〈R〉【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~失われたギフト~   作:高見南純平

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第12話

「ラ、ララク、なんだそのスキルと威力は。おかしくないか??」

 

 トーマガイはひどく動揺していた。長年他の多くの冒険者を見てきたからこそ、さっきの攻撃が異常な規模だということがよく分かるのだろう。

 

「そ、そうだよ! ララクくん、レベル今いくつなの??」

 

 シェントルマも驚いており、詳しく彼を掘り下げようとする。スキルは基本的に、使用者のレベルが高いほど、効果が上昇する。なので、あれほどの【ダメージサンダー】を放てるということは、それだけ彼のレベルが高いのではないかと予想したのだ。

 

「えーと、レベルは50ぐらいですけど」

 

「50、か。高いけど、それであの破壊力を得るのかなぁ……」

 

 シェントルマの中でさらに疑問が生まれてしまった。レベル40、50台は、冒険者としては中堅、ベテランといったところである。冒険者として十分食っていける。レベル60になると熟練、さらにそれを超えると達人の域だろう。レベルが高ければ高いほど、次の数字になるまでの経験値が途方もなく大きくなる。それだけ強力なモンスターを倒さなければいけなくなるが、その戦いで命を落とすリスクも高まる。

 

「実はですね、皆さんと別れてからボク、とんでもないスキルを得ちゃいまして」

 

 ララクはもう説明するしかないと、偽りなく自分の所持している【追放エナジー】について詳細に話した。

 

 それを聞いたシェントルマとトーマガイは、さらに驚愕した。

 

「それはつまり、我々、昔の仲間のスキルを全て使用できる、ということか?」

 

「そういうことになりますね」

 

「じゃあ、僕の【アイシクルスラッシュ】も、トーマさんの【ストロングナックル】も!?」

 

「はい、使えますね」

 

「そ、そんなスキルがあるなんて、初めて知ったよ……」

 

 しっかりと説明を受けた上でも、シェントルマにはそれが本当の事なのか完全に信じ切れなかった。けれど、実際に彼は道中で使用した【ポケットゲート】に戦闘で使用した恐ろしい威力の【ダメージサンダー】といったスキルを所持している。【ヒーリング】しか使用できなかったララクが急激に強くなったら理由としては、納得できる。と、飲み込むしかないだろう。

 

「これは、俺たちがここにいる意味はなかったかもな」

 

 圧倒的な強さを前に、トーマガイは自分自身の存在意義を疑ってしまう。先程のカエル掃除でトーマガイが倒したのは3匹、しかしララクは同じぐらいの時間で数十匹を一掃してしまった。

 

「そうとも、言い切れないです。

 やっぱり人手は大切ですし、強力なスキルの分魔力消費も激しいので、ちゃんと考えて発動しないといけませんし。

 それに、皆さんに出来てボクに出来ないこともありますし」

 

 彼は気を落とすトーマガイを慰めるつもり、というわけではなかった。ただ事実として、自分の思ったことを述べていく。

 

「だが、俺たちのスキルは全部持っているのだろう?」

 

「そうですけど、まず新しく皆さんが得たスキルに関してはボクは持っていません。

 あとは、武器ですね。【ウェポンクリエイト】などのスキルで作れますけど、いちいち用意しないといけません。より良い物を望めば、やはりそれだけ魔力が必要になってきます」

 

「なるほどね。武器を作っている間の数秒が命取りになる、ってこともあるのかな?」

 

 シェントルマは自分の使っている剣をまじまじと見ている。【剣適性】を複数持っているララクが使用した方が、攻撃力、速度などは遥かに上回っている。が、武器は使えば使うほど手に馴染むというもの。一概には、ララクの方が全てにおいて優れているとは言えないだろう。

 事実、さっきの跳びだしてきたカエルをララクが剣で迎撃しようと思うと、一度回避して武器を使用する時間が必要だろう。

 

「相手が格上であればあるほど、素早さは大事になってきますからね。

 あとは、体格ですね。

 残念ながら、たくさんのスキルを得ても身長体重は増えませんでした。ほら見てくださいよ、ボクとトーマさんの拳の大きさ」

 

 ララクはトーマガイの大きすぎる拳に、自らの小ぶりの手を近づける。1.5倍、下手したら2倍以上もあるだろう。

 

「じいちゃんと、孫じゃん」

 

 ゼマには、微笑ましい親族の絡みに見えたようだ。

 

「これだと、単純にトーマさんのほうが攻撃範囲が広い、ということになります。トーマさんの得意技のタックル、ボクがやってもダメージは出ても、迫力と規模は全然違ってくると思います」

 

 トーマガイは【パワフルタックル】という突進攻撃が本来得意とするスキルなのである。たくましいその体から放たれるタックルであれば、先ほどのカエルの壁も突破出来たことだろう。

 

「つまり、君には出来なくて、俺たちにしか出来ないこともある。わざわざありがとう。君は優しいな」

 

 種族、性別、骨格、他にも様々な点で人同士は違う。だから、ララクがスキルを大量に得たとしても、元仲間たちの上位互換になったわけではないのである。

 

「っあ、いや、そんなつもりじゃ。ただボクは、皆さんの事尊敬しているんです。冒険者として」

 

「そっか、それは、嬉しい言葉だね。トーマさん、ボクたちも頑張ってカエル倒そうよ」

 

 犬人のシェントルマは、トーマガイに微笑む。シェントルマも、ララクが自分たちの想像の上を行く強さを得たことに、少し劣等感を感じていたはずだ。けれど、今は前を向き、なすべきことをしようと、自身と仲間を鼓舞していた。

 

「っふ、それしかないようだ。ララク、熟練の技、しかと見せてやろうじゃないか」

 

 トーマガイは全身に力を入れて筋肉を膨張させる。まだまだ若い者には負けてられない、彼は改めてそう決意したようだ。

 

「おーし、それじゃあ先行こうぜ~」

 

 なんとなく場が収まったと感じたゼマは、先頭を歩き始めた。

 そして、大量の死体を前に、彼女は両手を合わす。その後、カエルたちの隙間を探して足をおいて、林道を突っ切っていく。

 

 他の3人も同じように行動して、カエルたちのもとを後にするのだった。

 

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