宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」 作:バケギツネ
◇
前回までのあらすじ!!
フシギバナもどきの触手プレイに、俺と野薔薇ちゃんは大ピンチ!!
だが、ジャイアンが助けてくれた!!!
『共に戦う前に、一つだけ聞かせろ。どんな女がタイプだ?ちなみに俺は、ケツとタッパがでかい女がタイプです!!』
......はあ?
今聞くぅ!?
ねえジャイアン、お前どういうキャラなんだよ!?
『釘崎さん!大丈夫ですか?』
おお、三輪ちゃんも来てくれたか。
『三輪。釘崎を連れて、この場を離れろ。すぐにだ。』
『はいっ!!』
ジャイアンの指示で、三輪ちゃんは野薔薇ちゃんと一緒に戦線から離脱する。
ありがとな〜、三輪ちゃん〜!!
『三輪霞、だっけ?あんた、ちょっとはマシな面になったじゃない。』
『っ!ありがとうございます!!』
(わたし、年上なのに...)
ん、野薔薇ちゃんと三輪ちゃん、なんか仲良くなってる?
『早く答えろ。どんな女がタイプだ。』
うお、何なんだよお前!どう考えてもそんな場合じゃないだろ!!
敵のフシギバナ擬きも、ちょっと困ってんじゃねえか!!
「あの、なんでそんなことを..?」
『? 性癖も分からないやつに、背中を預けられないだろう?』
??????????
ごめん、ちょっと何言ってっか分かんないです。
『よく分かんねえけど強いて言うなら、ケツとタッパがでかい女の子かなあ。ジェニファーローレンスとか。』
悠仁!素直に答えなくていいの!!
...メモメモ。
『あ、あああ...』
ん、どうしたジャイアン?
『地元じゃ負け知らず......か。』
な、泣いてる!え、何で!?怖い!怖いよおお!!!
危ない人だよおおおお!!
助けてくれたことには感謝してるけどさ。できればうちの悠仁には、金輪際近づかないでいただきたい。
『そうか、俺たちは兄弟のようだな。マイブラザー、虎杖。』
ぶらざー?
ん、兄弟だと!?まさかこのジャイアン、主人公の兄貴!?
そんなめちゃくちゃ人気出そうなポジションを、こんなゴリラに!?おいおいおい、思い切り良すぎだろ呪術廻戦!!
ドラゴンボールのラディッツくらい、勿体無いことしてるぞ!!
『いや、すっくん。俺一人っ子だから。』
え、そうなの?悠仁。
「おい!東堂、だったか。どういうことだ?」
まさかこのジャイアン、兄を名乗る不審者?
『確かに俺とブラザーに、血のつながりはない。だが俺たちは、血よりも確かな絆で繋がった、兄弟なんだ。』
あ、分かった!!
ワンピースのルフィとエースみたいな感じか!義兄弟ってことね!!
そういうことだったか。ってことはこのジャイアン、悠仁とは幼馴染。付き合いの長さでいったら、俺より先輩なわけか。
なんだよ悠仁〜。そういうことなら、俺に紹介しといてくれよ〜。
俺と出会う前の悠仁、気になるな〜。これを機会に、いろいろ聞いてみるか。
「うちの悠仁、昔はどんな奴だったんだ?」
『昔から真っ直ぐなやつでな。』
『いや、すっくん...俺はこんな奴知らない...今日が初対面...』
え?
『何を言うブラザー。俺達は、中学の頃から親友だったろう!!』
ん?
『信じてくれすっくん!!俺とコイツは、同中でも何でもない!!』
はえ?
『ブラザー忘れたのか!?思い出せ!!一緒に全中制覇をもしただろう!?』
んんん〜?
すっくん大パニック!!!!!!!
お、俺は一体、どっちを信じればいいんだ!?
『両面宿儺、俺の目を見ろ。これが、嘘をついてる奴の目に見えるか。』
俺は、ジャイアンの目を見つめる。その瞳はどこまでもまっすぐで純粋だった。
俺は確信する。ジャイアンは嘘をついていない。
『おい、すっくん!?今何考えてる!?なあ、すっくん!?』
『それにだ。もし俺の言うことが、嘘だったとして。この状況でそんな嘘をつくメリットが、どこにある!!!!!』
た、確かに!ジャイアンの言う通りだ!!
『すっくん!?あれ、もしかして、俺今劣勢!?』
「安心しろ。悠仁が嘘をついているなどとは、思っていない。」
『すっくん!』
「だが、東堂葵が嘘をついているとも思えない。」
『すっくん!?』
ならば、何がどうなっているのか。
その答えはただ一つ。
「悠仁、お前は何者かの手によって、記憶を消されているんだ。」
『そうなの!?いや、違うと思う!!』
いいや、きっとそうだ。
恐らく、ジャイアンと同級生だった悠仁の中学時代に、何か重大な事件があったのだろう。その時に、何者かが悠仁の記憶を消したのだ。
その目的はまだ分からない。
だがメタ的に見て、悠仁のその封じられた記憶はいつか必ず目覚めるだろう。
そのうち、悠仁の中学時代を描いた過去編とかを5話くらいかけてやるかもしれない。
『なるほど!ブラザーは記憶を消されていたのか!!それなら、この反応も頷ける!!』
ジャイアンも、なんか納得してくれたようだ。
『クッ、一体誰が、俺とブラザーの甘酸っぱい青春の記憶を!』
ジャイアンは涙を流しながら、拳を地面に打ち付ける。
コイツ、そんなにうちの悠仁のことを...
間違いない!ジャイアンは悠仁の親友のようだな。ジャイアン(本家)風に言うなら、心の友って奴だ。
「東堂葵。誰が悠仁の記憶を消したのか、それはまだ分からない。だが安心しろ。たとえ記憶が消えても、お前と悠仁の友情は変わらない。」
『ッ! 両面宿儺...!』
『え、まって....俺、ホントに記憶消されてんの?マジで!?』
◆
ついには、虎杖悠仁本人すらも疑心暗鬼に陥る。
東堂葵とすっくん。この二人の化学反応により、現場はカオスに陥っていた。
そして特級呪霊・花御は、それをただ見ていた。
もともと彼女の目的は、真人が仕事を終えるまでの時間稼ぎ。積極的に戦闘するメリットはなかった。
あと単純に。彼女はあのギャグ空間に、巻き込まれたくはなかったのだ。
◇
『両面宿儺、意外と話がわかるじゃないか。さすがは、俺のライバルが惚れた男だ。』
なんか、ジャイアンに気に入られた。
あと、俺に惚れてるだって!?誰だ、東堂のライバルって。ああ、彼と同期の魔女っ子くぎゅうか!!
エヘヘヘヘへへへ〜、参っちゃうな〜。
『お前にも聞いておきたい。宿儺。お前はどんな女がタイプだ?』
ああ、そういえば。その質問から色々始まったんだったな〜。
うーーん、好みのタイプか〜。
『さあ、聞かせてくれ。呪いの王、その性癖を...!』
性癖ねえ〜。
今まで自分が好きになった、ジャンプの女キャラたちを思い返してみる。
どの作品にも必ず一人は、ビビーーンとくる娘がいたものだ。だが、これといった共通点があるわけではない。
ここはありのままに答えるとしよう。
「特にない。それが答えだ。」
◆
『...なんだと?』
すっくんは、東堂の特大の地雷を踏み抜く。
『俺を馬鹿にしているのかあああ!!!』
宿儺の口が浮き出、た虎杖悠仁の顔面を東堂は殴り飛ばす。
『いや身体は俺っ!!!』
虎杖はとばっちりを受けた。
『今までで、一番退屈な答えだ!!!!性癖とは、その男の全てを写す鏡!!!それが、特にないだと...!?なんて、なんてつまらない男なんだ!見損なったぞ!!宿儺!!!』
東堂は涙と鼻水で、顔をぐしゃぐしゃにしていた。
『お前とは友達になれると、そう思っていたのに...もういい、お前はここで殺す!!!』
『いや待て、東堂!!身体は俺!!』
東堂に殴られる直前、サラッと目と口を引っ込めていたすっくんは、再びそれらを生やして東堂に語りかける。
「性癖、か。貴様はそんな狭い世界に囚われているのか?」
『なに?』
「お前の一番好きなキャラ、それを教えろ。」
質問者と回答者、二人の立場が不義遊戯する。
『俺の最推しは、高身長アイドル、高田ちゃんだ!!』
東堂は宣言する。自身が生涯をかけて、愛すると誓った最愛の人の名を。
「ならば聞こう。仮にだ。その高田ちゃんとやらのケツとタッパが、急に縮んだとしよう。」
『貴様あああ!!言って良いことと悪いことがあるぞ!!』
すっくんは、謎の仮定を持ち出す。当然、東堂はキレた。
悠仁は置いて行かれていた。
「もし仮にだ。そうなったとしたら、お前はその娘を愛することを、やめるか。」
『ふざけるな!!俺はそれでも、高田ちゃんを愛し続け...ハッ!!』
東堂はそこで初めて、呪いの王が言わんとしていることを理解する。
「気付いたか、順序が逆なのだ。性癖に刺さったから好きになるのではない。好きになった人の全てが、自分の性癖になっていくんだ。」
その言葉は、東堂に大きな衝撃を与える。
『俺は、どうして忘れていたんだ...!!』
東堂葵は、思い出す。自らの初恋を......!!
『やあ、少年。どんな女が、タイプかな?』
自らの価値観が音を立てて崩れ去り、全てが裏返ったあの時を。
「そういう意味では、俺の性癖はこの世の全ての女性だ。」
『な、なん、だって.........』
「巨乳も、貧乳も、お姉さんも、ロリも、先輩系も、後輩系も、優等生系も、ギャル系も、ヤンキー系も、お嬢様系も、元気っ子も、ダウナー系も、清楚系も、ツンデレも、クーデレも、ヤンデレも、人外系も、人妻も、義姉も、義妹も、義母も、義祖母も、義曽祖母も。俺は全てを愛する可能性があるのだからな。」
『...この世の全ての女性とは、大きく出たな。この女たらしめ。』
「失礼だな。純愛だよ。」
すっくんの瞳は、澄んでいた。
東堂葵は、悟る。この性癖バトルに、自分は負けたのだと。
『完敗だ、宿儺の兄貴。やはり貴方はすごい人だ。思い出すよ、俺たち3人の中学時代を。』
俺たちの通う中学校の屋上、そこが3人の憩いの場だった。
『ケヒヒッ!!この漫画、もって後3週と言ったところか。』
4本の腕とお腹のお口がチャームポイントの、宿儺の兄貴。
『マジで、そんなつまんねえの?』
俺の弟分である、ピンク髪の好青年、虎杖。
どちらも俺のかけがえのない義兄弟たちだ。
俺達3人はいつも一緒だった。
今日もこうして集まっては、くだらない話に花を咲かせている。
『そういやすっくん、彼女できたってマジ?』
『なに!?それは本当か、兄貴!?』
「ち、違う!この前、東京のフェスで逆ナンされただけだ!初対面の全裸女にいきなり抱きつかれて、『私なら貴方に、そんな寂しい目をさせない。』とか言われただけだ!!」
『なにそいつ、やばっ。』
「いやまあ、LINEは交換したけど。」
『すっくん!?そいつは絶対やめとけって!!』
まさか兄貴に、そんな相手ができていたとは....!
意外とすみに置けないな。俺も、負けていられない...!
『なあ、虎杖、宿儺の兄貴。俺は今日、高田ちゃんに告る。』
俺は自身の一世一代の決意を二人に打ち明けた。
『やめとけって。お前慰めんの嫌だぞ。めんどくせえもん。』
虎杖には、止められた。当然、俺を思ってのことだろう。
一方宿儺の兄貴は...
「行ってこい。どうせ止めても、お前は聞かないのだろう?安心しろ、骨くらいは拾ってやる。」
その4本の手全てで俺の肩を掴み、激励の言葉をくれた。
『ありがとう、兄貴!!俺、精一杯やってく
『ごめんなさい。私好きな人がいるの。』
結果は惨敗だった。
彼女は優しいな。俺が少しでも淡い期待をしないように、スッパリと振ってくれたのだろう。
悔いはない!
だが俺は、自分のつぶらな瞳から溢れる涙を抑えられなかった。
分かっていたことだ。高田ちゃんと俺如きじゃ、釣り合わない。
..........違和感。
『負けると分かっている戦いに臨むほど、俺は愚かではない。』
いつもの俺ならば、そうして冷静に判断できていただろう。
だが目の前には美の擬人化といっても過言ではないほどの美貌。
恐らく、現代最高の魅力を持った女性。
ぶつかってみたくなった。
自分の思いを伝え尽くしてみたくなった。
自分が、本気で恋をした相手に。
愛に生きる自分を貫くために、知的で理性的な、普段の自分を曲げてしまった。
その時点でフラれていた。
『あーもう、だから言ったろ?』
「男がそう泣き喚くな。」
『悠仁、兄貴。』
高田ちゃんに振られた俺は、全てを失った気になっていた。だが、まだ俺にはなによりも大切なものが残っている。
『行こうぜ。すっくんが、晩飯奢ってくれるってよ。』
「ああ、最近いい料理人を見つけてなあ。お前達にも紹介してやろう。」
ここら辺で、主題歌のSPECIALZ が流れ始める。
そう、特殊エンディングだ。
King Gnu 、いい歌声だな。
うんうん。その通り。 King Gnu の言う通りだ。
どうか、2人はそのままでいてくれ。どこまでも特別な、俺の兄弟達よ。
誰がどう言おうとも、
『俺達の友情は永遠だ。そうだろう。虎杖、宿儺の兄貴。』
『 ったりめえじゃん。』
「当然のことを確認するな。不愉快だ。」
『フッ、そうだな。』
俺たち3人は、肩を並べて歩いていく。
◇
『そうか。俺たちは、3人兄弟のようだな。』
え?ちょ、どうしたジャイアン?
『たった今、思い出した!!俺とマイブラザー・虎杖、そして宿儺の兄貴は、三兄弟だったんだ!!!』
な、なんだってーーーーーーーーー!!!
たった今、思い出しただと!?まさかジャイアンも記憶を奪われていた!?
それが今、俺や悠仁と再会したことで記憶が蘇った、そう言うことか!?
おいおいおいおい、なにがどうなってやがる!?俺も記憶を失っていたというのか!?
俺達の過去に、一体なにがあったっていうんだ!?
『ブラザーズ。積もる話は後だ。まずは、あの呪霊を片付ける。』
おお、そうだった。
兄弟の話がすっげえ気になるけど、切り替え切り替え!待たせたな、フシギバナ!!
『やっとですか。』
フシギバナの周囲にさっきよりも大量の樹木が生える。アイツ、今までは全然本気じゃなかったんだな。
◆
花御は東堂葵を警戒していた。
先ほど見せた、手を叩くことによる入れ替えの術式。あれはシンプルなゆえに対処が難しい、と。
その一方で、彼女はこう判断する。
虎杖悠仁はもはや警戒に値しない、と。
◇
『すっくん、悪い。俺はもう、呪力が...』
確かに悠仁は先ほどまでの戦闘で、呪力を使い切っている。だが、まだ残っているだろう。
この俺、両面宿儺の呪力が。
◆
『それは、一体...』
呪力を使い切ったはずの、虎杖悠仁。その変容に花御は警戒を強める。
虎杖悠仁の身体は両面宿儺の禍々しい呪力で満ちていた。
身体から溢れ出るほどのその呪力は、虎杖の身体を包んで淡い輝きを放ち、顔の右半分にだけ歪な紋様を浮かび上がらせる。
「ここからは、俺と悠仁の二人がかりだ、雑草よ。」