ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード   作:メンマ46号

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先に注意書きをしておきます。

今回のマサトは結構な問題行動に走ります。これは原作アニメでも同じシチュエーションになれば確実にこうすると確信を持って書いた内容です。博物館に不法侵入とかしてるし。

だからと言って安易にマサトを貶したり叩いたりするようなコメントはやめて下さい。割とマジで。


イーブイ兄妹のジェラシーと進化の石

 side三人称

 

 トレーナーズスクールでのマサトの体験入学も終わり、いよいよ明日はサトシとミテキのカナズミジムでのジム戦を控え、サトシ達はマリルリ達の最終調整と言ってこの場にはいないミテキを除いてポケモンセンターで夕食を食べていた。

 

「それでね、筆記テストやってみたんだけど、全然分かんなかったの……」

 

「まぁ筆記に限らずテストは普段の積み重ねが物を言うからなぁ。まだまだ駆け出しのハルカは知らない事も沢山あるだろう」

 

「お姉ちゃんは勉強が足りないよ!もっとポケモンについても知らないと!」

 

「何よ!マサトだってミテキに教えて貰う前はバトルの指示が酷かったって聞いたわよ!普段散々人のバトルにケチつけといて、自分は全然出来てなかったなんてカッコ悪いかも!」

 

「ぼ、僕は昨日ミテキに教わって、今日のバトルで勝ったから問題ないよ!それよりお姉ちゃんだよ!コンテストに出るならやっぱり勉強は大事だよ!」

 

 ハルカを煽るマサトだが、強烈なカウンターを喰らって苦し紛れに話を逸らす。それを見てサトシとタケシはクスリと笑う。喧嘩も多いこの姉弟だが、やはり見ていて微笑ましい。

 そんな空気の中、笑っているサトシ達とは対照的にしょぼくれて元気がないポケモン達がいた。

 

「「ブイ……」」

 

 今回はジム戦に出さない為、調整の間はタケシに預けられたイーブイ兄妹だった。

 溜め息を吐くかのような鳴き声に四人共気付いて、イーブイ兄妹に視線を向ける。

 

「どうしたの二人とも?なんか元気ないかも」

 

 耳が垂れ下がり、ポケモンフーズを前にしても食欲を出さないイーブイ兄妹の様子が気になり、しゃがみ込んで目線を合わせようとするハルカ。しかしイーブイ兄妹はどちらも俯いたままだ。

 

「マサトに合わせてバトルしなきゃいけなかったから疲れちゃったのかも」

 

「そんな事ないよ!ちゃんと息を合わせられたさ!」

 

 真っ先に失礼な可能性を挙げるハルカにマサトはムキになって反論するも、ハルカは特に取り合わない。それよりも元気の無いイーブイ兄妹が気になるのだ。

 

「疲れている……訳ではなさそうだな。少なくとも昼間のマサトと組んでバトルしたのが原因という訳ではなさそうだな」

 

「それにマサトと一緒にバトルしたのは兄貴の方だろ?妹の方までそうなるのは変だよ」

 

「ピカチュ」

 

 ポケモンブリーダーであるタケシがハルカの予想を否定し、サトシも心配そうにイーブイ兄妹の顔を覗き込む。

 

「どうしたんだよ?明日は俺とミテキのジム戦だぜ?元気に応援してくれないとミテキだって心配するぞ?」

 

 ジム戦という単語を聞いた瞬間、イーブイ兄妹は途端に不機嫌になる。それをタケシは見逃さなかった。

 

「もしかしたら、マリルリ達にジェラシーを感じているのかもな」

 

「ジェラシー?」

 

 サトシもハルカもマサトも揃って首を傾げる。いきなりジェラシーと言われてもしっくり来ない。というか何の事だか分からない。

 タケシは多分そう間違ってはいないだろうと半ば自分の中で出た結論に沿って説明を始める。

 

「ほら、イーブイ達はミテキのポケモンの中では唯一シンオウ地方からこのホウエン地方まで来て、ずっとミテキの手持ちに入ったまま旅をしているだろう?相棒のゴウカザルでさえ、今はナナカマド研究所に預けられているのに」

 

「そういえばそうかも」

 

「ミテキ本人も言っていたように、今はそれだけイーブイ達を集中的に育成している。にも関わらず、未だにその成果を見せる機会である公式戦に出られない現状がもどかしいんじゃないかな」

 

 そこからマリルリ達へのジェラシーというタケシの発言とイーブイ達の様子が結び付いてくる。

 

「そっか。自分達より後にミテキのポケモンになったマリルリとキモリ、キノココがジム戦に出られるのにイーブイ達はまだジム戦した事ないんだもんね」

 

 聞いた話によればイーブイ兄妹はミテキがシンオウリーグに挑戦している時の終盤、スズラン大会の直前にタマゴから孵ったそうだ。当然、ジム戦なんて挑戦できる訳もなかったし、スズラン大会出場など以ての外だ。

 

「でもイーブイ達もやっぱりジム戦には出たいよな。今まで頑張って色んな技覚えたりしたんだし」

 

「ピーカチュ……」

 

「まぁカナズミジムはいわタイプのジム。ノーマルタイプのイーブイ達には荷が重いしな」

 

 タケシの言葉は尤もだった。ノーマルタイプの技ではいわタイプ相手には効果は今一つ。既にシンオウリーグでの戦いで成長しているポケモン達が相性の悪い相手との戦い方をマスターする為に敢えて不利な戦いで挑戦するならまだしも、まだ経験のないイーブイ兄妹にわざと不利なバトルをさせるのはまだ早い。

 

 ならば経験を積ませるという意味だけでなく、ホウエンリーグ出場の為のバッジを手に入れるという観点からもタイプ相性の良いマリルリ、キモリ、キノココを使うのは当然だろう。トレーナーとしてミテキは何も間違っていない。

 

 しかし理屈ではそうだとしても感情では納得できない者がいた。マサトである。兄イーブイと一緒にバトルをしたからこそ、()()()

 

「やっぱりこんなのおかしいよ!後から加入したマリルリ達が公式戦に出られて先にいたイーブイ達が出られないなんて!イーブイの時にしか覚えられない九つの技だってちゃんと覚えてるんでしょ!?みずタイプの技とくさタイプの技だってあるんだからイーブイ達だっていわタイプのポケモンと戦えるよ!」

 

 子供らしい感情的な意見だった。イーブイ兄妹だけに感情移入してミテキの考えや事情、ホウエンリーグに出場する為の采配というミテキの気持ちを無視した意見と言っても良い。

 タケシはミテキの視点もマサトの視点も理解できるからこそ、マサトを諌める。

 

「それを決めるのはトレーナーであるミテキだ。さっきも言ったがイーブイ達はノーマルタイプ。ポケモンの技はポケモン自身と技のタイプが一致していないと本来の力は出せない。タイプの一致しない技で勝ち抜ける程、イーブイ達はまだ仕上がっていないとミテキは判断したんだろう。それにこれはマリルリ達の為でもある」

 

 だがマサトの考えは完全にイーブイ兄妹寄りに凝り固まってしまっており、タケシの言葉に耳を傾ける事をせず、とんでもない事を口走り始めた。

 

「そうだ!イーブイ達がシャワーズとリーフィアに進化すれば良いんだよ!そうすれば基礎のパワーも上がるし、みずタイプとくさタイプになっていわタイプと戦えるよ!」

 

「ちょっとマサト!ダメよ!人のポケモンを勝手に進化させるなんて!ポチエナの時とは違うのよ!?それにミテキだってイーブイ達にどの進化をさせるかは決めてるって言ってたじゃない!」

 

 流石にそこら辺の良識はちゃんと持ち合わせているハルカが即座に止めに入る。ポケモントレーナーとして、自分のポケモンを勝手に進化させられるなど到底我慢できるものではない。ハルカとて、自分の知らない所で一方的な考えを押し付けられてアチャモを勝手に進化させられたら納得できる訳がない。

 そして姉としても弟にそんな決定的に間違った事をさせる訳にはいかないからこその説得だった。

 

「だってこのままじゃイーブイ達が可哀想だよ!」

 

 このままではマサトが何かやらかすと直感したタケシはこの場だけでも一旦進化を諦めさせようとイーブイの進化条件を語る。

 

「それにシャワーズになるにはみずのいしが必要だし、リーフィアになるなら、苔に覆われた岩かリーフのいしのどちらかが必要なんだ」

 

「僕知ってるよ!ミテキはみずのいしもリーフのいしもどっちも持ってるよ!見たもん!」

 

 しかしこれでは逆効果。火に油を注ぐ結果になってしまった。いつ見たのかは知らないが、マサトはミテキが肝心の進化の石を所持している事を把握してしまっていた。

 

「マサト!良い加減にしなさい!」

 

 いよいよハルカも本気で説教をしなければならないと思ったのか、立ち上がって、上からの視線で少しだけ圧を感じさせて叱り付ける。

 だがこれまで黙っていたサトシがハルカの肩に手を置いて、叱るのを止めるとマサトに目線を合わせて諭すように説得を始めた。

 

「なぁマサト、流石にそれは駄目だよ。俺だってもしピカチュウが他の誰かに勝手にライチュウに進化させられたら凄く嫌だ。進化させるならやっぱり俺もピカチュウも納得した上で、ちゃんと進化を見届けてやりたい、ミテキだって自分の知らない所で勝手にイーブイ達を進化させられたら、きっと凄く悲しい気持ちになると思うんだ」

 

「ピカピカ…」

 

 サトシの話を聞き終えたマサトは俯き、下唇を噛んで黙り込んだ。それでサトシ達はマサトが理解してくれたのだと思い、夕飯を食べ終えた後の食器を返却し始める。

 だがそんなサトシの後ろ姿を見て、マサトは警戒するかのようにそろりそろりと足を動かしてイーブイ兄妹を連れて食堂を後にした。

 

***

 

 マサトはサトシ達の目を盗んで一足先に宿泊室にイーブイ兄妹を連れて戻って来た。他の面子と一緒では確実に邪魔されると分かっているからだ。

 

「なんだよ、みんなミテキの味方して!僕はイーブイ達の気持ちが一番大事だって言ってるんだ!」

 

 まっすぐミテキのリュックへ向かい、持ち主の許可無く開いて中身を漁る。空のモンスターボールやポケモン図鑑、バッジケース、着替えなどが出てくるも目的の品はまだ出ない。

 まるで泥棒のようにミテキの私物を床に放り投げて、目的の品を探し続ける。

 

「なんだこれ?」

 

 中には奇妙な白金色の水晶のようなものもあったが、必要なのはこんなものではない。同じようにポイ捨て感覚で後ろに放り投げ、リュックの中身を漁り続ける。

 

「あった!みずのいしとリーフのいしだ!」

 

 マサトが探していたのは進化の石。イーブイ兄妹をシャワーズとリーフィアに進化させる為の石だ。これらを手に取り、しゃがんでイーブイ兄妹の前に差し出す。

 

「ほら、二人とも!これでシャワーズとリーフィアに進化するんだ!そうすればジム戦に出られるよ!」

 

 みずのいしとリーフのいしを差し出されて、イーブイ兄妹は目を輝かせる。みずタイプとくさタイプならばいわタイプとバトルができる。ミテキの為に戦える。そう思った。

 それぞれが進化の石に前足()を伸ばそうとしたその瞬間、ミテキの言葉がフラッシュバックした。

 

『で、俺はお前達の進化先として、それぞれこの進化系が良いと思う。特性の関係でもバトルを優位に進めやすいし、お前達の個性ともマッチしていると思うんだ。他のポケモン達とフルバトルやダブルバトルをする時にも連携しやすいしな』

 

 その瞬間にイーブイ兄妹の動きが止まる。進化という一大イベントを目の前にしたが故に、ミテキから進化先を提案された時の事を思い出したのだ。

 だがマサトは見当違いの受け取り方をした。みずのいしとリーフのいしを前にどっちがどちらの進化をするのか決めかねていると思ったのだ。

 

「そっか。どっちがシャワーズになって、どっちがリーフィアになるかを決めてなかったもんね。どうしよっか。やっぱり僕としては今日のバトルのいきいきバブルが凄かったからお兄ちゃんの方がシャワーズに……」

 

「……さっきからなにしてんだ?てめぇ」

 

 底冷えするような怒気を纏った声がマサトの動きを停止させた。恐る恐る首をギギギ…と鳴らしながら頭のみを振り向かせてみれば見るからにキレる寸前のミテキがマサトを見下ろしていた。

 

「え、えっと……」

 

「言いたい事は色々あるが、俺散々言ったよな。こいつらの進化先は決めてるってよォ……」

 

****

 

 ロープでマサトを縛り上げて、進化の石を取り上げて、戻って来た経緯を軽く説明する。

 

「タケシからお前がイーブイ達と一緒にどっか行ったって連絡が来たから戻ってみれば……まぁこんなこったろうと思ったけどな。サトシとハルカも言ってたし」

 

 マサトを無視するかのように部屋中に散らかされた荷物を拾い、片付け始める。片付けが済んだらまたマリルリ達の調整に戻るつもりなのだろう。

 このままでは何もかも流されて話を打ち切られると感じたマサトはこうなっては仕方ないと芋虫状態でミテキに直談判する。

 

「ミテキ!お願いだよ!イーブイ達をジム戦に出してあげてよ!」

 

「駄目だ」

 

 ミテキは即答でマサトの訴えを突っぱねた。マサトのそんな要求を呑む気など更々無い。駄目押しするかのようにマサトがイーブイ兄妹を進化させていた場合の事も話す。

 

「例えこいつらが今シャワーズとリーフィアになってもカナズミジムでのジム戦には出さない。予定通りマリルリ、キモリ、キノココでいく」

 

「っ!なんでさ!!」

 

「前から言ってんだろ。カナズミジムはマリルリ達のデビュー戦にするって。その為に先生役としてロズレイドも呼んだんだ。ゴウカザルを研究所に預けてまでな。それを進化したからって理由だけでこいつらを出す為に約束していた出番を奪う方が理不尽で筋が通らない」

 

 マサトはイーブイ兄妹の気持ちを主張しているが、それが通れば出番を理不尽に奪われたマリルリ達はどうなるのだ。イーブイ兄妹に寄り添っても他の三匹の気持ちを考えていない。

 更に言えば後輩に公式戦デビューで先を越され、尚且つ今尚出番を貰えていないのはイーブイ兄妹に限った話ではない。

 

 マサトは知らない事だが、シンオウ地方でミテキが捕まえたポケモンの数は25体。スズラン大会に出場したのは22体。イーブイ兄妹が孵化してミテキのポケモンに加わった順番は23と24。

 

 もう一体いるのだ。後輩に先を越され、未だに公式戦に出られていないポケモンが。

 

 とはいえ、ミテキは態々それをマサトに説明する気はない。

 

「別に意地悪で進化させない訳でもジム戦に出さない訳でもない。俺には俺の考えがあっての事だ。それをお前のわがままでぶち壊されそうになったんだ。怒鳴りたいのはむしろ俺の方だ」

 

 その考えに沿ってイーブイ兄妹の進化先を決めている訳だし、ホウエンリーグ出場と優勝の為にもマリルリ、キモリ、キノココの育成とジム戦の勝利を総合的に考えての選出でもあるのだ。

 

「でもだからって…」

 

 するとミテキはイーブイ兄妹の目の前にみずのいしとリーフのいしを軽く投げた。イーブイ兄妹は目の前に転がった進化の石とミテキを交互に見つめる。

 

「「……」」

 

「使いたきゃ使え」

 

「え?」

 

 先程までの話とまるっきり意見を反対に変えたような行動にマサトもイーブイ兄妹も困惑する。

 

「イーブイ達。お前達にどの進化をさせたいかは事前に話したし、お前達もそれを了承したはずだ」

 

「「……ブイ」」

 

「勿論、それを強制する気はないし、お前達が本当にシャワーズとリーフィアになりたいのならそれを尊重する。でもお前達が今回進化の石に手を出そうとしたのは目先のジム戦に出たいが為の一時的な衝動によるものだ。それでシャワーズとリーフィアになったとして、後悔がないと本当に言えるのか?」

 

「「……」」

 

 ミテキから進化先を提案した理由を聞かされた時の事を思い出す。自分達兄妹の特性を鑑みて、ちゃんとした理論や育成方針を一から入念に考えての提案だった。

 勝手にシャワーズとリーフィアになるという事はそれを根底からぶち壊す行為だった。

 

 耳を垂れ下がらせて俯くイーブイ兄妹。みずのいしとリーフのいしを触ろうとはしない。この二匹自身、本心からシャワーズとリーフィアへの進化を望んでいた訳ではなかった。

 

 ただ、自分達もジム戦に出たかっただけ。勝ってミテキに褒めて貰いたかっただけ。

 

 ミテキはそんなイーブイ兄妹の本心を見抜いていた。だからわざと進化の石を目の前に出す事で自覚させた。

 

 片付けを中断してミテキは左右の手でそれぞれ兄イーブイと妹イーブイの頭を撫でる。

 

「不満があるなら、ちゃんと言ってくれ。ぶつけてくれ。たいあたりで来ても構わない。今回は俺も悪かったよ。ジム戦が近いマリルリ達ばかり気にかけてお前達に十分に目を向けてやれなかった」

 

 撫でられながら謝られ、イーブイ兄妹の胸中はもうごちゃごちゃだった。瞳に涙を潤ませてミテキの胸元に飛び込んで泣き始めた。ミテキはそれを受け止めて二匹を抱き上げてあやすように優しく撫でる。

 

「……まだ生まれて一年も経ってないんだもんなぁ」

 

 ポケモンの成長は早い。生まれてからの身体の成長も、レベルという意味でも、そして進化という形でも。

 それでも子供はやっぱり子供なのだ。心までもがそういった類の成長に着いていける訳ではない。

 

「ミテキ……イーブイ……」

 

 縛られて芋虫状態のマサトだが、これを見て尚、ミテキがイーブイ兄妹の気持ちを考えてないなどという意見を持ってはいなかった。

 

「さぁてマサト」

 

 再び底冷えする声が出て、マサトは身震いする。

 

「お前の言い分は分かった。イーブイ達を慮っての行動なのも分かった。けど勝手に人のポケモンを進化させようとした事と人の荷物を漁った事は話が別だ」

 

 昨日のスパルタ特訓を思い出し、顔が青ざめる。だがミテキが次に放った一言は色んな意味で予想外のものだった。

 

「お説教は後ろのお姉ちゃんからどうぞ」

 

 その瞬間、背後に強い圧を感じた。マサトは自分の後ろにハルカが仁王立ちしている事にここで漸く気付いた。ミテキの視点では心なしかハルカ自身がほのおタイプであるかのように橙色の炎を纏っているようにも見える。ついでに目も全体的に赤く光ってる気がしないでもない。

 

「マ〜サ〜ト〜!!」

 

 ゴゴゴ……と地響きのような音を錯覚しながらギギギ…と首を回して振り向いたマサトの悲鳴が夜空に響いた。

 

 ミテキはハルカのグリグリ攻撃を喰らって悲鳴を上げているマサトを無視してマサトが散らかした自分の荷物の片付けを再開する。

 

「ったく、好き勝手放り投げやがって。こんなやべーもん、ポイポイ投げんじゃねーよ」

 

 そう言ってマサトがぞんざいに放り投げた白金色の水晶のような玉をリュックの中にしまった。

 

****

 

 sideミテキ

 

「「じゃんけんぽんっ!!」」

 

 俺が出したのはパー。サトシがチョキだ。

 

「よっしゃあああっ!勝った!俺が先な!」

 

「ちぇっ」

 

 一晩明けてカナズミジムでのジム戦当日。カナズミジムに来た俺とサトシはジャンケンでどっちが先にジムリーダーのツツジさんへ挑戦するかを争い、サトシが勝って俺が負けた。つまりバトルはサトシが先だ。

 

「決まりましたね。ではまずサトシさんのジム戦から始めましょう」

 

 ツツジさんに言われてサトシがバトルフィールドに向かい、俺は観戦席にハルカ達と一緒に座る。

 

 因みにハルカの隣に座っているマサトの頭にはデカデカとたんこぶが膨らんでいる。グリグリ攻撃の後に拳骨を喰らったらしい。昨日から思ってたけどクレヨンしんちゃんみたいだな。

 

 このジム戦、実は録画されてトレーナーズスクールの入門クラスの授業で流すらしい。実際のジム戦の様子を見せる事で子供達にバトルを学ばせるとか。

 

「これよりジムリーダーツツジとチャレンジャー、マサラタウンのサトシのジム戦を始めます!使用ポケモンは二体!交代はチャレンジャーのみが認められます!それではジムリーダーからポケモンを出して下さい!」

 

 カナズミジムの審判の立ち合いの元、ようやくサトシのホウエンに来て初めてのジム戦が始まる。

 

「では参ります!出てらっしゃい、イシツブテ!」

 

「ラッシャイ!」

 

 ツツジさんが出したのはイシツブテ。いわタイプのジムの中でもまだバッジを持っていない、もしくは1〜2個のみ所持と言った序盤で使われるポケモンだ。俺がクロガネジムに挑戦した時もジムリーダーのヒョウタさんが使って来たからな。序盤いわジムでは結構メジャーだ。

 

 ハルカがポケモン図鑑でイシツブテについて検索する中、サトシはイシツブテにぶつけるポケモンをどちらにするかを決めている。

 

「イシツブテか……よーし、それだったら…!」

 

 サトシは帽子のつばを指で挟んで半回転させる。おお、アレって無印でよくやってたルーティンだよな。アドバンスジェネレーションから全くやらなくなったと思うけど。

 

「マリル!君に決めた!!」




ジム戦で先を越されるイーブイ兄妹の心情や進化についての話でした。この話の為に態々マサトと伝説厨と同じ名前の子供をピックアップしました。つまり前回の最後のシーンを書いてこの話に繋げたかっただけ。

今回の件から主人公はハルカ、サトシ、タケシにポケモンを貸したり預けたりはするけど、マサトには当分しないでしょう。前書きで叩かないようにとは書きましたが、相当な問題行動ではありますからね。

私はダイパやってた頃、兄に勝手にシナリオを進められてヒコザルに勝手にひでん技を二つ覚えさせられたり、一度しか手に入らない技マシン使われたり、ハクタイジムのジム戦をクリアされたりして相当頭に来ましたが、そんなしょーもないのとは訳が違いますからね。しかもレポート書いてやり直しできなくされたしあいつぜってーゆるさねえ。

まずはサトシのジム戦です。主人公とサトシは同じジムに挑戦するのでなるべくそれぞれ違う形式でバトルをさせる予定です。例えば今回は使用ポケモンの数。サトシは二対二、主人公は三体三で戦います。
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