宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」 作:バケギツネ
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記録
西東京市英集少年院。
特級仮想怨霊(名称未定)が出現。緊急事態のため高専1年生3人が派遣される。
特級呪霊の討伐時、呪いの王両面宿儺が顕現。それに対抗した2級術師伏黒恵が自身と宿儺を対象に、魔虚羅の調伏の儀を行う。
その結果、虎杖悠仁と伏黒恵、その両名が死亡。
これにより調伏の儀は終了。魔虚羅は異界へと帰還する。
その数分後、
「小僧〜!!!!!!やっと会えたな〜!!!!嬉しいぞ、ケヒヒッッ!ほら、突っ立ってないで、座ったらどうだ?」
虎杖悠仁は大いに混乱していた。
特級呪霊を倒すため、宿儺と替わったと思えば戻れなくなり、気づけば魔虚羅とかいう化け物が現れて戻るに戻れなくなり、ついには死んだと思っていたら、見知らぬ場所で目を覚ます。
おまけに目の前には、ジャージ姿で畳に寝そべる両面宿儺。もうパニックだった。
『お、お邪魔しまーす。』
「おお、おお。遠慮するな。悪いな、茶は出せん。ここは俺の生得領域。心の中のようなものだからな。」
『心の中....?』
「つまりだ、俺たちはまだ死んでいないということだ!!」
宿儺の手に目に見えるほどの膨大な呪力が宿る。
「俺の新たな技を使えば、貴様は生き返れる!!とくと見よ!!!小僧!!!!」
宿儺の手に宿った呪力が、一粒の豆ほどのサイズで結晶化される。
「これを食え。名付けて、[呪いの王の手作り仙豆]だ。」
『呪いの王の手作り仙豆だぁぁ!?』
今の宿儺の既存の呪術に囚われない自由な発想は、反転術式に新たな可能性を示した。それは、反転術式に用いる正のエネルギーを宿儺が固形化したもの。
「そいつを食えばお前は生き返る。その後は、伏黒恵にも食わせてやれ。2個めだ。」
宿儺はこともなげに、2つ目の仙豆を作ってみせる。
「だが!クックック、ただで生き返らせてやるわけにはいかんなあ!!小僧、貴様には俺と縛りを結んでもらう。」
『あの、縛りって?』
「ふっ、そんなことも知らんとは。それでも俺の器か?」
ちなみに宿儺も、先程知ったばかりである。
「縛りっていうのはだな。まあ、HUNTER×HUNTERの制約と誓約だ。」
『なんでジャンプに詳しいんだよ、呪いの王.......』
余談だが、宿儺が魔虚羅との戦いで結んだ絶命を引き換えにした縛りについて。
縛りによる絶命を待たずして、彼は器ごと確かに一度死んでいる。その後蘇生しようと、縛りを破ったことにならないのだ。
原作の乙骨憂太も「虎杖悠仁を殺す」という縛りを、殺害からの蘇生!!!で乗り切っている。
『縛りって、俺に何させる気だ?』
虎杖悠仁は警戒する。彼にしてみれば、相手は両面宿儺。呪いの王なのだ。
「お前に要求するのは5つだ。クックック......」
宿儺からの縛りの提案、そこには必ず何らかの目的がある筈だ。受け入れるべきではない。とはいえ、自分が生き返らなければ、仙豆を渡せず伏黒は死ぬ。
さすがは呪いの王。先程、伏黒の分の仙豆を作ったのは、そのことを念押しするためか...
と虎杖悠仁は考えた。
結論から言おう。買い被りだ。
宿儺の人、そこまで考えてないと思うよ。
『で、何だ?その要求ってのは。』
「ケヒヒッッ、まずは一つ。以後、俺のことはすっくんと呼べ。」
『...ん?』
「二つ。お前のことは悠仁と呼ばせろ。」
『え?』
「三つ。悠仁は毎日三食、俺の分のご飯を用意しろ。一食500円まででいい。」
『いや.........』
「四つ。悠仁のスマホで俺にYouTubeを見させろ。1日1時間...いや、3時間まででいい。」
『結構図々しいな!!!!」
「そして五つ。これからは、俺が合図をしたら、すぐに身体を明け渡せ。」
『!!待て、宿儺!いや、すっくん!!!』
「合図は、そうだな......“HEY 悠仁!‘とでもしておくか。」
『流石に、身体を無条件で明け渡すのは.......』
「分かった。ならば、さらに細かい擦り合わせをしよう。」
◇
俺は焦っている...
反転術式を身につけた際は、こう思ったのだ。
Q
これもしかして、命を懸けた縛り使いたい放題なんじゃね?
A
ダメです。
現実は非情だ。命を懸けた縛りは、複数回の使用を想定していなかった。
ともかく今の俺には、アイツに...
女子供大好きな適応変態野郎にしてラスボスの魔虚羅から、みんなを守れる力がない。
アイツが何者なのか、どうして俺たちを狙ったのかはまだ分からない。だが、いずれアイツとはまた戦う。
そんな気がするのだ。
『マーコマコマコ!!!両面宿儺!!!次は必ず殺すマコ。そして、お前の大切なものはぜーーーんぶ僕が、ガッコンガッコン(意味深)してやるマコよ!!』
奴の、そう言う声が聞こえた気がした。
《幻聴です。》
ともかく!俺は一刻も早く強くならなければ。そのためにはある程度身体の自由が必要になってくる。
悠仁の身体に慣れたいし、修行もしておきたい。指探しなんかもしないとだし...
ついでに美味しいものを食べてYoutube も見たい。
「ならば、ルールを詰めよう。身体の支配権が俺にある時のな。
1、俺は人を殺さない。
2、お前が[HEY すっくん]といえば、
身体の支配権をすぐに取り返せる。
こんなところでどうだ?」
『それなら......まあ。』
「よし、縛りの成立だ。安心しろ。これは他者との縛り。
破ればペナルティーがある以上、俺が約束を違えることはない。.........あと、悠仁に言っておきたいことがある。」
俺は畳に、自分の頭を擦り付けた。
「俺が弱いせいで、悠仁達を守れなかった。怖い思いをさせた。本当に.....すまない!!!!」
◆
『もう、いいって......』
虎杖悠仁はずっと見ていた。宿儺が自分の身を顧みず、伏黒を守ろうとしていたのを。
初めは疑う気持ちもあった。何か裏があるのかと。だがこうして直接話してみて、その疑いは晴れた。
『顔を上げろよ。おまえ、いやすっくんはさ、悪ぶってるけど、ホントはいい奴だろ。』
「え、あ、いや............」
『俺はもう、すっくんを呪いとしては見れない。なあ、俺たち....友達になれないか?』
◇
『俺はもう、すっくんを呪いとしては見れない。なあ、俺たち....友達になれないか?』
悠仁からの熱い告白!!!
ヤバイ.....嬉しすぎる.........!!!!!!
ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ
やべえ、悠仁の前なのにニヤけてしまいそう!
まだだ、まだ笑うな......!相棒キャラとしての、威厳を保たなくては....!
「か、勘違いするなよ悠仁!俺は、自分が死にたくなかった、だけなんだからな!!!」
『めんどくさいな、すっくん.....』
◆
『ここは...』
『お、起きた!大丈夫か?伏黒。』
「無事でよかったぞ、伏黒恵。」
呪いの王の手作り仙豆によって、伏黒は蘇生する。
『そうか。俺は...巻き込んですまなかった虎杖。』
『気にすんなって。何だかんだで、誰も死んでねえし。無問題だよ!』
「宿儺もすまなかった。俺はあの時、信じることができなかった。」
伏黒は、両面宿儺に頭を下げた。
◇
恵くん、なんで謝ってるんだ?
悪いのは、どこからともなく現れたあのマコマコ変態野郎だろ?むしろ俺に協力してくれた恵くんがどうして....
あ
『俺は先にいく。せいぜい頑張れ。』
魔虚羅が現れた時の、恵くんの言葉を思い出す。
まさか恵くんは...
あの状況で諦めたことを、自分を信じることができなかったのを悔いている!?
なんてストイックな子なんだ!
「頭が低いな。顔を上げろ、伏黒恵。あの状況では仕方ない。お前はただ、仲間(俺)を巨悪(魔虚羅)から守ろうとしただけだろう?命まで懸けてな。なかなかできることではない。」
突然ラスボスに襲われたらそうなるよ、しょうがない!そのあと命懸けで戦ってくれたし、カッコよかったよ!!
「誇れ、お前は強い。」
『......ありがとう、宿儺。』
「すっくんでいい。」
『す、すっくん.....』
『ププッッ!』
『笑うな、虎杖!!!!』
◆
さらにそれから数時間後、現着した五条悟は頭を抱えていた。
特級呪霊、
両面宿儺、
魔虚羅、
虎杖と宿儺の縛り、
処理する情報が多すぎた。
彼は簡易的な無量空処を味わっていた。
『先生、大丈夫だって!縛りって言っても、ほとんどしょーもない奴だし、それにすっくん、いい奴だし!!』
『すっくん?あのねえ〜、相手は呪いの王なんだよ?ほら、恵もなんとか言ってよ。』
『先生。すっくんは、信用に足る人物です。』
『嘘でしょ、恵..』
普段は人を振り回す立場の現代最強は、自分が振り回されることへの耐性が皆無だった。
結局、五条は上層部に対して誤魔化しきれない、宿儺と魔虚羅の件についてはありのままを報告。
虎杖と宿儺の縛りについては隠蔽し、虎杖が反転術式に目覚めたといった虚偽の報告で済ませた。
一時的とはいえ宿儺が顕現したことを受け、上層部のいくつかの派閥は、虎杖悠仁の即時処刑を主張。それを黙らせたのは五条悟の鶴の一声と、
呪いの王の手作り仙豆だった。
虎杖悠仁がいれば、ポータブルな反転術式を量産できる。その金の卵に飛びつくものは多かった。
その結果、上層部は決断する。
1日2個の呪いの王の手作り仙豆、その製造と上層部への提供を条件に、虎杖悠仁の秘匿死刑を.......
◆
ここは、都内某所のスシ○ー。
『ではでは〜、虎杖悠仁の秘匿死刑〜!その撤回を祝して〜かんぱーーーーーい!!!』
乾杯の音頭をとる、五条悟。
『今日は僕の奢りだから〜!!ジャンジャン食いなさーい!!』
『マジで!?先生最高ーーーーー!!』
「ケヒヒッッ、マジっすか!?五条さん!?」
子供のようにはしゃぐ、呪いの王とその器。黙々と高い皿に手を伸ばす伏黒。
「ケヒヒッッ!悠仁、そこのサーモンをとれ。」
『オッケー、あ、身体替わる?』
「いや、いい。お前の顔に口を生やして、そこから食べる。」
『分かった!あーーーん。』
「あーーーーーーーん。」
『いや、ちょっと待たんかい!!!!』
釘崎野薔薇は、たまらずツッコむ。
『なんだよ〜、あ、釘崎もサーモン欲しいの?』
『要らんわ!!』
彼女は混乱していた。
自分が入院している間に宿儺が、なんか、馴染んでいる...!
彼女は、2皿目のウニに手をかけている伏黒に助けを求めた。
『ちょっと伏黒!!共食いしてないでツッコミなさい!!』
『誰がウニだ。』
『ここ、回転寿司よ!?あんな奴がはしゃぐ場所じゃないでしょーが!!!」
『釘崎。すっくんに失礼だぞ。』
『さっきからすっくんって何!!!???』
サーモンを完食した呪いの王が話に乱入してくる。
「俺がそう呼ぶよう、恵くんに命じた。親近感が湧いていいだろう?」
『伏黒!あんたも何で、素直に言うこと聞いてんのよ!!』
『この人、俺の命の恩人だぞ。』
『ああもう!!変なとこ真面目なんだからあんたはぁぁ!!』
釘崎は考えるのをやめ、煮穴子に手を伸ばした。
『あ、そうだ!悠仁〜。』
五条はプリンアラモードをつつきながら、本題に入る。
『悠仁の死刑についてのことなんだけどね〜。』
◇
悠仁の死刑について?
その話ならもう終わったよな...?
『1日2個、仙豆作れば死刑はなし!って、感じだっけ?』
悠仁の言う通り!俺の仙豆に釣られたお偉方は、悠仁の死刑を無しにしたのだ。めでたしめでたし!!!
俺の仙豆、そこまで人気が出るとは。
まあ、仙豆だしな。
いや〜、反転術式だっけ?
全てはこいつのおかげだ!!!!
感謝しかないな!
それを教えてくれた................
あれ
俺って
誰から教わったんだっけ?
反転術式。
それだけじゃない。
縛りのあれこれとかも。
魔虚羅と戦って死ぬまで
俺は全く知らなかった筈だ。
一体誰が.........
ま、そのうち思い出すか!トロサーモンいただき!!
その旨味を楽しみながら、五条先生のありがたい話に耳を傾ける。
『確かに死刑は無くなった。でも上の奴ら、そういう縛りを結ばなかったでしょ?』
あ、そういえば。ってことは......?
『ジジイどもは、約束破る気満々ってこと。気を抜いちゃダメだよ。悠仁。』
『お、おっす!!』
悠仁、いい返事だ!
ま、何があっても悠仁は俺が守るがな!!
『そうだ、縛りといえば...』
五条さんの纏う空気が鋭くなった。
『宿儺が悠仁と結んだ縛りは、ホントにあの5つだけ?』
ん?何が言いたいんだ、五条さん。
『呪いの王なら、縛りには精通してるだろ?悠仁が自覚できない縛りでもあるんじゃないかと思って。』
そこにいたのは、いつものちゃらんぽらんな五条さんじゃなかった。
すごいプレッシャー、チビりそう........
『例えば.................縛りの条件の一つを”その縛りを忘れること“にするとかね。』
「え、それありなの?」
『ハハッ、流石に引っかかってくれないか。あ、恵〜、その大学芋取って〜!!』
五条さんの雰囲気が元に戻る。
何だったんだ?
それにしても自覚できない縛りか〜。
悠仁はそんなのに引っかかるほど、バカじゃない!!
失礼しちゃうな〜、プンプン!!
お、炙りサーモンもらいっ!!!
◆
これは、
虎杖と宿儺が魔虚羅に殺されてから、その2人が生得領域で対面するまで。その間にとある場所、とある2人の間で行われた会話である。
【.........2、この約束と俺の存在を忘れること。そうすれば、お前に反転術式を教えてやる。この呪いの王が、直々にな。】