ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード   作:メンマ46号

27 / 48
子供の頃、妙にカクレオンがお気に入りでした。

お待たせしました。イーブイ兄妹ことエーフィとニンフィアの初ジム戦です。


ムロジムへの挑戦 ミテキvsトウキ!

 sideミテキ

 

「今日のチャレンジャーは君という訳か」

 

「はい!勝たせて頂きます!」

 

 イーブイ兄妹がエーフィとニンフィアに進化して翌日。今日は俺のジム戦の為にムロジムに来ていた。

 フローゼルと入れ替えたキノココをタケシに預けてバトルフィールドに立つ。

 

 フィールドを挟んでジム戦を快く受けてくれたトウキさんと対峙し、審判のジムトレーナーがバトルの仕切りをしてくれる。

 

「これよりジムリーダートウキとチャレンジャー、フタバタウンのミテキのジム戦を開始します!使用ポケモンはお互い二体のダブルバトルとします!」

 

「ダブルバトルか……」

 

「エーフィとニンフィアは兄妹だから息ピッタリだね!」

 

「ミテキー!ファイトかもー!」

 

 みんなが応援する中、サトシだけは珍しくジッとしたまま黙ってバトルを観戦する姿勢を貫いている。トウキさんに勝つ為、強くなる為、俺のジム戦を観て全て自分の糧にする為に。

 

 審判の言った通り、今回の俺のジム戦は使用ポケモン二体のダブルバトルだ。これはジム戦の申し込み時に俺の方から申請した。当然、俺が出すポケモンは決まってる。

 

「行け!エーフィ、ニンフィア!」

 

「エフィ!」

 

「フィア!」

 

「おっ?ニンフィアとは珍しいね。エスパータイプとフェアリータイプで来たか。セオリー通りだけど、育成も兼ねてって所かな。じゃあこっちはキノガッサ、ヘラクロス!テイク・オフ!!」

 

 トウキが出したのはキノガッサとヘラクロス。キノココに見学させているタイミングで進化系が出て来るのは運が良い。是非ともキノココにはキノガッサのかくとうタイプの戦い方を学んで欲しい。

 

「それではバトル開始!」

 

「エーフィ、どばどばオーラ!ニンフィアはチャームボイスだ!」

 

 まずはエスパーとフェアリーの特殊技で一気に攻める。ついでにどばどばオーラの追加効果でひかりのかべを貼って向こうの特殊攻撃を弱めた。

 

「どうやらミテキは特殊攻撃をメインに攻めるつもりみたいだな。いくらトウキさんのポケモンでも物理攻撃でなく、特殊攻撃なら受け流し辛い。それもエスパータイプの技は感知も難しいからな」

 

 タケシは今回の俺の方針を見抜いたようだ。いくら効果抜群でも物理技ではサーフィンの特訓の要領で受け流されるのはサトシのバトルから分かり切っている。ならば特殊技を軸に攻め立てるのは当然だからな。

 だがトウキさんも黙ってやられる訳もない。変化技でこちらの動きを乱し来た。

 

「キノガッサ、ニンフィアにキノコのほうし!」

 

「割り込めエーフィ!」

 

 エーフィが前に出て、ニンフィアを庇ってキノコのほうしを受ける。するとほうしは全て跳ね返ってキノガッサへとふりかかる。キノガッサ本人はくさタイプだから効かないけど。

 にしてもレベル制限から逆算するとあのキノガッサのレベルは30前後のはずなんだがキノコのほうしを覚えているとはな。まぁこの世界だとレベル技は努力次第じゃ標準よりも早く覚えさせられるからおかしくはないが。

 

「なるほど…マジックミラーか!」

 

 流石にバレるか。エーフィの特性、マジックミラーは様々な変化技を跳ね返す事ができる。キノコのほうしを使わせたのはエーフィの特性がシンクロだったとしても、ねむり状態には作用しないからな。それを確かめる意味もあったんだろう。

 だがキノコのほうしはこれで基本効かない。さっき狙われたようにニンフィアにやられたら話は別だが、これはダブルバトル。エーフィに割り込ませて変化技は全部跳ね返してやるよ。エーフィは素早さの種族値も凄いんだぞ。

 

「エーフィ、めらめらバーン!」

 

 攻撃種族値はエーフィ、ニンフィア共に大した事はないがめらめらバーンなら効果抜群の上、確定でやけどにできる。からげんきを警戒しつつ、やけどで物理攻撃を半減させてやる。眠りがなくてもA130の害悪に変わりはないし、何より特性がポイズンヒールならこれで特性は殺せる。マジックミラーを逆手に取られてどくどくを使ってくる可能性もあったからな。

 

「やるね!」

 

 厄介なのはヘラクロスの方だな。むしタイプの技はエーフィにはキツいし、特性がこんじょうだったら下手にめらめらバーンを使う訳にはいかない。眠らせてもねごとでなんかされそうだし。

 

「ニンフィア、チャームボイス!!」

 

 ここは全体攻撃でキノガッサとヘラクロスの両者を削る。いくら相性でかくとうタイプ相手に有利と言えど、特殊型のポケモンで接近戦に持ち込まれる訳にはいかない。それにそれぞれ複合タイプならそっちのタイプで攻撃してくるだろう。何せヘラクロスはむしタイプ。エーフィに有利を取れるんだから。

 

 当然、トウキさんもそれを見逃したりはしない。ヘラクロスでエーフィに照準を向けて来た。

 

「ヘラクロス、エーフィにメガホーンだ!」

 

 メガホーンか。予想はしていた。キノガッサも通常よりレベルが低くてもキノコのほうしを使って来たからな。ヘラクロスだって努力次第じゃ今のレベルでもメガホーンは使えるだろう。

 

「ねんりきで逸らせ!」

 

 まっすぐ突っ込んで来た所をねんりきでの攻撃と同時にメガホーンの軌道をズラす。攻撃は最大の防御とはよく言ったもんだ。だがトウキさんも黙って好きにはさせてくれない。

 

「むしのていこう!」

 

 エーフィに効果抜群のむし技を決めると同時にエーフィとニンフィアの特攻を纏めて下げて来た。どばどばオーラの追加効果のひかりのかべで威力は削げているが、特攻が下げられたのは痛い……。ここは一度めいそうを積むか?だがその隙にまたメガホーンを仕掛けられるかもしれない。今度はねんりきも間に合わないだろう。タイミングが重要だな。

 

 やはりトウキさんの“読み”は凄い。サーフィンで鍛える事でポケモンに水流への慣れを付けさせる事でみず技を受け流す技術を身に付けさせたが、エスパーやフェアリーの特殊技はそうはいかない。だからこそ、苦手なタイプの技を見切る為のトウキさん自身“読み”が物凄くレベルが高い。何度も何度もポケモンがそれを受ける所を見て、感覚を眼で覚えたからこそのものだ。

 

 エーフィとニンフィアに一旦下がらせ、並び立つヘラクロスとキノガッサのコンビと睨み合う。初めてのジム戦で少しゴタついているな……。エーフィもニンフィアも少し緊張した状態でスタートしてたからな。バトルをしている内にほぐれると思ったんだが。

 

 今使用した技はエーフィが三つ、ニンフィアが一つ……。

 

「ニンフィア、ヘラクロスにでんこうせっか!」

 

 ニンフィアは下手にキノガッサに接近させる訳にはいかない。エーフィが割り込めずにキノコのほうしを食らう可能性があるからな。ならば先にヘラクロスを確実に仕留める。

 

「ヘラクロス、受け流せ!キノガッサ、エーフィにメガドレイン!!」

 

 だがトウキさんも簡単にはやられない。お得意の受け流しでニンフィアのでんこうせっかを流し、マジックミラーが厄介なエーフィを排除しつつキノガッサを回復したいようでメガドレインでエーフィの体力を吸ってきた。

 そしてメガドレインを受けて出来た大きな隙を見逃してはくれない。

 

「今度こそ貰った!ヘラクロス、メガホーン!!」

 

「ニンフィア、でんこうせっかでヘラクロスの攻撃をズラすんだ!」

 

 エーフィ目掛けてメガホーンで突っ込んでくるヘラクロスに対して斜め後ろの死角からニンフィアにでんこうせっかをお見舞いさせる。フェアリースキンで効果抜群のフェアリー技になっている上にスピードのあるこの技で背後から突っ込めばヘラクロスのメガホーンの照準もズレるだろう。

 

 その目論見は上手くいき、メガホーンはエーフィには当たらず、エーフィの斜め後方へとヘラクロスも転がる。

 

「ニンフィア、もう一度チャームボイス!エーフィ、今の内にめいそうを積むんだ!!」

 

 そして転げ回ってガラ空きのヘラクロスとメガドレインで動かなかったキノガッサにもう一度フェアリーの特殊技をお見舞いし、エーフィにはめいそうを積ませる。体力は削られたが、特防は上がり、下げられた特攻もエーフィは戻った。

 

 トウキさんは勢い良く吹っ飛ばされたヘラクロスをジッと見つめてからニンフィアに視線を向けてきた。

 

「でんこうせっかでアレだけのパワーとダメージ…そっちのニンフィアの特性はフェアリースキンのようだね。エーフィのマジックミラーといい、そんな稀少な特性をよく二匹も捕まえられたもんだ」

 

「結構偶然ですけどね」

 

 貰ったタマゴから孵ったら夢特性だったからエーフィとニンフィアにしようと思っただけだしな。通常特性だったら別の進化系にしてたかもしれないし。唯一王にする事だけは絶対にないと断言するが。

 

 さて、当然ながら向こうのヘラクロスとキノガッサの方がバトル経験は上だ。こっちはそろそろ経験の浅さというボロが出始めるだろうし、そろそろ片方は倒しておきたい。

 よりダメージを受けているのはヘラクロス。キノガッサはやけど状態で自然と体力が減っていく。

 

「エーフィ、ねんりきでキノガッサの動きを封じろ!ニンフィアはでんこうせっか!」

 

「そうはいかない!ヘラクロス、はやてがえし!」

 

「っ!」

 

 ねんりきでキノガッサを封じてヘラクロスにトドメを刺すつもりが、はやてがえしでニンフィアが先手を打たれてひるまされる。やられた!チャームボイスで同時攻撃をして、キノガッサを仕留めるべきだった。完全に判断ミスだ!

 

「そのままスマートホーン!!」

 

 効果抜群の必中技。これを喰らえばニンフィアも確実に戦闘不能になる。素早さの高いエーフィにフォローして貰うしかない。

 

「エーフィ、割り込んでめらめらバーンで迎え撃て!!」

 

「今だキノガッサ、ニンフィアにどくづき!」

 

 ヘラクロスの攻撃をエーフィが相殺しつつ、やけどを負わせたと同時にねんりきでの拘束が溶けたキノガッサが怯んでいたニンフィアを仕留めに来た。

 

「ニンフィア、リフレクター!!」

 

 咄嗟に俺はニンフィアにリフレクターを指示。ニンフィアもどうにか怯みから持ち直せたのか、どくづきを食らう前に壁を張れたようで、ギリギリ耐え切った。A130のキノガッサの物理攻撃…しかも効果抜群なんて良く耐えたな。キノガッサのやけどによる攻撃力半減にリフレクターと防御の個体値……どれかが欠けていたら今のでニンフィアは戦闘不能になっていただろう。

 

「ニンフィアが毒状態になってしまったぞ!」

 

「大丈夫!ニンフィアにはリフレッシュがあるよ!」

 

「キノガッサにきらきらストーム!!」

 

 リフレッシュは必要ない。きらきらストームなら攻撃と状態異常の回復を両立できる。だが四つ目の技枠には出来ればドレインキッスを使いたかった。ニンフィアの体力は限界が近いな。

 

 だがこれでキノガッサは倒せた。

 

「キノガッサ、戦闘不能!!」

 

「戻れキノガッサ!よく頑張ったな……」

 

 トウキさんはキノガッサをボールに戻して労う。デカいミスはあったが、片方は倒せた。そろそろ一気に決める必要があるな。俺の予想が正しければ……

 

「ヘラクロォーーー!!!」

 

 考えを巡らせていれば、ヘラクロスは大声を上げて気合いを入れまくる。アレはキノガッサがやられて怒っているんじゃない。ヘラクロス自身の身に起きた事によって力が漲っているんだ。

 

「……やっぱり特性はこんじょうだったか」

 

「その通り。俺のヘラクロスにやけど状態のパワー半減は無いよ。むしろ力が増している」

 

 攻撃種族値の高いヘラクロスのスマートホーンにはエーフィの防御種族値じゃ、威力が等倍だとしても残りの体力を鑑みても耐えられるものではなかった。だからこそ、技枠がもう残っていない以上、めらめらバーンを使うしかなかった。ねんりきはキノガッサの拘束に使っていたしな。同時に二体の動きを封じ込められる程、エーフィはまだ仕上がっていない。

 

 かと言ってそれをしなかったらニンフィアがやられて、エーフィが二対一の窮地になっていた。片方を倒そうとしても、もう片方に仕留められるのがオチだった。

 

 それは今のトウキさんとヘラクロスにも言える事ではあるが、残りの体力的にも技的にもエーフィもニンフィアも物理技を一撃でも喰らえば終わりだ。対してヘラクロスは軽い技なら一発、二発ならまだ耐えられる。やけどのダメージが来る前になら二匹共倒せるだろう。

 

「そろそろ決着と行こうか」

 

「エーフィ、めいそう!ニンフィア、でんこうせっか!」

 

 だが二対一の状況なら向こうも打つ手は限られる。少なくともはやてがえしは使えない。ニンフィアを仕留めてもどばどばオーラでやられるから。

 

「踏ん張れヘラクロス!むしのていこう!」

 

 流石はトウキさんのポケモン。サーフィンで足腰を鍛えているからか、フェアリー技と化したでんこうせっかを真横から受けてもビクともしない。二度は無いってか。だがダメージは確かに刻んだ。

 今のでギリギリだったニンフィアは戦闘不能になって倒れた。でも先のどばどばオーラでひかりのかべを貼り、めいそうを二度積んだエーフィは効果抜群のむし技をギリギリ耐えていた。

 

 これはヘラクロスの特攻種族値の低さもある。素早さは当然エーフィの方が上だ。そしてヘラクロスには今先手を打てる技の枠が残っていない。

 

「エーフィ、どばどばオーラ!!」

 

 最後にニンフィアが刻んだフェアリー技のでんこうせっかのダメージとめいそうによって二段階積まれた特攻、エーフィ自身の特攻の高さ。それらを踏まえたタイプ一致のどばどばオーラ。

 

 それを受けたヘラクロスは目を回してうつ伏せに倒れた。

 

「ヘラクロス、戦闘不能!エーフィの勝ち!よって勝者、フタバタウンのミテキ!」

 

「よっ……しゃあっ!!やったぜエーフィ、ニンフィア!!」

 

 叫ぶと同時にエーフィと倒れたニンフィアに駆け寄り抱き抱えていた。ありがとう。そして初めてのジム戦よく頑張った……!!

 って、そうじゃない。早くポケモンセンターに連れて行ってやんないと。

 

 エーフィとニンフィアをモンスターボールに戻そうとすると、それより先にトウキさんが俺の前に来た。

 

「ミテキ君、見事だったよ。受け取ってくれ、ムロジムに勝利した証、ナックルバッジだ」

 

 差し出されたバッジを前に俺は少しだけポカンとしていた。……そうだった。バッジを手に入れる為にバトルをしていたのに、それを忘れてポケモンセンターに行ってたら赤っ恥も良いとこだし、その為に戦ってくれたエーフィとニンフィアにも申し訳が立たない。

 

「ありがとうございます!」

 

 トウキさんからバッジを受け取り、バッジケースに仕舞おうとすると、ふと膝元から視線を感じる。見れば俺の膝で寛ぐエーフィとニンフィアが期待に満ちた眼差しを俺に向けていた。やれってのか?仕方ない、今回だけだぞ?

 

「ナックルバッジ、ゲットだぜ!」

 

「エフィ!」

 

「フィア!」

 

 そうして漸く二匹をボールに戻すとマサトとタケシ、ハルカが駆け寄って来る。口から出るのは当然、祝いの言葉だった。

 

「ミテキ、これで三個目のバッジゲットだね!」

 

「熱い良いバトルだったぞ。ダブルバトルは少々不慣れだったようだが、上手くポケモン同士の連携も取れていた」

 

「やっぱりミテキって凄いかも!」

 

「サンキュ。つっても結構ミスもあったけどな。後で反省会かな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ピカピ?」

 

「俺も……負けてられない……!」




なんか、あんまトウキのポケモンにかくとう技使わせらんなかった。仕方ないんだけどさ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。