宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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アレンジ技って考えんの楽しいよね。

 

 

『ありがとな。兄者、兄様。今度こそ、さっきみたいなヘマはしねえ。』

 

 決意を1つ口にして、虎杖悠仁は宿儺の指を呑み込んだ。空っぽだったすっくんの呪力も、指2本分、満たされる。

 

「悪い悠仁。俺はまだ呪力が足りねえ。必中必殺の領域はできない。」

 

『大丈夫。作戦通りに行こう。俺がメインだ。』

 

 そして、指を取り込んだ恩恵は、器の中身には留まらない。器自身にもまた、確かな力が注がれている。

 

『虎杖悠仁...!』

 

 羂索も流石にコレにはびっくらポンだ。全身の骨を砕いた虎杖が、何事もなかったかのように動いているのだから。

 

『反転術式? いや違う。 何かが妙だ。』

 

 違和感を覚えながらも。羂索は出力の戻った呪霊操術を行使する。壊相と血塗にはオート操作の呪霊を刺し向けつつ、虎杖の力を推し量らんと動き出す。

 

 手始めとばかりに、大地から浮上した鮫の異形が虎杖を丸呑みにしていた。

 

『解。』

 

 浮き出たのは切り取り線。それに沿って鮫の身体は卸されていく。中から覗くのは、紫の返り血に染まった人影だ。

 

『なるほど。御厨子を体得したか。』

 

 出自。豊富すぎる黒閃の経験。元々条件は揃っていた。彼の本能が求めていたのは、より刺激的な覚醒の契機。渋谷での本物宿儺の暴走が、皮肉にもソレを満たしていた。

 

 羂索に一度敗れた後、今一度、己が持つ出自と力に向き合った虎杖は、宿儺の力を部分的に目覚めさせる。

 

『らあっ!!!』

 

 虎杖の手から呪力が飛ぶ。放物線と切り取り線を描くソレは、空を駆けて、羂索の頬を傷つけた。

 

『飛ぶ斬撃の再現まで。それにその身体、ふふっ、なるほど。』

 

 ここで羂索は、ずっと引っ掛かっていた違和感の正体に気が付いた。虎杖悠仁が動けるようになったその絡繰にも。

 

『術式反転・(ゆい)。』

 

 切り裂き分つ刃、解。術式反転によってその性質は覆る。

 

 束ね連ねる斎串、それが結だ。

 

 虎杖は身体を治してなどいない。バラバラになった骨の欠片を雑に繋いで、挽肉のような継ぎ接ぎの骨格で今も動いている。

 

『反転術式、使えるはずだろ? 治せよ普通に。』

 

『治さねーよ。ありもんで済む分、こっちの方が呪力の安上がりだ。』

 

 虎杖悠仁は止まらない。

 

 たとえ何度砕かれようと、激痛に苛まれようと、倒れたままで終わる事は、彼自身が許さない。

 

 壊されたものをかき集め、軋む身体で立ち上がる。己の理想を貫くために。

 

『そんな無茶がいつまで持つかな?』

 

 準一級前後で構成された昆虫呪霊の大群。その数108体。羂索の力を吸った呪いの波が虎杖を飲み込んだ。

 

『竈・(フーガ)。』

 

 ソレを迎え撃ち、逆に燃やし尽くしたのは、開いた竈より噴き出した灼熱の炎だった。

 

『っ、まさかソレまでモノにするとは。それにしても、無茶苦茶だね。』

 

 竈の炎は火力に対し、速度がなく効果範囲が狭い。これを解決するため、虎杖悠仁は自ら竈に身を投じた。フーガの炎を身に纏い、攻防一体の鎧としたのだ。

 

 余りの熱に溶けていく自身の骨と肉を、今この時も、結で繋ぎ止めながら。

 

 自分自身をさばく調理場。それこそが、この世界で虎杖の見つけた、御厨子の在り方だった。

 

「悠仁、身体がもうそろ限界だ!」

『分かってる。時間はかけねえ。』

 

 渋谷のアスファルトに灼熱の足跡を刻みながら、虎杖悠仁は走り出す。

 

『うずまき。』

 

 数百体を練り込んだ極小のうずまきが放たれる。しかしその光弾も、フーガの鎧に焼き尽くされて、虎杖には届かない。

 

『逃がさねえ...!』

 

『っ!?』

 

 地中から突き出た、“結”の斎串が羂索の両足を貫いて、動きを封じる。逃げ場を失った彼の眼前には、燃え盛る拳が迫っていた。

 

『ならばっ...!』

 

『っ...!!!』

 

 拳をぶち当てる直前だった。虎杖の身体は、渋谷の地へと叩きつけられる。

 

『術式反転・反重力機構。』

 

 焼き切れていた羂索の術式は、このタイミングで復活する。虎杖を阻むのは、皮肉にもその母・香織の術式だった。

 

『フーガの鎧は厄介だ。でも、直接触れさえしなければ、幾らでもやりようは、』

 

『うおおおおおおおおお!』

 

 地に押さえつけられていた虎杖の身体が、少しずつ持ち上がり始める。

 

 重力とて力には変わりなし。同じ力で上回れば、抗えぬ道理はないのだ。

 

 自然の摂理を上回るほどの規格外の力さえあれば。

 

『おいおい。本気かい?』

 

 地球の重力を脱する燃料ロケットの如く。虎杖は、獄炎の噴射を推進力へと変えていた。

 

 花開いた虎杖の力は、母・香織の術式を、生みの親からの支配を、脱する。

 

『息子として、1つだけアンタに感謝しとくよ。』

 

 親子の視線は一時だけ絡み合い、解けるまでの数瞬に言葉が交わされる。

 

『ありがとな。丈夫に産んでくれて。おかげで今の仲間と出会えた。』

 

『ふふっ、まったく。恩知らずな息子だよ。』

 

 息子が全てを乗せた拳は、呪霊の防御を焼き払い、母親へと叩き込まれる。

 

『黒閃っ...!!!』

 

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