ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード 作:メンマ46号
ほのお御三家は当然ヒコザル。みず御三家は結構迷う。
難産でした。ロケット団の名乗りを如何に邪魔するかもこの小説では重要なポイントですから。
sideミテキ
ロケット団とポケモンハンターの騒動より一日。今日も今日とてカナズミシティを目指して旅を続けていたが、今度は全員で道に迷ってしまった。しかも森の中。
「お姉ちゃんが悪いんだぞ!お陰で道に迷っちゃったじゃないか!」
「なんで私のせいなのよ!」
「あの道は右だよって僕は言ったのに、お姉ちゃんが左に行こうなんて言うから!」
「だってこっちの道の方が面白そうだったんだもん!それに可愛いお花とかもいっぱい咲いてたし♪第一ポケナビ持ってるのマサトでしょ!?ちゃんとナビゲートしてくれないと困るじゃない!」
「圏外になっちゃったんだよ!お姉ちゃんのせいでね!」
そんな訳でハルカとマサトが絶賛姉弟喧嘩中だ。旅にトラブルは付き物なんだし、道に迷った事で喧嘩してるけど喧嘩するくらいなら状況を楽しめば良いのにな。
え?お前もポケナビ持ってんだろって?マサトがナビ役を買って出たからな。
「はいはい姉弟喧嘩はそこまでだ。なーに、道に迷った事くらい大したことないって」
ここで見かねたタケシが仲裁に入る。いやぁ、長男って感じがするよなぁ。普段からこういうのに慣れてんだろうなぁ…と知ってる限りのこれまでのタケシの人生を思うと涙が出そうだ。
「そうだよ。俺達は今まで自慢できる程いっぱい迷ったけど、最後にはちゃんと目的地に着いたんだぜ」
「ピカピカ!」
自慢する事じゃないけどな。けどハルカとマサトは完全にヘソを曲げてしまい、お互いに対してご立腹だ。ぷんすかしてるハルカもかわいいです、ハイ。
「やれやれ……」
「ま、喧嘩する程仲が良いってな」
お互いに遠慮がないからこうして喧嘩ができる。良い姉弟関係の証拠だ。……多分。
とはいえこんな森の中にずっといる訳にもいかない。カナズミシティに行ってジム戦したいからな。
「あ!」
そんな時、サトシが何やら声を上げた。
「どうした?サトシ」
「今、何かが!」
サトシが指差した先の木の上を見れば何匹ものキモリが木を渡って何処かに向かっているのが見えた。そして一匹だけその木の上で止まって俺達と目が合った。
「あれはキモリだ!」
「キモリ、こんな所にいたのか!」
これはアレか。サトシがキモリをゲットする回。さっきも何匹かいたし、あのキモリは群れで生活していたのを良く覚えている。つまり他にもキモリがいるって事だ。これは俺もキモリゲットのチャンスだな。
見ればそこかしこにキモリがいる。これも道に迷うきっかけを作ってくれたハルカのお陰だな。
「わぁ!キモリがいっぱい!」
「キモリの生息地は不明だったけど、ここがその隠れた生息地の一つって訳だな」
「キモリかぁ、オダマキ博士の研究所で見た時からずっと気になってたんだよな!」
そういえばハルカがアチャモを選んだ事で選ばれなかったキモリとミズゴロウはどうしてるんだろうな。他の新人トレーナーと一緒に旅立ったのかね?
「よーし、早速ゲットだぜ!」
「だな!俺もキモリ欲しかったんだよ!」
俺もサトシもモンスターボールを取り出す。俺が出したのは兄イーブイのモンスターボールだ。レベルも結構近いから兄イーブイの経験を積む意味でも捕獲に適したポケモンという意味でもこいつを選出した。
因みに何故キモリ達のレベルが分かるかと言うとポケモン図鑑には自分のポケモンの覚えている技を調べる以外にも他人や野生のポケモンのレベルを確認できる機能もある。技は無理だけどな。ゲームで自分以外のポケモンのレベルが分かったのもこういう事なのかもしれないな。
「いっけえモンスターボール!」
しかしサトシは何をトチ狂ったのか出会い頭にいきなりモンスターボールを投げる。当然、傷一つないキモリはその太い尻尾でボールを弾いてしまった。
そんなサトシをハルカはジト目で見ながらこの間のルリリゲットの際のアドバイスを言い聞かせる。かわいいです。
「あっ!」
「ゲットしたい時はモンスターボールを投げる前にバトルである程度弱らせるんじゃなかったっけ?この前偉そうに私に教えたクセに」
「全くだ。それに出会い頭にダメージを与えずに捕まえたいならクイックボールを使うのがセオリーだ。状況に応じてボールだって使い分けるべきだろ」
「なーんかカッコ悪いかも」
「つい焦っちゃって……」
でもこいつワニノコはガンテツボールの一つ、ルアーボールで捕まえてたと思うんだけど。ジョウト編と比べてリセットされてるなんて言わないよね?
そんな話をしているとキモリ達は俺達に構わず木を飛び渡って何処かに行ってしまう。
「ああ!」
「サトシ、ミテキ!キモリ達が逃げるぞ!」
「ああ!待てキモリ!」
当然サトシは全力で追いかけ始める。俺達もそれに続いて走っていると隣を並走するハルカが話しかけてくる。
「ミテキもキモリをゲットするの?」
「勿論!初心者用ポケモンは珍しいし、くさタイプは貴重だからな。複数いて良かったよ。サトシと取り合いにならずに済む」
「ミテキ、くさタイプはロズレイドしか持ってないもんね」
「そうなんだよ。スズラン大会ではその点で苦労したからな。キモリはなんとしても欲しい。他にはやっぱキノココだな」
マサトが言った通り、俺はくさタイプはロズレイドしか持っていない。シンオウリーグではくさタイプの選手層の薄さが目立ったからな。ロズレイドにあんまり無理をさせない為に連戦を控えたタイミングで読まれてみず・じめんタイプのヌオーやナマズンを出された時は辛かった。まぁガブリアスで瞬殺してやったけどな。
サブウェポンでくさ技覚えさせたポケモンも普通に選出してたとはいえ、技はタイプ一致で出す方が良いのは明らかだ。
だからホウエン御三家のくさ担当でジュカインに進化するキモリは是非ともゲットしたい所だ。メガシンカもあるしな。
他にはホウエンにはタネボーやハスボーなんかもいるが、やっぱ厨ポケのキノガッサに進化できるキノココが絶対欲しい。くさタイプの選手層は必ず増やしてやるぜ。
という訳で俺も一匹キモリをゲットする事にする。厳選?しないよ?流石に捕まえてから数値や特性確認して厳選して…とかは非道が過ぎる。
捕まえる前に複数いる場合は性格を見てどれを捕まえるか判断したりはするけど、それが合ってるかも大して確認した事はない。ゲットした以上はちゃんと育てる。それだけだ。
だがサトシだけ先に突っ走ってこのままじゃ見失いそうなので、俺はひこうタイプのポケモンを先行させてサトシを追わせる。
「ムクホーク!サトシとキモリ達の後を追ってくれ!!」
「ムクホー!!」
「わぁ!ムクホークだぁ!」
俺が出したムクホークにマサトが大きく反応する。シンオウではメジャーなポケモンだがホウエンではまずお目にかかれない序盤鳥だ。ポケモンハンターとの一件の後、サーナイトとジバコイルはナナカマド研究所に預けたポケモンと入れ替えたのだよ。
ハルカがポケモン図鑑でムクホークを調べているが、今はとにかくキモリだ。
サトシを見失ってしまったが暫くしてサトシを追跡していたムクホークが戻って来たので案内して貰うと物凄くでかい大樹の元へ辿り着く。そこにはその大樹を見上げて呆然としているサトシがいた。
「サトシー!」
「あ!みんな!」
発見したサトシの元に行くと、サトシもすぐに俺達に気付いて手を振って呼んでくれる。
「見ろよみんな!この樹、すっごくでっかいぜ!」
「でも枯れちゃってるよ?」
そう。マサトの指摘通り、サトシを追って辿り着いたこの大樹は既に枯れていた。樹齢いくつなんだろうな。物凄い歴史を感じるが、それで朽ちていく様は見ていてなんか複雑だ。
「ま、今はキモリだ。あの群れどこに……」
気を取り直してキモリを探そうとすれば俺の足元に木の枝が落ちて、地面に突き刺さる。その枝の出処と思わしき上を見上げると件の枯れた大樹の上にキモリが一匹いた。
「キモリ!勝負だ!お前をゲットしてやるぜ!」
「ピカピカ!」
サトシもキモリに気付いたのか早速勝負を挑むようだ。
けどサトシ、そのキモリ相手にピカチュウはオーバーキルだぞ。ピカチュウのレベル考えろ。ここがゲームなら一撃でKOしてゲットできないパターンになるから。
「ん?」
ピカチュウではオーバーキルだと指摘しようとしたら俺のモンスターボールが勝手に開き、兄イーブイが出て来た。
「ブイ!」
「おい、イーブイ。お前勝手に……」
「ブイブイ!」
「どうやらイーブイも戦いたいみたいだな。さっきモンスターボールを出したから、ずっと焦らされてると感じたのかもしれないな」
「つってもあのキモリはサトシが目を付けたんだし……俺は別に他のキモリでも……」
「じゃあキモリに決めて貰おうぜ!」
サトシも別に構わないらしい。でもアレ多分アニメでサトシがゲットしたキモリだよな。横取りとかはあんまりしたくないんだが。
どうしようかと思っているとキモリが大樹から飛び降りて、その大きな尻尾を振るい、はたく攻撃を仕掛けてきた。
「キャモッ!!」
そのターゲットとなったのは兄イーブイ。兄イーブイも紙一重ではたくを躱してバックステップ。一対一で睨み合う。
どうやらキモリが目を付けたのは兄イーブイのようだ。自分でボールから出たやる気を買ったのかもな。
でもアニメじゃあのキモリは結構強キャラとして描写されてたし、丁度良いかもしれん。ここは経験を積ませる意味でも指示はしないで自由にやらせてみるか。
「キャモ。キャモキャモ」
クイクイと指を曲げて挑発してくるキモリ。技としてのちょうはつではないがそれに乗ってしまった兄イーブイはでんこうせっかでキモリに突っ込むが、飛び上がって軽く回避されてしまう。
「キャモッ!」
「ブイッ!」
それどこかカウンター気味にその尻尾ではたく攻撃を受けてぶっ飛ばされる。おーおー。良いようにやられてるなぁ。
だが兄イーブイも常日頃から先輩ポケモン達から手解きは受けている。まずは攻撃を当てない事にはどうにもならない事は分かってるようで必中技のスピードスターでキモリにダメージを与える。
そしてスピードスターを受けて足を止めたキモリに必殺の一撃を喰らわせる為に兄イーブイは橙色の炎を纏って突撃。今のはそこそこ良いな。
だが一瞬、キモリの目元がキラリと光ると兄イーブイのタックルを紙一重で躱し、空振りした兄イーブイは勢い余って減速できずにそのまま突っ切ってしまう。減速して止まろうとする頃には真後ろにでんこうせっかでキモリが詰め寄り、身を捻って勢いを増した尻尾でのはたく攻撃を叩き込まれた。
はたくをモロに喰らって木に叩きつけられた兄イーブイは目を回して倒れてしまった。
「ありゃりゃ。負けちったなイーブイ」
「でもイーブイの最後の攻撃がなんで通じなかったんだろ?スピードスターで牽制したのは良かったと思うんだけどなぁ」
「みきりだな。キモリの方が一枚上手だったか」
タケシの言う通り、みきりで技を躱されて大きな隙が生まれた。その隙をでんこうせっかからのはたくで突かれた。大雑把に敗因を挙げるならそんなとこだな。
「それにしてもイーブイが炎を纏ったか……まさか」
おや、タケシは気付いたみたいだな。兄イーブイが使おうとした技に。まぁ元はカントーの方で使われ始めた技だし、ジムリーダーなら知ってるか。さて、次は兄イーブイのフォローだな。
俺は耳を垂らして落ち込む兄イーブイの頭を優しく撫でて励ます。
「まだまだ修行が足りないな。これからも頑張ろうぜイーブイ」
「ブイ〜」
野生のポケモンに負けた事で落ち込んでいるがお前は技の練習は沢山積んでてもバトルの経験はほとんどないし、まだまだレベルも低いから俺の指示無しじゃ同じくらいのレベルの野生のキモリに負けてもそうおかしくもない。今のお前が100%勝てる相手なんてロケット団のニャースだけだぞ。
「ミテキ、イーブイ、大丈夫か?」
「ああ。あのキモリも加減はしてくれたみたいだからな。傷薬を使った後、ゆっくり休めば平気さ」
さて次はサトシの番だ……という所でゾロゾロと他のキモリ達が姿を見せてアニメでサトシが捕まえたと思われるキモリの前に並ぶ。
なんかすげぇ爺さんのキモリがいる。図鑑で確認してみるとそこそこレベルはあるけど、レベル40まで行ってんのになんでジュプトルやジュカインに進化しなかったんだ?てゆーかそのジュプトルとジュカインが一匹もいねぇな。キモリだけで生活してるのか。
長老っぽい爺さんキモリがサトシのキモリ(仮)に何やら話を振り、説得してるっぽい雰囲気が流れるが、その話にキレたっぽいキモリが爺さんキモリを突き飛ばす。他のキモリ達は大ブーイング。
う〜む……話の内容が分からないから、どうとも言えん。こういう時ロケット団のニャースのスキルが活きるよなぁ。あいつボール登録されてない野生扱いだからいっそ今度ゲットしてやろうか。でも絶対裏切るよなぁ。それにあいつの為に手持ちの枠を一つ消費するのも割に合わない気がするし。ニャースの他にも喋れるポケモンがいれば良いんだけどミュウツーとかの伝説のポケモンになっちゃうよなぁ……。
「あいつ、なんだか仲間と上手く行ってないみたいだな……」
「意見の対立かもしれないな」
「方向性の違いかも」
「いやバンド?」
説得しようとする爺さんキモリと反発するサトシのキモリ(予定)。
何を言ってるのかはやっぱり分からないけど、なんとなくあの枯れた大樹に関する話なのは読み取れた。他のキモリがあの枯れた大樹に見切りを付けたが、あのキモリだけは大樹に拘り続けてるってとこか?
結局あのキモリの説得を諦めた他のキモリ達はトボトボと森の方に去って行った。キモリの方もすぐに何処かに行ってしまったが、あのキモリはこの大樹をねぐらにしているのはハッキリしているのであいつが戻って来るまでここで待つ事にした。
「美味し〜!本当タケシって料理の天才かも!」
「サンキュ」
そうして待っている間、俺達はタケシがその場で焼いてくれたクッキーをおやつに団欒の一時を過ごす。ハルカの言う通り、マジで美味い。こんだけハイスペックなのになんで恋路は上手く行かないんだ?口説いてる途中で妨害されるからか?
「にしても本当にタケシって凄いよな。こんなに料理が上手いだけじゃなく、ポケモンフーズまで手作りできちゃうなんて。しかもポケモン毎に好みの味に調整できるレベルときた」
俺はポケモンフーズに関しては知識も何も無かったから市販品しか食べさせてやれなかったんだよなぁ。せめておやつくらいはと思ってポフィンは結構作れるようにはなったけど。
「ハハッ、お褒めに預かり光栄って奴だな」
ちょくちょくタケシにはその辺の事も教わっているが、あまりの知識量にアドバンスジェネレーション編が終わるまでの間に全て学び切れるか全然分からない。世界一のポケモンブリーダーを目指すというタケシの夢は伊達ではない。
「サトシー?サトシは食べないのー?食べないなら私が食べちゃうわよー?」
サトシはずっとキモリの帰りを待ってキモリが走って行った方向を眺めている。ハルカの呼びかけにもまるで反応せずにキモリを待っている。
「よっぽどあのキモリが気になってるんだね」
「群れとも上手く行ってないみたいだし、爪弾き者って訳じゃないんだろうけど、それでもああいう奴は放っておけないんだろう」
流石はサトシと一番付き合いが長いというべきか。サトシの一番の理解者たるタケシの推測に俺達は揃って納得する。確かにサトシがポケモンの事を人一倍気にかける奴なのはこの短い付き合いだけでも良く分かる。
そしてすっかり日が暮れる頃、あのキモリは大きな葉っぱの桶に水をたっぷり汲んで帰ってきた。それを大樹の根元に注いで何処からか千切って来たと思われる葉っぱを添える。水はともかくそれは何の意味が?
それを見てサトシはキモリの手伝いの為にピカチュウと一緒に水を汲みに行った。もう夜になるからやめとけとは言ったがキモリに寄り添いたいサトシは聞かない。ハルカとマサトは眠ってしまったので、俺とタケシまでそれに続く訳にはいかない。
とはいえ何もしないのもアレなので俺はタケシにハルカとマサトの事を頼んでその間に近くにいる他のキモリを捕まえる事にする。爺さんのキモリ?ねーよ。流石に戦えないだろ。
あとはこんだけキモリがいるんだし、ジュカインナイトの一つでも落ちていないかと探してみるが、全然無さげだ。そもそもキーストーンをまだ持ってないからメガストーンだけ持っていてもまだ意味は無いんだけどさ。
俺の持っているポケモンでメガシンカが出来るのはガブリアスとルカリオとサーナイト……他二体か。もうちょっとメガシンカのレパートリーも欲しいよな。キーストーンとメガストーンを揃えなきゃいけないけど。
……カントーとホウエンの他の地方の御三家にもメガシンカ実装してくれりゃあ良かったのに。
取り敢えずさっき言った通り俺も良さそうなキモリを見繕って捕獲する事にする。ただでさえくさポケモンが人手不足なんだ。レアな御三家のキモリを捕まえないなどという選択肢は無い。
その後のバトルの詳細は省くが、目を付けたキモリに兄イーブイで挑んで捕獲した。
「よっしゃキモリゲット!」
でも手持ちが既に六体いる為、泣く泣くムクホークをナナカマド研究所に送る。呼び出してすぐ研究所に戻してすまん。暫く育成したらマリルリとキモリは研究所に送るからその時はみんなで鍛えてやってくれ。
そうして大樹の元に戻るとサトシとピカチュウがキモリと一緒に戻って来ており、大樹に水を注いでいる。……マリルに頼んでみずでっぽうやあまごいを使って貰うって手もあるんだが、そーゆーのに頼らない辺り、真摯にキモリに寄り添っているのが分かる。
ハルカ達はタケシに見て貰ってるし、俺はもうキモリを捕まえたからここからは俺もあいつらを手伝ってやるかなと思ったその時、森全体を大きな振動が襲った。
「な、なんだ!?」
気になってサトシ達と一緒に轟音のした方へ行ってみればブルドーザー型のメカで木にぶつかり、その振動で落としたキモリ達を巨大な網で捕まえるロケット団がいた。
案の定ロケット団か。そもそもなんであいつらピカチュウ目当てじゃない時すらサトシ達の目が届く範囲で悪事働くかな。邪魔されんの目に見えてるのに。それさえなきゃ普通に悪事が上手く行ってただろうエピソードも知ってる身としては疑問でしかない。
まぁこいつらの悪事を見過ごすつもりなんて更々無いから指摘はしないけど。
「サトシ!ミテキー!」
「何なのこれ!?」
どうやらこの轟音で目が覚めたらしいハルカ達もこちらにやってくる。するとハルカの声に反応してムサシとコジロウがコクピットから無駄に豪華な仕掛けを使って出て来る。
「何なのこれ!?と聞かれたら!」
「答えてあげるが世の情け!」
「ガブリアス!今のうちにキモリ達を助けるんだ!!」
モンスターボールを投げてガブリアスを出す事にした。名乗ってる間が隙だらけなので、奴らがピーチクパーチク言ってる間にマッハで飛べるガブリアスを嗾けてキモリ達を捕まえた網の取手をドラゴンクローで破壊する。
当然、網が落ちたらキモリ達はゾロゾロと逃げ出す。良かった良かった。
「愛と真実の悪をつら…あーー!!何すんのよアンタ!!」
「うるせーなぁ。今回は好きに名乗ってて良いから動くんじゃねーよ。照準合わせ辛いだろ」
「これでまだ名乗ってたらその間にやられちゃうじゃないか!!」
最後にゴウカザルとガブリアスで最大火力の特殊技をぶっ放してメカごと消し炭にしてやるつもりだったが、流石にそこまでトントン拍子には行かないか。
キモリ達を解放した事で流石に口上垂れてる場合じゃないと理解したらしいロケット団はギャーギャー騒ぐが付き合う気はない。
「良く分かってるじゃねーか!ゴウカザル!きあいだまであいつらをぶっ飛ばせ!」
「ウキャ!!」
既に準備を済ませていたゴウカザルがきあいだまを発射。ムサシとコジロウは慌ててコックピットに戻るがそんなの予測済みだ。コックピットの正面のガラスにきあいだまをぶち込んでかち割ってやった。
「ガブリアス!りゅうせいぐん!!」
続けて正面ガラスの割れたコックピットにりゅうせいぐんを流し込む。岩石が次々と叩き込まれてロケット団の悲鳴が聞こえるが容赦はしない。するとロケット団のブルドーザーメカが内部から発火して燃え上がる。
どうやらロケット団の搭乗しているコックピットの精密機器が衝撃を受けた事で発火したようだ。ロケット団がパニクってるけどお前ら今まで何度も爆発直撃してんだから今更慌てる事か?
「パルシェン!何とかしなさいよ!」
「今だピカチュウ!10まんボルト!!」
そしてロケット団に容赦しないのはサトシも同じらしい。この隙を突いて躊躇なくピカチュウに10まんボルトを命じた。
炎に包まれたコクピットにピカチュウの10まんボルトが叩き込まれ、ロケット団のメカは爆発。そのままロケット団を空の彼方へと吹き飛ばした。
「キィーッ!なんなのよあのジャリンコ!毎度毎度人の邪魔ばっかして!」
「遂にまともにバトルする事なくやられる事になったか……」
「いつになったらちゃんと口上全部言えるのニャ……」
「「「やなかんじ〜!!!」」」
ムサシの奴、文句ぶー垂れる余裕はあるのか。あの被害者面した台詞は何とかならねーかなぁ。……サトシに今度からピカチュウにわるだくみを使わせる事をお勧めしてみるか。
ロケット団を撃退して落ち着いた俺達はロケット団に乱暴に捕まえられて怪我をしたキモリがいないか見て回る。その最中、怪我をした仲間を真っ先に見つけたサトシのキモリ(確定)が俺達に教えてくれる。
どうやらこの一連の流れでそこそこ蟠りは解けたらしく、尻尾同士を軽くぶつけ合うという握手に似たコミュニケーションを取っている。
キモリ達の治療が終わるとマサトは俺のガブリアスに興味を持ったのか、近くで見始める。
「これがミテキのガブリアスかぁ。強そうだなぁ」
「ああ。よく育てられている。ゴウカザルと並ぶミテキのエースという訳か」
「そっか。マサトもタケシもミテキのガブリアスに会うの初めてだっけ」
ぶっちゃけゴウカザルより強いよ。これ言ったらゴウカザル怒るんだよなぁ。それに俺がメガシンカさせたい筆頭だしな。素早さが下がっても夢特性のさめはだが消えてもアニポケだからいくらでも工夫できるし。使い分ければ戦略の幅も広まるし。
そんな風に和気藹々としていると日の出の時間になる。
そして突然キモリ達の大樹に巨大な亀裂が走り、縦真っ二つに割れてしまった。どう枯れたらこんな割れ方すんの?
サトシ達がロープか何かで割れた大樹を支えられないか試そうとするが、その瞬間、その大樹の芽が出て成長し、枯れるまでの過程が幻影として俺の目に映る。
「これは……この樹が生まれて、大きくなっていく所なのか?」
どうやらこれは俺だけに見える幻影ではないらしく、サトシやタケシ、ハルカにマサト……そしてキモリ達の目にもしっかり見えたらしい。
「何だったの……今の」
マサトの疑問に答えられる者はいない。こんな現象は俺も初めて観る。神と呼ばれしポケモンですら、こんな芸当はできないんじゃないか?
俺は何か分からないかと割れて倒れた大樹の根元に行く。
もしかしたらジュカインナイトでもあって、それが大樹に力を貸した結果なのかもしれないと思ったが、特に何もない。まぁ実際メガストーンにそんな力があるのかと言われたら無いよな。じゃあ結局なんだったんだアレ。
つーか仮にそうだったとして、その場合そのジュカインナイトはここのキモリ達には御守り的な意味で必要なものだろうから、取っていく訳にもいかないか。
みんなの元に戻るとサトシはキモリと一緒に割れた大樹を眺めてこう言った。
「なぁ、キモリ……あの樹はお前にありがとうって言ったんじゃないのかな」
最後まであの樹の事を諦めなかったキモリへのメッセージ。サトシはあの幻影をそう受け取ったらしい。
キモリは暫く割れた大樹を眺めるとサトシに向き直り、昨日兄イーブイにしたように指をクイクイと曲げて、かかってこいと言わんばかりに挑発する。
「キモリ……俺達とバトルしてくれるのか!?」
「キャモ!」
頷くキモリのスッキリした表情を見て、サトシも笑みを浮かべて二つのモンスターボールからマリルとスバメを出した。
サトシはマリルとスバメを出してピカチュウと並べて、キモリにバトル相手を選ばせる。
「さぁキモリ!誰とバトルする!?」
「キャモ!」
キモリが迷わず指差したのはピカチュウ。みずタイプのマリル相手じゃ有利過ぎるからストイックなあのキモリは選ばないだろうなとは思ったが、明らかな格上のピカチュウを選んだのは予想外だ。相性悪くてもスバメの方がまだレベルが近いから勝ち目あると思うけど。
正面から向き合うキモリとピカチュウ。先に動いたのはキモリだ。でんこうせっかでピカチュウとの距離を詰めて攻撃しようとするが、ピカチュウはそれを躱して逆に尻尾でキモリをぶっ叩いて後方へと転がらせる。
「あのキモリ、凄いスピードなのにピカチュウには全く通じてないよ!」
「サトシのピカチュウも凄いかも!」
キモリはめげずにでんこうせっかで再び突っ込むが、ピカチュウは簡単に躱してしまう。
それからもキモリの連続攻撃をピカチュウは全て軽々と躱して逆に尻尾を使って軽くたたきつけるを喰らわせた。手加減したにも関わらずキモリはもうフラフラである。レベル差えっぐ。
アニメじゃピカチュウがキモリに軽くあしらわれてたのをぼんやり覚えてるけど、そもそもカントーから旅してジョウトリーグまで戦ってきたピカチュウが今更レベルの低い野生のキモリ相手にそんな失態する訳がないんだよな。
「キャモー!」
キモリは飛び上がって真上からのはたくを仕掛けにかかったな。だがそれすらサトシは織り込み済みだ。
「ピカチュウ!かみなりだ!」
オーバーキルにも程があるだろ。
「キャモォォォ!!」
空中でまともにかみなりを喰らったキモリは呆気なく戦闘不能になった。
「くさタイプにでんき技が効いた!?」
「通常、でんき技に強いポケモン達は受けた電撃を地面や木の幹に逃してるんだ。でも空中ではそれができない。相性だけじゃバトルの勝敗は分からないって事さ」
「それ以上にこれはレベル差のゴリ押しだろ」
サトシのピカチュウは一応レベル50越えてるんだからさ。まだレベル10前後のキモリ相手にかみなりは効果が今一つだとしてもオーバーキルだって。新手のイジメか?いやピカチュウに挑んだのはキモリの方だけど。勇敢と無謀は違うんだぞキモリ。
「いけっ!モンスターボール!!」
倒れたキモリにサトシはモンスターボールを投げて捕獲する。まぁキモリもとっくにサトシを認めて仲間になる気だったろうから、勝敗あんま関係ねぇ気もするけど。
「キモリ、ゲットだぜ!」
「ピッピカチュウ!」
サトシもキモリをゲットし、ボールから出して改めて一緒に来てくれるかの意思確認をする。返事は勿論OKだ。
最後に爺さんキモリが拾っていたらしい新しい樹の種をサトシのキモリが植えて、それを残ったこの森のキモリ達が大切に育てていく事にしたようだ。
こうして俺とサトシがそれぞれ新たにキモリを仲間に加えてカナズミシティに向けて旅を再開する。
暫くはキモリを集中育成してマリルリにレベルを並ばせるのが目標だな。カナズミジムはマリルリとキモリで挑みたい。
……思ったけどマサトは御三家を選ぶ際、アチャモかミズゴロウを貰ってキモリはここで補充すれば御三家の内、二枠手に入れられるんだよな。ハルカはそれやんなかったけど、ポケモン貰う前に旅する一番のメリットってこういう情報アドバンテージが得られる事だよな。
イーブイ兄妹はアニメでピカ様が明らかな格下に負けるという不自然な展開の代行役でもあります。イーブイ兄妹に限った話でもないけど。というかAG編ではもっぱらマリルの役目になる気がする。
アニメでも思ったけどあの大樹の記憶が視えたのはなんだったのか。
マサトは序盤じゃキモリ欲しがってたけど、ミズゴロウ選びそうな気がする。
3.ムクホーク(♂)
特性:いかく
備考:ムックルの時、202番道路で捕獲。
27.キモリ(♂)
特性:しんりょく
備考:サトシのキモリと同じ群れにいた個体。ひかえめな性格な気がしたから選んだという結構アバウトな理由で選ばれた。実際性格がどうなのかは