 

「これは隕鉄の盾でな。空から降ってきた珍しい鉱石で作られた盾だ。ゼルドブルの目玉の展示商品で、隕鉄シリーズの試作品だ」

 

「へー」

 

「ほら、持ってみろ」

 

親父から促され、俺は盾を持つ。そうしてウェポンコピーが発動。

 

そうして、スキル『流星盾』が解放された。

 

「ちょっとスキルが解放されたから使ってるみるよ」

 

「あ? ちょ、おい!」

 

「"流星盾"!」

 

すると、俺の周りに青白いドーム状の壁が発生した。エアストシールドみたいな防御壁系のスキルのようだ。

 

範囲は俺を中心に2メートルくらい。クールタイムは15秒くらいだ。

 

「これは?」

 

「多分だけど防御壁……だと思う」

 

ラフタリアが防御壁に触れるが、すっと通り抜けた。

 

「あれ? 通り抜けられる……?」

 

あれか、人は通れるけど攻撃だけは防ぐとか?

 

「おい兄ちゃん、急に変な真似を……うおっ?」

 

親父も通り抜けようとしてみるが、ぶつかって通ることができなかった。

 

「これは……パーティメンバーしか通り抜けられない感じか」

 

ラフタリアは通れて親父が通れてないのを見るにそういう感じで良いのだろう。

 

耐久力がどれほどか分からないが、上手く使えば役立ちそうだ。壁の効果時間は5分ほどらしい。

 

「ったく、もう少し考えてくれよな兄ちゃん」

 

「悪い悪い。親父のとっておきだろうし、折角なら見せようかと思ったんだ」

 

「そう言われちゃあ、これ以上文句が言えなくなるじゃねぇか」

 

「あはは。さてと、盾が揃ったことだし、鎧とかも買わないとな」

 

個人的に防御力高めが良いのだが、さっき盾1枚分の金も払ったし、今後の宿代とか食費とかの諸々も考えてコスパ良く買いたいという願望もある。

 

「なぁ親父、防御力は高くて動きやすくて、それで安めのやつとかあるか?」

 

「中々欲張るなぁ。安めつっても、どんくらいの範囲かにもよるな」

 

「うーん、銀貨180枚くらいで」

 

「そういうのだと鉄の胸当てとかを買った方が良いだろうなぁ。守れる範囲は狭くなっちまうが。

他には素材を持ってきてくれればオーダーメイドも出来るが……」

 

「お、オーダーメイド。そういうのは好きだぞ」

 

個人的にオーダーメイドって響きがなんかカッコいいんだよな。

 

「とりあえず、これを見てくれ」

 

親父は材料と完成予想図の書かれた羊皮紙を広げる。

 

「読めねー……」

 

文字は読めないのだ。なんで言語翻訳はしてくれるのに文字翻訳はしてくれないんだと盾に思う。

 

親父は少し困った顔をした後に説明をする。

 

「そこの工房で買える安めの銅と鉄、後はウサピルとヤマアラの皮とピキュピキュの羽を持ってくるんだ」

 

「それで何が出来るんだ?」

 

「蛮族の鎧だな。性能は鎖帷子とトントン、後は防御範囲も広くて寒さに強い」

 

「蛮族の鎧……」

 

俺は骨の鎧とか動物の頭の骨を装着しているガラの悪そうな男を頭に思い浮かべた。俺の思う蛮族である。

 

とはいえ使用素材的に思い浮かべた蛮族にはならないだろう。蛮族は肌の露出の多いイメージもあったが、寒さに強いらしいし厚着なのかもしれない。

 

……コスパ良く買うならこれかな〜。

 

「追加オプションに骨をプラスすれば魔法効果もつくんだが、これは後からでも出来るから材料が集まったら来い」

 

「助かる。それじゃ、早速集めるか」

 

それから俺は金属工房の方で鉄と銅を購入。

 

武器屋の親父から話が行っていたらしく、思いのほか安く売ってくれた。なんでもラフタリアが話通り可愛い子だからオマケしてくれたとか何とか。

 

皮と羽も魔物達をさっさと探して倒し、ゲットして来た。

 

親父の店に戻り、集めた材料を差し出す。

 

「よし、材料が揃ったなら早速取り掛かるか。明日までには完成させておく。それまで待っててくれ」

 

「おお、早いな。2日くらいかかるかと」

 

「知らない野郎ならそれくらい掛けてるが、アンちゃんだしな」

 

「はは、ありがとな」

 

それからはお金の話。オーダーメイド代は銅と鉄の購入代込みで銀貨130枚。拡張オプション込みとのこと。また持ってこないとな。

 

で、次はラフタリアの武器の購入。

 

前に買った剣と、研磨用に貰った錆びた剣……もう錆びてないから普通の剣の二つ。それと、最近まで俺が使ってた皮の鎧を下取りに出した。新しいのが出来る訳だしな。

 

それで魔法鉄の剣くらいなら売ってもいいとのこと。俺の頑張りを評価して、ブラッドクリーンコーティングをオマケしてくれるらしい。

 

「良い武器があればそれだけ強くはなれる。けどそれに見合う能力がなきゃ武器が可哀想だ。でもアンタ達なら満足に使えるだろうよ。嬢ちゃん、頑張れよ」

 

「はい!」

 

剣を渡してくれたあと、親父は激励の言葉をかけ、ラフタリアは元気よく返事した。

 

でもって、翌日。

 

「おー、悪くねぇじゃねぇか」

 

「ナオフミ様、似合っていてカッコいいですよ!」

 

「良いと思うよー」

 

「あ、ありがとう?」

 

親父とラフタリア、後はオーダーメイドの鎧を着ると知って見に来たソウゴの感想を受けて一応礼を言う。

 

ラフタリアがめっちゃ良い笑顔で褒めてくるからちょっと困惑してるけど。

 

ステータスを確認した所、確かに鎖帷子と同じくらいの防御力はある。むしろ少しだけ高い。恐らくオマケの付与効果だろう。

 

「ありがとうな、親父。大事に使わせてもらう」

 

「お、そう言ってくれると嬉しいね。その言葉忘れんなよ?」

 

「それ昨日も聞いたな。分かってるよ」

 

ニヤニヤしながら見てくる親父に俺は少し笑いながらそう返した。

 

「さてと、これから波に備えて準備でもしたいとこだが……そういえばいつ起こるんだろ」

 

「ん? アンちゃん教わってないのか。国が管理してる時計台が広場の方に見えるだろ。そこにある龍刻の砂時計の砂が落ち切った時、勇者は一緒に戦う仲間と波が起こる場所に転送されるって話だぜ」

 

「なるほど。つまり、砂時計を見れば波が起こるまでの時間が分かるってことか。じゃあ早速行ってみるとするかな。色々とありがとな、親父」

 

「おうよ!」

 

親父に礼を言った後、俺達は時計台の方に向かうことになった。

 

 

俺達は時計台の方に到着した。門は開放されてるので入場する。

 

受付らしきシスター服の女性が俺達を見るなり怪訝な表情をした。

 

「盾の勇者様と……トキワ・ソウゴ様とウォズ様ですね?」

 

「砂時計を見に来たんだけどさ、案内してくれない?」

 

「では、こちらへ」

 

ソウゴの言葉に案内をしてくれた。案内された先は、教会の真ん中に位置する大きな砂時計。見た感じの全長は7メートル。豪華な装飾が施されており、すげぇとしか感想が浮かばない。

 

中の砂の色は赤。それと装飾を含めて、どこか背筋がピリつくような感じがする。

 

その時、盾から出た一本の光が砂時計の真ん中にある宝石に届いた。すると、俺の視界の端に時計が現れる。

 

20:12:05

 

05が00になると、12の目盛りが11になった。

 

恐らくこれが波が起こるまでの残り時間。後、20時間のようだ。このくらいだと、回復薬とかの調達に時間を使った方が良いな。

 

「おや、尚文さんとソウゴさんとウォズさんですか?」

 

聞き覚えのある声が俺達を呼んだ。振り返ると、そこにいたのは樹とその仲間達だ。

 

「お前達も来ていたのか」

 

もう一つ声が聞こえた。それは錬だった。後ろには仲間と思わしき者達も。樹達と一緒に来てたらしい。

 

「樹と錬か。久しぶりだな」

 

「ええ、城での一件以来ですね。……城での一件と言えば、あれから大丈夫でしたか? どうやら尚文さん達がマインさんを嵌めようとしたと噂が流れてるようですが……」

 

「まぁ……なんとかはなってるけど……正直嫌にはなるな。やってもないことで汚名を着せられるのは」

 

「……あの噂は、大方あの女が流したと考えた方が良さそうだな。これまでの状況を考えれば、それが妥当だ」

 

錬の言うあの女とはマインのことだろうな。噂が広まったのは別の理由があるとは知ってはいるが、一応語りはしない。

 

「……おや? そちらの女性は新しい仲間ですか?」

 

ラフタリアに気づいた樹が問いかけた。

 

「あ、初めまして。私はラフタリアと言います。ナオフミ様達の仲間です」

 

愛想の良い笑顔を浮かべながら樹に自己紹介をするラフタリア。

 

「ラフタリアさんですか。僕は弓の勇者の川澄樹です。以後、お見知り置きを」

 

「はい、よろしくお願いします。えっと、そちらの貴方は……?」

 

ラフタリアが錬の方を見る。

 

「……剣の勇者の天木錬だ。悪いが、馴れ合うつもりはないからな」

 

「は、はあ……?」

 

「カッコつけたくなるお年頃なんだよ。気にしないであげて」

 

「なるほど……そうなんですね……」

 

「おい、聞こえてるぞ」

 

ラフタリアに耳打ちしたソウゴに錬は不機嫌そうにツッコんだ。傍では樹が苦笑いしている。

 

そんな時、入口の方から複数の足音が聞こえてきた。

 

「お? そこにいるのは錬と樹…………に、尚文とソウゴとウォズか」

 

入り口の方から声がして見てみると、そこには槍を携えた男とその仲間達。

 

俺達を見るなり目を鋭くしてきたその男は元康だった。仲間は全員女のようで、その中にはマインもいる。

 

「……よう、元康」

 

「…………」

 

俺も挨拶くらいはする。それに元康は何も返さない。ただ目を鋭くして俺達を睨むだけだ。

 

「ナオフミ様? こちらの方は……」

 

「……北村元康。槍の勇者だよ」

 

「この方が……」

 

ラフタリアは少し不安そうにしながら元康を見る。元康のピリついた雰囲気を感じ取ったからだろう。

 

「可愛い……」

 

「ん?」

 

元康が何かを呟く。

 

「はじめまして、美しいお嬢さん!」

 

元康はラフタリアに対し、急に元気になって挨拶した。

 

「俺は槍の勇者、北村元康です。貴方のお名前は?」

 

「え、えっと、私はラフタリアです」

 

「本日はどのようなご用件でここに? 貴方のような人が鎧と剣を携えてるなんて、どうしたのです?」

 

「それは、私がナオフミ様達と一緒に戦うからです」

 

「尚文達と?」

 

ラフタリアの言葉を聞いて怪訝そうな表情で俺達を見た。

 

「……今度はこの子がカモって訳か?」

 

「カモって……そんな訳ないだろう」

 

「ふん、よく言うぜ。マインのことをハメようとした癖にな!」

 

あの嘘まだ信じてるのかよ! 純粋か? いや純粋というか盲信じゃねぇかなもう。

 

「ハメようとしたって……どういうことですか?」

 

「知らないのかい? ナオフミとソウゴとウォズは、3人でマインを……この子を冤罪にかけようとしたんだ!」

 

マインのことを見ながらラフタリアにそう説明する元康。

 

「そ、そんな! ナオフミ様達はそんな事をする方ではありません!」

 

「元康さん……まだマインさんの嘘に騙されてるんですか」

 

ラフタリアが元康の言葉を否定し、その隣で異議を唱えたのは樹だった。

 

「嘘をついてるのは尚文達の方だ! マインが嘘をつくはずがない!」

 

「そうですイツキ様! 私は嘘なんてついてません! どうして盾の勇者達の方を信じるのですか!? あんな怪しい道具を使っているというのに! あの映像も本物ではないかもしれないでしょう!?」

 

「確かに怪しい道具というのは否定は出来ませんし、映像が本物という証拠もありません。ですが、偽物という証拠もないでしょう? マインさんが有罪の可能性はあります」

 

マインの主張をある程度は肯定しながらも反論をする樹。

 

「もしもこれで多大なお金をマインさんに要求したなら尚文さん達も疑うところですが……要求したのは謝罪だけです。それを踏まえれば、尚文さん達を疑う理由は現状少ないかと」

 

「これに関しては、俺も同意ではあるな」

 

樹の言葉に錬も同意しているようだった。2人が自分の味方ではない様子を見たマインは目尻に涙を浮かべ始めていた、

 

「そんなっ……どうして私を信じてくださらないのですか……!?」

 

「ま、マイン! お前ら……! 女の子を泣かせるなんて、なんてことを!」

 

元康がキッと目を鋭くし、樹と錬を睨む。それに2人も睨み返した。周りも一発触発の雰囲気を感じたようで、不安そうだったり案じてるような表情をしてるように見える。

 

「お、おい、お前ら……」

 

「ねぇ、今はその辺にしておこうよ」

 

俺が止めようとした時、両者の間に割って入ったソウゴが宥めた。

 

「今ここで言い合ったって何か変わるわけじゃ無い、でしょ?」

 

「ッ! 何を……そもそもお前らが……!」

 

「それに、今俺達がやるべきなのは波に向かって備える事でしょ? もうすぐ来るんだしさ。波の前に喧嘩になって怪我したら元も子もないじゃん」

 

「それは……」

 

反論しようとした元康はソウゴからの言葉は正しいと分かってるのか、口籠る。

 

「……でも、今一緒にいるのは良くなさそうだし、俺達はそろそろ出るよ。波ではお互い頑張ろうね、3人とも」

 

「……ああ」

 

「……そうですね、頑張りましょう」

 

「…………」

 

ソウゴの言葉に錬と樹は応えたものの、元康は黙っていた。

 

「行こうか、尚文、ラフタリア」

 

「お、おう……」

 

「はい……」

 

俺とラフタリアはソウゴから促され時計台から出ることに。

 

最後に振り返ると、他の勇者の面子はこちらを見送っていたが、元康だけは俺達の背中を睨んでるように見えた。

 

 

00:17

 

波の開始まで、残り17分。

 

城下町ではそれが知れ渡ってるのか、騎士隊と冒険者が準備を整えて出撃に備えており、民間人は家に籠っている。

 

あー、ドキドキしてきた。心臓の鼓動も少し早まってるように感じる。

 

一体どれだけの規模の魔物が来るのだろうか、俺達はやり切れるのだろうかと、不安が渦巻く。

 

「あと少しで波だな」

 

「そうですね、頑張りましょう!」

 

「元気があるのは良いけど、気を付けて行こうね、ラフタリア」

 

「っ、はい! わかりました」

 

戦意高揚してるのか若干興奮気味で頷くラフタリア。

 

そんなラフタリアはソウゴは優しめに諭され、きゅっと口を結んだ後返事する。

 

「……あの、ちょっとお話ししても良いですか?」

 

「ん? どうしたんだ?」

 

「いえ、これから波と戦うと感慨深くなりまして」

 

おいおい、ちょっと死亡フラグっぽく聞こえてくるんだが。……いや、それはあくまでアニメとか漫画の話だし大丈夫のはず。ここは現実だ。

 

「……私が皆様の元に来る前のことです」

 

それからラフタリアの口から話されたのは、地獄とでも言って良いような出来事だ。

 

毎日、奴隷商で誰かが購入されて戻ってくる。ラフタリアも一緒だ。

 

最初は恰幅の良い貴族が彼女を買って色々教えようとしたが、その時から咳が出て夜泣きをしていたらしい。そのせいですぐに売られてしまった。

 

次に買った人間も仕事を教えようとしたが、次の日には別の奴隷商に売られたそうだ。

 

俺たちの元に来る前の飼い主が1番酷かったという。買ったその日の晩に鞭で打ちつけて、ボロボロにした後に売り払ったという。

 

……とんでもない奴がいるものだ。そいつの話を聞くと、俺も腹が立った。

 

そうして病に苦しみ、心も悪夢によって消耗していった時、ウォズが来たらしい。

 

「私は……皆さんに出会えて良かったと思っています。私に生きる為の術を教えてくれて、私に波に立ち向かう為のチャンスをくださったから」

 

「ラフタリア……」

 

「だから頑張ります。私は……私は皆さんの剣です。何処へだって付いて行きます」

 

「……………」

 

俺は言葉が出なかった。ラフタリアの決意に圧倒されたからだ。前までは小さくて、魔物に怯えていた彼女が今はすごく頼もしく見える。

 

「……剣、かぁ。頼もしいな。盾だけじゃなくて剣もあるなら無敵だよ」

 

ラフタリアの言葉を聞いたソウゴが感慨深そうにしていた。盾って俺のことか。

 

「まさしく王の武器、とでも言うべきだね」

 

おい。申し出たラフタリアはまだしも申し出てない俺を加えるな。

 

「王?」

 

ウォズの口から出た王のワードにラフタリアが反応する。

 

「ん、ラフタリアには言ってなかったっけ。俺、王様なんだよ」

 

「そ、そうだったんですか!?」

 

ソウゴから告げられたこと真に受けたラフタリアはすごく驚いた様子だった。ピュアすぎるぞおい。

 

「それだったら私……! 今まで何て失礼なことを……!」

 

「そんなー、気にしなくて良いよ。一緒に戦う仲間なんだし」

 

「そう言う訳には……!」

 

「……おーいラフタリアー? あんま真に受けなくても大丈夫だぞー?」

 

アワアワとしてるラフタリアに向かって苦笑いしてた。

 

「真に受けないでって酷くない? 俺は真面目に王様のつもりなんだけど」

 

「はいはい分かったよ」

 

ソウゴが不満げにしてるのを俺は適当に流した。全く、波の前だってのに気が抜けたじゃないか。

 

……王様、ね。

 

そんな折、俺は召喚されて直後のことを思い出した。

 

「……なぁ、ソウゴ。お前はここに来る前からも戦ってたのか?」

 

「ん? そうだけど……」

 

「それは……人を助ける為か?」

 

「そうだよ。それがどうかした?」

 

「召喚された時に、元から助けるつもりだったって言ってたのを思い出してさ。……お前が人を助けるのは、王様と関係があるのか?」

 

自分の中で気になっていたことを聞いた。ソウゴは何のために人を助け、戦うのか。

 

「うん。俺は民を助けたくて王様と仮面ライダーになった。その為に命も張るって、俺はそう決めてるから」

 

「そうなのか……」

 

「……今のラフタリアの話も聞いて思った。今は助けられないとしても、奴隷になっている人で苦しんでる人がいるなら……俺は、その人達を救いたい」

 

「ソウゴ様……」

 

ラフタリアがソウゴの名前を控えめに呼ぶ。ラフタリアとしも、奴隷を助けたいというソウゴの考えに思うところはあるのかもしれない。

 

それこそ、彼女も他に酷い仕打ちを受け苦しんでいた奴隷達を見てきたこともあるだろう。

 

「……でも、今は波と戦うことを考えよう。皆、絶対生きて帰るよ」

 

「……そうだな」

 

「……はい!」

 

俺はこくこくと頷き、ラフタリアは強く頷いていた。

 

00:01

 

残り時間はいよいよ後1分。

 

軽く息を吐いて、身構えた。

 

00:00

 

瞬間、ヒビが入るような音が木霊して景色が変わった。転送されたのだろう。

 

空には大きな亀裂が入っていて、不気味なワインレッドに染まっている。

 

「ここは……」

 

辺りを確認してみると、三つの影とそれを12人が見えた。錬と樹と元康と、彼らの仲間達だ。

 

一道が走っていく先を見ると、亀裂から敵が湧いているのが見える。

 

「ここはリユート村付近です! 農村部で、人がかなり住んでるみたいです」

 

「避難は……!」

 

ふと考える。何処で起きるのかも分からない波。別の場所に避難してると思えない。

 

「ちょっと! 待ってくれ皆!」

 

制止しようとするが、一同はそのまま向こうの方に消えていく。

 

その間にワラワラと溢れ出る化け物達は村のある方向へ向かっている。

 

その時、錬や樹達が照明弾のような光る何かを打ち上げた。騎士団に場所を知らせる為とかだろう。

 

「ソウゴ……!」

 

俺はソウゴの方を見た。ソウゴは考えるような素振りを見せた後、口を開く。

 

「皆で村に行こう。その方が確実だと思う。ウォズ、やろう」

 

「ああ。さて、どれ程なのか確かめさせてもらおうじゃないか」

 

ソウゴはジクウドライバーを、ウォズはビヨンドライバーを腰に装着し、それぞれウォッチを取り出す。

 

『ジ・オウ!』『ウォズッ!』

 

「「変身!」」

 

『仮面・ライダァーッ! ジ・オーウッ!』

 

『スゴイ! ジダイ! ミライ! 仮面ライダーウォズ! ウォズッ!』

 

ウォッチをベルトに装填して操作した後、音声が鳴り響き2人は仮面ライダージオウとウォズに変身した。

 

「行くぞ!」

 

「おう!」「は、はい!」

 

ジオウが声を上げて、俺とラフタリアはそれに応じる。

 

俺達は村の方へと走り出した。

 

この世界での初めての波。その戦いの火蓋が切られることになった。







色々迷ったけど多分ラースシールド解放されないから流星盾解放しとくかってなった

ウォズさん、クジゴジ堂メンバー以外と話すイメージ無いから空気気味になるのどうしようって悩んでる。ラフタリア救出MVPなのに。

正気の元康、本人の性格的に物語の道化にならざるを得ないのがなんとも…と思う(アンチ感情はないよという予防線)
やっぱマインはカスや
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