宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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単行本とかの Q & A って楽しいよね。

 

 

 宿儺さん、いや、すっくんに映画館でのことを聞かれて、嘘をついてしまった。

 

 彼は呪いでありながら、呪術師でもあるらしい。

 

 あの日のこと、真人さんが僕にしてくれたことを話してしまったら、きっと真人さんは祓われてしまう。

 

 自分の最初の理解者を失いたくはない。それだけだった。それだけだったのに...

 

「さあ、順平!!ひたすら感謝の正拳突きだ!!そんなんじゃ、いつまで経っても黒閃は出せないぞ!!!」

 

『はあ、はあ、はい.....!』

 

 一体どうしてこんなことに!?

 

 

 

 

 

 あの後、すっくんは順平を河川敷に連れていき、修行をつけ始めた。

 

 順平も嘘をついたという負い目から、断ることができない。

 

「まだまだだな、順平。そのザマでは、高専でやっていけないぞ。」

 

(いつの間にか自分と真人さんが、高専?とやらに入ることが確定してるし...)

 

「そういえば、順平。真人は今どこにいる?彼とも、入学手続きについて話したいんだが...」

 

『!! 今日は、やめておいた方がいいんじゃないでしょうか。真人さん、今日は客人が来るとか言ってましたし、忙しいかと。』

 

「そうか、なら仕方ない!」

 

(時折こうして、真人さんについて探りを入れてくるから、

余計に怖い...)

 

 ひょっとしたら、全部バレているんじゃないか。そんな不安が彼の頭を支配する。順平は自身の深読みで、勝手に追い詰められていた。

 

 ちなみに、客人についての話は本当だ。今真人は、その客人と一緒に、仲良く瓦礫の下敷きになりかけている頃である。

 

「よし。少し休憩しよう。」

 

 ようやくすっくんからの許しが出た。順平は倒れ込むようにして、河川敷の階段に座り込む。

 

「ほら、水分補給だ。」

 

 すっくんはいつの間にか持っていたアクエリを、順平に投げ渡した。

 

(アクエリが染みる.....こんなに動いたのはいつぶりだろう。)

 

「かーーーーー、うめえ!!!やはり汗をかいた後のアクエリは最高だな!!ケヒヒッッ!」

 

(すっくんは、なんというか真人さん以上に人間らしいな.....)

 

 順平はそんな印象を抱いていた。彼には、真人のような超然とした感じがまっっっっっったくない。

 

 順平は彼の素性に興味が湧いていた。

 

『あの、すっくんは呪いなんですよね?』

 

「ああ。」

 

『でも、呪いを祓う呪術師なんですよね?』

 

「ああ。」

 

『どうしてですか?』

 

「俺が悠仁の相棒だからだ。」

 

 すっくんの返答には、迷いが無かった。

 

(っていうか、ユウジ?相棒?)

 

「ああ、紹介がまだだったな。俺の相棒、悠仁だ。」

 

すっくんの顔から紋様が消え、顔の雰囲気が変わる。

 

「悠仁、お前も自己紹介してやれ。」

 

『お....おう。俺、虎杖悠仁。人間な。』

 

『!? あのそれ、どうなって......』

 

『ああ、俺、器っていってさ、すっくんを身体の中で放し飼いにしてる、呪術師なんだ。』

「人を犬猫みたいにいうな。」

 

 あまりにも気安く、すっくんと虎杖くんは....呪いと人間は接していた。

 

『あの、2人は友達.....なんですか?』

 

「ああ。俺たちは文字通り、一心一体の相棒だしな。」

 

『相棒.....か。素敵な関係ですね。』

 

「何を言う、お前と真人だって、似たようなものだろう。」

 

 なぜか、順平の胸はチクリと痛む。

 

『あれ、順平?』

 

 そんな順平の耳に、聴き慣れた母の声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

『母さん。』

『こんなところで珍しいね。友達?』

 

 お、順平のお母様か。

 

 見た目若いな。悠仁のヒロイン、ギリいけるか...?

 

『さっき会ったばかりだよ。』

『虎杖悠仁です!さっき会ったばかりだけど、友達になれそうでーす!』

 

 悠仁の陽キャパワーが炸裂する。

 

 なんだ今の。コミュニケーションの黒閃かよ。黒い火花見えたぞ。

 

 お母様も随分悠仁を気に入ったらしい。

 

『悠仁くんどう?晩飯食べていかない?』

 

 え、お母様....マジでうちの悠仁狙ってます?ヒロインレースに期待の新星が.....!?

 

 

 

 

 

 

 伊地知さんに連絡を入れた上で、悠仁は順平の家にお邪魔することになった。俺は、流石に引っ込んでおくか。

 

 しっかし、さすが悠仁だ。ほとんど初対面の順平とそのお母様、どちらともすぐに打ち解けている。そのコミュ力、俺にもちょっと分けてくんない?

 

 結局お母様は何杯か缶ビールを召し上がった後、机の上に突っ伏して眠ってしまった。そんなお母様に順平は毛布をかけてやる。やっぱり気持ちの優しい子だな、順平は。

 

『順平の母ちゃん、いい人だな。』

 

『うん。ねえ、虎杖くんのお母さんはどんな人?』

 

 悠仁のお母様か。確か、もう亡くなってるんだっけか?

 

『あー、俺会ったことねえんだわ。父ちゃんは、うっすら記憶あるんだけど。』

 

 きっと悠仁に似て、優しい人だったんだろうな.....

 

 息子を心から愛していて、その成長に一喜一憂して、

悠仁にお友達ができようものなら、直接会いに行っちゃうくらいの親バカ....

 

 そんな人だったんだろうに。惜しい人を亡くした。

 

『虎杖くんは呪術師なんだよね?質問、してもいいかな?』

 

 質問だと?

 

 まあ、そのうち順平も高専に入るわけだからな。(確定事項)職場関係のことは、知っておきたいのだろう。

 

『人を殺したことある?』

 

 ちょ、ちょっと順平...?いきなり質問がヘビー過ぎない...?

 

『ない。』

 

 悠仁はそう答えるが、順平は引き下がらない。

 

『でもさ........悪い呪術師とか、そのうち殺さなきゃいけない人とも戦うよね...?』

 

 俺は、先日の改造人間のことを思い出していた。恐らくそれは悠仁も同じだろう。

 

『その時は、どうするの...?』

 

その時はどうする、か。

 

「俺がなんとかする!悠仁に人は殺させない!!!」

 

 割り込むようにして俺は答える。その答えは、答えと言えるか定かでないほど、曖昧なものだった。

 

 それでも......

 

「悠仁に人を殺して欲しくない。これは、俺の勝手な願望だ。」

 

『すっくん......』

 

「すまない悠仁。何様だ、って思うよな。でも、俺は心からそう願ってるんだ。悠仁、お前は優しい子だ。一度人を殺してしまったら......きっとその十字架に、お前は押し潰される。そうなって欲しくはないんだ。」

 

 なんて自分勝手で一方的な願いなんだろう。これじゃあ、まるで呪いだな。

 

『.....それが、すっくんの答えなんですね......』

 

「ああ。」

 

 

『虎杖くんの、答えを聞いてもいい?』

 

『俺は.....人を殺したくはないな...........』

 

 それでいい。それでいいんだ。

 

『一度人を殺したら、命の価値が、曖昧になって.....自分の大切なものの価値まで分からなくなるのが、俺は怖い。』

 

 うんうん。そう!さすが主人公。いいこと言うじゃないか。

 

『でも、それは俺の我儘だ。』

 

 ..........悠仁?

 

『そのせいで、すっくんや、正しく死ねたはずの他人が、傷つくくらいなら........そんな我儘はいらない.....』

 

 おい、悠仁......!!

 

『..........そう、思ってた。でも.........俺が人を殺したら......俺の大切な相棒が.....すっくんが悲しむって、よく分かった......だから........』

 

 悠仁.........

 

『俺は絶対、人を殺さない。自分のためじゃない。すっくんのために。』

 

 そう言って悠仁は朗らかに笑う。

 

 

 悠仁いいいいいいいいいい!!!!!大大大大大大大大大大大大大大好きだよぉ!!!!!!!!!

 

 よく言った!!!

 それでこそ俺の相棒だぁぁぁぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すっくんと虎杖くん。

 

 今日できたばかりの僕の友達だ。

 

 僕はただ2人に聞いてみたかった。

 

 知りたかった。

 

 人を殺す、それが一体どういうことかを。

 

「俺がなんとかする!悠仁に人は殺させない!!!」

『俺は絶対、人を殺さない。自分のためじゃない。すっくんのために。』

 

 それが2人の答えだった。

 

 僕は、自分自身の答えを探してみる。

 

 人に心なんてない

 

 その考えに救われた。

 

 力を与えてもらった...

 

 でも自分が人を殺すことで悲しむ人がいるなら...

 

 頭に浮かんだ母さんの笑顔が、僕に答えを教えてくれた。

 

『僕にも、人は殺せないな。』

 

 それが僕の出した答え。

 

 

 

 

『あの、すっくん、虎杖くん、よかったら一緒に映画を見ませんか?』

 

『お、いいじゃん!見よ見よ!』

 

『ミミズ人間2 ってやつなんだけど.....』

 

『え、初めて聞いた!!』

 

「面白いのか?」

 

『いや、クソ映画ですけど......』

 

「じゃあなぜ見る。お前はドMか?」

 

『いえいえ、これには楽しみ方があって.......』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そろそろかな。』

 

 黒いローブに身を包み仮面で顔を隠した羂索は、宿儺の指の封印を解く。

 

『さて、どうなる?』

 

 羂索の仕込んだ宿儺の指によって、吉野順平の母親・吉野凪は死亡する。その後順平は真人に唆され、自身の通っていた高校で事件を起こす。

 

 そして、本性を表した真人によって...

 

 それが、原作の流れだ。

 

 

 

 

 

「スクナマス斬り」

 

 

 

 

 その流れが今、ぶった斬られる。

 

 自身に放たれた呪力の刃を、羂索は軽々回避して襲撃者に目をやった。仮面の奥に歪んだ笑顔を隠して。

 

『逢いたかったよ。悠仁、もしくは、宿儺。』

 

「貴様、なぜ俺の名を?それにどうして指を持っている?何者だ。」

 

『それはこっちのセリフだよ。今のキミは、一体何者なんだい?』

 

 平安時代の旧知同士が、

 

 呪われた母と子が、

 

 今ここに、感動の再会を果たす。

 

 

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