宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」 作:バケギツネ
◇
前回までのあらすじ!
俺と悠仁と東堂は三兄弟だった!!
そして今回のネタバレ!!
俺と悠仁は、今よりさらに進化する!!
「悠仁、さっきと同じように、檻を緩めてくれるか?」
『おう!!よくわかんないけど、任せろ!!』
先ほど反転術式だけを顕現させたように。悠仁の作った檻の隙間から、俺の呪力の一部を顕現させる。
「受け取れ!!悠仁!!」
『すっくん、ありがとな。これでまだ、戦える!!』
《呪力を使い切ったはずの、虎杖悠仁。その変容に花御は警戒を強める。》
「ここからは、俺と悠仁の二人がかりだ。雑草よ。」
《虎杖悠仁の身体は、両面宿儺の禍々しい呪力で満ちていった。》
『いくぞ、すっくん!!!』
「ケヒヒッッ!!」
《その溢れ出るほどの呪力は、虎杖の身体を包んで淡い輝きを放ち、顔の右半分にだけ、歪な紋様を浮かび上がらせた。》
《現在のすっくんの呪力量は、指4本+もろもろの縛りバフ(だいたい指6本分)。彼はその三割前後までを、虎杖に上乗せしている。》
「名付けて、宿儺呪力モード。」
《『いや、名前ダサくない?』というツッコミを、虎杖は飲み込んだ。》
◆
『流石だ!!!!』
虎杖悠仁とすっくんのみせた進化に、東堂葵は感動していた。
『流石は、俺のブラザーズだ!!』
彼は近くの小石を拾い、呪力をこめる。
『俺の術式は知っているな。』
「ああ。」
『おう!』
『作戦会議...は、必要ないな。俺たち親友に、言葉は要らない。』
「いや、一応打ち合わせしといた方が.....」
『いくぞ、ブラザーズ!!』
『「え、あ、おう!!」』
虎杖は、なんとかアドリブで東堂に合わせることを決意する。
『せいっ!!』
東堂は握った石ころを、花御に向かって投げつける。
『投石...?いや、あの石と入れ替わるつもりですか...』
花御は、東堂の動きを警戒する。
『入れ替えのタイミングは、あのチョンマゲの拍手。それにさえ意識を向けておけば.....』
突如、虎杖悠仁の姿が花御の視界から消える。
『入れ替え!?しかし奴は手を叩いていない...これは!?』
虎杖は花御の背後に回り込んでいた。特級呪霊である彼女ですら消えたと見紛うほどのスピードで。
『黒閃!!!』
先程とは比べものにならない衝撃が、花御の背中に伝わる。凄まじいパワーで打ち込まれた虎杖の拳。花御の身体は、その運動エネルギーを殺しきれず宙を舞う。
パンッ
東堂の術式により、吹っ飛ばした虎杖、吹っ飛ばされた花御、
二人の位置が入れ替わる。
つまりはこうだ。花御の吹っ飛んだ先に待ち受ける事になる、拳を構えた虎杖。
『黒閃!!!』
パンッ
『黒閃!!!』
パンッ
『黒閃!!!!!』
吹っ飛ばされた先に常に回り込まれ、また吹っ飛ばされる。それは抜け出すことのできない、黒閃地獄だった。
だが花御はそれを喰らい続けるなかで、東堂の術式に反応できるようになってくる。
『黒せ....うぉ!?』
花御のカウンターの蹴りがついに虎杖を捉える。
しかしすっくんの呪力強化によって、ただでさえ頑丈な虎杖の身体は、さらに強固になっていた。花御の渾身の打撃を受けても怯むことのないほどに。
『黒閃!!』
虎杖のダメ押しの一発。
一方花御は、その一撃を喰らいつつも掌印を組み終えていた。
◆
『花御はさ、もっと正直になりなよ。』
花御の脳裏をよぎるのは、同胞である真人の言葉。
『戦いという今現在をもっと楽しむべきだ。それが俺たち、呪いの本能なんだからさ。』
花御の動機は、ただ一つ。人間を淘汰し、この星を救う。それだけ。
その結果こそが追い求める全て。その過程などどうでもよいと、そう思っていた。
『なるほど。私が、こんな気持ちになろうとは...!!』
覚醒した虎杖を相手に、花御は自分の為の戦いを始める。羂索からの忠告などもはや彼女の頭にはなかった。
『楽しいものですね。戦いというのは。』
澄み渡った青空の下、色とりどりの花畑が広がり、そこに点々と螺旋状に伸びた木がそびえ立つ。
『領域展開、朶頤光海』
それは彼女が本編では一度も披露できなかった、奥の手。
そして原作との違いがもう一つ。彼女は原作よりも少し早く領域を展開していた。
五条が帳を破壊し救援に駆けつけるまで、3分ほどの猶予が花御には残されていたのだ。
◇
クッソ!!
やっぱフシギバナ擬きも使えんのか、領域展開...!
真人の時はなんかよく分かんないまま凌げたが、今回はそうも行かないだろう。
「悠仁、領域展開いけそう?」
『ええ!?無理だって!!』
流石に俺も、完全顕現せずに領域展開は無理ぽよだ。ならせめて、出来るだけそれに近い形で。
悠仁の身体を呪力で守る!!
◆
危機的状況において、すっくんと東堂のとった行動は一致した。
『簡易領域!!!』
「なんちゃって領域!!」
それは領域から身を守るために生み出された弱者の領域。虎杖と東堂はほぼ同時にそれを成功させ、花御の必中効果を防ぐ。
だが簡易領域で防げるのは、あくまで領域の必中効果のみ。術式による通常攻撃はその適用外だ。
二人の足元に広がる花畑。領域によってさらに強力になった催眠効果が、二人を襲う。
『まずは、厄介なチョンマゲを。』
東堂の足元から呪いの種子が伸びる。
『しっかりして!!』
『ハッ、ありがとう、高田ちゃん!!』
高田ちゃんのラブコールによって正気に戻った東堂だったが、不義遊戯の発動前に両腕の手首を絡め取られてしまう。
『マズイ、呪力で防御を...!!!』
『本当にそれでいいの!?』
『ハッ、ありがとう高田ちゃん!!』
高田ちゃんアドバイスによって、彼は咄嗟に呪力の防御を解いていた。
そのため大事には至らなかったが、東堂は両腕を封じられ、不義遊戯の使用が出来なくなる。
『クッ...!!』
動けなくなった東堂にトドメを刺そうと、花御が術式を発動する...
『らあああっ!!!』
その前に。少し遅れて正気に戻った虎杖が花御を叩いた。
◇
「東堂!!!呪力を練るな!!その根は呪力で成長する!!」
フシギバナに悠仁がインファイトしてる間に、俺は根の性質を、ジャイアンに教えてあげる。
クッソ、まずった!
花畑で、俺も悠仁も一瞬意識が。そのせいでジャイアンの動きは封じられてしまった。
「悠仁、攻撃の手を緩めるなよ!!」
『分かってる!!』
奴の術式を、俺と悠仁だけに集中させる!ジャイアンにトドメはささせない!!
『黒閃!!!』
喰らえ!!悠仁の渾身の一撃!!
しかしフシギバナは、自身を樹木で覆って防御の体制に入る。領域効果で、当然その樹木もめっちゃ硬くなってるのだろう。
だが、めっちゃ強くなってるのは俺と悠仁だって同じ!!
『「はあああああ!!!!」』
俺たちの拳は、樹木のバリケードを打ち砕いて、そのままフシギバナの身体に突き刺さる!!
『かはっっっ........!!』
やっぱコイツ、タフすぎる...!こんだけやったのに、領域を解除する気配がない。
だがな、俺と悠仁の攻撃はまだ終わっていないぞ!ようやく奴の体内に手を突っ込めた。
ちょっと感触気持ち悪いと思うけど、我慢してくれよ、悠仁!!
◆
『まさか........』
花御は感づく。すっくんの狙いに。
『反転っ、術式!!!』
今のすっくんは反転術式のアウトプットが再び可能になっている。
だが通常の呪力とは異なり、反転術式の顕現には、少し時間がかかってしまうのだ。
動けない仲間を治癒するだけならいざ知らず、“戦闘中の相手に、瞬時に反転術式を流し込む”、このような早業はまだできない。
だから彼は待っていた。
”反転術式の流し込み“
敵の想定からそれが消え、じっくりと致死性の毒を流し込めるだけの隙。
それが生まれるこの瞬間を!!
「爆ぜろおおおお!!!」
花御に突き刺さった虎杖の腕。そこから、正の呪力が流れ込む。
ボチュンッッッ!!!
「...あれ?」
自身の生得領域内で、すっくんが感じた違和感。
「悠仁が、離れてく...!!」
すっくんの反転術式が中断される。
花御の身体に流れ込んでいた猛毒。それが消し飛ばしたのは彼女の身体の一部に留まり、祓うには至らない。
「クッソ、なんでだ...!?」
のちに判明したことだが。
宿儺呪力モードの虎杖は、自身の檻を常にこじ開けながら戦闘を行なっている。そのマルチタスクは、想像以上の負担を身体に強いていた。
『はあ、はあ、はあ.....』
「悠仁、大丈夫か?」
彼の身体に一時的な限界が訪れ、宿儺呪力モードが中断される。
『はああああ!!!』
呪力の自己補完で体を再生させた花御は、その蹴りを虎杖悠仁にお見舞いする。
宿儺の呪力強化が解け、耐久力の落ちていた(当社比)彼の身体は、その一撃で地面を転がった。
『惜しかったですね。』
花御は領域内の花畑から生命力を吸い上げ、呪力を練り上げていく。
すっくんが『ソーラービーム』と称した高密度の呪力の塊、それが5つ。
『クッ、俺は仲間外れか?呪霊よ!!』
東堂葵は、一か八かの賭けに出る。彼は術式発動のために左右の掌に呪力を集中させた。
東堂の狙いは、種子が成長しきる前に不義遊戯を発動すること。だが領域によって強化された種子は、東堂の術式より早く彼の手首を食いちぎる。
東堂の両手が、宙を舞った。
『さあ、この星の土に還りなさい!!』
花御の生成した、5つの呪力。それは一斉に解放され、虎杖悠仁を飲み込んだ。
パンッッッ
否。
その呪力に飲み込まれたのは花御自身。
彼女と虎杖悠仁の位置が、いつの間にか入れ替わっていた。自身の最大火力によって、花御はその場に膝をつく。
『バカな!あのチョンマゲの術式は、完全に封じて...』
花御の疑問に答えるように東堂は語り出す。
『確かに、俺は両手を失い、術式は死んだ。だがな、消えゆく一瞬にこそ最大の輝きを放つ、命とはそういうものだ。術式とて、同じこと。』
東堂の両手がもげたあの瞬間、彼は辛うじて形の残っていた自身の右手を、虎杖に向けて蹴り飛ばしていた。
『ブラザーズ!!』
その一声で、三兄弟は通じ合った。
原作において、東堂は自身の片手と他人の片手でも術式を成立させている。
本人から離れたとはいえ、まだ辛うじて“東堂自身の片手”であったそれに、虎杖の片手が重なる。
パンッッッ!!
最期の不義遊戯は成立した。
それは東堂にとって命よりも大切な兄弟たちを助け、花御に決定的な隙を生じさせる。
『仕上げは任せたぞ。ブラザーズ!!』
『「ああ!!兄弟!!」』
虎杖とすっくんの声が重なる。
虎杖は残り少ない力を振り絞り、たった5秒だけ、宿儺呪力モードを再誕させる。
『「うおおおおおおおおお!!!」』
先程のダメージが癒えない花御に接近し、
『「黒閃!!!!!」』
彼女の顔面に最後の鉄拳を叩き込む。
その打撃の0.0000000000104秒後、虎杖悠仁の呪力が衝突。
空間は歪み黒い火花が散る。
さらに...!!
そこから0.00000000000000397秒後、今度は両面宿儺の呪力が衝突。
再び空間は歪み、黒い火花はそれを祝福する。
打撃との誤差、0.000001秒以内に呪力が二度衝突するという前代未聞の事態。
2.5乗のさらに2.5乗。
一度の打撃で生まれる二度の衝撃。
花御への決め手となったそれは、虎杖悠仁の本来の得意技・逕庭拳に酷似していた。これはいわば、その黒閃バージョン。
その名も、
「『黒庭拳!!!!』」
空前絶後の一撃が花御の頭を吹き飛ばしていた。
彼女の絶命と同時にその領域も解除され、偽物の青空と花畑は消えていく。
『ヤッベ...真人の.......居場所、聞き......忘れ、た......』
虎杖もまた体力の限界を迎えて、その場に倒れ込む。
その身体を支えたのは、東堂
その身体を支えたのは、彼らの魂の親友であり、同時に兄弟でもある、この俺、東堂葵だった。
『最高だよ、ブラザーズ。』
東堂は失った手ではなく自身の魂で、愛する兄弟達に拍手を喝采するのだった。
『宿儺はどうだった?花御。』
『敗れこそしましたが、楽しかった。あなたの気持ちが分かりましたよ、漏瑚。』