宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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存在しない記憶って、声に出して言いたくなるよね。

 

 

 前回までのあらすじ!!

 

 フシギバナもどきの触手プレイに、俺と野薔薇ちゃんは大ピンチ!!

 

 だが、ジャイアンが助けてくれた!!!

 

『共に戦う前に、一つだけ聞かせろ。どんな女がタイプだ?ちなみに俺は、ケツとタッパがでかい女がタイプです!!』

 

 ......はあ?

 

 今聞くぅ!?

 ねえジャイアン、お前どういうキャラなんだよ!?

 

『釘崎さん!大丈夫ですか?』

 

 おお、三輪ちゃんも来てくれたか。

 

『三輪。釘崎を連れて、この場を離れろ。すぐにだ。』

 

『はいっ!!』

 

 ジャイアンの指示で、三輪ちゃんは野薔薇ちゃんと一緒に戦線から離脱する。

 

 ありがとな〜、三輪ちゃん〜!!

 

『三輪霞、だっけ?あんた、ちょっとはマシな面になったじゃない。』

 

『っ!ありがとうございます!!』

(わたし、年上なのに...)

 

 ん、野薔薇ちゃんと三輪ちゃん、なんか仲良くなってる?

 

 

『早く答えろ。どんな女がタイプだ。』

 

 うお、何なんだよお前!どう考えてもそんな場合じゃないだろ!!

 

 敵のフシギバナ擬きも、ちょっと困ってんじゃねえか!!

 

「あの、なんでそんなことを..?」

 

『? 性癖も分からないやつに、背中を預けられないだろう?』

 

 ??????????

 

 ごめん、ちょっと何言ってっか分かんないです。

 

『よく分かんねえけど強いて言うなら、ケツとタッパがでかい女の子かなあ。ジェニファーローレンスとか。』

 

 悠仁!素直に答えなくていいの!!

 

 ...メモメモ。

 

『あ、あああ...』

 

 ん、どうしたジャイアン?

 

『地元じゃ負け知らず......か。』

 

 な、泣いてる!え、何で!?怖い!怖いよおお!!!

 

 危ない人だよおおおお!!

 

 助けてくれたことには感謝してるけどさ。できればうちの悠仁には、金輪際近づかないでいただきたい。

 

『そうか、俺たちは兄弟のようだな。マイブラザー、虎杖。』

 

 ぶらざー?

 

 ん、兄弟だと!?まさかこのジャイアン、主人公の兄貴!?

 

 そんなめちゃくちゃ人気出そうなポジションを、こんなゴリラに!?おいおいおい、思い切り良すぎだろ呪術廻戦!!

 

 ドラゴンボールのラディッツくらい、勿体無いことしてるぞ!!

 

『いや、すっくん。俺一人っ子だから。』

 

 え、そうなの?悠仁。

 

「おい!東堂、だったか。どういうことだ?」

 

 まさかこのジャイアン、兄を名乗る不審者?

 

『確かに俺とブラザーに、血のつながりはない。だが俺たちは、血よりも確かな絆で繋がった、兄弟なんだ。』

 

 あ、分かった!!

 

 ワンピースのルフィとエースみたいな感じか!義兄弟ってことね!!

 

 そういうことだったか。ってことはこのジャイアン、悠仁とは幼馴染。付き合いの長さでいったら、俺より先輩なわけか。

 

 なんだよ悠仁〜。そういうことなら、俺に紹介しといてくれよ〜。

 

 俺と出会う前の悠仁、気になるな〜。これを機会に、いろいろ聞いてみるか。

 

「うちの悠仁、昔はどんな奴だったんだ?」

 

『昔から真っ直ぐなやつでな。』

 

 

『いや、すっくん...俺はこんな奴知らない...今日が初対面...』

 

 え?

 

『何を言うブラザー。俺達は、中学の頃から親友だったろう!!』

 

 ん?

 

『信じてくれすっくん!!俺とコイツは、同中でも何でもない!!』

 

 はえ?

 

『ブラザー忘れたのか!?思い出せ!!一緒に全中制覇をもしただろう!?』

 

 んんん〜?

 

 

 すっくん大パニック!!!!!!!

 

 お、俺は一体、どっちを信じればいいんだ!?

 

『両面宿儺、俺の目を見ろ。これが、嘘をついてる奴の目に見えるか。』

 

 俺は、ジャイアンの目を見つめる。その瞳はどこまでもまっすぐで純粋だった。

 

 俺は確信する。ジャイアンは嘘をついていない。

 

『おい、すっくん!?今何考えてる!?なあ、すっくん!?』

 

『それにだ。もし俺の言うことが、嘘だったとして。この状況でそんな嘘をつくメリットが、どこにある!!!!!』

 

 た、確かに!ジャイアンの言う通りだ!!

 

『すっくん!?あれ、もしかして、俺今劣勢!?』

 

「安心しろ。悠仁が嘘をついているなどとは、思っていない。」

 

『すっくん!』

 

「だが、東堂葵が嘘をついているとも思えない。」

 

『すっくん!?』

 

 ならば、何がどうなっているのか。

 

 その答えはただ一つ。

 

「悠仁、お前は何者かの手によって、記憶を消されているんだ。」

 

『そうなの!?いや、違うと思う!!』

 

 いいや、きっとそうだ。

 

 恐らく、ジャイアンと同級生だった悠仁の中学時代に、何か重大な事件があったのだろう。その時に、何者かが悠仁の記憶を消したのだ。

 

 その目的はまだ分からない。

 

 だがメタ的に見て、悠仁のその封じられた記憶はいつか必ず目覚めるだろう。

 

 そのうち、悠仁の中学時代を描いた過去編とかを5話くらいかけてやるかもしれない。

 

『なるほど!ブラザーは記憶を消されていたのか!!それなら、この反応も頷ける!!』

 

 ジャイアンも、なんか納得してくれたようだ。

 

『クッ、一体誰が、俺とブラザーの甘酸っぱい青春の記憶を!』

 

 ジャイアンは涙を流しながら、拳を地面に打ち付ける。

 

 コイツ、そんなにうちの悠仁のことを...

 

 間違いない!ジャイアンは悠仁の親友のようだな。ジャイアン(本家)風に言うなら、心の友って奴だ。

 

「東堂葵。誰が悠仁の記憶を消したのか、それはまだ分からない。だが安心しろ。たとえ記憶が消えても、お前と悠仁の友情は変わらない。」

 

『ッ! 両面宿儺...!』

 

 

『え、まって....俺、ホントに記憶消されてんの?マジで!?』

 

 

 

 ついには、虎杖悠仁本人すらも疑心暗鬼に陥る。

 

 東堂葵とすっくん。この二人の化学反応により、現場はカオスに陥っていた。

 

 そして特級呪霊・花御は、それをただ見ていた。

 

 もともと彼女の目的は、真人が仕事を終えるまでの時間稼ぎ。積極的に戦闘するメリットはなかった。

 

 あと単純に。彼女はあのギャグ空間に、巻き込まれたくはなかったのだ。

 

 

『両面宿儺、意外と話がわかるじゃないか。さすがは、俺のライバルが惚れた男だ。』

 

 なんか、ジャイアンに気に入られた。

 

 あと、俺に惚れてるだって!?誰だ、東堂のライバルって。ああ、彼と同期の魔女っ子くぎゅうか!!

 

 エヘヘヘヘへへへ〜、参っちゃうな〜。

 

『お前にも聞いておきたい。宿儺。お前はどんな女がタイプだ?』

 

 ああ、そういえば。その質問から色々始まったんだったな〜。

 

 うーーん、好みのタイプか〜。

 

『さあ、聞かせてくれ。呪いの王、その性癖を...!』

 

 性癖ねえ〜。

 

 今まで自分が好きになった、ジャンプの女キャラたちを思い返してみる。

 

 どの作品にも必ず一人は、ビビーーンとくる娘がいたものだ。だが、これといった共通点があるわけではない。

 

 ここはありのままに答えるとしよう。

 

 

「特にない。それが答えだ。」

 

 

 

 

 

 

『...なんだと?』

 

 すっくんは、東堂の特大の地雷を踏み抜く。

 

『俺を馬鹿にしているのかあああ!!!』

 

 宿儺の口が浮き出、た虎杖悠仁の顔面を東堂は殴り飛ばす。

 

『いや身体は俺っ!!!』

 

 虎杖はとばっちりを受けた。

 

『今までで、一番退屈な答えだ!!!!性癖とは、その男の全てを写す鏡!!!それが、特にないだと...!?なんて、なんてつまらない男なんだ!見損なったぞ!!宿儺!!!』

 

 東堂は涙と鼻水で、顔をぐしゃぐしゃにしていた。

 

『お前とは友達になれると、そう思っていたのに...もういい、お前はここで殺す!!!』

 

『いや待て、東堂!!身体は俺!!』

 

 東堂に殴られる直前、サラッと目と口を引っ込めていたすっくんは、再びそれらを生やして東堂に語りかける。

 

「性癖、か。貴様はそんな狭い世界に囚われているのか?」

 

『なに?』

 

「お前の一番好きなキャラ、それを教えろ。」

 

 質問者と回答者、二人の立場が不義遊戯する。

 

『俺の最推しは、高身長アイドル、高田ちゃんだ!!』

 

 東堂は宣言する。自身が生涯をかけて、愛すると誓った最愛の人の名を。

 

「ならば聞こう。仮にだ。その高田ちゃんとやらのケツとタッパが、急に縮んだとしよう。」

 

『貴様あああ!!言って良いことと悪いことがあるぞ!!』

 

 すっくんは、謎の仮定を持ち出す。当然、東堂はキレた。

 

 悠仁は置いて行かれていた。

 

「もし仮にだ。そうなったとしたら、お前はその娘を愛することを、やめるか。」

 

『ふざけるな!!俺はそれでも、高田ちゃんを愛し続け...ハッ!!』

 

 東堂はそこで初めて、呪いの王が言わんとしていることを理解する。

 

「気付いたか、順序が逆なのだ。性癖に刺さったから好きになるのではない。好きになった人の全てが、自分の性癖になっていくんだ。」

 

 その言葉は、東堂に大きな衝撃を与える。

 

『俺は、どうして忘れていたんだ...!!』

 

 東堂葵は、思い出す。自らの初恋を......!!

 

 

『やあ、少年。どんな女が、タイプかな?』

 

 

 自らの価値観が音を立てて崩れ去り、全てが裏返ったあの時を。

 

 

「そういう意味では、俺の性癖はこの世の全ての女性だ。」

 

『な、なん、だって.........』

 

「巨乳も、貧乳も、お姉さんも、ロリも、先輩系も、後輩系も、優等生系も、ギャル系も、ヤンキー系も、お嬢様系も、元気っ子も、ダウナー系も、清楚系も、ツンデレも、クーデレも、ヤンデレも、人外系も、人妻も、義姉も、義妹も、義母も、義祖母も、義曽祖母も。俺は全てを愛する可能性があるのだからな。」

 

『...この世の全ての女性とは、大きく出たな。この女たらしめ。』

 

「失礼だな。純愛だよ。」

 

 すっくんの瞳は、澄んでいた。

 

 東堂葵は、悟る。この性癖バトルに、自分は負けたのだと。

 

『完敗だ、宿儺の兄貴。やはり貴方はすごい人だ。思い出すよ、俺たち3人の中学時代を。』

 

 

 

 

 

 

俺たちの通う中学校の屋上、そこが3人の憩いの場だった。

 

『ケヒヒッ!!この漫画、もって後3週と言ったところか。』

 

4本の腕とお腹のお口がチャームポイントの、宿儺の兄貴。

 

『マジで、そんなつまんねえの?』

 

俺の弟分である、ピンク髪の好青年、虎杖。

 

 

どちらも俺のかけがえのない義兄弟たちだ。

 

 

俺達3人はいつも一緒だった。

 

今日もこうして集まっては、くだらない話に花を咲かせている。

 

『そういやすっくん、彼女できたってマジ?』

 

『なに!?それは本当か、兄貴!?』

 

「ち、違う!この前、東京のフェスで逆ナンされただけだ!初対面の全裸女にいきなり抱きつかれて、『私なら貴方に、そんな寂しい目をさせない。』とか言われただけだ!!」

 

『なにそいつ、やばっ。』

 

「いやまあ、LINEは交換したけど。」

 

『すっくん!?そいつは絶対やめとけって!!』

 

まさか兄貴に、そんな相手ができていたとは....!

 

意外とすみに置けないな。俺も、負けていられない...!

 

『なあ、虎杖、宿儺の兄貴。俺は今日、高田ちゃんに告る。』

 

俺は自身の一世一代の決意を二人に打ち明けた。

 

『やめとけって。お前慰めんの嫌だぞ。めんどくせえもん。』

 

虎杖には、止められた。当然、俺を思ってのことだろう。

 

一方宿儺の兄貴は...

 

「行ってこい。どうせ止めても、お前は聞かないのだろう?安心しろ、骨くらいは拾ってやる。」

 

その4本の手全てで俺の肩を掴み、激励の言葉をくれた。

 

『ありがとう、兄貴!!俺、精一杯やってく

 

 

 

『ごめんなさい。私好きな人がいるの。』

 

結果は惨敗だった。

 

彼女は優しいな。俺が少しでも淡い期待をしないように、スッパリと振ってくれたのだろう。

 

悔いはない!

 

だが俺は、自分のつぶらな瞳から溢れる涙を抑えられなかった。

 

分かっていたことだ。高田ちゃんと俺如きじゃ、釣り合わない。

 

 

..........違和感。

 

『負けると分かっている戦いに臨むほど、俺は愚かではない。』

 

いつもの俺ならば、そうして冷静に判断できていただろう。

 

だが目の前には美の擬人化といっても過言ではないほどの美貌。

 

恐らく、現代最高の魅力を持った女性。

 

ぶつかってみたくなった。

 

自分の思いを伝え尽くしてみたくなった。

 

自分が、本気で恋をした相手に。

 

 

愛に生きる自分を貫くために、知的で理性的な、普段の自分を曲げてしまった。

 

その時点でフラれていた。

 

『あーもう、だから言ったろ?』

 

「男がそう泣き喚くな。」

 

『悠仁、兄貴。』

 

高田ちゃんに振られた俺は、全てを失った気になっていた。だが、まだ俺にはなによりも大切なものが残っている。

 

『行こうぜ。すっくんが、晩飯奢ってくれるってよ。』

「ああ、最近いい料理人を見つけてなあ。お前達にも紹介してやろう。」

 

ここら辺で、主題歌のSPECIALZ が流れ始める。

 

そう、特殊エンディングだ。

 

King Gnu 、いい歌声だな。

 

うんうん。その通り。 King Gnu の言う通りだ。

 

どうか、2人はそのままでいてくれ。どこまでも特別な、俺の兄弟達よ。

 

誰がどう言おうとも、

 

『俺達の友情は永遠だ。そうだろう。虎杖、宿儺の兄貴。』

 

『 ったりめえじゃん。』

「当然のことを確認するな。不愉快だ。」

 

『フッ、そうだな。』

 

俺たち3人は、肩を並べて歩いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうか。俺たちは、3人兄弟のようだな。』

 

 え?ちょ、どうしたジャイアン?

 

『たった今、思い出した!!俺とマイブラザー・虎杖、そして宿儺の兄貴は、三兄弟だったんだ!!!』

 

 な、なんだってーーーーーーーーー!!!

 

 たった今、思い出しただと!?まさかジャイアンも記憶を奪われていた!?

 

 それが今、俺や悠仁と再会したことで記憶が蘇った、そう言うことか!?

 

 おいおいおいおい、なにがどうなってやがる!?俺も記憶を失っていたというのか!?

 

 俺達の過去に、一体なにがあったっていうんだ!?

 

『ブラザーズ。積もる話は後だ。まずは、あの呪霊を片付ける。』

 

 おお、そうだった。

 

 兄弟の話がすっげえ気になるけど、切り替え切り替え!待たせたな、フシギバナ!!

 

『やっとですか。』

 

 フシギバナの周囲にさっきよりも大量の樹木が生える。アイツ、今までは全然本気じゃなかったんだな。

 

 

 

 

 

 

 花御は東堂葵を警戒していた。

 

 先ほど見せた、手を叩くことによる入れ替えの術式。あれはシンプルなゆえに対処が難しい、と。

 

 その一方で、彼女はこう判断する。

 

 虎杖悠仁はもはや警戒に値しない、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『すっくん、悪い。俺はもう、呪力が...』

 

 確かに悠仁は先ほどまでの戦闘で、呪力を使い切っている。だが、まだ残っているだろう。

 

 この俺、両面宿儺の呪力が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それは、一体...』

 

 

 

 呪力を使い切ったはずの、虎杖悠仁。その変容に花御は警戒を強める。

 

 虎杖悠仁の身体は両面宿儺の禍々しい呪力で満ちていた。

 

 身体から溢れ出るほどのその呪力は、虎杖の身体を包んで淡い輝きを放ち、顔の右半分にだけ歪な紋様を浮かび上がらせる。

 

「ここからは、俺と悠仁の二人がかりだ、雑草よ。」

 

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