宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」 作:バケギツネ
おーーーーす、俺たち、チーム・すっくん!
アッセンブルしてくれた、チームの精鋭たちを紹介するぜ!
1、呪いの王・両面宿儺であるこの俺!
2、俺の永遠の相棒にして主人公・虎杖悠仁!
3、クール系正統派ライバル・伏黒恵くん!
4、超有能お助けロボット・メカ丸くん!
5、よく知らない!!猪野琢磨さん!!!
以上の5名がメンバーだぜ!!
ナナミンから与えられたミッションは、何かマスターボールみたいな呪具に封印された、五条さんの奪還!そのためにはまず、渋谷に張られた術師を阻む帳の解除が第一目標!
行くぞぉー!おー!!
◇
『黒閃!!!!」
件の帳の前にいち早く到着した悠仁は、その鉄拳を帳にシュート!!
『っ!!硬っ....!』
「悠仁、拳は平気か!?」
この帳なんて硬さだ。悠仁の一撃で、粉砕しきれないなんて。
『ま、まあまあの威力だな.....(今こいつ、狙って黒閃出さなかった!?打撃だけなら七海さんより余裕で強いぞ!?)』
『相当強固な帳ですね。どこか脆い箇所を探して、一瞬でもいいから穴を開けないと。』
恵くんは、冷静に分析を進めている。やっぱこういう時って、頭脳派キャラがいるのは助かるよな〜。
まあ俺も、結構な頭脳派なんだけどね。おっ、良い作戦思いついた!
「悠仁、帳の色んなところを殴って殴って殴りまくって、脆い箇所を見つけるぞ!!」
『おっし、分かった!!』
「『うおおおおおおおおおお!!!!!』」
どうだ、この華麗なる頭脳プレー!!!
『少しいいカ。』
俺たちが帳を色んなところからタコ殴りにしている最中に、悠仁の耳にくっついていたメカ丸くんが、意見が出してくれる。
『“術師を入れない”という強力な条件の割には、帳自体が頑丈すぎル。帳を下ろした奴は、自らを帳で囲わないというリスクを負ってるんじゃないカ?』
ふむふむ。つまりどういうことだってばよ?
あ、悠仁!帳のここら辺を、集中して殴ってみて〜!何かイケそうな気がする!!
『ってことは、俺たちのターゲットは帳の外側!それもかなり目立つところにいるはずだ!!そいつらを探しだして叩くぞ!!』
猪野さんが、なんか作戦を決定したっぽいな。よし、俺たちもそれに沿って行動....
『黒閃!!!!』
「おっ、悠仁ナイスだ!!」
ようやく帳に穴が空いたぜ!猪野さんの作戦を、実行するまでもなかったな!!
「猪野先輩〜!!こっから侵入できそうですよ〜!!」
俺は笑顔で(目と口しか生やしてないけど)猪野さんに成果を報告する。彼とは初対面だからな!少しでも好印象を稼いでおかないと!
『........なあ、伏黒。宿儺達って、いつもあんな感じ?』
『はい。』
『まあ、そうだろうナ。』
あれ、何か猪野さんとの間に、心のソーシャルディスタンスを感じる。あの人、人見知りとかなのかな?
ま、いっか!そのうち仲良くなれるといいな〜。
それではチームすっくん。いざ!とつにゅ
『全く、その帳を突破するとは...いきなり想定外。』
勇んで帳の内部に突入しようとしたチームすっくんの前に、言葉を喋る改造人間が現れる。それは、達磨の様な太い眉にチョンマゲのような髪型の、何とも特徴的な個体だった。
なんだ?てめえ....
雰囲気から何から、明らかにおかしい。ここまで流暢に喋る個体なんて、見たことないし。
『すっくん、あいつは...?』
「少し待て、悠仁。魂で探ってみる。」
ふむふむ。
魂の感知を試みて、ようやく理解した。あの妙な改造人間の魂は“半分”だけ改造されている。
『俺のこの姿、気になるだろう?教えてやる。』
改造ジジイはいきなり喋り出した。“開示”ってやつか?
『真人っていう呪いがいてな。そいつが俺達を改造してくれたんだ。敢えて名付けるとするならば、改造呪詛師ってところかな?』
なるほどな。
人間としての意識と術式を残したまま、改造人間並みのフィジカルを発揮できるって感じか。真人の奴、厄介なことしやがって。
『来訪瑞獣一番・獬豸』
いち早く動いたのは、マスクを被った猪野さん。彼は、角の弾丸を発射してジジイの脳天に命中させる。
技カッコよ!ただ何故、覆面強盗みたいな格好に?
結構カッコいい顔してるんだし、わざわざ隠さなくてもいいんじゃないかあ?はずがしがり屋なのか?
『玉犬!!』
恵くんが呼び出した白黒ワンコも、その鋭い爪でジジイの身体を斬りつけた。
よし決まった!勝ったな!!ガハハ!!
あの改造ジジイめ、意外とあっけなかったな〜。俺と悠仁が出るまでも無かった。
『ほお、その若さにしてはやるじゃないか。』
何ぃ!?猪野さんと恵くんの攻撃をモロに食らったはずの改造ジジイ、ノーダメージだと!?
『将来有望。殺し甲斐がある。』
奴は先ほどまでの攻撃をまるで意に介さずに、下衆な笑みを浮かべながら、包丁のような形状をした自身の右腕を構える。
アイツ、なんて防御力だ。術式なのだろうか?
宿儺呪力モード、使うか...?
いや、あれの残り時間はあと15秒。真人との再戦まで、できるだけ温存しておきたい。
『二番・霊亀』
なおも猪野さんは、ヒットアンドアウェイで改造ジジイを攻め立てていた。この人、技がいちいちカッコいいよなぁー!ああいうネーミングセンス、見習いたい!!
『四番・りゅ.....』
大技を繰り出そうとした猪野さん。その顔面を、凄まじいスピードで接近してきた“乱入者”が、殴り飛ばす。
『猪野さん!!』
殴り飛ばされたその勢いのまま、近くの建物に叩きつけられた猪野さんに、悠仁はすぐさま駆け寄った。
『すっくん、反転術式を!!』
「ああ、任せ......」
『.....待て。』
一瞬だけ宿儺呪力モードになろうとした悠仁の腕を、あんちゃんが掴む。
『俺なら大丈夫だ。死にゃしない......反転、それもアウトプットって、呪力消費エグいんだろ?そいつはとっとけ。使う場所を間違えんな。俺のことはいいから、先に....行け!!!』
そう言い残して、猪野さんは意識を失う。
「い、猪野さーーーーーーん!!!」
すまない。猪野さん。貴方の犠牲は無駄にしない。仇はとってやるからな!猪野さん、別に死んでねえけど!
俺は猪野さんを殴り飛ばした張本人である、黒髪の筋肉ムキムキマッチョマンの変態(仮)を睨みつけた。
あれ、あの顔。どっかの誰かさんに似てるような....
『オガミ婆め、ようやく降霊が終わったか。』
『お待たせ、粟坂さん。』
ん、奴らが気になるワードを喋ったぞ。
“こうれい”....?
“こうれい”ってなあに?
教えて、メカ丸くん!!!
『死者の肉体や魂、あるいは架空の妖怪・霊獣なんかを自身に宿す術式ダ。』
ほおほお。
『恐らく、今回は前者だナ。あの呪詛師は、死者の肉体を口寄せしてるんだろウ。』
なるほど!解説ありがとうメカ丸くん!!
死者の魂を口寄せ。それって、NARUTOの穢土転生ってコト!?二代目火影の卑劣な術か!
チートだ、チート!あの術は使うなよ!バランスぶっ壊れんだろうがああ!!
穢土転生はマジで洒落にならん!!平安の術師一斉召喚とかされたら大変なことになるぞ!!
『落ち着けすっくん!降霊術はそうそう連発できるようなもんじゃなイ!!改造呪詛師とやらになって、呪力量が多少強化されていたとしても、せいぜい使うのは2、3回が限度ダ!!それより今は目の前の敵に集中しロ!!』
お、おう。ありがと、メカ丸くん。おかげで冷静になったぜ。
にしても、あのマッチョマン何者なんだ?穢土転生ってことは、死者なんだよな。立ち姿だけで、強いのは分かるが。
後、やっぱ顔が。
『あの男、伏黒恵に似てないカ?』
「『だよなぁ!!!!!!』」
メカ丸くんの言葉に、俺と悠仁も同意する。彼の言う通り、2人の顔のパーツはどことなく似てる気がする。って事は、
「間違いない!!あの人は恵くんのパパだ!!そうなんだろ、恵くん!!」
『えっ!?そうなのか、伏黒!?』
『どうなんダ、伏黒恵?』
俺と悠仁、ついでにメカ丸くんは、仲良く恵くんを見つめる。それに対して、当の恵くん本人は
『.......そう、なのか?』
何かピンと来てなかった。なんでやねん!!!
「ほら、あの人の顔をよく見ろ!!彼は、恵くんのお父さんだぞ!!!(多分)」
『いや、そう言われても......』
恵くん、なんでそんなに反応微妙なんだよ!!
お父さんとの再会で喜ぶのを、恥ずかしがってるとか?まあ、恵くんも思春期男子だからな。すっくんも、その気持ちはちょっと分かるぜ。
仕方ない!俺が2人の架け橋になってやろう。
「おーーーい恵くんパパーーー!!」
俺は、筋肉ムキムキマッチョマンの変態改め、恵くんパパに呼びかける。穢土転生ならば、無理やり甦らされた本人の意思で、ある程度術に対抗できたはず!
「貴方の息子はここにいますよ〜!こんなに立派になってますよ〜!!だから安心して、穢土転生を自力で解除して成仏してくださーい!!!」
さあ、今こそ伏黒ファミリーの絆を見せる時だ!
『.......................』
だがしかしっ、恵くんパパからの返事がない。
そうか。完全に自我を縛られているんだな。おのれ、改造呪詛師め!!
恵くんパパ、きっと恵くんみたいに正義感が強くて、真面目で、家族思いのいい人だったんだろう。
俺の脳内に溢れ出す、存在しない記憶!!
『恵、喧嘩はダメだぞ〜!無闇に人を傷つける、そんな人間には、絶対なっちゃダメだからな!』
『お、鵺を調伏できたのか〜!良かったな、恵〜!お祝いに今日は、恵の好きな生姜焼きだ〜!!パパが腕を振るってやるからな〜!』
『俺とママは、極秘の任務で暫く帰って来れなさそうなんだ。お姉ちゃんを守るんだぞ、恵....』
そうそう、こんな感じ!!
こんなに優しい人だった恵くんパパを無理矢理操るなんて、許せない!彼はこんな戦いなんて、望んでないんだ!!
それ以上、恵くんパパを弄ぶな!!!
「恵くん。息子である恵くんの口から、直接お父さんに呼びかけてあげるんだ!!親子の絆を、信じろ!!!!」
『悪いすっくん。うちの家庭は、そういう感じじゃないんだ。』
もうっ、恵くんってば!恥ずかしがってる場合じゃないんだぞ!
「恵くんパパ、お願いします!!俺たちを、貴方の愛する息子の恵くんを、助けてください!!!」
俺は、ジャンプ漫画のお約束を信じる!
親子の愛はどんなものにも勝る!そのはずだ!!
「思い出してください!!恵くんと過ごしてきた、幸せな日々を!!!」
◆
『あいつら、何がしたいんだ...?』
『......さあ?』
改造ジジイこと粟坂二郎、そして降霊術で禪院甚爾の肉体を与えられた“孫”は、すっくん達の妙な行動に困惑していた。
『まあいい。さっさと片付けるぞ。』
『分かったよ。粟坂さ、さ、ささささ、さささささ、』
突如、孫に起こった異変。それは別の場所で、“とある理由”からオガミ婆の魂が消滅した事に起因していた。
『おい、どうした...?』
孫の身体に降ろされているのは、“禪院甚爾”の肉体の情報のみ。だが、余りにも特別だったその肉体に、孫の魂は敗北する。
イレギュラーによる、術式の暴走。今ここに、本能のまま戦い続ける殺戮人形が誕生したのだ。
『........................』
『おい、お前何を....!?』
突如殴りかかって来た甚爾の拳を、粟坂は咄嗟に術式で防ぐ。それを見た甚爾は、直感的にその仕組みを見抜き、最大限の威力を発揮する弱い打撃を繰り出した。
『かはっっっ!!』
甚爾は粟坂をタコ殴りにしていく。それは、強い打撃と弱い打撃が織り交ぜられた、粟坂の術式・あべこべによる防御を対策したもの。
『ば.....こんな.....俺の.....自由.........が.....』
改造呪詛師となって強化されていた粟坂の身体は、それを遥かに上回る究極の肉体の持ち主によって、呆気なく打ち砕かれた。
◇
恵くんパパが、改造ジジイを倒してくれた...?
『すっくん、一体何が....?』
「わ、分からない...だが、恵くんパパの身体にあったはずの魂に”変化“が起きている...?」
そうか!!!!!
恵くんの想いが通じて、穢土転生の縛りが解けたんだ!自力で正気に戻るとは、さすが恵くんパパ!これも親子愛の成せる技か。
俺は今、猛烈に感動している!!
息子を傷つけまいと、恵くんパパは必死に抗ったんだろう!親が子を、死力を尽くして、愛し、守る。
俺が待ち望んでいだ王道展開が、今、目の前にある!
「恵くんパパ!!助けてくれてありがとうございます!恵くんには、仲間としていつもお世話になっております!俺は.....」
気が付いた時には、恵くんパパ・ちょっと長いので、略してパパ黒のパンチが眼前に迫っていた。
.........何でぇぇぇ!?
◆
伏黒甚爾の牙は、常に強者へと向けられる。粟坂という邪魔者を排除した彼の次なる獲物として、その食指を最も動かしたのは、呪いの王・両面宿儺だった。