ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード 作:メンマ46号
GWの予定もその影響で潰れたし、更新頻度も暫く減ると思います。ちゃんと書けてたら今頃主人公のポケモンが新しく六体くらいは判明してたと思うんですがね……
sideミテキ
デボンコーポレーションでのアクア団との事件から一夜明けて今日こそムロ島に向かう事になった俺達はハルカの提案の元、カナズミシティで一番美味しいと評判のパスタ屋に向かっていた。
「でも本当にあるの?こんな所にレストランなんて」
マサトの言う通り、怪しいものだった。というのも今俺達が歩いているのは人っ子一人いない寂れた町外れ。こんな所で飲食店を繁盛させるのは無理だろう。人来ねえもん。
「大丈夫だって!ポケモンセンターのパソコンに入ってたデータをちゃんとプリントアウトしてきたんだもん!パスタを食べて船に乗れば、完璧な計画かも!」
そうして目的地に辿り着けばそこにあったのはボロボロになって完全に閉鎖されている店。確かに看板こそパスタ店のものだが、どう見ても何年も前に営業を終了している。
「うっそぉー!?だって今一番評判のお店だってちゃんと……」
「そのデータ古いんじゃないの?」
「そんなはずないわ!これ昨日出たばかりの雑誌の記事よ?日付だって……え?……こ、この日付、10年前の……かも」
「「「えぇーーっ!?」」」
マサトに指摘されて日付を確認するとハルカの顔が青くなった。この店が繁盛していたのは10年前らしい。となるともう閉店したか移転したんだろう。
「あーらら。まぁこの辺人全然いねぇからそうおかしな話でもないけどな」
それからムロ島に向かう為の船はどうなのかと探してみるもこんな寂れた辺鄙な場所には港なんて何処にも見当たらず、サトシもタケシも脱力してへたり込んでしまう。
「どうなってんだよ〜」
「港なんて何処にもないようだぞ……」
するといつの間に何処かに行っていたマサトが人が見当たらないここで誰から聞いたのか分からないが、港が岬の向こうに移転したという情報を仕入れてきた。いやマジで誰に聞いたんだ?
「あらら……」
「この10年の間に港が移されたようだな」
「パスタの店も人も一緒に移ったって訳か」
海岸から岬の向こうの港町を眺めつつ、腹の虫を鳴らす俺達。軽く流しはしたけど、みんなパスタ楽しみにしてたからな。俺も腹減りです。
「そんなぁ」
「まぁ良いじゃない!とりあえず海岸に出たんだし!」
「船に乗れないんじゃ全然意味ないだろ!?」
ハルカの能天気な発言にムロ島でのジム戦を渇望していたサトシは流石にムッときたらしく声を荒げて八つ当たり気味に言い放つ。
「はいはいサトシも荒れない荒れない。船は向こうの港に行けば良いんだからさ」
つい強く言ってしまうサトシを宥めつつ、俺はポケナビで向こうの港へのルートを検索する。回り道する必要があるみたいだが、午後の船には充分間に合う。うん、問題無いな。
「こういう時は慌てず騒がず。まずはお茶でも飲んでそれから移動しよう」
「タケシの言う通り。もっとゆとりを持って行こうぜ。ホウエンリーグ開催までまだまだ時間はあるんだ」
「……早くムロ島に行ってジム戦したかったんだけどなぁ」
「ピィカ……」
そこまで切羽詰まっている訳でもないんだから、半日予定がズレる程度大した痛手でもないんだけど、サトシにとってそれはそれ、これはこれなようで溜め息を吐く。そんなサトシを見て責任を感じたのか、ハルカが少し強がって口を開く。
「みんなここでお茶飲んでて。私、船を探して来る!」
「え?でも船なんて何処にもなさそうだよ?」
「ここも昔は港だったんだもん!船の一つや二つ、すぐに見つかるわよ!」
そう言って有無を言わせずに走って船を探しに行くハルカ。こんな寂れた場所で一人にするのは心配なので俺も着いて行く事にする。
「とは言ったものの……船どころか人っ子一人いないかも」
「そりゃそうだ。移転しちゃってんだし、船が見つかっても船乗りがいなきゃね」
「わっ!?ミテキ!?」
走って行ったハルカに追い付き、船が見つからずに困っている所に話しかける。やっぱりしらみ潰しに探すつもりだったようで、街中を歩き回っているだけだった。
「船の事なんて気にする事ないのに。サトシだって言う程怒ってないと思うぞ?」
「だってぇ……」
やっぱりサトシの言葉が尾を引いていたらしい。今言ったけど、本人も絶対言う程怒ってないだろう。多分今頃タケシの淹れたお茶を飲んでゆったりしてるんじゃないかな。
とはいえ、ハルカも探すと言った手前、引くに引けないだろう。少なくとも10分程度で手ぶらでとんぼ返りなんて真似はしたくないはずだ。
「俺も手伝うよ。船探し」
「でも私のせいでこんな事になっちゃったんだし……」
旅は道連れ世は情け。みんなで一緒に旅をしているんだからこんな事珍しくもない。それでもハルカは自分のリサーチ不足が招いた事態を気にしているようだ。マジで気にする事ないのに。かわいいなぁもう。
「んー、じゃあこうしよう」
「どうするの?」
自分のせいでこうなっていると思っている以上、無償で俺の手を借りるのも気が引けるのなら、俺も思い切って交換条件を出す事にする。
「ハルカ、俺とデートしてよ」
****
side三人称
「美味いか?マニューラ」
「マニュマニュ」
ミテキに貰った甘いポフィンを美味しそうに頬張るマニューラを見てハルカは微笑ましそうに笑う。
「マニューラって甘いものが好きなのね。見た目はちょっと怖いかもと思ったけど、そういう所はかわいいかも」
「だろ?こういう意外な一面を知れた時は嬉しいもんなんだよ」
唐突にデートに誘われた事には驚いたものの、ポケモンと一緒ではあるが、ハルカはこうしてミテキとデートの形を取りながら船の探索を始めた。
船を探すのを手伝う代わりに、その間ミテキとデートする。というのが、無償で手を借りる事に引け目を感じたハルカに妥協できるようにミテキが提示した条件だった。
『ハルカがデートしてくれるんなら、俺頑張っちゃうな〜』
などと言ってむしろミテキの方にメリットがあるかのように言う事で、『手伝わせる』という意識をハルカから削ごうとする思惑も見て取れた。
ミテキなりに気を遣ってくれているのだと理解したハルカはデートを快諾。こうして一緒に船を探しつつ、寂れた街を見て歩いている。
(でもすっごいビックリした……。もぅ、まだ顔が熱いかも……)
先程のデートのお誘いを思い出して、赤くなる顔に手を当てながらドキドキする鼓動を深呼吸で整える。
いつの間にかカナズミシティで買っていたらしいチョコのお菓子を貰って食べ歩きながら一緒に船を探す。
「あ、これ美味しいかも!」
「だろー?サトシ達には内緒な」
悪戯っ子のように笑い、分けてくれたお菓子を食べていると妙に足元がゴツゴツして歩きにくくなっている事に気付く。
下を見てみると地震か何かでコンクリートが割れたのか、足場がデコボコしていた。そこをミテキが先に歩き、振り向いてハルカに手を伸ばす。
「ほらハルカ、ここ足元悪いから気を付けて」
そう言って優しく手を差し伸べてくれるミテキに少しだけ戸惑いながらその手を取って転ばないように気を付けて足を進める。
「う、うん……」
心なしかまた顔が熱くなっている気がしたが、まずは船だとその考えを頭から振り払い、周りを見渡す。
「さて、船っつってもまず人を探す方が先か」
「そうよね……船だけ見つかっても動かしてくれる人がいないと……」
先程ミテキが言った通り、船乗りがいなければ船だけ見つけても意味がない。マニューラもこうして手伝ってくれているのだから、何としても見つけたい。それでも中々人一人見つからない。
やはり移転した港に行くしかないのかと途方に暮れかけた時、埠頭で釣りをしている人を見つけた。ミテキとハルカは互いの顔を見合わせ、笑顔で頷き合う。
「すいませーん!」
「聞きたい事が……」
駆け寄って船と船乗りについて聞こうとした時、釣りをしていた老人は二人に向かって振り向く事なく答えた。
「分かっておる……。どうして今日は全然釣れんのか……それを聞きたいんじゃろ?」
「「へ?」」
老人はカッと目を見開き、立ち上がって叫ぶ。
「今日が駄目でも明日がある!つまりますますFIGHTが沸いてくるという事なのじゃ!!」
「は、はぁ……」
「意味分かんねー…」
ハルカは呆然とし、ミテキは少し引いていた。老人はようやく二人の事をちゃんと認識したのか、二人に向き直る。
「ん?なんじゃお前さんらは。見かけん顔じゃの」
何処から話すべきかとミテキが考える中、老人の元に空から一匹のキャモメが飛んで来た。老人はそのキャモメを知っているようで優しく迎え入れる。
「お帰りピーコちゃん。空のお散歩楽しかったかい?」
****
sideミテキ
ハルカとデートしながら人を探してようやく見つかったお爺さんのテンションに驚いたが、改めて船について聞こうとしたらキャモメがやって来た。いや、お爺さんの口振りからしてお爺さんのキャモメなんだろう。
ハルカはキャモメを初めて見たのかポケモン図鑑で検索している。
キャモメかぁ……ペリッパーの進化前だけど、前に会った世界最強を自称してたペリッパー使いは今どうしてるのやら。また不正してたらぶっ飛ばしてやる。
「これがキャモメかぁ…かわいいかも!」
「かもじゃなくてかわいいんじゃよ。なんせピーコちゃんは儂の大事な大事なアイドルじゃからのぅ」
どうやらお爺さんはキャモメにニックネームを付けているらしい。実際にニックネームを付けている人に会うのはいつ以来か。俺もそうだが、大半のトレーナーは別にポケモンにニックネームは付けないからな。
「ピーコちゃんって言うんだ。私はハルカ!よろしくね!」
「ミテキだ。よろしくな」
俺もハルカも笑顔で話しかけてみたが、キャモメのピーコちゃんは人見知りなのかお爺さんの後ろに隠れてしまう。
「ピーコちゃん、私達の事は怖がらなくて良いわよ。仲良くしましょ?ね?」
しゃがんで視線をなるべく合わせて優しく話しかけるハルカを見て警戒心を解いたのかピーコちゃんはチョンチョンと歩み寄って来た。初対面のポケモンとこうして打ち解けられるのもハルカの美点だな。
「わぁー!良い子ね!」
「マニュ?」
そんなピーコちゃんの様子に明後日の方向を見て興味を示さずにポフィンを食っていたマニューラもようやく視線を向ける。
「ほぉ、マニューラか。ホウエンでマニューラとは珍しい」
「俺、シンオウ地方から来たんです」
「なるほど、道理で……」
ニューラのマニューラへの進化が発見されたのがシンオウ地方だからな。現状一番多く目撃されるのがシンオウ地方だ。
ピーコちゃんはマニューラが持っていた俺お手製のポフィンに興味を示し、それに気付いたマニューラも一つ分けてあげている。おお、正直お前がそんな事をするとは思ってなかったぞ。案外優しい所もあるじゃねーか。
「ピィー!」
ポフィンを食べたら大喜びしてるな。
「わぁ!ミテキのポフィンが気に入ったみたい!」
「案外俺のポフィンって評判良いな。ピカチュウやアチャモも好きみたいだし」
「ほほお。お前さんら見所があるのぅ。儂の名はハギ。働き者で義理堅いナイスガイじゃ。ま、よろしく頼むわい」
お爺さんの名はハギさんというらしい。ちょっと思い出したがそう言えばORASでもキャモメを飼ってる船乗りのお爺さんがいた気がする。この人がそうか?
まぁこうして仲良くなった所で改めてこの元港で船に乗れないかハギさんに尋ねてみる。
詳しい事情を話せばそういう事ならとハギさんが所有する船に乗せてムロ島まで連れて行ってくれると言う。
「ハギさんが船を?」
「ああ。こう見えて儂は昔、船乗りだったんじゃ。ムロ島なんぞほんの目と鼻の先。儂の船で連れて行ってやるぞ」
「やったぁー!」
「ありがとうございます!」
俺とハルカが喜んでお礼を言うとピーコちゃんも嬉しがってくれているのか、はしゃぎ出す。
「ほれ、ピーコちゃんもそうしろと言っておる。ま、どちらにせよこの辺りだと船は儂の船しか無いがの」
「そうなんですか?」
「みーんな新しい港へ移動してしまったんじゃ。だが心配は無用じゃぞ。かつて七つの海を跨いでブイブイ言わせたこの海の若大将に黙って着いて来るが良い!!」
おお、凄い自信だ。やっぱり船乗りは経験が物を言うのかな。
「奇遇ですね。俺のポケモンも昔ブイブイ言ってた奴がいるし、何なら今ブイブイ言ってるのも二匹いるんですよ」
「いやそれ鳴き声じゃろ」
おお、良いツッコミ。流石海の男。
因みに七つの海とはホウエン、カントー、ジョウト、シンオウ、イッシュ、カロス、アローラの七つの地方の海という事らしい。
とにかくムロ島へ渡る目処が着いた俺達は一旦ハギさんと別れ、サトシ達をここに連れて来る事にした。
そのあとサトシ達と合流し、ルンルン気分で笑顔のハルカが先頭に立ってハギさんの家へサトシ達を連れて行く。
「貴方がムロ島に連れてってくれるんですか!?」
「うむ!ムロ島への航海なら儂に任せとけい!!」
「うわぁ!ありがとうございます!!」
こんな感じでサトシも大喜びだ。
ハギさんにムロ島に連れて行って貰える事となり、ハルカもこれで責任を感じる事はないだろう。寂れた街で観光とかの要素は無かったが、俺もハルカとデートできたし、今日は中々良い日じゃないか?
そんな事を考えていると、早速出発の準備をするという事でハギさんがその場から離れようとした瞬間、何処からか飛んで来た網がピーコちゃんを捕らえた。あー…このパターンは。
「ピーコちゃん!?」
「なんじゃこの網は!?」
ハギさんの驚く声に合わせて上空から耳障りな声が響く。
「なんじゃこの網はと聞かれたら!」
「答えてあげるが世の情け」
「マニューラ、網を切って。ゴウカザルはかえんほうしゃ」
ピーコちゃんはマニューラが網を切る事で助け出し、馬鹿丸出しで名乗り始めたロケット団に俺は容赦なくモンスターボールから出したゴウカザルをけしかけた。
かえんほうしゃが直撃して気球は爆発したものの、ロケット団は空の彼方へは行かず、俺達の前方にべしゃりと凄い勢いで落下した。いつも通り飛んで行けよ。
顔面からコンクリートに叩き付けられて痛そうだが、黒い煙でススが付いて汚れながらもフラフラと立ち上がったロケット団は俺に向かって怒鳴り散らしてきた。
「アンタねぇ……!!本っ当に良い加減にしなさぁーーーいっ!!いっつもいっつもいっつも!!私達の口上の途中で攻撃するとか何考えてんの!?」
「俺達の口上はヤマトやコサンジとは訳が違うんだぞ!?しかも俺達の戦闘準備が整う前に攻撃するなんて酷過ぎるぞ!!」
誰だよヤマトとコサンジって。……あれ?でもなんかどっかで聞いた事あるような?
「人のポケモンを強奪する癖に
そもそもお前らだって日常的にサトシに不意打ちで仕掛けるんだから、正面から攻撃されるくらいは文句言う権利なんてないと思う。
「ロケット団!何しに来たんだ!」
「決まってんじゃない!白昼堂々、ピカチュウとキャモメとマニューラを頂きに来たのよ!!」
ムサシが馬鹿正直に目的をゲロったので俺達はより警戒を強める。ハギさんもピーコちゃんを守るように抱き締めて絶対に渡さないという意思を見せる。
「マーニュウ……」
「ニャにい!?とことん見下げ果てたニャースだと!?」
そんなロケット団を見て心底呆れたと言わんばかりに溜め息を吐くマニューラ。ニャースは昨日の事もあってか過敏に反応した。
マニューラを前に敵意全開の目をしたニャースが無惨にボロボロな爪を構える。
「ここで会ったが百年目!昨日の借りを返してやるのニャー!!」
「待てニャース!お前爪ダメにされたんだろ!?」
「それでも……それだからこそ引けないのニャー!!」
コジロウの静止も聞かずにマニューラに正面切って突っ込むニャース。ボロボロの爪でひっかく攻撃を喰らわせようと腕を振るうが余裕を持って躱され、直後にマニューラが黒い球状オーラをカウンター気味にニャースの腹に叩き込んだ。
敢えて先手を取らせる事で威力を倍にしたか。
吹っ飛ばされてコジロウの顔面に直撃。倒れるコジロウを気にする余裕もなく、顔を真っ赤にしてニャースはマニューラへと敵意を燃やす。
「しっぺがえしだとぉ!?生意気な生意気な!!何処までも生意気なマニューラだニャー!!!」
「……あのさぁ、ニャース。アンタ昨日から……」
呆れた様子のムサシが止めようとしてもその前にマニューラがニャースを煽る。
「マニュマニュマニュ」
「ニャにい!?そういうおミャーはどうなのニャー!!」
今度はどんな煽りなんだと思っていると次のマニューラの一言でニャースは絶句した。
「マーニュ。マニュー」
「ニャ…ニャんだとぉ…!?」
マニューラの一言に固まったニャースは頭を振るって思考をリセットしてからマニューラを指差して反論する。
「しょ、証拠はあるのかーー!!証拠を見せないのニャらニャーは信じニャい!!信じてたまるかーー!!」
なんか滅茶苦茶ショック受けてるな。どんな会話してんだお前ら。ニャースお前通訳しろよ。
でもポケモン同士なら何言ってるか分かるよな…と思ってチラ見してみたらゴウカザルもピカチュウもピーコちゃんも口をあんぐり開けて絶句しとる!?マニュマニュ言ってるだけなのにお前そんな衝撃的な話してんの!?
「ウ、ウキャ…ウキャア?」
「ピ、ピーカチュ……」
なんかゴウカザルとピカチュウが驚きなから、「どう思う?」みたいな感じでコソコソと話してる……。それでいてマニューラを凝視する事だけは絶対やめない。お前らからしてもそんな衝撃的なの……?
誰もが困惑する中、サトシだけは平常運転。ニャースがああなって隙が生まれたロケット団にトドメを刺しにかかる。
「ピカチュウ、10まんボルトだ!!」
「ピ、ピカッ!?…ピーカ…ヂュウウウウッ!!!」
マニューラの話に気を取られて少し反応が遅れたピカチュウだが、すぐに気を取り直して10まんボルトをロケット団にお見舞いして空の彼方へと吹き飛ばす。
「シンオウでブイブイ言わせていたあのマニューラに比べてニャーはマドンニャちゃんに振られて、ペルシアンのせいでサカキ様の膝にもいられなくニャり、ピカチュウを捕まえようにも毎日お腹を空かせて……」
「「やなかんじ〜!!」」
ニャースが凄えブツブツ言って落ち込みながら飛んでった……。何これ凄え後味悪い……。
ゴウカザル、お前はお前でなんでそんな「中々漢じゃねぇか」みたいな顔でマニューラの肩叩いてんの。
「マニューラ、お前本当どんな話してたの?」
「マーニュ」
そんな人差し指立てて「ひ・み・つ♪」みたいに言われても。
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side三人称
ミテキ達がいるカナズミシティ外れの寂れた元港町に近い海の中にある巨大な潜水艦。それはアクア団が管理する物だった。
その潜水艦の中にてアクア団のメンバーが何やら騒いでいた。
「アオギリの兄貴、昨日デボンコーポレーションにスパイとして送ったメンバーを捕まえたってトレーナーが分かりました!!」
アクア団の幹部から資料を受け取ったアクア団首領・アオギリはそれを読み終えると乱雑に紙を投げ捨て、舌打ちをする。
「……なるほどなぁ。フタバタウンのミテキ……ギンガ団をぶっ潰したシンオウの英雄か。巷じゃあカントーチャンピオン、レッドの再来なんて言われてやがる。……邪魔臭え」
不愉快さを隠そうともしない感想と態度。この少年が組織の邪魔になる事は明白。すぐにでも排除に乗り出すべきかと幹部は考える。
「いいや、放っておけ。メンバーが警察に捕まったばかりで派手な動きはするべきじゃねえ」
だがそれをアオギリは諌める。シンオウ地方で暗躍していたギンガ団を壊滅させたフタバタウンのミテキ。なるほど確かに目障りだ。だがポケモンリーグに記録されているという情報が確かならば容易に手を出せない理由がある。
「あの話が本当だってんなら、ある意味グラードンやマグマ団よりもこのガキの方が厄介だ。例のポケモン達を一辺に敵に回す可能性も出て来る。カイオーガを手に入れる前にそれは避けたい」
それに自分達がギンガ団の二の舞を演じないとも限らない。
いや、できればカイオーガを手に入れても奴等を同時に敵に回す事は避けたい。最優先はマグマ団だが、それら全てを潰す事も視野に入れなければならない。
ならば手に入れるしかない。その全てを薙ぎ払える力を。
「例の調査を進めろ。カイオーガと一緒にあの力を必ず手に入れろ」
ニャース:マニューラの話は嘘だと思いたい。本当にそうならマジで自分が惨めに思えてくる。アローラかガラルのリージョンフォームに生まれていたら何か違ったのだろうか。
ゴウカザル:そこそこ付き合いのある仲間なのに、俺全然マニューラの事知らなかったんだな……
ピカ様:嘘でしょ……?もし本当なら……え?