宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

25 / 87
草タイプって弱点多いよね。

 

◆

 

『内通者、信じたくはなかったけど......』

 

 

 京都校担任・歌姫は、頭を抱えていた。

 

 彼女の受け持つ生徒、与幸吉こそが五条悟のいう内通者だった。当の本人からそのことを告げられ、半ばパニックに陥った教師陣であったが、東京校に常駐している術師たちを総動員し、事態の把握と収拾に当たる。

 

 ひとまず与幸吉を留置施設へと連行。簡易的な尋問を行った。

 

 内通者としての彼の役割は、情報収集。

 

 傀儡操術を用いて、五条悟を始めとする強力な術師たちの任務スケジュールや術式のデータなどを集め、とある人物に流していたという。

 

 その報酬は、与幸吉が生まれながらに背負った呪いを解く事。それが達成されるまでは、“縛り”の影響で

 

①その呪詛師の素性や目的について、とある期限まで喋ることができないらしい。

 

②同時にその呪詛師たちも、

 与幸吉への加害ができないとか。

 

 

 こんな重大な事件が起こったのだ。当然、交流会は即刻中止。そう思われたが...

 

『いや、続行に決まってるでしょ。』

 

 五条悟は頑として譲らない。

 

『今大変なことになってるからこそ、若人たちには、強くなってもらわなきゃ。そのための交流会でしょ?中止なんてとんでもない。』

 

 五条には、“若人の青春イベントを守りたい”という思いもあったりする。

 

『それもそうだのぉ。では、このまま交流会は続けるとしよう。』

 

 交流会に乗じた、虎杖悠仁の抹殺。それを狙う楽巌寺も交流会の続行に賛成した。

 

『ハッ、何考えてるか、大体察しはつくけどさ。悠仁と宿儺は、そう簡単にはやれないよ、おじいちゃん。』

 

『はて、なんのことやら?』

 

 かくして。

 

 交流会はそれぞれの思惑を抱えたまま、つつがなく進行していく、

 

 はずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『いくら.......!?』

 

 単独行動中の、狗巻棘。

 

 彼は恐怖していた。たった今遭遇した準一級呪霊にではなく、それを瞬殺した未確認の特級呪霊に。

 

『%#$€;*#^|%\*+|\$}+%*$€=#*』

 

『昆布、高菜、明太子...』

 

『#%‘€*+#%$€#%*+^}%$€#%+*』

 

『おかかおかか、すじこ!!』

 

『€$$£#%•%*}£#€>£#€#%*>£#€%>£』

 

『ツナマヨ、すじこ、しゃけ!!!』

 

 それは奇しくも、何言ってるか分からない系同士の遭遇だった。

 

 

 

 

 

『五条悟、いいハンガーラックになりそうだ。ヘヘッ。』

 

 時を同じくして、交流会団体戦の会場に帳が下りる。

 

 それは原作同様、五条悟の侵入を拒むかわりにその他全てが出入り可能な結界だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『動くな!!!!』

 

『穿血!!』

 

『ドラミングビート!!』

 

 狗巻棘と、それに合流したパンダ、加茂憲紀の3人。

 

 彼らは、会場に突如現れた特級呪霊・花御を即席の連携で迎え撃つ。しかしその力の差は圧倒的だった。

 

 3人がかりの攻撃でも、傷一つつけることすら叶わない。

 

『やめなさい。愚かな子らよ。』

 

 特級呪霊・花御の言葉は、誰にも理解できない。しかしその思考は自然と頭に流れ込んでくる。

 

 憲紀曰く、呪霊の戯言。だがその知性はありふれた低級呪霊とは一線を画していた。

 

 憲紀が、

 

『狗巻棘より、言ってること分かりやすいな、この呪霊......』

 

 とか思ったのは内緒だ。

 

『吹っっっっっ飛べ!!!!』

 

 そんな狗巻棘の渾身の呪言が、花見を大きく後退させる。これにより、彼の喉は完全に潰れてしまった。

 

 パンダと憲紀の方もそれまでの戦闘の影響で、呪力はほとんど底をついている。

 

『まともに相手をするのは、得策じゃないな。』

 

 加茂は判断する。今自分達にできる最善は、一人でも多くの動けない者を連れてこの場から離脱することだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やはりこの程度、ですか。』

 

 呪言で吹き飛ばされた花御だが、やはり無傷。

 

 彼、いや彼女というべきか。じゅじゅさんぽで、スカート履いてたし。いやそれだと、同様にスカートを履いてた真人も、『彼女』と呼ぶことになってしまうか。

 

 まあCV的にも花御は『彼女』と形容しよう。彼女の身体は凄まじい耐久力を誇っていた。

 

『オラッッ!!』

 

 真依との戦いを終えていた真希が、現場に到着する。彼女はその薙刀で花御に斬りかかるが、

 

『そのような鈍では、私は切れませんよ。』

 

 真希の刃は、いとも容易くへし折られていた。

 

『硬すぎんだろ...!!』

 

 原作とは違い、今この場に伏黒恵はいない。よって特級呪具・游雲もない。花御を相手取るには、真希は圧倒的に火力不足だった。

 

『人間にしては、なかなかいい動きですよ。』

 

 その身体能力を活かして奮闘する真希だったが、やがて花御の一撃をくらい、その場に倒れ込む。

 

『うっ、クソ...』

 

『安心しなさい。命までは奪いません。』

 

 真希に対してそう告げた花御は、感じ取る。凄まじいスピードで自身に近づいてくる気配を。

 

『真希先輩!!』

「うちの先輩に何さらしとんじゃああああ!!」

 

 虎杖悠仁とすっくんが、現場に駆けつけた。

 

『黒閃!!!』

 

 虎杖の拳を花御は回避する。彼女は既に左腕の封印を解いていた。

 

『すっくん、こいつ...』

「ああ、デカ丸...くんより、よっぽど強いぞ。」

 

 すっくんは心の傷を引き摺りながらも、花御の強さを感じ取っていた。

 

 漏瑚を祓ったあの時とは違い、すっくんはもう顕現できない。だがそれは、2人がこの場から退く理由にはならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇

 

 おっす!俺すっくん!!

 

 悪い、みんな遅くなった!あとは俺と悠仁に任せてくれ!!

 

 さてと。本日のお相手も特級呪霊さん。

 

 特級呪霊、死ぬほど出てくるやん。まるで特級呪霊のバーゲンセールだな。

 

 まあ、これも主人公の嵯峨か。

 

『そうですか、貴方が。虎杖悠仁に“ジャージの宿儺”ですか?』

 

 おっ、やっぱこいつも喋るのか。ってかこの感じ、テレパシー的な?

 

 すっげえ!俺がやりたくて、できなかったやつじゃん!!

 

 なんか神秘的な感じがあって、羨ましい。ともかく、意思疎通ができるようで何よりだ。うまくやれれば、真人の情報を吐かせられる。

 

 奴は俺のことを、“ジャージの宿儺”と言った。真人と通じていると見て、間違いないだろう。ジャージ姿を見せた相手って、悠仁とアイツくらいだしな。

 

「おい、貴様。ツギハギの呪霊は今、どこにいる?」

 

『答える義理はありません。』

 

『そうか、なら無理矢理吐かせる!!』

 

 悠仁も、俺と同じ結論に至ったようだ。

 

『うおおおおお!!!』

 

 それ行け悠仁!

 

 あの、汚いフシギバナの擬人化みたいな特級呪霊を、ボッコボコにしてやれ!!

 

『少し本気を出した方が、よさそうですね。』

 

 フシギバナは、地面から大量の樹木を生やす。

 

 うぇ!?木遁使い!?NARUTOの柱間ぁぁぁぁぁぁ!?

 

 いや、柱間に比べたら全然大したことないわ。(感覚麻痺)

 

 

 木遁使いなら、尾獣よりも遥かに巨大な大仏作って、質量攻撃で須佐能乎をぶっ壊すくらいしなきゃだろ!この木遁使いの恥晒しめ!!

 

 まあ実際あの樹木は攻撃範囲が広い分、強度と速度は低い。現に悠仁も十分に対処できてるし。

 

 あれ、なんだこれ、お花畑...?

 

ほわぁ〜なんだろうこの感じぃ〜

すっごく落ち着くぅ〜

とっても清々しい気分だぁ〜

 

小2の、トイレに間に合わなかった時以来だなぁ〜

この解放感〜

 

 

《花御の花畑にあてられると、戦意が削がれ気が緩む。 》

 

《原作においては、あの五条悟にもしっかり効果を発揮した、何気に強力な呪術。 それは当然、虎杖とすっくんにも通用した。》

 

《生じたのは、一瞬の隙。だがそれを花御は見逃さない。虎杖悠仁の身体に呪いの種子を植え付ける。》

 

 

『おい、すっくん!!』

 

「うわ、なんじゃこりゃ!!」

 

 キッッショ!!!

 

 なんか悠仁のお腹に、汚いパックンフラワーみたいなのが植えられてる!!!

 

「くっ...!」

 

 悠仁が膝をついてしまう。

 

 このパックンフラワー、ちょっとずつ大きくなってる...?

 

『それは私の身体の一部。貴方の呪力を餌に、成長します。』

 

 

 

◆

 

 花御による術式の開示。

 

 これにより呪いの種子は、さらに深く虎杖の身体に根を張る。

 

『ああああああっ!!』

 

 彼の身体には激痛が走った。

 

『貴方はもう、呪力を練れません。そこでおとなしくしていなさい。』

 

 虎杖悠仁は無力化できたと、花御は彼に背を向ける。

 

『...!!』

 

 突如彼女は、背後から迫りくる危険を感じ取った。

 

『黒閃!!!』

 

 起き上がっていた虎杖は、その鉄拳を叩き込む。それは偶然にも、花御の弱点である角にクリーンヒットした。

 

『バカな、呪いの種子は...』

 

 そこで初めて、花御は気付く。虎杖悠仁に植え付けた種子が消滅していることに。

 

『反転術式...ですか!!』

 

「正っっ解!!!」

 

 

 

 

◇

 

 よっしゃあ、思った通りだ!

 

 顕現も反転のアウトプットもできない、「はい、役立たずのすっくんです!」状態で、生得領域の引きこもりと化している俺だが、

 

 なんとなんと!!

 

 器である悠仁の身体にだけは、反転術式を使えるっぽい!

 

 そういや、変態マコマコ野郎にぶっ殺された時も、似たようなことができてたもんな。

 

 あのパックンフラワーが、奴の身体の一部だっていうのもラッキーだった。呪霊にとって、反転術式は猛毒らしいからな。

 

 やっぱ、便利だぜ!反転術式!!

 

 

『ダメ.....だ.......』

 

 

 悠仁に反転術式をかける際、一瞬頭に浮かんだのは順平の死に際の表情。

 

 大丈夫、今あの件は関係ない。頑張れ頑張れ...!!

 

『すっくん、大丈夫か?』

 

「...ああ、問題ない!!あのフシギバナを祓うぞ!!」

 

『おう!フシギバナ...?』

 

 それ、突撃ーーーーーー!今だ!!キックを使え!!目だ!!

 

 ああ、惜しい!!

 

 しかしフシギバナめ、俺たちの攻撃を相当警戒してやがるな。角への攻撃は特に。

 

 あそこが弱点か。

 

 ガンガン狙っていきたいけど、さっきみたいな不意打ちじゃなきゃクリーンヒットは難しそうだなあ。

 

『植物は呪力を孕みません。私の左腕は、植物の命を奪い、呪力へ変換する。』

 

 ん、何だフシギバナの奴、一人でブツクサと。いや違う、これは術式の開示!!

 

『それが私に還元されることはない。その全てはこの供花へ。』

 

 フシギバナの周囲の草木が、枯れていく。

 

 あ、環境破壊!!

 

 なんて言ってる場合じゃないな。奴の左肩の花に、凄まじい呪力が宿っている。

 

 ソーラービームみたいな感じか?

 

 威力はデカ丸くんの極太ビームの倍、いやそれ以上!!!当然回避するしかない!!

 

 え、真っ向から迎え撃つのが主人公...?すっくん、そういう古い考えは良くないと思います!今は多様性の時代ですから!!!

 

 悠仁、逃げるんだよぉーーーーっ!!

 

『無駄です。』

 

 俺の周囲を樹木が一気に埋め尽くす。こいつ、大技を溜めながら術式を!まずい、逃げ道が塞がれた。

 

 奴の攻撃が、

 

 

 あれ、来ない...?んん?

 

 フシギバナの角が、突然爆ぜた?

 

 この感じ、デジャブだな。まさか!!!

 

『新・共鳴り....!』

 

 野薔薇ちゃんの仕業だぁぁぁぁぁ!!

 

 最高かよ!ってか、強すぎんだろあの技ぁぁぁ!!!!

 

 

 

◆

 

 少し遅れて現場に到着していた釘崎は、花御の生やした樹木に自身の釘を打ち込んでいた。その呪いは樹木に込められた呪力を辿って、その持ち主に降りかかる。

 

 そしてここからが、『新・共鳴り』の真骨頂。

 

 成長した彼女は、今までランダムだった共鳴りの攻撃箇所を大まかにだが指定できるようになっていた。

 

 虎杖との戦いを観察し、花御の弱点が角だと見抜いていた釘崎は、当然そこを狙う。

 

『この感じ....あの茶髪の少女の術式か!!』

 

 花御も、そのことに気がついた。

 

 術式の威力そのものは大した問題ではないが、このまま弱点をピンポイントで狙われ続けては、非常に戦い辛い。花御は第一目標を、釘崎の戦闘不能に設定する。

 

『黒閃!!!』

 

 勢いづいていた虎杖の拳を、角に当たらないよう捌きながら、二度目の共鳴りを狙う釘崎に、花御は意識を向けた。

 

『共な...!?』

 

 釘崎の近くの樹木から呪いの種子が飛び出し、彼女に根を張る。

 

「な、野薔薇ちゃん!!」

『釘崎!!!』

 

 意識の逸れた虎杖を、花御は蹴り飛ばした。

 

『それは貴方の呪力を吸います。術式を使わず、そこでおとなしく...』

 

 

『共鳴り!!!!!』

 

 釘崎は躊躇なく、自身に巣食った根に釘を打ち込む。花御の角が再び爆ぜた。

 

『黒閃!!!』

 

 その隙を虎杖は見逃さない。渾身の拳で、花御の角をもう一本へし折る。

 

『黒閃!!!!』

 

 苦しみ悶える花御に、追い討ちの前蹴り。

 

『黒閃!!』

 

 さらにダメ押しの回し蹴り。

 

 虎杖悠仁の残り少ない呪力。その全てを込めた黒閃3連撃は、花御の巨体を浮かせ、遥か彼方にまで吹き飛ばした。

 

『はあ、はあ、はあ...』

 

 呪力を使い果たした虎杖は、息を切らしてその場に膝をつく。

 

「よし!ナイスだ、悠仁!野薔薇ちゃんもありがとう!何度も助けてもらっちゃって、本当に感謝しかな、野薔薇ちゃん...?」

 

 すっくんは、地面に倒れた釘崎に気付く。彼女は、すっくんに反応しない。

 

「ねえ、ちょっと...野薔薇ちゃん...?」

 

 釘崎に巣食った呪いの種子は、彼女の呪力を餌に成長を遂げる。釘崎はそんな状態で、術式を使ってしまった。

 

 種は育ち、茎を伸ばし、葉をつけて、鮮やかな大輪の花を咲かせていた。

 

 

 

 

◇

 

 いや、まだだ!!

 

 反転術式なら種も取り除けるし、野薔薇ちゃんの傷も同時に治せる!

 

 まだ、助けられるんだ!!

 

「HEY、悠仁!!」

 

その一声で、俺のやろうとしていることを悠仁も理解する。

 

 

《交流会で激しい戦闘を経験した虎杖は、自身の新しい身体にすっかり馴染んでいた。そのため今の彼は、直感的に理解できる。檻の力を弱める、そのやり方を。》

 

 

『うおおおおおおおおお!!!』

 

 なんとなくだが、分かる。俺の封印が、緩んでいくのを...!!

 

 

《虎杖の顔に、うっすらと紋様が浮かんでは消えていく。》

 

《しかし...》

 

 

 ダメだ、まだ遠い!顕現するには遠すぎる!!

 

「クッソ、何で...」

 

助けられない...

また.....?

 

野薔薇ちゃんは俺達を二度も助けてくれたのに...

 

「野薔薇ちゃん、ごめ...ほぐあっ!!!」

 

 意識を取り戻した野薔薇ちゃんが、僅かに動く右手で俺に目潰しをする...

 

 何で!?

 

『宿儺!あんた、キモいのよ!!!』

 

 いきなり悪口!?

 

『あんた...これで私が死んだら、引きずるでしょうが.....大して親しくもないあんたの、心の傷に、勝手にされるなんて...そんなキモい目に遭うの、私はごめんよ...!!』

 

「野薔薇ちゃん...」

 

『この場で約束しなさい......もし私がこの先死んでも.....絶対に引きずらないって.......』

 

「野薔薇ちゃん.....それは無理。」

 

『はあ!?』

 

 いや、実際そうだと思う。こんないい子を死なせたら、絶対俺は一生引きずる。順平の時のように...

 

 だからもう、覚悟を決めよう。

 

「約束する。俺は必ず、野薔薇ちゃんを助けてみせる!!」

 

『...じゃあ、さっさとやんなさい!』

 

「ああ!!」

 

 俺の顕現は無理だ。今からじゃ間に合わない。なら、やり方を変えよう。

 

「うおおおおおおお!!!!!」

 

 身体の支配権は、依然悠仁のもの。

 

 悠仁のおかげで檻に隙間ができたとはいえ、俺が顕現できるほどそれは大きくはない。

 

 ならばその隙間を利用して、俺が練った反転術式のエネルギーだけを、悠仁の体外に顕現させる!!

 

 ありがとう、相棒。

 

 悠仁のおかげで、助けられそうだ。今度こそ!!

 

『釘崎、    戻ってこい!!!』

「野薔薇ちゃん、戻ってきてくれ!!」

 

 

《釘崎の身体に反転術式が流れこむ。そのエネルギーは彼女の傷を治し、巣食っていた根を根絶した。》

 

《目を覚ました釘崎はゆっくりと起き上がる。》

 

 

『釘崎ぃぃぃぃ!!!!!!!!』

「野薔薇ちゃーーーーーん!!」

 

『あーもう、うっさい!!頭に響くからやめなさい!!』

 

 よかった。野薔薇ちゃんが無事で、本当によかった...

 

『ねえ。虎杖に、すっくん。』

 

『ん?』

「はい、すっくんです。」

 

 あれ、何気にすっくん呼びって初!?

 

 ってか野薔薇ちゃん、どうしたんだろう?まさか、まだ痛むところでも?

 

『あんた達には、感謝してる。ありがと。』

 

 そう言って野薔薇ちゃんは笑みを浮かべる。それは彼女らしい、豪快な笑顔だった。

 

 っていうか、これって...

 

 

 野薔薇ちゃん、絶対悠仁に惚れてるやないかーーい!!まあ、命を救われたのだからそれも当然だろう!

 

 なるほどな〜。野薔薇ちゃんのヒロインレースは、ここがスタートラインだったわけか。

 

 ここからの追い上げに期待していきたいところです!!

 

 っていうか野薔薇ちゃんの笑顔、いいなぁ〜。普段とのギャップで、余計にかわいさマシマシだ。

 

 野薔薇ちゃん、ツンデレキャラだったか。また一つ、ヒロインポイント上げやがって〜。恵くんにすら、ヒロインパワー劣ってるとか思っててごめん。

 

 キミは間違いなく、この作品のヒロインだ。

 

『はい!お礼言ったからチャラ!!貸し借りなーし!!』

 

 野薔薇ちゃんはいつもの様子に戻る。

 

 もお〜、強がっちゃって〜。

 

『どうしたすっくん?ニヤニヤして。』

 

「いや、何でもないぞ〜悠仁。」

 

『?』

 

 悠仁は野薔薇ちゃんの思いに気づいてないんだろうな〜。この鈍感野郎め!!

 

 まあこれも、主人公の宿命か。

 

『っていうか、あの雑草呪霊はどうしたのよ。ちゃんと祓ったんでしょうね。』

 

「ああ、黒閃の3連発を打ち込んだ悠仁に対し、弱点の角を攻められ、ガードもままならなかったフシギバナ...」

 

『それって......』

 

「ああ。悠仁の勝ち...うぉ!?」

 

 

 突如地中から樹木が生える。それは悠仁と野薔薇ちゃんを縛り上げ、その動きを封じてしまった。

 

 クッソ離せ!!!

 

野薔薇ちゃんはともかく、主人公に触手プレイとかどこに需要がある!?

 

 なんて言ってる場合じゃないな!

 

『反転術式のアウトプットはできないはず...一体どうやって、その少女の根を?』

 

 フシギバナ擬き!!

 

 なんで、死なないどころかピンピンしてんだよ!!!

 

 黒閃3連発だぞ...!!

 

 

 

◆

 

 参考までに。原作で花御が受けた攻撃を羅列しておこう。

 

加茂の苅祓、

鵺の電撃、

伏黒の斬撃

弱点への加茂の穿血、

狗巻の『吹っ飛べ』、

真希の斬撃×2

特級呪具・游雲の一撃×2

玉犬の爪、

弱点への斬撃

虎杖の打撃×13

東堂の打撃×5

自身の術式による串刺し(不義遊戯)、

虎杖の黒閃×5

弱点への游雲の一撃

五条の茈。

 

 これらをフルに食らっても、彼女はギリギリ耐え、なおかつ自力で逃亡している。

 

 改めて、その耐久力の異常さがよく分かるだろう。黒閃3連発程度で倒れるほど、彼女はやわではない。

 

 

 

◇

 

 クッソ、まずい!

 

 悠仁にはもう、呪力が残ってない!スッカラカンだ!!

 

 おまけに、俺と悠仁を陵辱しようとしているこの樹木、反転術式で消せない...!!

 

 こっちは、奴の身体の一部じゃないらしいな。あれ、これって詰みでは!?

 

 クッ、たとえ身体が辱められようと、心までは屈しないぞ!

 

『虎杖悠仁。貴方は積極的に追い詰めるよう、言われています。』

 

 “積極的に追い詰める”....!?

 

 ナニをする気だお前!?

 

 っていうか誰だよ!?このフシギバナに、そんなオーダー出したの!!

 

『理想に殉じた同胞のため、そしてこの星のため、私はその命に従うだけ。』

 

 アイツ、またソーラービームを溜めてやがる!野薔薇ちゃんも一緒に捕まってるし、今回こそ避けられない。

 

『さあ、抗ってみせなさい!!』

 

 ソーラービームが、俺たちの前に迫る。

 

 悪い、俺たち死んだ...

 

 

 

パンッ!  パンッ!

 

 

 

 拍手の音が、2回。

 

 

 

 

 あれ、俺と野薔薇ちゃん、瞬間移動してる...?

 

『すまない、遅くなった。マイ・ライバルを安全な場所まで送っていたのでな。』

 

 この、ジャイアンボイスは...

 

『虎杖悠仁に、両面宿儺、だな。』

 

 それに、位置の入れ替え。この技を使うのは、確か京都校の...

 

 

『東堂葵だ。共に戦う前に一つだけ聞かせろ。どんな女がタイプだ?』

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。