ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード   作:メンマ46号

36 / 48
もうすぐアマプラでアニポケが消えるのでせめてカイナ大会を終わらせてようと急ピッチで書いてます。


ポケモンコンテスト・カイナ大会一次審査

 sideミテキ

 

 今日は記念すべきハルカの初コンテスト。ポケモンコンテスト・カイナ大会だ。ハルカが受付時間を確認していなかったせいでかなりギリギリでのエントリーになってしまったものの、どうにか間に合い、今は控え室で準備をしている。

 

 そして俺達は会場の観客席でハルカの応援だ。……でも今は緊張でガチガチになっているハルカの側にいる。

 すると控え室内のTVにコンテストの中継が映し出された。始まったか。

 

『レディース&ジェントルメーン!大変長らくお待たせ致しました!ホウエン名物ポケモンコンテスト・カイナ大会の始まりでーす!』

 

 司会の顔はシンオウのコンテストでも見た事のある顔だ。確か姉妹とか親戚とかだっけ?

 

『その出場者さん達を厳しく優しく審査して頂くのがこちら、大会事務局長のコンテスタさん、ホウエンポケモン大好きクラブ会長のスキゾウさん、そしてカイナシティのジョーイさんです!』

 

 次々と紹介される審査員。ジョーイさんはともかく、他の二人はシンオウや他の地方でのコンテストで同じシーズンでも良く見るんだが、まさか一つのシーズンで全ての地方の全てのコンテストを回ってんだろうか。アニメでどういう扱いなんだっけ。

 次は大画面に今回の優勝者に贈呈されるコンテストリボンが映し出される。毎回先にデザインが公表されるのもコンテストの特徴だよな。

 

『見事優勝したポケモンとコーディネーターにはこの栄誉あるカイナリボンを贈呈!各地で開催されるリボンを五つ集めれば、トップコーディネーターの祭典、ポケモングランドフェスティバルへの出場権が与えられちゃいますよー!本日の司会は私、ビビアンです。よろしくお願いしまーす!』

 

 司会の方はそこそこに今目の前でガチガチに緊張しているハルカの方に目を向ける。うーむ、どうしたもんか。

 

「おいハルカ。ハルカったら!」

 

「お姉ちゃん!」

 

「え!?あ、何!?」

 

「もしかしてすんごい緊張してない?」

 

「そ、そんな事ないよ?」

 

「声上擦ってんぞ」

 

「無理もないか。この前はメグミさんのアシスタントだったけど、今度はステージに一人で出るんだからな」

 

 緊張しているのがバレバレだと分かり、観念したのか、ハルカは溜め息を吐いて本心を打ち明けてくる。

 

「本当言うとすっごい緊張……」

 

「落ち着けよハルカ。ポケモンと一緒なんだから」

 

「ポケモンと?」

 

 サトシの言葉に応じてアゲハントはハルカの頭に停まる。アゲハントなりにハルカをリラックスさせようとしているのかもな。

 

「ハナビシさんも言ってただろ?トレーナーが緊張してたら、ポケモンだって緊張しちゃうって」

 

「この日の為にあれだけ練習して来たんじゃないか。落ち着いてやればきっと上手くいくさ」

 

 サトシとタケシの励ましを受けて少しだけ落ち着いたのか、頷くハルカ。だが恐らくはステージに行けばまたガチガチに緊張して固まってしまうだろう。なのでここは俺がある秘策を授ける事にする。

 そんなに難しい事じゃないので口頭で説明し、今ここで軽く実践してみる。それを見てハルカにも真似をしてみて貰う。

 

「どうだ?できそうか?」

 

「うん。これなら何とか」

 

「そりゃ良かった」

 

 ハルカの緊張対策をしている内にコンテストの中継も一次審査を開始する。キノココやキャモメ、ルリリ、キレイハナといった可愛らしいポケモン達の演技が次々と決まる。技の決めや美しさで審査員達が得点を付けるという方式だ。

 

「おー!どの技も凄いぜ!」

 

「ピカピカ」

 

「態々得点をその場で公表するのか」

 

「ホウエンのコンテストは一次審査の得点が可視化されてるからな。ある意味精神的なダメージもでかい」

 

 発祥の地だからこそ、その辺の厳しさも徹底しているんだろう。しかしみんな良く育てられているな。お。次はカネヨさんとグランブルか。

 そして何人かのコーディネーターの一次審査が終わり、奴の番が巡ってきた。

 

『続いてエントリーNo.28番、ラルースの貴公子、シュウさんの登場です!』

 

「あいつは!」

 

「妙な二つ名付いてるもんだな」

 

 貴公子なんて言うが、実態はただのナルシストなのにな。少なくとも初対面の相手に「美しくない」なんて言う奴の何処に気品なんてものがあるのか聞きたい。

 

「シュウ、出てきたわね……!」

 

 シュウが出したのはロゼリアだ。登場と同時にはなびらのまいを使い、文字通り空を舞う花弁を雨霰のように周囲に降らせてロゼリア自身を飾り付ける。

 

「中々やるなぁ」

 

「綺麗……」

 

 気に食わないが、奴の実力は本物だ。気に食わないが。

 続いてしびれごなを振り撒き、マジカルリーフで葉っぱを飛ばして綺麗な粉煙を演出する。フィニッシュにもう一度はなびらのまいとマジカルリーフ。花弁をマジカルリーフで切り裂いて擬似的な花吹雪を演出してみせた。

 

 審査員達の総合得点は29.4とこれまでの中ではトップだ。次点でカネヨさんとグランブルの29.2だ。……案外あのおばちゃん高得点だな。

 

「最高点か……」

 

「流石だな……」

 

「お、俺のロズレイドの方が強いし……!」

 

「ミテキ、コンテストの一次審査は強さじゃなくて華麗さだよ」

 

 分かってらぁ!クソ、ムカつくので今度バトルする事になったらロズレイドで格の違いを教えてやる。

 

「シュウ……やっぱり凄いかも」

 

 スカしたナルシストの演技が終わり、今度はミツミの番が回ってきた。シンオウの時と違い、ドレスアップはしていないがやる事は変わらない。堂々とステージに立ち、モンスターボールを構える。

 

『お次はシンオウ地方出身!昨年のシンオウグランドフェスティバルを制したトップコーディネーター!ミツミさんです!!』

 

「お!ミツミさんだ!」

 

「ミツミすわぁ〜ん!やっぱり美しい!!」

 

 一瞬でタケシの目がハートになった。一応言っとくけどハルカの応援しろよ?

 司会のハードルを上げる紹介も意に介する事なくボールからゴウカザルを出して力強く雄叫びを上げさせる。かくとうタイプならではのパワーアピールか。

 

「ゴウカザルだ!」

 

「ミツミさんもゴウカザルを持ってたのか!」

 

 ミツミはリーグのバトルとコンテストでポケモンを分けたりしない。どのポケモンにも両方での運用をする。互いの分野の強みをもう一方で出してくる事もあるから強さに隙が無い。

 ついでに言えばミツミのゴウカザルは特殊型寄りだ。因みに俺のゴウカザルは物理型寄り。

 

 ゴウカザルのほのおのうずをマッハパンチによる拳圧で打ち上げて空中で拡散させる。豪快だった炎がうっすらと散る様は実に幻想的でゴウカザルが出した炎とその拳の拳圧のパワーを見事に表現している。

 

「流石ミツミ。抜群に安定しているな」

 

「シュウも凄かったけど、ミツミさんはもっと凄いかも!」

 

 最後に連続して真上にだいもんじを撃ち、ほのおのうずでコーティングする事で炎で薔薇のような花を造形し、かえんぐるまで突っ込んで爆散させてフィニッシュ。

 

 総合得点はシュウを抑えて29.8。トップコーディネーターの名に恥じない演技だった。いやマジすげーな。ホウエンリーグでもミツミとまた当たる事になるだろうし、ミツミのゴウカザルとどう戦うか……対策をきっちり立てておかねぇと。

 

 ミツミの次はルチアだ。今日に至るまで特にハルカと絡まなかったが、その実力は如何に。

 

『ルチアさんはあのコンテストマスター・ミクリ様の姪っ子さんなのでーす!』

 

『きらきら〜!くるくる〜!』

 

『『『くるくる〜!!』』』

 

 サイリウムを振って応援しているファンが大勢いるようだが、正直あのキャラは俺的にはキッツいな……。

 

『行くよ、チルル!』

 

 ボールから登場したのはチルタリス。確かORASでもルチアのメインパートナーだったな。なんかリボン型のチョーカーを付けている。

 

『しろいきり!』

 

 チルタリスは空中で回転しながらしろいきりを発動して会場を包み込む。会場の照明の光と反射して幻想的な輝きを生み出している。それに合わせてルチアは回転しながら髪飾りに手を添えて、眩い光をそこから放った。

 

『メガシャイニング!Let's go!!』

 

『チールー!!』

 

 同時にチルタリスのチョーカーも光り、会場全体を照らしていく。それを見た瞬間、俺はそれを凝視した。あの輝きに俺は既視感があったからだ。何度か見た事はあるが、一番印象に残っているのはシンオウリーグの決勝戦。

 

『もっと〜!輝け〜!!』

 

 そしてチルタリスは姿を変えていく。その羽毛はよりボリュームを増してまるで雲のように大きなモフモフとなる。

 

「メガシンカだ!」

 

 メガチルタリス。あの光はキーストーンとチルタリスナイトによるもの。メガシンカそのものは勿論、メガシンカの光ですらも演出として利用したのか!

 

「あれが……」

 

「コンテストでメガシンカなんて使って良いの!?」

 

「俺も気になって調べてみたんだが、特に禁止はされてないな。むしろポケモンの魅力を引き出すという点じゃ、使えるのが限られたポケモンという面をアピールできる」

 

 タケシはこういう情報も早いな。

 だが逆に言えば既にキーストーンを持っているハルカもメガストーンさえ手に入れればコンテストで使えるという事だ。この先はバシャーモナイトとヤミラミナイトも探さないとな。

 

『りゅうせいぐん!!』

 

『チルッ!!』

 

 口から真上へと放ったりゅうせいぐんは文字通りの流星群となり、星の光のシャワーがサイリウムの如く会場全体を照らして見せた。

 

「まさか一次審査でメガシンカを使ってくるとはな……」

 

「チルタリスはメガシンカしたらひこうタイプがフェアリータイプになるんだよな」

 

 得点は30点満点。まさかここに来てミツミを上回ってトップに躍り出るとは。しかもメガシンカを使ってくるとは俺も予想外だった。ORASとか新無印のコンテストライブとかじゃあるけどさ、まさか普通のコンテストでアレやるとは思わないよ。

 

 そろそろハルカの順番も近付いて来たのでサトシ達は先にチケットで確保しておいた観客席に向かう。……が、タケシの提案で俺はギリギリまでハルカの側についている事になった。

 

 ……普通こういうのはマサトの役割になりそうなものだが、タケシが俺を指名して残らせるとは。

 

 とにかく俺は俯くハルカの隣に座り、ポンと頭を撫でる。勿論アゲハントも。

 

「ミテキ……」

 

「大丈夫。今日までやれる事は全部やって来たんだ。だったら後は出し切るだけ。今はまだ人と比較なんてしなくて良い。精一杯自己ベストを尽くせば…「やあ」……っ!」

 

 俺なりにハルカにかけてあげられる言葉をかけている途中でナルシストが俺達の前に来てハルカに声をかけた。空気読めやこの野郎……!!

 

「見てたろう?僕達の演技。あれが美しいという事さ」

 

 はいはいお疲れー!一人で勝手に悦に浸っていて下さい。ロケット団と一緒にやなかんじーにしてやるから。そもそもミツミとルチアがいたからお前なんて霞んでるよ。

 

「何よ!自慢しに来たわけ?」

 

「コーディネーターの先輩としてエールを送りに来たんだ。一次審査くらいは通って欲しいからね」

 

「通ってみせるもん!見てなさい!」

 

 売り言葉に買い言葉……とまではいかないが、闘志を燃やすハルカ。これで空回りなんて事にならなければ良いが。

 チラリと中継に目を向けると今度はロバートというコーディネーターがミロカロスで演技を魅せている。しんぴのまもりによる輝きでミロカロス自体の美しさを引き立てるというシンプルながらも見事な魅せ方だ。

 

「綺麗……ミテキのミロカロスもできるの?」

 

「う〜ん、確かに俺のミロカロスもコンテストで優勝したけど、二次審査の方で起用したからなぁ。同じ魅せ方ができるかは別問題かなぁ」

 

 どっちかというと泳いだりみず技なんかでみずタイプとしての魅せ方メインだったし。

 そしていよいよハルカの番が近付いてきたのでハルカはステージに向かう。それに合わせて俺もサトシ達のいる観客席に向かう事にする。

 

「それじゃあ頑張れハルカ!応援してるぞ!」

 

「うん!見ててね!」

 

 ステージに向かうハルカに手を振って見送る。ハルカも俺に向かって笑顔で手を振ってくれた。俺に!!

 

「……ところで君はホウエンのコンテストに出場しないのかい?」

 

 まだいたのかよ。良い気分が台無しだよ。

 

****

 

 side三人称

 

『さぁ、一次審査も残るはあと一人!エントリーNo.58番!ハルカさんの登場でーす!』

 

 アゲハントの入ったモンスターボールを握り締め、ハルカは意を決してステージに一歩を踏み出す。

 

『ハルカさんは今回が初めてのコンテスト参加となります!ではポケモンの登場を華麗に決めて頂きましょう!』

 

 目の前には大勢の観客。その視線と歓声に晒されて身が固まり萎縮するハルカ。完全に会場の雰囲気に呑まれそうになる中、控え室でミテキに貰ったアドバイスをどうにか頭の中で反芻する。

 

 鼻から息を吸い、それを口から吐き出す。あまりやり過ぎないように注意しながら、ゆっくりとそれを行い、前を見据える。正面の観客席が目に入るとそこにはサトシやタケシ、マサト、そしてミテキが一生懸命にハルカを応援してくれていた。

 

 四人の姿を見て思わず口元を綻ばせる。気付かない内に固まっていた身体はスムーズに動くようになっていた。

 

「アゲハント!ステージ・オン!」

 

 ボールから出ると同時に羽を大きく広げてその美しさをアピール。いとをはくを指示すると同時にこれまで何度も練習してきたフリスビーを投げて、しなる糸に弾かせて、返ってきた所をキャッチする。

 

 軽快なラリーを繰り返す事でハルカとアゲハントの息の合ったコンビネーションを見せ付けていく。あまりに楽しそうに魅せるハルカとアゲハントに観客達も魅せられていく。

 

「ハルカもアゲハントも調子出てきたな!」

 

「良いぞー!お姉ちゃん!」

 

「ミテキのあのアドバイスは良い効果だったな。ハルカの緊張を上手く解してアゲハントとのコンビネーションも最初から引き出せている!」

 

「ああ。でもあのコンビネーションはハルカとアゲハントがこれまでずっと頑張ってきたからだ。緊張が解れただけじゃあ、あそこまでにはならないからな」

 

 ミテキ達もまた、楽しそうに演技するハルカとアゲハントを見て表情を綻ばせ、応援と同時にハルカ達のパフォーマンスを楽しんでいた。

 何度かラリーを成功させたハルカはいよいよ仕上げに入る。

 

「アゲハント!ぎんいろのかぜ!」

 

 ミテキのガーメイルにレクチャーして貰った事で形にできたぎんいろのかぜでフリスビーを押し返させ、見事にキャッチ。最後にフリスビーを更に一枚追加で取り出す。

 

「フィニッシュよアゲハント!もう一度ぎんいろのかぜ!」

 

 再度ぎんいろのかぜを発動し、その場で回転させる事で渦潮を再現。さながら銀色の衣を纏うようなアゲハントに誰もが目を離せない。そこにハルカは二枚のフリスビーを投げ込み、惑星の周囲を廻る衛星のようにフリスビーが舞う。

 

 最後に決めポーズを取るハルカの頭にアゲハントが着地し、緩まったぎんいろのかぜの気流に乗っていたフリスビーも自然とハルカの手元に収まった。

 

 観客達の拍手が会場を包み込んだ。

 

****

 

 sideミテキ

 

 いやぁ……控えめに言って、最高!!

 

 滅茶苦茶綺麗だったなぁ。ハルカもアゲハントも。演技もミスする事なく完璧に仕上げて最後のぎんいろのかぜはアゲハントをこれ以上なく輝かせていたし、フリスビーをハルカの手に渡らせる事で繊細なコントロールもできるとアピールができていた。

 

 審査員達からも評価も高く、得点は27.9。ミツミ達にはまだまだ及ばないが、初心者である事や将来性を加味していたとしても高得点だろう。

 

 ハルカがここまでのパフォーマンスを出せたのは緊張を上手く振り解く事ができたのも大きい。タケシも言っていたが控え室でのアドバイスが役に立ったな。

 

 俺がハルカに教えたのはある呼吸法だ。別に全集中のソレじゃないからな。ブリージングというロシアの軍隊なんかも使う呼吸だ。

 やり方は非常にシンプルで鼻から息を吸い、口から吐くだけ。それだけで心身を適切な状態に整える事ができる。緊張した身体を落ち着かせる時には絶大な効果がある。かく言う俺もトレーナーとして駆け出しの時はこれで精神を落ち着かせた事が何度もある。

 

「後は結果を待つだけ。今のハルカとアゲハントにできるベストな演技をしたんだ。俺はすっげえ好きだったよハルカとアゲハントの演技!」

 

「ありがとう!でもミテキのアドバイスとガーメイルがぎんいろのかぜを教えてくれたおかげかも!」

 

 二次審査の出場者発表を待つ時間、俺は一足先にハルカの元に行き、感想を伝えていた。

 

「でも二次審査に出られるかしら……」

 

「まぁそればっかりは他の人の得点もあるからな」

 

 今のハルカにできるベストを尽くしたとはいえ、それが他の人より優れているかは別の話だ。勝負の世界に絶対はない。今は待つしかない。

 

「良い演技だったよ」

 

 するといつの間にかいたシュウがハルカに一本の薔薇の花を差し出した。こ、この野郎!やっぱりそういう魂胆か!!

 俺は思わずシュウの腕を強く掴んで薔薇ごとハルカから遠ざける。

 

「ナンパなら他あたれ……!!」

 

「な、ナンパ!?」

 

「何か勘違いしてないかい?この薔薇は彼女にではなく、アゲハントにさ。コーディネーターの方はまだまだ勉強不足のようだしね」

 

 どうだか。ハルカを口説こうったってそうはいかねぇぞ。偶にしか会わないお前よりもほぼ毎日一緒にいる俺がアタックして距離縮めたらぁ!てゆーか、それはそれで失礼だからなこの野郎。

 

「勉強不足で悪かったわね!」

 

 ムッときたらしいハルカも負けじと言い返す。態々薔薇を渡しつつ嫌味を言うのは普通にムカつく。正直またバトルでフルボッコにしてやりたいくらいだが、流石に自重する。

 

 キザに指をビッとして去って行くシュウ。どうにも鼻に付く。遅れてサトシ達もやって来てハルカに演技の感想を伝えている。クソ、どうにかあのナルシストを遠ざけないと。

 

「はは〜ん?」

 

 背後から野次馬根性全開の聞き覚えしかない声が聞こえた。振り向けばそこには物凄くニヤニヤしたミツミがいた。

 

「何だよニヤニヤして気持ち悪いな」

 

「気持ち悪い!?会って一番にそれ!?」

 

 多分ハレタも同じ事言うぞ。ゴホンと咳払いし、気を取り直してミツミは耳元で囁いてきた。そーゆーとこだぞ。

 

「アンタ、ハルカちゃんの事好きなんでしょ?」

 

「っ…」

 

「おかしいと思ったのよね〜。シンオウじゃハレタがどんなに誘っても断って一人旅してたのにいきなりあんな大人数で旅してるなんて。一目惚れでもしちゃった?」

 

 俺を揶揄えるネタを見つけたとでも思ったのかニヤニヤが止まらないミツミ。うぜぇ……。

 ちくしょう、こいつ終始ニヤニヤしやがって……。

 

『はぁい!お待たせしました!一次審査を突破したのはこちらの八名のコーディネーターさん達でーす!!』

 

 ここで中継が入り、二次審査に通ったコーディネーターが発表される。発表されるコーディネーターの顔写真の中にはハルカの顔も映っていた。

 

「ハルカが通った!凄いぞ!二次審査に進出だ!」

 

「やったあ!」

 

 ハルカの他に二次審査に進んだのはミツミ、シュウ、ルチア、カネヨさん。他にはミロカロス使いのロバートとかだ。分かっちゃいたけど見事に格上しかいねえな。

 

「これは優勝狙えるんじゃない?」

 

「だが、次の審査はバトルだからな。ハルカはあまりバトル慣れしてないから、ここからが正念場だろう」

 

 タケシの言う事も尤もだ。一応ニンフィアと一緒にタッグバトルなら俺と何回かした事はあるが、それも基本俺がサポートに回ってのバトルだ。ハルカが単騎でバトルした事はほとんどない。

 

 そして進出した八人がシャッフルされ、コンテストバトルのトーナメント表に振り分けられていく。まずは一番端の対戦カードとしてミツミとシュウ。

 

「ミツミさんがシュウと!?」

 

「ほう。悪くない組み合わせだ」

 

 すると呼んでもいないのにシュウが現れて、ミツミの前に立つ。湧いて来なくて良いっつの。

 

「シンオウのトップコーディネーターのミツミさんですね?僕はシュウ。胸を借りるとは言いません。全力で挑戦させて頂きます」

 

「ええ。受けて立つわ」

 

 なんかバチバチしているが、俺の興味はそこにはないので、ガン無視して他の組み合わせを確認する。

 気になるハルカの最初の対戦相手は……ルチアだ。

 

「………こりゃ初っ端からかなりの相手と当たったな」

 

 経験の差がデカい上にメガシンカ使い……いや割とマジで、ちょっとハード過ぎない?




主人公、シュウに辛辣……。仕方ないね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。