宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」   作:バケギツネ

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修行編
強さ討論って、難しいよね。


 

 

 ここは呪術高専のグラウンド。五条悟主導で1年、2年の顔合わせが行われていた。

 

『ではまず〜、新しく加入した一年生!元気よく、自己紹介だ!』

 

 五条の指示に従い、新1年3人が順番に名乗り始める。

 

『どうも、釘崎野薔薇です。芻霊呪法使います。』

 

『押忍、虎杖悠仁です!ステゴロなら誰にも負けません!!』

 

『押忍!両面宿儺です!先輩方、いつでも俺をパシってください!!』

 

『はい!新一年の3人でした〜。じゃあ、次は2年生の方、自己紹介を....』

 

 

『『いや待て待て待て!!』』

『おかか・おかか・おかか!!』

 

 たまらず2年生2人と1匹から、ツッコミが飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ 

 

 ケヒヒッッ、主人公の相棒(公認)の両面宿儺だ。

 

 いや〜、先輩方との顔合わせ、自己紹介が上手くいって良かった〜。

 

 やっぱりこういうのは最初が肝心だからな。あの3人は俺に対して、素直でいい子な後輩というイメージを持ってくれたことだろう。

 

『おい、悟。何で1年に呪いの王混じってる?大型新人どころじゃねえぞ!?』

 

 なぜか五条さんを怒鳴っている、眼鏡でポニテで巨乳の2年女子、禪院真希パイセン。

 

 女子である以上、主人公である悠仁のハーレムメンバーになることは間違いない。

 

 だが、眼鏡キャラ、先輩.....メインヒロインの佐々木さんと被ってる。

 

 お、なになに?聞くところによると、真希パイセンは名門の出なんだとか。お嬢様キャラか。そこで差別化を図る気だな?

 

『まずは私から一本取ってくださいまし。話はそれからですわ〜』

『5億の札束ビンタですわ〜!!!これが、禪院のお嬢様たる、私の力でしてよ!!!』

『ふざけないでくださいまし!お呪力もお練りになれない、おドブカス様がぁぁ!!!』

 

 そのうちこんな喋り方になるんだろうな。真希パイセン。今はあれだ。初登場特有のキャラが定まってない感じというか。

  

『まあまあ、落ち着け。真希。』

 

 そんな真希パイセンを押さえるのは、パンダ。

 

 パンダ...?

 

 二足歩行だし普通にしゃべってやがる。まさか、着ぐるみ!?あるいは、人間の脳をパンダに移植した!?

 

『(頭パカ)キッショ。何で分かるんだよ。』

 

 きっとこういう展開になるんだろう。

 罪もないパンダを...許せん!!!

 

 

『おかか・明太子・明太子。』

 

 おにぎりの具しか喋らない彼は、狗巻棘パイセン。

 

 まあ彼はあれだ、おにぎりに育てられたとかそんなんだろう。

 

 そんなことより!

 

『じゃ、全員分の自己紹介が済んだところで、交流戦についての話し合いを始めまーす!パチパチパチパチ〜!』

 

 来たーーーーーーー!

 おそらく、俺達の強化イベント!!

 

 他校の呪術師との激闘!それは主人公である俺たちを更なる高みへと導いてくれるはずだ!

 

 俺たち一年生の修行パートが、今始まる...!

 

 

 恵くんと野薔薇ちゃんは、先輩方との近接訓練の日々が確定。一方俺と悠仁は五条さんに呼び出され、高専内の地下室に来ていた。

 

『悠仁に呪術は使えないよ。(ま、今は使えないだけで、そのうち身体に宿儺の術式が刻まれるだろうけど。)』

『えっ』

「え」

 

 嘘だろ!?悠仁は主人公だぞ!!

 

 いや待て、これはただの前振りだ。俺には分かる!実はあるんだろう?

 

 悠仁の術式!!

 

『ってわけで、悠仁の長所をさらに伸ばす!!下手な呪術より、基礎でゴリ押しされた方が、僕も怖いしね。』

 

 ってなわけで。

 

 その日から呪力コントロールの訓練が始まった。悠仁は学長が作った人形に一定の呪力を流しながら、朝から晩まで毎日のようにYoutubeのクソ動画を鑑賞している。

 

 手伝いたいんだが、多分俺教えるのとかに向いてない...だって全部感覚でやってるし。

  

 一方、俺ことすっくんは1日2個の仙豆生産を頑張っている。五条さん曰く。仙豆が現場に支給されるまでには、かなり時間がかかるらしい。

 

 御三家?とか言うやつらが、仙豆の利権について揉めているのが原因なんだとか。

 

 

 1日にもっと多く仙豆を作ることもできたが、俺は夜になれば悠仁から身体を借りて適当な呪霊を討伐しに出かけていた。

 

 その際に強敵と遭遇した場合に備え、出来るだけ呪力は温存しておきたかった。

 

 なんせ主人公とその相棒だからな。いつ格上とぶつかっても、不思議じゃない!

 

 だが...

 

「つまらんな、お前らは。せっかく、この俺が、わざわざ長野まで出向いたというのに。」

 

 今回も、それまでも、みんなそう。俺が遭遇する呪霊にはまるで歯ごたえがないのだ。

 

 

《今回宿儺が祓ったのは、一級クラスの呪霊です。》

 

 

 これでは修行にならない。せめてあの虫野郎くらいの強さは欲しい。

 

「俺は、強くならないといけないのに...!」

 

 悠仁の相棒としてその青春を守り切る。

 そう誓ったはずだろ......

 

『まあ、焦んなって。すっくん。』

 

 頭の中に、相棒の声が響いた。

 

『あんまり1人で抱え込むなよ。強くならないといけないのは“俺”じゃなくて、“俺たち”だ。』

 

「悠仁.......」

 

『もう少し頼って欲しい!すっくんより弱くて、なんの役にも立ててない俺が言っても、説得力ないだろうけどさ...だって俺たち、相棒だろ?』

 

 うぉぉぉぉぉ!!悠仁ぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!

 

 なんだよぉぉぉぉ!!

 お前は最高の相棒だよぉぉぉぉ!!!

 

「何の役にも立ててないだと?ほざけ。俺がどれだけ、悠仁に救われたと思っている。」

 

『すっくん...?』

 

 最初はある種の義務感だった。

 

 主人公の相棒に転生した以上、彼を守るのは当然の役目だと。だが虎杖悠仁を知れば知るほど、俺は彼に惹かれて行った。

 

 役目がどうとか、主人公だからどうとかは関係ない。俺は1人の人間としての虎杖悠仁を支えたい。今ではそう思っている。

 

 悠仁は俺に、この世界で生きる意味を教えてくれた。

 

 俺を信じてくれた。

 友達になってくれた。

 すっくんと呼んでくれた。

 

 俺はもう既に、充分すぎるくらいのものを悠仁からもらっている。

 

「悠仁。お前はずっと、俺の相棒としてそばにいてくれ。これは縛りじゃない。男同士の約束だ。」

 

『ああ、約束する!!』

 

 ありがとう、悠仁。

 それが俺にとって、何よりの助けだ。

 

「さ、湿っぽい話は終わりだ。飯にしよう!せっかく長野まで来ているのだからな!」

 

『お、そうだったな!長野って、何がうまいんだっけ?りんご?』

 

「晩飯にりんごはちょっとな.......」

 

『あ、そうだ。HEYすっくん!』

 

 縛りのルールによって、身体の支配権が悠仁へと移る。

 

『この近くに、うまい店ないか調べてみるわ。』

 

 地図アプリを起動する悠仁。そのスマホが、

 

 

 灼熱の炎に焼かれた。

 

 

 

『宿儺の器、周囲への警戒がまるでなっていないぞ。危機感の欠如、だな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、五条悟は責めるほどでもない遅れで、学長・夜蛾正道との会合に参加。

 

 その道中、“街でアンケート取られたくらいのハプニング”が起きることはなかったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虎杖悠仁のスマホが燃える、少し前。

 

 東京の某チェーン店に黒づくめの塩顔イケメンが、1人で入店していた。その頭には不気味な縫い目。

 

『貴重な指一本を使ってまで、確かめる価値はあっただろう?予想外の収穫だった。』

 

 席に着いた彼は独り言を始める。しかし、見る人が見れば気づいたはずだ。彼のそばに座った、三体の特級呪霊に。

 

 そのうちの1人、大地の特級呪霊・漏瑚が口火を切る。

 

『夏油、ワシは宿儺の指、何本分の強さだ?』

 

「甘く見積もって、8〜9本ってところかな。』

 

『で、今宿儺の器が取り込んでいる指は?』

 

「たったの3本だね。』

 

『どうなっている!?あの時顕現した宿儺は、どう考えてもワシより強かったぞ!!』

 

 漏瑚は頭の火口から火を吹いた。

 

『漏瑚。興奮するな、暑くなる。どうして宿儺があそこまで強いのか。そんなの私が知りたいくらいだよ。』

 

 

 夏油、いや羂索は嘘をついてはいない。

 

 漫画「呪術廻戦」の読者が両面宿儺として転生する。そんな異常事態に対しては、羂索の千年の呪術ノウハウも流石に通じない。

 

『心当たりがあるとすれば、そうだな.....虎杖悠仁が、反転術式の結晶化に成功したという話、知っているかい?』

 

『な、なんだと!?それは本当か!?』

 

『本当さ。上層部の協力者が教えてくれた。間違いないよ。』

 

 漏瑚が驚くのも無理はない。

 

 反転術式の結晶。それは術師にとっての薬になるのはもちろんのこと。漏瑚達呪霊にとっては一撃必殺の毒になり得る。

 

『そんなものを量産でもされてみろ!我々呪霊の時代は、さらに遠のく!!』

 

『とにかく私が言いたいのは、虎杖悠仁が優秀な術師だということさ。ひょっとしたら、優秀な器が宿儺の力をさらに引き上げたのかもね。』

 

『もはやそんなことはどうでもいい!!!』

 

 漏瑚は勢いよく、席を立ち上がる。

 

『何をする気だい?漏瑚。』

 

『知れたことを。虎杖悠仁を殺す。』

 

 宿儺の指3本分の消失と、反転術式結晶の量産化。漏瑚達呪霊にとっては後者の方が明らかにリスクが高い。

 

『でもね漏瑚。虎杖悠仁を殺したところで、中の宿儺が彼を蘇生する可能性だってある。その辺りはどうする気だい?』

 

『ふん、それはそれで構わん。』

 

 そうなれば、両面宿儺には虎杖悠仁と縛りを結ぶチャンスが生まれる。器に囚われたままの呪いの王を、解き放つことができるかもしれない。

 

 いずれにせよ、虎杖悠仁の殺害には大きなメリットがあった。

 

『私は、おすすめしないけどね。祓われても知らないよ?』

 

『何を言う、相手は呪いの王ではない。それを宿した、反転術式が多少上手いだけの人間。いざ戦闘となればワシの足元にも及ばんさ。』

 

『...勝つ気かい?』

 

『ああ、勝つさ。』

 

 

 

 すっくんと漏瑚。

 

 呪力総量だけでみれば同格の2人は、東京から遠く離れた地で相見える事となる。

 

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