ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード   作:メンマ46号

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これからよろしくロケット団

 side三人称

 

「こんにちはー!ポケモン貰いに来ましたー!」

 

 自転車に乗った女の子が一人、オダマキ研究所を訪ねて来た。少女の名はハルカ。トウカシティ出身の本日から新米トレーナーとしてデビューする予定の女の子だ。

 それを迎えたのはオダマキ研究所に勤める研究員。博士であるオダマキの助手だ。

 

「ハルカさんですね」

 

「ええ。それで、オダマキ博士は?」

 

 オダマキの所在を尋ねられ、助手は少し気不味い気持ちになる。ピカチュウのいざこざでハルカに与えられる初心者用ポケモンが三匹ともオダマキに連れ出されているのだ。オダマキに待っていて貰うよう言われたとはいえ、初めてのポケモンを楽しみにしているであろうハルカにお預けを言い渡すのは気が進まなかった。

 

「ええと、オダマキ博士は裏山に……博士からは待って頂くように…」

 

「私、行ってみます!待ってるの苦手だし!」

 

 そう言ってハルカは自転車を漕いで有無を言わさず裏山に向かう。しばらく山の中を自転車で進めば何やら遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「やめろー!やめるんだ!話せば分かる!誰か助けてくれー!」

 

 そう喚いて三匹のポチエナから逃げ回り、木にしがみつくオダマキがそこにはいた。

 

「オダマキ博士?」

 

「おお、君はハルカちゃん!丁度良かった。そこに落ちている鞄を開けてくれ!」

 

 ポケモンを受け取る為に来ていたハルカの姿を発見すると、オダマキはハルカの足元に落ちていた自分の鞄を指差して助けを求める。

 

「これですね!」

 

「その中のモンスターボールをどれか投げてくれ!」

 

 ポケモンであるポチエナの対処は同じポケモンに頼むのが一番だ。元々ハルカの為に用意した初心者用ポケモン故に勝手を知らないハルカでも扱い易い。

 

「えぇ!?そんな事急に言われても……どれにすれば良いのか」

 

 しかしポケモンの扱い方などまるで分からないハルカはまず困惑してしまう。元々彼女は旅で色んな所を回りたいだけであり、ポケモントレーナーとしての意欲はあまりないのだ。急に三つのモンスターボールの中から一匹ポケモンを使えと言われてもどのポケモンを出すのが最適なのか分からなかった。

 

「どれでも良いからポケモンを出してくれ!」

 

 だが切羽詰まってるオダマキからすれば早いとこポケモンを出してポチエナ達を追っ払って欲しい。急かすオダマキの勢いに押され、ハルカは適当に一つモンスターボールを選んで投げる。

 

「もう!これ!それぇ!」

 

 投げやりに出されたポケモンは水色の身体が特徴的なぬまうおポケモン、ミズゴロウだ。ホウエンの初心者用ポケモンのみずタイプだ。

 

「ゴロ?」

 

「おおっ!ミズゴロウか!」

 

 みずポケモンのミズゴロウなら、使う技やタイプ相性的にも必要以上のダメージを与える事なくポチエナ達を追い払える。そう思ったオダマキだが、ハルカはポケモンの知識などほとんどなく、ミズゴロウを出してもどうすれば良いのか分からない。

 

「それで……どうすればいいの?」

 

「技を使うんだ!みずでっぽうと叫んでくれ!」

 

「はぁ……みず()()()()

 

「ゴリョー!」

 

 しかしミズゴロウはハルカの正面を向いていた為、そのまま指示に従ってハルカ目掛けてみずでっぽうを放ち、彼女をびしょ濡れにしてしまった。流石のオダマキも苦笑いである。これは対象をポチエナに指定しなかったハルカのミスだ。

 

「なによこれぇ〜」

 

 こんな訳の分からない現状に踏んだり蹴ったり。

 そんな中、その場の騒がしさを聞き付けたのか、それとも偶然鉢合わせただけなのか、オダマキとハルカの元にまた新たなトレーナーが駆け付けてきた。

 

「オダマキ博士〜!ピカチュウは……って」

 

 シンオウ地方からやって来たトレーナー、ミテキだ。

 

****

 

 sideミテキ

 

 オダマキ博士が三匹のポチエナに吠えられながら木にしがみついていた。その近くの丘っぽい場所に赤いバンダナを付けた滅茶苦茶かわいい女の子もいる。もしかしてハルカか?

 

「って、オダマキ博士!?何してんですかこんな時に」

 

 いや本当何やってんだ!サトシのピカチュウが爆発するかもしれないのに何やってんだ!?

 

「ああっ!?ミテキ君!助けてくれー!」

 

 見ればオダマキ博士がしがみついている木の下には三匹のポチエナが怒り狂った顔で吠えている。なんかやらかしたなオダマキ博士。そういやヨスガシティ近くの212番道路で初めて会った時もムクバードに追い回されてたな。あ、木の枝が折れてオダマキ博士が落ちた。噛みつかれそうだな。

 

 仕方ない。ピカチュウを助けるにはオダマキ博士が必要だし、かといってレベルの高いポケモンでポチエナをボコるのも可哀想だ。

 レベル的にも適任が二匹いるので俺はモンスターボールを二つ投げてイーブイを二匹繰り出した。

 

「オダマキ博士を助けてやってくれ!」

 

「「ブイ!」」

 

 因みにこのイーブイ達、実の兄妹である。

 二匹のイーブイは揃ってポチエナ達の前に自信満々に出る。二匹共まだ公式戦デビューはしていないが、それでもずっとトレーニングは重ねて来たんだ。技中心とはいえ当然、そこらの序盤野生ポケモンに負ける気はないんだろう。

 

「行けっ、イーブイ達!ポチエナ達を追い払うんだ!兄の方はすなかけ!」

 

「ブイ!」

 

 まずは視界を塞いで数的不利を埋めていく。少し動きが鈍ったところで大技を決めていく。

 

「妹のイーブイ!きらきらストーム!」

 

「ブーイ!」

 

 この呼び分け方は自分でもどうかと思うが、この二匹は別々の進化をさせるつもりだし、俺はニックネームを付けるタイプではないのだ。

 妹はフェアリータイプの技であくタイプのポチエナを一匹、ぶっとばす。それを見て面食らってるポチエナを一匹、兄イーブイがでんこうせっかで不意打ちしてぶっとばした。

 

「よし、残った一匹にたいあたりで挟み撃ちだ!」

 

「「ブーイ!!」」

 

 左右から挟まれてニョロトノが潰れたような声を出すポチエナ。

 ここまで一方的にやられて流石に勝てないと踏んだポチエナ達が撤退していくのを見送った。

 最初の一匹目相手にきらきらストームは過剰火力だったかもな。あのポチエナ達には悪い事したかもしれん。

 

「ありがとな二人とも。……もう行きましたよオダマキ博士」

 

 イーブイ達をモンスターボールに戻し、オダマキ博士に向き直る。見ればオダマキ博士も何故か出ていたミズゴロウをボールに戻している。

 

「ありがとう。世話をかけたね、ミテキ君。ハルカちゃんも、久しぶりだね。暫く見ない内にお母さんに似て美人になったね」

 

 オダマキ博士の言葉に俺はその先にいた美女に視線が釘付けになる。

 やっぱりこの子がハルカか。……リアルで見ても滅茶苦茶かわいい!!……なんで濡れてるの?ミズゴロウにやられた?いや、今はそうじゃない。

 

「オダマキ博士、今はそれよりサトシのピカチュウを」

 

「そうだった!こんな事をしてる場合じゃなかった!早く見つけないと!」

 

「ピカチュウ?」

 

 状況を何も知らないハルカは首を傾げているが、本当にこんな事をしている場合じゃない。ピカチュウの命に関わる事なんだ。

 そう話していると遠方で随分と色の悪い電撃が上空目掛けて放電されるのが見えた。

 

「あの電撃は!」

 

「ピカチュウの体内の電気が限界に近付いているんだ!本当に爆発するかもしれん!」

 

「やべぇ、サトシとガブリアスも近くにいるかもしれない。あいつらも危ないかもな……」

 

 事情を知らないハルカには申し訳ないが、説明している時間が惜しいので電撃の発生源と思われる場所へ向かう。

 近付くにつれて焦臭くなっていく。その匂いが最も強い場所にガブリアスとサトシがいた。

 

「ガブリアスー!サトシー!」

 

 見れば先程の電撃の影響か、周囲は焦土と言っていい程に荒れていて、ピカチュウがその中心に蹲っている。ガブリアスはサトシを庇うように立っていて、サトシも特に傷はなさそうだ。

 ガブリアスがピカチュウの蓄積した電撃からサトシを守ったらしい。じめんタイプだからこその芸当だ。

 

「大丈夫かガブリアス、サトシ!」

 

「ガブ!」

 

「ああ。ガブリアスが助けてくれて……でもピカチュウが……」

 

 サトシの顔は晴れない。当然だ。目の前でピカチュウが苦しんでいるんだから。だがピカチュウは不規則に強い電流を垂れ流してしまっているから迂闊に近付く事もできない。

 

「不味いぞ、サトシ君!一旦ピカチュウから離れるんだ!溜まった電気のせいでいつ爆発しても不思議じゃない!第一今はピカチュウに触っただけで感電するかもしれない!」

 

「そんな!」

 

 サトシの身を案じたオダマキ博士にそう言われてもサトシは納得できる訳がない。仕方ないので俺がガブリアスにピカチュウの保護を頼む。

 

「ガブリアス!ピカチュウを抱えて連れて来てくれ!お前なら感電しないだろ!?」

 

「それも駄目だ!いくらガブリアスがじめんタイプを持っているからって、ピカチュウが爆発したらガブリアスだってタダじゃ済まないかもしれないんだ!」

 

「マジかよ……そんなのって……」

 

 爆発にでんきタイプも何もないって事かよ!?

 確かにガブリアスをそんな目に遭わせるなんて駄目だ。だからってピカチュウを放ってなんておけない。どうすればいい……?

 

「ピィカァ!!」

 

 俺達が手をこまねいていると苦しむピカチュウはまた逃げ出してしまう。って、そっちは崖だぞ!?

 

「ピカァー!!」

 

 案の定ピカチュウは崖から気付かずに飛び降りてしまった。やべぇ、ねんりきやサイコキネシスで助けようにも俺今エスパータイプのポケモンなんて連れてないぞ!?

 だが俺のそんな焦りなど吹き飛ばすかのようにサトシは迷わず飛び出していた。崖から落ちたピカチュウに飛び付き、感電も恐れずに抱きしめて偶然崖から飛び出ていた木の枝に掴まった。

 

「ピカチュウ!しっかりしろ!ピカチュウ!」

 

「サトシ君、掴まるんだ!早く引き上げないと!ミテキ君!ハルカちゃん!手伝ってくれ!」

 

「「はい!」」

 

 オダマキ博士がすぐにサトシにロープを投げ、俺とハルカも一緒にサトシとピカチュウを引き上げるのを手伝う。

 ガブリアスは爪でロープを切ってしまいそうなので、一旦ボールに戻して、新たに出したゴウカザルにロープでサトシ達を引き上げるのを手伝って貰う。こういう力仕事ではコイツが一番頼りになる。

 

 途中で魘されて暴れるピカチュウが放電してしまうものの、サトシとピカチュウを引き上げ、どうにか一段落。

 

「はぁー…」

 

「良かったぁ」

 

「サトシ、ピカチュウは無事か?」

 

「ああ。ありがとう」

 

 とはいえ、大変なのはここからだ。ピカチュウの中に電力が溜まっているという問題は解決していない。まずはそれを体外に放出しないと。

 

「ピカピ……チャー」

 

 引き上げてる最中に僅かながら正気を取り戻したらしいピカチュウは申し訳なさそうに、引き上げる途中で噛み付いてしまったらしいサトシの腕を舐めている。ピカチュウも苦しいだろうに。そんな中でサトシに噛み付いてしまった事で罪悪感まで感じてしまっているんだろう。

 

「なんだ、噛んだ事なら良いんだよ。さ、研究所に戻って治療して貰おう」

 

「だな。今度は逃げたりしないでくれよ、ピカチュウ。お前が元気になるのが一番なんだからな」

 

 俺はサトシの前に出てしゃがんでピカチュウの顔を覗き込む。まだ顔色は悪いな……。体内電気だけでなく、放出できない状態もなんとかして貰わないと。

 

「……なんだ、噛んだ事なら?ん?なんだかんだ?良いのか?」

 

「あん?」

 

 後ろから妙な声が聞こえてきて振り返ると同時に凄まじい轟音が響く。それと同時に後ろの森林から巨大な赤い乾電池のような機械が出現した。あー…このパターンは……。

 

 上の方を見れば二人の男女がドヤ顔でその機械の上に立っていた。

 

「なんだかんだと聞かれたら!」

 

「答えてあげるが世の情け!」

 

「世界の破壊を防ぐ為!」

 

「世界の平和を守る為!」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

 

「ラブリーチャーミーな(かたき)役!」

 

「ムサシ!」

 

「コジロウ!」

 

「銀河を駆けるロケット団の二人には!」

 

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!」

 

「にゃーんてニャ!」

 

 ……初めて会ったから最後まで聞いたけど、次はやってる時にぶっとばそう。正直終わるのを待ってるのが苦痛だ。こんな状況だってのに空気読めよ。

 

「オダマキ博士、ピカチュウを狙って付き纏うロケット団です!」

 

「ロケット団?」

 

「聞いた事無いな……。ミテキ君、知ってるかい?」

 

「結構有名ですよ。カントーとジョウトを中心に活動、暗躍しているポケモンマフィアで、ボスは国際手配犯のサカキって男で、これがなんと元ジムリーダー。その目的は確か…「とにかく!悪い奴らなんです!」」

 

 サトシに遮られた。

 

「てかもしかしてピカチュウの帯電症状の原因あいつらか?」

 

「ああ…。あいつらがピカチュウを電磁石で捕まえようとして……」

 

 一応確認の為に聞いたけど、もうちょいポケモンの知識ってのがないのかね。でんきタイプを無理矢理磁力で捕まえようなんて完全アウトじゃないか。

 コクピットに入り込んだロケット団達の声がスピーカー越しに響く。

 

『さぁピカチュウ!攻撃してくるのニャ!』

 

『いつになく強気じゃん』

 

『ふっふっふ!今までの戦いを分析し、完璧スーパーハイパースペックを誇る最強メカ、でんでん電池くん2号を完成したのニャ!にゃんとどんな強力な電撃でも吸収できるのニャ!』

 

 ……1号は?つーか電撃が効かないならそれ以外で倒せば良くね?

 

『そっちが来ないのならこっちから行くニャ!!』

 

 帯電症状のせいで碌に戦えないピカチュウ目掛けてアームが飛び出し、サトシに抱えられていたピカチュウがあっという間に捕まる。そして腕のようなパーツから飛び出した吸盤のようなものがピカチュウの両頬の電気袋にセットされた。

 

『吸引開始!』

 

 見てるだけでもピカチュウの電気袋を介して電気を吸い出しているのが分かる。多分ピカチュウのエネルギー切れを狙っての行動なんだろうけど、これ渡に船じゃね?

 

「あのまま暫く吸わせたらピカチュウの体内に溜まった電気、解決するんじゃね?」

 

「……確かに、その可能性はあるな」

 

「で、でもこのままじゃピカチュウがあいつらに!!」

 

「なぁに大丈夫。その前に俺が助ける」

 

 そう言って俺はゴウカザルに目配せをして、モンスターボールを取り出してガブリアスをもう一度出す。

 

「ガブリアス!ドラゴンクローでピカチュウを捕まえてるアームを壊すんだ!」

 

「ガブァ!」

 

 俺の指示に従い、飛び上がってピカチュウを拘束するアームを破壊するガブリアス。そのまま止まる事なくロケット団のメカの真上に着地する。

 そして空中で放り出されそうになったピカチュウをゴウカザルがジャンプして抱き抱えて戻って来た。お。少し顔色良くなったな。

 

『あー!何すんのよー!』

 

『……あ、危なかったニャ。あのままじゃキャパオーバーになって自爆してたニャ』

 

『ってオイ!全然ハイスペックじゃないじゃん!』

 

「なんか言ってるけど……ガブリアス!じしん!」

 

 さっきも思ったように電撃が効かないならそれ以外で倒すまでだ。ガブリアスが上から抑えつけて放つ振動を直に受けたロケット団のメカを粉々にしてやった。ロケット団のメカは倒壊し、一瞬にして瓦礫の山と化した。

 

「あー!私の自転車ーー!!」

 

 なんか聞こえた気がしたが、今は良いや。

 

「ご苦労さん、ガブリアス」

 

 ガブリアスをボールに戻し、ゴウカザルがサトシにピカチュウを手渡す。

 

「ピカチュウ、大丈夫か!?」

 

「ピ、ピィカ……」

 

 体内に溜まった電気が吸引されても、これまでの負担が大きかったのかピカチュウはぐったりしてる。早いとこ研究所に連れて行った方が良さそうだな。

 するとぶっ壊れて倒壊したメカの瓦礫の山からロケット団が這い出てきた。コジロウが涙目で俺を非難してくる。

 

「な、なんて事するんだ!人が丹精込めて作ったマシンを木っ端微塵にするなんて!!」

 

「人が愛情込めて育てたポケモンを強奪しようとしてる奴らに言われてもなぁ」

 

「見たらおミャーも強くて珍しいポケモンを持ってるみたいだニャー!でんでん電池くん2号の弁償代としてピカチュウと一緒におミャーのポケモンも全部頂いていくニャー!」

 

「誰がやるかバーカ」

 

 てゆーか、こいつら他人のポケモン強奪した所でトレーナーから引き離されたポケモン達が自分達の言う事聞くと思ってんのか?

 それはそれとして喋るニャースとか超欲しいんだけど。あいつ確かボール登録されてないよな?

 

「こうなったら実力行使よ!行けぇアーボック!」

 

「やっつけろマタドガス、ウツボット!!……って俺を呑むなぁーー!!」

 

 余計な事を考えていたらムサシとコジロウがポケモンを出して襲いかかってくる。しかしウツボットはUターンしてコジロウを丸呑みにする。

 気を取り直してアーボック、マタドガス、ウツボットが俺のゴウカザルの前に並び立つ。

 

「さ、三対一!?そんなのずるいかも!」

 

「ミテキ君!ガブリアス達を出すんだ!イーブイ達はともかく、他のポケモンも一緒に戦えば……」

 

「いいや、この程度の連中、ゴウカザルだけで充分!な?ゴウカザル」

 

「ウキャッ♪」

 

 好戦的な笑みを浮かべてサムズアップするゴウカザル。そっか。余裕か。

 そんなゴウカザルに真っ先に飛びかかって来たのはウツボット。だがそれくらいの動き、俺もゴウカザルも簡単に読める。

 

「ゴウカザル!ほのおのパンチ!!」

 

 カウンター気味に繰り出したほのおのパンチがウツボットにクリーンヒットしてコジロウ目掛けてぶっとばす。一瞬で返り討ちにされて吹っ飛んできたウツボットにコジロウは押し潰される。ワンパンで戦闘不能だなありゃ。コジロウもそれが分かったのか、ちゃんとウツボットをボールに戻している。無理をさせないのは良い事だ。

 公式戦どころかちゃんとした野良バトルですらないが、この程度の連中に技制限を破るのはプライドが許さない。技四つの制限の中で勝つ。

 

「こうそくいどう!」

 

 超速で素早さを上げながら動き回り、撹乱してアーボックにもマタドガスにも動きを捉えさせない。反応する隙すら与えずに死角からほのおのパンチを打ち込んでアーボック、マタドガス、ニャースの順でロケット団の元に殴り飛ばす。当然、一箇所に纏める為だ。

 

「にゃんでニャーまで!?」

 

 連帯責任だ。

 ムサシ、コジロウ、ニャース、アーボック、マタドガスが一箇所に集まり、後は分散しないようにそれを維持する。

 

「ほのおのうずで拘束しろ!」

 

「「「うわちゃちゃちゃっ!?」」」

 

 ほのおのうずを使い、纏まった範囲からうろちょろと逃げられなくする。これであとは纏めてぶちのめすだけだ。

 

「凄い……」

 

「ああ、流石の一言だよ。なんせ彼はシンオウリーグ・スズラン大会準優勝の実力者だからね」

 

「じゅ、準優勝!?」

 

 ハルカとサトシが俺とゴウカザルのバトルに驚く中、既に戦いは終わりへと近付いていた。

 

「ゴウカザル!トドメのフレアドライブ!!」

 

 ゴウカザルの全身から読んで字の如く豪火が噴き出し、燃え盛る炎と熱気を纏ってロケット団に突撃。そのパワーは俺の後ろで見ているハルカやオダマキ博士、サトシにも伝わっているだろう。

 

「ウキャアァァァッ!!」

 

「ちょっ!?待って!?」

 

 待つわけがない。そのままフレアドライブが直撃したロケット団は爆発によって空高く打ち上げられる。

 

「「「やなかんじ〜!!!」」」

 

 ゴウカザルのフレアドライブで黒焦げになりつつ、炎の勢いに押されてロケット団は空の彼方へと飛んで行った。

 これからしばらくは顔を合わせる事になるだろうから、多分ほぼ毎回ぶっとばすけどよろしくなロケット団。

 

「さっすがだぜ、ゴウカザル!ホウエンに来て最初のバトルも完全勝利!」

 

「ウキャッ!」

 

 俺は大活躍のゴウカザルの肩に腕を回して褒めちぎる。ゴウカザルも嬉しそうに肩を組んでくる。

 ……あれ?コジロウってこの時点でもうウツボット手放してなかったっけ?




コジロウのウツボットはね……あの別れ方はないよね。その内物語の中で説明します。
イーブイ二匹の進化先、当てられるかな?

23.イーブイ(♂)
特性:きけんよち
備考:タマゴの時、ある人物から譲り受けてファイトエリアで孵った。シンオウリーグ・スズラン大会には不参加。♀のイーブイは妹。

24.イーブイ(♀)
特性:きけんよち
備考:タマゴの時、ある人物から譲り受けてファイトエリアで孵った。シンオウリーグ・スズラン大会には不参加。♂のイーブイは兄。

1.ゴウカザル(♂)
特性:もうか
備考:ヒコザルの時、ナナカマド博士から最初に貰ったポケモン。ミテキのポケモンの中ではガブリアスと並ぶ二強。
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