宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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主人公の怪我の治りって、超早いよね。

 

 

 どうも、すっくんです〜。

 

 こちら、高専の医務室からお届けしております〜。

 

 えーー、悠仁、恵くん、野薔薇ちゃんの3人ですが、みんな仲良く、『無茶をしすぎだ。死にたいのか。』と家入さんに言い渡され、現在医務室のベッドで安静にしておりまーす。

 

 ちなみにすっくんは超元気でーーす。

 

 なんか俺だけごめん.......

 

 東京校側に重傷者多数ということでさっすがに交流会は中止。まあよく分かんないけど色々起きてたみたいだし、仕方ないか....

 

『東堂葵、だっけ?アンタら、いつの間にあのゴリラと仲良くなったのよ。』

 

 おや、野薔薇ちゃんからの質問だ。

 

 ゴリラ.....ああ、ジャイアンのことか。

 

 話せば長くなる。俺と悠仁とジャイアンは何者かに記憶をいじられ...

 

『いや、気が付いたら、アイツがあの距離感だったっていうか......』

 

『同じくだ。ハッキリ言って迷惑してる。』

 

 ありゃ?悠仁と恵くんからの、ジャイアン評価があんまり良くない。

 

 なんでだよ〜。ジャイアンいい奴だろう?

 

『いやまあ......』

 

『呪術師として頼りになるのは確かだが......』

 

 二人は、苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 

『そんなことより。』

 

 お、恵くんの声のトーンがシリアスになる。

 

 すっくん、お口チャックしなきゃ。最近俺、シリアスシーンに出してもらえないからな〜。

 

 何でも、空気感をぶち壊すとか何とか......気を付けよ。これからは空気の読める呪いの王、目指していこうと思います。

 

『虎杖。お前強くなったんだな。』

 

 ああ、確かに悠仁は強くなった。でも、

 

「それは、恵くんも野薔薇ちゃんも同じだろう?」

 

『......ああ。俺ももっと強くなる。すぐに追い越すぞ。』

 

 恵くんは、そう宣言する。

 

 良い!すごく良い!!

 

 伏黒くん、ライバルポジションとして素晴らしすぎるぞ!是非ともそのまま、健全に成長して行ってくれ!!!

 

 闇堕ちだけはするなよ、いやマジで....

 

 なんか恵くん、悪い大人に目をつけられてそう感がすごいんだよな〜。

 

 誰かは知らんが、恵くんみたいな良い子を利用しようとするなんて、とんでもないクソ野郎だ!

 

 すっくん、許せないっ!見つけ次第、ボッコボコにしてやらあ!!

 

『私抜きで、話を進めんじゃないわよ。』

 

 お、野薔薇ちゃんもやる気だな〜。実際彼女、めちゃくちゃ強くなってるし!

 

 今回のMVPと言ってもいい。

 

 あの遠距離技、ちょっと強すぎない....!?

 

 共鳴り....だったか。あれがなかったら、すっくん2回ほど死んでるからな.....

 

 いや〜、マジで頭が上がらない!!

 

 お礼として、野薔薇ちゃんのことをどう思ってるか、悠仁にそれとなく聞いてあげよう。

 

 すっくんは、キミの恋を応援してるからね!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、学長たちとの会談を終えた歌姫は、メカ丸を除いた京都校の生徒だけを集める。

 

 そして彼らにも、与幸吉の裏切りについて共有した。

 

『五条の奴が動くだろうけど、無罪放免ってわけにはいかないわね。よくて、無期限の拘禁ってところかしら....』

 

 自分の私情を抑え込んで歌姫はそう締めくくる。

 

『メカ丸.........』

 

 その身を案じるもの。

 

『バカ..........』

 

 自分を責めるもの。

 

『罪を憎んで人を憎まず、それが俺の答えだ。』

 

 多くを語らないもの。

 

『彼を責められない。その場で殺されるか、奴らに下って少しでも生き延びるか、選択の余地はなかったんだ....』

 

 彼を庇うもの。

 

『要は、その呪詛師が元凶なんでしょ?ぶち殺す.......!!』

 

 彼を利用していた敵に、怒りを露わにするもの。

 

 

 京都校の面々の反応は様々だったが、皆一様に、それぞれの形でメカ丸のことを想っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヤッホー、夏油!!ただいま〜。』

 

 もはや定番となった、陀艮の領域ビーチ。

 

 そこに帰ってきたのは、なぜかボロボロの特級呪霊・真人。それは当初の予定から、かなり遅れての帰還だった。

 

 夏油もとい羂索は怪訝な顔をしながらも、それを出迎える。

 

『遅かったじゃないか。どうしたんだい、その傷。』

 

『いや〜。ちょっとねー。』

 

 傷の理由を尋ねる羂索だが、真人はその問いをはぐらかす。仕方なく、羂索は質問を変えた。

 

『重面春太はどうしたんだい?彼も、一緒だったはずだろう?』

 

『ああ、殺されそうになったから、返り討ちにしちゃった。別にいいでしょ?正当防衛ってやつさ。』

 

 そちらの質問には、悪びれもせずにスラスラと答えていく真人。

 

『そうだ、これ!!夏油が欲しがってたやつ!!』

 

 真人はそう言うと三つのカプセルを投げ渡す。

 

 それは、呪胎九相図の1〜3番。

 

 ちなみに1から順に、

 

お兄ちゃん、

変態、

ゆるキャラ、

 

 の3名となっている。

 

『ご苦労様。』

 

 それを受けとった羂索は縫い目のある顔に、喜色を讃える。

 

『これで、ちょっとした実験ができる。実に楽しみだよ。』

 

 羂索はそう言うと、受け取った3つの特級呪物を自身が身に纏う学ランのポケットに入れた。

 

『そうだ、キミが一緒に回収してきた、宿儺の指6本。あれも、私が預かっておこう。』

 

 羂索は手を出し、もう一つの戦利品を要求する。

 

『.................真人?』

 

 しかし真人は、一向に指を差し出す気配がない。

 

『......テヘッ。』

 

『いや、テヘじゃなくて。』

 

 その刹那、羂索は感じ取る。真人の中で膨れ上がる邪悪な呪力を。

 

『まさか、キミ..............』

 

『あ、バレちゃった?そうなんだよ〜。拒否反応が凄くて、抑え込むの時間かかっ

 

 突如、真人の身体中から血が噴き出す。

 

『あ、あああああああっ、あああああっっ!!!!』

 

 真人は苦しみながら、砂浜をのたうち回る。美しい砂浜が、紅い血で汚されていった。

 

『食べたね。6本全部..............宿儺の指を。確かに、それを取り込んだ呪霊は力を増す。』

 

 羂索はもがき苦しむ真人を冷ややかな目で見下ろしていた。

 

『でも、それはせいぜい2、3本までの話だ。それ以上の指はかえって毒。宿儺の強すぎる力に肉体の方が追いつかなくなる。』

 

 現に今の真人は、普段の人型を維持できなくなるほど、その存在が不安定になっていた。

 

『指を吐き出せ。このままだと、いくらキミでも死ぬよ。』

 

 羂索が真人に突きつけた、最後通告。

 

『はあ、はあ......ヤダ。この力は、俺がもらう。』

 

 それを断ると同時に。真人の身体から再び血が噴き出した。羂索は顔に飛び散ったそれを舐め取りながら、説得を続ける。

 

『無駄だよ。キミは宿儺の器じゃ......虎杖悠仁じゃ、ないんだ。その力は制御できない。』

 

 羂索は真人に手をかざす。

 

場合によっては、今この場で。

 

 

 

 

『焦んなよ....夏油..........!!!』

 

 真人は身体中から血を垂れ流しながらも、ゆっくりと立ち上がる。

 

『俺が、虎杖悠仁じゃない.....?あー、確かにね.....お陰で、良いこと思いついた......』

 

 真人は自分の顔を、術式を込めた両手で覆う。目指すは、あの時一度だけ触れたあの形。

 

 

『無為転変。』

 

 

 

 

 真人は自らの身体を、新たな形に作り替えていた。

 

 衣服も、色白の肌も、灰色の髪も、ツギハギだらけの身体も、そのまま。

 

 だが.....

 

 その顔は、肉体は.....

 

 彼がこの世で最も憎い人間のものへと変わっていた。

 

 

『これで、おんなじ。俺はお前だ、虎杖悠仁。』

 

 真人は宿儺の力を制御しうる、強靭な身体を手に入れる。

 

『夏油。祝福してくれ。俺は今、初めてこの世に生まれ堕ちたんだ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 都内のとある立ち食い蕎麦屋。

 

 そんな場所で、東京校と京都校の両学長は隣合う。対談、と言ったような格式ばったものではない。それは、ただの雑談。

 

『まだ、虎杖が嫌いですか?』

 

 運ばれて来たコロッケ蕎麦を口に運びながら、夜蛾は問いかける。

 

『好き嫌いの問題ではない。呪術規定が奴の存在を許しておらん。それだけよ。』

 

 好物の天ぷらを頬張りながら、楽巌寺は問いに答えた。

 

『個のために、集団の規則を歪めてはならんのだ。何より....』

 

 楽巌寺はそこで言葉を切り、熱いお茶を喉に流し込む。

 

『何より....虎杖が生きることで、その他大勢が死ぬやもしれん....お前も知っているだろう、両面宿儺がどれほど危険か。』

 

 楽巌寺は再び箸を手に取って、麺を啜る。

 

『その両面宿儺から、先日弟子入りを志願されました。』

 

『.........................夜蛾、お前なんと言った?』

 

 自分もついに耳が悪くなったかと、楽巌寺は覚悟する。両面宿儺が、夜蛾に弟子入り....?

 

 .....................はあ?

 

 彼は思わず、手に持っていた箸を取り落とす。

 

『両面宿儺め、何のつもりだ.....夜蛾よ、当然お前は断ったのだろう?』

 

『いえ、引き受けました。』

 

『???????』

 

 楽巌寺は決意する。

 

 この蕎麦屋を出た後、頭の病院へ行こうと。いや、夜蛾の奴も一緒に連れていくべきかもしれない...

 

『お前は....何を考えている........?』

 

 それは楽巌寺の心の底から出た、夜蛾への疑問。

 

『私も、宿儺を信用するつもりはありませんでした。しかし五条、家入、七海、伊地知から嘆願を受けまして。』

 

『そ奴らまで.......』

 

 呆気にとられる楽巌寺を余所に、夜蛾は蕎麦を啜りきると食器を下げて出口に向かう。

 

『私は、教え子達を信じることにします。』

 

 店を出た夜蛾は駅の雑踏の中で、自分の最新の教え子と初めて話した時のことを思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

『お前は、なぜここへ来た......?“その力"を手に入れた先で、何を望む...?』

 

「.......何を望む、か。俺はそもそも、この世界にいるべきじゃない存在だ。ここへ呼ばれた意味が何なのか、何ができるのか、何をしたいのか、ずっとずっと考えてた......」

 

『答えは見つかったか?』

 

「ああ。俺が望むもの、それはハッピーエンドだ。」

 

『.........ほお。』

 

「この『呪術廻戦』がどういう世界か、何となくだが分かってきた。ドン引きするくらい、人の命が軽い。メインキャラだろうと、容赦なく退場させられる...この世界は原作者から呪われていると言っていい.......」

 

『ん、何の話だ....?』

 

「ならば俺が、その呪いを解いてやる!!原作なんて知ったことか!!鬱展開の部分だけぶち壊して、この作品を王道バトル漫画にしてやるんだ!!」

 

『................』

 

「きっと、きっと!!!...それこそが、俺がここに呼ばれた意味でもあるはずだ.....」

 

『.....それが答えか。』

 

「ああ。これは多分俺にしかできないことなんだ。その役目からは逃げたくない。」

 

『.....この世界の呪いを解く、か。途方もない目標だな。』

 

「分かっている。だが、諦めるつもりはない。俺も、相棒と同じだ。生き様で後悔はしたくない....!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『急行、発進いたしまーす。駆け込み乗車はおやめくださーい。』

 

 楽巌寺と別れた夜蛾は、電車に揺られながら自らの呪術師人生を振り返る。

 

『生き様で後悔......か。』

 

 呪術師に悔いのない死などない、生徒達にはずっとそう教えてきたが。

 

 今を生きる彼もまた、後悔ばかりを積み重ねてきた。

 

 ああすればよかった。

 こうして欲しかった。

 ああいえばよかった。

 こう言って欲しかった。

 

 そう思ってばかりの十数年。

 

 彼の脳裏に、かつての教え子の姿が浮かぶ。

 

『お前が居たら、どうしてた?五条たちと同じように、宿儺のことを認めていたか?』

 

 今回の判断だって、その後悔を一つ増やすだけに終わるのかもしれない....だが。

 

『教師の一番の仕事は教え子を信じてやることだ。虎杖と宿儺が生きることで救われる命がある。俺は、そう信じることにする。だから、お前も見守っていてくれ.......傑.....。』

 

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