宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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交流会編
思い込みって怖いよね。


 

 

 里桜高校での事件後、俺と悠仁は五条さんに呼び出されていた。もはや何度目か分からない、彼からの事情聴取。

 

 だが心なしか、五条さんの俺に対する態度がいくらか柔らかくなっている、気がする。

 

 え、キモ。

 

 まあ、それはそれ、これはこれ。聴取は真面目に受けるつもりだ。

 

『...で、その呪霊と呪詛師に逃げられた、と。なるほどね。』

 

「ああ。すまない、五条悟。」

 

 その件については、完全に俺の力不足だ。

 

 未だに考えてしまう。もっと上手くやれたんじゃないかと。

 

『別にお前が謝ることじゃないでしょ。』

 

 ご、五条さん!!??

 

 やっぱりちょっと、俺に優しくなってるよな。

 

 こんなの五条さんじゃない!まさか!!

 

「五条さん、顔をつねってもいいか?」

 

『...何で?』

 

「ほお、断る理由でも?」

 

『いや逆に何でオッケーするの?まあ、いいけど。』

 

「感謝する。悠仁、頼む。」

 

『え、俺!?』

 

 忘れてた、今の俺は自由に身体を動かせないんだった。

 

『先生、悪い。』

 

 悠仁は渋々五条先生の顔に手を伸ばし、その頬を引っ張ったりする。

 

 ありゃ、五条さん本物だったか。てっきり、誰かの変装かと。

 

『気が済んだ〜?』

 

 メンゴ、五条さん。疑ってすまん。

 

「ああ、もういい。だが五条悟、偽物には気をつけるんだぞ。」

 

『偽物?あーー、うん。で、そうだ。悠仁も、平気?』

 

『え、顔引っ張る方?』

 

『いやメンタルの方。』

 

『ああ。うん!俺は、大丈夫!!』

 

 悠仁...やっぱり、お前は強いな。

 

 それでこそ、俺の相棒!!

 

『で、おかっぱ頭の呪詛師、か。宿儺。ソイツとお前の関係は?』

 

「ん?」

 

『宿儺様だの準備だの、言ってたんでしょ?』

 

 ああ、居たなそんな奴。

 

 悠仁の中から見ていたが...真人を逃しやがって!おまけにあの氷結、なかなかの使い手だ。そもそも氷使いって、強キャラに設定されがちだからな。

 

 あと、キャラデザも好み。なかなかタイプの女の子だった。

 

 ん、何だ?一度見ただけじゃ、男か女かは分からないだろって?

 

 うるせえ!あの子は女の子だ!!あんなに可愛い子が、男なわけねえだろ!!!!

 

 ぶん殴るぞ!!

 

『宿儺、聞いてる?誰なのそのおかっぱ頭は?』

 

「知らん。」

 

『...ん?』

 

 いや、マジで知らん。

 

 いきなり膝まづかれた時、めちゃめちゃ怖かったもん。何なのあの子?

 

 俺へのあの態度、『様』呼び、計画?

 

 もしかして...

 

 モノホン宿儺の仲間?

 いや、恋人!

 いやフィアンセ!!

 

 って、それはないか。

 

 

 主人公の相棒、特に人外系はね。

 

 孤高なんだよ。

 

 仲間なんていないし、

 

 部下なんていないし、

 

 愛する相手なんているはずもない。

 

 初めて愛を教わる相手は主人公じゃなきゃいけないの。

 

 

 つまり、あれだな。

 

「そのおかっぱ頭だが、恐らく俺のストーカーだ。」

『...ストーカー?』

 

 間違いない!!

 

 あのおかっぱちゃん(仮称)は、呪いの王である俺の存在に惹かれて、一方的に付き纏っているんだろう。

 

『宿儺様!!私の手料理です!!これから毎日、これを食べさせて差し上げます!!』

 

『絶対的な強者!!それ故の孤独!!貴方に愛を教えるのは、この私です!!!』

 

『虎杖悠仁めぇ、宿儺様を誑かすとは、この人外たらしめ!!宿儺様!!!それは愛ではありません!!!私が見せて差し上げましょう、本物の愛を!!必殺!!

アイス・ハート・ブレイクゥゥゥ!!!』

 

 とか言いそう。

 

 ヤンデレ系か、魅せてくれるな。

 

『えーーっと、じゃあソイツの言ってた『準備』ってのは...』

 

「さあな。俺との婚姻の儀でも準備してるんじゃないか?全く、迷惑な話だ。」

 

『................』

 

 あれ、五条さん黙っちゃった。あ、もしかして嫉妬?

 

 確かにその目隠しスタイルじゃ、全然モテないだろうしな〜。

 

 プププッッ!!

 

 しかし、呪いの王というのも困ったものだ。あんな可愛い子に言い寄られるとは。

 

 まあ俺、主人公の相棒だしな。主人公=モテる。そして俺と主人公である悠仁は、一心同体。

 

 つまり 俺=モテる!!はは、最高の計算式だな。

 

 だがごめん、おかっぱちゃん。正直、顔はめちゃめちゃ好みだ。

 

 だけどごめんなさい!!

 

 君の思いには答えられない。

 

 主人公の相棒である以上、俺には一定の威厳が必要なのだ。可愛い女の子にデレデレしていては、示しがつかない。

 

 それにアイツは、おそらく敵だ。そうである以上、毅然とした態度で接しなくてなならない。

 

 俺は頭の中で、おかっぱちゃんとの会話をシュミレートしてみる。

 

 

 

 

『お久しうございます。宿儺様。』

 

「誰だ、お前は。」

 

『.........お、お戯を。お忘れですか...?私は.....』

 

「知らんものは知らん。俺がそう言ったのだ。その言葉を疑うか?」

 

『..........す、宿儺様......?お、お待ちください!!私は.....』

 

「失せろ。目障りだ。」

 

 

 

 

 

 よし、ちょっと心が痛むけど、次におかっぱちゃんに会った時、そう言ってやる!!

 

 俺はそう固く決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『随分手ひどくやられたね。真人。』

 

 真人は目を覚ます。彼の目に映るのは、青い空、青い海、胡散臭い笑みを浮かべた夏油傑...

 

(ここは.....陀艮の領域....?そうだ、確か俺は、宿儺と虎杖悠仁相手に....)

『君が助けてくれたの?夏油。正直意外だよ。』

 

『いいや、キミを助けたのは別の人間だ。まあ、私の協力者ってところかな。』

 

『ふーーん。』

 

 夏油はその術式で、呪霊を従えることができる。

 

(あれだけ弱っていた俺を取り込むなんて、簡単だったはずなのに。)

『まあ、夏油が何を考えてようと、俺には関係ないか!』

 

 真人は決意する。

 

 自分の誇りを踏み躙った、ジャージをきた宿儺。奴を必ずこの手で殺すと。もちろん、その身も心も、ズタズタに引き裂いたその後で。

 

『あ、そうそう。夏油聞いてよ〜。』

 

 そして真人は、夏油に対して話してしまう。

 

『俺、凄いことに気づいちゃったんだけどさ〜。』

 

 無為転変で虎杖悠仁に触れた時の、不思議な体験を。

 

 魂の三重構造を。

 

 

 

『...真人、いいことを教えてくれたね。』

 

 話を聴き終えた夏油もとい羂索は、満足げに笑う。それはさながら、苦心していたパズルの解法に、漸く気付いた少年のようだった。

 

『それを聞いて、1つ試したいことができた。花御を呼ぼう。高専襲撃について、プランを詰める。』

 

 東京校と京都校による交流会。

 

 それを発端とする、高専東京校襲撃事件。原作における大きなエピソードが、また一つ、始まりつつあった。

 

『はは、ノリノリだね〜。宿儺の指、やっぱり早く回収しときたいの?』

 

『いいや。』

 

 真人からの問いを羂索はあっさり否定する。

 

『私が今一番欲しいのは、宿儺の指じゃない。呪胎九相図の方だよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 後日、任務中の一級術師が宿儺の指の一本を発見、回収する。上層部は、

 

 『指を見つけた?よーし!すぐに悠仁達に食べさせちゃお♪』

 

 とか言うであろう五条悟の手に渡る前に、その指を高専内の忌庫にて保管する事を決定した。

 

 

 余談だが、指を回収した一級術師は加茂家の人間だったという。

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