〈R〉【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~失われたギフト~   作:高見南純平

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第41話

「【ウェイトアップ】!」

 

 マベラを眠らせることに成功したララクだが、まだ彼のやるべきことは終わっていない。彼らがいた位置は、かなり地面から離れている。下手をすれば頭から落ちる可能性もあるので、そのまま重体、または死亡する可能性だってあった。

 女戦士マベラはレベルが高く、ちょっとやそっとの事じゃ気がつかない。が、今は戦闘不能状態だ。危険なことには間違いない。

 

 そこでララクは自分の重さを増やすスキルを使用した。これは敵に使用することもあるが、自身に使用することで落下の速度を加速させることが可能になる。

 

 これにより小柄のララクの方が、先に地上へと足をつくことが出来た。

 

 そしてそこに、眠り姫となったマベラの体が落ちてくる。

 

「【ウェイトダウン】」

 

 ララクは女戦士マベラに対して、さらにスキルを発動した。これは、重さを軽くするスキルで、キャッチする際の衝撃を和らげようとしたのだ。

 

 彼は両腕を広げて、緩やかに落ちてくるマベラを抱え込んだ。

 

(これは、ゼマさんだな。

 さすがだけど、随分痛そうだ)

 

 ララクは、顔に直線状の火傷跡がある彼女の顔を見て、少し同情した。ゼマとどのような戦いを繰り広げたかは想像の域を出ないが、この一撃が【ホーリースイング】だということは確実に分かった。

 

 彼は近くの樹へと移動して、その根の下に彼女をそっと置いた。敵対する人物ではあるが、これ以上傷つける意味を見出せなかったのだ。

 

(この人を人質にも出来るけど、ボクの性格上それは無理だよな。

 それに、あの魔人との間に信頼関係があるのかも分からないし)

 

 ララクは、まだ冒険者パーティー・ニールダウンの関係性がよく分かっていなかった。脅して仲間を増やそうとしていることは何となくわかったが、闇使いシットニンと女戦士マベラがそれに該当しているのかが彼には判断できない。

 実際は、魔人ハライノスはマベラの事を貴重な戦力として重宝している。交渉の価値はなくはない。

 

 しかし、彼は真っ向からハライノスに挑むことを決意した。

 

 それは彼の考えをねじ伏せるためでもあり、それが出来る自信があるからだった。

 

「よしっ、ゼマさんっ」

 

 ララクは自身にかけていた【ウェイトアップ】を解き、ゼマのいる高台に向かって跳び移った。彼の動きは徐々に精錬されていき、たどたどしさはだいぶなくなっていた。

 

「ナイス。あの女激ヤバでさ、ララクのスキルでおねんねして貰おうと思ったのよ」

 

 女戦士マベラ睡眠捕獲作戦は、ゼマが彼女から逃げている間に考えついたものだ。あのまま戦闘を続けていても勝つ自信はあったが、自分もタダでは済まない気がしたのだ。なので、平和的に処理できる方法を選んだのだ。

 結果的に、敵1名を戦闘不能に追いやり、仲間のララクとも合流できた。ゼマとしては、これ以上ない結果だった。

 

「ありがとうございます、これで2対2になりました。

 ですが、ゼマさんには、あの魔人から見られない位置に潜んでもらいたいんです」

 

 せっかくパーティーメンバーと合流をしたわけだが、早くも二手に分かれる事を提案する。これは、ララクが今までのハライノスとの戦いで【ディスキル】を分析した上での策だった。

 

「私がいったら、全部のスキルを封印されて終わりだもんね。っま、それでも相手の魔力が削られるから、悪くはないけど……」

 

 ゼマはララクのパッシブスキルが大量に【ディスキル】された時のことを思い浮かべる。あの時のように、自分のスキルが消失するのはかなり痛手だ。ゼマは【棒術適性】というパッシブを持っており、それがないと動きが鈍くなり打撃の威力も下がってしまう。さらに回復スキルも使えなくなれば、無防備な状態で敵地にさらされることとなる。

 

「ボクが前に出るので、機会をうかがってサポートしてくれると助かります」

 

 ララクはもっと詳細に、これからのプランを話したかった。が、今は魔人ハライノスたちと再び距離が開いてしまっている。このまま逃亡を許してしまう危険性もある。ゼマに【ディスキル】をかけられる前に彼女を潜ませ、すぐにでも攻撃を仕掛けるつもりなのだ。

 

「了解っ! 負けんなよ、あんな野郎に」

 

 ゼマは彼を鼓舞しながら、拳を前に突き出す。彼女からしたらララクはリーダーではあるが、弟みたいな存在なので、1人で戦わせる不安もあった。特に今回は、いつもよりも遥かに戦闘力がダウンしている。

 

「はい、あいつを完膚なきまでに叩き切ってきます」

 

 女性ながら自分よりも背の高いゼマの顔を見上げて、同じように拳を出してコツンっとぶつけ合う。

 そしてそれを合図に、ゼマは微笑んだ後、颯爽と姿を消していった。

 

「ここで決めなきゃ、だいぶ不利だ。

 他の人たちのためにも、やるぞ……!」

 

 ララクは、戦う前に魔人ハライノスが言っていた「紫髪の人物」のことも気掛かりだった。おそらく、その人物以外にも【ディスキル】の被害者は大勢いると考えていた。

 これ以上被害を拡大しないためにも、ララクは勝たなければいけないと強く肝に銘じた。

 

 そして、魔人ハライノスと闇使いシットニンの元へ、再び近づこうと、林の上を跳び移っていく。

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