〈R〉【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~失われたギフト~   作:高見南純平

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第23話

「っな!? ……」

 

 ララクは後ろにあった別の木へと足場を変えた。仲間のゼマも近くへとやってきた。

 そこで彼はとてつもない違和感に襲われる。

 

 スキルを喰らったのは分かった。

 だが痛みもなく外傷もない。

 しかし、体が異常に重く意識もいつもよりはっきりとしなかった。

 

「ララク、回復しようか?」

 

 回復スキルを持つヒーラーのゼマが、咄嗟に声をかける。彼女のスキルなら、大抵の傷は治せる。

 

「いえ、そうじゃないんです。

 何かもっと根本的な問題が……

 そうだっ」

 

 ララクは自分の右手甲にある紋章に手を触れた。こういった基本動作も、普段より鈍重な気がしてならなかった。

 

 紋章は何度か点滅をしだすと、その後魔力の光で出来たパネルを作り出す。

 それは厳密にはスキル画面ではなかった。

 紋章は、新しいスキルを獲得したことなども教えてくれるのだが、それに近しい簡易的な情報パネルでもある。

 

 だが内容は、その真逆もいいところだった。

 

 

 名前  ララク・ストリーン

 種族  人間

 レベル 52

 

 使用不可スキル

【剣適性(Ⅹ)】【槍適性(Ⅶ)】【格闘適性・拳(Ⅴ)】【格闘適性・脚(Ⅳ)】【魔力上昇(Ⅹ)】【身体能力上昇(Ⅹ)】【防御力上昇(Ⅹ)】【俊敏性上昇(Ⅹ)】【体力上昇(Ⅶ)】

 

 

「スキルが、使えなくなってます……」

 

 ララクは唖然とした。大量にあったスキルが、一瞬で使用することが不可能になったのだ。しかもこれら全ては、常時発動型のパッシブスキル。使用不可、ということは、この時点から効力を失っていると言う事である。

 だから、異常な体のだるさや重さを感じたのだ。

 いたって健康的な体ではあるが、元が超常的過ぎて、その落差に反射的に反応してしまっているのだ。

 

「まじ? じゃあ、今のララクって、ただのレベル50ってこと?」

 

 ヒーラー・ゼマの位置からでもその画面を見ることが出来たので、彼女も一緒に驚いていた。ララクの強さを間近で見たので、驚きも大きいはずだ。

 

「まだパッシブもありますし、アクションスキルは全部使えます。

 けど、基礎的な能力が使えなくなったのは痛いですね……」

 

 説明するララクだが、明らかに顔が引きつっている。体の異常だけではなく、精神的にもまいっているようだ。

 

「ちょっとそこの陰湿マジシャンっ! とっとと返しなさいよ!」

 

 状況を整理できたゼマは、すぐさま魔人ハライノスを敵とみなす。相棒のクリスタルロッドを抜いて、いつでも戦闘可能状態だ。

 

「……はぁ、これだけでだいぶ魔力持ってかれたな。もったいねぇけど、これ使うか」

 

 魔人ハライノスは、ゼマの問いかけに耳を貸さなかった。彼は腰にかけた袋から、水色の液体が入った小瓶を取り出す。

 これはマジカポーションという代物だ。飲めば、消費した魔力を回復してくれる。しかもこれは、ラベルが金色なので、高品質なマジカポーションいうことである。

 

 それをグイっと飲み干すと、たちまち魔人ハライノスの体が水色に光り始める。完全回復、とはいかなかったかもしれないが、今はそれだけあれば十分だろう。

 何故ならもうすでに、標的ララクの弱体化には成功しているからである。

 

「無視すんじゃねぇっ!」

 

 テンションが高まってきているゼマが、今いる場所からロッドを突き出す。それと同時に魔力を流し込むことで、ロッドの先がぐんぐんと伸びていく。

 

「っげ!」

 

 間髪入れずに攻撃されたので、ハライノスは【ディスキル】を発動するのが一歩遅れた。伸びたロッドは、一直線にハライノスの顔面目掛けて強襲してくる。

 直撃する、といった瞬間、魔人ハライノスの体が急に後ろに引っ張られる。これによりロッドの先端は、ハライノスの左頬をかすめるだけであった。

 

「容赦ないね」

 

 魔人ハライノスを救ったのは、後ろにいた女戦士マベラである。攻撃が当たる瞬間、ハライノスの首根っこを掴んで無理やり自分の方に引っ張ったのである。マベラはゼマが攻撃をすることを警戒しており、なおかつ彼女の放った突きを完全に見切っていた。

 

「っさ、サンキュー。危なっかしい女だぜ。そんなお前に【ディスキル】!」

 

 魔人ハライノスは、命拾いした後すぐに、ロッドにかけられているであろう【伸縮自在】を【ディスキル】する。

 彼の持つ【ディスキル】は、明確にスキルを対象に取る必要がある。なので、見る前にあらかじめ封印するには、【サーチング】などで把握しておく必要がある。

 

「っうわ、最悪」

 

 ゼマの伸びたクリスタルロッドが、瞬時に元の長さへと収縮していく。ロッドにかけられた【伸縮自在】の効力が消えてしまったのである。

 ゼマは避けられた後も、武器を薙ぎ払って攻撃を続けるつもりだった。それもあって、強く舌打ちをした。

 

「ちょっとお前ら話聞けって。特にそこの赤髪の暴れん坊っ!」

 

 魔人ハライノスは、鮮やかな赤毛をしたゼマを指さす。彼も反撃されることは予想していたが、少々そのタイミングが早かったようだ。

 

「だったら早く話せば」

 

「はぁ……。っぐ、ごほん。なぁ、お前ら俺たちの仲間にならないか? いやそこの女、お前はいいや。ちょっと怖すぎる。

 俺が欲しいのはララク、お前だよ。お前がいりゃあ、敵なしすぎるだろ」

 

 咳払いした後、魔人ハライノスはようやく勧誘をしはじめる。が、ゼマの好戦的過ぎる性格にはこりごりなようで、完全に狙いをララクに絞っていた。

 

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