宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」 作:バケギツネ
私、シン理子ちゃん!
「夏油くん、あとは頼むよ。」
すったもんだあって、私は『呪術廻戦』というアニメに転生した。
そこでは色んな出会いがあって、全部がキラキラして見えた。
本当に素敵な世界だ。ちょっとグロかったり、エグかったりするけど、それでも私は友達が生きるこの世界が好き。
守りたい。だから天元様というすっごく偉いお方と同化する道を選んだ。
「ちょっと怖いなぁ〜。どんな感じなんだろう同化って。痛くないといいけど、」
前世で何度も経験した、手術直前みたいな気分だ。
というか、残してきた夏油くんや五条くんは大丈夫だろうか?あの顔と声がいいだけの筋肉ゴリラに夏油くんは勝てるだろうか?五条くんはちゃんと復活できるだろうか?
いや、今、それをウジウジ考えても仕方ない。2人を信じよう。それに私も気を抜けない。
あの筋肉ゴリラは、天元様の結界を何故だか素通りできるらしい。こうして、結界内にいる私も、決して安心はできないのだ。
ここで私がやられたら、何もかもおじゃんだ。よし、怪しいやつを見つけたら、ソッコーぶん殴ってやろう。
『よく来たね。天内理子。いや、その内に宿る者というべきか・・・ぶふぉっ!?』
「理子ちゃんパーーンチ!!!!」
早速怪しいやつ発見!
明らかに人間じゃない!呪霊だ!だって頭が親指みたいな形してるし、目がいっぱいあるし!
「覚悟しろー!化け物ー!」
早速、私の鉄拳が火を吹いた。倒れた化け物に馬乗りになって、上からさらに追撃を加える。
「このっ、曲者め!天元様は私が守る!このっ、このっ!」
『ちょ、痛い痛い。おちつ、ぶふぉっ、落ち着いて。私がその天元なんだ。』
「え、」
『すまないね。名乗るのが遅くなった。』
「マジで、天元様で、あらせられ奉りますか?」
『固くならないでいい。よく来てくれたね。ここまでお転婆な星漿体は初めてだ。』
「誠にっ、申し訳ありませんでした!!!!!!」
私の判断は早かった。すぐに天元様に上から飛び退き、着地と同時に土下座の体勢に入る。
「本当にごめんなさい〜!天元様だって、全然気づいてなかったんです!本当です!天元様のことはすっごくリスペクトしてて、ただ、見た目を知らなかったから、いや、実際の見た目だって凄く素敵だと思ってて、」
『ハハハ。大丈夫。怒ってないよ。呪霊と見間違えるのも無理はない。私も少しばかりは、強面だという自覚があるさ。』
許してくれた。聖人すぎる。一生ついていきます。まあ、同化するから実際そんな感じか。
「あの、今日は同化しに来たんです!私、何したらいいですか!?」
『まあまあ。焦らなくてもいい。こうして君を出迎えたのには、理由がある。じっくり話をしたいと思ってね。君の“転生”についてだ。』
「あ、はい、私説明下手なので、ちょっと時間かかっちゃうかもしれないですけど。」
『構わないさ。ゆっくりと聞かせてくれ。』
天元様が指を鳴らすと、真っ白だった空間に、いきなりこたつが出現する。
「わぁ、すごい!」
『結界術の応用さ。何ならみかんも取り寄せてみるかい?』
思っていた以上に天元様は優しいというか、フランクな人だった。
私の拙い説明も急かさず最後まで聞いてくれて、優しい声で相槌をうってくれる。
前世で隣に病室にいたおばあちゃんと話してるみたいな、そんな感覚だった。
『なるほど。ソレが転生の経緯か。』
「正直私も何も分かってなくて。天元様なら、何かわかるんじゃ。」
『ハハッ、私にもさっぱりだよ。だが、これだけは言える。』
天元様は私の肩に手を置いて、その奇妙、いや、ちょっと怖い、いや、えっと、個性的な目で私を見つめる。
『世界は君を必要としているんだ。』
「え、ええっ?」
『星漿体が特異な変化を遂げるケースは過去にもあった。変わりゆく呪いに抗うために、星漿体がその性質をより適したものに変化させるんだ。君の転生も、その一環なのかもしれない。』
「な、なるほど。」
と相槌を打ってみたものの、何となくしか分からない。
『ハハッ。まあ、難しく考える必要はないさ。この際、結論を先に言おう。これから同化を始める。ただし、主人格になるのは君だ。』
「え、ちょっと待ってください!」
『ソレが恐らく世界にとっての最適解だ。安心してくれ。私の技術と記憶は、同化と同時に君へと引き継がれる。』
「いや、そうじゃなくて、」
主人格が私?同化について特別詳しいわけじゃないが、嫌な予感がする。
この身体の本来の持ち主の事が頭をよぎった。
「ソレだと、天元様の自我はどうなっちゃうんですか?」
『・・・君は優しい子だね。心配はいらない。私はもう十分に生きた。生きすぎたくらいだ。もはや自分の使命以外に、この世にしがみつく理由は無い。だから、』
天元様の身体が発光し、徐々にその輪郭がぼやけていく。
『これは私のわがままだ。』
天元様は静かに溶けて、私と混ざり合っていく。頭の中には存在しないはずの記憶が溢れ出した。
『むしろ、謝りたいくらいだ。20にも満たない少女に、千年の因縁を背負わせてしまう。本当にすまなかった。』
ポツリと謝罪の言葉を口にして、天元様は消えていく。とても責める気にはなれない。
同期した記憶から、天元様の感情が伝わってくる。彼女がどんな想いでこの世界を守り続けてきたのか、ソレを心で理解できた。
私は後を頼まれたんだ。彼女から授かったこの大いなる力には、きっと大いなる責任が伴う。
「必ず守ってみせるよ。この世界を。」
背負う思いは2人分に。
この日から私は、シン理子ちゃん、もとい、シン天元様になった。