〈R〉【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~失われたギフト~   作:高見南純平

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第9話

「残念だけど、それは飲めない条件だな。

 キミの実力じゃ、活躍は難しいだろ。

 カエル型のモンスター数はかなり多いらしいからな」

 

 心苦しくしながらも、彼のためだと、心を鬼にするクインクウィ。

 他のメンバーも同意見なようで、芳しくない表情をしていた。風心雷心に新加入してララクと直接仲間になった機会のない精霊使いの少女アシトンも、キョトンとした顔をしていた。彼が弱い、という話は聞いていたのだろう。

 おそらくそれを伝えたであろう盾殴りのナゲキスは、他の人よりも激しく頷いていた。

 

「でも、ボクたぶんですけど皆さんより強いですよ。

 さっき、トライディアも倒せましたし」

 

 かなり強い言葉で自分をアピールするララク。悪気は一切ないように思えた。ただ事実として伝えているだけのようだ。

 

 これを聞いてすぐさま反応したのが、思ったことがすぐに口に出てしまう盾殴りのナゲキスだった。

 

「はぁ~? なにその態度。

 あれ? でも、さっき大鹿の死体、村にあったよね。

 っえ、あれ倒したの?」

 

 いつも通り馬鹿にするような発言をするところだったが、彼女はすぐに村に来た時の事を思い出し、発言の方向性がぐっと切り替わった。

 

 この村では現在、トライディアの死体を解体班が処理しているところだった。そこまで大きくない村なので、ここに来れば自然とその光景が目に入る。

 

「まじかよララク! さっきの鹿、結構強そうだったよな! 

 凄い成長したんだな、ララク!」

 

 炎使いのゲッキは、自分の事のように喜んでいた。彼は、ララクを追放してしまったことを悔いていたのかもしれない。仕方がない事とはいえ、仲間から外すのはリーダーにとっては重荷になる。

 

「はい。色々あって結構強くなりまして。

 っあ、でも報酬金は少なめでいいですよ。急に参加することになるので」

 

 合同クエストは基本的に、参加パーティーで分け合うものだ。2つだったところに、もう1つパーティーが参加するので、報酬金の見積もりがかなり変わってしまう。そこを危惧したのだ。

 

「……うぅん、君は嘘をつくようなタイプじゃないよな。

 分かった、私は君たちの参加を許可しよう。

 皆もいいかい?」

 

 風心雷心のリーダー・クインクウィは、仲間たちの顔を伺う。

 氷刃のシェントルマ、ねんごろのトーマガイ、精霊使いのアシトン、そして盾殴りのナゲキスも、異論はなさそうだった。ナゲキスは誰彼かまわず突っかかるわけではない。しっかりとした実力があるならば、それ相応の評価をする。冒険者というのは良くも悪くも実力主義なのである。

 

「俺も問題ないぜ!」

 

「わらもいいよ。よろしくガオー」

 

 ゲッキに続いて水虎使いシヲヌも許諾する。今度は、両手を頭の横に持ってきて、指を全部折り曲げた。威嚇のようなポーズだが、彼女なりの挨拶なのだ。この時も、じっとりとした綺麗な顔を全く崩すことなくやるので、他の人たちは困惑していた。

 

「私もいいけど~、そこのお姉さん、変な顔してるけど、大丈夫そうですか~?」

 

 ゆったりとした喋り方をする土蹴りのリマンロ。彼女が気にしているのは、眉間にしわを寄せているララクの仲間ゼマだった。

 

「ちょっとララク、報酬少ないってなによ。私、タダ働き嫌なんだけど」

 

 ゼマはこの後休むことなく働くこと自体に不満はなかった。けれど、貰うはずのお金を貰わないというのは、どうにも納得できなかった。

 

「いや、でも、鹿肉パーティーまで時間潰す必要ありますし、うまくいけばそこにカエルの肉が追加されるかもですよ。

 カエル肉食べたことありますか?? 結構、美味しいですよ」

 

 ララクはゼマに反論されると分かった上で提案したのか、論理的な意見がすらすらと出てきた。

 これを聞いたゼマは、すでに口と頭がカエル肉のことでいっぱいになっていた。

 

「鹿とカエル、酒のつまみは多ければ多いほどいいしなぁ。

 オッケー、私も参加する!」

 

 ララクはきっと村とクエストに参加するかつての仲間の役にたちたいと思いクエスト参加を表明した。

 のだが、ゼマは晩餐の事しか考えていなかった。

 

「っと、いうことなんですけど、いいですかね? 勝手に話進めちゃいましたけど」

 

 ララクはこの話を聞いていたであろうギルドマスターに問う。彼女が認めなければ、この話はなかったことになってしまう。

 

 しかし、そこは何の問題もなかった。

 

「もちろん、逆に悪いねカエルのことまで。

 狩ったカエルは、皆で食べましょう」

 

 どうやらクエストが無事に行けば、ララクの見立て通り、鹿とカエルの肉パーティーが開かれそうだ。

 

 これは意外にも、元々参加する予定の風心雷心、光焔万丈のメンバーのやる気も促進させていた。

 今回は害獣退治のように思っていたので、それを自らが食べるという発想はあまりなかったようだ。

 

「それじゃあ、皆さん。

 よろしくお願いします」

 

 クエスト参加が正式に決定したので、ララクは改めて頭を下げる。

 

 他のメンバーはララクが話を仕切っていることに少し違和感を覚えながらも、各々頷いたり、会釈したり、笑顔を見せたりと、挨拶を交わした。

 

 

 こうして合同クエスト「カエル掃討作戦」は、冒険者パーティー  ハンドレッド、風心雷心、光焔万丈の3組で行われることとなったのだ。

 

 ララクは昔の仲間との共闘に胸を高鳴らせていくのだった。

 

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