宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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設定の多い作品の二次創作、むずいよね。

 

 

『元人間と言った方がいいかな?呪術で体を無理矢理変えられてる。』

 

 

 ナナミンの電話相手は家入硝子さん。彼女が検死を担当してくれた。

 

 今でも信じられない。

 悠仁やナナミンが戦っていたあいつらが、人..?

 

「あの、」

 

 思わず口を挟んでしまった。

 

「反転術式を使って、直せないのか...?」

 

『無理だ。』

 

 家入さんは即答する。

 

『私も真っ先に試したさ。でも、彼らの体は見た目の通り、ほとんど呪霊のようなものだった。反転術式は呪霊にとって猛毒。あとは言わなくても分かるな。』

 

 え、反転術式って、呪霊にとって猛毒なの!?

 

 いや、そこじゃない...!

 

「つまり、一度変えられた人は.......」

 

『ああ、助けられない。犯人の術式がなければ、元に戻すなんてことは不可能だ。』

 

「そうか..........」

 

『あと、虎杖は聞いてるか?』

 

『あ、うっす。』

 

『こいつの死因は改造によるショック死だ。キミが殺したんじゃない。』

 

『............はい。』

 

 家入さんとの電話が終わる。部屋の空気はズシリと重かった。

 

『これは、趣味が悪すぎだろう。』

 

「...........同感だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくして、映画館から逃げ出した少年の身元が判明した。

 

 吉野順平。

 

 被害者の同級生。ただ、カメラの映像を見る限り、呪詛師(悪質な呪術師をこう呼ぶらしい)である可能性は低そうだ。

 

 だが、必ず何かある....!俺と悠仁は彼の調査を担当することになった。

 

 我が師匠、伊地知潔高と共にな!!

 

 

「会いたかったぞ!!我が師よ。」

 

『ひいいい!!いきなり宿儺!!??』

 

 師匠は相変わらず、弟子の俺に対しても謙虚な姿勢を崩さない。さすがだぁ。

 

「俺の強さはますばかり!!これも全て、貴方が教えてくれた技のおかげだ!!」

 

『ええ、私のせい!!??』

 

『..........両面宿儺に、何を教えたんですか?』

 

『ちょ、七海さんまで!!??いえ、私が教えたのはただの....』

 

「(帳だけどそれをきっかけに俺の技はすごく成長した訳だし、まあ、実質)領域展開だ。」

 

『濡れ衣ですぅぅぅぅ!!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 伊地知潔高は胃が張り裂けそうだった。

 

 車に乗り込んでの張り込み、ここまではいい。慣れっこだ。問題は助手席に座っている相手。

 

「師匠、少しいいか?」

 

(呪いの王、両面宿儺!!!!虎杖くん、早く戻ってきて!!!)

 

「実は。貴方に少し、相談事があってな。」

 

『わ、私なんかに聞かないほうがいいのでは......』

(正直、もう何も話したくない!!!)

 

 帳を教えたばっかりに。両面宿儺は結界術を使用する度に、

 

「伊地知師匠!貴方の技、使います!!」

 

 的なことを叫んでいると聞く。

 

 おかげで自分は、補助監督の中ではちょっとした有名人だ。もちろん悪い意味で!!

 

『ヒソヒソ。あの人が伊地知潔高...?』

『ヒソヒソ。何でもあの人、呪いの王の師匠らしいぞ。』

『ヒソヒソ。噂によると、菅原の血を引いてるとかなんとか....』

『ヒソヒソ。俺の聞いた話だと、実は彼、5人目の特級術師で......』

 

 尾びれのつきすぎた過大評価は、もはや一周回って風評被害だった。頼むから、もう巻き込まないで欲しい。

 

「頼む。大事なことなんだ。貴方にしか聞けない。この通りだ。」

 

 そう言って呪いの王は、一補助監督でしかない自分に頭を垂れた。

 

 勘弁してくれ......そう言いたいところだが.......

 

 自身を見つめる宿儺の目。それは、どこまでもまっすぐだった。あれに見つめられては、断れるはずもない。

 

『分かりました。何でも聞いてください。』

 

 伊地知潔高は根っからのお人好しなのだ。

 

「では、教えて欲しいんだ。俺の結んだ、縛り。それが....どうなるかについて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すっくんが自身に課した縛り。

 

1、人を殺さない

2、悠仁の関係者を守るよう行動する。

 

 

すっくんと虎杖の縛り

 

1〜4は割愛。

5、[HEY 悠仁]と言うことで、

  身体の支配権を譲り受ける。

 

なお身体の支配権がすっくんにある時は、 

 

・人を殺さない。 

・悠仁が[HEY すっくん]といえば、

 身体をすぐに取り返される。

 

6、悠仁を裏切らない←NEW

 

 

 

「まあ、ざっとこんな感じだ。分かりにくかったらすまん。」

 

『人を殺さない縛り......ですか。あの、両面宿儺が...?』

 

「問題は、その縛りだ。」

 

 俺は思い出す。改造人間の死に顔を。俺は........

 

「改造人間を、“人”だと、そう思ってしまう...この場合、縛りはどうなる?改造人間は、縛りにおける“人”に該当するのか?」

 

『.....縛りには、当事者の認識が大きく影響します。』

 

 

《原作での虎杖悠仁は“誰も傷つけない”という縛りに自分を入れていなかった。そのため、『契闊』した宿儺は自分の指をモギモギすることに成功している。》

 

 

『ちなみに、虎杖くんは..........』

 

「俺と、同意見だそうだ.......彼らを『人』だと。そう思っている。」

 

 悠仁、気に病んでないといいが....

 

 あの時、俺が無理にでも身体を替わっておけば.....

 

『では、そうですね......貴方の縛りにおいて、改造人間は『人』に該当するでしょう。』

 

 やはりか。ということは........

 

『結論から言います。宿儺さん。』

 

「すっくんでいい。」

 

『す!?す、すすすす、すっくん.....』

 

「続けてくれ。」

 

『すっくんは、改造人間を殺せません。

 

 

すっくんが自身に課した縛り-

 

1、人を殺さない

 

殺せない、ではなく殺さない。

 

これは呪力の強化と引き換えに、己の行動を制限する縛りです。その縛りによって、改造人間への殺意を伴った行動、その全ては実行が不可能になるでしょう。』

 

 殺意ある行動を制限する.....

 

 なるほど。そういう形になるのか......

 

 待てよ、殺意....?

 

「俺の撃った技が外れて、たまたま改造人間を殺す。この場合は?」

 

 それなら、俺の行動に殺意はない。縛りによって、実行が制限されることもないんじゃ.....

 

 まあそんなケース、考えたくはないがな。そもそもこの俺が、そんなミスを犯すとも思えないし。

 

『......それならば、結果的な改造人間の殺害は可能でしょう。』

 

「そうか..........」

 

『しかしほんの少しでも、改造人間の死を期待した行動であるならば、実行はできないはずです。』

 

 この攻撃でワンチャン死ね〜!えいっ!!!

 

 みたいなことはできないわけか。まあやろうとも思わんけど。

 

 つまり......

 

「殺意がゼロの行為でしか、俺は人を殺せない。そういうことだな。」

 

『まあ、そうなります。』

 

「って言うか、そんなことできるのか...?」

 

 殺意ゼロの行動で殺す...?

 そんなの矛盾しているだろ。

 

『まあ不可能かと......』

 

 だろうな。

 

 

『それにです。改造人間を殺せたとしても、

 

・身体の支配権がすっくんにある時は、人を殺さない。 

 

その縛りを破ったことによる、ペナルティーを受けることになるでしょう。』

 

 ペナルティー、か。

 

『あのさ〜、質問!』

 

 ん、どうした悠仁?

 

『ペナルティーって、具体的に何なの?』

 

『実際に下るまで、それは分かりません。』

 

 

《何なら、この作品の作者もよく分かっていない。だって、原作で描かれてないんだもん。(執筆当時)》

 

 

 

『じゃあ俺がさ、そのペナルティーってやつをチョー軽いやつにしちゃうのは?デコピンとか。』

 

『ペナルティーの内容を、当事者が決めることはできません。』

 

『....そっか。ごめん!2人とも、邪魔した!!』

 

 いや気にするな。悠仁なりにアイディアを出してくれたんだろう?

 

 さて、伊地知師匠。最終確認だ。

 

「要は、今の俺にはどうやっても人を殺せない。そうだな?」

 

『ええ......まあ、はい.........』

 

 そうか。そうなのか。

 俺にはどうしたって人を殺せないのか。

 

 そっか.....

 

「よかった〜」

『???』

 

 俺は全身の力がヘナヘナと抜けていくのを感じる。そうかそうか。俺には人を殺せない。うん。マジでホッとした。

 

 正直に言う。俺は言い訳が欲しかった。

 

 改造人間を殺さないで済む言い訳が。俺にだって、分かっている。

 

 改造人間はもう助からない。

 

 彼らを仕留めなければ更に被害が出る。対処法としての最適解が、殺害だっていうことくらい、

 

 俺にだって........

 

 でも殺せないんじゃあしょうがねえよなぁ!!

 

 別の手を、考えるしかねえ!拘束とか封印とか.....まあ、それはその場しのぎにしかならないかもしれないが......

 

 きっと、俺にも何かできることがあるはずだ。

 

 やっぱり、俺は人を殺したくはない。

 

 俺、心が弱いかなぁ〜。主人公の相棒、失格かなぁ〜。

 

 だってしょうがないじゃん!なんせこちとら、数ヶ月前まで一般人ぞ!人を殺す覚悟なんて、そうそう決めれるわけないだろ!!

 

 自分と同じ生き物を殺す。それは俺にとって、呪霊を祓うのとはわけが違うのだ.....

 

「ありがとう、伊地知師匠。」

 

『え、あ、はい?』

 

「貴方のおかげで踏ん切りがついた。なんとか、探してみるつもりだ。人を生かす道をな。」

 

 

 

 

 

 

 伊地知潔高は、困惑する。

 

 両面宿儺が、『人を殺さない縛り』を結んでいたことにも驚きだが、宿儺は本心から自分が人を殺せないことに安堵していた。

 

 殺人への強い忌避。

 

 今の彼の心の機微は、まるで術師になったばかりの一般人だ。彼はかつて、殺戮の限りを尽くしていた呪いの王。その筈なのに...

 

 最初は疑っていた。

 

 『人を殺さない縛り』、奴はそれをくぐり抜けるための答えを探しているのではないかと。

 

 だが彼が求めていた答えは明らかにその逆。一連の質問は、自分が人を殺せないことを確信するためのものだったのだろう。

 

 伊地知は大いに困惑しながらも、この一件で自分が知り得たことを、五条悟に伝えると決めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宿儺の生得領域。

 

 畳やちゃぶ台、本棚が並んだ割と居心地の良い空間。虎杖悠仁は、すっくんが身体の支配権を得ている間、ここから外の様子を眺めている。

 

『すっくんじゃ、どうやっても人は殺せない......』

 

 彼は先ほどまでの話を思い出していた。

 

『でも、俺なら...............』

 

 その小さな呟きは誰にも届くことはない。

 

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