宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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同胞

 

 

 “同化”と“受肉”。

 

 魂による魂の上書きという点で、この2つは共通している。

 

 天元との同化が間近に迫っていた星漿体・天内理子にも、魂の余白ができていた。“境界”を越えてきた別の魂が入り込めるだけの、余白が。

 

 その後、転生者・菅原満子が“境界”に穴を開けたことで、さらに多くの魂が呪術廻戦の世界に迷い込むこととなる。

 

 

 

 

 

 

 アイアム、すっくん!!

 

 悠仁はまだ気絶してて動けないので、俺1人でお送りします!

 

 もう1人の転生者発見伝!!と思ったら、すぐにどっか行っちまった!

 

 かと思えば、

 

『悠仁!!起きろ!!俺たちはお前の、お兄ちゃんなんだぞ!!』

 

「ちょっと待てお前ら!!嘘つけええええええ!!そんな訳ないだろうがぁぁ!!!」

 

 何なんだよこの状況!!

 

 敵だったはずのツインテールが、いきなり悠仁の兄を名乗る不審者と化した!!

 

 いや何で!?

 展開に脈絡なさすぎんだろーが!!

 

「そもそもぉ、うちの悠仁は一人っ子なんだよ!!お前らみたいな個性的な兄弟はいない!!」

 

 そう、そうなんだ。悠仁が一人っ子であるということは33話で確認済み。つまり....

 

「発言を撤回しろ!!この大嘘吐きツインテールめ!!」

 

『うるさい!!俺は悠仁のお兄ちゃんだぞ!!悠仁、起きろ!信じてくれ、本当だ!』

 

 こ、こいつ。どれだけ面の皮が厚いんだ!!

 

 とんでもない奴だな!!虚言癖か?

 

『というか貴様、両面宿儺だな?俺の弟に受肉しているだと!?ふざけるな!!』

 

 はあああ!?何兄貴ヅラしてんだコイツ!!

 

『一体何を企んでいる!?悠仁からすぐに出て行け!!』

 

「ふざけてるのは貴様だ!!俺は悠仁と一心同体の相棒だ!!離れ離れになるなんて、あり得ない!!」

 

『相棒だとぉ〜!?悠仁!お前は宿儺に騙されてるんだ!!目を覚ましてくれ!!』

 

 なんなんだこのブラコンモンスター!全然引き下がらねえぞ!!

 

 お前が悠仁の兄弟なんて、俺は絶対認めないからな!!

 

「いい加減にしろ、ツインテール!!俺たちに兄弟がいるとしたら、それは京都校のジャイアンだけだ!!お前じゃねえ!!」

 

『知らん!!誰だそいつは!!』

 

「本名、東堂葵!!俺たちとは同中のブラザーだ!!」

 

『知らん!!誰だそいつは!!』

 

 ジャイアンのことを知らないなんて、間違いなくこいつはクロだ。

 

 それだけじゃない!俺たち三兄弟の絆を、アイツは侮辱したんだ!許せねえ!!

 

「それに、おいお前ら!!」

 

 俺はその辺で呆然としていた、ウソップとTバックを怒鳴りつける。

 

「お前らはどうだ?普通に悠仁を襲ってきたし、今更悠仁が弟だとは言わないよな!?」

 

 流石にこいつらは、反論できまい!!

 

『確かに、その少年が弟だとは初耳です。』

『俺もぉ。』

 

 ほれみそづけぇ!!!

 

『ですが兄さんが言うなら、間違いありません。私は今日から、彼を弟と呼びましょう。』

『俺もぉ。』

 

 クッソ!どいつもこいつも!!

 

 悠仁は何なの?変な奴を引き寄せるフェロモンでも出てんの?

 

 クッソ〜、悠仁が気絶してるから、確認のしようがない!

 

「って、ていうか、全然似てないじゃん!お前ら。」

 

 俺は自称悠仁の兄弟たちを見遣る。とてもじゃないが、血がつながっているとは思えない。

 

『実は俺も、そのことが気になっていてな。悠仁は俺たちのような呪胎九相図とは少し違うらしい。』

 

 じゅた、あん?何だそれ。

 

 呪術素人の呪いの王たる俺が理解できるように、分かりやすく説明しやがれ!

 

 あまり難しい言葉を使うなよ、俺が困るぞ。

 

『まあ細かいことは気にするな、悠仁。今日からよろしく頼む。』

『よろしく頼むよ。』

『頼むぅ!』

 

「ちょっと待てぇぇぇ!!!!」

 

 いやまあ、確かにこいつらは、追加戦士にしようとしてたけど...え、原作者さん、この展開で合ってます!?

 

 ど、どうしよう。

 こ、こういう時は、報連相だ!!

 

 恵くんと野薔薇ちゃんに相談を、って2人は戦闘中じゃん!早く助けにいかないと!!

 

「と、とりあえず、お前らはそこを動くなよ!!起きろ悠仁!」

 

『..........はっ、おう!!』

 

 ようやく意識を取り戻した悠仁は、自分を取り囲む自称三兄弟たちに気付く。

 

『いやどういう!!??』

 

 いやまあ、気持ちはわかるよ。だがまあ、

 

「悠仁、こいつらのことは一旦保留だ。ひとまず、恵くんと野薔薇ちゃんを助けに行くぞ!!」

 

『悠仁、行くんだな。俺たちもついていくぞ!!』

『私も。』

『俺もぉ!!!」

 

「うるせえ!!お前らはついてくんな!!話がややこしくなるだろうがぁ!!」

 

『なあ、すっくん.....これは一体.....』

 

「俺も知らん!!!!!!」

 

 クッソ、どうしてこんなことに!?

 

 俺、ボケ属性のはずなのに!何でツッコミやらされてんだよ!!

 

『おい宿儺!!うちの弟を怒鳴るとは、どういうつもりだ!?』

 

『え、弟...?俺が...?』

 

「一応聞いとくぞ、悠仁。こいつら、お前の兄弟か?」

 

『え、違うけど。』

 

「やっぱ嘘じゃねえか!ツインテールめ!!」

 

『違う!話を聞いてくれ!!悠仁!!』

 

「耳を貸すな!!騙されちゃダメだぞ悠仁!!」

 

『???????????』

 

 あ、あまりの情報量に、悠仁が気絶しかけてる!!

 

『落ち着いてください。我々は、少なからず役に立てるはずです。』

 

 ん、どういうことだよTバック。

 

『俺、悠仁に最初に蹴られた時ぃ〜、宿儺の指に血ぃ付けといたぁ!だから場所、分かる!』

 

 はぇ〜、あん時ウソップはそんなことを。

 

「でも俺、普通に指の場所分かるぞ。だって、自分の一部だし。」

 

『『.......................』』

 

 あ、なんかゴメンて。

 

 俺が2人に謝りかけた直後、恵くんの鵺が飛び出してきた。およ?いつの間にか、結界が解除されている。

 

「ってか、ええ!?何事!?」

 

 鵺に乗っているのは、気絶した野薔薇ちゃんを抱えた恵くん。なんか2人ともボロボロじゃない!?

 

「恵くん、一体なにがどうなってる!?」

 

『......いやすっくん。こっちのセリフなんだが...』

 

 恵くんの視線の先には、すっかり味方ヅラをした三兄弟。

 

「あー後ろの奴らね。えーーーと、こいつらは....」

 

『俺は悠仁のお兄ちゃんだ。』

『私は悠仁の兄さんです。』

『俺は、悠仁の兄者だぁ!!』

 

 やめろお前ら、勝手に名乗るなぁ!恵くんが混乱するだろ!!

 

『こいつらを.....洗脳したのか?流石だな。すっくん。』

 

「違う!!!!違うんだ、恵くん。ま、まあ、とりあえずは味方っぽい!!」

 

 洗脳の方が、むしろ分かりやすくて良かった。

 

 何が原因なのこれ。俺の術式、洗脳だったりする?嫌なんだけど。

 

 ってかそれはないか。だって俺の術式は、

 

「そ、それより!野薔薇ちゃんを回復する!!」

 

 幸い野薔薇ちゃんの傷は、そこまで酷くなかった。安静にしておけば、そのうち目を覚ますだろう。

 

「で、何があったんだ?俺の指を取り込んだ呪霊か?」

 

 可能性として考えられるのは、今回の事件の元凶である呪霊が、めちゃくちゃ強いっていうやつだ。少年院で出てきた虫みたいな呪霊が修行を重ねて、ゴールデン特級呪霊に覚醒してるとか、なんかそういう感じのやつ。

 

『いや、指を取り込んでた呪霊自体は雑魚だった。問題は、その後に現れた、“別の特級呪霊“。すまない。そいつに指を奪われた...』

 

 別の特級呪霊?

 

 それも、恵くんと野薔薇ちゃんをここまで追い込むほどの強さ。

 

 まさか、

 

「恵くん、その特級呪霊って、顔にツギハギがあったりしたか?」

 

 真人。来てるのか!?ここに!!

 

『いや、違う』

 

いや、違った。

 

『俺たちが遭遇したのは、あの...

 

 

 

 

 

 

『領域展開・蕩蘊平線』

 

 

 

 あれ、ここは南国ビーチ?

 なんか俺だけ、違う場所に来てんぞ。

 

 んん、え、どういうこと?唐突に水着回?

 

 いや、違う!ここは領域の中!!

 

 この領域を展開したのは、その真ん中にいるタコみたいなアイツか!!

 

『よくも漏瑚を、花御を、殺したなぁぁぁぁぁ!!!虎杖悠仁ぃぃぃぃ!!!!』

 

確か、アイツは...

 

 

 

 

「えーーっと、どちら様でしょうか?」

 

『殺す!!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 自然呪霊の最後の生き残り、陀艮。

 

 夏油傑から宿儺の指の在処を聞いていた彼は、八十八橋付近でずっと待ち構えていた。

 

 その目的はただ一つ。漏瑚に花御。兄弟ともいえるような、自身の大切な同胞を奪った、虎杖悠仁への復讐。

 

 それさえ叶えば、夏油の計画なんぞはどうでもいい。彼は自分の欲望のままに、どこまでも呪いらしく生きる道を選んだ。

 

 

 

 

 

 

『殺してやる!!殺してやるぞ虎杖悠仁!!よくも漏瑚を!花御を!』

 

 悠仁は見知らぬタコ呪霊に、因縁をつけられていた。

 

「じょうご?はなみ?覚えていないな、そんな奴ら。」

 

『...........殺してやる!!殺してやるぞ!!虎杖悠仁と両面宿儺!!』

 

 あ、やべ。俺まで地雷踏んじゃった。

 

 いやさ、俺と悠仁、なんだかんだでいっぱい呪霊を祓ってきたからな〜。流石に全部覚えてないっていうか....

 

 もちろん、強敵だったのは覚えてるぞ。

 

 ラスボスのマコマコ変態野郎に、

 赤犬バギーに、フシギバナ。

 

 こいつらは、マジで天晴れだった。きっと生涯、忘れることはないだろう。

 

 マコマコ野郎に至っては、まだ倒せてないしな。

 

 そんでこのタコも、相当強そうだ。領域展開使える時点で、上澄み確定らしいからな〜。(伊地知師匠が教えてくれた。)

 

『殺す殺す殺す殺す!!!』

 

 タコは、その領域をさらに拡大して...

 

 あ、まずい!!

 

 恵くんに気を失った野薔薇ちゃんまで、このビーチに引き込みやがった!!

 

 確か領域には必中効果があったはず!(伊地知師匠ゼミ参照)俺だけならともかく、2人を守りきるのはきついぞ!!

 

『思い知れ。同胞の仇よ!!』

 

 

 

 

『領域展開・嵌合暗翳庭』

 

 

 

 これは、恵くんの領域!ナイス!!

 

 これ多分、タコの領域の必中効果、消えてるな!!

 

『虎杖!領域を押し合っている間、俺は動けない!その間.....』

 

『任せろ!!伏黒は俺が守る!!』

 

 むふふ、いいねぇ〜。悠仁と恵くん!2人のこの信頼感、たまんねえ!!

 

『すっくんも、頼んだぞ。』

 

「おう!!任せておけ!!!」

 

 さあ、まだ油断はできない。あのタコ呪霊の通常攻撃は、領域によって強化されている。

 

『多少は腕の立つ仲間がいるらしいな。だが、それがどうした!!』

 

 タコ呪霊は、気色悪いデザインのカラフルな魚を大量に召喚してくる。

 

『虎杖悠仁、貴様の強さは知っている。なればこちらは呪いらしく、いかせてもらうぞ!!』

 

 うわぁ、世界一悪趣味なお魚天国。ってあの魚、俺と悠仁を狙ってない!?

 

 動けない恵くんと、気絶してる野薔薇ちゃんを5:5で狙うよう、調整されてる!!

 

『貴様には、思い知ってもらう。奪われる痛みをな!!』

 

 こいつ、ふざけやがって!!

 

『すっくん!!ここは......』

「ああ、全力で守る!!」

 

 宿儺呪力モード、解禁!!

 

 四方八方から襲いくるキショ魚どもを悠仁と俺は超スピードで蹴散らしていく。だがどれだけ倒しても、魚どもは無限に湧いてきた。

 

 これ、お魚の数量制限ない感じか.......!?

 

「チッ、キリがない...!」

 

 恵くんと野薔薇ちゃんをスルーすれば、あのタコを祓えないこともない。だが、そんなのダメ、絶対。

 

『フン、愚かだな。』

 

「うっせえタコ!!」

 

 でも、ちょいヤベエな。宿儺呪力モードには制限時間がある。このままじゃ、押し負けるのは俺達の方だ!

 

 モードが解除された後に、あの量の魚に襲われたら...『シャンクス、腕が!!』だけじゃ済まなそうだな。

 

 いったいどうしたもんか。

 

『悠仁ぃぃぃぃぃ!!!大丈夫か!!??お兄ちゃんが助けにきたぞ!!』

 

 アイエエエ!?ツインテール!?ツインテールナンデ!?

 

 まさかこいつ、領域に自分から入ってきやがったのか!?

 

『悠仁!今はあの呪霊を祓うことに専念しろ!!このままではお前が死んでしまう!!』

 

 こいつ、本気で悠仁のことを想ってるんだな。もしかして、ホントのホントに、実の兄弟なのか!?

 

 だが、悪いな。俺も悠仁も、

 

「『仲間を見捨てるつもりはない!」』

 

 

『............そうか。それが、お前の選んだ道か....悠仁。』

 

 

 

《“10人”兄弟の長男、脹相は決断する。自分の新しい弟が選んだ険しい道を、共に行くと。》

 

 

 

 

 

『超新星!!』

 

 ツインテールは血の散弾を発射し、魚どもを対処していく。

 

『貴様っ、九相図の1人だな!我々を裏切る気か!?』

 

『うるさい、俺は全力でお兄ちゃんを遂行するだけだ!!』

 

抗議するタコに、えらい剣幕で怒鳴り返すツインテール。アイツら、元々仲間だったのか。まあ、完全に裏切ってるっぽいけどな。

 

まあ、今はそんなことより!

 

「頼むツインテール、そのまま恵くんと野薔薇ちゃんを守っててくんないか?」

 

『ふざけるな!!お前の指図は受けん!!』

 

『俺からも頼む!!』

 

『お兄ちゃんに任せろ、悠仁!!』

 

なんだこいつ...

マジで悠仁の言うことしか聞かないな。

 

まあいいや、ここはツインテールに任せて、俺たちはタコに専念する!!

 

 

『来たな....虎杖悠仁!!!』

 

タコの奴が、めちゃめちゃでっかいフナムシみたいなのを召喚する。

 

「悠仁、直進すっぞ!」

『りょーかい!!』

 

俺たちはフナムシの口の中を貫通して、タコ呪霊の前に躍り出る。

 

『はや、すぎる.....!!』

 

「『黒庭拳!!!!!』」

 

俺と悠仁の必殺技が、タコの顔面に炸裂する。

 

『ぬああっっ!!』

 

タコ呪霊は海を裂きながら、水平線の彼方に吹き飛んでいく。

 

殴った時に分かったが、あのタコ呪霊はHPが果てしない感じだった。黒庭拳一発でその9割を削れたとはいえ、まだまだ油断はできない。

 

なんせそれだけのダメージを負ってもなお、奴は領域を解除していない。絶対に俺たちを仕留めるという執念のなせるわざだろう。

 

「悠仁!!畳み掛けるぞ!!」

『おう!!』

 

んん、ちょっと待て!!

 

この領域、水嵩がどんどん高くなって....!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海の特級呪霊・陀艮。

 

彼は領域に関して、真人を越える天才だといっていい。なんせ呪胎の段階で自身の生得領域を実体化させることができ、受胎後は数分の戦闘の後、すぐに必中必殺の領域を獲得している。

 

『漏瑚...花御....力を、貸してくれ!!!』

 

そんな彼は伏黒から奪っていた宿儺の指一本を飲み込むことで、自身の領域をさらに成長させる。

 

蕩蘊平線 深潭

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブクブクあぶぶぶぶ......」

(あのタコ野郎、領域全体を水没させやがった!)

 

悠仁の顔に生やした目と口から、海水が入ってきて気持ち悪い!っていうかこれ、それどころじゃないな。このままだと全員窒息死だ。

 

「ブクブクあぼぼぼぼぼ、ブクブクブクブク.....!!」

(みんなは....恵くんは流石だ。こんな状況でも領域の押し合いを頑張ってくれている。野薔薇ちゃんは気絶してて、あ、ツインテールも溺れてやがる!この2人が特に危険だ!)

 

奴が攻撃してこないのは、その余裕が無いからだろう。恐らくこの新しい領域は、まだ安定していないんだ。ただでさえ、恵くんの領域と綱引きしてるわけだしな。

 

逆に言うと、奴の領域が安定して、攻撃に移られた瞬間、俺たちの全滅は確定だ。

 

「それまでになんとか祓う!!」

 

急いでタコを祓いたいが、水中だと宿儺呪力モードのスピードを全く活かせない。

 

「悠仁!!全力でクロールだ!!」

『ええ!?まあ、おう!!』

 

なんかシュールな画になっちゃうが、しょうがない!!俺たちは、全力で泳いでタコに近づこうとする。

 

悠仁に遠距離技がないのが災いした...!俺が顕現できてれば、斬撃飛ばせたのに...!

 

マズイ、制限時間が...

 

あ、宿儺呪力モード、中止!!中止です!!ドクターストップを入れます!

 

悠仁の身体から、オーラが消える。

 

『すっくん、やべえかも....』

 

悠仁の言う通りだな....

 

気付けば俺達の周りを100体近くの海王類クラスが包囲している。タコの領域は既に安定しきっていた。これだけの数....必中効果がナッシングでも、到底避けきれないだろう。

 

『あの世で、漏瑚と花御に詫びろ!!虎杖悠仁いいい!!』

 

一斉に、海王類どもが迫ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「藻荒那(モアナ)」

 

すっくん達が窮地に立たされる中、気絶した脹相に代わって身体の支配権を手に入れた何者かは、再び自身の術式を行使する。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ、海王類どもが襲ってこない...

 

んん!?なんじゃこりゃああ!!

 

領域内に突如発生した大量の渦潮が、海王類達一体一体を包んでいく。領域の持ち主であるタコすらも、それに飲まれてまともに動けないっぽい。俺たちの方はなんともないのに。

 

まるで、“海が味方をしてくれてる”みたいだ。

 

『何をした!?虎杖悠仁!?』

 

『知るか!!』

「それな。」

 

俺は、異質な気配を感じ取った方を見遣る。あれは、ツインテール....いや、その中にいるもう1人の仕業か。

 

先ほどの氷、今回の渦潮、マジでどういう術式なんだ...?術式は一つだけって話だろ?まさか、転生者特典か!?

 

ズルい!!!!!!!

すっくんはまだ、自分の術式使いこなせてないのに!!

 

あれ、ツインテールのガワがぐったりしてないか?大丈夫かな?

 

『おのれええええええ!!』

 

あ、タコの領域が解除された。俺と悠仁、ツインテール、恵くん、野薔薇ちゃんは、再び真っ暗な八十八橋の下に戻ってくる。

 

『貴様は何なんだ...九相図ぅぅぅぅ!!!』

 

タコ野郎が、その蛸足を転生者の方へ伸ばす。今は領域直後、あのタコの術式は焼き切れているはず(by伊地知師匠)だから、あれはアイツが素で持ってる力か!!

 

「悠仁!!」

『おう!!』

 

俺の意図を汲んだ悠仁は、もう1人の転生者を庇うようにして蛸足の前に割って入る。

 

『黒閃!!!!』

 

悠仁の拳が、蛸足を弾き返した。

 

「大丈夫か、転生者?」

 

そう呼びかけるが、転生者の意識はかなり朦朧としている。マジで大丈夫だろうか?

 

『舐めるなよ、虎杖悠仁!!』

 

うわっ、奴の蛸足からさらなる蛸足が伸びてきやがった!?

脚8本どころじゃねえぞ!!

 

『おわっ!!』

「悠仁!!」

 

蛸足が身体中に巻き付いて、悠仁の体が宙に浮く。タコはそのまま悠仁の首をへし折ろうとしていた。

 

マズイ....抜け出せねえ....宿儺呪力モードが健在なら、このまま反転術式流し込んでやるのに……

 

『死ねええええええええ!!!』

 

タコの締め付けが一層強まる。

 

『ああっ..........................うう.....................』

「悠仁!!しっかりしろ、悠仁!!!!」

 

 

 

『蝕爛腐術・朽』

 

 

 

んん、タコ野郎に....バラのタトゥー?

新形態....!?

 

いや違う.....明らかにあのタコは苦しんで.....

 

『悠仁!!兄さんは、お前を必ず守る!!ここに誓おう!!』

 

てぃてぃてぃ、Tバック!!

こいつの術式なのか!?

 

 

 

 

蝕爛腐術・朽。

 

壊相か血塗どちらかの血を相手に取り込ませることを条件に、毒と激しい痛みを伴いながら相手の身体を「分解」して腐蝕させていく。

 

血塗が自らの血でマーキングをしていた宿儺の指を、陀艮は飲み込んでいた。

 

これにより、術式の発動条件を満たしてしまう。

 

 

 

 

 

 

『くっ、九相図どもめ......』

 

タコのやつは悠仁を締め付けながら、何かを吐き出す。それは、俺の指!!それと同時に、奴の身体からは薔薇のタトゥーが消えてしまった。

 

『悠仁!!最初は襲ってごべえええええん!!俺が悪かったぁぁぁぁ!!!!』

 

タコの吐き出した俺の指を拾い上げたウソップは、泣きながら駆け寄ってくると、それを悠仁の口に放り込む。

 

『俺、お使い、ちゃんとできたよ!!』

『サンキュー、助かった!!』

 

悠仁は、俺の指を飲み込んだ。

 

俺の指を取り込んだ直後の悠仁は、いつも顔に紋様が浮かんでいる。恐らくその瞬間は、悠仁の“檻”が自動的に緩まっているのだろう。

 

今なら、悠仁の身体に負担をかけずに、もう一度なれるはずだ。

 

「『宿儺呪力モード!!』」

 

これを維持できる時間は、15秒もない。だが、それだけあれば十分だ。

 

「ふん!!!」

 

蛸足を全て引きちぎって、俺たちは自由になる。

 

『許さん....許さん!!!この場にいる全員、等しく皆殺しだ!!!』

 

あのタコ野郎、術式が回復したらしいな。

 

「だが、それがどうした?」

 

一瞬でタコとの距離を詰めた俺たちは、術式を使う間を与えずに必殺の一撃を叩き込む。

 

「『黒庭拳!!!』」

 

タコの身体は、粉々に吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

じょうご、はなみ。

ごめん、まけちゃった。

 

いっぱいいっぱいがんばったけど、

まけちゃった。

 

くやしい。

すっごくくやしい。

 

ふたりのかたきをうちたかったのに....

 

まひと、1人にしちゃってごめんね。

あとはたのむ。

 

だいじょうぶ、まひとならできる。

のろいのせかい、つくるのがんばってね。

おうえんしてるから。

 

ぼくと、じょうごと、はなみは、

3人でずーーーっと、みまもってるよ。

 

 

 

 

 

その夜、呪いとしての道を突き進んだ“三兄弟”は、その終着点で再会を果たすことになる。

 

 

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