青春記録のハイライト ーその言葉を、あんたは信じるかい?ー   作:神咲胡桃

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お久しぶりです。

ガッチャードも面白いですが、ギーツロスが続くので前々から考えていたのを書きました。

更新が止まっている他のも、そろそろ書きたいなぁと思わなくもない。



ちなみにこの作品に英寿様はでない予定です。他のギーツキャラも出ません。
理由? 英寿様が完璧すぎて動かせる気がしないからです。


遭遇Ⅰ*:その日、仮面ライダーに出会った

 

 

 

夜。人気がなく、明かりも朧げな公園で二つの人影が躍動していた。

 

 

 

甲高い銃撃音。

 

 

片方の影に蹴り飛ばされたもう片方の影が、その身に発生した火花で照らされる。

 

その姿はまるで異形。体には植物のような模様が浮かび、頭部は巨大な骸骨で覆われている。

 

そしてその火花に微かに照らされるもう片方の影。全体像が見えるわけではないが、それでも浮かび上がった顔は……狐だった。

 

 

《MAGNUM STRIKE》

 

 

無数の銃弾が異形を襲い、爆発の中に消えていった。

 

残った狐の仮面の人影は、取り出した端末の画面を確認する。そこには撃破数の文字と、9から10へと変わったカウントが書かれていた。

 

『10体の撃破を確認しました! お祝いの品をプレゼント致します!』

 

カウントを隠すように現れた一人の少女。画面のサイズの関係で実物のサイズは分からないが、画面の中に存在しているかのように現れた少女の言葉の後に、一つの箱が降ってきた。

 

乾いた音を立てて落ちた箱を手に取り、蓋を開けて中を確認する。箱の中身を確認した狐は、仮面で分からずとも笑みをこぼした。

 

 

「――フッ」

 

「動くな」

 

 

背後から聞こえた声に振り向くと、そこには一人の少女がショットガンを構えていた。微かな明かりで分かるのは小柄な事と、特徴的なオッドアイとピンク色の髪であることだけである。

 

 

「なんだか騒いでたみたいだけど、何かあったの? とりあえず、おじさんとお話ししようかぁ? その、仮面?も脱いでさぁ」

 

 

間延びした特徴的な話し方に反して油断なく狐を睨む少女に、ただ告げた。

 

 

「――なんてことはないさ。世界を救ってた。その言葉を、あんたは信じるか? ()()()()()

 

「……? ッ!?」

 

 

次の瞬間、狐と少女の間に線を引くように火花が散り、舞い上がった粉塵が狐の姿を隠す。

少女は突然の発砲にも怯むことなくショットガンを発砲するも、銃弾は空を切るのみだった。

 

 

「う~ん。逃げられちゃったかぁ。最近特に物騒だし、見回りしてて正解だったけど……うへぇ。もう少し警戒しないとなぁ。それにしても、生徒会長って……」

 

 

その呟きに応えられる人間は、この場には残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“――不審者情報?”

 

 

連邦捜査部S.C.H.A.L.E(シャーレ)。今は不在である連邦生徒会長によって設立され、キヴォトスの外から招かれた先生を顧問とした超法規的組織。

キヴォトスに存在する無数の学園と、その学園が運営する自治区を自由に行き来でき、所属や学園に係わらず不特定多数の生徒の協力を仰ぐことができる。

 

そのシャーレが置かれているビルのオフィスで、件の先生は通信相手から聞かれた情報に眉をひそめた。

 

 

『はい。最近、各自治区で頭に骸骨をかぶった奇妙な人影を見た。そう報告が上がっているようです』

 

 

先生の通信相手である七神リンは、相変わらずの生真面目な口調で話を続ける。

連邦生徒会長代理という重要な立場にあることは先生とて理解しているが、少しは肩の力を抜けばいいのにと思わなくもない。

 

 

『先生は……どうやら自治区の問題に関わっているようですね』

 

“うん”

 

『いえ。それこそがシャーレの最大の特徴です。ですが、今まで自治区の問題は、あくまでも自治区のみでの解決が続いてきました。学園間の関係も素直に仲の良いものではないですから。その所は、いくらシャーレといえど――』

 

“分かってる。他の自治区の子を連れて行かないように気を付けるよ”

 

『……ええ。話を戻して不審者の情報ですが、これといった被害も出ておらず、現段階では生徒なのかどうかも分かりません。捜査は続けますが、先生も十分注意してください』

 

“うん。心配してくれてありがとう”

 

『最後に一つだけ』

 

 

話が終わり、通信が切れる――直前に、リンの口が開いた。

 

 

『今のアビドスでは、何かときな臭い動きが見られます。お気をつけて』

 

『通信、終了しました先生』

 

 

先生の傍らに置かれているタブレット‘シッテムの箱’、そのOSである少女アロナ。

今度こそ通信が切れたことを、彼女が教えてくれた。

 

 

“(きな臭い動き、か)”

 

 

リンの言う通り、先生は今とある学校の問題に関わっていた。

 

その名をアビドス高等学校。かつてはマンモス校として栄えていたものの、度重なる砂漠化によって生徒数は5人まで減り、畳みかけるように多額の借金を抱えているという。

その借金をどうにかしようとしているのが、対策委員会。

 

小鳥遊ホシノ

 

十六夜ノノミ

 

砂狼シロコ

 

奥空アヤネ

 

黒見セリカ

 

全校生徒である5人が所属し、日夜借金返済のために奔走している。

 

先生が彼女たちと出会ったのは、物資の支援要請を受けたからだ。

当時のアビドス高等学校には、カタカタヘルメット団という武装勢力から攻撃を受けており、物資が不足していた。

そこでシャーレに送った支援要請を先生が確認し、対策委員会と合流。

 

そこからは色んなことがあった。

 

セリカが誘拐されたり、便利屋68と名乗る集団を退けたり、銀行を襲撃したり……そして、その裏に存在している企業カイザー・コーポレーションの影。とにかくいろんなことがあった。

もしかしたら、リンが言っていた不審者というのも、カイザーが関係しているのかも――

 

 

『先生! もうすぐアビドスに向かう時間ですよ!』

 

 

思考に落ちかけた意識が、アロナの声で引き戻される。

時計を見ると予定の時間が迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ先生ぇ。おつかれ~」

 

電車に飛び乗り、アビドスに着いた先生を出迎えたのは一人の少女。

ピンク色の髪にオッドアイ。折りたたみスリングを付けた盾を肩にかけている。

 

彼女こそが、アビドス高等学校の対策委員会の委員長、小鳥遊ホシノである。

 

 

“こんにちは、ホシノ”

 

「うへ。わざわざ来てもらって悪いねぇ、先生」

 

“ううん。それにしても珍しいね”

 

 

彼女はめんどくさがりな言動が目立つ。真面目なセリカからはそれでよく怒られたりしている。

普段ならこうして彼女自ら先生を迎えには来ないだろう。

 

 

「まあねぇ。いつもはシロコちゃんにお願いしてるんだけど」

 

 

ホシノの案内でアビドス校舎への道を歩く。

 

最初にやってきた時は数日も道に迷った上、シロコに会わなければ危うく死にかけるところだったが、さすが在校生。校舎までの最短距離を歩いていく。

 

 

「先生はさ、今回の件どう考えてるの?」

 

 

それはヘルメット団や便利屋の襲撃、そして返済のために渡したお金が闇銀行に流れていたこと。

 

先日の銀行襲撃の一件で判明したことに対策委員会、特にセリカは憤慨していたが、その場は頭を冷やすために一時解散となった。

今日先生がアビドスに来たのも、どう対処するかを考えるためであった。

 

 

「ヘルメット団や便利屋の襲撃は、カイザーの手引き。利子はともかく、借金自体は違法じゃない。例え悪事を追及しても、簡単に揉み消されちゃうだろうねぇ」

 

 

カイザー・コーポレーションはキヴォトス有数の巨大企業。そんな企業の悪事を暴くには、相当な根回しが必要となる。

それに例え、アビドスが被った悪事を何とかしたとしても、借金自体は残り続けるだろう。

 

 

「先生も内心、関わるのは面倒だぁとか、思っちゃってたりしない?」

 

“……何かあったの?”

 

「…………」

 

“確かに、アビドスが抱えている問題を、今すぐどうにかするのは難しいかもしれない。それでも、私は君たちを見捨てないよ”

 

「先生だから?」

 

“うん”

 

 

何故ホシノがこんなことを言い出したのかは分からないが、例えどこの学園の生徒だろうと、生徒ならば手を差し伸べる。それが先生という存在だ。

 

 

しばらく沈黙が続く。

そんな静寂を切り裂いたのは、ホシノの携帯の着信音だった。

 

ホシノが携帯を取り出すと、発信者はアビドス高等学校1年の奥空アヤネだった。

 

 

「もしもし~。アヤネちゃん、どうしたの~?」

 

『ホシノ先輩大変です! 学校にヘルメット団が攻撃を仕掛けてきました!』

 

 

携帯から聞こえてきたアヤネの焦った声に、ホシノの目つきが変わる。

 

 

「どこのヘルメット団か分かる? カタカタヘルメット団?」

 

『彼女たちの名乗りを聞く限り、ガタガタヘルメット団です。今はシロコ先輩たちが応戦していますが、ホシノ先輩もすぐに戻ってきてください!』

 

「カイザーがまた雇ったのかな? 分かった。先生を連れてすぐに戻るよ。先生!」

 

“分かってる”

 

 

アビドス校舎へのガタガタヘルメット団の襲撃。すぐに学校に戻らなければならないが、ホシノ一人ならともかく、先生は生徒たちほどの速さで向かえない。

 

ならば方法は一つと言わんばかりにホシノは先生に声をかけ、先生も了承する。

 

 

「じゃ、少し失礼するね」

 

 

ホシノが先生を抱えると、学校に向かって一直線に駆け出した。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

多種多様な銃撃音。

 

ホシノに抱えられた先生がアビドス校舎に到着した時、そこでは既に戦闘が激しくなっていた。

 

 

「うわぁ。それなりに数がいるねぇ。んじゃ先生、指揮よろしく」

 

“わかった”

 

 

先生がシッテムの箱を起動すると、戦場となっている範囲が空から俯瞰している映像が画面に映る。

 

画面には校舎を背にして校門を防衛する3人の生徒。十六夜ノノミ、砂狼シロコ、黒見セリカ、ホシノと同じ対策委員会のメンバーである。もう一人のメンバーである奥空アヤネは、校舎内でドローンによるサポートを行っているのだろう。

 

対策委員会と対するのはヘルメットを被り、数十人で攻撃を仕掛けている集団。彼女たちがガタガタヘルメット団なのだろう。

数に関してはガタガタヘルメット団の方が多いが、アビドスの生徒たちも戦闘経験は豊富だ。地の利もあるからか、3人だけでも十分応戦できているようである。

 

 

“ホシノ、まずはみんなと合流しよう。ガタガタヘルメット団の側面を叩くよ”

 

「おっけ~」

 

 

先生の指示を受けてホシノが動き出す。

 

シッテムの箱の画面、ヘルメット団の側面にホシノが現れ攻撃を開始する。

 

 

「うわっ!? なんだ!?」

 

「おい! こいつもアビドスの生徒だ!」

 

「一人だ囲め!」

 

「いたっ!? 校門にいたやつらも出てきたぞ!」

 

 

ホシノが集団に突っ込みショットガンを連射していく。正面の三人に集中していたヘルメット団は、横からの思わぬ襲撃に浮足立つ。

それによる混乱を察知したのか、防衛に徹していた3人も攻勢に打って出た。

 

 

「みんな~、おまたせ~。先生もいるよ~」

 

「先輩遅い!」

 

「まあまあ。これで攻勢に出れますから」

 

「ん、二人が来てくれたら百人力」

 

“おまたせ。みんな、指示に従ってほしい”

 

「よーし、ここから反撃よ!」

 

 

先生とホシノが合流したことで、撃退の目途が立ったアビドスの生徒が奮起する。

 

一方で奇襲による混乱からどうにか立て直したガタガタヘルメット団。

その後方、ヘルメット団のリーダーが周りに命令していた。

 

「くそっ! こうなったらあれを使うぞ!」

 

「あ、あれですか!? あの、ブラックマーケットで買った、超威力の爆弾をですか!? 結構な大枚はたいて買ったものですけど!」

 

「今使わずしていつ使う! 良いから持ってこい!」

 

 

ガタガタヘルメット団にとって、願掛けのような物だったが、ここでやられるくらいならと近くにいた仲間に持ってくるように伝える。

 

 

「ジャ」

 

「お、速いな。貸せ…………おい、何やってる。早く貸せ――」

 

 

いくら待っても渡さないことに苛立ち振り向くと、そこにいたのは頭が骸骨の怪人だった。

 

 

「……………………」

 

「……………………」

 

 

その怪人の手にあるのは、さっきから話していた爆弾だった。起爆用のピンが抜かれた状態で。

 

 

 

 

 

 ピ ン が 抜 か れ た 状 態 で

 

 

 

 

ガタガタヘルメット団の後方で、巨大な爆発が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その爆発は前線の方でも見えていた。

先生の指揮の下、完全にアビドス優勢に傾いていた頃であった。

 

 

「ちょ、何よあの爆発!」

 

「ん~、アヤネちゃん、何かした?」

 

『い、いえ。私も何が何だか……』

 

「だよねぇ……どうする、先生?」

 

“申し訳ないけど、今のうちに完全に押し込んでしまおう”

 

 

安全なはずの後方で起きた爆発に、ヘルメット団の団員は怯んでしまう。

 

その隙に一気に撃退してしまおうと、先生の指示で攻勢をかけようとした時――

 

 

「う、うわあああ!?」

 

「なんだこいつらぁ!?」

 

「た、助けてくれぇ!」

 

 

集団から聞こえてきた悲鳴に、ホシノ達は思わず足が止まる。銃声も聞こえてくるが、弾は一発も飛んでこない。

 

 

「ジャー!」

 

「ジャー!」

 

コポステウン(暴れろ)!」

 

 

ヘルメット団を襲っていたのは、頭が骸骨の怪人だった。

数十体の怪人が、ダガーを片手に銃を持つヘルメット団の団員に手当たり次第に襲い掛かり、団員も不気味な見た目の怪人に対し恐怖しながら応戦していた。

 

その状況を見ていた先生たちは、この状況に困惑していた。

 

 

“あれは、骸骨?”

 

「なによあいつら!?」

 

「ん、生徒には見えない。……コスプレ?」

 

『乱入者は、ガタガタヘルメット団を攻撃しています』

 

「ん~。どうする? 先生」

 

“あれが何かは分からないけど、放っておけない”

 

「ちょっと、あいつら助けるの!?」

 

「でも、見捨てるわけにはいかないですよ」

 

「ま、そういうことだね」

 

“みんな、いくよ!”

 

「ああもう! 分かったわよ!」

 

 

話がまとまったことで、ホシノを先頭にヘルメット団を襲う怪人に攻撃を仕掛けていく。

 

 

「ほい。大丈夫?」

 

「お、おまえたちは……」

 

「ここは私たちに任せて」

 

「別に、あんたたちを助けるわけじゃないんだからね!」

 

「他の人たちと一緒に退避してください!」

 

「あ、ああ。ありがとう!」

 

 

ヘルメット団の団員を助けながら、怪人を攻撃するホシノ達。先生もシッテムの箱で指示を出していく。

 

 

“ホシノ、正面から敵が来る!”

 

「はいよ~」

 

“シロコ、セリカ。右に襲われてる子がいる”

 

「ん、了解」

 

「ああもう、速く逃げなさい!」

 

“ノノミ、一気に薙ぎ払って!”

 

「任せてくださーい!」

 

 

先生の指示もあって4人は順調に交戦していたが、ダメージは与えられど怪人たちはいくら攻撃しても倒れる様子がない。まるでゾンビのようである。

 

さすがのシロコ達も辟易した様子で息を整える。

 

 

「こいつら、硬すぎ……」

 

「ん、このままじゃジリ貧……」

 

“攻撃は効いてる。火力を集中させれば――”

 

『っ!? 先生の周囲に敵がいます! 先生すぐに逃げてください!』

 

 

先生が怪人たちを倒す方法を伝えようとした時、通信機からアヤネの悲鳴が耳に届く。

ハッとして周囲に目を向ければ、もう目と鼻の先にいた怪人が襲い掛からんとしていた。

 

“――っ!”

 

「回り込まれてた!?」

 

「先生! っ!?」

 

「このっ! 邪魔しないでよ!」

 

「早く逃げてください!」

 

 

シロコ達も急いで先生を助けようとしていたが、注意がそれたタイミングで怪人たちに阻まれる。

 

 

「ジャー!」

 

 

絶体絶命の状況。向かってくる怪人たちの凶刃が先生に襲い掛かり――

 

 

 

 

 

 

先生の頭上を飛び越えて現れた赤色のバイクの体当たりに吹き飛ばされた。

 

 

 

“――え?”

 

 

怪人を吹き飛ばしたバイクは停止し、その乗り手がバイクから降りるとかぶっていたヘルメットを脱いだ。

 

黒髪の中に少ない白髪が混じりあった、長い髪が宙を舞う。

 

中性的な、ともすれば男の子にも見えなくもない端正な顔の切れ長な目が先生を見据える。キヴォトスの生徒たちが頭の上に有するヘイローは白く輝き、まるで幻のような儚さと神秘さを感じさせる。

 

 

「危なかったな。先生」

 

 

少女から声を掛けられ、そこでようやく目の前のことに意識が戻った。

 

 

“君は……?”

 

「オレか? オレは――」

 

「――キョトキョ(痛い)……」

 

“ここは危険だ。早く逃げて!”

 

 

‘オレ’と少女らしからぬ男口調に呆気にとられる暇もなく、吹っ飛ばされた怪人たちが起き上がってくるのに気づくと少女に逃げるように言う。

 

しかし、当の少女は不敵な笑みを浮かべると、先生を背に守るように立ちはだかる。

 

 

「あんたも災難だな。ジャマトに襲われるなんて」

 

“ジャマト? 君はあれが何なのか知ってるの?”

 

 

怪人たちをジャマトと呼んだ少女に先生は思わず聞き返すも、それに応えることはなかった。

その代わり、ジャケットから取り出したのは黒いアイテムと、狐の顔が書かれた白い円柱型のアイテム。

 

 

《DESIRE DRIVER》

 

 

黒いアイテム‘デザイアドライバー’を腰に当てると、音声と共にベルトが腰に巻かれる。

そして中央の窪み‘パーフェクターコア’に、もう一つ取り出していたアイテム‘コアID’を嵌める。

 

 

《ENTRY》

 

 

そして少女の右手には銃の意匠が施された小型ガジェットが握られていた。

 

 

‘レイズバックル’

 

 

そのガジェットがデザイアドライバーの右側にセットさせる。

 

 

《SET》

 

 

少女の右側に、‘MAGNUM’の文字が銃の模様と一緒に浮かび上がる。

そのまま少女は体を半身に、右手を大げさに動かし胸の前に持ってくる。

 

右手を前に突き出し指を鳴らして、ただ短く言い放った。

 

 

「――変身」

 

 

レイズバックルの銃を外側に引くと、少女の姿が変わる。

身体が黒い素体となり、顔はキツネを模した仮面に覆われる。

 

 

《ARMED MAGNUM》

 

 

少女の隣に浮いていた文字がいくつかの銃弾に変わり、さらに銃と胸当てのような装備へと変わる。

 

 

“君は一体……”

 

「――ギーツ。仮面ライダーギーツ」

 

《READY――――》

 

「さあ、ここからが――」

 

 

いつの間にか右手に握られていた赤、黒、白色で彩られた銃『マグナムシューター40X』が、ジャマトたちに向けられる。

 

 

「――ハイライトだ」

 

《――――FIGHT》

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「ジャー!」

 

 

マグナムシューターの銃口が火を噴き、襲い掛かろうとしていたジャマトたちは、その不気味な体から火花を散らして倒れていく。

 

 

「ふっ……」

 

「ジャジャー!」

 

「おっと」

 

 

接近して振るわれるダガーを躱しつつ前方へ、さらに正面から迫るジャマトのダガーをマグナムシューターで弾き蹴り飛ばす。

 

 

「ジャー!」

 

「ジャー!」

 

 

次々振るわれるダガーを、ギーツは後ろに下がりながら最低限の動きでかわしていく。

ハンドガンゆえの扱いやすさを生かし、ダガーを振るう腕をつかんだジャマトを撃ち抜くと、崩れ落ちるジャマトに構わず掴んでいた腕を掲げた。

 

掲げた腕に握られていたダガーは、持ち主の後ろから振るわれたもう一体のジャマトのダガーを受け止め、2体目のジャマトも同じ運命を辿った。

 

 

ツジ(撃て)!」

 

「うおっ!?」

 

 

頭上からした声にギーツが咄嗟に地面に転がると、さっきまで立っていた場所に複数の弓が突き刺さり爆発した。

 

 

「ああ?」

 

 

見上げると、廃墟の屋上からジャマトたちが弓を構えていた。

 

 

「ツジ!」

 

「やっべ」

 

 

既に次の矢をつがえて構えていたジャマトたちに、ギーツは走り出した。

次々と降り注ぐ矢の雨と爆発から逃げながら、隙を見てギーツは隣の建物の壁を蹴り反転。同時にマグナムシューター後部のレバーを引く。

 

 

《BULLET CHARGE》

 

「はぁっ!」

 

 

マグナムシューターの高速連射が、屋上にいる数体のジャマトを倒す。

受け身を取り地面を転がるギーツに、ダガーを持ったジャマトたちが休む暇もなく襲い掛かろうと接近してくる。

 

しかしギーツは怯むこともなく、マグナムシューターを乱射しながらジャマトたちを迎え撃つ。

 

 

“すごい……”

 

 

瓦礫の影に隠れ、そう呟いた先生の視線の先には、ジャマトたちと戦うギーツがいた。

たくさんのジャマトに囲まれているというのに、一撃も食らうことなく着実にジャマトを倒していく。

 

ホシノ達の攻撃では、ダメージを負わせることはできても倒しきることができなかった。

しかしギーツの攻撃を食らったジャマトは、その体を土に還すように消えていくのだ。

 

 

“怪物たちの名前も知ってたみたいだし、やっぱり彼女は何か知っているのか?”

 

 

だがあの戦いぶりは、ジャマトを倒せる武器やあの姿以外の何かを感じる。

まるでずっと戦っていたかのような一種の慣れ、いや、それこそまるで作業のような――

 

 

「先生、無事?」

 

“ホシノ”

 

 

背後からかけられた声に振り替えると、ホシノ達対策委員会の面々が集まっていた。

 

 

「襲われてたヘルメット団の子たちを全員逃がし終えたからこっちに来たんだけど、あの人、先生の知り合い?」

 

“ううん。その様子だと、ホシノ達の知り合いでもなさそうだね?”

 

「当たり前でしょ! 何なのよあれ!」

 

「すごく強いですね~」

 

「ん、それに私たちの武器じゃ倒せなかった化け物を、簡単に倒してる」

 

『あの狐の人は怪物に対する効果的な手段を持っています。共闘できるのなら、その方が良いと思います』

 

「そうだねぇ。このままあの子に全部お願いしたいんだけど……」

 

「そんなわけにいかないでしょ! アビドスは私たちの手で守らないと!」

 

「だよねぇ」

 

 

セリカを筆頭にギーツを援護しようという声が上がり、彼女たちの声を受けて先生もまた頷いた。

彼女が何者であろうと、命の危機を助けてくれた彼女を放っておく選択肢は先生にはなかった。

 

ホシノを先頭に、ギーツに気を取られていたジャマトたちの背後から銃弾を浴びせていく。

 

 

「うん?」

 

 

ジャマトの片腕をひねり、背中に回してジャマトの動きを封じていたギーツも、ホシノ達の援護に気づく。

 

 

「そこの狐頭! 援護するわよ!」

 

「一人だと危ないですからね」

 

「ん、私たちも手伝うよ」

 

 

それぞれの得物を手にジャマトたちに攻撃を加えていくセリカたち。

しかしそれに、意外なところから待ったがかかった。

 

 

「あー! ちょいちょいちょい! そいつら倒すのダメ!」

 

「はあ!? どういうことよ狐頭!」

 

 

まさかのギーツから倒すなと言われ、セリカが食い掛る。

他の面々も怪訝な顔をして攻撃の手が緩んだ瞬間に、セリカたちが攻撃していたジャマトをギーツが撃つ。

 

 

「ちょうどここにいる奴らで撃破数が良いぐらいなんだ! ようやくまとまった数を見つけたからな。勝手に倒されると困る」

 

“えっ、どういうこと?”

 

ビロバラ(構わん)ツジ(撃て)!」

 

「っ!」

 

 

ギーツの言っていることへの理解が及ばず、ホシノ達も動きを止める中、ギーツが咄嗟に拘束していたジャマトの下に隠れる。

盾にしたジャマトに矢が突き刺さり、爆発で舞った粉塵がギーツの姿を覆い隠す。

 

 

「きゃぁ!?」

 

「……やれやれ」

 

《RIFLE》

 

「味方諸共か。だが、悪手だ」

 

 

砂煙に隠れギーツはマグナムシューターの銃身上部、折りたたまれていたバレルを展開しライフルモードに変形する。

粉塵が薄く、しかしまだハッキリと晴れないタイミングを狙い、スコープを除く。

 

ギーツを探している弓を持ったジャマトたち、その中にいる()()()()()()()()一体に狙いをつける。

 

 

「……見つけた」

 

《CHARGE》

 

 

再びマグナムシューターのレバーを引き、引き金を引く。

 

 

《TACTICAL SHOOT》

 

 

撃ちだされた強力な弾丸は、弓を持ったジャマトたちに指示を出していた指揮官ジャマトを貫き爆発。

屋上にいた他のジャマトも巻き込み、残っていたジャマトを一掃した。

 

 

「な、なんなのよ……」

 

 

意味が分からないと呟くセリカ。他の面々も、内心同じ気持ちだった。

 

そんな先生たちを放って、ギーツは端末を取り出す。その画面のカウントがちょうど50に変わる。

 

 

『50体の撃破を確認しました! お祝いの品をお送りします!』

 

「さーて、今度はどの子かな…………ぁ」

 

 

ギーツの前に現れる箱。どことなくウキウキしながら蓋を開けるが、その中に入っていたのは盾の装飾がついた小型レイズバックル。

 

 

「まじかぁ」

 

 

期待が外れたと言わんばかりに空を見上げ、ほどなくして立ち上がるとデザイアドライバーからバックルを外した。

 

ギーツの姿を一瞬光が覆い、変身前に見た少女が姿を現した。

 

 

「……さて、色々と話したいことがあるんじゃないか?」

 

 

先生たちに向き直り、少女は不敵な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 







マグナムシューター40Xレイズバックル
・名前が長い(長い)。パワードビルダーフォームのギーツが唐突に取り出したあれ。名前が長すぎるので、マグナムレイズバックル(小型)みたいな感じで出そうかとも思ったが、どうも玩具だと大型マグナムと同じ認識をするようなので没になった。

せっかくなら劇中でされなかったこと一杯書いてみたい。






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