ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード 作:メンマ46号
ペリッパーの話はカット。
sideミテキ
この間、世界最強のポケモンは自分のペリッパーだと自称するトレーナーに会った。
そこまで言うからにはどれ程強いのかと試しにバトルをしてみたら、サトシのキモリがつるのムチで、スバメが10まんボルトでやられた。
ペリッパーが10まんボルトを使うなんて明らかにおかしい。その前にはつるのムチなんて使ってたし、どっちもペリッパーが覚える技じゃない。
これはあり得ないという事で順番だからサトシに俺と代わるように言ってロズレイドで挑む事にする。他のポケモンは全部育成中でペリッパーの相手をするにはレベルが足りていないからな。
結果を言えばかえんほうしゃを使おうとした所をどくどくで動きを止めて、ベノムショックで瞬殺してやると、奴は負けを認めずに「今日の所は引き分けだ!今度はもっと強力なポケモンを手に入れ……いや、技を身に付けて世界最強を証明する!」とか明らかに秘密を口走ったので、くさむすびで転ばせ、毒消しを飲ませる事も兼ねてペリッパーの口の中を検めさせて貰う。
するとペリッパーの口から出たのは複数のモンスターボール。どうやらペリッパーの口の中に収まるサイズのポケモン達がその都度ボールから出て代わりに技を出し、予想外の技で驚いた所を仕留めるという戦法を取っていたらしい。普通に反則だ。
この事は秘密にしてくれとかふざけた事を抜かすので、思わず怒鳴り散らしたわ。こんな汚い真似して何が世界最強だ。恥知らずが。世界最強とか抜かしておきながらそのペリッパーの力をちっとも信じていないじゃないか。
それにペリッパーだけじゃなく、口の中にいたポケモン達も鍛えれば充分に強くなるポケモン達だった。ブビィはブーバーン、コイルはジバコイル、マダツボミはウツボット。それぞれ二段階の進化を持っている。こいつらをちゃんと育て上げればポケモンリーグだって勝ち進めるだろう。
それを不正でペリッパーを世界最強に仕立て上げる為の黒子に徹しろってのはあんまりじゃないか。ブビィ達だって必ず不満に思うだろう。
最強のポケモンなんて存在しないし、技だってベストな組み合わせなんてない。何よりポケモンバトルはシングルバトルだけじゃない。ダブルバトルやトリプルバトル、フルバトルだってある。ペリッパーだけを嘘で塗り固めた最強に仕立て上げても勝ち進めやしないだろう。
お前のするべき事はペリッパーをちゃんと信じてやる事と、他のポケモン達もしっかり育てて、こいつらを正々堂々とバトルを勝ち抜ける最強のチームに育ててやる事じゃないかと柄にもなく説教してしまった。
途中でロケット団が乱入してきたが、邪魔だったので名乗ってる間にチャージを完了したロズレイドのソーラービームで名乗り終わる前に蹴散らしてやった。
説教が一通り終わると流石に反省したようで、これからは不正はせずにペリッパー達を信じて正々堂々とバトルすると言うので許す事にする。
最後にホウエンリーグできっと再戦しようと約束して別れた。
……ところであのトレーナー、なんか見た事ある強烈なキャラしてたんだよなぁ。前世の芸人かなんかに似てると思うんだが、思い出せん。
とまぁそんな事があって早数日。俺達は森の中で色んなポケモン達を見ながら楽しくカナズミシティへ向かっていた。
「ジグザグマにオドシシ、アゲハント、エイパム、キノココ、ウソッキー……沢山いるなぁ」
「ポケモンってこうして目の前で見るとTVや図鑑で見るより大きいねぇ!」
「何よ今更。実物が図鑑の絵より大きいのは当たり前でしょ?」
ハルカ、そういう事じゃない。それにしてもアゲハントを見て思ったが、ハルカはいつ頃ケムッソを捕まえるんだっけ?ケムッソ関連でムサシと色々と揉めるのはなんとなく覚えてるが。
「そういう意味じゃなくてさ、例えばジグザグマは高さ40cm、重さ17.5kg.キノココは高さ40cm、重さは4.5kg.……それは分かってるんだけど、実際に見てみると何か思ってたのと違うんだよ!」
「違うって?」
「ポケモンの息遣いとか高さとか匂いとか!そういうのが分かるんだよ!」
はしゃぐマサトにハルカはいまいちピンと来ない様子だが、サトシは理解できるのかピカチュウを抱えてうんうんと頷きながら同意する。
「だろ?ポケモンも俺達と同じように生きてる。俺達の仲間なんだって本能が呼ぶのさ。特にこの辺は野生のポケモンが多いし、俺の野生本能が目覚めるっていうか……」
「野生本能て」
「ハハハ!知性より本能で生きてるからなぁサトシは」
言いたい事は分かるが、スーパーマサラ人の感覚は本能からして俺達とは違うらしい。そういやサトシって無印でピカチュウそのものになった事があるみたいだし、スーパーマサラ人としての感覚に加えて本能的にポケモンに近いのかもしれん。
すると近くから狼が雄叫びを上げるような声が聞こえる。いや、この世界にモノホンの動物はいないからポケモンだろうけど。
「この鳴き声は?」
「あっ!あそこ!」
みんなで周囲を見渡してみるとマサトが近くの崖の上で雄叫ぶグラエナを三体発見する。グラエナ達はそこから飛び降りて俺達の眼前まで駆け寄ってきた。
「なんだこのグラエナ達。妙に威嚇してくるけど」
「かなり強そうだな……」
「ちょっとサトシ、自慢の野生本能でお友達になってみてよ!」
「ハハハ、その野生本能が無理だって言ってる……」
乾いた笑いでそんな事言うなって。やってみなきゃ分からないぞ。頑張れスーパーマサラ人。
「サトシ、ミテキ」
「ああ。やるしかなさそうだな」
「……あんまり気は進まないけど、襲ってくるなら対処しないとな」
タケシの意図はすぐに分かったので、モンスターボールを取り出す。まぁレベル的にも丁度良さそうなので、ここはロズレイドではなく、他のポケモンで戦う事にする。
「行けぇフォレトス!」
「ピカチュウ!キミに決めた!」
「アチャモ!出番よ!」
「頼むぞマリルリ!」
フォレトス、ピカチュウ、アチャモ、マリルリでグラエナの相手をする。四対三ではあるが、まだまだレベルの低いアチャモとマリルリが組んで一体を相手取れば丁度良いだろう。
「マリルリ!アクアジェット!」
まずは俺がマリルリで先制攻撃を仕掛ける。しかしマリルリのアクアジェットがグラエナに届く前に小さな影がコースに割り込み、たいあたりでマリルリを弾いた。
「何!?」
「今度はポチエナ!?」
そう。マリルリの攻撃に割り込んでグラエナを守ったのはポチエナだ。マリルリとポチエナが睨み合う中、他のポケモン達もグラエナと一触即発の空気を漂わせる。
「やめなさい」
そうした空気の中、一人の女性がグラエナ達の背後から現れた。その服装は正に自然保護官という言葉が合う格好だ。というかそのものだ。
「あなた達、ここで何をしているの?ここはポケモン保護区の中なのよ?」
「へ?ポケモン保護区?」
あ〜…だからこの森、こんなにポケモンが沢山いたのか。グラエナ達もポケモン達を密猟者から守る役割を担ってるって訳ね。……こないだキノココをゲットしていなかったら、ここでキノココを捕まえてしまっていたかもしれん。あぶねー。
「すいません、そうとは知らなくて……」
「私達、カナズミシティへ行く途中なんです」
「カナズミシティへ?」
「はい。ジム戦をやろうと思って……」
俺が驚いている間にサトシとハルカが保護官の女性に事情を詳しく説明してくれる。
「そうだったの……ごめんなさいね。この辺りは時々密猟者が出るものだから」
「いえ、俺達も知らなかったとはいえ、勝手に入ってすいませんでした」
女性の名はカクリさんと言い、やはりここの保護官らしい。カクリさんが美人のお姉さんである事に反応したタケシが早速ナンパし、口説き始めると、キレたグラエナ達が吠え、ポチエナがタケシにたいあたりをお見舞いした。
何気に俺初めて生でタケシがお姉さんをナンパするとこ見たな。ポケモンハンターやハブネークの件でジョーイさんやジュンサーさんをナンパしたらしいけど、その時俺はタイミングが悪くて逸れてたり、トイレ行ったり、ナナカマド研究所に連絡してたりと、その場にいなかったからなぁ。
その後、俺達はカクリさんが拠点としている小屋に案内して貰い、このポケモン保護区について教えて貰う。
「ここでは病気や怪我をしたポケモンを一時的に保護しているの」
「じゃあ、このポケモン達の治療は全てカクリさんが?」
「ええ」
この小屋にいるポケモンだけでもケンタロス、オオタチ、ホーホー、キレイハナ、キュウコン、ルリリ……とかなりの数がいる。とても一人で捌き切れる数じゃないと思うんだが……。
「だいぶ良くなったわね。もうすぐ仲間達の元へ帰れるわよ」
「ルリ〜♪」
嬉しそうに跳ねるルリリに俺のマリルリ、サトシのマリル、ハルカのルリリが良かったねと言わんばかりに笑顔で話しかけて、一緒に駆け回ってる。同族だからか快気祝いを惜しまないらしい。
「素晴らしい!保護官でありながらポケモンドクターでもあるなんて!是非、自分にもお手伝いさせて下さい!」
「ありがとうタケシ君」
「いやぁそんな!お礼の言葉など!」
めっちゃデレデレしとる。見ててめっちゃ面白え。やっぱタケシ最高だわ。しかしカクリさんに懐いてるポチエナからすればカクリさんに言い寄る男の存在は面白くないようで、またたいあたりをタケシにお見舞いした。
「チエ〜!」
「ポチエナ!すぐにたいあたりしちゃダメだっていつも言ってるでしょ?まだ分からないの?」
ポチエナを抱き上げてお説教するカクリさん。どうやらポチエナもカクリさんに頭が上がらないらしい。
「ああ〜自分も抱っこされたい……」
やべぇ、タケシ面白すぎる。なんでこんな良いキャラダイパで降板させちゃうかな。
それからカクリさんにコーヒーを淹れて貰い、暫くこの小屋の中でもてなして貰う事になる。そんな中、妙にポチエナが気になるらしいマサトがサトシからポケモン図鑑を借りてぐっすり眠るポチエナについて調べていた。
「お前ももうすぐカッコいいグラエナに進化するんだね〜」
「それはどうかしら?その子、あのグラエナ達と同じ時期に生まれたの。でも他のみんなはとっくに進化しちゃったんだけど……」
「こいつだけポチエナのままなんだね……どうしてだろ?」
このポチエナは幼体ではなく、他のグラエナと同世代なのか。まぁ敢えて進化しないポケモンもそんなに珍しくはないが、このポチエナはどうにも進化の兆し自体が一向に無いらしい。
「やたらとたいあたりしたがる癖のせいで、バトルの相手が少ないからかな?ただ一つ確かなのは、ポケモンにはそれぞれ自分に合った進化の仕方があるから、このポチエナもこの子に合った時期が来れば進化すると思うわ」
「ま、公式戦に出る訳でもないから焦る必要もないわな」
「そういう事。この子がポチエナのままで良いなら、それはそれで……「ダメだよ!」」
進化せずにポチエナのままでいても構わないというカクリさんだが、マサトはそれをダメだと否定する。おいおい……大声上げるからポチエナ起きちゃったじゃないか。
「だって進化したらそれだけパワーが上がって強くなれるんだよ!?その方がバトルも有利だし、良い事ばっかりじゃない!ねぇ、ポチエナ!お前も強くなりたいだろ?」
しかしポチエナは寝起きだからか、なにがなんだかよく分かってない様子。そもそもこのポチエナが強さを求めてるとも限らないんだがな。
「進化してパワーを付けて、仲間のグラエナ達と一緒に野山を駆け回りたいだろ?」
マサトはポチエナに説得を始めるが、ポチエナの意思に関わらず、そもそも進化の兆しがない事を忘れてない?
「進化するとパワーが上がるのかぁ……ねぇミテキ、確かルリリはマリルやマリルリに進化するのよね?」
「ああ。そう言えば進化前と進化系が全部揃ってるよな俺達」
左から順にハルカのルリリ、サトシのマリル、俺のマリルリと並べてみる。アニメでロケット団が進化三点セットを揃えるとかどっかで言ってたような気もするが、ある意味先に叶えたなそれ。
「って事は私のアチャモも……まさかね」
一瞬青い顔をするハルカ。後からどんなのを想像したのかを聞いてみれば今の頭身のまま、巨大化し、筋肉ムキムキになった姿を想像したらしい。流石に俺も嫌だわそんなん。
ポケモン図鑑で調べるように言ってみるとワカシャモの画像と説明音声が流れてくる。
「良かった!結構可愛いかも!」
可愛いか?いや愛情持って育てりゃトレーナーの視点としてはどんなポケモンも可愛いけど、ビジュアル的にワカシャモって可愛い部類なのか?良く分からん。バシャーモは間違いなく格好良いが。
「ワカシャモかぁ。僕もアチャモが進化する所を見てみたいなぁ。ねぇお姉ちゃん!早くアチャモもルリリも進化させようよ!」
「そうね!」
「でもな、進化はそう簡単にできるものじゃないぜ。とにかく沢山バトルをして、いっぱい経験を積まなきゃ」
サトシの説明に俺もうんうんと頷く。ゴウカザル、ガブリアス、ロズレイド、ラムパルド、ルカリオ、ジバコイル、サーナイト、ムクホーク……まだまだ沢山いるがみんな本当に頑張って、苦労した末に進化したもんだ。
ジバコイルはかみなりのいしでも進化するけど、俺はテンガン山で修行の末、レアコイルから進化させました。えっへん。
「そっか。そうだよね……」
「ガッカリする事はないさ。そんな簡単に進化しちゃったら面白くないだろ?」
「面白くない?」
「そうだよ。ポケモンと一緒に旅して、バトルして、勝ったり負けたり。色々な事を乗り越えて初めて進化する事ができるんだ。それが進化の醍醐味って奴さ!」
「俺もヒコザルがモウカザルに進化した時の感動は今でも覚えてる。初めてのジム戦でピンチになった時、俺の気持ちに応えてくれて、それでモウカザルになって勝ったんだ」
いわタイプのクロガネジム相手じゃいくらくさ技のあるロズレイド……当時はスボミーがいたとしても、かくとう技は必須だった。いわくだきやグロウパンチは覚えてたけど、やっぱりモウカザルになってマッハパンチを覚えたのは大きかった。
「そう言えばサトシのピカチュウやミテキのイーブイ達もまだ進化してないのよね。まだ生まれてそんなに経ってないっていうイーブイ達はともかく、こんなに強いピカチュウが進化してないんじゃ、私のアチャモとルリリが進化するのは当分先ね」
「違うよハルカ。アチャモとルリリ、ピカチュウ、イーブイ……みんな進化の仕方が全然違うんだ」
「ピーカチュ」
「違うって、何がどう違うの?」
ちょっと勘違いしているハルカに詳しく教える為に俺はイーブイ兄妹をボールから出す。すると丁度良くタケシが説明役を名乗り出てくれる。流石ポケモンブリーダー。
「説明しよう!進化にはポチエナからグラエナ、クヌギダマからフォレトスというように、レベルが上がると進化するものと、ピカチュウのように特別な石を使わないと進化しないもの、ルリリのようにトレーナーへの懐き具合が進化に影響するものとがある」
「そうそう。ピカチュウがライチュウになるにはかみなりのいしが必要って訳」
「そういった進化の石で進化するポケモンで最も有名なのがミテキが連れているイーブイだね。元は同じイーブイでもほのおのいし、みずのいし、かみなりのいしを使う事でそれぞれブースター、シャワーズ、サンダースに進化し、更にトレーナーへの信頼度や時間帯でエーフィやブラッキーに進化する事もできるんだ」
「でも実はイーブイの進化は他にもあるんだぜ」
俺はポケモン図鑑を出してハルカ達にイーブイの進化系の姿を見せる。どうやらこれはタケシも知らないようで興味深そうに図鑑を見てくる。
「まずはシンオウ地方で発見されたくさタイプの進化系、リーフィア。このリーフィアには実は進化する条件が二通りあるんだ」
「二通り!?」
「一つ目は苔に覆われた岩の近くでレベルアップなり、鍛錬する事で進化する。これは環境に影響しての進化だな。シンオウ地方ではハクタイの森って所にそれがある。もう一つが進化の石の一つであるリーフのいしを使う事」
「へぇ、同じ進化先でも複数の方法があるなんて知らなかったよ…」
まぁどれか一つでも知ってて実行すれば良いからな。
「お次にグレイシア。これもシンオウ地方で発見された進化でこおりタイプだ。こっちもリーフィア同様に進化方法が二つあって、氷で覆われた岩の近くに行く。これはシンオウ地方ではキッサキシティの近く、217番道路にそれがある。もう一つがこおりのいしを使う事」
図鑑に表示されるグレイシアの写真を見せるとハルカの目が物凄くキラキラしている。やはりグレイシアに惹かれたようだ。アニメでも態々キッサキシティと217番道路まで行ってイーブイをグレイシアにしたくらいだもんな。
「最後にカロス地方で発見されたフェアリータイプのニンフィア。進化条件はエーフィやブラッキーと同じ懐き度による進化。だけどクリアする条件としてフェアリータイプの技を覚えさせておく必要がある。逆にエーフィやブラッキーに進化させたいなら、フェアリータイプの技を覚えさせちゃいけないからそこんとこ注意な」
この世界、技を忘れるという事がまずできないのだ。フェアリー技を覚えてしまえばエーフィとブラッキーに進化する道が閉ざされてしまう。だからなのか調べた所、この世界ではイーブイはレベルでフェアリー技を覚えない。他の誰かから教わったり、技マシンなんかを使う必要がある。
「へぇ、俺は五種類しか知らなかったなぁ」
「ああ。その三体の噂は聞いた事があったが、やはりイーブイの進化系だったのか」
サトシはリーフィア、グレイシア、ニンフィアを初めて知ったらしく、タケシはイーブイの進化系と予想はしていたものの、確信が無かったので先程の説明には入れなかったようだ。
「グレイシアとリーフィア、ニンフィアは比較的最近イーブイとの関連性が認定されたからな。まだまだ知らない人はいるだろうな」
「ねぇ、ミテキはイーブイ達をどの進化系にするの?私、グレイシアが見てみたいかも!」
ハルカは見たい進化先としてグレイシアを挙げる。やっぱりグレイシアが好きになったようだ。一瞬ニンフィアの方に行くかもしれないと思ったが完全にグレイシアが欲しいと思ってるみたいだな。イーブイゲットはバトルフロンティア編まで待ってくれ。
このイーブイ達はそれぞれどう進化させるかはもう決めている。一応イーブイ達の方にも進化先について説明して承諾は得ている。兄はともかく妹の方は理解しているのか甚だ疑問だけど。
しかしグレイシアが見たいというハルカの要望に何故かマサトがNo.と突き付ける。俺のポケモンなんだけど。
「何言ってるのさ!そんなのサンダースに決まってるじゃないか!ダントツで素早いし、特性のちくでんはでんき技を全部吸収できちゃうんだから!僕だったら絶対サンダースにするね!勿論ミテキもサンダースでしょ!?」
ならお前がトレーナーになってイーブイを捕まえたらサンダースにする事だ。そもそも俺のイーブイ達は二匹とも特性は夢特性のきけんよちだからサンダースになっても特性はやあしなんだわ。
状態異常でパワーアップする特性はメガストーン以外の持ち物の概念がないこの世界だと使い辛くてしょうがないんだよ。俺が下手なだけかもしれんが。それにサンダースは元々素早さの種族値が130あるし、こうそくいどうだって覚えるから通常特性で充分使える。アニポケだから素早さで相手に遅れを取っても立ち回り次第でなんとでもなるしな。
「でもイーブイは二匹いるんだから、どっちもできるんじゃないか?」
「そっか!じゃあミテキのイーブイはサンダースとグレイシアに決定だね!」
「おいおい勝手に決めんな」
つーかどっちも俺が狙ってる進化じゃねぇし。
「それでミテキはイーブイ達をどの進化系に進化させるつもりなんだ?」
「秘密。進化してからのお楽しみってね」
進化先はもう決めているが、ここまで来たら徹底的に焦らす事にする。まぁそう遠くない未来だと思うけど。
「それにしてもイーブイの進化かぁ。シゲルのブラッキーを思い出すなぁ」
「ピカピカ」
「進化って奥が深いんだねぇ。僕それを聞いて益々ポケモンが進化する所を見てみたくなったよ!」
旅に同行してんだからその内見れるけどな。少なくとも俺の手持ちだけでもキモリ、キノココ、イーブイ兄妹と進化予定のあるポケモンが四体もいるんだから。
「でもマサト、さっきサトシが言ってたでしょ?進化はそう簡単にできるものじゃないって」
「それに進化させない事にもメリットはあるんだぞ」
ポチエナ自身の意思を無視する訳にもいかないから俺は進化しない事へのメリットを説明する。
「なんでさ!?進化すれば強くなれるし、覚えられる技だって沢山増えるじゃないか!」
「正にその技だよ。進化前のポケモンは進化後よりも早く技を覚えられる事もあるし、進化前でしか覚えられない技もあるんだ」
「進化前でしか覚えられない技?」
「そ。例えばキノココはキノコのほうしという技を覚えるが、進化後のキノガッサはその技を覚えられない。だから俺はキノコのほうしを覚えるまでキノココは進化させない」
俺のゴウカザルだって本当ならかえんほうしゃは進化を抑えてヒコザルのままじゃないとレベルでは覚えられない。だから俺はモウカザルの時に技マシンを使って覚えさせたしな。
「ふうん……ポチエナはどんな技がそうなの?」
「ふいうちとか、じゃれつくとかだな。こっちは早く覚えられる技の方だ」
マサトはポチエナを抱き上げてカクリさんにポチエナの考えについて尋ねる。
「じゃあこのポチエナも技を早く覚えたいからまだ進化しないの?」
「それは流石に分からないわね……でもそういう考え方があるのも事実よ」
マサトはまだ不満気だがポチエナを下ろす。しかし次にはとんでもない事を口走りやがる。
「じゃあイーブイ達で良いや。石があれば進化するんでしょ?」
「だから勝手に決めんなって。俺のポケモンだし、イーブイにもそういう技はあるんだ。しかも九つも」
妥協と我儘で俺とイーブイ兄妹の今後を左右する事を平然と言いやがった。流石にそんな理由で勝手に進化させたら10まんボルトじゃ済まねえぞ。
「九つ!?そんなに進化前じゃないと覚えられない技があるのか!?」
九つの技に食い付いてきたのはサトシだ。そういえばこの技そのものじゃなくても、“括り”で見ればサトシとピカチュウも他人事じゃないんだよな。
イーブイの時にしか覚えられない九つの技……それはゲームのピカブイに出た相棒イーブイだけが覚えられる所謂相棒技だ。
「ほのお技のめらめらバーン、みず技のいきいきバブル、でんき技のびりびりエレキにエスパー技のどばどばオーラ。他にもあく技のわるわるゾーン、こおり技のこちこちフロスト、くさ技のすくすくボンバー、フェアリー技のきらきらストーム。そしてノーマル技のブイブイブレイク。どれもが凄まじい性能を持った技でな、特別な追加効果を持っているんだ」
バトルフロンティア編でハルカがイーブイをゲットしたら、相棒技を教えてやるつもりだ。コンテストでも映えるだろうしな。ハルカは他の進化系を見てもやっぱりグレイシアに惹かれてるみたいだし、きらきらストームも覚えさせて問題ないだろう。
「そういえばオダマキ博士を助けた時に妹のイーブイがきらきらストームって技を使ってたかも」
「トウカシティでのロケット団とのバトルでもこっちの兄貴のイーブイが使ってた技がどばどばオーラ…だったよな」
ハルカが妹イーブイ、サトシが兄イーブイを抱き上げてそれぞれが相棒技を使った時の事を思い出す。そしてタケシもまた、この間の兄イーブイのバトルを思い出したのか口を開く。
「やはりサトシのキモリとのバトルでイーブイが使おうとしたのはめらめらバーンだったのか」
「やっぱりタケシは知ってたか」
ピカブイで出て来る相棒技はこの世界ではピカチュウとイーブイそれぞれ全ての個体が習得可能だ。だが、色々と条件が限定的だ。
イーブイの例を挙げればそれぞれの技はイーブイの時しかコンプリートができない。進化後にはタイプが一致する相棒技しか後天的には覚えられないからだ。進化させた後に相棒技の事を知って、タイプ一致の相棒技しか覚えさせてやれなかったなんて例も少なからずある。それでも充分使えはするんだけどな。
つまり進化後も他のタイプの相棒技を使わせたければイーブイの時点で覚えさせておかなきゃならない訳だ。これはキノガッサとキノコのほうしの例に似てるな。
因みにエーフィとブラッキーに進化させる場合だけは相棒技をコンプリートする事はできない。なつき進化だが、フェアリー技であるきらきらストームを覚えさせてしまえば、ニンフィアになってしまうからな。石での進化である
これらの事を説明してやると全員が興味深そうな顔をして聞いている。やっぱり相棒技について詳しく知ってるトレーナーはかなり少ないんだな。
「しかしミテキ、ブイブイブレイクを始めとするイーブイ系統の専用技は使われ始めたカントーでもあまり広まっていないのに、どうやって覚えさせたんだ?」
「ああ、それは……」
タケシの質問に答えようとするが、マサトが再びポチエナを抱き上げて宣言する。
「でもやっぱり僕はポケモンが進化する所が見たいよ!このポチエナが技の為に敢えて進化してないとは限らないじゃないか!このポチエナならきっとすぐ進化できるよ!だってこいつの仲間はみんな進化してるんでしょ!?だったらこいつだってあと少しで進化するはずさ!こんなチャンスは滅多にないもん!」
いやだから俺達の旅に同行している以上、必ず見る機会はあるってば。
結局ポチエナが進化するまでここにいたいというマサトの駄々をカクリさんが受け入れてくれて、しばらくこの小屋に滞在する事になった。こうなる気がしたから諦めさせようとしたんだけどなぁ。そのポチエナがすぐ進化する保証なんて何処にもないのに。
カナズミシティに到着するのはいつになるのやら。
というわけで今回独自設定としてイーブイ兄妹が相棒技を使うという点についてでした。この説明の為だけにこの話をカットせずに書く事にしました。
・相棒技は全てのイーブイが取得可能
・コンプリートするにはイーブイの時に覚え切る必要がある
・進化後に覚えられるのはタイプ一致の相棒技のみ
・エーフィとブラッキーにする場合はコンプリート不可
ざっと纏めるとこんな感じですね。