宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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懐玉 -壱-

 

 

 私、シン・理子ちゃん!

 沖縄楽しーーーー!!

 

「めんそーーーーーーーれ!!ひゃっほうー!!!!」

 

 

『うるせえなぁ、ガキが。』

『まあまあ、元気になってくれたみたいで、よかったじゃないか。』

 

 私は夏油くんから借りたマンタみたいな呪霊を使って、ジェットスキーを楽しんでいた。

 

「イエーーーーーーーーーイ!沖縄最高!!沖縄最高!!!ここに骨を埋めたいーーーー!!」

 

 綺麗な海、心地のいい潮風、眩しい太陽、ここ天国?

 

 今はただ、この沖縄の全てが心地いい....

 

『ったく、あんまはしゃぎすぎんなよ。』

 

「分かってる分かってる!あ、五条くんは術式解きなさい!あと寝なさい!星漿体命令ね!!そんなんじゃ、消耗してるとこをやられちゃうよ!!」

 

『なんで術式に気付いてんだよ、アイツ.....』

『まあ、彼女の言うことも一理ある。』

 

 夏油くんの提案で、護衛の二人は交代で仮眠を取ることになった。

 

『ったく、ガキの子守りは疲れるよ。』

 

 そう言いながらも五条くんは、私のわがままを聞いて、沖縄の滞在を1日半も伸ばしてくれた。おかげで東京に着く頃には、日没まで割とギリギリの時間になるらしい。

 

 やっぱ彼、優しいよな〜。

 

 ありがとう五条くん!

 

 

 

 

 

 

 

 カヌー!!

 

 庭園!!

 

 ソーキ蕎麦!!

 

 水族館!!

 

 迎えた沖縄最終日も、最高の1日だった。さて、そろそろ東京に帰る時間。

 

 向こうには、子安ゴリラが待ち構えていることだろう。五条くん、沖縄観光中に多少は回復してるとはいえ、何があるかは分からない。

 

 だから、

 

「黒井さんはしばらく沖縄に残ってください。一応、五条くんの後輩くん達が、護衛についてくれることになりました。」

 

『...はい。』

 

 子安ゴリラも、私から離れた黒井さんをわざわざ狙いはしないはずだ。

 

 彼女が人質にされるという可能性もなくはないので、東京から遠く離れたここ沖縄で、事が済むまで待機してもらう。

 

『どうか、お気をつけて』

 

「うん。私のやりたいことを、精一杯やってくる。行ってきます!!」

 

『はい、行ってらっしゃい....!!』

 

 私たちはハグを交わして、それぞれ別の方向に歩き出す。

 

『最後まで、着いてきてもらわなくていいのかい?』

 

「うん。黒井さんの安全が最優先だから。」

 

 私たちは東京行きの飛行機に乗り込む。もちろん離陸前に、眼の良い悟くんが乗客全員と機内外をチェックした上で、夏油くんのドラゴンに外を張ってもらう。

 

「ここまでやれば大丈夫だから!飛行機に乗ってるうちは、しっかり寝るんだよ!!五条くん!!」

 

『はいはい。』

 

「あ、寝る前にちょっとだけ。私に懸賞金を懸けたのって、伏黒何ちゃらっていう、呪力のないゴリラなのね。」

 

『ん?』

『え?』

 

 2人の目が点になっているが、私は構わず話を続ける。色々迷ったけど、やっぱり子安ゴリラのことは話しておくことにした。

 

「それで懸賞金も、五条くんを消耗&油断させるためのものなんだ。高専に着いた途端、キミは後ろから刀でグサッとやられるから気をつけて。」

 

『おい、ちょ、』

 

「あと相手は、キミの無下限を突破する変な小刀を持ってるから気をつけてね。」

 

『なんでそんなこと知ってんだよ.....』

 

 私は有無を言わせぬ口調で続ける。

 

「五条くんにはね。そのゴリラの不意打ちをしっかり凌いだ上で、(原作より)ちょっとでも長く時間を稼いでほしいの。」

 

 恐らくこれが最善手だ。

 

 なんならその過程で、五条くんが原作と同じように一回死んでくれるのがベスト。それで、彼もパワーアップできるはず。

 

 五条くんが普通にゴリラに勝った場合、パワーアップはなくなってしまうが、まあそれは仕方ない。彼には修行を頑張ってもらおう。

 

 ひとまずは、あのゴリラをなんとかするのが最優先だ。

 

「その間に、私と夏油くんはダッシュ!!なんか神殿っぽいところの大樹の根元、天元の張る特別な結界の内側に入る!!」

 

 確かアニメでは、招かれた“者”しか入ることはできないと言っていたっけ。ここはもうスピード勝負だが、それなりに勝算のある賭けだとは思っている。

 

『理子ちゃんは、それでいいのかい?』

 

「え?」

 

 夏油くんが私に問いかけてくる。

 

『引き返して、黒井さんと沖縄で暮らす。そういう選択肢もあるよって話さ。』

 

「.................」

 

『悟とも話したんだ。安心してくれ。理子ちゃんがどんな選択をしようと、君の未来は私たちが保証する。』

 

「夏油くん..........」

 

『俺たちは最強なんだ。たとえ天元が敵になっても、なんとかしてやるよ。』

 

「五条くん...」

 

 

 

 向こうの世界じゃ、生まれた時から普通じゃなくて、いつのまにかそれが普通になっていた。

 

優しさを感じるその度に、『ありがとう』より『ごめんなさい』が先に来た。そんな卑屈な自分が大嫌いで....

 

 きっと私は皆に“お返し”がしたかったんだと思う。

 

 だから、こっちの世界には感謝してる。私にそのチャンスをくれたから。

 

「私はね、こっちの世界も大好きなんだ。黒井さんがいて、五条くんがいて、夏油くんがいて、綺麗で、美味しくて、楽しくて。」

 

 沢山の物をくれたこの世界に、私は“お返し”がしたい。罪滅ぼしとか、そういうのじゃないんだ。

 

 美味しいものを食べたいとか、綺麗なものを見たいとか、それと同じような感じ。

 

 私が本当にやりたいって、そう思うからやるの。

 

「『With great power comes great responsibility.』これ、私の好きなヒーローの言葉ね。意味?『大いなる力には、大いなる責任が伴う』ってやつ。」

 

 私が入院していた病院では、毎年七夕のイベントがあった。小さい子供たちが、自分の夢を短冊に書き込むのだ。私は、『ひーろーになりたい』って、ずっとそう書いてたっけ。

 

「私さ、世界を救っちゃうような、そういうカッコいいヒーローにずっとなりたかったんだ。」

 

 いつからだろう。星に願うのをやめたのは。

 

 きっと気付いちゃったんだ。自分には何の力も責任もないって。

 

 だけど、

 

「今でも、その思いは変わらない。」

 

 私は天元と同化する。

 

「だから、2人も応援してくれる?私はね、大好きなこっちの世界を、もっともっと素敵な場所にしたいんだ。」

 

 それが、私の選択。

 

『...ったりめーじゃん。』

 

『どんな選択でもそれを保証する、そういう約束だしね。』

 

「ありがとう、2人とも!!.....じゃあ、私疲れたから、寝るね!」

 

『切り替え早えな...』

 

 溢れ出しそうな嬉し涙を隠すべく、私は狸寝入りを決め込む。肩が震えまくってるから、多分2人にはバレてるんだろうな...

 

 

 

 

 

「あ、そうだ!!2人の後輩くんに伝えといて!!産土神信仰、あれ一級案件だから!!」

 

『お前マジでなんなんだよ.....』

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちの乗る飛行機は、無事に東京に着いた。

 

 既に夕暮れ時。もうすぐで同化の時間だ。呪術っていうのはそういうルールがしっかりしてるから、日没と同時に同化が始まるとみていいと思う。

 

 私、五条くん、夏油くんの3人は、高専の筵山麓に通じる階段を一段一段登っていく。

 

 大丈夫、出来ることはやってきた。私は何としても生き延びて、天元と同化するんだ。

 

『みんなお疲れ様。高専の結界内だ。』

 

「ふぅ〜、これで一安心だね。」

 

 私の口から出るのは、事前に打ち合わせた通りのセリフ。

 

『悟。本当にお疲れ。』

 

『はぁ〜、二度とごめんだ。ガキのお守りは。』

 

 来る!はい来た!!!

 

 不意打ちを仕掛けたゴリラの刃は、五条くんが再び発動した無限に阻まれ止まる。

 

『やっぱ、バレてたか。何で分かった?』

 

 うわっ、いい声!でも中身がクズだから大幅減点!!!

 

『噛みちぎれ!!!』

 

 夏油くんの出した芋虫が、子安ゴリラを飲み込んだ。よし、今のうちに!!

 

「夏油くん!!行こう!!」

『ああ、油断するなよ。悟!!!』

 

 同化が始まる日没まで、あと17分。

 

『誰に言ってんだよ!!』

 

 走り出した私の耳に、夏油くんの芋虫が弾ける音が届く。五条くん、大丈夫だろうか...

 

 最初の不意打ちは防いだし、子安ゴリラの武器は一通り教えてある。

 

 原作よりは確実に時間を稼げる筈だ。さらに、私と夏油くんも原作以上のスピードで薨星宮へ移動できている。

 

 これなら...!!

 

『理子ちゃん!!あの大樹の根本だ!!!』

 

 よし、見えてきた!!あと一息!もう少し!!

 

「夏油くん、今までありがとう!!」

 

『元気でね。理子ちゃん。』

 

 私の身体は天元の結界を通り抜けた。ああ、おわったのか。終わってみるとあっさりだったな。

 

 結界の中には、沖縄の蒼い海が広がっている。これって、ああ、私の心の中がある程度反映されるのかもしれない。

 

 天元はまだ現れない。

 

 同化は今日の日没後。あと12分といった感じだ。その時にならないと、天元は私に接触できないのかもしれない。

 

 同化って痛いんだろうか?

 

 まあ、そんなことを考えても仕方ない。

 

 あれ、なんだろう。頭がムズムズして.....

 

 

タン

 

 

 私の頭を小さな鉛の球が通り抜ける。それと同時に視界がぼやけて身体の感覚が消えていく。

 

 ああ、あの時と同じだ。

 

 わたし、死ん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はい、お疲れ。』

 

 仕事を終えた伏黒甚爾は天内理子を呪霊に収納すると、招かれざる“者"を拒むという天元の結界から悠々と出てくる。

 

『.....なぜお前は、その結界を通り抜けられる.....」

 

 甚爾のそばには、彼がついさっき戦闘不能にした、夏油傑が倒れていた。

 

『俺は呪力のない、透明人間でな。結界からは“者”じゃなく“物”だと認識される。閉じ込められることも、阻まれることも、ねえんだよ。』

 

 天内理子に転生した少女はアニメ勢であるがために、そのことを知らなかった。

 

『安心しろ。星漿体は綺麗に殺してやった。その方が高く売れるんでな。』

 

『この....ああっっ!!』

 

 必死に呪力を練ろうとする夏油の顔を、甚爾は蹴り飛ばす。

 

『呪霊操術使うんだろ。お前の死後、取り込んでた呪霊がどうなるか分からん。だから殺さないでやる。親に恵まれたな。あ、恵って......』

 

 甚爾は、そのまま出口を目指す。

 

『待て.....悟は....どうした....?』

 

『ん?あー、そういうことね。五条悟は俺が殺した、って言いたいとこだが、あいにくそれはこれからだ。』

 

『なに....?』

 

 星漿体・天内理子に未来予知の術式があると踏んでいた甚爾は、その対策として。”本来“の彼ならば、絶対にやらないことを実行していた。

 

『そっちはどうだ?五条悟はやれたか?』

 

 甚爾は耳に仕込んだ通信機から、仲介人・孔時雨に頼んで手配してもらった今回限りの“相棒”と、連絡を取る。

 

『フザケルナ!!キチョウな黒縄をツカワセやがって!!ワリにアワナイぞ、こんなシゴト!!!』

 

 通信機から返ってきたのは、○ビー・オ○ゴンみたいな喋り方で、甚爾を非難する声だった。

 

『あー分かった、分かった。今回の取り分は5:5でいい。今から行くから待ってろ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

『クッソ、こいつ面倒だな.......』

 

 五条悟は、突如現れた黒人の術師・ミゲルに苦戦を強いられていた。

 

 厄介なのは彼の手にある呪具・黒縄。

 

 それは無下限の防御すらも貫通して、五条にダメージを与えてくるばかりか、その呪力操作すらも乱してくる。

 

『やりづれえな...早くこいつを片付けて、傑のサポートに行きてえのに....』

 

『考えゴトトハ余裕ダナ、六眼。』

 

 ミゲルはその黒縄で周辺の大木を引っこ抜くと、五条に向かって投げつける。

 

『術式順転...っ!!』

 

 蒼を使おうとした五条だが、背後に回り込んでいたミゲルの黒縄に呪力操作を乱される。術式の発動が一瞬遅れた五条に、巨大な質量が降り注ぐ。

 

 その直後、五条の反撃によって大木は弾け飛ぶのだった。

 

『調子に乗んなよ、助っ人外国人。』

 

『ハァ....コレデ勝てレバ苦労しないカ....』

 

 術式を利用した高速移動で、五条は一気に距離を詰める。彼が放ったのは、呪力で強化した拳に“蒼”の吸い込む反応を乗せたクリティカルの一撃。

 

 高専の建物を数軒破壊しながら、ミゲルは吹き飛んだ。

 

『ハァ、ハァ、今ノハ、ヤバカッタ......』

 

 だがミゲルはその一撃を耐えて、何事もなかったかのように立ち上がる。

 

『チッ、どうなってんだよおまえの体......』

 

 そのタフさに戦慄する五条の前に、大量の蝿頭が現れた。

 

『なんだこいつらは、新手....?』

 

 無限の防御で蝿頭を警戒しつつ、ミゲルに意識を割いた五条。その背後には、透明人間が回り込んでいる。

 

『術式頼りの守り。分かってても、癖は抜けねえもんな。』

 

 甚爾の持つ特級呪具・天逆鉾。その効果は、あらゆる術式の強制解除。その刃は無限を越えて、五条の体に突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『デ、星漿体ハ?』

 

『ああ、五体フルセットで回収済みだ。コイツは盤星教に高く売れる。2人で分けても十分なぐらいにはな。』

 

『マッタク、時雨メ。トンデモナイ案件回してキヤガッテ。オマエと組むノハ二度とゴメンダ。』

 

『おいおい、ひどい言い草だな。六眼のガキから守ってやったろ?』

 

 一仕事終えた甚爾は今回のMVPを揶揄うと、刺し傷だらけで倒れている五条を見下ろした。

 

『さ、ずらかるか。』

 

 原作での五条曰く。甚爾の敗因は、五条を首チョンパしなかったことと、頭を刺すのに天逆鉾を使わなかったこと。

 

『オイ、待テ。』

 

 しかしこの世界ではミゲルがいた。彼は甚爾を呼び止める。

 

『六眼のガキにトドメを刺してオケ。ソノ呪具で頭をイチゲキだ。それで事足リル。』

 

 五条にとって不運なことに、ミゲルはどこまでも仕事ができる男だった。

 

『それもそうだな。』

 

 甚爾はミゲルの忠告通り、五条の頭めがけて天逆鉾を振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『起きろ満子!ようやく見つけたのじゃろう?自分のやりたいことを!!こんなところで死んでどうする!!』

 

 

 声が聞こえた。

 

 優しくて

 

 強くて

 

 暖かい

 

 そんな声。

 

 

 

 .......そうだ、まだ死ねない!

 

 私にはまだ、やり残したことがある!

 

 夏油くんも五条くんも、必ずこの手で守るんだ!!

 

 

 With great power comes great responsibility.

 

 

 この世界に生まれ変わって、理子ちゃんからこの身体を託された私には、その責任がある

 

 今こそなるんだ、ずっとずっと憧れ続けてきた....

 

 

 

 

 

 

「ヒーローに!!」

 

 

 

 

 

 

 

『なっ!?』

『ドウナッテル!?』

 

 五条にトドメを刺そうとしていた甚爾。その肩に乗っていた呪霊が突如弾け飛ぶ。

 

  収納されていた呪具と共に、頭を撃ち抜かれたはずの星漿体・天内理子が飛び出した。彼女から伸びる呪力の糸は、甚爾の持っていた天逆鉾を絡めとる。

 

「五条くんから、離れろっっ!!!」

 

 本能的に危険を感じ、武器を手放し距離を取った甚爾に対して、ミゲルはやや反応が遅れる。

 

「いやおまえはっ、誰だよっ!?」

 

 映画を見てはいなかった少女は、ツッコミと共に渾身のパンチを繰り出す。その一撃はミゲルに炸裂すると同時に、黒い火花を散らした。

 

『オマエこそ、ナニモノだ....』

 

 大きく吹っ飛ばされ、高専の敷地外に吹っ飛ばされたミゲル。まだまだ余裕で動ける彼であったが...

 

『ココカラ先は、赤字ダナ。』

 

 黒縄の残量を確認して、“割に合わない”。そう判断した彼は、この案件から手を引くことを即決するのだった。

 

 

 

 

 

 

「久しぶり。」

 

『マジか......』

 

 甚爾は気付く。銃弾が貫通したはずの天内の額、その傷が塞がっていることに。

 

『反転術式.......』

 

「正解。」

 

『それに、なんださっきのパワーは?お前の術式は未来予知じゃねえのか?』

 

 甚爾の推理は、当たらずとも遠からずだった。天内理子には星漿体であることを除いて、呪術的素養が殆どない。

 

 しかし、彼女に転生した菅原満子の魂は術式を内包していた。それは呪術廻戦の世界に転生したことによる、特典のようなもの。

 

 満子の魂は本人すらも気付かぬうちに、天内理子の身体に術式を刻んでいた。

 

 一度目は彼女の部屋が爆破される時。二度目は彼女が頭を撃たれる時。

 

 その術式は頭がムズムズするという形で、彼女に危険を伝えていた。だが、第六感ともいえるようなそれは、彼女の術式効果のうちのたった1つでしかない。

 

 死の淵で呪力の核心に触れて反転術式にも目覚めた彼女は、自らの術式を完全に理解していた。

 

 

 

降霊術・土蜘蛛

 

 

 

 彼女がその身に宿すのは、日本に古来から伝わる大蜘蛛の妖。さらに彼女は前世の知識によって、その術式解釈を拡張させていた。

 

 術式で、彼女が得た能力は以下の通り。

 

①粘着性のある呪力で形成された糸を高速で射出する能力。

 

②超人的なパワーとスピード、反射神経。

 

③自らに迫った危険を察知する超感覚。

 

 要するに。

 

 今の彼女は、遺伝子に支障をきたした蜘蛛に噛まれたとあるスーパーヒーローと、同じ力を得ていた。

 

「五条くんも、夏油くんも、私が守る...!」

 

『仕事を増やすなよ。星漿体。』

 

 

 完全に呪力のない男と、別の次元から迷い込んだ魂を持つ少女。この世界のイレギュラー同士は、今ここに激突する。

 

 

 

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