宿儺「どけ!!!俺は主人公の相棒だぞ!!!」 作:バケギツネ
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「ふぅ〜。一丁あがり〜!」
『おお終わったか。だいぶ暴れたな〜。』
屋敷の塀一面が、襲いかかって来た禪院家一同のお尻で埋まった頃、僕の戦いは終わった。
『甚一。お前は戦わんでいいのか?』
『俺は遠慮しておこう。』
「あ、おじさま。ちょっと待っててください。怪我した人を治してくるので!」
時間を巻き戻すこの力は、できたての傷なら完全に治癒できる。もう少し習得が早かったら、おじ様の足を治すこともできたかもしれない。
それなら、僕がこうして禪院家の当主になる事もなかっただろうけど。
『見下すのも大概にせえよ。お前の治療なんか要らんわ、ボケが...!』
「はいはーい。いい子にしててくださいね〜。」
見ての通り、禪院家の人は誰1人殺してない。
プリンセスとして敵の死に向き合う覚悟はできてる。ディ◯ニーの悪者だって大体最期は高いところから落ちて死んじゃうし。
でも僕はできるだけ、この手を穢すつもりはない。愛する人が悲しむからだ。
「それでおじ様。約束の件なんですけど。」
『ああ。お前の弟たちは、禪院家に匿うといい。だが大丈夫か?あの姿では、身を隠すのも一苦労だろう。』
「それなら問題ありません。僕と同じように姿は変えておきますから。」
僕の模倣した
今の僕も九相図だとバレないように、顔色を良くして身体の紋様も消してある。壊相も血塗も、上手い事人間に擬態させられる筈だ。
『で、これからどうするつもりだ?』
「決まってます。大好きな人を助けに行くんです。」
僕の愛する宿儺様は今、とんでもなくドラマティックかつ危険な状態だ。
お兄ちゃんもきっと僕に会いたくて会いたくて震えてるだろうし、そういう意味でも彼のそばに居てあげたい。
『そうか。家の奴らも好きに連れていくといい。今回の件で多少は聞き分けも良くなっただろう。』
「あのおじ様。ちょっと聞いてもいいですか?」
『なんだ?』
「今更ですけど、なんで僕を禪院家当主に選んだんですか?」
『はははっ、ここまで来て本当に今更だな。』
「いやまあ、お陰で色々助かってますけど、正直言って尋常じゃないですよ!? いくら僕がプリンセスとしてのカリスマ性に溢れてるとはいえ、」
『ならば理由を当ててみろ。正解したら上手い酒でも奢ってやる。』
「直哉さんを矢面に立たせない為ですか?」
『はははっ、悪いが酒はお預けだな。』
豪快に笑ったおじ様は、手にした酒をかっ喰らう。その表情は酒入れで見えなくなった。
『ぷはーーーーーっ。』
その後は、気持ちよさそうに息を吐いて、空になった酒入れを適当に放る。
『五条悟の消失。その意味を分かっとらん奴が多すぎる。これより始まる呪術界の激動を思えば、禪院家なんてちっぽけなモノが滅びるのは、火を見るより明らかだ。』
「・・・・・・」
『どうせ滅びる家だ。いっそ俺の目が黒いうちに、笑えるやり方で幕を引いた方が愉快だろう?』
「ほんとうにそれだけなんですか?」
『無論だ。結果、バカ息子の寿命が多少伸び縮みしようと、俺の知ったことではない。』
おじ様の顔をじっと見つめてみたけれど、その本音は窺い知れない。この人とお腹を探り合うには、僕の潜った修羅場はどうにも少なすぎるみたいだ。
『第一俺が、そんな事を考えるタマに見えるか?そんなつまらん計算をする暇があるなら、“ダーティーペア・TVシリーズ”のVHSでも見返した方がよっぽど意義がある。』
「だーてぃ?」
『名作だ。今度見せてやる。』
「じゃあ、絶対無事に帰ってこないとですね。」
『ああ。首だけになろうと帰ってこい。目玉さえ片方入っていれば、アニメは見れる。』
「縁起でもない事言わないでくれます!?」
激励とも冷やかしともつかない言葉に背を押されて、僕は歩き出す。
息を吹き返した死滅回游を止める為。渋谷事変のあの日以来、行方不明になった最愛の人と再会する為。
「今、いったいどこで何してるの?おにいちゃん......」
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呪術総監部 秘匿事案処理報告書
【整理番号】 総-秘-第一二一号
【作成日時】 平成三十年十一月一日 零時四十四分
【記録作成】 呪術総監部 情報統制部
【件 名】 最重要特定危険観察対象についての報告
【事 案】
・平成三十年十一月一日 零時三十一分。
岐阜県飛騨霊山の結界内にて、
渋谷事変の事後処理を巡り、
呪術総監部の極秘会合が行われていた。
その会合が補助監督・伊地知潔高により襲撃される。
・同日 零時三十二分。
伊地知潔高が領域を展開する。
一級術師を含む護衛計121名が退けられ、
伊地知潔高が会議場に侵入。
会合に出席していた幹部6名が標的となり、その全員が履いていたふんどしを伊地知潔高に剥ぎ取られる。
・同日 零時三十三分
伊地知潔高が
「これじゃあソウカンブじゃなくて、ノーパンブだな〜。ケヒヒッ!」
などと供述し、若干スベる。
・同日 零時四十分
幹部全員が伊地知潔高への服従を誓う。
・平成三十年十一月二日 現在
表向きは旧体制を維持しつつ、
伊地知潔高を頂点に据えた
新体制が確立する。