宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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禁術って卑劣だよね。

 

 おーーーーす、俺たち、チーム・すっくん!

 

 アッセンブルしてくれた、チームの精鋭たちを紹介するぜ!

 

1、呪いの王・両面宿儺であるこの俺!

 

2、俺の永遠の相棒にして主人公・虎杖悠仁!

 

3、クール系正統派ライバル・伏黒恵くん!

 

4、超有能お助けロボット・メカ丸くん!

 

5、よく知らない!!猪野琢磨さん!!!

 

 以上の5名がメンバーだぜ!!

 

 ナナミンから与えられたミッションは、何かマスターボールみたいな呪具に封印された、五条さんの奪還!そのためにはまず、渋谷に張られた術師を阻む帳の解除が第一目標!

 

 行くぞぉー!おー!!

 

 

『黒閃!!!!」

 

 件の帳の前にいち早く到着した悠仁は、その鉄拳を帳にシュート!!

 

『っ!!硬っ....!』

「悠仁、拳は平気か!?」

 

 この帳なんて硬さだ。悠仁の一撃で、粉砕しきれないなんて。

 

『ま、まあまあの威力だな.....(今こいつ、狙って黒閃出さなかった!?打撃だけなら七海さんより余裕で強いぞ!?)』

 

『相当強固な帳ですね。どこか脆い箇所を探して、一瞬でもいいから穴を開けないと。』

 

 恵くんは、冷静に分析を進めている。やっぱこういう時って、頭脳派キャラがいるのは助かるよな〜。

 

 まあ俺も、結構な頭脳派なんだけどね。おっ、良い作戦思いついた!

 

「悠仁、帳の色んなところを殴って殴って殴りまくって、脆い箇所を見つけるぞ!!」

『おっし、分かった!!』

 

「『うおおおおおおおおおお!!!!!』」

 

 どうだ、この華麗なる頭脳プレー!!!

 

『少しいいカ。』

 

 俺たちが帳を色んなところからタコ殴りにしている最中に、悠仁の耳にくっついていたメカ丸くんが、意見が出してくれる。

 

『“術師を入れない”という強力な条件の割には、帳自体が頑丈すぎル。帳を下ろした奴は、自らを帳で囲わないというリスクを負ってるんじゃないカ?』

 

 ふむふむ。つまりどういうことだってばよ?

 

 あ、悠仁!帳のここら辺を、集中して殴ってみて〜!何かイケそうな気がする!!

 

『ってことは、俺たちのターゲットは帳の外側!それもかなり目立つところにいるはずだ!!そいつらを探しだして叩くぞ!!』

 

 猪野さんが、なんか作戦を決定したっぽいな。よし、俺たちもそれに沿って行動....

 

『黒閃!!!!』

「おっ、悠仁ナイスだ!!」

 

 ようやく帳に穴が空いたぜ!猪野さんの作戦を、実行するまでもなかったな!!

 

「猪野先輩〜!!こっから侵入できそうですよ〜!!」

 

 俺は笑顔で(目と口しか生やしてないけど)猪野さんに成果を報告する。彼とは初対面だからな!少しでも好印象を稼いでおかないと!

 

『........なあ、伏黒。宿儺達って、いつもあんな感じ?』

 

『はい。』

『まあ、そうだろうナ。』

 

 あれ、何か猪野さんとの間に、心のソーシャルディスタンスを感じる。あの人、人見知りとかなのかな?

 

 ま、いっか!そのうち仲良くなれるといいな〜。

 

 それではチームすっくん。いざ!とつにゅ

 

『全く、その帳を突破するとは...いきなり想定外。』

 

 勇んで帳の内部に突入しようとしたチームすっくんの前に、言葉を喋る改造人間が現れる。それは、達磨の様な太い眉にチョンマゲのような髪型の、何とも特徴的な個体だった。

 

 なんだ?てめえ....

 

 雰囲気から何から、明らかにおかしい。ここまで流暢に喋る個体なんて、見たことないし。

 

『すっくん、あいつは...?』

「少し待て、悠仁。魂で探ってみる。」

 

 ふむふむ。

 

 魂の感知を試みて、ようやく理解した。あの妙な改造人間の魂は“半分”だけ改造されている。

 

『俺のこの姿、気になるだろう?教えてやる。』

 

 改造ジジイはいきなり喋り出した。“開示”ってやつか?

 

『真人っていう呪いがいてな。そいつが俺達を改造してくれたんだ。敢えて名付けるとするならば、改造呪詛師ってところかな?』

 

 なるほどな。

 

 人間としての意識と術式を残したまま、改造人間並みのフィジカルを発揮できるって感じか。真人の奴、厄介なことしやがって。

 

『来訪瑞獣一番・獬豸』

 

 いち早く動いたのは、マスクを被った猪野さん。彼は、角の弾丸を発射してジジイの脳天に命中させる。

 

 技カッコよ!ただ何故、覆面強盗みたいな格好に?

 

 結構カッコいい顔してるんだし、わざわざ隠さなくてもいいんじゃないかあ?はずがしがり屋なのか?

 

『玉犬!!』

 

 恵くんが呼び出した白黒ワンコも、その鋭い爪でジジイの身体を斬りつけた。

 

 よし決まった!勝ったな!!ガハハ!!

 

 あの改造ジジイめ、意外とあっけなかったな〜。俺と悠仁が出るまでも無かった。

 

『ほお、その若さにしてはやるじゃないか。』

 

 何ぃ!?猪野さんと恵くんの攻撃をモロに食らったはずの改造ジジイ、ノーダメージだと!?

 

『将来有望。殺し甲斐がある。』

 

 奴は先ほどまでの攻撃をまるで意に介さずに、下衆な笑みを浮かべながら、包丁のような形状をした自身の右腕を構える。

 

 アイツ、なんて防御力だ。術式なのだろうか?

宿儺呪力モード、使うか...?

 

 いや、あれの残り時間はあと15秒。真人との再戦まで、できるだけ温存しておきたい。

 

『二番・霊亀』

 

 なおも猪野さんは、ヒットアンドアウェイで改造ジジイを攻め立てていた。この人、技がいちいちカッコいいよなぁー!ああいうネーミングセンス、見習いたい!!

 

『四番・りゅ.....』

 

 大技を繰り出そうとした猪野さん。その顔面を、凄まじいスピードで接近してきた“乱入者”が、殴り飛ばす。

 

『猪野さん!!』

 

 殴り飛ばされたその勢いのまま、近くの建物に叩きつけられた猪野さんに、悠仁はすぐさま駆け寄った。

 

『すっくん、反転術式を!!』

「ああ、任せ......」

 

『.....待て。』

 

 一瞬だけ宿儺呪力モードになろうとした悠仁の腕を、あんちゃんが掴む。

 

『俺なら大丈夫だ。死にゃしない......反転、それもアウトプットって、呪力消費エグいんだろ?そいつはとっとけ。使う場所を間違えんな。俺のことはいいから、先に....行け!!!』

 

 そう言い残して、猪野さんは意識を失う。

 

「い、猪野さーーーーーーん!!!」

 

 すまない。猪野さん。貴方の犠牲は無駄にしない。仇はとってやるからな!猪野さん、別に死んでねえけど!

 

 俺は猪野さんを殴り飛ばした張本人である、黒髪の筋肉ムキムキマッチョマンの変態(仮)を睨みつけた。

 

 あれ、あの顔。どっかの誰かさんに似てるような....

 

『オガミ婆め、ようやく降霊が終わったか。』

『お待たせ、粟坂さん。』

 

 ん、奴らが気になるワードを喋ったぞ。

 

 “こうれい”....?

 “こうれい”ってなあに?

 

 教えて、メカ丸くん!!!

 

『死者の肉体や魂、あるいは架空の妖怪・霊獣なんかを自身に宿す術式ダ。』

 

 ほおほお。

 

『恐らく、今回は前者だナ。あの呪詛師は、死者の肉体を口寄せしてるんだろウ。』

 

 なるほど!解説ありがとうメカ丸くん!!

 

 死者の魂を口寄せ。それって、NARUTOの穢土転生ってコト!?二代目火影の卑劣な術か!

 

 チートだ、チート!あの術は使うなよ!バランスぶっ壊れんだろうがああ!!

 

 穢土転生はマジで洒落にならん!!平安の術師一斉召喚とかされたら大変なことになるぞ!!

 

『落ち着けすっくん!降霊術はそうそう連発できるようなもんじゃなイ!!改造呪詛師とやらになって、呪力量が多少強化されていたとしても、せいぜい使うのは2、3回が限度ダ!!それより今は目の前の敵に集中しロ!!』

 

 お、おう。ありがと、メカ丸くん。おかげで冷静になったぜ。

 

 にしても、あのマッチョマン何者なんだ?穢土転生ってことは、死者なんだよな。立ち姿だけで、強いのは分かるが。

 

 後、やっぱ顔が。

 

『あの男、伏黒恵に似てないカ?』

 

「『だよなぁ!!!!!!』」

 

 メカ丸くんの言葉に、俺と悠仁も同意する。彼の言う通り、2人の顔のパーツはどことなく似てる気がする。って事は、

 

「間違いない!!あの人は恵くんのパパだ!!そうなんだろ、恵くん!!」

『えっ!?そうなのか、伏黒!?』

『どうなんダ、伏黒恵?』

 

 俺と悠仁、ついでにメカ丸くんは、仲良く恵くんを見つめる。それに対して、当の恵くん本人は

 

『.......そう、なのか?』

 

 何かピンと来てなかった。なんでやねん!!!

 

「ほら、あの人の顔をよく見ろ!!彼は、恵くんのお父さんだぞ!!!(多分)」

 

『いや、そう言われても......』

 

 恵くん、なんでそんなに反応微妙なんだよ!!

 

 お父さんとの再会で喜ぶのを、恥ずかしがってるとか?まあ、恵くんも思春期男子だからな。すっくんも、その気持ちはちょっと分かるぜ。

 

 仕方ない!俺が2人の架け橋になってやろう。

 

「おーーーい恵くんパパーーー!!」

 

 俺は、筋肉ムキムキマッチョマンの変態改め、恵くんパパに呼びかける。穢土転生ならば、無理やり甦らされた本人の意思で、ある程度術に対抗できたはず!

 

「貴方の息子はここにいますよ〜!こんなに立派になってますよ〜!!だから安心して、穢土転生を自力で解除して成仏してくださーい!!!」

 

 さあ、今こそ伏黒ファミリーの絆を見せる時だ!

 

『.......................』

 

 だがしかしっ、恵くんパパからの返事がない。

 

 そうか。完全に自我を縛られているんだな。おのれ、改造呪詛師め!!

 

 恵くんパパ、きっと恵くんみたいに正義感が強くて、真面目で、家族思いのいい人だったんだろう。

 

 俺の脳内に溢れ出す、存在しない記憶!!

 

 

 

 

『恵、喧嘩はダメだぞ〜!無闇に人を傷つける、そんな人間には、絶対なっちゃダメだからな!』

『お、鵺を調伏できたのか〜!良かったな、恵〜!お祝いに今日は、恵の好きな生姜焼きだ〜!!パパが腕を振るってやるからな〜!』

『俺とママは、極秘の任務で暫く帰って来れなさそうなんだ。お姉ちゃんを守るんだぞ、恵....』

 

 

 そうそう、こんな感じ!!

 

 こんなに優しい人だった恵くんパパを無理矢理操るなんて、許せない!彼はこんな戦いなんて、望んでないんだ!!

 

 それ以上、恵くんパパを弄ぶな!!!

 

「恵くん。息子である恵くんの口から、直接お父さんに呼びかけてあげるんだ!!親子の絆を、信じろ!!!!」

 

『悪いすっくん。うちの家庭は、そういう感じじゃないんだ。』

 

 もうっ、恵くんってば!恥ずかしがってる場合じゃないんだぞ!

 

「恵くんパパ、お願いします!!俺たちを、貴方の愛する息子の恵くんを、助けてください!!!」

 

 俺は、ジャンプ漫画のお約束を信じる!

 

 親子の愛はどんなものにも勝る!そのはずだ!!

 

「思い出してください!!恵くんと過ごしてきた、幸せな日々を!!!」

 

 

 

 

 

 

 

『あいつら、何がしたいんだ...?』

『......さあ?』

 

 改造ジジイこと粟坂二郎、そして降霊術で禪院甚爾の肉体を与えられた“孫”は、すっくん達の妙な行動に困惑していた。

 

『まあいい。さっさと片付けるぞ。』

『分かったよ。粟坂さ、さ、ささささ、さささささ、』

 

 突如、孫に起こった異変。それは別の場所で、“とある理由”からオガミ婆の魂が消滅した事に起因していた。

 

『おい、どうした...?』

 

 孫の身体に降ろされているのは、“禪院甚爾”の肉体の情報のみ。だが、余りにも特別だったその肉体に、孫の魂は敗北する。

 

イレギュラーによる、術式の暴走。今ここに、本能のまま戦い続ける殺戮人形が誕生したのだ。

 

『........................』

『おい、お前何を....!?』

 

 突如殴りかかって来た甚爾の拳を、粟坂は咄嗟に術式で防ぐ。それを見た甚爾は、直感的にその仕組みを見抜き、最大限の威力を発揮する弱い打撃を繰り出した。

 

『かはっっっ!!』

 

 甚爾は粟坂をタコ殴りにしていく。それは、強い打撃と弱い打撃が織り交ぜられた、粟坂の術式・あべこべによる防御を対策したもの。

 

『ば.....こんな.....俺の.....自由.........が.....』

 

 改造呪詛師となって強化されていた粟坂の身体は、それを遥かに上回る究極の肉体の持ち主によって、呆気なく打ち砕かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 恵くんパパが、改造ジジイを倒してくれた...?

 

『すっくん、一体何が....?』

 

「わ、分からない...だが、恵くんパパの身体にあったはずの魂に”変化“が起きている...?」

 

 そうか!!!!!

 

 恵くんの想いが通じて、穢土転生の縛りが解けたんだ!自力で正気に戻るとは、さすが恵くんパパ!これも親子愛の成せる技か。

 

 

 俺は今、猛烈に感動している!!

 

 息子を傷つけまいと、恵くんパパは必死に抗ったんだろう!親が子を、死力を尽くして、愛し、守る。

 

 俺が待ち望んでいだ王道展開が、今、目の前にある!

 

 

「恵くんパパ!!助けてくれてありがとうございます!恵くんには、仲間としていつもお世話になっております!俺は.....」

 

 気が付いた時には、恵くんパパ・ちょっと長いので、略してパパ黒のパンチが眼前に迫っていた。

 

.........何でぇぇぇ!?

 

 

 

 

 

 

 

 伏黒甚爾の牙は、常に強者へと向けられる。粟坂という邪魔者を排除した彼の次なる獲物として、その食指を最も動かしたのは、呪いの王・両面宿儺だった。

 

 

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