宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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日常シーンって、いいよね。

 

 

 ど、どうも!私、新・理子ちゃんです。一応。

 

 前回までのあらすじ。

 

 天内理子ちゃんに転生した私は、彼女の大切な時間を奪ってしまった。

 

 その罪は必ず償うつもりだ。理子ちゃんから託された黒井さんとこの命は必ず守ってみせる。

 

 そして、そして....?

 

 その先で一体、私は何をしたいんだろう....?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願いします!黒井さんに死んで欲しくないんです!なんとかしてください!CV子○武人の筋肉ゴリラが犯人です!銃でバーーンって撃たれます!ああ、私も撃たれます!エンディングが流れてる最中に!ちょうどサビに当たる部分!確か、歌詞は『頭flight』のところ!その場面で私もこの世からflight away !だからお願い助けてえええええ!」

 

 ひとまず。

 

 必死に絞り出した記憶を頼りに、若干しどろもどろかつ情緒不安定になりながらも、私は全力の土下座を敢行する。

 

 五条くんと夏油くんに届け!私のこの思い!!

 

『『は?』』

 

 あ、ダメそう。

 

「いや、待てよ.....」

 

 私は、重大な事実に気づく。

 

 この過去編で子安ゴリラに刺されて、五条くんは覚醒したんだ。下手にいじってソレがオジャンになれば、ゆくゆく大変なことになっちゃうのでは!?

 

 私は土下座を解除して立ち上がる。危ない危ない。危うく原作を滅茶苦茶にするところだった。

 

「あ、今の全部冗談だから。本気にしないでね。絶対だよ!あーさっきまでの私ー、ちょっと頭おかしかったみたいー!わーーーーー!あびゃびゃびゃびゃびゃーーーーー!!」

 

『なんだあいつ...シャブでもやってんの?』

『爆発で頭をうったんじゃないかい?』

 

 失言を失言で誤魔かすという高等テクのおかげで、何とか場を凌げた。その代償として、五条くんと夏油くんから狂人のレッテルを貼られかけてるけど、まあいい。我慢。

 

 とにかく、今の私の目標は....

 

①黒井さんを生かす!!

 

②私も子安ゴリラから生き延びる。

 

③五条くんには(一回)死んでもらう。

 

④夏油くんの闇落ち回避。

 

 ざっとこんな感じか。...やること多くない!?

 

「ねえ、どうしよ〜、黒井さん〜!!」

 

 私は半泣きで、唯一の頼れる相手である黒井さんに泣きつく。

 

『そうですね...天元様からの要請で、あの護衛の二人は理子様の希望を可能な限り叶えるよう、命じられているはずです。それをうまく使っては?』

 

「え、ホントに!?」

 

 それなら、いくらでもやりようがある!私はキッチンからナイフを取り出した。

 

『え、ちょ、理子様!?』

 

「五条くん!無下限の防御解いて!その隙に私が喉をブッ刺すから!いいね!?」

 

『何一つよくねえよ。お前、頭沸いてんのか?』

 

 ナイフを持って五条くんに突撃しようとする私は、黒井さんに羽交締めにされる。

 

「退いて黒井さん!五条くんを殺せない!!ねえ五条くん!強くなりたいでしょ!?必要なことなの!だから一回死んどこうよ、ね!?」

 

 

『...悟。キミ彼女に何かした?殺意が凄いよ。』

 

『心当たりねえから、怖ええんだよ...』

 

 

《五条と夏油、二人は完全に天内理子を危険人物として認識していた。》

 

 

 

 

 

 

 

 

 反省。

 いや、違うんだ。ついテンパって...

 

 やっぱり五条くんには、原作同様、瀕死になってもらわなきゃいけない気がする。そのためにも、子安ゴリラの事話さない方がいい?

 

 とりあえず、この課題は後回しかな。

 

 続いて夏油くんの闇落ち回避だ。

 

「夏油くん、何か悩みない?私が話聞くよ。」

 

『あったとしても、キミには話さないよ。』

 

「なっ!?」

 

 私の誘いを夏油くんは爽やかな笑顔で断る。

 

 夏油くんそういうとこだよ!やっぱきみ、一人で溜め込むタイプでしょ!!

 

『いや、話す相手を選んでるだけだよ。....ねえ、聞いてる?』

 

 夏油くんの闇落ちのきっかけは、やっぱあの“拍手"だろう。

 

 だがそれ以外にも沢山の要因があって、その積み重ねって感じだった。とりあえず今は、彼の心を解きほぐすところから始めなくては!

 

「夏油くん!星漿体命令!!悩みを言いなさい!!」

 

『強いて言うなら、悪質な星漿体に付き纏われて困ってるよ。』

 

「むぅ〜。夏油くん、私知らないよ!今のままだと貴方、うっさんくさいダッサイ袈裟に、袖を通すことになっちゃうんだからね!!」

 

『袈裟に何か問題でも...?』

 

「問題大ありです!あ、星漿体命令!!夏油くんは死ぬまで、その学ラン脱ぐの禁止!私的にはそっちの格好の方が好きだし!」

 

『いや、どんな罰ゲームだい?』

 

 あれ、そういえばこの後理子ちゃんは、

 学校!そう、学校へ行っていた!!

 

 学校かぁ〜、ずっと通ってみたかったんだよな〜。いや、でもこの状況だし。さすがにやめといた方がいいよね...

 

『あの、お二人にお願いがあります!!』

 

 え、黒井さん?五条くんと夏油くんに、頭下げてる?

 

『理子様の登校、認めていただけないでしょうか!!』

 

 もしかして、私の気持ちを察して...ダメだ、私のわがままでみんなに迷惑をかけてしまう!

 

「いいですよ、黒井さん!学校行ったら、2人の護衛が難しくなっちゃいますし...」

 

 確か原作でも学校で黒井さんが攫われたりしている。

 

「ホントいいですって、そうなったら護衛の2人じゃ(黒井さんの分まで)守りきれないだろうし...」

 

『...ん?理子ちゃん。今なんて言った?』

『俺たちじゃ守りきれないだって?』

 

 ん、五条くんと夏油くんが、なんか過剰に反応してる?あれ、私なんかやっちゃいました...?

 

 

 

 

 

 

 

「お、おはよう〜。」

 

『あ、おはよ〜!』

『理子〜、宿題やった〜?』

 

「う、うん...!」

 

 ここが、学校か。人がいっぱいいる...!

 

 結局私は五条くんと夏油くんに押し切られ、登校することとなった。少し不安だけど、ちょっとした秘策を考えたから安全面はバッチリだ。

 

『で、理子〜。後ろの3人誰〜?』

 

「ああ、私の親戚の子達でさー。」

 

『............美里です。』

『悟子です........』

『傑子です..........』

 

 私は後ろに控えた、セーラー服姿の3人を紹介する。これぞ私の考えた、最も合理的な警護方法!

 

 少なくとも、まだまだ元気な五条くんにあの子安ゴリラは手を出してこない。よって、彼の近くに全員集合していればみんな安全!!

 

 というわけだ。

 

 だが、生徒でもない3人がわらわらと私についてくるのは不自然!そのための変装だ!!

 

「似合ってるよ、五条ちゃん!」

 

『すり潰すぞ、クソガキィ。』

『悟。“蒼”は止めるんだ。少なくとも、帳を下ろしてからにしよう。』

 

 それにしてもこの2人、やっぱスタイルと顔と声がいいよな〜。女装姿もなんだかんだで様になっている。

 

「黒井さんも似合ってますよ!」

 

『.......はあ。』

 

 黒井さん、目が死んでる。いや、でも、ホントに似合ってますから!

 

 その後私たちは4人1組で、学校生活というものを満喫した。勉強とか、スポーツとか、歌とか。

 

 全部が全部新鮮で楽しかったな。登校を提案してくれた皆に感謝しなきゃ。

 

 何故だか、他のクラスメイトからは全く寄り付かれなかったけど。

 

 そうこうしている間に、夏油ちゃん、いや夏油くんが異変を感じ取る。何でも、警備用の呪霊が祓われたんだとか。

 

『よし。悟はこのまま理子ちゃんの警備を。私がアンノウンを対処する。』

 

 夏油くんは単独で、敵を迎え撃つつもりらしい。うーーんでも、一応

 

「いや、みんなで一緒に動こう!!」

 

『何故...!?』

 

 

 

 

 

 

 

『太助が一匹.....太助が二匹........うわぁ〜太助がいっぱいダァ〜。』

 

 その日、天内の学校に侵入した式神使いの呪詛師は、天内と黒井が見守る中、やたらとガタイのいい女学生に2人がかりでボコボコにされる。

 

『分かった!!お前らの側についてやる!!!だからやめろぉ!!』

 

 ついでに、やたらと強い術式を持った紙袋の呪詛師も、身長が180センチを超える女学生に2人がかりでボコボコにされた。

 

 

 

 

 

 

『護衛どもは、星漿体とその付き人に付きっきりか。しかしあの女装、何かの縛りか?まあいい。』

 

 黒井美里の誘拐を企て、気配を殺して潜んでいた伏黒甚爾。彼は困惑していた。

 

『ま、餌なんてのはいくらでもいる。釣れなかったら、そん時はそん時だ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よーし!

 

 これで、アニメに出てきた呪詛師は全員やっつけた。

 

 4人でずーーっと動いてたから、黒井さんも無事だ。あの子安ゴリラ、やっぱり五条くんが元気なうちは手出しできないっぽいぞ〜。

 

『理子ちゃん。キミに懸賞金がかけられたらしい。このまま学校にいるのは危険だ。』

 

 お、そこも原作通りだね。

 

 なんかワンピースみたいで、ちょっと嬉しかったりする..ゴホンゴホン。

 

 夏油くんのいう通りだな。すっごく楽しかったけど、学校生活はここまでか。

 

「ねえ、みんな。」

 

『今度はどんな無茶言い出す気だよ?』

 

 ちょっと、五条くん!?私への信頼無さすぎない!?

 

 私はただ、

 

「ありがとね。私をここに連れてきてくれて!すっごく楽しかった!!学校なんて私には縁のない場所だと思ってたからさー。」

 

 3人にお礼を言いたかった。

 

『お前、まともな会話できたんだな。』

 

「あん!?」

 

 あれ、着信音?私の携帯から...?

 んん、ガラケー!?どうやって動かすのこれ!?

 

「夏油くん、助けて!!!」

『助けてって、キミの携帯だろう?』

 

 そう言いながらも、ガラケーを操作してくれた夏油くんの顔が急に険しくなる。

 

『ちょっとマズイね.....』

 

 夏油くんは、私の携帯に送られてきた画像を、全員に共有する。

 

「これって...」

 

 私が教室に入った時に、声をかけてくれた同級生の女の子。彼女が誘拐されていた。

 

 何で?ここで狙われるのは黒井さんじゃ...

 もしかして、私が原作の流れを変えたから...

 

『理子様、大丈夫ですか?』

 

 ふらついて倒れかけた私の身体を、黒井さんが支えてくれた。

 

「ああ、ありがとう。」

 

 でも、これからどうしよう。原作と同じなら、殺されたりはしない、はず...だけど.....

 

『天内と人質のトレードか、天内を殺さないと人質を殺すとか、そんなとこだろうな。ま、取り引きの場さえ設けられたら、あとはどうにでもなる。』

 

 五条くんは、相手の分析を始める。

 

『何にせよ、天内は黒井さんと一緒に高専で待機だ。』

 

「待って!!それはダメなの!!」

 

 あの子安ゴリラは、高専内にも簡単に侵入してくる。マジで警備ガバガバだったからな〜、あそこ。

 

 五条くんと離れた時点で、私はゲームオーバーと思った方がいい。そうなれば、私だけじゃない。黒井さんにだって被害が及ぶ!

 

「私と黒井さんも連れてって!!!」

 

 かといって、理子ちゃんの同級生を見捨てるのは論外だ。となるとやっぱり、全員行動でいくしかない。

 

『あのなあ、ガキの遊びじゃねえんだぞ。』

 

「お願いします!!!」

 

 私は地面に頭を擦り付ける。その思いが、少しは伝わってくれたらしい。

 

『お前の土下座、安すぎない?』

 

「お願いします!私は誰も死んで欲しくない!!そのために必要なことなの!!!」

 

 私はそのまま、頭を下げ続けた。

 

『...足手まといになったら、置いてくからな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『めんそーれ!!ほら、天内も!!』

 

「え、えっと、めんそーれ......」

 

 原作通り、奪還作戦 in沖縄はあっさり成功した。幸い拐われた子に怪我はなく、高専が保護してくれることとなる。

 

 怪我がないのは良かった。でも、怖かっただろうな。私がいなきゃ、そんな思いもせずに済んだのに...

 

『何シケた面してんだよ。沖縄だぞ?普通もっとテンション上がんだろ。』

 

「........あ、だよね...ハハッ。」

 

 何だかんだ五条くんは優しい。もうすぐ天元様と同化する私を思ってのことだろう。救出作戦を終えた後、私をエメラルドビーチに連れてきてくれた。

 

 そうだ、せっかくの彼の気遣いを無下にするわけにはいかない。無理にでも楽しんでるように見せなくては。

 

「わーたのしーあはははははははははははははは」

 

『思ってねえだろ。』

 

 な、なんでバレたの!?

 

『理子ちゃん、ひょっとして気に病んでるのかい?お友達のことを。』

 

 まあ、夏油くんの指摘は図星だ。

 

 今回の誘拐で思い知った。私が背負った責任の重さを。

 

『理子ちゃんは悪くない。お友達を攫ったのは盤星教の奴らだ。どうもその辺、キミは勘違いをしてるんじゃないかな?』

 

「...................」

 

 ただ、それだけじゃない。

 

 本来ここにいるべきなのは、偽物の私じゃなくて理子ちゃんだ。だからどうしても引け目を感じてしまう。

 

 めんどくさいよなぁ〜、私。3人には本当に申し訳ない。

 

『理子様、少しいいでしょうか?」

 

「?」

 

 黒井さんに連れられて、私はパラソルの下に移動する。

 

 五条くん夏油くんは、遠くから見守ってくれていた。やっぱり、こうして寝転がっているのが落ち着くな。立っているのはどうも慣れない。

 

『すみません、貴方と二人で話がしたくて。知り合ってから今まで、ずっとバタバタしていましたから。』

 

 彼女は本当に優しい人だ。私のことを欠片も恨んでいない。大切な家族を私に奪われたようなものなのに。

 

『貴方は理子様から、奪ったんじゃありません。託されたんです。』

 

 彼女の綺麗な瞳が、私をまっすぐに見つめる。

 

『思い出してください。貴方が、何を託されたのかを。』

 

「................」

 

 私は、理子ちゃんの言葉を思い出す。

 

 

 

『黒井さえ助ければ、後は何でもいい。お前の好きなように生きろ。』

 

 

 

 その言葉を忘れていたわけじゃない。でも怖いんだ。それを言い訳にしてしまいそうで。

 

『貴方は、自分に厳しすぎます。』

 

「え?」

 

『もう少し自分に優しくなってもいいと思いますよ。』

 

「..........」

 

『もっと、自分の為のわがままを言ってください。やりたいことがあれば、私たちは可能な限り付き合います。』

 

 わがままか。

 

 向こうの世界でも、こっちの世界でも、人を不幸にし続けてきた私に、そんな資格は...

 

『理子様が、あなたが不幸になることを望んでいると思いますか?』

 

「それは...」

 

『理子様の思いに応えたいというのなら、貴方は理子様の分まで幸せになるべきです。あの子も、きっとそれを望んでいます。』

 

「...そっか。」

 

 ごめんね。理子ちゃん。私、勘違いしてたかも。

 

 勝手に自分を責めて、勝手に満足して。

 

「....ねえ、黒井さん。私たちも、ビーチの方行きませんか....?」

 

『はい、お供します。』

 

「っ、ありがとう!!おーい、五条くん、夏油くん!!」

 

 私はパラソルの影を出て、砂浜を駆けていく。ああ、沖縄の海ってこんなに綺麗だったんだ。

 

「ねえ、2人にちょっとお願いがあるんだけど!」

 

 自分のためのわがまま、か。

 

「あのねあのね、やりたいことがあって!」

 

『何だよ?』

『何でも言ってみてくれ。』

 

「まず、夏油くんの呪霊を貸して欲しいの!あの、あれ、空飛べる奴!あれにもう一回乗りたい!!あと、今日のお昼はソーキ蕎麦がいい!!その後は、美ら海水族館に行って、ああ、世界遺産の識名園も捨てがたいし、どっちも行きたい!あと、カヌーにも乗ってみたくて......いいかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『七海〜、五条さんから連絡!滞在1日半延ばすって。何かあったのかな?』

 

『ぐっ....!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何であの時、誘拐したガキ殺さなかった?俺言ったよな?適当に殺せって。』

 

『お前のプランなんとなく理解できたからな。ああした方が削りとしてはでかいと判断した。というか、攫うのはメイドだったはずだろ?』

 

 東京では、呪術師殺し・伏黒甚爾が仲介人・孔時雨と連絡を取りあっていた。

 

『急遽変えたんだよ。これは、ただの勘だがな。俺の行動が筒抜けになってる。』

 

 当初の誘拐計画はまるで狙い澄ましたかのように阻止されたが、ターゲットを変えた途端それはあっさりと成功した。

 

 そのことから、甚爾は一つの確信を得る。

 

『あの星漿体のガキ、術式で未来予知ができるってとこか?まあ、それを踏まえて行動を変えれば、予知しきれねえみたいだからな。何の問題もない。』

 

 甚爾の推理は当たらずとも遠からずだった。

 

『で、具体的にはどうするつもりだ?』

 

 孔時雨の問いに、甚爾は笑みを浮かべながら答える。

 

『決まってんだろ。“本来”の俺なら、絶対にやらないことをする。って事で、お前に一つ頼みたい。』

 

 

 

 運命は少しずつ狂い出す。

 

 

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