〈R〉【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~失われたギフト~   作:高見南純平

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第34話

「もういっちょ!」

 

 乱舞の効果時間が終了する前に、ダメ押しでもう一度【刺突乱舞】を発動する。

 

 マベラはそれを乱舞で太刀打ちしようとするが、ここで長双剣の重みがあだとなる。空中では足で地面を押して踏ん張るということが出来ない。

 そのため、長双剣は腕の力だけで動かすことにある。

 ゼマはここまで狙ったわけではないが、偶然にもマベラの苦手な空中戦に持ち込んでいたのだ。

 

「っぐ、ぐあぁ!」

 

 数発以上、まともにマベラは喰らった。上半身にヒットし、息が苦しそうだった。マベラは動きやすさ重視だがしっかりと戦闘服を装備しており、レベルも高い。なのでこれだけのダメージでやられることはない。

 が、この乱舞を受けたことは致命的だった。

 

 つぶれた空き缶のような態勢で、マベラの体は後方へ突き飛ばされていく。そして徐々に高度が下がり、雑草が生い茂る地上へと転がっていく。

 

「はぁ、まだまだ!」

 

 マベラは地面に叩きつけられるもしっかりと受け身をとる。そして衝撃を逃がすため、あえて大げさに転がり、そのままの勢いで立ち上がった。

 すぐにでもゼマに攻撃をしかけようとした。

 

 だが、先手を打ったゼマの方が、一瞬早く動き出していた。

 彼女の武器は【伸縮自在】が付与されたクリスタルロッド。離れた位置からでも、打撃技を繰り出すことが出来る。

 

「【ホーリースイング】!」

 

 スキル名を叫ぶと、クリスタルロッドが暖色系の光を放ち始める。そしてそこから湯気と魔力のオーラが漂い始める。

 これは、光系統の効果を含んだ打撃スキルだ。

 

 ゼマは大きくロッドを振り上げており、すでにその先端部分が、マベラの頭上にまで伸びきっていた。

 その状態で、目一杯それを振り下ろす。

 熱く煮えたぎるような光を放つクリスタルロッドが、マベラに向かって急降下し始める。

 

「っぐ!」

 

 マベラは後手に回った。まだ転がった状態から立ち上がろうとした段階で、しゃがみ込むような姿勢をしている。

 その中で、やむを得ずゼマの攻撃を受けるために、双剣でガード。

 

 双剣の切っ先が重なり合い、その溝の部分でクリスタルロッドを受け止める。

 

「っうぅ、いいスイングだ!」

 

 マベラの体は、攻撃を受けた瞬間にズンッと下に引っ張られる。林の地面に靴が少しめり込んだ。

 腕、そして肩に力を入れて、なんとか【ホーリースイング】を防ぐことに成功した。

 

「だったら大人しく喰らいなさいよっ!」

 

 ゼマはさらに力を加えて、そのまま押しつぶそうとしていた。優勢と思われる彼女だが、内心は焦っていた。この瞬間を逃せば、もうマベラの不意をつくことが出来ないかもしれないからだ。

 同じ方法はもう通用しない。小癪な真似をする前に、積極的に攻撃される可能性もある。

 だからゼマは絶対に、ここで勝負をつけなければいけなかった。

 

「私は別に、マゾじゃないんだっ!」

 

 マベラもまた、ここで一気に形勢を逆転するつもりだった。

 彼女は今にでもクリスタルロッドが顔に当たりそうだった。【ホーリースイング】の効果により熱の力が加わっており、直接当たっていなくても頬が熱くて仕方がなかった。

 

 だが、この状態は捉え方によっては、かなり力の入る構えともいえる。両足はしっかりと地面についており、膝は曲がり立ち上がろうとしている最中だ。

 

「お返しするよ! 【クロススラッシュ】!」

 

 マベラは、全身に力と気合を入れてスキルを発動した。グッと地面を強く蹴り、そのまま立ち上がろうとする。

 その勢いをスキルに乗せて、双剣に力を流していく。

 

 これでゼマのクリスタルロッドをはじき返そうとしたのだ。

 

 マベラの作戦は成功した。クリスタルロッドを双剣から離すという点においては。

 

「なに!?」

 

 マベラの狙い通り、クリスタルロッドは双剣から離れて、そのまま上方に移動していく。

 だが、マベラはとてつもない違和感があった。

【クロススラッシュ】を放ったはずなのに、全く衝撃を感じなかったのだ。つまり、今発動したスキルは、何故かクリスタルロッドには当たらなかった。

 だが、ロッドは自分から離れていく。

 

 その答えは、マベラと全く同じ考えをしていたゼマが知っていた。

 

「そうくると、思ってたっ!」

 

 クリスタルロッドがマベラの元を離れたのは彼女がはじき返したからではない。そのコンマ数秒前に、ゼマの方が先にクリスタルロッドを放ったのだ。

 

 結果は同じことかもしれない。

 しかし、この状況で現在一手先を動いているのは、マベラの考えを読み切ったゼマの方だ。

 

「っまさか!」

 

 マベラはここでゼマの狙いに気が付いた。

 双剣を勢いよく振り払ったため、彼女の両腕は大きく左右に分かれている。さらに立ち上がり膝が伸びきってしまったため、流れるような動きも難しい。

 

「胸が、がら空きだよっ! 

 【ホーリースイング】!」

 

 ゼマは両腕を使って、再び熱光するクリスタルロッドを振り下ろした。

 しなるロッドは、超速度でマベラに向かっていく。

 

「しまっ!」

 

 マベラは慌てて両腕を中央に引き合わせて、双剣で防ごうとした。

 だが、2つの刃が重なり合う前に、その間を煌びやかに輝くロッドが通り過ぎていく。

 

 そしてその先には、ロッドの陰に飲み込まれていたマベラの顔面があった。

 

「っぐぅはぁっがぁ!」

 

 マベラの脳天に、熱々になったクリスタルロッドが直撃した。

 立った状態の体はそれに耐えきれず、頭から地面にぶっ倒れていった。

 

 凄まじい衝撃が辺りに広がっていく。

 

 マベラの体は、ドスンッと音を立てて雑草の中に仰向けで横たわった。

 

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