ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード 作:メンマ46号
リセットの影響でピカ様がやられるとこの埋め合わせもしっかりやらないとな。
ロケット団を倒し、俺達はピカチュウの治療の為、オダマキ博士の研究所に戻って来た。
容態が落ち着いたように見えるピカチュウを検査し、計測機器から数値が弾き出される。
「オダマキ博士、ピカチュウの残留電圧が通常値に戻っています」
「うむ。やはりミテキ君の予想通り、さっきの機械が余分な電力を吸い取ってくれたみたいだな。電気の放出に関しても処方薬を飲ませればすぐに良くなるだろう。今日はこのままそっと寝かせてあげよう」
オダマキ博士の診断を聞いてサトシはホッと一息吐く。これまでピカチュウの事が心配で気が気じゃなかっただろうからな。
「ピカチュウ……良かったぁ」
「しかしあんな機械を作れるなんて彼等は何者なんだ?」
「ロケット団……ポケモンの力を武力行使して各地の制圧、世界征服を企む組織です。主にカントー地方とジョウト地方を拠点に活動していると聞いています。目的の為にはポケモンの乱獲やトレーナーからの強奪も辞さないとも」
ロケット団の存在はポケモンGメンをしているジョウト地方チャンピオン、ワタルが告知して、警戒を強めるように働きかけているとも聞いてる。ホウエン地方にはまだ情報が行き渡っていないらしいが、その内話が回り始めるだろう。
「そうか……そんな奴らがホウエンに進出してきたという訳か」
「あいつらは俺のピカチュウを狙ってるんだ……!それでここまで着いて来たんだ……」
まぁあの規格外の電気パワーを見れば納得ではあるんだけどな。明らかにそんじょそこらのピカチュウとは格が違う。個体値どころか種族値すら普通のピカチュウより格段に上なんじゃないか?ピカブイの相棒ピカチュウみたいにさ。
「勿体無い……あれだけの技術があり、それを応用すればいくらでも多くの人やポケモンの助けになるというのに」
確かにな。今回のあの機械だってピカチュウのように帯電症状になってしまったポケモンを助けるのには打って付けだろう。
「ボスは元トキワジムのジムリーダーにして国際手配犯のサカキ。ポケモンを兵器として扱う大悪人と聞いています」
アニメではどうかは知らないがこの世界ではロケット団のボス、サカキは普通に国際手配されている。確かアニポケじゃワタルさんがトキワジムを調査して発覚したはずだし、当然の流れだろう。
それにロケット団はシンオウ地方以外で暗躍している組織の中では俺が一番警戒している組織だ。万が一でも奴と出会い、手を組むような事があれば更なる厄介事を巻き起こすのは間違いないからな。次点でイッシュのプラズマ団とカロスのフレア団だ。
ロケット団について話す内に神妙な空気が流れるが、ふと背後でドタバタと音がしたので振り向いてみると、落ちそうになってる花瓶を支えるハルカがいた。
ハルカは咄嗟に落としそうになっていた花瓶を背中に隠して話題を変えようと自己紹介してくる。
「えっと、私ハルカ。よろしく」
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はフタバタウンのミテキ。よろしくな」
「俺はマサラタウンのサトシ。よろしく」
三人で軽く自己紹介を終えるとハルカは心配そうにピカチュウに視線を送る。
「ピカチュウ、大丈夫?」
「今は静かに寝てるよ」
「あれだけの事があったんだ。疲れもあるんだろうな」
俺だけじゃない。サトシにとっても、ハルカにとっても、そしてピカチュウにとっても色んな事があった一日だった。
「明日起きたら元気になってるよ。まぁ暗い話はここまでにしようか。ハルカちゃん、最初のポケモンを選ぼう」
「「最初のポケモン!?」」
オダマキ博士の言葉に俺もサトシも思わず食い付く。ホウエン地方で最初のポケモン……つまりは第三世代における御三家だ。
ホウエンの御三家か……メガシンカもあるし、どこかでゲットしたいところだ。キモリは確か群れが何処かにいたよな?サトシはそこからキモリをゲットするはず。
初めてのポケモンを選ぶワクワクは筆舌に尽くし難い喜びと緊張感も伴うからな。俺もナナカマド博士の研究所でシンオウ御三家を前にした時の感覚は一生忘れる事はないだろう。
それはそれとして今日はハルカがポケモンを貰ってトレーナーデビューする。つまりは多分、今日がアドバンスジェネレーションの第一話って事なんだろう。なんという偶然。ここを逃してたら、サトシとハルカに出逢うのはいつになっていたのやら。
そんな事を考えていたらオダマキ博士は鞄からモンスターボールを三つ取り出し、机に並べる。
「このモンスターボールにはホウエン地方における初心者用のポケモンが入っている」
でも初心者用の割には御三家を持っているトレーナーってほとんどいないんだよなぁ。多くのトレーナーは御三家じゃなくて、野生で親の手を借りてポケモンを捕まえてパートナーにするパターンが多いんだとか。折角の御三家なのに勿体無い。俺は絶対御三家が良かったからナナカマド博士から貰ったけど。
「まずはキモリだ」
最初にオダマキ博士が出したのはキモリ。黄緑色の身体と黄色い目が可愛らしい。
「キャーモ」
「キモリか……くさタイプのポケモンですよね」
「おお。勤勉だねミテキ君」
「一応各地方の初心者用ポケモンは全部把握してます」
「へぇ、今度教えてくれよ!」
俺とオダマキ博士、サトシで雑談しているとポケモンを選ぶ立場であるハルカはキモリをジッと見て、少しビクッとして後ずさる。
「キャモッ?」
「わっ!?睨んだ!?」
そうか?ハルカの視線が気になって目を向けただけじゃない?
「何言ってんだよ。こいつ目が可愛いじゃないか」
「だな。大人しそうだし良い子なのがすぐ分かる」
サトシの意見に同意しつつ、思わずキモリの頭を撫でる。ひんやりしてて気持ち良い。それにすげぇ可愛い。まだ幼いってのもあるんだろうけど根が良い子なのが伝わってくる。
オダマキ博士は次のボールを開いて二匹目を出す。出て来たのはぬまうおポケモンのミズゴロウだ。
「この子がミズゴロウ」
「ゴロ?」
「みずタイプですね!」
「そうだよ」
「おおーっ!ミズゴロウも可愛い!」
みずポケモンは何匹か持ってるけど、進化先のヌマクローやラグラージみたいなじめん複合はいなかったし、ミズゴロウもどこかでゲットできないかなぁ。
「でもミズゴロウはさっき言う事を聞いてくれなかったしな〜」
「そうかぁ?素直そうで可愛いじゃないか」
「そうそう!目なんかキモリに勝るとも劣らない可愛さだ」
「サトシ君もミテキ君も本当にポケモンが好きなんだなぁ」
前世じゃポケモンが現実に現れてくれないかなんて、小学生の誰もが思い描く夢物語を俺も一度は想像したくらいだ。まさか俺の方がポケモンの世界に転生するなんて夢にも思わなかったけど。
「じゃあ最後にアチャモだ」
オダマキ博士が出した最後の一匹はひよこポケモンのアチャモ。
「お!ほのおタイプのアチャモ!」
BWではかそくバシャーモが欲しかったけど、雑誌は手に入らず、ゲームを買うのも遅かったので色んな意味で悔しかったなぁ。その事もあってメガシンカした時の特性がかそくだった時はちょっと嬉しかったりしたもんだ。
ハルカの方もアチャモを興味深そうに見ている。何か波長が合うような感覚を覚えたのかもな。
するとアチャモはとてとてとハルカに近づき、ハルカの脚にスリスリして甘える。一目でハルカが気に入ったのかもしれないな。
そんなアチャモにハルカも気を良くして抱き上げる。
「チャモチャ〜モ〜♪」
「この子可愛いかも!欲しいかも!よし、アチャモに決めた!」
「チャ〜モ♪」
ハルカがアチャモに決めた事でアチャモのモンスターボールと、空のモンスターボール、そしてポケモン図鑑を受け取る。
すると今度はサトシが俺に話を振って来た。
「ミテキは最初にどんなポケモンを選んだんだ?俺はピカチュウ!オーキド博士から貰ったんだ!」
「俺か?俺の最初のパートナーはコイツさ!」
俺が出したポケモン、それは勿論シンオウ御三家の最終進化系のゴウカザルだ。初めてプレイしたダイヤモンドで選んだのはヒコザルだったからな。シンオウ地方に生まれたと知った時点で最初に選ぶ御三家はヒコザルに決めていた。
「あっ!さっきロケット団をやっつけたポケモン!」
「ゴウカザル!俺の最強にして最高のパートナーさ!ナナカマド博士に貰ったんだ」
「へ〜強そうかも!さっきのバトルも凄かったもん!」
「ああ!勿論強いぜ!俺のポケモンの中でもエースを張れるんだからな!」
つーかメガシンカしたみずポケモンを倒した事もある。
ゴウカザルにはメガシンカはないが、そもそもが優秀なポケモンだし、これからも地道に鍛えれば問題ないし、アローラに行ってZワザを手に入れれば更に盤石だろう。
サトシとハルカは早速ポケモン図鑑でゴウカザルの事を調べている。第三世代までの図鑑で大丈夫かと思ったが、案外エラーを起こさずに普通にゴウカザルの説明が音声で流れる。
そう言えば俺のポケモン図鑑も見た目は第四世代のそれだが第五世代のポケモンが普通に検索できたな。多分全てのポケモン図鑑共通で第九世代までのポケモン達の情報は普通に記録されているんだろう。
「ゴウカザルはシンオウ地方の初心者用ポケモンの一匹、ヒコザルの最終進化系なんだ。タイプはほのお・かくとう。アチャモと同じだな。アチャモも進化すればかくとうタイプが追加されるんだよ」
「そうなの?じゃあアチャモもゴウカザルみたくなるの?」
「見た目に関しちゃこれからのお楽しみだな」
ポケモン図鑑で調べればすぐ分かるけどね。この世界のポケモン図鑑はゲームと違って最初からポケモンが記録されていて、データが揃ってるからな。
「なぁミテキ、シンオウ地方の初心者用ポケモンって他にはどんなポケモンがいるんだ!?」
「はいはいちょっと落ち着いてくれよサトシ。少しゆっくり話そうぜ。それに今度はサトシのこれまでの旅の話とかも聞かせてくれよ」
無印のアニポケの話がサトシ個人の視点じゃどんなだったかとかも知りたいしな。そんな話をしているとポケモンや旅の話をするに当たってオダマキ博士がもう少し楽に話せるように場所を変えてリビングルームを提供してくれる。
「あ、そうだオダマキ博士。これお土産です!」
「おお、これはシンオウ地方の名物、森の羊羹か!みんなで食べようか!」
ゲームでは状態異常の回復というなんでもなおしと同じような効果があるが、基本一つしか手に入らない為、マスターボール同様ラストエリクサー症候群になりやすい代物だ。なんでもなおしで代用できるから尚更。この世界では普通に食べ物だ。ハクタイシティで買えるぞ。
「羊羹!?美味しそ〜!」
「ピカチュウの分も取っておこうか」
そんな感じでサトシのカントーやジョウトの旅の話、俺のシンオウでの旅の話、他の地方の御三家の話などをして、夜は更けていった。
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side三人称
「……う〜ん、駄目だこりゃあ」
翌朝、ハルカはオダマキ研究所の前でバキバキに砕け、ぶっ壊れた自転車を見て溜め息を吐いた。昨日のロケット団とのいざこざの時、ピカチュウを助けようとロケットのメカをガブリアスがじしんによる振動で破壊した際、その振動の余波を受けたハルカの自転車も一緒に木っ端微塵になってしまったのだ。
最早これに自転車の面影など欠片もない。文字通りの鉄屑だ。
「あのガブリアス…だっけ?とにかくあのポケモンのせいよね。一つ文句言わなくっちゃ」
昨日貰った羊羹は美味しかったし、旅の話は面白かったがそれとこれとは話が別。ガブリアスのパワーが有り余っていすぎたから勢い余って自分の自転車まで壊れたのだ。ミテキに文句を言う為にオダマキ研究所の中を探す。
当てずっぽうにミテキを探そうと適当にドアを開くとベッドの上で眠るピカチュウとそれに寄り添いながら寝落ちしてしまったサトシがそこにいた。
「サトシ、あれから一晩中ピカチュウの看病してたんだ……」
「あっいたいた。おはようハルカ」
「わっ!?」
すると探していた相手の方が廊下で後ろから話しかけてきてハルカは若干驚く。寝ているピカチュウの為、物音を立てないようにミテキに向き直る。
「お、おはようミテキ……どうしたの?」
驚かされた事で文句を言うのも忘れて普通にミテキと話し始めてしまう。口振りからしてミテキの方も自分を探していたのだと察しがついたのだ。
「あー…ハルカに謝らなきゃいけない事があるから」
「え?」
その瞬間、ミテキは深々と頭を下げてハルカに謝罪する。
「自転車、昨日ガブリアスのじしんの余波で壊しちゃったよな。ごめん!そんなつもりはなかったんだけど、あの時はそこまで気にする余裕なくって……」
「あ、ううん。気にしないで!ピカチュウを助ける為だったんだし」
反射的にそう答えてしまった。ミテキはあからさまにホッとしたように安心している。今更文句は言いづらい。
だがチラリと部屋の中で目を覚ましてサトシに頬擦りするピカチュウを見ると、そんなモヤモヤも晴れていく。
「自転車……まあいっか」
ピカチュウの無事に比べたら自転車くらい安いものだ。心からそう思った。
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sideミテキ
ハルカに謝った後、サトシがピカチュウを連れて外に出てきた。旅の話が終わった後、サトシはピカチュウを一晩中看病していた事もあってかもうすっかり元気になったようで、ピカチュウはモンスターボールから出ていたイーブイ兄妹、アチャモに挨拶すると早速四匹で駆け回っている。
「なんだもう仲良くなったのか。ホウエンに来て最初の友達だなピカチュウ」
仲良く遊ぶピカチュウ、アチャモ、イーブイ兄妹を見て微笑むサトシ。すると今度は俺の手持ちが気になったらしく、遠慮なく聞いてくる。
「ミテキはイーブイを二匹も連れているのか?」
「ああ。このイーブイ達は正真正銘の兄妹だからな。しばらくは一緒にいた方が良いと思ってさ。因みにこっちが兄貴でこっちが妹だ」
「わぁ!可愛いかも!」
ついでに言えばこのイーブイ達の母親はグレイシアだったりする。父親は知らないけど、特性は揃って父親譲りなのは間違いない。その特性故に俺はもう進化先を決めている。唯一王?そんなわけないだろ。
サトシとハルカと雑談していると兄イーブイはピカチュウと一緒に走り回り、妹イーブイはアチャモ同様ハルカの脚にスリスリして甘えている。
「ははっ。なんだイーブイ、ハルカの事が気に入ったのか」
「やっぱりイーブイって可愛いかも!」
ハルカも確か将来的にイーブイをゲットするはずだから、イーブイに好かれる素質はあるのかもな。
その後、オダマキ博士に朝ご飯をご馳走になり、いよいよ本格的にホウエン地方での旅が始まろうとしていた。ならこのタイミングで切り出すのがベストか。
「三人共、まずはポケモンセンターでホウエンリーグへの出場登録をしなきゃいけないな」
「ポケモンセンターがある一番近い街はコトキタウンです」
オダマキ博士と助手さんから今後の旅の初期方針について教えて貰う。そういえばシンオウ地方を旅した時もマサゴタウンのポケモンセンターでシンオウリーグへの登録をしたっけな。研究所とポケモンセンターが同じ街にあると楽で良かったなぁ。
「分かりました」
「ありがとうございます。ホウエンリーグ優勝目指して頑張ります!」
「俺だって負けないぜ、ミテキ!」
「おう!」
俺もサトシも目指すは優勝。ホウエンリーグに出場するなら友達であると同時にライバルでもある。
っと……そろそろハルカを旅に誘わないと。
「ハルカ、良かったら一緒に…「あ〜あ、歩いて行かなきゃならないなんて不安よね。自転車があればな〜」うっ」
「でも私の自転車、ガブリアスに壊されちゃったしなぁ」
チラリと俺に視線を向けてそう言うハルカ。うっ、罪悪感で胸がチクチクする。
ハルカの言う通りハルカの自転車はガブリアスのじしんの余波を喰らって砕け散った。それが事実だ。
だがハルカはその事を責める気はないらしく、それを口実に俺とサトシにある提案をしてきた。
「ねぇミテキもサトシもコトキタウンまで一緒に行きましょ!私、道知ってるから!」
「行くっ!一緒に行こう!サトシも良いよな!?」
「え?…ああ!分かった!一緒に行こうぜ」
ハルカの方から誘ってくれた!俺はその誘いにすぐさま飛び付いた。これで俺もサトシの旅仲間になれるし、アドバンスジェネレーションの物語を直接体験できる!それに
「「よしっ!」」
俺は思わず拳を握って軽くガッツポーズしてしまう。なんか俺の他にも同じ事してる美少女がいたが、今は気にしない事にする。
オダマキ博士と助手さんに見送られて俺達はコトキタウンに向かって出発する。
「三人共頑張るんだぞ」
「お気をつけて」
「はい!ありがとうございます!」
「行ってきまーす!」
「サイユウ大会、楽しみにしてて下さい!」
「じゃ!コトキタウンにしゅっぱーつ!」
「「おー!」」
ピカチュウも元気になり、ハルカとサトシと一緒に旅をする事になった。この先、どんな人やポケモンとの出逢いが待っているんだろう。今からワクワクが止まらない。
こうして俺達のホウエン地方での新しい旅が始まった。
主人公がゲットしているポケモン25匹は全て決まっています。主人公がシンオウ地方でどんな旅をしてきたのかも。
一応この小説ではポケモン達のレベルの概念が明確にあるんですけど、どう開示しよう。小説の中で明かしてもそれ以降に上がるからなぁ。