水星の魔法使い   作:shousetu29

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思春期

父親が研究所に住み込みで勤務するようになったケミストは、スレッタの家で一緒に生活することにした。

そちらの方がさみしくないし、何より小さい時から仲がいい幼なじみだからだ。

しかし、とうとうスレッタもケミストも思春期に突入した。

家中に気まずい雰囲気が流れる。

13歳になった彼らは、それまでは同じ部屋、同じベッドで眠っていたが、「よくよく考えたら...」というようにして距離が空くようになってしまい、今では別の部屋で過ごすようになった。

「あ、あの、スレッタ」

「は、はい」

「僕たち、ずっと水星で暮らすのかな」

「...わかんない...です」

「そう...だよね...」

「...」

「が、学校行ってみたくない?」

「学校ですか?出来ればいきたいですけど...お金がかかりますし...」

「『アスティカシア高等専門学校』っていうところは」

「...?」

「企業に推薦してもらえば、入学できる」

「そそ、そうなんですか!?」

「これはプロスペラさんが言ってたことだから、間違っては無いと思うよ」

「お、お母さんに聞いてみましょう!」

「そうだね」

 

...アスティカシア高等専門学校...

フロント73区に建造された、教育機関 兼 企業実習場。

そこに存在するベネリットグループの企業は子供を推薦し、生徒として入学させることが可能。

地球は迫害を受けているので、学校内でも地球出身の生徒はいじめを受けるなどされている。

そこに、地球人...アーシアンの息子であるケミストが入学するなど、自殺行為に近い...しかし、ケミストは「スレッタのためなら、別にいい」と考えているらしい...

 

次のプロスペラの休みに、2人は学校について聞いてみることにした。

「お母さん、アスティカシア高等専門学校って、なに?」

「僕たち、学校に行きたいんだ」

「あら、そんな言葉、どこで聞いたの?」

「あなたが僕のお父さんと喋ってる時に聞こえたんです」

「そう...実はね...」

「あなたのお父さんの研究所、【スイセー環境研究社】は、ベネリットグループのうちの一つなの」

「えっ!?うそ!」

「お父さん、やるな...」

「だから、推薦しようと思えば推薦できるわ」

「本当?じゃあ、学校に...」

「ただし」やや食い気味に言う。

「...」

「...ゴクリ」

「まだ入学できる年齢じゃないのよー、ごめんね」

「じゃあ、いつになったら入学できるの?」

プロスペラは、手で1と6を作って、「16よ」と言った。

「じゃあ、あと3年だね」

「そう、3年待てばいいの。だからおとなしくすごしてなさい」

はーい、と二人は答えた。

2人は今、希望に満ち溢れていた。

しかし、今のこの不安定な胸の高鳴りを...今まで一緒に過ごしてきた仲だったはずなのに、なぜ、瞳を見ることができなくなったのかを...

彼らはこの状態を理解するのに、そう時間はかからなかった。

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