宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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明暗

 

 

「無為転変。」

 

 

 最初にすっくんが、”その力“を欲したのは、改造人間と初めて遭遇した時。

 

 その亡骸を解剖した家入硝子から、話を聞いた時だった。

 

 

「つまり、一度変えられた人は..」

 

『ああ、助けられない。”犯人の術式“がなければ、元に戻すのは不可能だ。』

 

 

 一度魂を弄られた人間は、反転術式でも助けられない。

 

 その事を知ったすっくんは、渇望していた。その不可能を可能にする力を。

 

 

 

 

 すっくんの術式が初めて効果を発揮したのは、里桜高校での事件の時。

 

 無為転変を使用した真人が、すっくんの生得領域内に侵入してきた際の事だった。

 

 彼は無意識のうちに術式を発動し、自身の生得領域から逃げ出そうとする、真人に干渉。その魂を縛り、脱出を一時的に妨害していた。

 

 

 

 

 里桜高校の事件を終えたすっくんは、知覚した自らの力を使いこなすために、とある人物に師事する。

 

 

「五条悟、貴様に頼みがある。」

 

『ん?キミが僕に頼みなんて、珍しいね。何?』

 

 

 蒼き目を持つ五条は、直に見た相手の術式を“なんとなく”看破できる。

 

 しかし、両面宿儺に転生した魂だけの存在は、六眼といえども“直視”する事はできない。そのため彼も、すっくんの術式には気付いていなかった。

 

 幸い、自身の術式が”魂“絡みだと勘づいていたすっくんは、別の人物を第二の師匠に指名する。

 

 

「やってみたいことがあるんだ。その為に、夜蛾学長に会わせて欲しい。」

 

 

 それは呪骸操術に秀で、ひいては魂の扱いにも精通している、(すっくんの中では)東京校最強の男・夜蛾正道だった。

 

 

 

『“その力"を手に入れた先で、何を望む?』

 

「俺が望むもの、それはハッピーエンドだ。」

 

『...ほお。』

 

「この『呪術廻戦』がどういう世界か、何となくだが分かってきた。この世界は呪われていると言っていい。ならば俺が、その呪いを解いてやる!!」

 

『.............』

 

「これは多分俺にしかできないことなんだ。その役目からは逃げたくない。」

 

『...この世界の呪いを解く、か。途方もない目標だな。』

 

「分かっている。だが、諦めるつもりはない。俺も、相棒と同じだ。生き様で後悔はしたくない!」

 

 すっくんは夜蛾の指導の下、着々と魂の扱いを学んでいった。この段階で彼は、自分の術式の正体に気づく。

 

『宿儺。余計なことは考えるな。ただひたすらに対象を観察し、宿儺ぁ!!!もっと丁寧に観察しろ!そうすれば、形、重さ、色が鮮明になって、宿儺ぁぁ!!乱暴に扱うなと教えたろ!!もう一回だ!!』

 

「はい!師匠!!!!!!!」

 

 すっくんは複数の魂を持つパンダや、真人との戦闘経験を持つ七海建人に事情を話し、しばしば特訓に付き合ってもらっていた。

 

 

 さらにすっくんは、高専の回収した改造人間の遺体から、変形した魂への理解を深ようとしていた。

 

 

『聞いたぞ。毎日、霊安室に通ってるって。しかも一度入ったら、数時間は出てこないとか。すっくん、本当に大丈夫なのか?』

 

「前に進むために必要な事をしているだけだ。病んでるとかではない。安心しろ。」

 

 

 伏黒達から心配されながらも、すっくんの理想は少しずつ現実味を帯びてくる。

 

 

 

 

 魂への理解が深まったすっくんは、転生者の魂に気付くほど、その感知が上達していた。

 

 彼の最終目標は、2つ。

 

 そのうちの1つは、無為転変を駆使して改造人間を治す事。しかし、これには課題があった。

 

 

『実戦で、術式は使えそうですか?』

 

「もう少し、かかりそうだ。過程がどうも掴めない。手本をこの目で見れれば、いや、それは絶対にダメか。まあ、安心してくれ!」

 

 

 人間の魂が変形する、その”過程“。それだけが掴めなかった。

 

 しかし、真人との3度目の戦いで、彼は何度か魂の変化をその目に焼き付けている。

 

 

「俺達、順平やみんなの分まで、ちゃんと苦しむよ。」

 

 

 真・幾魂異性体と対峙した際、すっくんの術式は、順平の姿を模した改造呪霊に作用する。

 

 混ぜ合わされた歪な魂達は、優しく解きほぐされ、安らかな眠りへとついていたのだ。

 

 

 そして真人の神業領域によって、釘崎と七海が目の前で改造され、すっくんは遂に、無為転変の極意を掴む。

 

 

『あとは、頼みます。貴方達2人を、信じていますよ。』

 

 

 七海の呪い(エール)を受け、

 

 すっくんは覚醒する。

 

 最終目標の2つ目は、相棒である虎杖悠仁を改造し、完全顕現を可能にする事だった。

 

 

「行くぞ、相棒!!」

『ああ、ドンと来い!』

 

 

 虎杖は相棒を信頼し、その身を委ねた。

 

 結果、虎杖悠仁は檻としての機能を停止し、心優しき呪いの王は帰還する。

 

 

「術式反転。」

 

 

 無為転変。

 

 魂を捻じ曲げ殺す力は反転し、魂を治し救う力へと変わっていた。

 

 

「領域展開!!!!!」

 

 

 全ての改造人間を救い出したすっくんは、進化した真人に、ゆっくりと近づいていく。

 

『...なんなんだよ!!宿儺ぁ!!お前は一体、なんなんだあああああああ!?』

 

「真人、認めるよ。俺は、お前だ。」

 

 

 壊すための強さと、救うための強さを、それぞれ手に入れた2人に。

 

 天から同じ術式を授かった、2つの呪いに。

 

 決着の刻が訪れようとしていた。

 

 

 

 

 

『ふざけるなぁ!!無為転変(それ)は、俺だけに許された自由なんだ!!!』

 

 宿敵の覚醒に激昂しつつも、真人は取るべき最善手を模索する。

 

 今のすっくんは、領域直後で術式が使えない。しかし、真人の術式は既に回復している。

 

 ならば、答えは一つだった。

 

『領域展開・自閉円頓裹!!!』

 

 真人は掌印を組み、一撃必殺を狙った。

 

 縛りで閉じない領域は使えない為、彼が展開したのは結界を閉じた通常の領域。

 

『死ねっ!宿儺あああ!!!』

 

 宿敵の全てを否定すべく、真人は心象風景を解き放つ。

 

 しかしその只中でも、すっくんは落ち着きを崩さない。

 

「簡易領域」

 

 すっくんを中心に、巨大な円形の光が浮かび上がった。

 

 それは自閉円頓裹の必中効果を無効化し、結界の主を魔の手から守りきる。

 

『チッ、悪あがきをっ...!!』

 

 進化した真人は、さらに自由に自身の魂を操作できる。

 

『無為転変・常世繰雛(とこよくりひな)!!!』

 

 領域内に存在する幾つもの不気味な腕から、真人の分身が生まれ堕ちた。

 

 その数は、計13体。

 

 彼らは全員、真人の一つ前の形態・偏殺即霊体の姿を借りている。

 

『奴を、殺せええええええ!!』

 

 迫り来る宿敵達を前に、すっくんは簡易領域を展開したまま一歩を踏み出した。

 

「ブラックサンダー・スクナックル。」

 

 次の瞬間、分身数体に風穴が開く。

 

 高速で接近したすっくんの黒閃連打は、遍殺即霊体達をその装甲ごと打ち砕いていた。

 

 その神速に真人は自らの目を疑う。

 

「闇より出でて闇より黒く、その汚れを禊ぎ祓え。」

 

 続いてすっくんは、簡易領域と複数個の帳を併用する。

 

 強固な極小の結界が、分身1体1体を閉じ込め、みるみるうちに収縮していく。

 

「帳サンドイッチ。」

 

 真人達は魂の輪郭ごと漆黒の壁にすり潰され、悲鳴と共に消滅した。

 

『クッソ、何でっ...!?』

 

 元々すっくんは、術式に頼らない戦いを得意としていた。

 

 力を取り戻した彼にとって、術式の不使用は大したハンデにはならない。

 

『まだだ!今の俺に限界はない!!』

 

 追い詰められた真人は、憎悪に顔を歪めながら掌印を組む。

 

 先程よりも大量の分身が出現し、100体にも及ぶ偏殺即霊体の群れがすっくんを取り囲んだ。

 

『これでっ...!』

 

「領域展開」

 

 膨大な呪力を持つすっくんだが、“本物”ほどの燃費の良さはない。

 

 術式が回復しても、必中必殺の領域を放てない彼は、とある“縛り”でその問題を解決する。

 

 すっくんが展開した領域は、必中必殺効果が無い事と引き換えに、低コスト且つ押し合いに強い。

 

 その性質は、某パチカスの使うソレと少し似ていた。

 

 

領域展開・勇士英傑譚

 

 

 すっくんだけの領域が、真人の世界を塗り替えていく。

 

 彼の背後には巨大な本が浮かび上がり、ひとりでに捲られたそのページが開かれる。

 

『何なんだ、それはっ!!!』

 

 その光景に戸惑いつつも、真人は大量の分身を差し向ける。

 

 それに対しすっくんは、両手の人差し指と中指を交差させる、独特の掌印を結んでいた。

 

 真っ白だった本のページは色づいていき、そこに描かれた“英雄”の力が領域の主に宿る。

 

「多重影分身の術」

 

 すっくんが戦場を埋め尽くした。

 

 その数は、真人の分身100体の10倍以上。

 

「すっくん・二千連弾!!!!!」

 

 呪いの王は波となって真人達に押し寄せる。数の暴力による蹂躙で、真人の分身はたった数秒で全滅していた。

 

『それがっ、お前の領域かっ...!!』

 

 聳え立つ本は再び白へと染まり、すっくんの分身達も煙と共に消えていく。

 

 彼の領域・勇士英傑譚は、“無為転変で再現可能な英雄の力”を、最大限に引き出すというものだった。

 

 本には次の英雄が浮かび、すっくんに更なる力を授ける。

 

「ゴムゴムの黒閃バズーカ!!」

 

 空気を切り裂きながら伸びるすっくんの両手は、真人の身体に突き刺さって黒い火花を散らす。

 

 魂への理解が無ければ、接触も認識もできない寂滅呪縛体も、すっくんの前では何の意味も成さない。

 

「月牙天衝・スクナマス斬り」

 

 猛攻は止まらない。

 

 すっくんの放った飛ぶ斬撃は、巨大な黒いオーラを纏って真人の身体を両断する。

 

『ハァ、ハァ、お前はっ、』

 

 魂の根源を理解し、完成を果たした真人。満たされた筈のその器に亀裂が入る。

 

『必ずっ、この手で葬るっ!!』

 

 苛立ちが込み上げるまま、真人はその身体を巨大化させた。彼は、渋谷の地下を崩しながら地上へと飛び出していく。

 

「召喚!」

 

 すっくんは生み出した分身を“モンスター”に変身させると、駅に残されていた仲間達を救出する。

 

 “青い眼を持つ白き龍”は、意識の無い七海と釘崎を医療テントに送り届けた。

 

『お前も、お前の仲間もっ、全部っ

 

「弾けて、混ざれ。」

 

 呪力で作られた光弾が、上空で輝きを放つ。

 

 それを合図にすっくんは、立派な尾を持つ大猿へと変貌し、真人の右腕を噛みちぎっていた。

 

『っ、舐めるなあああああ!!』

 

 その巨躯から生やした無数の腕で、真人は宿儺を殴りつける。

 

『無為転変・千薩儒怨(せんさつじゅおん)

 

 その千発の打撃は、全て黒閃を発生させていた。

 

 しかし真人は、手応えを感じられない。黒閃の乱打を受けていた大猿は、いつの間にかただの丸太と入れ替わっていた。

 

『上かっ!?』

 

 気配に気づいた真人の頭上で、掌印を結んだすっくんは更に変身を遂げる。

 

「変化の術。」

 

 そこには、9本の尾に鋭い爪と牙を持つ、橙のバケギツネの姿があった。

 

 その大口では、反転術式の白いエネルギーが球状に収束し、神々しい程の輝きを放っている。

 

『クッソ、クッソ、クッソ、クッソォォォォォォ!!!』

 

 光弾に包み込まれた真人には、業火に焼かれながら全身をすり潰されるような、想像を絶する痛みが走った。

 

『はあ、はあ......無駄だ!言ったろ!今の俺は、何度でも蘇える!!!』

 

 自我を失う程の痛みと共に消滅する真人だったが、寂滅呪縛体の性質を利用し、何とかその魂を甦らせる。

 

 彼は無我夢中で、人間大に戻った宿敵へと、その手を伸ばした。

 

『無為転変っ!!』

 

「無為転変。」

 

 真人の掌とすっくんの拳が触れ合い、互いの生得術式は同時に発動する。

 

 そしてその軍配は、より気高い魂を持つ者へとあげられた。

 

『嘘だっ、こんなっ...!今の俺がっ、魂の“格”で負けるなんてっ!!ありえないっ!!!』

 

 真人の魂は宿敵によって歪められ、闇の中へと堕ちていく。

 

 そして、

 

 

 

 

『ハァ、ハァ、ここはっ...!』

 

 次の瞬間、真人はスクナワに縛られ、あらゆる抵抗を封じられた状態で目を覚ます。

 

 そこは彼が忘れもしない、すっくんの生得領域の中だった。

 

「真人」

 

 怒り、憎しみ、そして覚悟。感情のごちゃ混ぜになった声が、真人の背後で響いた。

 

『宿儺...!』

 

 倒れたままの真人にゆっくりと近づいたすっくんは、その拳を振り下ろす。

 

『がああああああああああああああああああああっ!!』

 

 打撃との誤差0.000001秒以内に、正の呪力の衝突が起きる。呪力は純白の輝きを放ち、空間を歪ませた。

 

「白閃。」

 

 呪霊にとっての猛毒が、強力な打撃と共に真人の魂へと叩きこまれ、その全身を爆散させる。

 

『はあ、はあ......俺はっ、不滅だ!何度だって蘇って、いつか必ずお前を......があああああああっ!!』

 

 甦った真人は再び殴り殺され、やはりその直後に再生を始めた。そんな彼に対し、すっくんは淡々と“未来”を告げる。

 

「これから、お前を殺し続ける。」

 

 再生を終えた真人を、すっくんは純白の稲妻で踏み潰す。

 

『がああああああああああああ!!!!』

 

「何度だって殺し続ける。お前の心が折れるまで、何度だって。」

 

 すっくんの目に浮かぶのは、冷徹なまでの殺意だった。

 

『やめ』

 

 再生した真人の魂は、白閃で蹴り殺され、痛みを噛み潰す。

 

『あがああああああああああああああああああああああ!!!』

 

「ここは俺の心の中。時間なら、いくらでもある。」

 

 生き返った真人は白閃によって葬られる。

 

『あ、ああああ、ああ............』

 

 永久に終わる事のない、殺されるだけの時間。

 

 寂滅呪縛体の原動力である宿敵への憎悪は、天敵への恐怖に上書きされていく。

 

 次第に真人の魂は摩耗し、その再生速度も落ちていった。

 

『ああ、あああ、ああああ.....』

 

 それでも、僅かに残った憎しみが、真人を立ち上がらせる。

 

『ああっ、ああっ、ああ〜!!!!』

 

 再生と同時に殴りかかった真人だが、その拳はアッサリと受け止められる。

 

『っ...!』

 

 自身を睨みつける、冷たき赤い眼。その視線に怯んだ真人の頭は、白閃によって砕かれていた。

 

『あ、ああ.............あ、あっ、あああ........』

 

 次の再生後、芋虫のように地面を這いずりながら、その場から逃げようとする真人。そんな彼の背後から、死神が迫りくる。

 

「せいぜい、噛みしめろ。」

 

 真人の魂は白い稲妻の餌食となって、数えきれない程の死と再生を繰り返す。

 

「次。」

 

 真人の魂は殺される。

 

「次。」

 

 真人の魂は殺される。

 

「次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。次。」

 

 

 真人は殺され続ける。

 

『あああああ、あああああ、いや、いやだぁあ!!』

 

 もはや彼の魂は、“天敵”への恐怖に塗り潰されていた。

 

『たすけてぇえ!漏瑚ぉ!花御ぃ!!陀艮っ!!ねえぇえ、どこにいるんだよぉおお!』

 

 錯乱した呪いは、泣き叫びながら助けを求める。

 

『誰でもいいぃ!俺を助けろぉっ...!あ、ああっ...夏油ぉおぉおおおぉ!!お前は、俺が必要なはずだろぉおお!!来い!来てくれよぉおおお!!』

 

 だが、ここはすっくんの生得領域。その声は誰にも届かなかった。

 

『あ、あああああ............................』

 

 呪いとして欲望のままに人を殺す。

 

 誰よりも自由な道を突き進んできた真人に、報いの刻が訪れる。その歩みは、終わりを迎えようとしていた。

 

『あああ........................』

 

 無為転変(アイデンティティー)の喪失。

 

 決戦での敗北。

 

 度重なる苦痛と死。

 

 真人の心はもう、

 

 完全に折られていた。

 

 彼にはもう、改造人間(どうぐ)も、呪霊(なかま)も、夏油(共犯者)も、いない。

 

 すっくんにとっての虎杖悠仁達のような、心の支えとなってくれる相棒や仲間など、いる筈もない。

 

 その差が2人の命運を大きく分けた。

 

『ああ.....................................あ..........................................................』

 

「白閃。」

 

 何度目かも分からない消滅を最後に、真人の魂は虚無へと沈む。その場には、深い静寂だけが残されていた。

 

「......真人。お前の力なら、人を助ける生き方だって出来たはずなのに。」

 

 宿敵の消滅を見届け、すっくんは現実へと還ってくる。

 

「今度こそ、終わったよ。」

 

 今は亡き友に向かって、彼は静かに語りかけた。

 

「ようやく約束を果たせた。待たせてすまない、順平。」

 

 戦いを終えたすっくんは、その場で手を合わせて目を閉じる。

 

 彼のポケットから、とある映画の半券が溢れた。ソレは風に乗って、空の上の友の元へと運ばれていく。

 

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