宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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見ているだけってもどかしいよね。

 

◇ side : シン理子ちゃん

 

「うおおおおお!夏油くん〜。教祖就任おめでとう〜!」

 

 シン・天元様になってからというもの。私は毎日、結界をネリネリする傍ら、友達の覗き見に明け暮れていた。というのもそれくらいしか楽しみがないのだ。

 

 日本中の結界維持のため、私は薨星宮から出れない。遊びに来れる人もいないし、私の声を外に届けることも無理。そういう縛りだ。

 

 六眼が現世から消失するくらいの因果の乱れが起きない限り、私はここで1人ぼっちというわけ。

 

 でも全然嫌ではない。

 

 自分がちゃんと世界の役に立てている。その実感があるし、元の世界じゃ色々あった夏油くんが、明るく笑えているのを見れる。

 

 それだけで十分だ。

 

「五条くんはやっぱ先生になるんだ〜。コンプライアンス面で大丈夫かな〜。夏油くんにもどんどん仲間が増えてるみたいだし〜。」

 

 2人はもうそれぞれの道を歩んでる。その足取りに迷いはない。友達として私も鼻が高いよ。

 

「ファイト、2人とも。」

 

 きっと私は、彼らの人生を覗き見続けるんだろうな。私は不死になっちゃったから、きっと2人を見送ることになると思う。

 

 いつかは2人も歳をとって、小皺ができたり、腰が曲がったり、介護とかも受けたりするんだろうか。

 

 呪霊に乗って徘徊する傑おじいちゃん。無下限で点滴を拒否する悟おじいちゃん。『俺たち、最強だったから(ガチ)』と武勇伝に花を咲かせるおじいちゃんズ。

 

 そんな姿を思い浮かべて、不謹慎だけど頬が緩む。

 

 うん。やっぱあの2人が、平和に歳をとった姿は想像できない。でもそうなってほしいな。

 

 それがきっと、正しい生き方と死に方だから。

 

 どうか2人を殺すのは、呪いじゃなく、時間であって欲しい。こんな事言ったら、五条くんは怒りそうだけど。

 

 何にせよ。2人は大勢に囲まれながら、天寿を全うして欲しい。願わくば、その大勢の中に私自身も入っていたいな。

 

 そうだ、結界術の練習を頑張ろう。天元様との同化のお陰で、今の私は技術も知識も充分だ。私が薨星宮に居なくても、問題なく機能する結界。そういうのを開発してみよう。

 

 そうすれば、あの2人にまた会える。

 

 私の自我が残ってる事は、まだ誰も知らないだろうし、2人ともビックリするだろうな〜。

 

 デカいプレゼントとかに隠れて、「オッパッピー」とサプライズを仕掛けるのもいいかも。あの2人がどんな顔をするか、今から楽しみで仕方ない。

 

「よーし。目標決定〜!私がそれをできるようになるまで、長生きしてよ、2人とも〜!」

 

 

 

 

 

 

 

『夏油傑。全人類を術師にするというキミのプラン、いい線いってたと思うよ。ただ、キミは慎重すぎた。私なら、その身体をもっと上手く使える。』

 

 夏油くんは死んだ。殺された。まだ27歳だった。その身体は乗っ取られ、額には悍ましい縫い目が刻まれた。

 

 犯人の名は羂索。天元様とも因縁深い平安の呪詛師だ。

 

 存在は知ってた。マークもしてた。でも奴は、獄門疆を入手して以来、ずっと姿を眩ませてたんだ。

 

 天元様の力なら、世界の全てに目が届くが、アレは“人”でなく“場所”で観る力。一度所在を見失えば、追いようがない。羂索もそれを知っていたんだろう。現実世界と呪霊の生得領域を巧みに行き来しながら、姿を隠し続けていた。

 

 何にせよ。私は見ていることしかできない、役立たずだった。

 

「嫌だ...!嫌だ、こんなの...!」

 

 足りない。そう思った。私だけの力じゃ、この世界を変えるには、まだ足りないと。

 

 この世界を知る仲間が、もっとたくさんいてくれれば。

 

「お願い、みんなを助けて!!!」

 

 夏油くん達に会いに行くため、磨き続けた結界術。その成果が妙な形で開花した。

 

 私は自分でも気付かない内に、穴を開けたんだ。この世界と、別の世界との、狭間に。

 

 

 

 

「両面宿儺? 主人公の相棒か!」

 

「なるほど。この世界はディ◯ニーで、僕はそのヒロインなんだね?」

 

 そしたら何か変なのがやってきた。

 

 この世界に転生してしまった3つの魂。その中で無事だったのは、宿儺と脹相に宿った2人の転生者達だ。

 

 私のせいで過酷な世界へ招いてしまった事。本当に申し訳ないと思ってる。でも今は、彼らの力を借りてでも、成し遂げないといけない事があるんだ。

 

「羂索の企みは、私が止める。」

 

 奴の狙いは五条くんの封印だろう。

 

 いっそ、日本中の結界を壊してでも、五条くんに告げ口しに行く。それも考えた。けど、私の中の天元様がそれを否定する。それをやったら、日本は羂索以上の災厄に見舞われると。

 

「何とかしなきゃ...!間に合わなくなる前に...!」

 

 私が薨星宮に居なくとも、問題なく機能する結界。その開発に明け暮れた。でも中々上手くいかない。

 

 交流戦中、薨星宮の近くにコソ泥しに来た真人から、護衛さんを守る事はできた。でもソレは、薨星宮のすぐ近くだったからこそ、ギリギリ干渉できたに過ぎない。

 

 依然として、開発は難航していた。

 

「急がないと、私はまた、何もできずにっ、」

 

 完成の近いパズルで、最後の1ピースが見つからないような、もどかしい時間が続いた。

 

 そしてついに、

 

 

『獄門疆、開門。』

 

 

 その日がやってきてしまった。五条くんは封印された。夏油くんの姿をしたアイツに。

 

「ごめん......」

 

 私は、また間に合わなかった。

 

 望む結界が完成したのは、五条くんの封印直後。皮肉にも、封印直前の彼が見せた0.2秒の領域展開。それが最後の1ピースになった。

 

 いや。正確には、まだ完成していなかった。とある無理難題の縛り。それを加える事で、私は結界を傷付けずに、薨星宮から脱出を果たす。

 

「まだ私にも、できる事があるはずだ。きっと、」

 

 近所へ少し寄り道をした後、私は渋谷の戦場へ急いだ。仲間と別れ、中心部へと向かうその道中で、

 

『君っ、ここは危険です!早く避難を、ひっ、呪霊!?』

 

 セーラー服の上から白ローブを纏っていた私。それを呼び止めた細身で眼鏡の補助監督さんは、振り返った私の顔を見て、悲鳴をあげる。失礼な。

 

 まあ私は、同化で顔が天元様になっている。パッと見で呪霊に見えても仕方ないか。

 

「安心して!私は味方!天元様だよ!いや正確には天元様じゃなくて、濃縮天元様50%配合みたいな、と、とにかく、怪しい天元様じゃないから!」

 

 しどろもどろになりながらも、必死に説得を続け、土下座まで繰り出した私。

 

 思いが通じたのか、流石に可哀想に思われたのかは分からないけど。伊地知さんと名乗ったその人は、私の頼みを聞いてくれた。

 

「あとは、あの偽者の足取りを追って、」

 

 この渋谷での状況は大体分かっている。残る敵は羂索ただ1人。でも、奴と戦う転生者・すっくんは劣勢だ。私がサポートしないといけない。

 

「よし、見つけた。」

 

 私が探していたのは戦闘の痕跡。その中にある夏油くんの血液だった。私の術式は降霊。身体に宿せるのは、土蜘蛛のような霊獣に加えてもう一つ。

 

 死者の肉体と魂だ。

 

 死体の一部を体内に取り込む事で、その人物の降霊が可能となる。霊獣と違い、死者の魂も肉体も、呼び戻せるのは一度だけ。

 

 その分、死者の憑霊は強烈な切り札になりうる。

 

「ありがとう。皆が羂索に手傷を負わせてくれたお陰だ。」

 

 操られた夏油くんの死体。そこから溢れたであろう血液を取り込みながら、高専の術師に感謝を告げる。

 

 因みに、夏油くんの血は地面にこびりついていた。つまり私は、天元様の御姿で、這いつくばって床をペロペロしてる事になる。こんな光景、天元様を信仰してる盤星教の人達が見たら、発狂もんだろう。

 

「よし。これで準備は整った!」

 

 更に走ってすっくんを見つけた。今にも羂索に連れ去られそうな状況。転生仲間を救出すべく、私は術式を解放する。

 

「力を貸して、夏油くん!!」

 

 身体に降ろしたのは、夏油くんの“肉体”の情報。天元様の四角いボディーは形を変え、セーラー服の夏油傑が爆誕する。この姿、モノホン夏油くんを、廉直女学院に潜入させてた頃を思い出す。

 

『呪霊操術極ノ番・うずまき!』

 

 すっくんを捕まえていた毛深い呪霊を弾に変え、羂索の身体へと叩き込む。

 

『今の君は、一体何者なんだい?』

 

 ずっとずっと会いたかった友の仇。その懐かしくも憎らしい面に、私は渾身の啖呵を切った。

 

「私は、シン・理子ちゃんもとい、シン・天元様! 友達の仇を討つために、今、ここにいる!」

 

 失ったものを取り返すため、私の戦いが始まった。

 

 

 

◇ side: すっくん

 

「つ、つまり夏油さんは、結局、女の子で合ってたって事か...!?」

 

 突如出てきた白夏油が、黒夏油と殴り合い始めた。もう訳がわからない。

 

 でも2つ確かなことがある。白夏油の方は転生者で、俺たちの味方らしいという事だ。

 

 クッソォ、加勢してえのに。全身の骨がバキバキで動けねえ。呪力も空にされたせいで、反転での回復もできない。

 

 今の俺じゃ、見てる事しか、

 

「その気持ちは分かるよ。」

 

 え?

 

「でも今は、私達を信じて欲しい。」

 

 戦いの最中、ふと目が合った白夏油から、そんな思いが伝わってきた。気がする。

 

 

◇side:シン理子ちゃん

 

「貴方だけは絶対に許さない!」

 

『まさか君が直接出向いてくるとはね。』

 

 互いに振り抜いた拳は、同時に相手の顔へと届き、吹っ飛ばす。傍から見れば、双子の喧嘩みたいな絵面だろう。

 

『呪霊操術は使い物にならないか。』

 

「お互いにね。」

 

 その横では呪霊達が、待てをされた犬のように、ボケーっと棒立ちしてる。主人である夏油傑の二重存在に、呪霊操術もバグったみたいだ。ここまでは狙い通り。

 

 お互いが呪霊に頼れない今、勝負を決めるのはそれ以外の力だ。そして私にはまだ奥の手がある。

 

「降霊・土蜘蛛!!」

 

 夏油くんとなったこの身体に、蜘蛛を模した神秘的な魂を宿す。

 

『降霊の重ねがけか。』

 

 研ぎ澄まされた感覚が、身の危険を教えてくれる。格闘戦において、ソレは圧倒的なアドバンテージになる。

 

「せいっ!」

 

 タイミングを見切った羂索の攻撃に合わせ、傷の癒えきらない奴の腹に蹴りを叩き込む。

 

『っ、容赦ないな。友達の亡骸を相手に。』

 

「どの口が!」

 

 よろめいた羂索に、首を絞めつつ飛びかかる。マウントをとった奴に何度も拳を振り下ろした。

 

「黒閃...!」

 

 その度に黒い火花が散る。すっくん考案の呪力グローブ。これもまた結界術の応用で再現できる。

 

「うおおおおおお!!」

 

 ボルテージの上がるまま、殴って殴って殴り続ける。反撃の隙は与えない。降霊の重ねがけは消耗も大きいのだ。このまま一気に決めきれなければ、一気にこっちが不利になる。

 

『っ、領域展開』

 

 第六感が危険を察知する。アレの準備はまだできてない。今、領域を展開されるわけにはいかないんだ。

 

「させないっ!!」

 

 殴られながら掌印を結ぼうとしていた羂索。その腕を、蜘蛛の糸で絡め取って磔にする。

 

「まだまだぁ!」

 

 片手印も警戒して、無防備になった両の指も殴り潰しておいた。なのに、

 

「っ、あれ?」

 

 止まらない。頭の中では危機感知が未だ鳴り響いている。一体どうして、

 

『ドンマイ。』

 

 ボコボコになった顔面で、羂索は笑みと共に舌を出す。舌の裏には紋様が浮かんでいた。

 

「しまっ、」

 

 身体に紋様を浮き上がらせ、掌印の代替とする。陀艮のような極一部の特級呪霊のみの力。羂索は人の身でありながら、それを体得していたのだ。

 

『領域展開・胎蔵遍野』

 

 逃げ場を防ぐ閉じた領域が展開される。私と羂索自身。その2人だけを包んだ、小さな結界だ。

 

「簡易領域....!!!!」

 

『無駄だよ。そんなもので私の領域は防げない。君なら分かっているだろう?』

 

 簡易領域は容易く剥がされる。無防備になった私には、必中の重力が降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

『やれやれ。不死っていうのも厄介だな。ここまでやられて、降霊を解除しないとは。』

 

 羂索の領域が解かれる。

 

 未だ、夏油くんの姿をしたままの私は、力無く地面に這いつくばっていた。

 

『まあ、それも時間の問題か。直に君の降霊も解け、私の呪霊操術は復活する。』

 

 私を冷たく見下ろしながら、奴は静かに問いかけてくる。

 

『何より、君をここで抑えられたのは幸運だ。薨星宮に行く手間が省けた。ん?』

 

 羂索がふと空を見上げた。渋谷全域を包むようにして、巨大な結界が降りている。

 

 これは・・・

 

『何かと思えばただの帳か。今さら世間への隠蔽工作かい? 無駄だよ。今日をキッカケに、この国は混沌に飲まれる。その流れはこんなチンケな結界如きじゃ止められない。』

 

「・・・・・・」

 

 しゃがみこんだ羂索と目が合う。ただしその目は、私の奥へと向けられていた。

 

『なあ天元。その子の中で聞いているんだろう? いい加減理解できたか? 君が千年をかけてやってきたのは生への冒涜だ。下らん結界で種の進化を停滞させ、可能性に蓋をする。そんな世界はようやく終わり、人と呪いは、未来への一歩を踏み出せるんだ。ようやくね。』

 

「悪いけどっ、天元様は、もういない。」

 

『ん?』

 

「天元様は、私と完全に同化したの。自分の自我が消えると、分かってて。それでも、私にっ、明るい未来を託してっ。」

 

『・・・・・・なるほどね。その言葉通りなら、私の知っている天元はもういないんだろう。色んな意味で。』

 

 羂索はただ“呪い”に満ちた目をしていた。

 

「天元様は人を守り続けたんだ! 千年間、ずっと生命と向き合ってきた! 生への冒涜? それをしてるのはお前だろ! あの人の轍を、貴方なんかに否定はさせない!」

 

『知ったような口を聞くなよ。記憶を持ってるだけの他人が。』

 

 顔面を蹴り飛ばされ、私の身体は力無く転がった。

 

『話は終わりだ。すっくんともども、君を連れて行く、』

 

「頼んっ、だよ。」

 

『ん?』

 

 羂索の背後には2つの気配が現れる。

 

「頼んだよ、お兄ちゃんたち!!」

 

『『九相図兄弟ぃ、ファイヤー!』』

 

 壊相くんと血塗くん。

 

 虎杖悠仁くんの兄弟でもある彼らは、渋谷の戦場へと駆けつけてくれた。

 

 血で繋がった悪しき因縁に終止符を打つために。

 

『『加茂、憲倫ぃ...!!!!』』

 

『どうも今日は、懐かしい顔によく会うね。』

 

 

 

 

 薨星宮を出た私が、真っ先に寄り道したのは、高専東京校の宿舎。そこに滞在している九相図兄弟を訪ねたのだ。焦って、インターホン連打したり、ドアを蹴破ったりしたせいで、最初はかなり警戒された。

 

 それでも協力して貰えた理由は多分3つ。

 

 忌庫に保管されてた2人の弟を、私が解放してあげたから。

 

 私の目的が虎杖悠仁くん達を助ける事だったから。

 

 そして、私が全力で土下座ったから。

 

 壊相達は縛りで、高専関係者の許可が無いと外出できない。でも私こと天元はバリバリの高専関係者。2人を連れ出す事ができた。

 

 壊相くん達には、とあるお願いがあったんだ。それは、

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『ぬらりひょん? 朧絶ぅ?」

『私たちはその特級呪霊2体を倒せばよいのですか?』

 

「うん。朧絶って特級呪霊のせいで、すっくんは呪力を練れなくなってるから。」

 

『分かったぁ!!』

『しかし、我々でなくとも、現地にいる別の術師に頼んだ方が、』

 

「それがね。朧絶と一緒のぬらりひょんのせいで、“人間“はソイツらを探知できないの。だからこれは、君たちにしか頼めない。」

 

『そっかぁ! なら、俺たちにピッタリだなぁ! 俺たち、人間でも、呪霊でも、ねえしぃ!』

『因果なものですね。散々呪ってきたこの出自に、感謝する日が来ようとは。』

 

「標的を見つけたらそのまま待機してて。仕掛けるタイミングは、私が夏油くんを降霊して、呪霊の動きが止まった時ね!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 かくして今に至る。

 

 こうして助けに来てくれたのを見るに、2人は無事に役目を果たしたらしい。

 

『極ノ番・翅王!!!』

『蝕爛腐術・朽ぅ!!』

 

 壊相くんと血塗くん。2人からは渾身の一撃が放たれた。

 

 その赤い殺意から、羂索は身を逸らす。壊相くん達の攻撃は、その生みの親の急所を外れ、身体を軽く掠める程度に留まっていた。

 

『舐められたものだね。私も。』

 

 生みの親である羂索に九相図の毒は効かない。2人の攻撃は、穿血に比べ速度も劣る。

 

 だからこそ、奴には油断が生まれたんだろう。

 

『これは、』

 

 羂索はようやく壊相くん達の狙いに気付く。

 

『我々の標的は、元より“こちら”です!』

『引っ掛かったな、ばーかぁ!』

 

 攻撃に見せかけて放たれた、2人の血液。ソレはあるものを掠め取っていたんだ。羂索がすっくん達から奪い、懐に隠し持っていた、宿儺の指2本を。

 

『今度の“お使い”は成功のようですね。』

『いっけーーーーーー。』

 

 私の降霊が解けるのと同時に。

 

 長男が奪取し、次男と三男が取り戻したその指は、家族を繋ぐ紅き繋がりに運ばれて、ようやく届く。

 

『ありがとな。兄様、兄者。』

 

 そう、届いたんだ。10人兄弟の末っ子の元へと。

 

 

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