ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード 作:メンマ46号
sideミテキ
クロスの馬鹿のせいで俺達のジム戦ができなくなる危機が去って、俺のジム戦が終わり、今度はサトシのジム戦だ。
「使用ポケモンは三体!どちらかのポケモンが全て戦闘不能になったらバトル終了です!尚、バトル中、ポケモンの交代はチャレンジャーのみ認められます!」
ワットさんの説明が終わり、いよいよサトシとテッセンのじいさんのジム戦が始まる。まずはじいさんが一体目を繰り出す。
「ではまずはお前さんじゃ!ゆけい!マルマイン!」
「ゴマゾウ、君に決めた!」
マルマインに対して初手はゴマゾウか。じめんタイプで手堅く来たな。だがマルマインは素早さ種族値150という規格外だ。種族値だけで見ればメガライボルトだって上回っている。当然、ガブリアスにも及ばない素早さのゴマゾウではまともに攻撃を当てられない。
ゴロゴロと転がってゴマゾウの周囲を猛スピードで移動し続けるマルマイン。まずは撹乱か。だが構わずサトシは攻撃を仕掛けた。
「ゴマゾウ、じならしだ!!」
マルマインは転がっての移動が基本だ。ライボルトと違ってジャンプをするのにも手間がかかり、その前に振動を喰らってしまう。いくら素早くても転がるしかないマルマインでは対応が難しい。故にじならしを迷わず選んだんだ。ついでに言えば素早さを下げられるからゴマゾウも戦い易くなる。
ゴマゾウのレベルから逆算しても今のマルマインのレベルではでんじふゆうは覚えていないだろうしな。例外もあるけど。
「ものまねじゃ!!」
上手い。ものまねでじならしをコピーして150という素早さ種族値を活かし、後出しでも同時発動まで漕ぎ着けてじならしを相殺した。……いや、違う。僅かに先出しして向こうがタイプ一致の威力を引き出す前に振動をぶつけて相殺しているんだ。同時にやっていたらタイプ一致相手に相殺はそれなりのレベル差がなきゃできないからな。
しかもものまねは交代するか戦闘不能になるかするまで持続する。つまりこのバトルでじいさんとマルマインはものまねの技枠でじならしを使える。だがこれででんじふゆうを覚えていないのは確定か。
「じだんだを踏め!!」
「お?」
サトシは間髪入れずに二つ目の技を指示。じだんだでもう一度振動を与えに行き、マルマインがものまねの技枠で再度じならしを発動しても今度は相殺させずに押し切り、効果抜群のダメージを与えた。
「ど、どういう事!?」
「じだんだは一つ前に出した技が失敗したり、まひや怯みなんかで行動自体が出来なかったりした後に使うと威力が二倍になる技なんだ。だからものまねでじならしをコピーしたマルマインが先出ししても相殺し切れずにダメージを受けたんだ」
「そっか!さっきのじならしを相殺されたのも失敗に入っていたんだね!」
カラクリが分からず驚くハルカに解説し、マサトも納得する。サトシの奴、元々咄嗟の判断には光るものがあったが、これはちゃんと技の知識がないとできない事だ。つまりサトシはゴマゾウの使える技についてちゃんと勉強していたって事だ。
「サトシも成長しているって事さ。変化技の事だけじゃない。さっきのミテキのジム戦もそうだけど、サトシとミテキがお互いに与えている影響と得ているものはもっと沢山あるはずだ」
俺の考えを読み取ったのかタケシは嬉しそうに語る。確かにそれはそうだ。さっきのジム戦でのガブリアスへの指示だって、砂嵐にうずしおを便乗させるなんて破天荒な考えはシンオウを旅していた頃の俺じゃ絶対に思い浮かばなかった戦法だ。自覚はあるが、アレはサトシのやり方を見ていたから生まれた発想。
そしてじだんだのダメージを受けたマルマインが態勢を立て直す前にサトシとゴマゾウは畳み掛ける。
「まるくなる!そしてころがるだ!!」
一気に三つ目と四つ目で技枠を使い切ってのまるころコンボ。アニメでもゴマゾウ系列の十八番のイメージはあったな。対してじいさんとマルマインはゴマゾウの攻撃が全て物理技故にリフレクターを展開。ダメージを減らす手を取ってきた。
「ゴマゾウの技枠は使い切っているが、サトシが優勢か。効果抜群のじめんワザでダメージを与えた上に、ものまねでコピーしたじならしで同じじならしを相殺してもしだんだの増幅攻撃に繋げられる。そしてまるくなるで防御力を上げつつころがるで動き回る事でマルマインのスピードに対抗するつもりだ」
俺の推測通りサトシはゴマゾウにころがるを続行させてマルマインを追跡させながら攻撃させようとする。当たった瞬間にじならしも叩き込みたい所だが、ゴマゾウにそれだけの技量はまだなさそうだな。それに相手は素早さ150族。そう簡単には捕まらずに双方転がり続ける鬼ごっことなる。だがここで先に動いたのはじいさんだった。
「マルマイン、エレキネットじゃ!!」
じいさんがチョイスしたのはでんき技のエレキネット。普通ならばじめんタイプのゴマゾウには無効となる技だが、重要なのはその使い方だった。
マルマインは眼前にエレキネットを展開し、網の性質を利用してころがるで突っ込んでくるゴマゾウの足止めをしている。じめんタイプは電気で痺れないだけで、電気そのものをすり抜けられる訳じゃないからか。
「頑張れゴマゾウ!突き破るんだ!!」
サトシの声掛けでゴマゾウはより一層力を込めて回転するが、それでもエレキネットを破るには至らない。その理由は単純。エレキネットを挟んで目の前にマルマインがいるからだ。正確にはマルマインを中心に先程展開したリフレクターが発動している。あのリフレクターのせいでころがるの威力が弱まっていてエレキネットを破れないんだ。
「あの使い方……ミテキがダイゴさんとのバトルでしたのと同じかも」
「確かに……あの時はレントラーがエレキネットでドリルライナーを使うエアームドを足止めしていたな」
となるとこのタイミングでじいさんも仕掛けるはず。ものまねでコピーしたじならしか?
だがじいさんが次に指示した技は最後の四つ目の技枠。
「ロケットずつきじゃあぁっ!!」
エレキネットとリフレクターに引っ掛けて足止めした事で溜めの時間は充分。マルマインは真正面からころがるで自分にぶつかろうとするゴマゾウにロケットずつきで突っ込んだ。
0距離でロケットずつきを受けたゴマゾウは網とリフレクターで自身の勢いが弱まっていた事もあり、あっさり力負けして後方へぶっ飛んだ。まるでビリヤードで押し出された玉のように。いや、加えて言うならパチンコで射出された玉でもある。その二重の勢いで後方の壁に激突した。
その衝撃で発生した煙が晴れればゴマゾウが目を回して倒れていた。
「ゴマゾウ、戦闘不能!マルマインの勝ち!」
「ガッハッハ!どうじゃサトシ君!でんきタイプでじめんタイプは倒せるぞい!」
エグいなあの威力…。アレはマルマインのスピードもあったからこその威力だ。そのスピードが完全にロケットずつきとシンクロしていたから生まれたパワー。
クロスとのジム戦でもこういう戦い方をしていればあんな様にはならなかったんだろうけど、本人も言っていた通り守りに入り過ぎていたんだな。こういう攻めた戦い方こそがじいさんのバトルの真骨頂かもしれない。
「凄いやテッセンさん…。ゴマゾウ戻れ!後はゆっくり休んでいてくれ」
ゴマゾウを交代させてサトシは二体目を繰り出す。選ばれたのはキモリだ。何だかんだでAG編のエースだからな。
「キモリ、君に決めた!」
「サトシの二体目はキモリだね……」
「良い選択だ。マルマインには及ばずともキモリは素早いし、ゴマゾウがコピーされたじならしも効果は今一つ。エレキネットもそうだ」
「けどロケットずつきでマルマインの防御力は上がっているし、リフレクターだってまだ残っている。じならしもエレキネットも強みの素早さを下げてくる。何よりキモリ自体は特殊型に向いた性能だけど、サトシのキモリはほぼほぼ物理型だろ。まともなタイプ一致特殊技もメガドレインくらいだし、結構不利だぞ」
ゴマゾウでマルマインを仕留められなかったのは痛いな。俺のキモリであのマルマインに挑むならくさぶえの一つでも使わせたい所だがタマゴ技だし、マルマインの特性がぼうおんだったら技枠が無駄になるだけだ。後は特性がせいでんきやゆうばくの可能性も考慮すると尚更特殊技で攻めたいが……。
「キモリ、かげぶんしんだ!」
サトシはまずは回避率を上げる。確かにこの状況下なら向こうの技的にもマルマインのスペック的にも俺も同じ事をする。正確にはこうそくいどうとの二択だが。
「エレキネットじゃ!!」
マルマインにエレキネットを乱射させて、次々とかげぶんしんを消していく。まずはエレキネットで捕まえるつもりか。動けなくなった所を容赦なくロケットずつきで仕留める算段なんだろう。マルマインだってゴマゾウからタイプ一致の弱点のじめん技を受けてるんだ。あまりバトルを長期化させたくないはず。
だがサトシは更にかげぶんしんを増やしてキモリの位置を特定させない。こうなれば今のじいさんとマルマインに取れる手は一つしかない。
「じならしじゃ!!」
ものまねでゴマゾウからコピーしたじならし。範囲攻撃だし、キモリが地に足を着けている以上は回避できない。振動でかげぶんしんは全て消せるし、じらなしを受けるのを嫌って飛び上がればエレキネットの餌食だ。
「そうはいくか!キモリ、でんこうせっかで距離を詰めろ!」
サトシは二つ目の技にでんこうせっかをチョイス。だが、マルマインはリフレクターで物理攻撃に強くなっている。ただ正面からぶつかっても大したダメージは期待できない。
だがここでサトシはサトシらしいアニポケ殺法を見せてくれた。
「マルマインの上に飛び乗れ!!」
なんとサトシはキモリにマルマインの上に飛び付かせる事でじなしの振動を回避。技枠を使い切って10まんボルトなどで迎撃できないからこその足場として利用した。
だがここで終わらないのがサトシの滅茶苦茶戦法。マルマインの上ならばエレキネットは心配ないが、ロケットずつきで真上に吹き飛ばされるリスクがある。それを見越してこのじならし発動中のタイミングでの指示だった。
「たたきつけるで地面に密着させろ!じならしの振動を喰らわせてやるんだ!!」
飛び乗った瞬間にたたきつけるを使う事でコピーしたじならしの振動をマルマイン自身に体感させた。確かに既に発動した振動はマルマインのコントロールを離れている。普通ならそれでもマルマイン自身がダメージを負う事はない。だからこそのたたきつける。より地面に密着させる事でマルマイン自身に振動ダメージを届かせたんだ。
そして自分で発動した技だからリフレクターの半減は受けない。
「……何と」
「マルマイン、戦闘不能!キモリの勝ち!」
サトシの目論見通り、効果抜群のじめん技を自分で受けてマルマインは気絶した。
本当に滅茶苦茶な奴だ……。かげぶんしんはエレキネット回避以上にコピーしたじならしに頼らせる為の誘導。ゴマゾウによる蓄積ダメージから逆算しての一連の流れ。何よりこれを成したのは素早さ150族のマルマイン相手でも先手を取れる先制技のでんこうせっか。
エレキネット回避だけならかげぶんしんではなく、こうそくいどうでもできた事。実際最初に俺はこうそくいどうとの二択と考えた。
だが仮に俺が自分のキモリを使ってそれをやっていたら、この勝ち方は出来なかった。じならし発動までいけても俺は技枠をケチってこうそくいどうで接近させてのたたきつけるを選択するだろう。だがそれではマルマインに先手は取れなかったかもしれない。
かげぶんしん、でんこうせっか、たたきつける……この三つの技だからこそできた勝ち方だ。
サトシはそこまで計算していた訳じゃないんだろう。ほぼほぼ直感だろうし。だがサトシは直感的にこの勝ち方まで見えていたって事だ。
面白え…!サトシは俺にはない発想をいくつも思い付く。俺が上に昇るのには絶対に欠かせない要素だ。
サトシの底の深さを垣間見た気がした俺がそんな事を考えているとじいさんは次のポケモンを出す。
じいさんの二体目はエレキッド。中々厄介なポケモンを出してくれる。
「エレキッドか…よーし、キモリ!でんこうせっかだ!」
丁度リフレクターの効果も切れたのでサトシは遠慮なく物理技で攻めていく。対してじいさんとエレキッドはどっしり構えて迎え撃つ。
「受け止めてでんじはじゃ!そしてれいとうパンチ!!」
でんこうせっかを敢えて受けて至近距離からでんじはを確実に当てる。痺れてまひ状態となり、動きが鈍った所を弱点攻撃のれいとうパンチ。あまりにも鮮やかな流れだ。
効果抜群の技を喰らって苦しい顔のキモリだが、サトシだって馬鹿じゃない。すぐに最後の技としてメガドレインを使い、攻撃と回復を図り、再度かげぶんしんを使って回避率を上げる。
「キモリはまひ状態……素早い動きは難しいぞ」
「そういう意味でもこうそくいどうじゃなく、かげぶんしんを使ったのは正解だったな」
だがかげぶんしんで本物が分からないのであれば全体攻撃という事でじいさんはエレキッドにほうでんを指示。効果今一つとはいえ、かげぶんしんを消されて追撃を受ける。おまけとばかりに今度はひかりのかべを展開。メガドレインでのダメージと回復を制限してきた。
これで互いに技枠は使い切った。
「かげぶんしんを使う暇は与えん!エレキッド、れいとうパンチじゃ!!」
「キモリ、でんこうせっか!そのままたたきつけるに繋げろ!」
まひ状態で下がった素早さの影響で先手を取られぬように先制技で攻撃するキモリ。真正面からでんこうせっかを受けてもエレキッドはそれがどうしたとばかりにれいとうパンチを振るう。が、ここでキモリはサトシが指示するよりも先にかげぶんしんを発動。大袈裟に何体も出すのではなく一体だけ出して技を省略し、少しでも早く次の行動に繋げてれいとうパンチを空振りしたエレキッドにたたきつけるをお見舞いして、文字通り地面に叩き付けた。
ある意味アレも早業かもしれん。キモリ自身はそこまで意識してなさそうだし、サトシも深く考えいる訳じゃないだろうが。
だがこの一連の流れでエレキッドもかなりダメージを受けている。幸運にも最後のたたきつけるに至っては急所に当たったらしい。
「メガドレイン!!」
ひかりのかべがあったとしても僅かでも回復すべく、メガドレインでエレキッドの体力を吸い取る。だがエレキッドは体力を吸われながらもその手に冷気を宿して立ち上がる。
「エレキッド!れいとうパンチでトドメを刺してやれぃ!!」
「キモリ!全力のたたきつけるだ!!」
対してサトシとキモリもメガドレインをしながら、オタチの最後っ屁とばかりにたたきつけるを発動。互いにクリーンヒットして目を回して倒れた。
「キモリ、エレキッド、両者戦闘不能!」
キモリとエレキッドのダブルノックアウト。これだけ不利な状況で良く相打ちまで持って行ったな。これで完全にイーブン。互いに残す所はあと一体か。
二人共ポケモンを労い、ボールに戻すと先にサトシが最後の一体を繰り出した。
「ヨーギラス、君に決めた!」
最後の一体はヨーギラスだ。
バタフリーの件から予想はしてたけど、ヨーギラスも仲間にいるらしい。親の件はどうしたんだろうか。……それはそうと改めて昨日までホウエン組縛りをしていたのを馬鹿じゃねえのって言いたくなる。ホウエン組と大差ないレベルだし、ヨーギラスは最初から連れて来いよ。
バンギラスになればリザードンに並ぶ最強クラスの切り札になるじゃねえか。600族舐めんな。メガシンカだってあるんだぞ。なんなら俺だって欲しいくらいだ。いずれハルカと一緒にジョウトに行ったら絶対捕まえてやる。
そう言えばBWでも折角ダイパ終盤で捕まえたフカマルを連れて行かなかったな。こっちはこっちで600族筆頭のガブリアスになるのに。このアドバンスジェネレーションの旅を終えてまたピカチュウ以外全員置いてくなんてやらかしたら勿体ないお化けが出るぞ。流石にもうそんな事はしないと思うが。
「頼むぞ!モココ!」
じいさんの三体目はモココか。ライボルトと違ってメガストーンは身に付けてはいない。まぁまだデンリュウまで進化していないし、そもそも俺とのバトルがイレギュラーだっただけで普通はジムリーダーはメガシンカなんてジム戦で使わないしな。
さて状況はお互いに最後の一体でまだ技は使っていない。じいさんとモココの側はエレキッドが残したひかりのかべがまだあるが、ヨーギラスは物理型のポケモンだし、覚える技も特殊技はそこまでなかったはずだから気にする必要はないか。
「ヨーギラス、いやなおとだ!」
まずはいやなおとでモココの防御力を大幅に下げてきた。ヨーギラスの攻撃をより確実なものにするには良い判断だ。レベル的にまだコットンガードは使えないはずだしな。
「モココ!あやしいひかりじゃ!!」
対するじいさんは混乱を狙ってあやしいひかり。モココは防御力が下がり、ヨーギラスは混乱した。防御力が下がっても相手が混乱しているならモココが有利。そのままモココはヨーギラスに突っ込んでいく。
「けたぐり!!」
ヨーギラスは体重が72kgというどう考えてもリュックに入れて運ぶなど不可能な重さだ。普通に背負えないし、リュックも千切れる。当然けたぐりの威力は80にも及び、効果抜群である事もあって倍のダメージとなる。
「しっぺがえし!」
だがその重さ故にダメージは受けても思ったようには吹っ飛ばず、後手を取った事を逆手に取ったしっぺがえしの倍増攻撃がヒット。逆にモココが吹っ飛ばされた。こりゃノーガードの殴り合いか。防御力を下げられて一撃が命取りになるモココと混乱を上手く切り抜けられるかが鍵のヨーギラス。さて、互いにどうするか。
「ヨーギラス!いわなだれだ!!」
まずはサトシが範囲攻撃を選択。だが混乱しているヨーギラスは岩の発生ポイントを間違えて自分の真上を指定。そのまま自分でいわなだれを喰らい、埋もれてしまった。
「しまった!」
「混乱していてはいわなだれは上手く使えまい!モココ、どくどくじゃ!!」
ここでじいさんはどくどくを発動。混乱に加えて岩に埋もれて上手く動けないヨーギラスを毒状態にしてジワジワと追い込んでいく。特性もこんじょうだろうし、逆に利用されたな。既にダメージを多く受けているのに毒があればサトシも焦るだろう。そうなれば混乱状態のヨーギラスは余計に噛み合わなくなる。
「ヨーギラス!頑張れ!混乱なんかに負けちゃ駄目だ!」
故にサトシはヨーギラスの混乱を振り払えるように呼びかける。ボールに戻しての交代がもうできない以上はヨーギラス自身に訴えかけるしかない。
その声に応えたのか、焦点が合っていなかったヨーギラスの目がキリッと引き締まる。
「ギラッ!」
「ヨーギラス!」
「ほう…トレーナーの声に応えて混乱から抜け出したか!」
だがそれだけでは終わらなかった。その瞬間、ヨーギラスにある変化が起きた。
「ヨォー…ギラァー!!」
「何!?」
「ヨーギラス…もしかして!」
ヨーギラスの全身が真っ白に光り、姿形を変えていく。おお、このタイミングで来たか!
「サナギラァー!!」
ヨーギラスがサナギラスに進化した。おいおいトレーナーの声に応えて混乱解除して進化とかカッコ良過ぎだろ!!
「まさか進化とはの!じゃがもうじき毒が回る!ヨーギラス以上に身動きが不自由なサナギラスではその前にモココを倒すのは限りなく難しいぞい!」
「その前に倒してやるさ!サナギラス!10まんばりきだ!」
進化した事で覚えた技を既にポケモン図鑑でチェックしていたのか、サトシは早速最後の技として10まんばりきを指示してモココに攻撃。だがじいさんも今モココがそれを喰らえばやられてしまうのは理解している。じいさんの最後の技枠を使い、こうそくいどうを指示して回避に専念させる。
サトシが何度もいわなだれや10まんばりきを指示するが、じいさんもこうそくいどうを駆使して徹底的にモココに回避させる。そして時間を稼ぐ事でじいさんの狙いが浮き彫りになる。
「時間じゃ!これで毒のダメージが……ぬ!?」
毒のダメージの時間が来たがここでじいさんも気付いたか。サナギラスにダメージが入らない事に。実はサナギラスに進化した時からもう毒に苦しむ様子はなかった。混乱解除と進化のインパクトが強くて見逃してしまったのが失敗の要因だ。
「どういう事?進化する前にどくどくを受けていたのに……」
「そうか!サナギラスの特性だっぴが発動していたのか!だっぴはランダムで状態異常が治る特性だ!」
タケシの言う通り、恐らくは進化したその瞬間に特性が発動して毒がサナギラスの中から消え去っていた。つまりサナギラスの方には時間制限によるゲームオーバーはもうなかったんだ。
「ぬぅ……」
守りに入り過ぎていたな。これでじいさんとモココはけたぐりで直接サナギラスを仕留めるしかない。だがその前に10まんばりきを喰らう可能性が高いし、先に攻撃できて耐えられてしまえばしっぺがえしで終わりだ。
サナギラスになって防御力は上がっている。体重も増えているからけたぐりのダメージも高まってはいるが、五分五分だな。
「モココ!あやしいひかりじゃ!!」
するともう一度混乱を狙い、あやしいひかりを指示。確実に仕留める準備に出たか。
「いわなだれだ!あやしいひかりを遮れ!」
対してサトシはいわなだれで壁を作り、あやしいひかりを遮断。そして互いの姿が見えなくなったこの瞬間を狙い撃ち。
「10まんばりき!!」
何といわなだれで作った壁に敢えて攻撃させ、自分で壊す。そして飛び散った礫をモココに命中させて怯ませる。そしてそのまま発動が続行した10まんばりきで突っ込み、モココを吹き飛ばした。
「モココ、戦闘不能!サナギラスの勝ち!よって勝者、チャレンジャー・マサラタウンのサトシ!!」
「よっしゃーーー!!やったぜサナギラス!!」
サトシの勝利が判定され、サナギラスに飛び付いて喜ぶサトシ。良いバトルだった。色んな意外性を見れたし、何よりサトシが過去に捕まえたポケモンと一緒に戦う姿が見られた。
「ガハハハハ!見事じゃサトシ君!ミテキ君といい、君達には驚かされたわい!」
そしてテッセンのじいさんは俺とのジム戦同様、大笑いしなから懐からキンセツジムを勝利した証であるダイナモバッジを取り出してサトシに差し出す。
「君のバトルは素晴らしかった。君達のようなトレーナーがこのジムに挑戦し、突破してくれた事を嬉しく思う。受け取ってくれ。ダイナモバッジじゃ!!」
「テッセンさん……はい!ありがとうございます!」
ついさっきまであんなに腑抜けていたとは思えない程に清々しい顔をするじいさんを見てサトシも笑顔でバッジを受け取る。お?お決まりのアレ来るか。
「ダイナモバッジ、ゲットだぜ!」
「ピッピカチュウ!!」
見ればいつの間にかまたボールから出たゴマゾウも一緒に喜んでる。
……しかしまさかヨーギラス…いや進化したからサナギラスか。バタフリーに続いてこいつまでサトシの元に残留していたとは。アニメで観たヨーギラスはそもそも正式にサトシの手持ちにはなっていなかったし、無印の期間でどんな原作隔離があったのやら。
サトシもキーストーンはもう持ってるし、もしかしたらリーグ戦の頃にはメガバンギラス使ってくるかもな。対抗するにはやっぱり俺のポケモンもメガシンカさせねぇと。この場合の有力候補はルカリオかな。
「ジム戦に育成にメガストーン探し……やる事多いけど、ワクワクするな」
早くメガストーンを揃えて、お互いに強くなってホウエンリーグでサトシとバトルがしたい。あのフルバトルだけじゃ物足りない。
余談だがジム戦後、サトシがテッセンのじいさんにしんそくとボルテッカーについて詳しく聞いていた。これはピカチュウのボルテッカー修得が早まるかもな。
前にサトシにボーマンダを使わせたらどうかというコメントが来てたんですが、惜しいと思いました。その時点でサトシにバンギラスを使わせる事は決めていたんで、600族という点で結構良い線行ってました。