ヴー、ヴー
生徒手帳のアラームが鳴った。
「朝...か...」
と呟きながら体を起こすと、枕全体が湿っていることに気づく。
「え...どうして...?」
「ケミスト、ようやく起きたか」
アフロヘアーがさらに爆発したオジェロが言った。
「お前、相当うなされてたぜ?」
うなされてた...?
「まあいいや、ほかのみんなは飯食いに行ってるから、一緒に行こうぜ」
うん...
声にならない、小さい声で答えた。
寝室への階段をおりて、みんなが朝食を作っている台所に行った。
「おはよ...」
「ちょっとケミスト、大丈夫?」
目の下に泣いたあとが残っていたので、全員すぐに気づいた。
「ケミスト、ちゃんと寝れたか?」
ケミスト!
おいケミスト!
なぜかは分からないが、ぶわっと涙が溢れてきた。
「ケミストさん!?大丈夫ですか?」
少し慌て気味に、台所に入ってきたスレッタが言った。
「風邪でも引いたんじゃないか?」
奥で冷蔵庫を見ていたエピが考察する。
「体全体が疲れてるから、心が参っちゃったのかもな」
言われてみればそうだ。
体が熱いし、頭も痛い。何より、起きた時には、布団は2段ベッドの上からずり落ちていた。
「風邪、引いちゃったかな」
「きっとそうだ、今日は部屋で安静にしてたほうがいいんじゃないか」
「でも、学校が」
「周りの人に移したら大変だろ?」
「僕が今日は面倒見るよ、副寮長だし」
「ありがと...」
部屋に戻ったケミストは、特に食欲もないので持ち込んだ本を読むことにした。
地球差別が始まる前の、科学の本だ。
時間はあっという間に過ぎた。
気付いたら寝落ちしていたからだ。
放課時間の30分前に目を覚ましたケミストは、隣の椅子に座り、生徒手帳をいじっているマルタンを見た。
「起きた?」
「うん、おかげでだいぶ良くなったよ」
「水星とは環境が違うだろうし、時差ボケみたいなものかもね」
ケミストは頷き、みんなの帰宅を昼食を取りながら待った。
「はぁ?」
「で、ですから、ホルダー...?になりました...」
「えぇ...話に追いつけないよォ...」
「ホルダーって、何...?」
「「「「「「「知らないの!?」」」」」」」
え、うん
アスティカシアには、決闘で物事を解決するという決まりがあるらしい。
決闘を行う場合、モビルスーツがある場合だれでも参加可能だ。
しかし、ケミストやスレッタのように、パイロット科に所属する人の方が圧倒的に有利らしい。
「で、今のホルダーさんに勝ってホルダーになっちゃったと...」
「はい、しかもホルダーは総裁の娘である、ミオリネさんの花婿になるらしいです...」
え?