宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」 作:バケギツネ
◇
おっす、俺すっくん!!
ガワはロボット、中身は気弱系ドジっ子ロリ巨乳(推定)のメカ丸ちゃんと仲良くなれたぜ!!
この調子で交流戦も頑張るぞ〜!およ?
控室に向かう途中で、顎髭がめちゃめちゃ長いおじいちゃんとすれ違う。なんかオーラが凄いなこの人。
あれ、なんかすれ違いざまにすげえ睨まれた。なぜ!?
あ、ちゃんと挨拶してないからか!確かにそれは失礼した。
悠仁、おじいちゃんに挨拶!!
『ああ、おう!.......えっと、おはようございます。」
『.................』
あれ、悠仁がちゃんと挨拶したのに反応がないな...
もしもし〜、おじいちゃん?耳が遠いのかな?それとも、まだまだ配慮が足りていない?
いいだろう。俺の気遣い力、見せてやる!!!
「悠仁、あのおじいちゃんをおぶってあげよう!!」
『え、ああ!分かった!!』
『待て悠仁!お前何しようとしてる!?やめろ!!』
『相手は京都校学長、楽巌寺嘉伸だぞ!!!』
『すじこ!!』
なぜか先輩方から、必死で止められる。
なぜだ!?
ええい、どけ!俺はおじいちゃんっ子だぞ!!!
◆
『宿儺の器、虎杖悠仁は殺せ。』
京都校学長、楽巌寺嘉伸は京都校の控室にて。自身の生徒たちにそう告げる。
『事故として処理する。遠慮も躊躇もいらんぞ。』
その命令に、禪院真依が異議を唱えた。
『でも、彼の秘匿死刑。あれは撤回されたはずでは?』
『...事情が変わったのだ.......』
上層部のみが知ることなのだが。虎杖悠仁の死刑撤回は、すっくんが1日2個生産していた仙豆によるところが大きい。
しかし里桜高校の一件以来、仙豆の提供はすでに二週間に渡って途絶えていた。
『ええっと〜、なんか悠仁の話では〜、おじいちゃん達の息が臭くてぇ〜、仙豆を作るモチベーションが萎えたとかなんとか.....』
五条悟、懸命の誤魔化しも虚しく。
楽巌寺は確信していた。
虎杖悠仁は反転術式のアウトプットが、仙豆を作ることが、もうできないのだと。だとするならば、彼のやるべきことは一つ。
金の卵を産まなくなった鶏は、殺すに限る。
『あ、あの............』
遠慮がちに手を挙げたのは、三輪霞。
『虎杖悠仁くんって.....大地の力を操る未確認の特級呪霊、
『安心せい。』
楽巌寺は虎杖悠仁に関して、独自に調査を進めていた。
『里桜高校の一件以降、奴の呪力が格段に落ちたという報告を受けておる。殺すなら、今しかあるまい。』
楽巌寺とて、虎杖悠仁の才能は評価している。先ほどすれ違ったとき、その人となりも理解した。
あれは善人、だったのだろう。
『抜かるなよ。しっかり首を刎ねるのだぞ。』
だからこそ、彼は残念でならなかった。宿儺の指を取り込んだ以上、虎杖悠仁はもう人ではない。
『うまくやれば、呪いの王・両面宿儺の2割を消せる。その利に比べれば、どんな犠牲も安いものだ....』
◆
『高専に、呪詛師・呪霊と通じてる奴がいる。』
『え!?』
高専内のモニター室。五条悟は、一応は先輩である庵歌姫にとある相談を持ちかけていた。
虎杖悠仁と宿儺が祓ったという火山頭に、人を改造するというツギハギ。そのどちらも、意思疎通ができるほどの知性を持った特級呪霊だったという。
五条悟は感じ取っていた。こちらの動きがどうも奴らに筒抜けになっていると。
『京都側の調査を歌姫に頼みたい。』
『.....私が内通者だったら、どうすんの?』
『ないない。歌姫弱いしそんな度胸もないでしょ?』
うたひめ の ねっとう
ごじょう の ふしぎなまもり
ごじょう には こうかがないようだ
『こわっ、ヒスはモテないよ?』
『私の方が、先輩なんだよ!!!』
歌姫は、生意気すぎる自身の後輩を怒鳴りつける。
『...にしても内通者って、本当なの?』
『うん。間違いないと思う。』
身内に裏切り者がいるかもしれない。歌姫はその可能性を考えたくはなかった。
『あんたんとこの宿儺から、情報が漏れてるって可能性は.....?』
『........それはない。多分、ね。』
『随分、肩入れするのね.....分かってるの?相手は呪いの王...』
『分かってるよ.........』
五条悟のいつになく大人しい返しに、歌姫も戸惑う。
『どうしたのよ...?らしくないじゃない。』
『はは、あー、やっぱり?』
五条は目隠し越しにどこか遠くを見つめる。
『なんか宿儺がアイツに似てる気がしてさ〜。疑う気になれないんだよね〜。』
『誰よ、アイツって......』
五条悟のいう、両面宿儺に似た人物。歌姫には心当たりがなかった。
『ああ、そっか。あの任務に歌姫は呼ばれて無いもんね〜。ぷぷっ、歌姫弱かったもんな〜。あ、弱いのは今もか〜』
うたひめ の なげつける
うたひめ は 湯呑み をなげつけた
ごじょう の ふしぎなまもり
ごじょう には こうかがないようだ
湯呑み は なくなってしまった。
『心配して損したわ!!』
歌姫の怒号は部屋中に響いた。
◇
こちらはすっくん!!
さあ、まもなく始まります!交流会1日目、団体戦!!
『チキチキ呪霊討伐猛レース』
参加者兼自主解説のすっくんです。ドンドンパフパフ!
ルールは簡単!
エリア内の二級呪霊とかいうクソ雑魚を、先に祓ったチームの勝ち!
3級以下の呪霊とかいう超クソ雑魚もいっぱいいるから、日没までに決着しない場合は討伐数の多いチームが勝ちとなる!!
いやさ、最高が二級呪霊ってちょっと弱すぎない!?俺たち学生を舐めてるのか!
そんなのに負ける学生いる?いねえよなああああああ!!
まあ、ここまで楽勝ゲーなのを見ると、レクリエーションとしての側面が強いのだろう。
命をかけて競い合う!!...っていうんじゃなく、姉妹校の同学年同士が、キャッキャウフフとお互いの仲を深めながらゆるーく競い合う、的な。
死人も怪我人も出ないような、そんなイベントなんだろう。名前自体も「交流会」だったしな。
なるほど、めちゃめちゃ良い企画じゃないか!!
でもこれって、わざわざ呪霊捕まえてきたのかな?この日のためだけに!?手間じゃない!?
まあ、それはさておき。
いかに緩い競技とはいえ、勝負は勝負だ。無論、全力で楽しんで全力で勝ちに行く。それが相手への礼儀というものだろう。
この競技をきっかけに、京都校の人と仲良くなれたりするかもだしな。
「そんじゃまあ、勝つぞ!!!悠仁!」
『おう!!』
「そんで、友達もいっぱい作るぞ!!!」
『え、あ、おう!!』
◆
それは、交流会の数日前。
海の特級呪霊・陀艮の領域内で、呪詛師・夏油傑、森の呪霊・花御と人間の呪霊・真人は、計画を詰めていた。
高専を襲撃するための計画を。
ちなみに、夏油もとい羂索はなぜかアロハシャツ姿。
.....なぜ?
『帳が下りたら、花御はできるだけ高専連中の注意を引いてくれ。ああ、出来るだけ生徒は殺さないように。本来の宿儺を刺激する.....可能性があるからね。』
『分かりました。』
『まあ、あくまで 出来るだけ、さ。必要とあらば、殺しても構わない。むしろ虎杖悠仁に関しては、可能な限り追い詰めてくれ。』
『それは、計画に必要なこと、なのですか?』
『もちろんさ。』
嘘である。
羂索の計画としては、宿儺を刺激するのは余り得策ではない。
だが、彼は興味があった。追い詰められた虎杖悠仁とイレギュラーな宿儺が、今度はどんな進化を遂げるのか。
続いて羂索は、隣で寝そべっている真人に視線を向ける。
真人はなぜか海パン姿だ。
...だからなぜ?陀艮の領域、暑いんだろうか...?
『以前、高専に回収させた指、覚えているかい?』
『ああ、俺が仕込んだアレね。』
羂索が加茂家の術師に回収させた、宿儺の指。その指には一層の封印の内側に、真人の呪力で作った札が貼ってある。
『それを辿って高専の忌庫に侵入し、持ち帰ってきて欲しい。』
『特級呪物・呪胎九相図の、1〜3番だね。』
それは羂索が150年前に、「加茂憲倫」として作ったもの。
母は呪霊の子を孕む娘、父は呪霊であり、九度の懐妊・堕胎で出来た9人の胎児のうち3人が、死後呪物へと転じたものだ。
そして、とある実証実験を行うために、羂索が今一番求めているものでもある。
『あと宿儺の指、計6本も忘れずにね。』
『はいはい。っていうか忌庫の位置くらい、内通者に聞けばよかったんじゃない?』
真人の疑問に、羂索は答える。
『そうもいかない。忌庫へ通じる扉の配置は、日々変わっているからね。天元の結界術によって。』
『天元って、誰?』
羂索の口から出た知らない名前に、真人は反応する。
『ああ、不死の術式を持つ呪術師さ。』
『不死?俺の術式、効くのかな〜?っていうかソイツ、五条悟とどっちが強いの〜?』
真人から溢れた純粋な疑問に、天元とは浅からぬ因縁を持つ羂索は答えた。
『不死であっても不老ではないんだ。ただの木のようなものさ。それに彼女は結界の運用以外基本現に干渉しない.....
......本来ならね。』
この物語は、原作『呪術廻戦』とは違った道筋を辿っている。その原因は、両面宿儺に転生した少年ジャンプ愛好家、すっくん
....ではない。
運命の歯車が最初に狂い出したのは、すっくんが転生する、ずっと前。
五条悟や夏油傑がまだ学生だった頃。