ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード   作:メンマ46号

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デボンコーポレーション回です。そしてやっと主人公の手持ち入れ替え……長かった。

ジム戦書いててすっかり忘れてたんですが、アニメではジム戦の最中にロケット団が地下からピカ様強奪の為に穴を掘ってバトルの余波でやなかんじーになってたんですけど、そういう事ができそうなシーンがサトシのバトルにも主人公のバトルにも無かったので、アニメと違ってロケット団はバフをかけまくったピカ様の電撃でやなかんじーになった際、一日では戻って来れない程の距離まで吹き飛ばされた事にします。


デボンコーポレーションとアクア団

 sideミテキ

 

「ありがとうございます、ナナカマド博士!」

 

『うむ。ロズレイド達はしっかり預かったぞ。預かっている他のポケモン達にもよろしく伝えておこう』

 

「お願いします。あいつらにはマリルリとキモリとキノココに特訓を付けて貰いたいですから。それにロズレイドにはしっかり休んで貰わないと」

 

 ジム戦の翌日、俺はポケモンセンターにてナナカマド研究所に連絡してロズレイド、マリルリ、キモリ、キノココを研究所に預けて他のポケモンを転送して貰う事で手持ちの入れ替えをしていた。

 ナナカマド博士にお礼を言って通信を切ると俺は早速、送って貰ったモンスターボールを一つ取り出して、ポケモンを出した。

 

「出て来いゴウカザル!」

 

「ウキャッ!」

 

「元気してたか〜!?会いたかったぜぇー!!」

 

 やっぱり俺の一番の相棒と言えばこのゴウカザルだ。ゴウカザルと抱き合い久しぶり……でもないけど再会を嬉しく思う。

 そのままゴウカザルと肩を組んでサトシ達の元に戻るとみんなもゴウカザルを見て顔を綻ばせる。

 

「おっ!戻って来たかゴウカザル!」

 

「ああ。やっぱりこいつがいないと調子狂うぜ」

 

「そっか。やっぱり俺にとってのピカチュウがミテキにとってのゴウカザルなんだな」

 

「ピカピカ」

 

 ポケモンブリーダーとしてゴウカザルに興味があるらしいタケシが真っ先にゴウカザルに近付き、続いてサトシもゴウカザルの前に来る。

 俺はバッジケースを取り出してその中身……バランスバッジと今回ゲットしたストーンバッジをゴウカザルに見せる。

 

「じゃじゃーん!どうだゴウカザル!二つ目のバッジ、ゲットしたぜ!マリルリとキモリ、キノココが大活躍したんだぜ?」

 

 ゴウカザルが手持ちに不在の期間なんて今回が初めてだったからな。ゴウカザルがバッジゲットの瞬間に立ち合わないのはなんか新鮮だった。

 

「ウキャッ!!」

 

「ははっ。次はゴウカザルが戦いたいのか?でも悪いけどまだちょっと先かもな。出番を待ってるのはお前だけじゃないし」

 

 お前はトウカジムで怠けないケッキングなんていうチートポケモンとバトルしたしな。公式戦はしばらくお預けかもしれんが、その分マグマ団やアクア団なんかを相手に大暴れして貰う予定だ。

 

「ミテキはトウカジムでもジム戦をしたからバッジ二つなんだよな。よーし、俺も負けてらんないぜ!次のジム戦も……そういえば次のジムって何処にあるんだ?」

 

 バッジの数では俺がリードしているからか、サトシは一層燃え上がる……が、次のジムが何処の街にあるのかを調べていないようでとんだ天然発言。これには全員がガクッと身体を崩す。

 

「一番近いのはムロ島にあるムロジムだね」

 

 ポケナビでマサトが一番近くのジムを教える。

 

「よーし、次はムロジムに挑戦だ!楽しみだなミテキ!」

 

「ああ。ムロジムか……て事は……」

 

 ムロジム……確かかくとうタイプのジムだったな。……丁度良い機会かもしれない。次のムロジムに挑戦するポケモンの候補は頭に入れておくか。

 サトシと一緒に次のジム戦の為に盛り上がっているとタケシとハルカがガイドブックを手に別の事で盛り上がっていた。

 

「流石カナズミシティは大きな街だ。これならほとんど調達できるぞ」

 

「海沿いのレストランに美味しいクレープのお店!他にもいっぱいあるわ!」

 

 タケシは旅の準備の為の補給。ハルカは観光とグルメ情報をチェックしているようだ。コンテストの情報集めなくて良いのか?

 

「そんな事より早くムロ島に行ってジム戦やろうぜ?」

 

「食糧とか諸々の調達は大事だぞサトシ」

 

「そうそう。焦らない焦らない。ジムは逃げてったりなんかしないし」

 

「まぁまぁ。ムロ島への連絡船は朝昼夕方の三便だが、もう昼の便は出てしまったはずだ。だから次の夕方便まで自由行動にしないか?」

 

「「賛成!」」

 

 ムロ島に行こうと急かすサトシだが、連絡船の都合もあってタケシの提案で暫くカナズミシティを自由に散策する事になった。当然、俺とハルカはその提案に飛び付く。ハルカと一緒に色々見て回りたいし。

 それにさっき転送して貰ったポケモン達ものんびりさせてやりたいしな。

 

「僕はどうしよっかな〜…わあっ!?」

 

 後ろでジュースを飲みながらポケナビを弄っていたマサトに視線を向けるとジュースの蓋が閉まっていなかったのか、中身を溢してぶちまけた現場を目撃した。

 慌ててジュースを拭き取り、ポケナビのボタンを色々押してもうんともすんとも言わないのでみるみる顔が青くなっていく。

 

 ……ははーん?

 

「ほー。やっちゃったなぁ?」

 

「うひゃあああっ!?」

 

 ポケナビにジュースを溢してアタフタするマサトの背後にこうそくいどうして話しかける。こうやってやらかしてビクビクしてる奴を追い詰めるのだーいすき。

 

「どうしたの?マサト」

 

「それがさー、マサトってばポケナビを「ストォォォップ!!ミテキちょっとこっち来て!お姉ちゃん、なんでもないから!自由行動ね!ミテキにちょっと付き合って貰うから!」」

 

 ハルカにマサトがポケナビを壊した事を教えてやろうとしたら必死になって口止めをしにかかって俺諸共この場を離れようとしやがる。

 おい引っ張るな。俺はハルカと一緒に街を回るんだよ。やめろ。マジで。

 

****

 

 ポケナビを壊したマサトに無理矢理連れ出されてカナズミシティを二人で歩く。くそっ、なんでこんな事に……ハルカと二人で回ろうと思ってたのに。

 

「別にハルカは怒ったりしないと思うけどなぁ。笑われるとは思うけど」

 

「正にそこだよ!普段僕がだらしないとか色々お姉ちゃんに言ってて、なのに僕もポケナビ壊したなんて知られたら、絶対からかってくるよ……」

 

 逆に言えばその程度で済むんだけどな。ハルカみたいな良い姉やタケシみたいな良い兄貴なんてアニメだから成立するんだぞ。現実じゃ兄姉なんて相当横暴で理不尽で嫌な奴なもんだ(偏見)。俺前世でも今世でも一人っ子だけど。

 

「そのポケナビって確かデボンコーポレーション製だろ?このカナズミシティにはデボンの本社があったはずだし、修理くらいできんじゃねーの?」

 

「それ本当!?」

 

「修理費用は自分で出せよ」

 

 因みに俺のポケナビはコトブキシティで適当に買ったものだ。何処製だとかは忘れた。少なくともデボン製ではなかったと思う。

 そんな流れでマサトのポケナビ修理の為にデボンコーポレーションに向かう事になったが、ついでにモンスターボールも新しく買う事にするか。

 

 とりあえずダメ元でデボンコーポレーションに向かう事にした俺達だが、その道中で妙な人集りができていたので気になって見てみたらスーツを着たおじさんが子供を集めて何やら妙ちくりんな発明を披露していた。何でも時々こうして子供達に発明品を見せているらしい。

 

 今見せている発明品は缶ジュースを自動で開けてくれるメカらしいが、その見た目はレスラーのフィギュアにしか見えない。右腕で缶ジュースを抱え込み、左手でプルタブを掴んで力づくで開こうとしているが普通に自分でやった方が早いだろアレ。しかも妙に踏ん張っている様が何とも言えない虚無感を味合わせてくる。

 

 そして開くには開いたが、無駄に時間をかけて踏ん張って開けたからか、プルタブを開けると同時に缶本体を握り潰して中身を吐き出させている。意味ねぇ……。

 しかしおじさんはめげずに次の発明品を出す。

 

「こんなのもあるんだぞ!『全自動卵割り機』!卵をセットしてレバーを倒すだけで簡単に卵が割れるんだ!」

 

 それは普通に必要ない。

 

 波平じゃないんだぞ俺達は。周りの子供達も飽きたのか次々と散っていく。俺達も行くか。

 

「ほら行くぞマサト。ポケナビ修理すんだろ」

 

「あ、うん!」

 

 とっとと修理してハルカと合流したいんだ。こんな事してる暇なんてない。

 

「君達、ポケナビが壊れたのかい?」

 

 すると俺達の会話を聞いていたのか、おじさんが話しかけてきた。……あれ?この人色々発明してんならポケナビ直せんじゃね?

 簡単に自己紹介した後、俺と同じ考えに至った訳ではないようだが、マサトは暗い顔をしておじさんに事情を話し出す。

 

「実はお姉ちゃんのポケナビを壊しちゃって……」

 

 マサトがポケナビ係に収まってるので忘れていたが、そういえばこのポケナビってセンリさんがハルカの為に用意したものだから、一応ハルカのなのか。もう完全にマサトのだと思ってた。多分ハルカ本人もそんな認識だぞ。

 

「そうか。それならデボンコーポレーションに行くと良い。あそこは何でも作ってる。ポケナビくらい直してくれるはずだ」

 

「あ、ダメ元の提案だったけどやっぱり修理できるんだ」

 

「それだけじゃないぞ!なんとあそこはポケモンまで生み出すんだぞ?」

 

 孵化厳選でもしてんのか?

 

「ポケモンを生み出す!?そんな馬鹿な!」

 

「発明家は純真なんだ。嘘は吐かん」

 

 まぁ企業ぐるみで孵化厳選しているとは思えないし、クロガネシティでもやってた化石ポケモンの復元とかだろう。ルビサファやエメラルド、ORASでもそこで復元してたと思うし。

 

「っ!いかん、じゃあなミテキ君、マサト君。デボンコーポレーションだぞ。この街で一番大きなビルだ」

 

 何かを視界に捉えたのか、急に慌ててそう言って逃げ出して行ったおじさん。その後すぐに黒服を着たいかにもボディガードですと言わんばかりの人がおじさんを追いかける。どうやらあの妙な黒服の人に追いかけられているようだ。

 

「全く……いつもながら逃げ足の早い……!」

 

 一瞬カイジ的なアレなのかと思ったけど、アニポケでそれは流石にないかと思い、おじさんの助言に従って予定通りデボンコーポレーションに向かう事にする。多分デボンコーポレーションで会うだろ。

 

 俺達はデボンコーポレーション本社に着くと早速受付に行ってポケナビの修理を依頼する。しかし返ってきた答えは俺達の望むものではなかった。

 

「ええーっ!?ここじゃ修理やってないのー!?」

 

「ごめんなさいね。ここは本社ビルだから、修理の受付はしていないの」

 

「じゃあ修理を受け付けてくれる支店とかって教えて貰えませんか?」

 

「はい。少々お待ち下さい」

 

 本社ビルだから修理は受け付けていない。よくよく考えてみれば至極当たり前の事だった。こういうのは普通の支店や専用の工場なんかが受け持つもんだよな。

 ポケナビの修理を受け付けてくれる支店をいくつかピックアップして貰い、態々プリントアウトまでしてくたのでお礼を言い、ビルを出る事にする。

 

「一番近い修理対応可能な支店はキンセツシティの店か。これからムロ島行くし、しばらくかかりそうだな」

 

「そんなぁ……」

 

 まぁポケナビは俺も持ってるし、なんなら俺とタケシでそれぞれタウンマップも持ってるから大して問題ないだろう。正直にハルカに言えば笑われるだけで済むぞ。

 しかし何を考えているのか、受付のお姉さんを一瞥した後、勝手な事を口走り始める。

 

「ここまで来て諦められるもんか!絶対今日ここで修理して貰うぞ!」

 

「イーブイ兄妹の件といい、もうちょい常識学べ。向こうには向こうのルールがあんだろ。こっちの事情押し付けんな」

 

 そもそも本社だからって修理できる設備が整っているかは話が別だろうが。面倒になってきたので、引き摺って連れて帰ろうと考えていたら、背後からさっきのおじさんが話しかけてきた。

 

「やぁ、早速来たね?」

 

「うわっ!?」

 

「ははは。ミテキ君、会社の事情に寄り添ってくれるのは嬉しいが、子供はもっと我儘を言っても良いんだよ」

 

 このガキんちょのそれは度が過ぎているんですが。

 

「さ、二人とも着いておいで。私はこの会社の中に詳しいから」

 

****

 

 エントランスを抜けて社内をおじさんの案内の元、練り歩く。やっぱりこの人この会社の関係者っぽいな。それもかなり上の役職と見た。下手すりゃ社長とか?

 

「どれ、そのポケナビを見せてごらん。……なるほど、こりゃ何かを溢したな?」

 

「へ?どうして分かるの?」

 

 マサトのポケナビをちょっと見ただけで壊れた原因を言い当てるおじさん。かなり機械類に詳しい様子を見るに、俺の推測はそう外れてはいないようだ。そもそも発明家らしいから、この大企業をその技術で引っ張っていてもおかしくはない。全自動卵割り機は色んな意味で意味分からんが。

 

 そして俺達は何かの研究室らしき場所に案内され、俺達が入ると中の研究員達もおじさんに反応する。

 

「クロダの奴に追われてるんだ。私がここに来た事は内緒に」

 

「ふふっ、またですか?」

 

「分かりました。後で一緒に怒られましょう」

 

 慣れているのか研究員さん達も笑って応えている。そしておじさんはその内の一人にマサトのポケナビを手渡して修理を頼んだ。

 

「すまんが、これを直しといてくれ。中に水分が入ってショートしたようなんだ」

 

「はい、社長。夕方までには必ず」

 

「しゃ、社長ーー!?」

 

「やっぱりか」

 

 つまりこのおじさんはデボンコーポレーション社長、ツワブキ・ムクゲ氏という事だ。

 時々こうして社長室から抜け出して、何か新しいアイディアを得られないか街に繰り出しているらしい。で、今日俺達と出会ったんだとか。さっきの黒服の人は秘書のクロダさんというらしい。

 

「私は子供と話をするのが大好きでね、実に色んな子達がいる。例えば、姉さんのポケナビを壊してしまってこっそり直したいがどうしても良いか分からない子とかね」

 

「ぷっ」

 

「ちょっとミテキ、笑わないでよ!」

 

 軽くマサトを揶揄いつつ、デボンコーポレーション内を見学させて貰う事になった俺達は次々と色々な研究室を見せて貰う。モンスターボールのデザイン・開発部署やポケモンの見ている夢を映像化する研究なんかもあった。

 

 他にも色々な研究をしているようでどれも本当に面白いものばかりだ。道中、クロダさんに鉢合わせて、流れでポケモンセンターにいるハルカ達をここに呼ぶ事になったりと色々あったが、会社の研究を見て楽しんでいるとツワブキ社長が今度は俺に話題を振って来た。

 

「ミテキ君はポケモントレーナーかね?」

 

「はい。ホウエンリーグに出場する為にシンオウ地方から来ました!」

 

「おお、そうかそうか!シンオウ地方からか!是非頑張ってくれ!実は私の息子もポケモントレーナーでね、中々の腕前なんだよ」

 

 その話を聞いて俺は原作知識を一つ思い起こす。ツワブキ社長の息子と言えばホウエンチャンピオンでマスターズエイトの一人のダイゴだろう。

 

 ホウエンチャンピオン……つまりはホウエン地方最強のトレーナーという事だ。

 マスターズエイト内のランキングでは五位。つまり世界全体で見ても五指に入る実力者だ。

 

「それは……是非バトルしてみたいですね」

 

 今の実力じゃやっても100%負けるけどこれは偽りのない本心だ。ホウエンチャンピオンと戦える機会なんてそれこそホウエンリーグで優勝した後のエキシビションマッチか、チャンピオンリーグを優勝して四天王に勝って、チャンピオン防衛戦に挑むか、PWCSでマスターズトーナメントに出るかしかない。

 俺はチャンピオンリーグ優勝後はシンオウの四天王とチャンピオンに挑戦するつもりだから、ただでさえ限られているバトルできる機会は更に限られてくる。

 

「因みに息子は色々な石にも興味を持っていてね……ん?」

 

 ツワブキ社長から息子のダイゴさんの事を聞いていると、研究員の一人と思われる男性に訝しげな視線を向け始める。

 

「どうしたの?」

 

「マサト君、ミテキ君。少し付き合ってくれるかな?」

 

 退室したその研究員の後を尾行し始める社長と俺達。少し剣呑な雰囲気になり始めたので早めに意図を聞く事にする。

 

「あの人がどうしたんですか?」

 

「あの男、妙だ……。私は全社員の顔を覚えているのだが、あいつの顔には見覚えがない」

 

「ひょっとして産業スパイとかそんな奴?」

 

「分からん。とにかく尾けよう」

 

 産業スパイか……確かにその可能性は高いが、なーんかそれだけじゃなさそうなんだよな。よく見たらグラサンかけてるし、研究員がそんな視界を遮るもんかける訳がない。産業スパイでなんであれ、意識低過ぎだろ。

 しばらく尾行していると研究員風の男は非常口から外の階段に出た。

 

「確かに怪しいね……」

 

「つーかもう黒だろアレ」

 

「良し、追うぞ」

 

 必要になったら俺と俺のポケモンでとっ捕まえる。いつでもポケモンを出せるようにしておくか。

 俺達も非常口から外の階段に出て屋上に向かう男を追う。

 

「二人とも、慎重にな」

 

「うん」

 

「了解です」

 

 が、言った直後にマサトは階段を踏み外して男に気付かれる。男は慌てて階段を駆け上がり始めた。

 

「慌てて逃げるって事は、やっぱり黒か!!」

 

「そうだな。アレでは白状したようなものだ。お手柄だぞマサト君。追うぞ二人共!」

 

 とはいえ、今のままでは逃げられるので俺達も走る。ツワブキ社長はクロダさんに電話して状況を伝えると、クロダさん曰く、研究室の培養カプセルが二本失くなっているらしい。それをあいつが盗んだと見て良いだろう。

 そして男を追って屋上に辿り着くと既にサトシ達が待ち構えていた。そういえばクロダさんに頼んで三人を連れて来て貰う事になってたな。そのクロダさんから状況を聞いて先回りしたって所か。

 

「お前だな!ここに侵入した悪者は!」

 

「お前は一体何者なんだ!」

 

「もう逃げられんぞ!」

 

 前方にサトシ、タケシ、ハルカ、クロダさん。後ろからは俺、マサト、ツワブキ社長で挟み撃ちになっている。

 

「ミテキ!マサト!二人共無事だったんだな!」

 

「良かった!」

 

「うん!アレが僕のお姉ちゃんだよ!」

 

 マサト、今は社長にハルカを紹介している場合じゃないぞ。

 

「さぁ!盗んだカプセルを返して貰おうか!」

 

「フン、そうは行くか!」

 

 そう言って白衣を脱ぎ捨てた男が露わにしたのは青と白の縞模様が特徴的な海賊風の服。この服装、こいつは……

 

「……アクア団か、お前」

 

 このホウエンで暗躍する悪の組織。同じ悪の組織のマグマ団と対立関係にあり、カイオーガの力を利用して海の拡大を目論む組織だったな、確か。

 アクア団の男は社長に向かってモンスターボールを投げてポケモンを繰り出して来た。

 

「行け!シザリガー!!」

 

「そうは行くか!頼むぞマニューラ!!」

 

 俺は早速今朝転送して貰ったマニューラを繰り出した。相手がシザリガーならこいつがベストだ。

 

 ハルカとサトシが揃ってポケモン図鑑でマニューラを検索している。それに構う事なく俺とアクア団の男はポケモンに指示を出してバトルを始める。

 

「シザリガー、クラブハンマー!!」

 

「マニューラ、シザークロス!!」

 

 互いに選んだのは物理技。接近して互いの一撃が交差する。

 俺のマニューラはとにかく素早い。マニューラそのものが素早さの種族値が非常に高いが、その中でも抜きん出て早いのが俺のマニューラだ。恐らく素早さの個体値がVなんだろう。

 

 結果、シザリガーのクラブハンマーは俺のマニューラには掠りもせず、逆にマニューラがシザークロスの一撃でシザリガーを沈めた。あくタイプにむしタイプの技は効果抜群だからな。

 

「な、シザリガー!?」

 

「悪いな。レベルが違い過ぎた」

 

 多分20以上の差があるぞ。

 シザークロスでシザリガーを瞬殺し、ついでにアクア団の意識をかわらわりで刈り取った。

 

「しゅ、瞬殺……」

 

「ほぉ、中々良く育てられているマニューラじゃないか」

 

 唖然とするマサトとマニューラに関心を示すツワブキ社長。全く、これだけの騒ぎを起こしておきながら手応えのない相手だぜ。

 気絶させたアクア団の男を適当に縛り上げ、持ち逃げしようとしたカプセルを回収する。

 

「助かったよミテキ君。それにマサト君とマニューラのおかげでね」

 

「どういたしまして!」

 

「ちょっと、マサトは何もしてないでしょー?」

 

「えぇ!?」

 

「ははは。いやそんな事はない。マサト君のおかげでこいつが黒だと分かったようなものだからね」

 

 アクア団を捕らえて、盗まれたカプセルも取り戻して一件落着……と思ったタイミングで奴らはやって来た。

 

「げっ!?ジャリボーイ!?」

 

 何故かロケット団が必死になって屋上まで走って来た。いつものようにピカチュウ狙いかと思ったが、どうも違うらしい。じゃなきゃサトシを見て驚きはしないはずだからな。

 

「ロケット団!?」

 

「こんな所で何してるのよ!?」

 

「何してるのよ!?と聞かれたら!」

 

「答えてあげるが世の情け」

 

「マニューラ、あくのはどう」

 

 またいつものようにダラッダラと長ったらしい口上を始めようとしたのであくのはどうを直撃させてやる事にした。

 あくのはどうでぶっ飛ばされたロケット団。真っ先にコジロウが起き上がって抗議してくる。

 

「だから!なんでいつも名乗ってる途中で攻撃して邪魔してくるんだーー!!」

 

 隙だらけだから。特攻の低いマニューラなのに特殊技でやってんだから、手加減してるようなもんだろ。

 

「くそっ、あいつには今一度俺達の恐ろしさって奴を思い知らせてやらないといけないみたいだ!」

 

「だったら丁度良いじゃない!あのニューラっぽいのを頂くのよ!!」

 

「って、そんな事言ってる場合じゃないニャー!!」

 

 いやホントお前ら何しに来たの?多分お前らもお前らでなんかゴタゴタがあってここに来たんだろうけど、描写が一切なきゃ何も分からないっての。今回丸々俺の一人称なんだから。

 

「待ちなさーい!!って何この状況!?」

 

 そんな叫びと共に今度はジュンサーさんがやって来た。どうやらロケット団はジュンサーさんから逃げてこの屋上に来たようだが、ジュンサーさんも俺達がアクア団を縛り上げて、そこにロケット団が鉢合わせている状況は意味が分からないらしい。気持ちはよく分かる。

 

「まぁどうせこの会社からなんか盗もうと忍び込んだんだろ?」

 

「うっさいわね!それの何が悪いってのよ!」

 

「大体、俺達はまだ何も盗んでないぞ!先客がいたんだ!」

 

「だからこんな風に追われる謂れはないのニャー!!」

 

 当たってんのかよ。それとお前らに言っても無駄だろうけど泥棒は普通にアウトだ。未遂でもな。後多分その先客このアクア団。

 するとロケット団のこんなザマを見てマニューラが小馬鹿にするように何かニャースに言い放つ。

 

「マニュマニュ」

 

「にゃ、にゃんだと!?すっトロくて見苦しいニャース!?もう一回言ってみろニャー!!」

 

 どうやらニャースを挑発しているらしい。心底呆れている感が滲み出ている。

 

「マーニュマニュマニュ。マニューウ」

 

「ペ、ペルシアンに進化して出直して来い!?誰がペルシアンにゃんかににゃるかーー!!」

 

 その煽りは最悪過ぎる。アニポケ視聴者視点だからこそ分かるが、ニャースが一番言われたくない煽りだろう。それをピンポイントで言いやがった。

 

「生意気なマニューラだニャー!お前にゃんかロケット団で一生下働きにしてやるニャー!!」

 

「マーニュ〜」

 

「うニャー!!そこまで言ったからにはもう絶対許さないニャー!!!」

 

 なんかニャースがブチギレてる。顔真っ赤だよ。血管めっちゃ浮かんでる。マニューラお前最後どんな煽り言ったんだ?

 

「ニャーを怒らせたらどうなるか思い知らせてやるのニャ!喰らえー!みだれひっかきニャー!!」

 

「マニュ!」

 

 マニューラは俺が育成してスズラン大会じゃ黒星一つもなかったんだぞ。紛れもない天才型。お前が勝てる訳ないじゃん。

 先程のシザリガーとのバトル同様、マニューラとニャースが交差。そして直後、ニャースの爪が全て砕け散った。

 

「ニャ…ニャアァァァァッ!?ニャーの自慢の爪がぁーーーーー!?」

 

 マニューラの奴、わざとメタルクローでニャースの爪を粉々にしたな。俺の性格の悪さを一番色濃く受け継いだのは間違いなくマニューラだ。そういう所気に入ってるがな。

 

「マニューマニューラァ」

 

「ふ、深爪になったニャースに何の価値があるだと!?おミャーがニャーの爪をこんニャにしたんだニャー!!」

 

「マニュマニュ」

 

「深爪のニャースに相手をする価値はない!?ニャにを勝手な事を!!」

 

 もう決着は付いたとでも言いたそうなマニューラの態度にキレるニャース。でもお前らの相手なんかしてらんないってのは俺も同感。サトシに視線を向けると目が合ったサトシは頷き、ピカチュウに指示を下した。

 

「ピカチュウ、10まんボルト!!」

 

 後はいつも通り。サトシとピカチュウの10まんボルトを受けたロケット団は爆発と共に吹き飛んでいく。

 

「「やなかんじ〜!!」」

 

「ニャーはマニューラなんか大っ嫌いだニャー!!この報いは必ず受けさせてやるのニャー!!」

 

 なんて捨て台詞だ。

 

「ねぇミテキ、マニューラはなんであんなにニャースを挑発してたのかな?」

 

「さぁ……でもマニューラからしてもロケット団のニャースは嫌いなタイプなんだろうなぁ」

 

 ロケット団のニャースが鼻に付いたのか、それともニャースという種族そのものが嫌いなのか……そういえばニューラだった頃も他のトレーナーのニャースとちょいと揉めたんだよな。その時はロズレイドのねむりごなで強制終了させたんだが。

 確かアニメのサイユウ大会じゃトレーナーがどんなだったかは忘れたけど、長靴を履いたニャースとかいたと思うんだけど、会わせたらそっちとも一悶着ありそうだな。

 

 ジュンサーさんから話を聞くとロケット団はIDカードもなしに社員に成りすまして侵入しようとしたらしい。で、アクア団が白衣を着ていた事が社内にアナウンスされ、同じく白衣を着て侵入を試みていたロケット団が犯人だと思い、追っていたらしい。

 

 とりあえず真犯人であるアクア団の男をジュンサーさんに引き渡して、今回の事件は幕を閉じた。

 

****

 

「いやぁ、今日は助かったよ。おかげで大切な研究の成果を失わずに済んだ」

 

 アクア団からカプセルを取り戻し、とっ捕まえたお礼という事で俺達はツワブキ社長に夕食に招待された。席順はツワブキ社長、マサト、俺という並びと向かい側にサトシ、ハルカ、タケシという並びだ。

 

「頑張ったのはミテキとマサトですよ」

 

「でもまさかこんな事になるなんて思わなかったなぁ」

 

 マサトがポケナビを壊した結果がアクア団捕縛とか誰が思うよ。因みにハルカは話そっちのけでステーキにがっついてる。かわいい。

 

「若い内は冒険が何よりだからな。うちの息子のダイゴもあちこち飛び回っておるよ。今はムロ島にいるんだ」

 

「ムロ島に?」

 

「君達がムロ島に行って、もし困った事があったらダイゴを訪ねてみると良い」

 

 ムロ島に行ったらジム戦とは別にダイゴさんとバトルしたい所だが、果たして野良試合とはいえ、チャンピオンが地方リーグ優勝すらできていない俺とバトルしてくれるもんだろうか。

 でも仮にバトルをして貰えるなら、こっちは格下なんだから知識で相性をメタるのは当然だからゴウカザルとガブリアス、あとはあの四体かな。

 

 ダイゴさんとのバトルについて考えているとハルカがある意味今日の核心とも言える点に触れる。

 

「マサト、ポケナビ見せて。ムロ島の情報を知りたいのよ」

 

「ええっ!?」

 

 そう。マサトがジュースを溢して壊したポケナビだ。修理を頼んだとはいえ、あんなゴタゴタがあったんだ。受け取りに行く暇などなかった。さぁどう切り抜ける?

 

「ほら、早く早く!」

 

「それがその……ん?」

 

 一瞬マサトがツワブキ社長に視線を向ける。どうやら机の下で修理を終えたポケナビを手渡しているようだ。ツワブキ社長が持って来てたのね。なーんだ、つまんねーの。

 

 ボタンを押して起動させるとポケナビは正常に動き出し、ムロ島の地図を映し出す。

 

「はい!ムロ島のデータ出したよ!」

 

「そ、そう……ありがとう!」

 

 妙に明るく言うマサトに戸惑いつつもポケナビを受け取ってサトシやタケシと一緒にムロ島のデータを見るハルカ。

 その隙にマサトは小声でツワブキ社長にお礼を言う。

 

「どうもありがとう」

 

「どういたしまして」

 

 ……ま、偶にはこういうのも良いか。もう暫くしたらイーブイ兄妹への接近禁止も解いてやるかね。ツワブキ社長に免じてな。




アニメだと普通に逃げるけど、主人公が逃す訳がないので普通にアクア団捕まえました。
今回は敢えてそうしたんだけど、主人公だけの視点だとちょっと分かりづらいな。

21.マニューラ(♂)
特性:プレッシャー
備考:ニューラの時、217番道路で捕獲。妙にニャース系統と揉め事を起こす。実力ないくせにプライドだけは一丁前なポケモンをおちょくるのが大好き。

ニャース:あのマニューラは絶対許さない。ペルシアンと並ぶ怨敵に認定。
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