見せてもらいましょう、借り物の体でどこまで飛べるか   作:てぬてぬ@TSF

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3.人差し指のダナム

アーシルの報告を受けた二日後。インデックス・ダナムは、目の前の少女を観察しながら気難しげに腕組みをしていた。

 

「あの、なんすか?」

 

当の少女は困惑を顔に浮かべ、おずおずと声を漏らす。どこからどう見ても普通の少女だ。しかし、そうではないと理解はしている。

 

「むぅ・・・・・・貴様、本当に独立傭兵なのか?コーラル酔いの妄言を聞かされているとしか思えないが」

 

「あー、まぁそう思うのも無理はないと思うけど。俺も、自分がこうなってなきゃ到底信じられないし。でも、マジです。そっちで、俺・・・・・・独立傭兵だった時の俺の身元、確認出来ました?」

 

ここは少女が閉じ込められている一室。殺風景な部屋の中、大男と称してもいい体格のダナムと、吹けば飛びそうな儚さを漂わせる少女が向かい合って座っている。その見た目に似合わない振る舞いで頭を掻きながら、少女は言葉を続ける。

 

「いや、確認出来た所で俺が嘘を吐いてる可能性だってあるか。どうすりゃ信用されますかね。当然だけど殺されたくはないもので」

 

言葉とは裏腹に少女に恐れや卑屈さは感じられない。ただ、どこか無理をしているような雰囲気は伝わってきた。ダナムは腕組みをしたまま、重々しく口を開く。

 

「・・・・・・貴様が言っていた独立傭兵は、ベイラムの支配地域で数日前に撃墜されている。推測だが、死亡したとされているな。丁度、貴様とガラクタを乗せたコンテナが落ちてきたタイミングだ」

 

「マジか、やっぱ死んでたか。うーん・・・・・・同じタイミングってのは、俺がこうなった原因に関係あるのか?いや、でも・・・・・・」

 

がりがりと頭を掻きながら考え込む少女。そこに欺瞞を感じ取ることは、ダナムには出来なかった。彼自身もルビコンでは奇想天外なことが起きることは自覚している。だが、他人の意識が別の肉体に乗り移ることなどあるのだろうか?

 

「いずれにせよだ。貴様をこのまま閉じ込めておくわけにもいかん。無駄飯を食わせてやれるほど、我らに余裕は無い」

 

「だったらどうすりゃいいんすかね。今の俺じゃあ、解放戦線の兵士達の慰み者になるくらいしか」

 

「そのようなことするはずがないだろう!」

 

少女の発言を遮りダナムが吼える。そのように思われることは決して許せることではなかったからだ。

 

「いいか、我らはルビコンで略奪を繰り返す者共を追い出す為に戦っているのだ!例え真偽が定かではない貴様のような相手だろうと、最低限の礼儀は弁えている!」

 

「そりゃ、失礼。独立傭兵をやってたとは言ったけど、こうしてルビコン解放戦線の指導者と話すのは初めてなもんでして。そちらの内情もよく分かってないんすよ」

 

へらりと笑う少女。さらに怒りを募らせそうになったダナムだが、どうにか堪えて怒声を飲み込んだ。成程、確かに普通の少女ではない。ダナムは深く息を吐き、ゆっくりと吸って感情を整える。

 

「ふうぅ・・・・・・まぁいい。ならば、何が出来るか見極めてやる。ついてこい」

 

立ち上がったダナムは部屋の扉を開け、少女に立ち上がるよう促した。不思議そうな表情を浮かべながらも、少女は大人しくついていく。まさか、こんな容易く部屋の外に出られるとは。興味深そうな視線を周りに向けながら、大股で進んでいくダナムの背を小走りで追っていった。

 

「えーっと、ダナムさん?俺を外に連れ出してもいいんすか?」

 

「ここの指揮官は俺だ。それに、帥叔に許可も取ってある」

 

仏頂面ながらも返答したダナムは、無骨な造りの廊下をずんずんと進んでいく。時折すれ違う者は彼に挨拶しながらも、戸惑ったような視線を少女に送ってきた。一応会釈を返すものの、本人も状況が理解出来ていない。何故急に外に連れ出されたのか。その疑問は、ある場所に着いたことで氷解することになる。

 

「ここは・・・・・・」

 

「独立傭兵ならば馴染み深いだろう。仮想戦闘シミュレーターだ」

 

ACのコックピットを模しているそれは、確かに馴染み深いものだった。実際にACに乗らずとも、仮想空間で機動の確認や戦闘訓練等を行えるAC乗りには必須の装置。大部屋の中に所狭しと並べられており、いくつかは使用中のようだ。

 

「驚いた・・・・・・ここまで大規模なのは見たことが無いぞ」

 

「我らもやることはやっている、ということだ。命も失わず修理費もかからないシミュレーターは、新兵の養成に最適だからな」

 

とはいえ、訓練に励んでいる彼らを乗せるACは不足している。多重ダムに併設されているジェネレーターの電力あってシミュレーター自体は稼働出来ているものの、現在出撃可能なACはほんの数機に過ぎない。その事実を口には出さず、ダナムはコックピットの一つを指差した。

 

「乗れ。独立傭兵だというのなら、その腕前を見せてみろ」

 

 

 

 

 

 

「っ、つぅっ・・・・・・!」

 

首のコネクタでコックピットと接続した瞬間、全身に電流が走ったような感覚がする。数日振りに味わうそれは、何故か随分と懐かしい。

 

「んんん・・・・・・ふぅ。なんとか繋がったか。それにしても、第10世代ねぇ」

 

ダナムによれば、この肉体には第10世代強化手術が施されているらしい。最新も最新、本来なら膨大な費用がかかるはずの術式だ。それが何故、このような幼い少女の肉体に施されているのだろう。思えば、この体の持ち主の意識はどこにいったのだろうか。自分のことばかりであまり気が回らなかった事柄に思いを馳せる間もなく、脳内に声が響いてくる。

 

『傭兵支援システム「オールマインド」へようこそ。仮登録申請を受諾、一部ユーザー権限を解放します。』

 

オールマインド。ルビコン星系に存在する傭兵支援システムであり、AC乗りの殆どはここに登録されている。前述のシミュレーションをオールマインドが管理している他、パーツの購入やACの細かいチューニングさえ行えるのだ。その上、登録してもなんのデメリットも無い。企業や解放戦線、ドーザーや独立傭兵と勢力問わず恩恵を受けているシステムである。

 

「なんか、そんなに日も経ってないのに久しぶりな感じがするな・・・・・・。っと、これは」

 

少女の目の前に可視化されたのは見慣れた電子的な空間。そこには無数のMT達が配置されているようだ。まずは機体を確認しなくては。そう思った少女は、全身に感じる違和感に気付いた。

 

「なんだ・・・・・・?」

 

右手には連射型のリニアライフル。左手には標準的なマシンガンが装備されている。右肩には四連装ミサイル。フレームはベイラムの量産型パーツで纏められている。その武装を、少女は感覚的に理解した。まるで自分の体そのものかのような同調感覚。

 

『準備が済んだら始めてくれ』

 

ダナムの声が通信越しに響く。しかし、少女には殆ど聞こえていなかった。四苦八苦しながら操作していたはずのACが、手足のように動かせる。ブースターを吹かし、切り返すようにクイックブースト。機動する度に響いていた頭痛は全く無い。敵MTに照準を合わせ、リニアライフルを発射する。同時にマシンガンも斉射し、更にはマルチロックでミサイルも。そのどれもが的確に命中し、MTは火を吹いて爆散した。

 

パイロット適性。少女がこの体になる前、彼の適性は劣悪なものだった。ブーストを吹かすだけで眩暈がし、クイックブーストを連続で吹かせば意識が途切れかける。武装は同時に利用も出来ず、被弾すれば視界がスパークした。本来、適性の低いAC乗りとはその程度のものである。

 

だが。この体は、パイロット適性に優れているようだ。最新式の強化手術の恩恵なのか、頭部から脚部パーツのつま先まで、全てが思いのままに動かせる。あっという間にMTを殲滅し、残るは大型の四脚MTのみ。並のACならば敵わないはずのそれに、少女は軽快な挙動で接近する。

 

アラートと共に放たれたグレネードキャノンをクイックブーストで回避し、リニアライフルをチャージしながらミサイルとマシンガンを叩き込む。相手もマシンガンで迎撃してきたが、機動力を生かし側面に回り込んだ。同時にアサルトブーストを起動。凄まじい速度で突っ込んだ少女のACは、勢いのまま四脚MTを蹴りつけた。

 

『っ!?』

 

その様を見ていたダナムに驚愕の色が浮かぶ。ブーストキックと呼ばれる機能のそれは、本来オールマインドのシステムを通じACをチューニングしなければ使えないはず。四脚MTを蹴りつけた少女自身も、何故自身が蹴りを放てたのか理解出来ていなかった。しかし、動揺に反して操縦は的確だ。蹴りつけられた四脚MTにチャージしたリニアライフルを叩き込み、姿勢制御システム・・・・・・ACSに限界以上の負荷を与える。攻撃を無防備に受けるスタッガー状態になった四脚MTは、少女の果敢な追撃にあえなく爆散した。

 

「うっわぁ、なんだこれ・・・・・・なんつーか、解像度が高過ぎる」

 

自分でやったことが信じられないかのように、少女はシミュレーター内で呆然とした表情を浮かべている。四脚MTのような大物、実戦どころかシミュレーターで撃破したことすらない。彼の腕では軽量MT数機程度が関の山だったのだ。激しく脈打つ胸を押さえ、なんとか状況を飲み込もうと深呼吸を繰り返す。と、

 

『悪いが、もう一戦付き合ってもらうぞ』

 

通信と同時に目の前に新たな機体が現れた。BAWS製のフレームにバーストマシンガン、軽量バズーカ、垂直ミサイルを積んだAC。インデックス・ダナムの乗機、バーンピカクスだ。

 

「ちょ、ダナムさん!?」

 

『貴様の実力は分かった。次はその性根を測る。ゆくぞ!「灰かぶりて、我らあり!」』

 

「どういう理屈で、ってクソッ!」

 

放たれたバズーカを避けようとしながら少女が悪態を吐く。クイックブーストでも回避し切れなかった近接信管の爆風が機体を焼き、APが消耗したことが脳に伝えられた。

 

「あぁもうっ、やるしかないのかよ!?」

 

バーンピカクスにレティクルを合わせ、ターゲットをロックする。マシンガンを乱射しながら距離を詰めてくる赤い機体に同じくマシンガンで迎撃しながら、すれ違うようにクイックブーストを吹かした。合わせて機体を回転させ、無防備な背中にリニアライフルを叩き込む。

 

『ぐぅっ!?』

 

間髪入れずミサイルを放ち、アサルトブーストで突っ込んだ。対AC戦において、重要なのはどれだけスタッガーを取れるかだ。四脚MTの時と同じようにアサルトブーストの勢いに任せ蹴り込むが、まだスタッガーは取れない。上空からミサイルが降ってくるのを感知した少女は、後方にクイックブーストを吹かしてミサイルを避けつつ距離を取った。直後、バーンピカクスのバズーカが火を吹く。

 

「やべっ!」

 

迫るバズーカの弾を避けようとするもENの残量が無い。もろに直撃を食らい、脳にスパークが走るような感触が少女に伝えられる。ACと深く同調しているからか、痛みにも似た衝撃。僅かに動きを止めた少女の機体に、ダナムの狩るバーンピカクスが猛然と襲い掛かった。

 

『どうした、その程度か!』

 

至近距離からマシンガンを浴びせられ、みるみる内にACSの負荷が高まっていく。なんとか持ち直した少女は、再びのバズーカ射撃をなんとか避け切り反撃に転じた。相手のACS負荷も限界に近いはずだ。削り合いならこちらに分がある。

 

「舐めるなよ、ダナムさんよぉっ!」

 

バーンピカクスから伝わってくるダナムの闘志を押し返すように、少女はマシンガンとリニアライフルを乱射した。精度の高い射撃がバーンピカクスに次々と撃ち込まれ、一気にスタッガー状態へと持ち込む。ミサイルを放ちつつアサルトブーストで接近し蹴り、吹き飛んだバーンピカクスに駄目押しのチャージリニアライフルを撃ち込んだ。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・・・!」

 

爆散し崩れ落ちる赤い機体を前に、少女は荒い呼吸を繰り返す。今までのACの操縦はなんだったのかと思えるほど、縦横無尽に動かすことが出来たという事実。これが、最新世代の強化人間というものなのか。

 

『ぐぅっ・・・・・・悔しいが、見事だ』

 

ダナムからの称賛も素直に受け止めることが出来ない。そも、彼の実力は底辺に近いものだった。MTの部隊相手にはなんとか勝てるが、四脚MTやAC相手では尻尾を巻いて逃げる程度。だから、第10世代の強化手術を受けているらしい少女の肉体で圧勝したとしても、どうにも実感が湧いていないようだ。

 

「ふぅー・・・・・・。これは、俺の実力じゃあないですよ。この体がACの操縦に最適化されてるんだろうな。まるで羽が生えたみたいに楽々動かせる。こんな実力があれば、死ぬことも無かっただろうに」

 

自虐的に呟きながら、少女はシミュレーションを終了させる。ヘルメットのような器具を外してシミュレーターから出ると、同じく出てきたらしいダナムが腕組みをして睨み付けてきているのが見えた。

 

「・・・・・・なんすか。一応、この体の実力は示しましたけど」

 

「・・・・・・」

 

無言のままのダナムは、悔しそうな様子を隠さないまま視線を逸らさない。少女が居心地の悪さを感じ始めたところで、ダナムはようやく口を開いた。

 

「お前が見た目通りの人物ではないことは分かった。その力を、我らの為に活かす気は無いか?」

 

「へ・・・・・・?」

 

思わず呆けてしまった少女に、ダナムは畳みかけるように言葉を紡ぐ。

 

「知っているだろうが、解放戦線の状況は厳しい。俺としては得体の知れない者を迎え入れるのは反対したのだが、他ならぬ帥淑の決定だ。我らルビコン解放戦線は、お前を専属の傭兵として雇う準備がある」

 

「え、えぇ」

 

言葉に嘘は無いのだろう、苦みが混ざった表情でダナムは少女にまくしたてた。しかし、それにどう反応すればいいのか分からない。自分の現在の実力も想定外なら、解放戦線側の対応も想定外だ。まさか、こんな得体の知れない妄言を吐く者を仲間に引き入れようとするとは。

 

「いや、ちょっと待ってくださいよ。あんたら、俺のことを企業のスパイか何かだと疑ってたんじゃないんですか?」

 

「その可能性は今も考えている。だが、それ以上に戦力を増強出来る可能性に賭けたい、と。お前にその意思があるのならな」

 

「う、うーん・・・・・・」

 

本来ならば渡りに船なはずの提案に、少女は腕を組み考え込む。彼としても、解放戦線に雇われた傭兵として働くことに不満は無い。企業相手よりも待遇は落ちるだろうが、依頼も無く餓え死ぬよりはマシだ。しかし。視線を落とすと、そこには華奢な肉体がある。触れれば手折れそうなそれは、男だった時とは似ても似つかない。

 

「・・・・・・少し、考える時間をくれませんかね?俺としちゃあその案には乗りたいんですけど、この体だからな。実の所、まだ状況を飲み込めてないんですよ」

 

「いいだろう。しかし、あまり時間はやれんぞ」

 

「そりゃもう。一日、じっくり考えこませてもらいます」

 

その程度の時間で心の準備がつくかと言えば、おそらくは無理だろう。しかし少女は頷き、再びダナムに連れられ部屋に戻っていく。とにかく一人になって、思考を整理したかった。と、通路にあった窓が目に入った。そこに反射し映し出されたのは、美麗な顔立ちの少女。今の自分である。憂鬱そうな表情が、一層愛らしさを引き立てているようだ。

 

「・・・・・・はぁ」

 

溜め息を吐いて視線を逸らす。己の運命を呪いながらも、少女はダナムの背を追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

少女を部屋に送り届けたダナムは、自室でフラットウェルへの報告を纏めつつ溜め息を吐いた。

 

「ふぅ・・・・・・まさか、あれ程とは」

 

世代を重ねる毎に、強化人間の水準は高くなっている。だからこそ、少女には相応の実力があるとダナム及びフラットウェルは判断していた。しかし、その判断は大きく覆された。四脚型を含めた複数のMTを容易く葬り去り、バーンピカクスに乗り相対した自分も圧倒する実力。解放戦線のAC乗りの中でも上位に食い込むだろう。

 

「・・・・・・。それに、立ち振る舞いから察するに言っていることは本当か。少なくとも、見た目通りの少女ではありえない」

 

ダナムはある確信を持って呟いた。見た目は確かに可愛らしい少女なのだが、不意に見せる癖や態度から別の匂いが漂うのだ。例えば歩き方。歩き慣れていないはずの細い足で、少女は規則正しい足音を響かせていた。最低限、軍事的な訓練を受けた者の歩き方だ。

 

そして、ACの操縦技術。細かい部分で、少女はマニュアル操作を多用していた。本来、第10世代の強化人間には不必要なものである。パイロットに負担のかかる操作は、殆どが自動化されているからだ。

 

しかし。少女の操作は違った。恐らくは、旧世代の強化人間のやり方。それに類する匂いをダナムは感じ取っていた。

 

「むぅ・・・・・・」

 

そしてあの実力だ。本人が言うにはランクにすら入れない木っ端傭兵だったらしいが、とてもそうは見えない。あるいは、突然強化人間になったことで秘められていた何かが覚醒したのだろうか?いや、それは無い。ダナムは本能的に己の思考を否定した。そんなことがあるのなら、ルビコニアン達はこんな苦労をしてはいない。ならば、少女のあの強さはどこから来ているのか。

 

なんにせよ、これからも少女に警戒を向け続けなければならない。フラットウェルの判断は理解出来るものの、危険過ぎるとダナム自身は思っていた。しかし、己が四六時中少女を警戒する訳にもいかない。誰か、専属の人間を付けるのが妥当だろう。

 

「アーシルが適任か?いや、あれも忙しいはず。しかし他に候補は・・・・・・」

 

思案するダナムは、苛立たしげにしながらも先ほどのことを思い出した。少女相手に成す術も無く撃破されたことを。

 

もしも、自分にあれだけの才能があれば。長く戦い続けているダナムは、しかしAC乗りとしての才には恵まれなかった。たゆまぬ修練によりランカーにはなっているものの、そのランキングは最底辺。少女の技量に思う所があるのは仕方の無いことだ。

 

「・・・・・・仕方無い、か。上手く使えば充分な戦力にはなるはずだ。裏切らぬよう、俺が目を光らせねば」

 

羨望や疑念を飲み込んで、ダナムは手早く報告をまとめる。どうやらフラットウェルの方も難航しているようで、未だにボナ・デア砂丘にいるようだ。彼の負担を少しでも軽くする為、可能な限りこちらで受け持たねばならない。

 

「コーラルよ、ルビコンと共にあれ。我らの為ならば、利用出来るものはなんでも利用してやろう。例え見目麗しい少女であっても」

 

決意を漲らせダナムは呟く。ルビコニアンの暮らしを守る。それが、彼の掲げている信念だ。この星で生まれた者達が当然のように健やかに暮らせるように。その為ならば、この命を失っても惜しくはない。改めて決意を固め、ダナムは報告を送信した。願わくば、あの少女の出番が無いように祈りながら。




少女は肉体の才能と精神の経験が合わさり、独立傭兵の中では「当たり」と称される程度の実力を持っています。凄いぞ強いぞ第10世代。
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