宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」 作:バケギツネ
宵祭
◇
おーーーーーーーす!俺、すっくん!!
九相図三兄弟が高専に来てから、半月近くが経った。
『アイツら、いい子にしてるみたいだし。ちょっとくらい、ご褒美があってもいいんじゃない〜。』
という五条さんの粋な計らいで、三兄弟に外出許可が出ました〜!!まあ当然、幾つもの縛りを結んだうえで、だけどな。
というわけで、let'sピクニック!!
せっかくなので豊かな自然に囲まれながら、兄弟水入らずで楽しんでもらおう!そう判断した俺は、悠仁の中で大人しくしている。
『兄者たち!!こおれ、超うまい!!!!』
『現代の食事というのは、素晴らしい物ですね。』
壊相も血塗も、サンドイッチをパクついてるな。気に入ってくれたようで何よりだ。俺も、ちょっとお腹空いてきたな
『すっくんも食べる?このハムサンドとか、好みだろ?』
ゆ、悠仁!!
さすが俺の相棒、気がきくじゃないか!!
『はい、あーーーーーん。』
「あーーーーーん。」
悠仁に生やした口から、俺はハムサンドを頬張った。
美味い!美味い!美味い!美味い!
料理漫画なら、服が弾け飛んでいたことだろう。
『ゆ、悠仁!お兄ちゃんにもあーーーんしてくれ!!!』
脹相のブラコンっぷりは相変わらずだな。もはや安心感すら覚える。
『なあ、俺たちホントに兄弟...なんだよな?』
悠仁はやはり、脹相たちが兄弟だという事は半信半疑だ。まあ、記憶がないんじゃ、実感が湧かないのも当然か。
『当然だ悠仁!思い出せ、お前の父親の額にも縫い目があったはずだ!!』
やはり悠仁パパか...!
奴こそが、黒幕!全ての不幸の中心!!
なるほどね。額の縫い目がポイントってわけか。五条さんにも再度チクっておこう。額に縫い目のある奴には、気を付けろってな。
『つっても俺、父ちゃんの記憶なんて、かなりうっすらしてっからな〜』
うーん、やっぱ悠仁は憶えてないか。もしかして、悠仁の記憶をいじったのも悠仁パパなんじゃ...!
「なあ、悠仁のお父さんの名前って
『とりあえず、せっかくのピクニックなんだし。今は楽しもうぜ!はい、あーーーーーん。』
悠仁は丁度近くにあったスパゲティーを巻き取ると、脹相に差し出す。
『あーん!!!!!!!』
脹相、あーーんの勢いがすげえな。あ、すっげえ美味しそうに食ってる。
『美味いな。残りの弟たちにも、食べさせてやりたかった...』
『...脹相。』
三兄弟の出自は何となく聞いている。その過去は何とも壮絶なものだった。その上、4〜9男はもう...
「すまない...」
『なぜお前が謝る。俺はむしろ、お前たちに感謝している。』
脹相は初対面の時が嘘のように、穏やかな表情を浮かべていた。
『ずっと夢見てたんだ。こうして陽の当たる場所で、生き残った兄弟達と一緒に平和に過ごすのを。高専に来たお陰で、それが叶った。』
脹相と、それに続いた壊相に血塗は、草原の上で横になる。
『なあ。壊相、血塗。俺は悠仁と共に人として生きたい。きっと楽な道ではないだろう。それでも、俺についてきてくれるか?』
『当然だよ、兄さん。』
『おう!!俺たち兄弟は、ずーーーっと一緒だぁ!!』
『壊相!!!!!!血塗!!!!!!ありがとう!!!!俺はお前たちが、大好きだ!!!!!!』
脹相は壊相と血塗を抱きしめると、ボロボロと泣き始める。
『悠仁!!!お前もこっちに来い!!』
『遠慮しなくていいよ。』
『悠仁もぎゅーーってするぅ!!!』
『いや、だから俺は...まあ、いっか!』
悠仁も少し迷った後に、その中へと飛び込んでいく。
「やっぱ、いいお兄ちゃんだな、アイツら。」
今までたくさん辛い思いをしてきた分、せめてこの時代では幸せになってほしい。呪いだとか、人間だとか関係なく、一つの命として。
◇
『『『zzzzzzzzzz』』』
遊び疲れて、三兄弟は寝てしまった。子供か。いやまあ、実際子供のようなものか。今の彼らは、150歳の0歳児みたいなものだもんな。
にしてもいい寝顔だな〜。ん、脹相が寝てるってことは...
「ヒカリ、分かるか?」
俺と同じ転生者の“男の子”、賀茂ヒカリに声をかける。
「んん?」(CV浪川○輔)
お、やっぱりな。魂が切り替わってる。
「悠仁、悪いが...」
『ああ。俺は身体だけ動かすよ。』
「助かる!」
ヒカリはまだ、俺以外の人間が怖いかもしれない。悠仁とは前もって話し合い、ヒカリと話すのは俺だけにすると決めていたのだ。
「あ、すく...お兄ちゃん、今日も来てくれたんだ。」(CV浪川○輔)
「ああ、ヒカリに会いたかったからな。」
俺は悠仁の顔に口を生やして、ヒカリに話しかける。割とキモいと思うんだが、ヒカリは怖がりもせずに話を聞いてくれる。
マジいい子!俺も前世で、こんな健気な弟が欲しかった!
「なあヒカリ。これから俺と一緒に、お出かけしないか?」
◇
ご機嫌麗しゅう。僕は、賀茂ヒカリ。
ディズ○ー映画たるこの世界のヒロインにして、最強無敵のプリンセスである“女の子”だよ。
ああ、前回までのあらすじね。ようやく“本編”が始まって、この世界に転生してきた僕は、ついに王子様と出会う。
呪いの王・両面宿儺様だ。
僕と同じ転生者である彼は、孤独に苦しんでいた(言うほど苦しんでたっけ?まあ、そう言うことにしておこう。)僕に手を差し伸べて、
そ、そして、結婚を約束してくれた////
《そんな事実は無い》
あの日から、ほとんど“外”には出れなかったけど、全然寂しくはなかった。だって宿儺様が、毎日会いに来てくれたから。
彼は本当に優しくて、明るくて、面白くて、強くて、カッコよくて、いい身体してて...ふふふっ。
とにかく、最高の王子様だった。
「ヒカリ、分かるか?」
そんな彼の渋カッコいいお声で、今日も僕は目を覚ます。
「んん?」(CV浪川○輔)
寝起きからの宿儺様!!幸せ!!
っていうか、そのお召し物は一体!?え、衣装違い!?大変眼福でございます!
「あ、すく...」
おっと、いけないいけない。宿儺様は重度の妹萌え。
だから呼ぶときは、”お兄ちゃん“って呼んであげないと。
ふふふっ、フィアンセにそんなプレイを要求するなんて、宿儺様ってば意外と大胆だよね。
そんなところも好き!!!!
《そんな事実は無い》
「お兄ちゃん、今日も来てくれたんだ。」(CV浪川○輔)
この声にも随分慣れちゃった。だいぶキモいはずなのに、宿儺様は一切気にしない。
「ああ、ヒカリに会いたかったからな。」
うぎゃあああっっっ!!
笑顔が眩しい!目がぁぁぁぁ!!これはもはやバルスゥ!!
宿儺様はこう言うことをサラッと言うから、心臓に悪い。
「なあヒカリ。これから俺と一緒に、お出かけしないか?」
なん、だと!?
そ、それって、デートのお誘い!?
「どこか行きたいところはないか?どこへでも連れてってやるぞ!」
ど、どどど、どうしよう!?どこへでも!?
えっと、ここは異世界とはいえ、ほとんど現代日本と同じっぽいんだよね。ってなると...
というわけで、やってきたよ!ディズ○ーランド!!
ディ○ニー映画の中なのに、ちゃんとディ○ニーランドあるんだね。これがダイレクトマーケティングってやつなのかな?
まあ、そんなことはどうでもいい!宿儺様とディ○ニーランド!最高!!
「このアトラクション、あと1時間くらいだけど待てるか?」
「うん、大丈夫だよ。」(CV浪川○輔)
宿儺様の為なら、永遠に待てますとも!
「平日なのに人が多いな。はぐれるなよ、ヒカリ。」
ピャッッ!?
す、宿儺様の手ガッシリしてる。あったかい。
「ねえ、お兄ちゃん。」(CV浪川○輔)
「どうした、トイレか?」
「もぉ〜、違うってば!」(CV浪川○輔)
そういえば前に彼がプロポーズしてくれた時、舞い上がっていた僕は、ちゃんとした返事ができてなかったっけ?
「僕も大す..」(CV浪川○輔)
『お二人、仲いいんですね!』
『ご兄弟なんですか?』
もう、邪魔!!ってか誰?JK2人組...?
す、宿儺様?誰よ、その女!!
ってあれ、意識が遠のいて、まさかもう時間切れ!?
いやあああああああああ!!!
『ん、ここはどこだ?弟達とピクニックをしていたはずでは....どうして俺は、悠仁に抱きついているんだ..?まあ、いいか。』
『ちょ、ストップ!一回離れてくれ、脹相!』
あ、脹相が目を覚ました。ヒカリは、もう引っ込んでしまったか。
『ふふっ、ホントに仲がよろしいんですね!』
『ご兄弟でディズニー来られるなんて!』
んで、俺たちに話しかけてきたJ K2人。悠仁の知り合い?いや、どうもそうではなさそう。
『ああ、私たち高校のディズニー部に入ってて!今度ここのお客さん達について調べて、レポート書こうと思ってるんです!』
『男の人2人で来られる方って、結構珍しいので!良かったら、インタビューさせてくれませんか?』
あー、そういうことね。
にしてもこの漫画、やっぱモブの女の子が可愛いよな〜。今回のJ Kコンビだって、とてもモブとは思えないほど凝ったキャラデザだ。
あと、女の子の脚太めだよね。
『じゃあ、まずはお2人の写真、撮らせてくれませんか?』
『そこで並んで、ポーズしてください!!』
『悠仁!!もっと肩とか組もう!!俺たちの仲の良さが伝わらないぞ!!』
『お、おう...!』
すっくんは、悠仁の中に引っ込んでおこう。万が一俺が映ったら、一発で心霊写真になってしまうし。
『『はい、チーズ!!!』』
その後何やかんやで、俺と脹相とJ K2人は、一緒にディズニーを満喫した。
『悠仁!!あそこに呪霊がいるぞ!!』
『脹相、あれは○ッキーな。』
あれ、当初はヒカリのための企画だったはずなのに。
『○ッキーだと?何級だ?』
『まあ、余裕で特級だろうな。』
なんだかんだで、脹相が一番楽しんでる気がする。
『穿血!!!!』
『おい、脹相!?』
まあ、彼も普段は不自由な生活をしてるんだ。少しくらいのはっちゃけも許そう。
『!? スリッピングアウェーの要領で、穿血をいなした!?』
『流石○ッキー!!あとごめんなさい!!!!』
今度は、脹相の弟達の方も連れてきてやろうかな。
『悠仁!!お兄ちゃんがポップコーン買ってきてやるからな〜!待ってろよ〜!!』
『お、おう.........』
マジで大はしゃぎだな、脹相。悠仁の立ち位置が、弟じゃなくてお父さんじゃないか。
『ははは、お疲れ様です。』
『面白いお兄さんですね〜。』
『あ、兄かどうかはまだ分かんねえんだ....』
『..........????????』
『えっと、複雑なご家庭なんですね....』
こら悠仁、J Kコンビを混乱させるんじゃない。
『まあ家族の定義なんて、色々ですから.....』
『うんうん。大事なのは、心が通じ合ってるかどうかですよ。』
なるほどな。J Kコンビ、なかなか良いこと言うじゃないか。
『あ、すみません。変な話しちゃって。.......私たちにも“いた”んですよ、そういう人が.....』
『そうそう。ここにもよく、3人で遊びにきたりして!』
そう言って2人は笑う。その笑顔は、どこか寂しげだった。
『悠仁〜!ポップコーン買ってきたぞ〜!!』
お、脹相も戻ってきたか。って、いつの間にか閉園時間がもうすぐだ!
『それじゃあ、私たちもそろそろ帰らないと!』
『今日は、ご協力ありがとうございました!!』
J Kコンビはブンブンと手を振りながら、どんどん小さくなっていく。元気な子達だったな〜。
はぁ〜、明日からまた任務か。夢の国の反動で、ちょっと憂鬱だ。
『悠仁、また来よう!!今度は弟2人も連れて、シーの方に!!』
脹相、お前だいぶ夢の国に染まったな。
『菜々子。虎杖悠仁の写真、ちゃんと撮れてる?』
『バッチリ。これで術式の対象にできる。』
枷場美々子・枷場菜々子。2人は、呪術の才能を持って生まれた双子だった。
『バケモノ!!バケモノめ!!!!』
そのせいで、2人は生まれ育った村の人々から迫害されていた。
『もう大丈夫だ。もう誰にも君たちを傷つけさせない。』
だがそのおかげで、2人は“家族“に出会えた。
『沖縄の海は、綺麗だろう?キミたちに知って欲しかったんだ。この世界は、何も全てが醜くできてるわけじゃないって。』
その人は、2人にたくさんのことを教えた。
『キミたち、誕生日はいつだい?.......そうか、分からないのか。なら、こうしよう。私たちが出会ったあの日が、キミたちの誕生日だ。』
その人は、どこまでも2人に優しかった。よく、2人の頭を撫でてくれた。
『ほんとに、私について来る気かい?私がこれから進むのは棘の道だ。きっと、たくさん敵が出てくる。キミたちを巻き込みたくは....』
『私たちは、自由に生きていいんでしょ?だったら私たちは、ずーーーっと“傑さん”の側にいる!』
『それが、私たちの幸せなの!!それなら、文句ないでしょ?』
2人は、その人と出会ってからの10年間、ずっとずっと幸せだった。
『傑さん、遅いね。』
『五条悟の介抱でもしてるんじゃない?アイツ下戸の癖に、傑さんと一緒にいる時は無理して飲むから...』
『っていうかクリスマスイブなのに、男2人で飲みに行くとか....』
『まあ、傑さんにヘンなムシがついてないのは、安心だけどさ〜。』
2017年12月、その幸せは突然途切れた。
『.....傑さん、今.......どこにいるんだろうね?』
『........どっかの、リゾート地とかで.....サボってるんじゃない?』
『......まあ、最近ずっと、忙しかったもんね.....それくらいは、大目に見てあげるか〜。』
『うん。大丈夫だよ......傑さんは絶対、帰ってくる......!!』
2人は、待ち続けた。大好きな家族の帰りを、ずっと。
『ただいま、2人とも。』
2018年10月、2人の元に夏油傑は帰ってきた。
『傑さん....?』
『どうしたの?頭のそれ.....』
彼の頭には、縫い目があった。
『去年の末、任務中に襲撃されてね....その時に負った傷の一つさ。かなり手ひどくやられてね。傷を治して戻ってくるのに、ずいぶん時間がかかってしまった。今まで心配をかけて、すまなかったね。』
顔も。
『襲撃って...』
『一体、誰が傑さんを........』
『悟だよ。私を殺そうとしたのは、五条悟だ。』
声も。
『え?でも.........』
『アイツは、傑さんの親友だって...』
『私も信じられない.......偽物、変身の術式、色々な可能性を疑ったさ。だが、あの強さ、術式....間違いなくあれは悟だった。私の魂も、それを肯定しているよ。』
匂いも。
『悟はもう、私の知ってる悟じゃない。彼はもはや、”強さ“と”戦い“に取り憑かれた、呪いそのものだ。彼にとって、自分以外の生き物は全て下等種。その気まぐれ一つで、世界がいつ滅んでもおかしくない...!』
術式も。その全ては、夏油傑のものだった。
『親友を、この手で止めたいんだ...!美々子と奈々子にも、手伝って欲しい。』
“夏油傑”は、2人に手を差し出す。
『きっと、険しい道になるだろう。だが2人なら、ついて来てくれるだろう?』
『.....................』
『......................』
美々子と菜々子は互いに見つめあった後、夏油傑の手を取った。
『傑さん。無事で良かった。本当に心配したんだよ。』
『どうせ戻ってくるなら、“あと2週間”早ければな〜。そしたら、私たちの誕生日に間に合ったのに。』
『何を言っているんだい?君たち2人の誕生日は、8月だろう?』
『...................』
『.....................』
夏油傑の死体を乗っ取った羂索は、その身体に刻まれた記憶を完全に読み取っていた。
『カマをかけたんだね?ははっ、用心深いのはいいことだよ。流石は、私の家族だ。』
羂索はそう言って、美々子と菜々子の頭を撫でる。
『さっそくだけど、縛りを結ぼう。2人も、よく知っているだろう?条件は、そうだな....“これから話すことや、私に関することは、計画が成功するまで、決して口外しない“とでもしておこうか。』
羂索は動き出していた。イレギュラーな宿儺によって、戦力が大幅に削られた以上、利用できるコマを全て利用して。
渋谷事変は、すぐそこまで迫っていた。
『『許さない、後悔させてやる.....!!』』