ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード   作:メンマ46号

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いよいよこの回が来ました。


ハルカ、コンテストへの道!

 sideミテキ

 

 カナズミシティを目指して旅を続ける俺達はカナズミシティの前の森の更に前に設置されているカナズミホールにまで来ていた。

 

「カナズミホール?あれが?カナズミシティじゃないのに?」

 

 カナズミホールなのにカナズミシティの外にあんのかい。つーかいくらなんでもカナズミシティ遠くね?トウカシティからの道中に森いくつあんだよ。

 

 周囲を見渡して見れば何人ものトレーナーがポケモンの世話を甲斐甲斐しく焼いている。ブラッシングしてペルシアンの毛並みを整えているトレーナーもいればモココに水浴びさせているトレーナー、マグマッグに魅せる技を練習させているトレーナーもいる。これは……

 

「みんな何してるんだろう?バトルの練習でもなさそうだし」

 

「……もしかしてこれって」

 

「アレだよ。ポケモンコンテスト!」

 

 周囲の様子が気になったサトシの疑問に答えたのはマサトだ。マサトが指差す先にあるのはカナズミホール。そのカナズミホールにデカデカとポケモンコンテストの看板が飾られていた。

 

「みんなポケモンコンテストの準備をしてるんだよ」

 

「やっぱりか。流石コンテスト発祥の地、ホウエン地方。あのホールはポケモンコンテストの為に建設された訳か」

 

 こんな辺鄙な立地に建てる意味は微塵も理解できんが。

 

「ポケモンコンテスト?」

 

 これはハルカがコンテスト挑戦をするきっかけの回という訳か。早くハルカのコンテストを観たいぜ。きっと物凄く綺麗なんだろうなぁ。ポケモン達もハルカ自身も。

 そんな事を考えていたら、何処からかアゲハントが飛んで来て、ハルカの顔に駐まった。

 

「きゃあああっ!?」

 

「お姉ちゃん!?」

 

「ハルカ!」

 

 その勢いに押されて後ろに倒れて尻餅を突きそうになったので、さりげなく後ろに回って倒れかかる所を抱き止めてあげた。怪我でもしたら大変だからな。

 

「も〜う!なんなのよ〜!」

 

 顔に駐まったアゲハントに驚いてジタバタするハルカ。アゲハントも驚いてすぐに飛んでハルカから離れる。うむ。良く見ると良いアゲハントだ。艶といい、羽の力強さといい、良く育てられている。強さと言う点では俺がシンオウ地方で出会ったあるトレーナーのアゲハントには遠く及ばないが、コンテスト用に育てられている分、魅力は上かもしれん。

 アゲハントを初めて見るサトシがポケモン図鑑でアゲハントを調べていると落ち着いたアゲハントはハルカの頭に着地した。

 

「おも〜い!!」

 

「懐かれたなハルカ」

 

「あらら……」

 

 アゲハントにもハルカが優しいって事が分かるんだろう。その割には振り払おうと頭をブンブン回しているけども。

 

「ごめんなさい!」

 

「君達、大丈夫かい!?」

 

 ここでようやくこのアゲハントのトレーナー…いや、コーディネーターらしき二人組がやって来た。具体的にはお姉さんとお兄さんだ。当然、綺麗なお姉さんが来たとなればこの男が反応しない訳がない。

 

「おおお〜!全っ然大丈夫です!!お嬢さん、是非お名前とメールアドレスを…ふがっ!!」

 

 一目見たタケシがお姉さんをナンパしにかかるが、ハルカの頭から飛び移ったアゲハントがタケシの頭にのしかかって阻止した。ふむ、マサトが耳引っ張りを会得するまではゲストポケモンが制裁役なのかもしれんな。

 

「ああっ!ダメでしょアゲハント!」

 

「あの、もしかして貴女はポケモンコーディネーターですか?」

 

「ええ。そうなの。コンテストバトルの練習をしてたんだけど……」

 

「じゃあこのアゲハントでコンテストに出るの!?」

 

 お姉さんことメグミさんやはりアゲハントのトレーナーでポケモンコーディネーターらしい。で、コンテストバトルの練習中に相手をしていたお兄さんことエイジさんのモルフォンのふきとばしが決まり過ぎてアゲハントが必要以上に吹き飛び、その先にいたハルカに駐まったのだとか。

 

「俺、サトシです」

 

「私はハルカ!」

 

「マサトです!」

 

「俺はミテキです」

 

「そして!自分はタケシと言います!」

 

 自己紹介を終えると、コンテストの事を知らないサトシが技が決まり過ぎたという事の意味が分からず、メグミさんとエイジさんに詳しい話を聞いている。

 ポケモンコンテストはポケモンの魅力を引き出す競技だからな。バトルの形式一つ取っても普通のポケモンバトルとは違う。ただ相手を倒せば良いのではなく、技の魅せ方で美しさを競ったりする。色々と奥が深い。つーか難しい。

 

「ポケモンコンテストって優勝するとリボンが貰えるアレでしょ?」

 

「お?ハルカ興味アリ?」

 

 最初はポケモン自体あまり興味がなく、旅して回りたいだけってスタンスだったからてっきりポケモンコンテストを生で観てやりたくなる感じかと思っていたが、興味自体は既にあるらしい。

 メグミさんにこれまでゲットしたリボンを見せて貰って目を輝かせている。ああもう可愛いなぁもう。

 

「ポケモンコンテストかぁ。懐かしいな」

 

「ミテキは知ってるのか?」

 

「シンオウ地方でもポケモンコンテストは盛んだからな。俺の地元のフタバタウンには元トップコーディネーターもいるんだ」

 

 ポケモンを貰う前には親にほぼ無理矢理連れられてその人の出るコンテストを観に行った事もある。当時はコンテストには全く興味がなくて不満タラタラだったけど。今でも思い出すとムカつきはする。嫌な事の強制ってのはそういうもんだ。

 

 そういえばコンテストってメガシンカやZワザの扱いはどうなってんだろ?シンオウじゃどっちもコンテストで使う奴いなかったからな。

 

「ミテキはコンテストに出た事あるの?」

 

「ちょっとだけな。二回参加してリボン二つでやめちった。まぁ元々記念参加だったし、シンオウリーグへの挑戦が第一だったし、他にも色々と騒動があったからな。スケジュール的な問題もあった」

 

 それらがなかったらもしかしたらシンオウリーグとグランドフェスティバル両方挑戦してたかも……いやないな。そこまでコンテストも甘くはない。それにその内飽きてただろうし。

 それを差し引いても色んな事件が何故かフライングで起きて大変だったんだからな。本当なら全部お前がこれからなんとかする事だったんだぞサトシ。

 

「良いなぁ。私も欲しいかも」

 

「その為にはまず出場しなきゃね!」

 

「ははっ。そりゃそうだ」

 

「出場って、コンテストに?」

 

「俺も出てみたいな!」

 

 自分もリボンが欲しいと言うハルカにマサトがコンテスト出場を勧める。とはいえ、まだまだポケモン初心者でバトルの経験もあまりないハルカがいきなり出場するのはハードルが高い気がするけど。アチャモとルリリも演技の練習なんてまだしてないし。

 

「確かコンテストのエントリー、まだ締め切ってなかったわよね」

 

「ああ。急げば間に合うかも」

 

「わぁ!ちょっと楽しみかも!」

 

「コンテストかぁ…良し!俺も出るぜ!」

 

「ミテキも出るのか?」

 

 コンテストに興味津々なハルカとサトシがやる気を出し、タケシが俺に話を振ってくる。コンテストか……正直もう参加する気はなかったけど、良い息抜きにはなるかもな。

 

「……そうだな。久しぶりに出てみるか」

 

 ロズレイドならコンテストの経験もあるし、大丈夫だろう。二つ取ったリボンの内、片方はロズレイドとサーナイトのコンビで取ったものだし。当時はロゼリアとキルリアだったけど。

 

 コンテストのエントリーはまだ締め切ってはいないらしいので、受付に行く事にする。

 

****

 

「ええ〜!?もう締め切り!?」

 

「はい……先程エントリーした方で定員になってしまいまして……」

 

「あうう…ショックかも」

 

 そう思った矢先にこれか。どうも俺達より一足先に来たコーディネーターで定員が埋まってしまったようだ。仕方ないけど久々に出鼻を挫かれてしまった。

 定員になってしまったものは仕方がない。今回はポケモンを持っていないマサト以外の四人でホウエンでのコンテストパスを発行して貰う事にした。エイジさん曰く俺が持っているシンオウのコンテストパスではホウエンのコンテストには参加できないそうだ。やっぱその辺は各地方限定って訳ね。

 

「今回は俺達は見学って訳だな」

 

「だな。でもまぁある意味丁度良かったかもな。何事も経験とはいえ、なんの準備もしてない段階でいきなりコンテストで上手くやれる訳ないし、ハルカは今後の為にまずは勉強だな」

 

「べ、勉強…!?」

 

「いや机に向かってノート書くとかじゃないから」

 

 勉強と聞いてギョッとするハルカ。ガリ勉っぽいマサトと違ってハルカは勉強は苦手らしい。そんな気はしてたけど。

 するとメグミさんのアゲハントがまたハルカの頭に乗っかる。

 

「もう!どうしてそこで休憩するの!?」

 

「すっかり気に入られちゃったな、ハルカ」

 

 アゲハントはハルカの頭を気に入ったらしい。俺としてはハルカの頭にアゲハントがいる光景に違和感はない。むしろしっくり来る。アニメでそういうシーンを何度も観たからな。

 

 ハルカがケムッソを捕まえてアゲハントまで進化させたらあいつを呼ぶか。コンテストの練習に付き合うくらいはしてくれるだろう。

 

「でもお姉ちゃん、それって大きなリボンを着けてるみたいだよ!」

 

「そ、そう?」

 

「そうだ!ハルカちゃん、今回は私のアシスタントになってコンテストに出てみない?」

 

「え!?良いんですか!?」

 

 メグミさんの提案にハルカは飛び付く。確かに本職のコーディネーターのアシスタントをしてコンテストの雰囲気ややり方を学ぶのは理に適っている。特に演技を間近で見られて詳しいトレーニングについても聞けるのは大きいだろう。

 

「良いんじゃないか?アゲハントも懐いてるみたいだし」

 

 エイジさんも同感らしい。モルフォンにポロックをあげながら後押ししてくれる。タケシはエイジさんがモルフォンにあげてるポロックに興味を持ったようだ。

 

「それポロックですよね」

 

「ああ。ポケモンフーズが主食なら、ポロックはお菓子という所かな。ポケモンに必要な栄養が沢山詰まってるんだよ」

 

「きのみを混ぜて作るんですよね。使うきのみで色んなポロックができると聞きました」

 

 試しに貰ったポロックを味見するタケシ。多分アレだけで何のきのみをどう配分して作ったのか分かっちゃうんだろうな。味覚もさる事ながら流石はポケモンブリーダー。既に一流の域に行っている。本人はまだまだ精進の身って言うだろうけど。

 

「そうだよ。レシピも人それぞれさ」

 

「私もアゲハント用のポロックは自分のレシピで作ってるわ」

 

「あ!ポロックってミテキが作ってたポフィンみたいなお菓子でしょ!?」

 

「お姉ちゃん、ホウエンではポロックの方が主流なんだよ」

 

「ふ〜ん。どっちの方が美味しいの?」

 

「それ言ったら戦争になるぞ」

 

 ポフィンとポロックにそこまで性能の差異は無い。ラムネみたいにポリポリ食べるかマフィンみたいな焼き菓子かの違いだ。ぶっちゃけポケモン側の好みでどっちを食べるかってだけだな。

 

「そうか。ミテキ君はシンオウ地方の出身だったね。僕達もいつかはシンオウ地方のコンテストにも出たいと思ってるんだ。シンオウのコンテスト御用達のお菓子であるポフィンについても是非知りたいと思ってたんだ」

 

「ミテキ君、少し教えて貰えないかしら」

 

「ん?ああ、良いっすよ。てか今ポフィンいくつか持ってるんで、ちょっと味見してみます?」

 

 流石に専用のレシピを用意しているアゲハントとモルフォンにそのまま食べさせる訳にはいかないが、メグミさんとエイジさんが試食して専用のレシピを作る足掛かりにはなるだろう。

 リュックからポフィンケースを取り出すと速攻でピカチュウが俺の肩に乗っかってケースを覗き込み、開くのを今か今かと待ち侘びる。そんなに気に入ってたの?

 

「ピーカ!ピーカ!ピーカチュウ!」

 

「はいはいピカチュウにもあげるから、肩の上でピョンピョンしないで」

 

 メグミさんとエイジさんにポフィンを分けてあげて、ピカチュウにもあげる。うむ。美味しそうにもぐもぐしてて可愛い。やっぱり俺もピカチュウ欲しいな。

 

 そのお礼と言ってはなんだが、エイジさん達にカナズミジムについての情報を貰えた。と言っても普通に知ってる内容だが。カナズミジムはいわタイプのジムである事。いわタイプのポケモンはじめんタイプを複合している事が多いのででんきタイプのピカチュウでは不利な事。まぁ基本だな。

 

「サトシ君のピカチュウは何かいわタイプに有効な技を使えるのかい?」

 

「はい!アイアンテールとなみのりです!」

 

 ……え?もうアイアンテール使えるの?アドバンスジェネレーションで覚えるんじゃなかったっけ?

 

「なみのりだって!?ピカチュウがなみのりを覚えるのかい!?」

 

「はい。と言っても俺もミテキに教えて貰ったんですけど」

 

 そういやSVからピカチュウはレベル技でアイアンテール覚えるんだっけ……。で、サトシのピカチュウはレベルは既に50を超えている。

 うん。そりゃ覚えるわ。そもそもこの世界既にメガシンカとかダイマックスとか広まってるし、タマゴ技とかだって努力次第で覚えられたりするもん。後付けとはいえ、アイアンテールがレベル技になったならそら覚えるわ。

 

「……なぁサトシ、ちょっとポケモン図鑑貸してくれない?ピカチュウがどんな技覚えてるか知りたいんだけど」

 

「ああ!良いぜ!」

 

 サトシのポケモン図鑑を借りてピカチュウの覚えている技を見ていく。ポフィンを食べてニッコニコなピカチュウにカーソルを合わせて…と。ふむふむ。確かにアイアンテールが普通に表示されてる。こないだ技マシンで覚えたなみのりもある。

 アニメで使ってなかったのにある技はにどげり、いわくだきとかだな。

 

 見事にわるだくみやみがわりなんかの変化技が無い……正確に言えば極端に少ない。レベルで覚える変化技覚えてないとかどういう事だよ。

 

「主力のでんき技は充実してるけど、やっぱ変化技が少ないな。他にもサブウェポンとしてかわらわりやくさわけ、くさむすび、あまごいなんかは覚えさせても良いと思うぞ。まぁカナズミジムはレベル制限と相性の関係でマリルとキモリで挑むからそんな急に覚える必要はないけど」

 

 因みに俺はマリルリ、キモリ、キノココの三体で挑む。サトシが二体で挑み、俺が三体で挑むという違いがあるのはカナズミジムには使用ポケモンの数をチャレンジャーが選べるというシステムを取ってるからだ。流石にフルバトルは採用していないそうだが。この辺はポケモンセンターで調べられる。

 

 倒すポケモンの数を少な目にして楽したければ二体を選び、こちら側の倒されるポケモンの上限を増やして保険をかけたいならば三体を選ぶ……という考え方もできる訳だ。まぁ俺の場合は育成目的で、サトシの場合は手持ち数とレベル制限の都合だが。

 

「一応言っとくけど、スバメを使うならはがねのつばさは必須だぞ」

 

 サトシなら敢えて不利なスバメも一緒に起用するとかやりかねないので釘を刺しておく。有効な技を覚えさせずに不利な相手と戦おうとするのは流石に無謀だ。リーグ戦を意識すれば不利な相手を想定する意味では一考の余地はあるが、それと有効な技を覚えさせないのは話が別だからな。

 

****

 

 そんな感じでいよいよポケモンコンテスト・カナズミ大会がスタートする。俺とサトシ、タケシは観客席でコンテストを観戦。審査員は大会事務局長のコンテスタさん、ポケモン大好きクラブのスキゾウさん、カナズミシティのジョーイさんというお馴染みの面子だ。

 ……おかしい。ジョーイさんはともかく、先の二人は俺が参加したシンオウのコンテストでも審査員やってたぞ。各地方の各街のコンテストを全て行き来してんの?

 

 それはともかく、一次審査でコーディネーター達が出したポケモン達の演技はどれもが素晴らしいものだった。ルージュラ、ドーブル、キュウコン、ハスボー、ポチエナ、エレキッド……どれも綺麗な演技だ。技の決まり具合も良い塩梅だしな。

 

 エイジさんのモルフォンもねんりきを巧みに使い、急須でお茶を淹れたりしている。面白い演技で得点は29.5を叩き出していた。これまでの最高得点である。俺が昔出たコンテストでもこんな点数は出せなかったぞ。出たの二回だけど。

 

「こうして観るとやっぱりコーディネーターのポケモンはバトル用のポケモンとは一味違うよな」

 

「ああ。ただ技の威力や相手の隙を突く事ばかりを追求するのではなく、如何に魅せるかが重要な訳だからな。二次審査のコンテストバトルはそれを踏まえた上で相手を倒さなきゃならない」

 

「ただ我武者羅にぶっ飛ばしてちゃ逆に減点されるからな」

 

 俺がコンテストに出た時に使用したポケモンはビジュアル的な受けを狙っての選出でもあったが、それは結果的に正しかったのかもな。俺も確かに工夫したとはいえ、エイジさんみたいな魅せ方はできてなかった。優勝できたのは他に大した奴がいなかったからでもあるし、ほぼ運だったな。今思えば。

 

 そしていよいよハルカとマサトがアシスタントをするメグミさんの番がやってきた。

 

「メグミさんとハルカ達だ!」

 

 メグミさんが出したアゲハントはまずフラッシュで会場全体を照らし、ハルカとマサトが投げたフリスビーをいとをはくを鞭のようにしならせて次々と砕いていく。……砕いちゃうの?いや綺麗だけど。

 

 最後にめざめるパワーをダイヤモンドダストのように光る粉として振り撒き、メグミさんの手の上でフィニッシュ。こりゃ凄い。素人目でもダントツなのが良く分かる。結果は30点。つまり文句無しの満点。これでまだトップコーディネーターじゃないってマジ?

 

 それからも一次審査に臨むコーディネーター達は誰一人としてエイジさんとメグミさんの得点には届かない。頭一つ抜けてるどころじゃないからなぁ。

 

『さぁいよいよ最後の一次審査となりました!エントリーNo.30!マドモアゼル・ムサッシーさん!一次審査を華麗に締めて頂きましょう!』

 

 ムサッシー?

 

 そうして出てきたのは赤紫色の長髪の女とアシスタントらしき薄紫色の髪の男。そしてスーツを着たニャースだった。

 

 ロケット団じゃねーか。そういやムサシもコンテスト出てたな。なんかダイパじゃグランドフェスティバルに出たらしいけど、アドバンスジェネレーションの時点での実力ってどんなもんなんだ?

 

 チラッと隣にいるサトシやタケシを見てみるが、奴らの正体に気付いている節は無い。だからなんで分からないの?

 

 そして一次審査でムサシが出したのはアーボックだ。ポケモンハンターの件で別れなかったからか、恐らくアニメのコンテストで一番起用されたであろうハブネークを押し退けて相棒が選ばれたらしい。

 

「シャーボック!」

 

「決めるわよアーボック!まずはせいなるほのお!」

 

 ……何を言ってるんだあいつは。ホウオウとエンテイの専用技だし、それ以前にほのおタイプの技じゃん。アーボックが使えるのは精々ほのおのキバくらいだろ。

 

「アーボック、せいなるほのおよ!ほら早く早く!」

 

 困惑して必死に首を横に振っとる。駄目なトレーナー持つとポケモンは苦労するねー。それからもムサシはやれみずのはどうやら、やれブレイズキックやらどう足掻いてもアーボックには使えない技ばかり指示する。

 

 なんでアーボックの姿を見てドラゴンクローとかが出て来るんだ。知識がない以前に馬鹿すぎる……!!

 

 他の観客達もあまりの有り様にブーイングする始末。審査員も呆れ顔だ。

 ニャースが何か入れ知恵したのか、ようやくムサシはアーボックの使えるポイズンテールを指示。しかし使えないトレーナーの馬鹿な指示のせいでテンパったアーボックはムサシにポイズンテールをぶつけて天井を突き破ってムサシを退場させた。あーあ。つーかあんな奴の為に一枠使って俺達今回のコンテストに出られなかったのか。

 

 評価は満場一致の無得点。すげぇな。俺コンテストの一次審査で0点とか初めて観たよ。

 

****

 

 メグミさんとエイジさんが一次審査を突破した。今回二次審査に進んだのは四名で、トーナメントの組み合わせ的に二人はファイナルでぶつかる事になった。

 

「ったく、ロケット団め。くっだらねー茶番に付き合わせやがって。クソが」

 

 俺は会場の外の自販機でジュースを買いつつ、一人で愚痴ってると、物陰から先程までの茶番の主役達の声が聞こえてきた。

 

「悪かったわねアーボック!アンタのポイズンテールは最高よ!」

 

「シャーボック!!」

 

 泣きながらムサシとアーボックが抱き合っていた。いや手があるのはムサシだけだから抱き締めてたのはムサシだけだが。その近くにはコジロウとニャースの姿もある。

 

「なぁそれは分かったから、いつも通りにやろうよ」

 

「単純に優勝したポケモンを頂けば良いんじゃニャか?」

 

「あ!それだ!なんで今まで気が付かなかったのかしら!?」

 

 まーた悪巧みしてら。そしていつものお馴染みのニャースがコンテストで優勝したポケモンをサカキに献上した時の妄想を垂れ流してる。なんでも優勝したポケモンの演技をサカキの前で披露する事で気分転換が叶ってそれがサカキの活力になるとかならないとか。そんなキャラじゃないだろ。

 

「「「幹部昇進♪支部長就任♪打倒レッドでいいかんじー!」」」

 

 どうせあいつらコンテストの優勝者が決まった時点か閉会式でポケモン強奪しにくるよな。つーか犯行予告みたいなもんだよアレ。今のうちに始末しとくか。

 俺はモンスターボールからロズレイドを出してロケット団を指差す。

 

「ロズレイド、はかいこうせん」

 

 奴らが俺に気付かない内に背後からはかいこうせんを直撃させてやった。ロケット団御一行、空の旅へご案内。

 

「「「ぎゃああああっ!?やなかんじ〜!!」」」

 

 さて会場に戻るか。ご苦労様ロズレイド。あとでポフィン作ってあげる。

 

****

 

 二次審査ではメグミさんとエイジさんがそれぞれ最初の相手を蹴散らしていよいよファイナル。二人の対戦に会場中が熱狂している。

 それはメグミさんのアシスタントとしてコンテストに触れたハルカも例外ではないようで、アゲハントを応援している。

 

「遂に二人が戦うのか!」

 

「アゲハント対モルフォンのバトルね!」

 

「どんな戦いになるのかな!?」

 

「モルフォンはむし・どくタイプ。アゲハントはむし・ひこうタイプ。相性だけならアゲハントが有利だな」

 

「ああ、楽しみだな!」

 

 コンテストバトルは相手を倒すだけじゃなく、自分のポケモンの技の魅せ方や動き、相手の技への対処方法が華麗かどうかでも相手の持ちポイントを削る事ができる。これが雑だと例えバトルで優位に立てても自分のポイントが減ってしまう。そこが面白いところだ。

 

 モルフォンのしびれごなをアゲハントがかぜおこしで防ぐ。両名のポイントが減るがエイジさんの方が減り幅が多い。つまり審査員の評価ではモルフォンのしびれごなよりもアゲハントのかぜおこしの方が美しいという事だ。

 

「こうやってお互いのポイントを減らし合い、最後にポイントが多く残っていた方が勝つ。いつものポケモンバトルとは違ったスリルがあるな」

 

「その為の制限時間でもあるしな。でもポケモンが戦闘不能……コンテストの場合はバトルオフか。とにかく戦えなくなったらその時点でポイントを相手より多く持っていても強制的に負けになっちゃうから魅せ方だけに囚われず、ポケモンも強くならないといけない。そこは普段のバトルと同じだよな」

 

 やっぱりコンテストバトルは普通のポケモンバトルよりずっと複雑で、だからこその面白さがある。

 だから俺は敢えてこのタイミングで尋ねる事にする。

 

「ハルカ、コンテスト好きになったか?」

 

「うん!」

 

 目だけでなく、顔をキラキラさせて笑顔で答えてくれたハルカの顔に俺は見惚れてしまった。

 

 その後のコンテストバトルは良く観てなかった。集中してコンテストを観て学び取ろうとするハルカに俺の視線は釘付けになってしまっていたから。

 

 このバトルに勝利して優勝したのはメグミさんとアゲハントだった。決め手になったのはあさのひざしによる回復効果。その幻想的な光で魅了する事でエイジさんのポイントを大きく削る事ができた。

 

「おめでとうございます!メグミさん!」

 

「「「「おめでとうございます!」」」」

 

「ありがとうみんな!」

 

 優勝した事でカナズミリボンを贈呈されたメグミさんに俺達は祝いの言葉を贈る。本当に凄かった。旅に出てからここまで凄いコーディネーターを観たのはこれが初めてかもしれない。

 

「メグミさん、私ポケモンコンテストに必ず出ます!そして、リボンをゲットします!」

 

「お姉ちゃん、その前にジム戦があるよ?」

 

「ああ…そうだった……」

 

 マサトにジム戦の事を突っ込まれるハルカ。ここは助け船を出す事にしようか。

 

「良いんじゃないか?ハルカが本当にやりたい道を行けば。ジム戦とポケモンリーグだけが道じゃないのはコンテストを観て分かっただろ?ハルカが望むならジム戦をやらず、本格的にポケモンコーディネーターとしてコンテストに出て、グランドフェスティバルを目指すのだってアリだ」

 

 両方やるのもそれはそれでアリだけどね、と付け加える。

 

「ミテキ……うん!私、ポケモンコンテストの道に進む!ポケモンコーディネーターになる!」

 

 メグミさん達との出逢いでハルカはコンテストの道に進む事に決めた。目指すはコンテストリボンを五つ揃えてのグランドフェスティバル。そしてトップコーディネーターという訳だ。

 

「ハルカちゃん、頑張ってね」

 

「サトシ君とミテキ君もジム戦しっかりな!」

 

「「「はい!」」」

 

 ポケモンコンテストを通じてポケモンの新しい魅力を知ったハルカがこれからコンテストでどんな演技を魅せてくれるのか俺も楽しみだ。

 さて……いつになったらカナズミシティに着くんだ?




という訳でピカ様は既にアイアンテールを使えます。よくよく考えたらスカバイでレベル技になったんだし、一応ピカ様レベル50超えてるから、普通に使えるんじゃね?と思いまして……

余談

主人公がシンオウでコンテストを普通に勝ち抜けたのは地元にやたらコンテストについて語ってくる子がいて、こっちから聞いてもいないのに耳にオクタンなほどに聞かされたので、基本が頭に入っていたとか。
因みにその子は主人公が言及した地元の元トップコーディネーターの子供なんだとか。
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