「スレミオのカップリングの方がいいに決まってる!!!」
痛いほど分かります...まあまあ、ゆっくり気長に待ってやってください。
僕は百合に挟まるようなカスじゃありません。
スレッタとケミストは、毎日ゲームのスコアを競い合ったり、小説を鑑賞したり、アニメを見て、推しキャラについて語ったりして過ごした。
一ヶ月に一度、プロスペラは帰ってきて毎月の近況報告をする。
「お母さん、最近、ケミストとゲームして圧勝してるんだ」
「あら、お母さん、追い抜かれちゃうかもなぁ」
「ぼ、僕だっていつかスレッタを超えてみせるよ!」
そんな他愛もない毎日を過ごしていた...
しかし、心身ともに少しずつ成長して行った10歳の彼らには、度々「依頼」が届く。
「スレッタ、ケミスト、私のお母さんが炭鉱で行方不明になっちゃったの、おねがい、探してきて...!」
「わかった、直ぐに向かうよ」
「スレッタ、昨日作ってみた推進ユニット使ってみる?」
「試してみようか」
本来エアリアルは一人乗り...なので、ケミストはガラクタ置き場にあった大量のスクラップと、プロスペラがヴァナディースや仲間たちに秘密で持ち帰っていた「ルブリス量産試作型」のフレームを活用し、エアリアルに追いつけるだけの速度を出せる試作モビルスーツ「アステル」を作った。
しかし、パーメット流入によるデータストームは克服できておらず、いざと言う時にしかパーメットスコアは上げていない。
まあ、彼らはまだパーメットについてよくわかっていないので、リスクは無いのだが。
なので、主戦力はエアリアル、その手助けや物資の運搬をアステルがしている。
「行くよ、エアリアル!」
ケミストの作った推進ユニットは、ガラクタを転用したものだが、確かに効果があったようだ。
普通、スレッタの家から炭鉱まで、エアリアルの機動力で20分ほどだが、今回は15分に短縮することが出来た。
しかし、今回は炭鉱の中にいる母親を探すのが依頼内容だ。途中で2人はガンダムを降り、歩いて炭鉱内を探すことにした。
そこで、ケミストはある端末を取りだした。
「この全端末発信機で居場所を探ろう」
「そっか、炭鉱にいる人たちはみんな連絡用の端末を持ってるんだ!」
「そう、だからこの周波数を数百通り一瞬で発信できる発信器を使って居場所を特定するんだ」
「さすがケミストだね」
えへっ と可愛らしい声を立てると同時に、ケミストは発信機を起動した。
依頼主の母親の行方不明が発覚したのが、炭鉱の労働時間からかなりたっても家に帰ってこなかったからなので、もし反応すれば、彼女はここにいる、ということになる。
すぐさま、ピピッと、発信機が反応した。
反応した方向へ進むと、依頼主にそっくりな顔をした30~40代の女性が倒れていた。
ケミストは彼女を診ると、
「脱水症状かもしれない。」
「ソッ、ソソソソソそんな、ジャッ、じゃあこの人どうなっちゃうの!?」
大丈夫だよ、とつぶやくと同時に、ケミストは大声で
「アステル!運搬箱持ってきて!」
と叫んだ
すると、外から信号が流れるよう音がした。しばらくすると、アステルが抱えていた、運搬用のジェット付き多目的箱が飛んできた。
アステルのOSには、自立式のAIが搭載されており、それぞれの装備等に信号を流すことで、思い通りに動かすことができるからだ。
これはケミストが自宅から持ってきたパソコンで作ったものであり、従来のルブリス量産試作型とはかけ離れた、全く別のガンダムに仕上がっていた。
ケミストは女性に持ってきていた水を飲ませ、スレッタは女性を運搬箱に乗せた。
「これで大丈夫、早く依頼主に合わせてあげよう」
「そうだね、いそげー!」
運搬箱はまたジェット噴射を使い、アステルの元へ戻った。
そしてふたりはそれぞれのガンダムに乗り、スレッタの家へと帰った。
家にたどり着くと、依頼主が元気を取り戻した母親を涙のこぼれそうな目で抱きしめ、スレッタとケミストに何度も感謝の言葉を伝えた。
依頼も終わり、くたびれきったふたりは、ガンダムを格納庫へ直し、部屋に戻ってきた。
「今日はなんだか疲れたなぁー...」
「ケミスト大活躍だったね」
「えへっ、うれしい...」
「もう遅いし、今日も泊まっていく?」
「そうするー」
水星の平和を守った小さなヒーローは、2人、とんでもない寝相で深い眠りについた。