ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード 作:メンマ46号
sideミテキ
今回のジム戦はクロスの馬鹿のせいであまりに腑抜けてしまったテッセンのじいさんに熱い気持ちを取り戻して貰う為のバトル……のつもりだったが、勝手に立ち直ったのでガチ目のバトルとなった。
何気にでんきタイプのジムは初めてだからな。気合い入れねえと。ハルカの前でカッコ悪いとこは見せられねぇ。
「使用ポケモンは四体!今回に限りジムリーダー側の交代制限は無しとします!」
ジムトレーナーから改めて今回のルールが説明され、じいさんから先に一番手のポケモンを出す。
「ゆけい!ライチュウ!!」
ライチュウで来たか。多くのでんきタイプのジムでは鉄板とも言えるチョイスらしい。まぁ何が来ようと一番手は俺も既に決めていた。
「行くぜ、ドサイドン!!」
対して俺はドサイドン。俺のポケモン中でも屈指のパワー自慢だ。だがそんなこたぁお構いなしにじいさんは早速ライチュウに指示を飛ばしてきた。
「アイアンテールじゃあ!!」
まずは硬質化した尻尾を振るってのアイアンテール。ライチュウの尻尾はピカチュウと比べて長く、柔軟性があり、よくしなる。ピカチュウのアイアンテールが刀の一閃ならば、ライチュウのアイアンテールは鞭のそれだ。一直線に来るのではなく、軌道の読めない攻撃を的確に防ぐ事は重量級のポケモンには難しい。ドサイドンも上手く尻尾の先を掴んでガードなんて事は出来ず、横っ面にまともにアイアンテールを喰らってしまう。
それでも微動だにせずにライチュウを睨む。いくら効果抜群とはいえ、タイプ不一致の攻撃だ。ハードロックの特性を持つ俺のドサイドンなら耐えられる。
だが当然、瞬発力ではドサイドンはライチュウに大きく劣る。それ故にアイアンテールの一撃を許してしまった。
スピードでは勝てない?違うな。重量級には重量級の戦い方がある。
ライチュウの尻尾を掴み、力づくで引っ張り寄せる。その腹に岩石の拳を叩き込んでやる!
「アームハンマー!!」
重量級のポケモンの多くは耐久力にも優れている。相手にスピードを活かした近接戦を誘い、一撃を仕掛けた所を狙い討つカウンター型のバトルを想定してこそだ。
腹にアームハンマーをモロに喰らったライチュウを地面に叩き付けてドサイドンの右手で抑え込みにかかる。
抑え付けさせて続けてじしんを叩き込んでやろうとすればその指示より早くテッセンの声が放たれる。
「しんそくで抜け出せい!」
しんそく!?九州新幹線の配布個体かよ!?ホウエンのモデルは九州だけども!
予想外の一手だったがライチュウではドサイドンを相手にするのは厳しいと感じたのか、じいさんはライチュウを引っ込める。今回はジムリーダー側も交代有りだからな。
「次はお前さんじゃ、ゆけいレアコイル!」
次に出て来たのはレアコイルだ。中々良く育てられているのが分かる。戦い方によっては俺のジバコイルにも引けを取らないだろう。だからこそ敢えて尋ねてみる。
「ジバコイルじゃないんすね?」
「ジバコイルは別に持っとる。使い分けもあってコイツは進化はさせん。レアコイルの方が速いからの!」
よく分かってるじゃねえか。だがスピードでライチュウに劣るレアコイルをここで起用するという事は……!
「ラスターカノン!」
「やっぱり遠距離戦で来たか!」
元々レアコイルは特殊型のポケモンだ。特防の低い傾向にあるいわポケモンが相手だし、当然の戦い方と言って良い。
すなあらしで特防を上げても良いが、はがねタイプを持つレアコイル相手じゃ継続ダメージを与えられない。やるとしても今じゃない。アームハンマーで地面を抉り、そのパワーで隆起させる事で盾を作ってラスターカノンを凌ぐ。
「戻れドサイドン」
ここは一度ドサイドンを引っ込める事にする。勝てない事もないが、不必要にダメージを負う必要はない。
「次はお前だ!頼むぜミカルゲ!」
二体目にミカルゲをチョイスして繰り出す。サトシとのフルバトルでバタフリーに負けるなんて失態を晒させてしまったので、その分の汚名返上を兼ねてエントリーした。
「シャドーボールだ!!」
「ラスターカノンじゃ!!」
様子見を兼ねて互いに特殊技を撃ち合う。だがじいさんは明らかにワンテンポ遅く攻撃を指示した。そのラスターカノンはシャドーボールを突き破り、ミカルゲに僅かながらもダメージを与えてきた。
明らかにラスターカノンの威力がドサイドンとのバトルより上がっている。まさかとは思っていたが、あのレアコイルの特性はアナライズか。……そっちをジバコイルにした方が良くね?ミスマッチしてんぞ。
「チャージビーム!」
すかさずチャージビームで追撃してくる。成程、攻撃の順番を自分である程度調整する為に素早さ種族値が僅かでも高いレアコイルのままにしているのか。常にアナライズを発動する後攻の方が良い訳ではないからな。常に後攻になって技出す前にやられましたじゃ特性の意味がないし。
今のチャージビームの追加効果で特攻が上がったようで続けてラスターカノンを叩き込みにきた。
「ふいうち!」
そこで俺はふいうちで先手を取り、物理的に吹っ飛ばす事でレアコイルの照準をズラしてラスターカノンを外させる。今のはギャンブルだったな。アナライズで威力上がってただろうし。
「きんぞくおん!」
すると今度はミカルゲの特防を下げて来た。アナライズ込みで一気に決めるつもりか。ならばこっちはわるだくみで特攻を上げに行く。それを見てじいさんはこちらが特殊技で攻めて来る事とレアコイルが物理よりも特殊に弱い事から警戒してひかりのかべを使って来た。
「フルパワーのシャドーボール!!」
その隙を突いてミカルゲに溜めが僅かに長いシャドーボールを使わせる。レジェンズアルセウスで言う力業って奴だ。シーキンセツにいたとはいえ、元々はシンオウ出身で間違いないはずだ。ヒスイ地方の時代から生きていたのかは知らないが、このミカルゲは力業と早業の使い分けができる個体だった。地味に俺の他のポケモン達の誰も身に付けていない技術だぞ。
わるだくみで特攻が上がった状態で撃つ力業のシャドーボールを受けてレアコイルはズタボロだ。ひかりのかべを使ったのにこの有様にじいさんも分かりやすく驚いている。
「ど、どういう事じゃ!?」
俺のミカルゲの特性はすりぬけでーす!ひかりのかべなんて意味ありませーん!
流石にミカルゲというポケモン自体が希少過ぎて十分な情報が出回っておらず、夢特性まで把握してはいなかったらしい。名が広まっているミカルゲ使いはシロナさんくらいだし、そのシロナさんのミカルゲも通常特性のプレッシャーだからな。
ネタバラしはしない。自分の情報アドバンテージを失くすなんて馬鹿のする事だ。今ここでサトシがバトル観てるんだからな。
トレーナーも困惑し、蓄積したダメージでフラついている事で上手く動けないレアコイルに追撃のシャドーボールを喰らわせてトドメを刺す。
「レアコイル、戦闘不能!ミカルゲの勝ち!」
「良いぞミカルゲ!」
これでサトシ戦の屈辱は多少は拭えただろう。
そしてじいさんは次のポケモンを出す。ライチュウを再投入するようだ。こっちはミカルゲを続投する。特防は下がっているが、ふいうちを使えばやりようはあるし、向こうはレアコイルが残したひかりのかべがあるからすりぬけの特性のアドバンテージがある。
ライチュウが使った技はアイアンテールとしんそく。ミカルゲはシャドーボール、ふいうち、わるだくみ。お互いに技枠はまだ残っている。
睨み合うミカルゲとライチュウ。ミカルゲが睨んでるかどうかはよく分からないが、とにかく互いに睨み合う。先に動いたのはライチュウだ。
「ライチュウ!アイアンテール!!」
「ふいうち!」
読み通りのアイアンテールで来たので、こちらもふいうちで先手を取りに行く。だが読んでいたのは向こうも同じようで、その柔軟でしなる尻尾を自在に動かしてミカルゲのふいうちをライチュウの尻尾が盾となり阻む。攻撃技を防御に応用して来たか!
事実上ふいうちをガードされたミカルゲは驚いて動きが一瞬固まる。その隙を見逃す事なく10まんボルトをぶち込んできた。おまけに追加効果のまひを引いたらしく、痺れて動けなくなった所を追撃のアイアンテールで大きく後退させられる。
「トリックルーム!」
ここでこちらは最後の技枠としてトリックルームを発動。流石に成長の場であるジム戦でみちづれを使う気はない。リーグでの奥の手の一つとして隠しておく。使い所は考えておかないとな。
それにふいうちが対策された上、まひで素早さが下がった以上はこちらが先に動いて火力を上げた特殊技のシャドーボールで攻め立てるしかない。
「シャドーボールを連打!早業だ!!」
トリックルームで素早さが逆転したので、早業でシャドーボールを連続して叩き込む。わるだくみで特攻が上がっているから火力は問題ないしな。だがじいさんはそれすらも潜り抜けてきた。
「しんそく!そしてボルテッカーじゃあぁぁっ!!」
先制技のしんそくでトリックルームの素早さ逆転を無視し、そこからボルテッカーを発動。通常よりも加速したボルテッカーは威力も増強され、ミカルゲはそれをまともに喰らってしまった。
「ミカルゲ、戦闘不能!」
さすがにここまでダメージが蓄積してのボルテッカーは耐えられず、ミカルゲは倒れる。でもよくやってくれた。まだ俺の仲間に加わって日が浅い中でジム戦をしてレアコイルを倒し、後続の為にトリックルームを残してくれた。十分過ぎる働きだ。
チラリとサトシを見ればピカチュウ共々まじまじとライチュウを見ている。前にバトルレコーダーでレッドのピカチュウのボルテッカーと相棒技を見せて存在は知っていたが、いざ実物を生で見て、その威力を目の当たりにした事で俄然興味が湧いたんだろう。
「もう一度行くぞ、ドサイドン!!」
俺は最初のバトルの決着も兼ねてドサイドンを出した。
じいさんはライチュウの技枠の半分がでんき技でドサイドンには効かない事から交代をしようかと一瞬思案する。俺がその一瞬を見逃す訳がなく、トリックルームで先に動けるドサイドンにステルスロックを撒かせる。判断が遅い。by鱗滝。
さっきのバトルじゃじしん発動前に交代したからまだ技枠はアームハンマーとステロしか使ってないのだよ。
体力の残り少ないライチュウを引かせる為に後続にダメージを負わせるのは割に合わないと判断したのか、じいさんは腹を括ってライチュウに喝を入れる。
トリックルームの素早さ逆転状態でまともにやり合っては蹂躙されるだけと理解しているじいさんはまたもやしんそくを指示。とはいえしんそくは元々PPの少ない技だし、メインウェポンのアイアンテールと組み合わせて何とか手早く仕留めたいだろう。
しんそくで馬鹿正直に突っ込むのではなく、ドサイドンの背後に回り込んでのアイアンテールを仕掛けてくる。だが、技と技を連携して使うまでにはタイムラグがあり、トリックルームの逆転状態ならドサイドンの鈍足でもそこを突ける。
「のろいだ!」
「ぬうっ!?」
素早さを犠牲に攻撃と防御のランクを上げる。だがトリックルームのおかげでそれはプラスにしかならない。そして一歩遅れてライチュウのアイアンテールがドサイドンに当たるが、既に防御が上がっていてハードロックの特性もある事で冒頭の焼き直しにしかならない。
当然、ドサイドンはいつものやり方に従い、ライチュウの尻尾をしっかりと掴んでいる。しんそくで動いても尻尾が引っ張られて痛いだけだぞ。
「今度は尻尾を離すなよ!抑えつけてじしんだ!!」
尻尾を振り回して地面に叩きつけてその腕で抑え込む。そしてトドメのじしんを叩き込んでKO。これぞ重量級の戦い方だ。今回はそこまでトリックルームを活かしてはいないが、それはこれからだ。
「ライチュウ、戦闘不能!ドサイドンの勝ち!」
これで半分か。何気にこのライチュウもかなり強かったな。
じいさんは何処か満足そうにライチュウをボールに戻して、闘志を燃やして次のポケモンが入ったボールを取り出す。
「良いぞミテキ君!君とバトルしていると若き日の事を思い出す!あの熱き日々を!!」
じいさんの若い頃の事なんて心底どうでもいいが、そう叫んで投げたボールから出て来たロトムに尖った岩が食い込み、ダメージを刻む。
三体目はウォッシュロトムか。じめん対策はバッチリってか。じめんを等倍にできるくさ複合のカットロトムにはしていないらしい。まぁハガネール相手だから結果的には弱点を突けるが。
「ロトム!ハイドロポンプじゃ!!」
多分ロトムは普段のジム戦では自重しているポケモンだろう。クロスも今のじいさん相手にバトルを挑めばさっきの騒動の原因となる暴言なんて到底吐けやしないだろう。
ライチュウを早目に片付けられたからトリックルームの恩恵はまだ続いている。取り敢えずドロポンを喰らうのは遠慮したいので先に動けるのを利用してレアコイルのラスターカノンの時同様にアームハンマーで地面を抉って盾を作り、ドロポンを凌いでいる内に交代。三体目としてハガネールを繰り出す。
「次はハガネールか……徹底した電撃対策とミカルゲのトリックルームを組み合わせたスピード対策という訳じゃな!!」
じめんタイプでないミカルゲを入れた本当の意図もここまでくれば流石に分かるか。サトシとのフルバトルでは墓穴を掘りかけたが、本来ならこうしてハガネールとドサイドンの為の連携だったからな。
特に俺のハガネールの素早さはかなり低い。ちょっと計算してみた事があるのだが、恐らくは逆Vと言って良いくらいだ。
だが元々素早さ種族値の低いハガネールに速さなんて必要ない。
「ロトム!あやしいひかり!」
「ハガネール、ジャイロボール!!!」
そしてそれ程に鈍足だからこそ、トリックルームが活きる上、ジャイロボールの威力もより上がる。
素早さ逆転状態ではジャイロボールを避けようにも間に合わず、ロトムはモロに喰らった。
衝突で生まれた砂煙が晴れるとロトムはすっかりのびていた。折角のあやしいひかりも発動すら出来なかったな。
「ロトム、戦闘不能!ハガネールの勝ち!」
試しで撃ってみたが、四分の一ダメージの相手も一撃で仕留められる程だ。ジャイロボールがあるハガネールの鈍さは武器だ。トリックルームで素早さを逆転しての蹂躙は刺さるだろう。元々ハガネールはジャイロボールとボディプレスを主軸にしていたが、これは良い。
今の所ハガネールがミカルゲのベストパートナーかもな。フェアリータイプに弱点も突けるし。今度はダブルバトルで試してみよう。
ここで丁度トリックルームの効果が切れて素早さの優先順位は元通りになる。前回のサトシとのバトルと今回とで俺のミカルゲのトリックルームの効果時間は大体把握できた。こういうのも多少の個体差があるからな。
「これが儂の切り札じゃ!ゆけい!ライボルト!!」
最後にステロのダメージを負いながら出て来たのはライボルトだ。
ライボルトか……基本特殊型のポケモンだし、バトルスタイルと技枠的にドサイドンはじしんしか打つ手が無いな。ハガネールはまだジャイロボールしか使っていないが、ロックカットで素早さを上げないと素早さの種族値的にも捉える事自体難しいだろうな。だがそれをするとジャイロボールの威力が下がる。
何よりあのライボルト、メガストーン付きの首輪を付けてやがる。つまりもっと素早くなる。
そこをトリックルームで何とかできるミカルゲが既にやられている現状、まずは弱らせないとドサイドンやハガネールで戦うのは現実的ではないので俺はハガネールを下げて四体目であるガブリアスを出した。
「やはりガブリアスで来たか……」
したり顔で予想通りと言わんばかりのじいさん。最早タイプ相性が不利だとかそんな事は微塵も気にしていない。ライボルトのスピードで形勢をひっくり返す自信があるんだろう。そこにはクロスの言葉で意気消沈していた老耄の面影など無い。
そしてテッセンもまた、袖を捲ってキーストーンが着いたメガバングルを見せつけてくる。やはり最後の関門はメガシンカか!
「先生!?いくらなんでもジム戦でそれは……「構わねえ!使わせろ!」えぇ!?」
メガシンカを使ってくれるなら願ったりだ。こんな貴重な機会を逃す手はない。テッセンのじいさんは良くぞ言ったとばかりに笑ってキーストーンをライボルトナイトと共鳴させて輝かせる。
「ゆくぞ!ライボルト、メガシンカ!!」
「ジム戦でメガシンカだなんて……」
「でもミテキだってメガシンカしたポケモンを倒した事があるから分からないよ!」
タケシとマサトがジム戦でのメガシンカという事態に驚いているが、そうは言ってもそれを成し遂げたのはゴウカザルだけだ。シンオウリーグの決勝で一回、それ以前で一回。そしてそのゴウカザルは今回エントリーしていない。
冗談抜きでここから万全のガブリアスを筆頭にドサイドンとハガネールもやられて三体抜きされる可能性はある。
それでも挑む価値はある。
「行くぞガブリアス!メガシンカポケモンを倒せば俺達ド成長できるぞ!」
メガシンカしたメガライボルトを前にガブリアスもその爪を構える。
「ドラゴンクロー!!」
「躱せ!フィールドを駆け回って撹乱するんじゃ!!」
ガブリアスのドラゴンクローが届く前にメガライボルトの姿がガブリアスの眼前から消える。周囲を超スピードで駆け回って、一瞬で見失ったか。
あのスピード……メガシンカ直後から素早さが上がってやがる。あのメガライボルトは第七世代仕様か。
ナーフを喰らった特性同様、メガシンカにも実は個体差がある。素早さの種族値変化の影響だ。素早さの変化がすぐには出ない第六世代の仕様とすぐに出る第七世代の仕様での違いだ。これに関してはカントー御三家みたいな素早さの変化がないメガシンカポケモンには関係ないが。
これはどちらが良いかは一概には言えない。重量級で元々素早さを重視していないようなポケモンにはそこまで影響はない。だが素早さが強みのポケモンにとっては大きく戦況を左右する要素だ。
例えばガブリアスはメガシンカしたら素早さの種族値が下がるが、ライボルトは見ての通り上がる。
仮に俺のガブリアスが第六世代仕様だとすぐには素早さは落ちずに暫くは高いスペックでのぶつかり合いができるが、バトルの途中に何の合図もなく急に減速してバトルの流れを狂わせるリスクを背負う事にもなる。
逆に第七世代仕様なら、メガシンカしてその瞬間に素早さが下がってしまう。バトル中に変なタイミングで減速する事は無いが。
逆にライボルトみたいな素早さが上がるタイプは第七世代仕様でメガシンカした瞬間にスピードアップするのは分かりやすく強化と言えるし、第六世代仕様でもバトル中に加速できるのは特性のかそくと類似しているから戦術的価値まである。
素早さが上がるタイプだろうと下がるタイプだろうと、第六・第七世代仕様のどちらが良いと取るかはトレーナーとポケモンの実力やバトルスタイルによって変わる。
ポケモンがメガシンカした時、素早さがどちらの仕様となり、それをトレーナーがどう運用するかがバトルの勝敗を左右する大きな鍵になるのは間違いない。
「めざめるパワー!!」
何度もドラゴンクローを余裕を持って躱し、ガブリアスの背後に回ってめざパを叩き込んでくる。それをモロに受けたガブリアスは吹っ飛び、前のめりに倒れる。
「ガブリアス!大丈夫か!?」
ガブリアスはすぐに立ち上がって、首を縦に振るが、僅かによろける。
あのダメージ、確実に四倍弱点を喰らった時のそれだ。つまりあのめざめるパワーはこおりタイプ……ライボルトがめざパこおりとか孵化厳選でもしたのかアンタ!?
にしてもあのメガライボルト、ホント速えな。ガブリアスも上手く捕捉できないからまだ一撃も入れられていない。マジでガブリアスにりゅうのまいくれよ公式。
「すなあらし!!」
ここは継続ダメージを与える手を取らせて貰う。後でドサイドンに交代した時に特防を上げられるようにしておきたいしな。にしてもガブリアスの特性がすながくれじゃない事を惜しいと思ったのはこれが初めてだ。
さてどうするか……メガライボルトは速過ぎてガブリアスでもまともに攻撃を当てられない。マニューラやゴウカザルなら当てられるんだろうが、それは今考えても意味ねーし……。
となるとどうにかして動きを止めるしかないな。てかすなあらしの継続ダメージを嫌ってあまごいを使う事も期待してたんだが、流石に読まれてるな。あまごいを使って止まった瞬間にガブリアスなら攻撃をヒットさせられるとじいさんもガブリアスの技量を見抜いてる。クロス本当節穴だな。
でも砂嵐で視界を遮っているからこそ、じいさんも下手を打って来ない。攻撃当てられないのにいばるとか使われたら最悪だからな。
向こうがめざパをメインにしてくるのは変わらないだろう。ライボルトの覚えられる技で他にガブリアスにダメージを与えられるのはこおりのキバくらいで、それを使えばカウンターの餌食になるのはドサイドンのバトルで分かってるだろうし、ガブリアスのさめはだも警戒しているだろう。そもそもライボルトは特殊型のポケモンだ。
それでもすなあらしの継続ダメージもある中で三体抜きしなきゃならないのなら、ガブリアスを早めに仕留めたいはず。ドサイドンとノーダメージのハガネールとやり合う力も残しておきたいだろうし。
「シグナルビームじゃ!!」
混乱狙いなのか等倍のシグナルビームで攻め立てて来た。万一にも混乱する訳にはいかないのでガブリアスは俺が指示するまでもなく回避に専念する。この砂嵐じゃメガライボルト側は視界が悪くなるし、じめんタイプのガブリアスはハッキリとメガライボルトの姿を確認できる。
あのスピードを攻略するには、足止めが一番確実か。ならば三つ目の技はこれしかない。
「ガブリアス、うずしおだ!!」
「うずしお!?なんで!?」
巨大な水の渦を作り出し、相手にぶつける拘束技。当たればライボルトの足をある程度止められる。
拘束しようにもそもそも当たらない?ならばアプローチを変えれば良い。今メガライボルトにもダメージが入る要素がフィールドにあるじゃないか。
「水を広げろ!フィールドを包む砂嵐を巻き込んで…いや、すなあらしにうずしおを便乗させろ!!」
「何ぃ!?」
砂嵐と混ぜ合わせる事でうずしおの範囲をフィールド全体に拡大して無理矢理当てれば良い。
「こんな滅茶苦茶なバトルをミテキがするなんて……」
「サトシがミテキから影響されたように、ミテキもサトシにインスパイアされていたって事だな」
フィールドに吹き荒れる砂嵐に乗せる形で拡大されたうずしおが飛び散り、まるで台風のように砂と水がぐちゃぐちゃに混じった泥が四方八方に降りかかり、でんきタイプのメガライボルトも嫌がっている。攻撃そのものにはならなかったが、砂嵐の継続ダメージ効果もうずしおの拘束効果も消えた訳ではない。
拘束された上、地面が泥でぬかるんで動きづらくなった上にうずしおと砂嵐の二重ダメージ。思考も掻き乱したこのタイミングがチャンス!!
「距離を詰めてドラゴンクロー!!」
「ぬぅ…!とぎすますじゃライボルト!!」
ライボルトは元々覚える技的にもガブリアスを相手にするのは不向きなポケモンだ。特殊技での対処は難しいと踏んだのか、ドラゴンクローは喰らう覚悟でとぎすますを指示した。
ドラゴンクローをまともに喰らったものの、メガライボルトはすぐにガブリアスに正面から向き合い、とぎすますによる確定急所攻撃を発動する。
「めざめるパワーじゃ!!」
「ガブリアス、じしんだ!!」
口からこおりタイプのめざパを放つメガライボルトに対し、こちらは直接じしんを叩き込む。互いに効果抜群の技が真正面から直撃。振動による砂煙、めざパによる冷気、そして今もなお降り注ぐうずしおと砂嵐が混ざった泥の雨。その全てが混ざったかのような衝撃が全てを吹き飛ばした。
すなあらしの効果が切れ、拡散したうずしおも同時に力を失って爆散する。そうして残ったのはフラフラになって今にも倒れそうなガブリアスとメガライボルト。
「……見事じゃ」
じいさんの言葉と同時にメガライボルトのメガシンカが解除され、通常状態に戻ったライボルトが倒れた。
「ライボルト、戦闘不能!ガブリアスの勝ち!よって勝者、チャレンジャー、フタバタウンのミテキ!!」
「っ!!しゃああああっ!!」
向こうの真価であるでんき技を封じての相性勝ちではあるものの、勝ちは勝ちだ。ガブリアスもまた、ゴウカザルと同じく自身の特別な強化無しでメガシンカに勝ったポケモンとなった。
とはいえ、相性ゴリ押ししてこの様じゃ俺達もまだまだだな。正に紙一重の勝利だったし、ガブリアスが負けてたらドサイドンとハガネールだって負けていたかもしれないくらいにメガライボルトは強かった。うずしおで拘束しなければまともに攻撃を当てられなかったし、その為に砂嵐と混ぜ合わせて拡大して範囲を広げたり、泥を浴びせるなんて発想はサトシと一緒にいたからこそ、インスピレーションを刺激され、型に嵌まらないで考える事ができた。
フルバトルで技に対するふきとばしなんて見たからな。技と技を掛け合わせる事は前からやっていたし、変化技によるフィールドの天候に技そのものを便乗させるのも不可能じゃないんじゃないかと思ったんだ。
次は敢えて不利な相性でジム戦するのも良いな。逆境から勝利を掴むサトシのスタイルも取り入れたいと思ってるし。
「お疲れさん、ガブリアス。ゆっくり休んでくれ」
ガブリアスに労いの言葉をかけてボールに戻す。お前も不慣れだろうにこんな型破りな発想によくついて来てくれたな。
「ミテキ君、見事じゃった。ポケモン同士の技と交代による連携とバトルの組み立て、そしてポケモンとお互いに信じ合って戦い抜いた君はこのダイナモバッジを受け取るに相応しい!!」
じいさんはそう言ってバッジを手渡してくれる。俺はそれを受け取り、敬意を込めて頭を下げる。
「ありがとうございました!!」
満足してスッキリしたような顔のじいさんからダイナモバッジを受け取った俺はサトシと入れ替わりで観客席に向かいハルカの隣に座る。今からサトシのジム戦の応援だな。
「にしてもメガシンカか……」
今俺の手元にあるのはメガバングルに仕込まれたダイゴさんに貰ったキーストーンのみ。
俺のポケモンでメガシンカが可能なのはガブリアス、サーナイト、ルカリオ、ハガネール。進化すればメタングとキモリもそうだな。てかはがねタイプ多っ。
うーむ、ユキワラシは♀だったし、夢特性という訳でもなかったし、たまたまめざめいしを持っていたからユキメノコに進化させたが、メガシンカの事を考えるとオニゴーリにしても良かったかもな。
何にせよ、バッジも半分集まったし、そろそろ本格的にメガストーンを探さないとな。特にガブリアスとサーナイトはかなり重要だ。
そう考えているとベルトに装着してあるゴウカザルのモンスターボールがピクリと動いた。……まぁゴウカザルにもメガシンカがあればと思った事は何度もあるが、ないものねだりしても仕方ない。いつかアローラ地方でZワザ獲得しような。
それはそれとしてガブリアスにりゅうのまいはくれよ公式。竜舞ガブならもっと楽に勝ってたし素早さ下がるメガガブリアスには必要なんだよ!
14.ドサイドン(♂)
特性:ハードロック
備考:サイホーンの時、214番道路で捕獲。親分肌で面倒見が良く、ナナカマド研究所では幼いポケモン達に大人気なのは主人公も知らない。エーフィとニンフィアも良く甘える。
18.ハガネール(♂)
特性:いしあたま
備考:ハガネールの時、鋼鉄島で捕獲。加入時の接点が多かった事からルカリオの事を何かと気にかけている。