宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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幼魚と逆罰編
津田○次郎、いいよね。


 

 

 ケヒヒッッ!

 

 やったやった!久々の任務。

 

 どうやら今回は俺と悠仁に加え、一級術師の1人が引率に加わってくれるそうだ。

 

『はーい、注目!脱サラ呪術師の七海建人君でーす!』

『その言い方やめてください』

 

 五条さんに肩を組まれて登場したのは、金髪グラサンのイケオジだった。七海建人か。

 

 あれ、待てよ。このイケオジの声って、もしかして.....

 

「HEY 悠仁!」

 

 俺は思わず悠仁の身体を借りて、顕現する。

 

『!? 両面宿儺....!』

 

 なぜかこちらを警戒している七海さんに、俺は恐る恐る声をかける。

 

「あの、『粉砕・玉砕・大喝采』って、言ってくれませんか?」

 

『.................はい?』

 

 間違いない!この渋いイケボ!!!

 

 海馬社長の人!海馬社長の人だ!!!

 

 うっひょーーー、たまんねえ〜。この人の声、大好きなんだ!!!

 

 あ、七海さん....いや海馬社長が怪訝な顔してる.....

 

 まあ、そんなことはどうでもいい!!

 

 なぜか武器を構えかける彼に俺は最高スピードで接近し、抱きしめた。

 

『!? 』

 

「ずっと会いたかった......!!」

 

『........????????????』

 

 海馬社長、わけがわかんないだろうな〜。でも、しょうがないじゃん!!

 

 前世の推しと同じ声帯に出会えたんだぞ!!

 

 あ、やべえ。嬉しすぎて、涙出てきた。

 

「う、うう、ああ.....会えて...よかった.....よかったよ....うう....」

 

 その気になればすぐに身体を取り返せる悠仁も、俺の尋常じゃない様子を察したのか、静観してくれている。

 

 ありがとう、悠仁。ありがとう、海馬社長。

 

 今はただ、君たちに感謝を....!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねえ、七海。宿儺とどういう関係?』

 

『それを聞きたいのは私です....!!』

 

 呪いの王に知らない名前で呼ばれ、泣きながら抱きつかれる。

 

『今まで遭遇してきた、どんな呪霊よりも、ホラーだな...』

 

 宿儺の鼻水にスーツを汚されながら、七海建人は1人ごちるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 被害者は頭を変形させられて死んでいた。海馬社長と会って、浮かれていた気が一気に引き締まる。

 

 あの後、ひとしきり津田○ボイスを味わった俺は、身体を悠仁に返却。そのまま現場であるこの映画館に来ていた。

 

 痛かっただろうな......クッソ呪霊め........

 

「HEY 悠仁!」

 

 遺体の前で手を合わせている悠仁が、身体を譲ってくれた。俺も被害者たちの冥福を祈っておこう。俺と悠仁が必ず仇をうってやるからな。

 

『.......................』

 

 呪霊の痕跡、残穢を追って、俺と悠仁、ナナミンの3人は映画館の外に出る。あれ、さっきから海馬社長のサングラスの奥から、視線を感じる。

 

 きゃっ、照れちゃう。思い切って聞いてみよう。

 

「あの.....海馬社長、どうしました?」

 

『両面宿儺、あなたという生き物がまた一つ分からなくなりました。』

 

「........?」

 

 どういう意味だ?俺ほど分かりやすい人間もいないと思うんだがな。

 

「それより、海馬社長!」

 

『その社長というのをやめてください。』

 

「じゃあ.........海馬ぁ!!」

 

『そういうことではありません。』

 

『じゃあさ、すっくん。ナナミンって呼ぶのはどう?』

 

 俺の中から、悠仁がナイスアイディアを出してくれる。

 

「いいな!そうしよう。ナナミン!!」

『ナナミン!!』

「ナナミンーーーー!!!」

『ナナナナナミーーーン!!!!』

 

 あ、流石にやりすぎたか。ナナミンちょっとイラッとしてる....

 

 俺はたまらず、悠仁の奥に引っ込んだ。

 

『あ、すっくん!!逃げたな!?』

 

 いきなり表に出され、盾にされた悠仁はあたふたしている。

 

「悠仁、俺を助けろ.......」

『いや出てこいって、おい、すっくん!!』

 

『.......貴方達、随分仲がいいんですね。』

 

『え....?.....まあ、相棒だし!』

「ふ、ふん!仕方なく、一緒にいてやってるだけだがな....」

『あ、ごめんナナミン。こいつめんどくさいんだよ.....』

 

『.................』

 

 なんかナナミン、今更ながら海馬社長とはキャラ違うな。なんか、暗いっていうか、大人っぽいっていうか。

 

『虎杖悠仁くん。一つ忠告しておきます。』

 

 ナナミンは、悠仁の顔に生えている俺の顔を指差した。

 

『そいつはどこまでいっても呪いです。』

 

 お、おう......中々手厳しいな。

 

『分かり合えていると思っているなら、それは勘違い、貴方は利用されているだけです。いずれ裏切られ.....』

 

『ナナミン!!!すっくんはそんな奴じゃ....』

 

 悠仁がその言葉を遮ってくれた。だが......

 

「悠仁、いいんだ。」

 

 俺は生やした口から言葉を紡いでいく。

 

「ナナミンを責めるな。この人は、悠仁を本気で心配してくれてるんだぞ。」

 

『........................』

 

「まあ無理もない。俺は呪いの王だしな。」

 

 初対面の際のこの反応、流石に慣れた。まあちょっと辛いけどな。

 

 大丈夫。これから時間をかけて、分かって貰えばいいさ。

 

 悠仁の時みたいに。

 

『呪いは人間とは根本から違う存在。分かり合うのは不可能。これは、呪術師にとっては常識です。』

 

 常識、か。

 

「......そうか。クックック........」

 

『どうしました?』

 

「ならば、俺もお前に一つ、忠告しておこう。常識だと?そんなもので俺を測れると思うな。俺は誰がどう言おうと、悠仁の相棒だ。」

 

 そこだけは、絶対に揺るがせるつもりはない。

 

「何なら、この場で縛りを結んでやってもいいぞ。俺は絶対に悠仁を裏切ることはない...!」

 

『すっくん..........』

 

 どうだ!俺の渾身のプレゼンは!!

 

 流石にナナミンの心にも響いて.....

 

『ええ。ではお願いします。縛りを結んでください。』

 

「...........え?」

 

『虎杖悠仁くんを裏切らないという縛りです。早く結んでください。』

 

 あれ、全然響いてない......?

 

「いや、あれはさ、言葉のあやというか......」

 

『では、やはり裏切るんですか?』

 

「え?」

 

『裏切らないのであれば、縛りを結んでも問題はないはずです。やはり裏切るんですね?』

 

「ぐぬぬ......いいぞ、結んでやる.....!!!」

 

 はい縛り!!!

 

 “俺と悠仁は互いを絶対に裏切らない”

 

「どうだナナミン!俺と悠仁の友情パワーを思い知ったか!?」

 

『では、行きましょうか。』

 

 クッソ!この冷血漢め!!!

 

 俺は生得領域の中で、ちゃぶ台に台パンするのだった。

 

 

『はあ.......本当に縛りを結ぶとは.......両面宿儺、ますます分からない.......』

 

 

 

 

 ナナミンめ、いつか俺と悠仁の仲を認めさせてやるんだからな!

 

 でも今は任務だ。さ、切り替え!切り替え!

 事件の犯人を早く見つけなくては...!

 

『監視カメラには、何も映ってなかったんだよね?』

 

『ええ。被害者以外は少年が一名のみです。』

 

「いや、ソイツだってっっっ!!!!!!!!!!」

 

 ヤッベ、生やした口からつい大声出しちゃった。

 

『うわ、びっくりした。どったの、すっくん?』

 

「いや、その少年、怪しいだろう!?なんかこうメタ的に!!」

 

 現実ならともかく、ここは少年ジャンプの世界。このシーンは、“被害者以外は誰もいない”でもいいわけだ。わざわざ、1人の少年の存在を匂わせるだと?

 

 間違いない!!犯人はソイツだ!!!

 

 そういえば、事件現場の映画館では『ミミズ人間3』なる映画が上映されていた。

 

 そのあらすじは、マッドサイエンティストが改造によって、強化人間を作る的な奴!!

 

 犯人の少年はその映画の大ファン!!!

 故に模倣したんだ!!!

 

 ミミズ人間を実際に作りたかった、それが動機だ!!!

 

 真実は、いつも一つ!!!!!!

 

『まあどうであれ。その子の身元特定は警察に任せましょう。』

 

 まあ、そうだよな。俺たちに、探すあてがあるわけじゃないし....

 

 

『ストップ。』

 

 ナナミンが悠仁を制止する。前後に2体、悍ましい気配がする。呪霊か。

 

「悠仁、替わるか?」

『大丈夫!試したい技もあるし!』

 

 さすが悠仁だ、頼もしいぜ。

 

『私は前の個体を。虎杖くんは後ろの個体をお願いします。』

 

『了解!』

 

 こうして2対2の戦いが始まる。

 

 

 ナナミンの術式、それは、なんかこう、7:3を作って、こう、それを相手に当てはめて、あの、ポケモンの弱点、いや、きゅうしょみたいなのを殴るみたいな感じで、殴る、あの、あれだ。

 

 俺はてっきり、式神:青眼の銀龍とかだと思ってた。

 

 あと自分の技を自分で説明したら、威力が上がるらしい。

 

 でも俺、上の通り説明下手だからな。あんまりそれは使えないかも。

 

 おまけに俺ってば、自分の技をまだよく分かっていないし。

 

 そうだ、今度敵と戦う時は、

 

「心配せずとも。術式の開示など狡い真似はせん。」

 

 とでも言ってみるか。うん、そうしよう!

 

 いいな。すごく強キャラっぽい感じだ。まさか相手も、俺が知ったかぶりしてるとは思うめえ!

 

 

 

 さて、次は悠仁の戦いの方だ。

 

 やっぱ、ステゴロ強いな〜。呪霊をフルボッコだドン!って感じだ。

 

 今度格闘技教わりたいんだけど、俺たち身体は一つだからな〜。俺の身体を縦に斬ってから反転術式でそれぞれ再生するとかで、2人に増えたりできない?

 

 うん、流石に無理だな。普通に即死する気がする。あと絵面が気持ち悪くて嫌だ。

 

 真の意味で悠仁と共闘出来たりしたら胸熱なのにな〜。

 

 お、悠仁、いいパンチだ!

 行け!そこだ!やれやれ〜!!

 

 

 

 

 

 

 黒閃を狙って出せる術師は、存在しない。

 

「黒閃?ああ、ブラックサンダー・スクナックルのことか。出し方だと?ヒューとやってヒョイッだ。ヒューヒョイッ。分からないだと......?..........ごめん。」

 

 すっくんという意味不明なバグを除いては。

 

 だが今、その例外がもう1人現れようとしていた。

 

 虎杖悠仁は、漏瑚との戦いを、その後五条悟から受けたレクチャーを思い出し、集中する。

 

「悠仁!頑張れ、ヒューってやってヒョイッだぞ!!ヒュ.............

 

 悠仁の頭の中から雑音が消える。目指すのは、打撃との誤差0.000001秒以内に呪力を衝突させること。

 

『悠仁、パンチ.....』

 

『虎杖くん!トドメは待ってください!!』

 

 

 

 

 

 

 なんだなんだ?

 

 悠仁が呪霊に拳を振り下ろす直前、ナナミンからのストップがかかる。その表情は、凄まじく険しかった。

 

『落ち着いて聞いてください。私たちが戦っていたのは....人間です。』

 

 

 悠仁の足元に転がるグロテスクな生き物に目をやる.......

 

 人......

 これが......人..............?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大丈夫かい?相手は虎杖悠仁。あの漏瑚を倒した術師だ。』

 

 陀艮の作った領域のビーチで、羂索は問いかける。その相手は、人から生まれた特級呪霊・真人。

 

 羂索にとって、真人、いや彼の術式は、自身の計画を完成させるために必要不可欠なもの。何があっても失うわけにはいかなかった。

 

『まあ、まともにやったんじゃ、勝てないだろうね。虎杖悠仁、奴の体は強靭すぎる。でも...........』

 

 そう言って真人は笑顔を浮かべる。

 

『彼の心、魂の方は、どうかな?』

 

 その顔に悪意と好奇心をたっぷりと滲ませて。

 

『夏油はどう思う?彼の魂、へし折り甲斐があると思わない?』

 

 

 

 すっくんはいずれ対峙する。『死』という鏡そのものであり、ターゲットの魂を殺すことに愉悦する。

 

 そんな、自身の天敵と。

 

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