ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード   作:メンマ46号

14 / 48
という割には最初ら辺だけ。AG編初期はハルカが色々な水着を着るから結構水着回あるんですよね。


ハスボーゲットという名の水着回

 sideミテキ

 

 カナズミシティに向かう途中、綺麗な湖を見つけたのでここで遊んでいく事にした。準備運動を終えたらみんなで一気に湖に飛び込んで行く。

 

「ひゃっほーう!」

 

「ピィカァー!」

 

 サトシ、ピカチュウ、俺、ハルカ、マサトの順で飛び込み、冷たい水での泳ぎを楽しむ。タケシだけは俺達より長く準備運動をしている。

 待って、マサトお前眼鏡かけたままで泳ぐの?

 因みに俺はゴーグルを装着している。水の中では怖くて目が開けられません。

 

「空気も綺麗だし、なんか和むなぁ」

 

「それそれ!冷たくて気持ち良いなぁ〜!」

 

「ん〜!最高かも!」

 

 俺とハルカで水をかけ合って遊んでいるが、太陽の光を水飛沫が反射してキラキラと光る中にいる様は本当に綺麗だ。

 黄色い水着姿が眩しいです。マジで。

 

「ルリ〜!」

 

「リルリル〜!」

 

「あれ、お前らいつの間に」

 

 気付けばマリルリ達もいつの間にかモンスターボールから出て泳いでいる。出すのを忘れていたとはいえ、こいつらも割と好き勝手にボールから出て来るよな。

 

 そんな風に遊んでいると、ピカチュウが何かに気付いた。

 

「ピカピカ?」

 

「どうした?ピカチュウ」

 

「ん?」

 

「何々?」

 

 周囲を見渡して見ると俺達を囲うように、というか実際に包囲して蓮の葉が大量に浮かんでこちらに迫って来ていた。なんぞこれ?

 

「な、何なのよこれ!?」

 

「凄くいっぱいいるよ!?」

 

「みんな!早く岸に上がるんだ!」

 

 サトシの言葉に俺達は誰一人反対意見など言わずに一目散に逃げる事にする。流石にこれはちょっと怖えわ。

 だが次の瞬間、マサトが何かに引っ張られるかのように湖の中に沈んだ。

 

「うわぁ!?」

 

「マサト!」

 

「きゃああっ!?」

 

「ハルカ!?」

 

 次はハルカが同じように沈み、それに気を取られた瞬間、俺もサトシもタケシも…ついでにマリルリ達も真下へと引き摺り込まれた。

 

 湖の中に引き摺り込まれた俺達の周囲にいたのは沢山のハスボー達だった。あの蓮の葉の正体はハスボーだったのか。というか蓮の時点で気付けよ俺。

 そういやタケシはハスボーをゲットするんだったよな。今回はその話か。

 

 見れば俺達の周りにいるハスボー達は人懐っこい笑顔で笑っている。これは俺達に敵意がある訳じゃなく、純粋に遊びたいが為の行動だったようだ。

 笑うハスボー達は続々と俺達の足元に集まり、次の瞬間にはみずでっぽうで一斉に放って俺達はホエルオーの潮吹きの如く地上へと打ち上げられた。

 

『『『うわあぁぁぁぁっ!!?』』』

 

 空中へと放り上げられ、荷物を置いておいた岸へと叩き付けられる。流石に痛いわ。

 

「なんなのよー!もう!」

 

「今のはハスボーだよ!」

 

「取り敢えずどいてくれ……流石に痛い」

 

「あっ!ごめんミテキ!」

 

 俺は仰向けに倒れ、その真上にハルカが落ちて来たのだが、今の俺達の格好は水着だ。そんな状態でハルカはうつ伏せに俺に倒れかかっているのだ。流石にドキドキし過ぎて心臓に悪い。だって胸が当たってるもの。

 

「あれがハスボーか」

 

 サトシは早速ポケモン図鑑を出してハスボーを検索する。この辺がハスボーの生息地だった訳か。タケシがどのタイミングでハスボーを捕まえるかは覚えてなかったからいきなり過ぎてちょっと驚き。

 

「ここはハスボーの湖だったんだね」

 

「ハスボーかぁ…ゲットすべきか。うーむ」

 

 みずタイプはマリルリ含めて五体いるんだよな。くさタイプは先日までロズレイドだけだったとはいえ、キモリとキノココを捕まえて育成中……ルンパッパは結構好きなんだけど、現状あんまりタイプを偏らせてもなぁ。別にジムリーダーじゃないし。

 

 するとさっき俺達を水中に引き摺り込んで打ち上げたハスボー達が次々と岸に上がってくる。並んでいる様は結構かわいいな。

 

「うわっ!?上がってきた!?」

 

「でもこいつら笑ってるぜ」

 

「きっと僕達と遊ぼうとしてるんだよ」

 

「ああ。そんな感じだな」

 

「さっきのは歓迎の挨拶かもな」

 

 今も全然悪意は感じねえしな。

 するとハスボー達は一斉に上を向いて全員がみずでっほうを発射した。

 

『『『ハボー』』』

 

 みずでっぽうを使ったシャワーとそれによる虹を見せてくれる。おお、これは綺麗だな。みずでっぽうは確かタマゴ技だったと思うが、全員覚えているとは。

 しかしキモリの時も思ったが、群れで生活してんのに進化系はいねぇのな。

 

「おや?」

 

「どしたタケシ」

 

「いや、あのハスボーだけなんか変だと思ってな」

 

 タケシが指差したハスボーは一匹だけみずでっぽうの勢いが弱く、ちょろちょろとしか水を出していない。そして他のハスボー達がみずでっほうをやめても一匹だけ出し続けている。

 

「あらら」

 

「あの子相当ズレてるわね……」

 

「ピーカチュ…」

 

 タケシがもう終わった事を教えようと近付くと今になってみずでっぽうの勢いが増してタケシはずぶ濡れになる。

 

 何となく分かった。多分あのハスボーだな。タケシがゲットするの。ぶっちゃけハスブレロに進化してからの印象の方が強いんだよな。そこからルンパッパに進化した回は一番印象に残ってる。あの天然があんな凄まじい陽キャになるのは割と衝撃的。まぁルンパッパというポケモン自体がそんな感じなのは分かるけども。

 ……確かクチートに惚れられるんだよな。で、そのクチートにサトシのヘイガニが惚れる。……クチート、ハスブレロともヘイガニともタマゴグループ違うんだが、それでも惚れるもんなのか?

 

 そんなちょっと先の未来の事を考えながら、サトシ達と一緒になって笑っていると水を差すように怒った女の子が怒鳴ってきた。

 

「こらっ!ここはハスボーの湖よ!泳いじゃダメなんだから!」

 

 いや誰だ君は。

 

 髪を両サイドに束ねた赤毛の女の子が怒りながら、仁王立ちしていた。近所の子だとは思うけど。

 

「みんな私の家に来なさい」

 

「なんかちょー生意気。マサトみたい」

 

「おお!既視感あると思ったらそれか!」

 

「お姉ちゃんうるさいなぁ、それになんでミテキまで」

 

 初対面での事、忘れたとは言わせねぇぞ。お前がトレーナーデビューして地方リーグに出て敗退したら、煽り返してやる予定だ。アレばっかりは根に持ってるからな俺。

 

「で、君の家に行ってどうするんだい?」

 

 代表してタケシが尋ねると女の子はプンプン怒りながら答える。

 

「決まってるじゃない……お説教よ!!」

 

『ええぇーーー!?』

 

****

 

「……で、お説教されんのは君かい」

 

 言われるまま女の子……ナオコちゃんと言うらしいが、その子の家に行くとお姉さんがいたのだが、事情を話すと逆にナオコちゃんが叱られていた。

 

「駄目じゃない!旅の人には親切にしなくちゃ!」

 

「だってノリコ姉ちゃん……」

 

 お姉さん…ノリコさんに一通り説教されると、今度はノリコさんは俺達に謝ってくる。

 

「ごめんなさいね。ナオコが失礼な事言って」

 

「いえいえ」

 

「私はノリコ。この子は妹のナオコ。姉妹でフラワーショップをやっているの」

 

 姉妹でフラワーショップの経営か……親は?と聞きたい所だが、流石に地雷かもしれんのでやめておく。アニポケは結構重い裏設定も多いからなぁ。最たる例がタケシだし。

 

「俺、マサラタウンのサトシです」

 

「俺はシンオウ地方のフタバタウンのミテキです」

 

「私はハルカ!」

 

「僕はマサト!」

 

「よろしくね」

 

 俺達が一通り自己紹介を終えると最後のトリとしてタケシがそっとノリコさんの手を握って口説きながらの自己紹介を始める。これこれ。これが見たかったんだよ。何度見ても飽きねえと思うんだ。

 

「そして自分は!タケシと申します!ん〜それにしても、ノリコさんに似てなんて美しいフラワーショップなんでしょう」

 

 店主に似る店って何?

 

「これほどまでに美しいお店は美しいノリコさんでなければ作れません!」

 

「あ、ありがとう……」

 

 タケシの口説き文句に戸惑うノリコさんを見てふと思ったが、確かナンパするタケシの制裁役ってマサトだったよな?カスミ同様タケシの耳を引っ張ってたはずだが、今の所マサトにその兆候は見られない。やっぱりカスミの受け売りって事なんだろうか。って事はカスミが登場するまでタケシのナンパを止める奴はいないのか?それはそれで面白いから良いけど。

 

「そうだ!もうすぐパイが焼き上がるから、みなさん一緒に如何?」

 

 あっ、強引に打ち切って逃げる算段だな。

 

「えっ!?良いんですか!?」

 

「「ありがとうございまーす!」」

 

「じゃあ遠慮なく!」

 

「いや感激だなぁ。美しいノリコさんと一緒にパイを頂けるなんて!」

 

 流石タケシ。めげない。逃げられた事に気付いていないのか、それとも気付いた上でまだまだ諦める気は無いのか。やっぱ見てて凄え面白え。

 そんな中、ガチャリと後ろのドアが開くと作業服のお姉さんが入って来た。

 

「姉さん、果樹園のホースが故障しちゃってさ。ホエルコジョウロだけじゃ全然足りなくて……あれ?お客さん?」

 

「うおおおーっ!?もう一人美しいお方が!!」

 

「次女のレイコよ。私達三人姉妹なの」

 

 長女ノリコさん、次女レイコさん、三女ナオコちゃんという訳か。すると早速タケシはそっとレイコさんの手を握って口説き始める。流石に節操なしじゃね?面白いから良いけど。

 

「自分も、このホエルコジョウロを使って貴女のような美しいお花を育ててみたーい…「ちょっと!」へ?」

 

 レイコさんを口説こうとするタケシの腕をムッとしたナオコちゃんが掴んだ。そりゃ怒るよな。大事な姉を立て続けに二人とも口説こうとするのはな。

 

「私に会った時とお姉ちゃん達に会った時とじゃ随分態度が違うわね?それって…失礼じゃない?」

 

 え、そっち?

 

「ははーん?ナオコ、また一目惚れしたな?」

 

「え?」

 

「ええーっ?一目惚れ〜?」

 

 レイコさんの指摘にタケシの表情が凍った気がした。ハルカも女の子らしく色恋沙汰を前に嬉しそうだ。タケシのナンパを止めたのはそういう事ね。

 てか、もしかして俺達をここに連れて来たのもお説教じゃなくて、タケシの気を引きたかったから?

 

 そんなこんなでノリコさんのお言葉に甘えて昼ご飯も兼ねてパイを頂く事になった。オレンの実の果肉を使ったパイらしく良い感じに焼き上がっている。

 

「美味い!」

 

「ピカァ!」

 

「ん〜!美味しい!今まで食べた事ないかも!」

 

「これってオレンの実を使ってますよね?」

 

「ええ。よく分かったわね」

 

「この辺りは水と空気が綺麗だから、色んな実が取れるんだ。裏で栽培してるから見てみる?」

 

「それ見てみたいかも!」

 

「是非、お願いします!」

 

「あ!それならちょっとお願いというか、提案というか……」

 

 裏で栽培しているきのみを見せて貰える事になり、俺達はノリコさんとレイコさんと色々と話す。

 ……ナオコちゃんに迫られているタケシから目を逸らしながら。

 

「……ええと」

 

「そのパイは私が焼いたの。残さずぜーんぶ食べてね♡」

 

 山盛りのオレンの実のパイを差し出されて困惑するタケシとニッコニコのナオコちゃんには決して目を向けないように俺達はノリコさん達との談笑を楽しむ。……アレは邪魔したらなんかヤバい気がする。

 ……やっぱりタケシは歳下にモテるタイプだったか。本人は歳上のお姉さんしか恋愛対象にはならないから困ってるけど。

 

 パイを食べ終えて俺達は裏庭に案内して貰う。無理にパイを食べ過ぎて妊婦みたいになってるタケシなんて目に映っていない。いいね?

 

「はーっ!本当に空気が美味しいわ!」

 

「うん!ポケモンを育てる環境としても最高だね!」

 

「よーし、出て来いみんな!」

 

 俺達また一斉にモンスターボールからポケモン達を出す。こんな良い環境ならやっぱりポケモン達にも堪能させてやりたいしな。

 ロズレイド、イーブイ兄妹、マリルリ、キモリ、キノココ。

 ピカチュウ、マリル、スバメ、キモリ。

 アチャモ、ルリリ。

 フォレトス。

 

 俺、サトシ、ハルカ、タケシの順でポケモンを紹介したがやっぱり結構大所帯だよな。こりゃ全員分作るのはちょっと大変かもな。

 

「わ〜!綺麗!とっても素敵なお花畑ね!」

 

「どうもありがとう。ここでお花達や色んなきのみを育てているのよ」

 

 オレンの実、モモンの実、マトマの実……他にも沢山の種類のきのみを栽培しているらしい。ホウエンはポケモンコンテスト発祥の地だからな。ポロックの材料としての注文も受け付けているんだろう。

 

「じゃあノリコさん」

 

「ええ。楽しみにしているわね、ミテキ君」

 

 ノリコさんにいくつかきのみを頂いてキッチンを借りる。二、三時間程で調理を終えて裏庭に戻ると庭にさっきのハスボー達がいた。なんかみんなで庭の水やりをしている。

 

「何この状況」

 

「あれ?ミテキ、いないと思ってたら……」

 

 さっきレイコさんが言っていたホースの故障できのみや花に水やりができなかったのでサトシ達で直接水を汲みに行くとハスボー達も手伝ってくれたらしい。いつもここのきのみをあげてるからそのお礼でやってくれたのだとか。

 

「なるほどねぇ」

 

 でもポケモン達もこうしてお手伝いをしていたなら丁度良かったかもな。さっきのパイがあってもお腹空かせてるだろうし。

 

「ミテキは何やってたの?」

 

「ん?ああ、ポケモン達におやつを作ってたんだ」

 

 俺は手に持っているおやつをハルカに見せる。ノリコさんにお願いして貰ったきのみで作らせて貰ったおやつだ。

 

「ほーらみんな!おやつだぞー」

 

「「ブイ!ブイ!ブーイ!」」

 

 おやつと聞いて俺の足元でピョンピョン跳ねて俺が手に持つ皿の上の食べ物を欲しがるイーブイ兄妹。そんなに食べたいか欲しがりさん達め。

 イーブイ兄妹の反応を見てハルカも気になったのか、俺が持つ皿を覗き込んでくる。

 

「ミテキ、それ何?」

 

「ふっふっふ。良くぞ聞いてくれました!これぞ俺特製のポフィンだ!!」

 

 そう。俺はノリコさんに頼んできのみを少し分けて貰い、ポフィンを作ったのだ。モモンの実とナナの実をメインに隠し味にオレンの実を入れてある。甘さがメインのポフィンだ。

 

「これがそうなのね」

 

「ポフィン?」

 

「あ!知ってる!シンオウ地方発祥のポケモンのお菓子よね。ホウエンのポロックと同じでコンテストの為の調整にも使われるコーディネーター御用達の品でもあるよね!」

 

「お。レイコさん知ってましたか。そう!そのポフィンを頂いたきのみをふんだんに使って作りました!」

 

 一時期ある理由からポフィンを作りまくったからな。味には自信有りだ。

 

「ほらピカチュウ。食べてみ」

 

「ピーカ」

 

 あーんと口を開けるピカチュウに甘いポフィンを食べさせてみる。美味しそうにもぐもぐしてる姿が可愛い。

 咀嚼して飲み込むとほっぺた落ちると言わんばかりに頬の電気袋を抑えて目をキラキラさせる。

 

「チャ〜!」

 

「そっか。気に入ったか」

 

 イーブイ兄妹とピカチュウの反応を見て興味を示したポケモン達がぞろぞろと俺の前に集まってポフィンを受け取り、食べると目をキラキラさせて咀嚼する。

 

 するとサトシのキモリ以外のポケモン達がこぞってポフィンを食べたいと群がって我先にと俺を押し倒してくる。特にピカチュウとアチャモの食い付きが凄い。待って。フォレトス、流石にお前は重い。

 

「ミテキのポフィン大人気だね!」

 

「へぇ〜ポフィンって美味しそうかも!」

 

「お姉ちゃん、ポフィンはポケモンのお菓子だよ…」

 

 人間でも食えるっちゃ食えるけどあまりお勧めはしない。味見程度にしときな。

 

「はいはい喧嘩しない。あとこっちのはサトシのキモリの分だからな。食べちゃダメだぞ」

 

 ポフィンには食い付かないが、クールぶってるだけだろう。お前の分はちゃんと取り分けておくからな。

 

「ほら、ハスボー達。お前達にもやるよ。今日のお礼な」

 

 大所帯だから沢山作っといて良かった。ポフィンをハスボー達にあげてみるとハスボー達も気に入ったのか、皿に群がって食べ始める。

 だがポフィンに反応せずにボーッとしているハスボーが一匹。

 

「おーい?お前は食べないのか?」

 

「なぁハルカ、あのハスボーって……」

 

「うん。さっきのズレてる子。タケシもほっとけないみたい」

 

 こりゃ間違いなさそうだ。あのハスボーがタケシがゲットする個体だな。あいつの分はサトシのキモリと同じく取り分けておくか。

 

 夕方になり、本日のお手伝いは終わりという事でハスボー達は湖に帰って行くのだが、例のハスボーだけはボーッとしてタケシの前から動かない。

 

「ハボー」

 

「やれやれ。またこいつだけズレてるぜ」

 

「おーい、みんなはもう行っちゃったぞ」

 

 もういっそ今ゲットすれば良いんじゃないかとも思うが、今の所タケシはそのつもりではないらしい。

 すると店の方からノリコさんが慌てた様子で駆けてきた。

 

「レイちゃん!大変よ!ナオちゃんが!」

 

「……あれ?そういえばナオコちゃんいねぇな」

 

 俺がポフィン作って戻ってきた時にはもういなかった。ナオコちゃんは書き置きを残していたらしく、レイコさんがそれを読み上げる。

 

「オボンの実を探しに行く!?」

 

「……まさか!?」

 

 その書き置きの内容にタケシは心当たりがあったらしく、詳しく話してくれる。どうやら俺がノリコさんからきのみを貰ってキッチンに行った後、タケシが店の庭にはないオボンの実に興味を示したそうだ。

 それでタケシの為にオボンの実を採取しに行ったのではないかと思い至ったようだ。

 

 それに責任を感じたタケシがナオコちゃん捜索に向かうと言い出し、サトシとレイコさんもそれに同行して森の中へナオコちゃん捜索に向かった。俺達は万が一ナオコちゃんがタケシ達とニアミスして一人で戻ってきた時の為に店に残る事になった。

 

 タケシ達の帰りを待ってしばらく店の中にいると外が何やら騒がしい事に気付いたので出て見るとハスボー達の湖で一隻の船がモーターボート並の速さで水面を駆け回ってハスボー達を吸い込んでいた。

 

「大変!ハスボー達が!!」

 

「犯人はロケット団か!」

 

 俺が叫ぶと船の上にいる奴らもこちらに気付いて顔を見せる。犯人はやっぱりというか予想通りというか。普通にロケット団だ。こんな事するの基本こいつらだからな。

 

「お前はジャリボーイ4号!」

 

「残念だったわね!アンタがいない内に口上は全部言わせて貰ったわ!」

 

「いつもいつもおミャーの思い通りになると思ったら大間違いだニャ!」

 

「いや俺がいない所でやっててもそれは知らんわ」

 

 てか俺は単に目の前で隙だらけだから攻撃してるだけだし。まぁ長くてウザいのもあるけど。

 勝ち誇ってるけど俺関係ねーだろそれ。

 

 しかしここでそんな理由で奴らの名乗りを最後までやらせてしまったのもそれはそれで癪なのでマリルリを出す。特性はちからもちだから、はらだいこからのアクアジェットで船をぶっ壊して奴らを湖に沈めてやるぜ。

 

「今頃出てきても手遅れよ!今更口上の邪魔なんてできっこないんだから!」

 

「口上はもう言い終わってるんだからそこで大人しく見物してるんだな!」

 

「口上も言い切って、ハスボー達も捕まえて……今回はニャー達の完全勝利なのニャー!!」

 

「ソォーナンスッ!!」

 

 どんだけ口上引っ張ってんだ。そんなに根に持ってたの?俺がいない所で言えてそんなに嬉しかったの?つーか誰の前で言ったの?サトシ達?

 でもあの船とスピードどハスボー達を吸引する機械を見るとマリルリにアクアジェットで特攻させるのはリスクが高いな。逆に飲み込まれるかもしれん。かと言ってロズレイドじゃ威力のある技はリーチが足りないし。どうしたもんか。

 

「貴方達やめなさい!」

 

 ハルカの叫びもなんのその。ロケット団はハスボーの乱獲を続ける。そんな折だった。

 

 みずでっぽうを逆噴射して水面を滑走するハスボーにライドしたピカチュウがこっちに猛スピードでやって来たのは。

 

「ピカチュウ!」

 

「助けに来てくれたんだ!」

 

 向こうで何があったのかは良く分からないが、多分タケシ達がナオコちゃんを保護した後、ロケット団と遭遇して今回のハスボー乱獲について知って、サトシ達に先んじてハスボーに乗って戻ってきたって所か。

 

「飛んで火に入るむしタイプならぬピカチュウよ!」

 

「この船は毎度お馴染み電撃対策は万全なのだ!」

 

「ピカチュウ!神妙にお縄に付くのニャー!!」

 

「そうはいかないぞ!」

 

 後ろから声が聞こえてきたので振り向けばサトシ達がナオコちゃんを連れて走って来ている。どうやら俺の予想は大体当たっていたらしい。

 サトシはハスボーにライドするピカチュウに新しい技を指示してロケット団の船を止めにかかる。

 

「ピカチュウ、なみのりだぁー!」

 

「ピィカァーチュウウウウウッ!!」

 

 物は試しと技マシンで覚えさせたなみのりをハスボーにライドして発動したピカチュウ。生み出した巨大な津波がロケット団の船を岸に打ち上げる。

 

「「「うっそだぁーーー!?」」」

 

「残念だったなロケット団。ピカチュウは新しくなみのりを覚えたのさ」

 

 ドヤ顔するサトシだが、それは技マシンで覚えさせたからあんまりデカい顔はできないぞ。

 最初は技マシンの使用渋ってたけど結局覚えさせ方分からないから技マシン使った。みがわり使えないんだよなサトシのピカチュウ。なみのり関係なく補助技は大事だぞ。マジで。

 

 船が岸に打ち上げられた衝撃で船の一部が損壊し、そこからハスボー達が逃げ出していく。

 

「ハスボー達が逃げて行くニャ!」

 

「ああ!折角ゲットしたのに!」

 

「口上全部言えて完全勝利の流れじゃなかったのかー!?」

 

 いや口上関係ねーだろ。

 

「こうなったら直接バトルよ!ピカチュウもハスボーも全部頂いてやるわ!!」

 

「マリルリ!アクアジェットだ!!」

 

 だが俺のマリルリは既にはらだいこを済ませているのだ。ここでお前らがポケモンを出すのを待ってやる程、俺は悪党に寛容ではない。

 

 ちからもちマリルリのはらだいことアクアジェットという厨ポケコンボでロケット団を空の彼方へとぶっ飛ばす。思い付いた事や厨ポケのコンボを試し打ちするサンドバッグにはうってつけだなロケット団。

 いくらぶちのめしても問題ないサンドバッグがあるのは良い事なんだが、やっぱりポケモン強奪しようとしてくんのはウゼェな。サンドバッグの役目だけやってくんねーかな。

 

「キィーッ!今回は口上全部言えて途中までは良い感じだったのに、なんでこうなんのよーー!!」

 

「だよなぁ。あのジャリボーイ4号が最初いなかったから口上全部言えたのに……」

 

「口上は言えても結果には繋がらなかったニャ……」

 

「「「やなかんじ〜!!」」」

 

「ソォーナンスッ!」

 

 だからどんだけ口上に拘ってんだお前ら。俺のいない所で言えてどんだけ嬉しいんだよ。

 

****

 

 で、その晩はノリコさん達の家に泊めて貰い、翌朝。

 

「はい。これがきのみのリストよ」

 

「ああ。ありがとうナオコちゃん」

 

「これがポフィンのレシピです。一般的なものと俺独自の奴ですけど」

 

「ありがとうミテキ君。シンオウ地方のポフィンなんてこれまで扱った事なかったから嬉しいわ」

 

 タケシはナオコちゃんからきのみの種類を纏めたノートを貰い、俺は逆にノリコさんに昨日使ったポフィンのレシピを書いたメモを渡した。昨日キッチンでポフィン作りをさせて貰ったお礼だ。このメモを元にオリジナルのポフィン作りをして、お店の方で販売するのが目標らしい。シンオウ文化を広める意味でも是非頑張って欲しい。

 

「カナズミシティはこのすぐ先にあるわ」

 

「ジム戦、頑張ってな!」

 

「「はい!」」

 

「が、頑張りまーす……」

 

 ジム戦に向けた激励を貰ったが、元気良く返事した俺とサトシとは対照的にハルカは苦笑い。ジム戦乗り気じゃないもんな。

 

「ハボー」

 

「ん?」

 

 別れの挨拶をしているといつの間にか例のハスボーがタケシの足元にいた。ああ、このタイミングでか。

 

「またあのハスボーだ」

 

「どうしたんだお前…?」

 

 タケシがハスボーを抱き上げると心なしかハスボーはちょっと嬉しそうだ。

 

「そのハスボー、タケシの事が好きになったんじゃない?」

 

 マサトの言葉を聞き、タケシは数秒ハスボーを見つめるとノリコさん達に向き直る。

 

「あの……このハスボーですが……」

 

「ええ。タケシさんさえ良ければ」

 

「その子も凄く懐いてるみたいだし!」

 

「大事に育ててくれよな」

 

「ありがとうございます!ハスボー、俺と一緒に来るか?」

 

「ハボハボ」

 

 ノリコさん達三姉妹から承認を得たタケシは嬉しそうにハスボーに尋ねると、ハスボーも笑顔で頷く。やっぱりタケシがハスボーを持っていると絵になるな。

 

「よーし、決まりだ!よろしくなハスボー!」

 

 タケシはハスボーをモンスターボールに入れてゲットする。

 こうしてハスボーが新たに仲間に加わり、ホウエン地方での旅は更に楽しくなったな。ルンパッパになって一緒に踊る時が楽しみだ。

 さーて、本当にもうそろそろカナズミシティに着くはずだ。マリルリ達のトレーニングの成果をバッチリと見せてやるぜ!




なんか色々とショートカット。主人公、今回ポフィン作っただけじゃね?一応今後の展開の為ではあるんだけども。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。