ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード 作:メンマ46号
sideミテキ
紆余曲折を経てようやくキンセツシティに辿り着いた俺達は早速ジム戦の為にキンセツジムの前に来ていた。
「ここがキンセツジムか…三つ目のバッジも必ずゲットだぜ!」
「ピッピカチュウ!」
「俺は四つ目だけどな」
「二人ともその意気だぞ」
「頑張ってね!ミテキ!サトシ!」
「今度はどんなバトルになるのか楽しみだな〜!」
冗談混じりにマウントを取りつつ、俺は今回のジム戦の為に選抜したポケモン達のモンスターボールに手を添える。今回はホウエン組ではなく、本気のシンオウ組を起用してのジム戦だ。気合いも一層高まる。
「どっちからやる?」
「またジャンケンだな」
挑戦の順番について話しながら扉の前に立つ。そしてキンセツジムの扉が開くと俺達が入るより先にある人物がジムから出て来た。
「クロス!?」
「……お前か」
出てきたのはムロ島で出会ったアローラ出身と思われる不良トレーナーのクロスだ。劇場版以上にカントーでよくサトシと揉めたらしい。
「お前まさかキンセツジムに挑戦したのか!?」
「だったら何だ」
サトシの質問に対して煩わしさ全開のクロス。この様子だとジム戦は勝利してバッジは手に入れているだろう。
サトシを適当にあしらい、クロスは俺に向き直る。
「フタバタウンのミテキ。前回はなぁなぁになったが、今回はバトルして貰うぞ」
「……俺達これからジム戦なんだけど」
後にして欲しい。心の底から。
「てかお前ジム戦したばっかだろ?ポケモン休ませてやれよ」
「問題ない。使ったのは一体だけだ。そいつ以外でやる」
「しゃーねーか」
まぁ、ジム戦に使う予定のないポケモンで相手してやれば良いか。俺はモンスターボールを一つ取り出してバトルできる場所を探す事にする。
だがここでサトシが割り込んできた。
「待てよクロス!ムロ島での俺とのバトルはまだ決着が付いていないんだ!バトルするなら俺が相手だ!」
「……ま、ムロ島でもお前がサトシに勝てたなら相手してやるって条件だったしな」
クロスは舌打ちしながらもサトシに向き合う。案外こういうとこは律儀なんだな。なのにポケモンは捨てるのか。こいつの中での自分ルールはどうなってんだ。意味わかんねーな。
この街のポケモンセンターに行き、バトルフィールドを借りてサトシとクロスは向き合う。サトシは早速モンスターボールを取り出してポケモンを繰り出す。
「ヘイガニ、君に決めた!」
サトシが繰り出したヘイガニを見てクロスは怪訝な顔をして尋ねる。
「……お前、まさかピカチュウ以外の手持ちはホウエンで捕まえたメンバーか?」
「だったら何だ!」
肯定するサトシの答えを聞いてクロスは信じられないものを見るような顔をする。気持ちはよく分かる。クロスは隣のポケモンセンターを親指で指差して手持ちの入れ替えを促す。
「……待ってやる。そこのポケモンセンターで何でも良いからまともに戦えるポケモンと入れ替えて来い」
「必要ない!お前がこの間馬鹿にしたヘイガニ達で倒してやる!」
クロスの言葉が癇に障ったらしいサトシはムキになってホウエン組で倒すと息巻いている。クロスは嘆息してボールからポケモンを繰り出した。
「ガオガエン、トゥアームズ!」
「ガオガエンか……。セキエイ大会の時よりパワーアップしているな」
「ガオガエンはほのおタイプ!みずタイプのヘイガニが有利だよ!」
クロスの一番手はガオガエン。タイプ相性こそ有利だがポケモン図鑑で確認するまでもなくレベル差があり過ぎる。敢えて相性の悪いポケモンを出す程だ。10や20じゃきかない程に差が開いている。あのレベルのガオガエンを相手にするなら俺だってホウエン組は使わずシンオウリーグまでを戦ったポケモンを使う。
俺はクロスの手首を確認する。……Zリングは、着けていない。常に身に付けてはいないだけか、それとも……手に入れられなかったか。
「かかって来い」
「後悔するなよ!先手必勝!ヘイガニ、アクアジェット!!」
マリルが使っているのを見て覚えたらしいアクアジェットで先制攻撃。だがサトシの戦い方を知っているクロスもそれは読んでいたらしく、ガオガエンは先制技で迫るヘイガニにかわらわりでカウンター。
「ヘイガッ!」
「ヘイガニ、大丈夫か!?」
たったの一撃でフラフラになるまでダメージを受けてしまったヘイガニ。このままじゃ次の一撃で終わりだぞ。やっぱりレベル差があり過ぎる。
「フン、やはりこの程度か。ムロ島で随分とボロ負けしていたようだが、実力は相変わらずのようだな。弱い奴は弱いままだ!」
「何だと!?俺のヘイガニを馬鹿にするな!俺と一緒に頑張って強くなっているんだ!」
俺のヒスイダイケンキに負け続けていた事を指摘して鼻で嗤うクロスと見え透いた挑発に乗るサトシ。うーむ、ムロ島での修行で身に付けた判断力が発揮できていないな。それ程にクロスとの因縁は根深いらしい。
「ヘイガニ、りゅうのまいだ!」
「ちょうはつ」
攻撃の回避と確実なダメージを狙うつもりか、りゅうのまいで攻撃と素早さを上げようとするサトシに対して、クロスはちょうはつで変化技を封じてくる。素のステータス差で指示が後でも動き出しはガオガエンの方が早い。
てかあのヘイガニ、りゅうのまい使えたんだ。りゅうのまいガブリアスにもくれよな公式。
「だったらバブルこうせんだ!!」
「DDラリアット!!」
変化技を封じられたサトシは特殊技で牽制しようとバブルこうせんを指示。だがクロスはこのレベル差なら防御や回避は不要と断じて正面突破。
トドメのDDラリアットをまともに喰らったヘイガニはそのままノックアウト。完全に気絶して戦闘不能だ。タケシも同様の判定を下す。
完全に交代させるつもりなのかクロスはガオガエンをボールに戻す。サトシは次のポケモンを繰り出した。
「キモリ!君に決めた!」
「サンドパン、トゥーアームズ!!」
サトシはキモリ、クロスはアローラサンドパンを出した。アローラ地方のリージョンフォームのサンドパンで、タイプはこおり・はがねだ。ハルカはポケモン図鑑でアローラサンドパンを検索して原種と見比べて驚いている。
さっきは敢えて不利な相性でバトルしたが、今度は容赦なく相性有利なポケモンで来たか。
「キモリ!かげぶんしんだ!」
まずはかげぶんしんで回避率を上げる。闇雲に突っ込みはしないだけ冷静さは残ってはいるが、アローラサンドパンの技なら簡単に対処できてしまう。
「スピードスター!!」
必中技のスピードスターでキモリに攻撃しつつ、本物を特定する。元々原種からして特攻は低く、アローラのすがたなら尚更低い特攻種族値だが、スピードスターでかげぶんしんと本物を見極める使い方は全然アリだ。
本物を見つけると一気に距離を詰め、アローラサンドパンはその爪を振るう。
「つららばりとれんぞくぎりを合わせろ!!」
つららばりはこおりタイプの連続攻撃技。れんぞくぎりはむしタイプの技で文字通り連続して使うと威力を倍増させる技だ。発射するはずのつららばりを爪に纏わせて連続攻撃のれんぞくぎりか。効率的に威力の増加と弱点攻撃を両立させてやがる。スキルリンクの特性を持つポケモンで似たような事をしていたらえげつない事になっていたな。
技と技の合わせ技。俺も偶にやるが、それができる程にポケモンを育成して仕上げるのは一苦労だ。勝手な私見で役に立たないと見限ったポケモンを捨てるその人格はクソの一言に尽きるが、厳選したポケモンを育て上げ、バトルに活かすその腕前は認めざるを得ない。
文字通り、キモリは何もできずに一方的に負けた。
戦闘不能になったキモリをボールに戻してサトシは悔しさの余り叫び出す。タケシはそれを諌めようとするが、構わずサトシは次のポケモンを出そうとする。
「くっそぉーー!!」
「サトシ、熱くなり過ぎるな!それはムロ島での修行を無駄にする行為だ!」
俺はサトシの後ろに立ち、次のボールを投げようとするサトシの手首を掴んで止める。
「ミ、ミテキ!?何するんだ!?」
「やめろサトシ。お前の負けだ。これ以上やらなくても分かる」
これ以上はムロジムでの最初のトウキさんとのバトルの焼き直しになるようなもんだ。スバメもマリルもクロスのポケモンにはまだ勝てない。それが分かっているなら、ただ負けてポケモンが傷付くだけのバトルなんて無意味だ。シリーズ切り替わった訳でもないのにリセットなんかするんじゃねえ。
「分かってんだろ?これ以上熱くなって無謀なバトルをするなら、タケシの言う通り、ムロ島での修行を無駄にするだけだ」
「くっ……!」
感情では納得できなくても頭では理解しているのかサトシは腕の力を抜いて降ろす。歯軋りをして心の底から悔しいのが伝わってくるが、それでもヘイガニとキモリにあんな無謀なバトルをさせたのは褒められる事じゃない。
本当に勝つ事を考えるなら、最初からピカチュウだけ使うべきだった。
クロスはアローラサンドパンをボールに戻してサトシを詰り始める。
「ムロ島で言っていたな。お前のヘイガニは強いポケモンに負け続けても挑み続けるガッツがあると」
サトシはそれを美点と捉えたが、クロスはただの身の程知らずと捉えた。
「甘いんだよ」
だからこうして結果と理詰めでサトシを追い詰めてくる。
「ポケモン同士のレベル差を考慮せずにガッツだけで勝てるのか。気概に任せて勝手な友情だのなんだのと押し付け、駄目な選択をし続けてポケモンに敗北の屈辱を味合わせた。お前は最低のトレーナー…いや、トレーナー失格だ!」
明らかに言い過ぎだが最初の部分だけはクロスが正論だ。捕まえてまだ日が浅く、レベルも十分に上がっていないホウエン組ではクロスのあのメンバーには勝てるはずもなかった。隔絶したレベルの差とは戦術やタイプ相性、そして根性と気合いだけでカバーできるものじゃない。
圧倒的に育成が足りていない。それが最大の敗因だ。
同時にそれはアニメの各シリーズでサトシが地方リーグで優勝できなかった理由の一つでもある。
敗北という結果を突き付けられたサトシは反論できない。
だから俺から言わせて貰う。
「勝手な価値観を押し付けてポケモンを捨てるお前にそんな事言う資格はねぇよ」
確かにこのバトルにおけるサトシの選択は誤っていた。レベル差を考慮しないバトルは間違っている。
それでもポケモンに愛情を注がずに強さだけを求めるこいつがサトシを最低だのと詰る資格なんてない。
「そんな事はどうでも良い。それよりも……」
「サトシに勝ったしバトルはしてやるよ。どっちが最低のトレーナーか教えてやる」
ただし今回は一対一。俺は元々ジム戦の予定だったし、クロスはジム戦に一体、サトシ戦で二体使っているからな。
その前にサトシにポケモンセンターに行かせる。バトルをして傷付いたポケモンを治すのが何よりも優先だからな。俯きながら走って行ったサトシにマサトが着いて行く。
こうして急遽俺とクロスのシングルバトルをする事になった。だが、ヘイガニとキモリの事もあるし、速攻で終わらせてやる。
「ルガルガン!トゥーアームズ!!」
クロスが出して来たのはまよなかのすがたのルガルガン。
「手早く終わらせるぞ、レントラー!!」
対して俺は色違いのレントラーを出した。この手の奴はタイプ相性どうこうよりも純粋な実力で黙らせるに限る。
特性のいかくで攻撃力を削ぎ、互いに動き出す。
「じならし!!」
「でんじふゆう!」
初手で弱点のじめん技を出してくるのは読めていた。まずはでんじふゆうで浮いて暫くじめん技を死に技にする。舌打ちするクロスだが今度はこっちから仕掛ける。
「エレキネット!!」
「いわなだれで防げ!!」
素早さの利を削られるのは嫌なのかエレキネットを障害物で防ぎつつ、攻撃してくる。が、浮遊状態で軽快な動きを可能にしたレントラーは逆にいわなだれを駆け登り、上空に回避する事で容易くいわなだれの範囲から脱出して真上からもう一度エレキネットを発射。痺れと拘束を成功させたので、更に追加で嫌がらせをしようとした所、素早さを下げられたのを利用してうっぷんばらしでエレキネットを突き破った。あなをほるという選択肢もあったろうが、でんじふゆうがあるから除外したか。
ならばこっちはエレキネットを連射して徹底的に動きを封じる。二重三重にもエレキネットを重ねて暴れるルガルガンを抑えつける。素早さが下がってるんだ。うっぷんばらしを使って隙ができた所にまたエレキネットを命中させるなど俺のレントラーには簡単だ。
元々いかくで攻撃を一段階下げられているんだ。これ以上素早さのステータスを下げられるのは奴も避けたいだろう。遠隔でチマチマとエレキネットを連発されるのはうっぷんばらしを使っていても鬱陶しいだろうな。
連発を防ぐ為にクロスとルガルガンはまたいわなだれを繰り出して妨害してくる。……仕込むなら今だ。
ガチガチに拘束したルガルガンが動けないのを確認していよいよレントラーの真価である物理技を発動する。このタイミングじゃうっぷんばらしの威力増加は見込めないぞ。
「ワイルドボルトだ!!」
その瞬間、クロスの口元がニヤリと歪んだ。瞬間、幾重にも重なっていたエレキネットが全て千切れて自由になったルガルガンがタイミングを合わせてワイルドボルトで突っ込んでくるレントラーにカウンターとしてげきりんを叩き込んできた。
「あの程度のエレキネットが破れないと思ったか!うっぷんばらしを使ったのはこのカウンターの為の囮!本命はげきりんでエレキネットもレントラーも纏めて叩き潰す事だ!!」
「そう来ると思ったぜ」
げきりんが命中したレントラーの姿が消失した。驚くクロスだがすぐにカラクリに気付いた。
「……みがわりか!」
「正解。このカウンターを引き出しつつ、こっちの反動を抑える為にチマチマエレキネットで体力削ったんだよ。いわなだれで視界を塞いだのは失敗だったな」
以前のムロ島のバトルでルガルガンはサトシのピカチュウ相手にも技の方のカウンターを使っていたし、セキエイ大会のバトルでもこの手のやり方で逆転していた。映画でもガオガエンで逆転勝ちしていたような気もするし、なんならヘイガニとのバトルでもカウンター戦法はやってた。多分この手のちゃぶ台返しが十八番なんだろう。
だったらそのカウンターを台無しにしてやれば良い。みがわりはそれに打ってつけ。さっきのエレキネット妨害の為のいわなだれはその為の布石に丁度良かった。後はワイルドボルトの反動ダメージをなるべく抑える為に予めルガルガンの体力を削っておく。途中まではクロスの思惑に乗れば良いだけ。
げきりんを空振りして無防備な背中に今度こそワイルドボルトを当ててルガルガンを戦闘不能に追い込んだ。
「ルガルガン、戦闘不能!レントラーの勝ち!よって勝者ミテキ!!」
「やったぁぁっ!」
「喜んでる暇なんかないぞ!サトシのヘイガニとキモリの様子を見に行かないと!」
ハルカが喜びの声を上げたが、今はサトシのポケモン優先だ。レントラーと共にすぐそこのポケモンセンターに駆け込み、キモリとヘイガニの安否を確認する。
クロスが拳を固く握り、歯軋りをして不機嫌そうにその場から去って行ったのを目の端で捉えた。
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入ったポケモンセンターの中でサトシはどんよりした空気を纏って座り込んでいる。ムロ島の時よりも重症だな。マサトも何と声をかければ良いか分からないようだった。
サトシとマサトに勝ったぞとだけ伝えて俺も消耗したレントラーをジョーイさんに預ける。
「クロス、強かったわね……」
俺が勝った時と打って変わってハルカが暗い雰囲気の中、さっきのサトシのバトルを振り返る。確かに大口叩くだけあって実力は本物だった。だが本来ならサトシもあそこまで一方的にやられる程じゃなかったはずだ。クロスと戦って勝ったからこそそう思う。
タケシは落ち込むサトシにさっきのバトルについて苦言を呈する。
「だが大分無茶したとは思うぞ。カントーで何度かクロスとは揉めたが、あいつの強さは良く知っていただろう。ガオガエンとアローラのサンドパンは良く育てられていた。今の手持ちじゃピカチュウ以外はまともに戦えないのはサトシも分かっていたはずだ。せめてリザードンやフシギダネがいないと……」
「でも俺は初心に帰ってピカチュウだけを連れてホウエンに来たんだ。それを曲げてちゃ……」
「それはそこまでして貫かなきゃいけない拘りなのか?」
俺は思わず口を挟んでいた。アニメで観たサトシの舐めプ癖については前世でも子供心ながらに思う所はあった。あの頃は番組制作上の大人の都合なんて頭になかったのも大きいが。
例えばアドバンスジェネレーションでバトルフロンティアを制した後、ダイパ編になってサトシはシンジというクロスに良く似た感じのトレーナーといがみ合うが、バトルフロンティアを制したサトシがシンジに一歩遅れているような描写は子供だったからこそ全くもって納得できなかった。
その一因になっていたのが、それまでのシリーズのポケモンを使わずにリーグ挑戦するという舐めプ。特にダイパ編冒頭辺りはリザードンやジュカインを使えばシンジなんてボッコボコだろ!なんでそうしないんだよとか思ってたっけ。改めて考えるとガキの考えだなぁ……。その辺はシンジも大体同じ条件だったってのに。
それを踏まえてもレベルの低いエレキッド相手にピカチュウが引き分けなのは今でも意味分かんねーけどな!
でも俺は敢えてそこを突っ込む。これはサトシよりもサトシのポケモンの為に俺の考えを述べる。
「力の差は歴然だった。ポケモン達をそんな無謀なバトルに挑ませて、悪戯に傷付けてまで拘る事だったのかって聞いてんだよ」
今回のクロスはアニメのシンジとは条件が大きく違う。クロスは今までの旅で育てたポケモンを全部使っている。その時点でレベルが対等じゃないのは当たり前。サトシは自ら不利な条件を選んで戦っている。トレーナーの腕前以前の問題だ。勝てなくて当たり前。
どうしてもヘイガニ達をクロスとのバトルで使いたいなら、奴等に通用するくらいに育ててからにするべきだ。
「そもそもお前はまだ初心に帰る程のトレーナーでもないだろ」
「ミ、ミテキ!?」
地方リーグ優勝すらできてないレベル。それも単純な戦績で言えば一年トレーナー歴の浅い俺の方が優秀な成績を残している。その俺を見てそんな舐めプを貫くのは正直どうかと思う。
「タケシだけじゃなくクロスも暗に言っていた事だが、さっきのバトル、シロガネ大会までを共に戦ったこれまでのポケモン達を使っていれば十分に勝機があったバトルだった」
レベル差の暴力ではあったものの、サトシ自身の腕前はムロ島での修行もあって決してクロスに負けていない。だったらポケモンのレベルが近いなら勝ち目はある。そしてその条件を満たすレベルのポケモンをサトシはちゃんと持っているじゃないか。
だがサトシはその考えに納得できないようで、反論してくる。
「強いポケモンを選べば勝てるなんて、そんなのクロスと一緒じゃないか!」
「全然違えよ。個体としての強さを選ぶあいつのやり方とは違う。紛れもなくお前が愛情込めて育てた事で強くなったポケモンだろ。そいつらをお払い箱にしてホウエンで捕まえたポケモンだけに拘る方がクロスのやり方に近い」
かなり捻くれた見方になるが、今までのリーグで結果を出せなかったから、新しいポケモンに完全に切り換えると捉えられなくもない。それこそ弱いと判断したポケモンを捨てるクロスのやり方と重なる。
サトシにはそんなつもりはないだろうが、あの荒れ具合じゃクロスはその内分かった上でサトシを追い詰める為にそんな事言って来そうだ。
「でも!あいつが馬鹿にしたヘイガニの事だってちゃんと認めさせないと……!」
「クソみてーな奴に認められて嬉しいのかよ?お前もヘイガニも」
「な……」
……少し話が逸れたか。
「カントーやジョウトを一緒に旅したポケモン達はお呼びじゃないのか?どうしてもホウエンで捕まえたポケモンじゃないと駄目なのか?」
そのポケモン達はこれまでのリーグでサトシを優勝させてやれなかったという想いを抱えているだろう。ある意味では今度こそサトシを優勝させたいという想いはホウエンで捕まえたポケモンよりも強いはずだ。
「クロスとの因縁に決着を付けたいのは……本当にあいつに自分を認めさせたいのはちょっと悪口言われただけのヘイガニじゃなくて、見限られて捨てられて辛い想いをしたリザードンじゃないのか?」
それにリザードンを捨てたトレーナーがアニメのモブではなく、クロスならばリザードンはまだ蟠りを完全には解消できていないはず。リザードンが過去を乗り越えて前に進む為にもリザードンと共にクロスと戦うべきだ。
「そんでもってホウエンの仲間を強くしたいなら、尚更カントーやジョウトでのポケモン達を呼んで交流させたり、ポケモン同士で一緒にトレーニングや技の教え合いなんかをさせてみるべきだろう。何ならキモリ達に格上のバトルを見学させて、成長を促すってやり方もある」
実際俺はトウカジムではマリルリ達にバトルを見学させたしな。バトルを見せるのも立派な育成だ。
結局俺が今サトシに言いたい事はハッキリしている。
「今までのポケモン達も、ホウエンで捕まえたポケモン達もみんなひっくるめてお前の仲間だろ?ジム戦もポケモンリーグも、クロスとの因縁も、
俺が一通り言いたい事を言えばサトシは俯いて黙り込んてしまった。……ちょっと言い過ぎたかな?でも後悔はしていない。
「頭冷やして良く考えろ。ポケモン達と一緒に歩むってのがどういう事なのか、お前の目指すポケモンマスターがどんな在り方なのか」
それだけ言って俺は一足先に宿泊している部屋に戻る事にした。今日はもうジム戦なんて気分じゃない。
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一晩明けて、回復したレントラーを受け取った俺は同じく回復したキモリとヘイガニを受け取ったらしいサトシとバッタリ鉢合わせした。
結局あの後は気まずくてサトシとは話さなかったんだよな。
朝飯の前にこの辺を解決しておこう。
「……ごめんサトシ。昨日は言い過ぎた」
「いや、良いよ。ミテキの言ってる事も間違ってないって思ったんだ。俺はまだ初心に帰る程のトレーナーじゃないってのも良く良く考えたらその通りだったし」
俺は言い過ぎたと思い、謝るとサトシも正論だったとこっちの言い分を認めて語り出す。
「色々考えたけど、全然答えなんか出なくってさ。勿論俺が決めていた初心に帰るって考えは大事だって今でも思う。でもそれじゃジョウト地方までを一緒に旅してきたポケモン達を蔑ろにしてるって言われても仕方ないんだよな」
俺はそこまで言うつもりはないが、昨日も述べた通り、クロスなんかは言ってきそうではある。自分の事を棚に上げて。
「どっちが正解かなんて今の俺には分からない。だから一度ポケモン達と一緒に全力でぶつかってみたら良いんじゃないかって思ったんだ」
「ぶつかる?何に?」
サトシは俺の前にモンスターボールを突き出す。……あのモンスターボール、ちょっと古い。少なくとも
「ミテキ、俺とバトルしてくれ!」
ZAじゃサトシゲッコウガの扱いはどうなるんだろ?サンムーンみたくちゃんとした変身とメガシンカ染みた性能アップあって欲しい。