ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード   作:メンマ46号

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難産でした。


国の為とか言う奴は大抵自分の為

 sideミテキ

 

「本当に申し訳ございませんでした!」

 

 今俺達の前で深々と頭を下げているのはミラージュ王国、王位継承権第一位の王女、セーラ姫だ。その側には現在の国王と王妃がいて頭を抱えている。

 

 ハンゾウとロケット団をフルボッコにした後、とりあえずこいつらをどうにかして貰おうとサトシのバタフリーのしびれごなで麻痺させて纏めて縛り上げて引き摺りながら王宮に直行した。通ったのが砂利道だったのはこの国の整備の問題だ。俺は悪くない。

 

 仮にも摂政を縛り上げていた事で一時は兵士から不審を買ったものの、懇切丁寧に経緯を説明し、証拠品としてロケット団も提出すると、元々ハンゾウが国王と国の政治で揉めていたりした事もあり、トゲピーの強奪もやりかねないと判断され、国の内部事情に巻き込んでしまった事と、ハンゾウの横暴についてこうして謝罪されるに至った。

 

「あなた方には大変な迷惑をかけてしまった。摂政のハンゾウとは国の在り方を巡って衝突している。ハンゾウはそなたのトゲピーを使って何やら企んでいたようだ……」

 

「あの、良かったら詳しく話して貰えませんか?」

 

 何だかんだお人好しなカスミは彼らの事情を尋ねる。首を突っ込まずにほっとく方針を即座に取る俺とは大違いだ。

 

 なんでもこの国は代々王位継承の為にトゲピーを見つけてパートナーとする事を使命としているんだとか。自由と平和の守護ポケモンとして崇められている事から、トゲピーに認められなければ王となる事を認められない訳か。

 まぁだからって他人のポケモンを奪おうなんてのは論外だがな。

 

 で、最後にはトゲピーが王の元から去る時が名実共に王として認められる時だとか。今の国王もそういう経緯を辿ったんだと。

 

「トゲピーって凄いポケモンだったのね!」

 

「僕も知らなかったよ!」

 

 感心するハルカとマサト。だが俺はどうにも素直にこの話を受け止められない。

 

 小規模な都市国家とはいえ、仮にも一国の未来をポケモンに依存するのはどうなんだ?国で代々そう伝えられるとか言われても勝手な都合を押し付けられるトゲピーの身にもなれって話だ。カスミのトゲピーなんかモロに人間のエゴに巻き込まれてるじゃないか。

 それにつまりその象徴とされるポケモン……今回はトゲピーに見放されたら一気に国が崩壊する事を示す。それにあのハンゾウとかいうジジイの行動はトゲピー達に失望されるには十分過ぎる。

 

「明日は本来ならばこの神殿で継承の儀が執り行われるはずでしたが……」

 

「継承の儀?」

 

「トゲピーを持つ者に王位継承権を授与する儀式の事です」

 

「私は定められた日までにトゲピーを見つける事ができなかったのです」

 

「あー。あのヒゲジジイがカスミからトゲピーを強奪しようとした理由はそれか」

 

 単純な野心からか、国の在り方を巡って揉めている今の王族に国の舵取りを任せられないと見限ったからか、理由は分からないし、興味もないがセーラ姫がトゲピーを持たない中、自らがトゲピーを持っている事で正当性を主張して王位に就こうとした訳か。

 仮にも国家運営するつもりなら他人からポケモンを強奪すんじゃねーよって話だが。そんなんが国のトップになったら遅かれ早かれ国は終わるぞ。

 

「それにハンゾウは守護ポケモンであるトゲピーの力を欲しているとも噂されているのです」

 

 トゲピーの力ねぇ……トゲピーはむしろ進化してからが本領を発揮するポケモンなんだがな。

 

「トゲピーの力ってどんなものなんだろう?」

 

 そりゃまひるみキッスだろ。白い悪魔と呼ばれる程の暴虐性は俺がシンオウリーグで示したからな。まぁ冗談はともかく、進化系のトゲキッスじゃなくてあくまでトゲピーの力が欲しいってのは気になるな。

 

 アニメのこの辺の話とかまるで覚えてねぇし。そういえばこのカスミ登場回でトゲピーが出なくなった気もするな。もしかしてトゲピー離脱すんの?でもサトシのポケモン離脱してない奴結構いるし……。

 

 すると今度はタケシがセーラ姫の前で膝をついてナンパを始める。

 

「どうかご心配なくプリンセス!自分は貴女をこの権力闘争からお救いするべくやって来たのです!」

 

「はいはい、分かった分かった」

 

「お!久しぶりの必殺技!」

 

 カスミがタケシの耳を引っ張って中断。そのまま退場させた。これがアニポケの伝家の宝刀か。……でもアレ普通に痛いだろうな。

 流石にマサトがあの制裁始めたら止めてやろう。身長差もあってカスミの比じゃない耳への負担になる。あの制裁はカスミだからこそ許される所あるな。

 個人的にはタケシの恋愛も上手くいって欲しいしな。そして俺とハルカの恋路を邪魔する形で耳を引っ張りやがったらソッコー泣かすからな。

 

 取り敢えず俺達は国内のゴタゴタにこれ以上巻き込まないという事で直ちに出国の手配をするという事で話が纏まり、暫くは来賓用の客室で待機する事になった。

 

「でもセーラ姫可哀想だったね」

 

「そうね……王女様なのにトゲピーに次の王様として認めて貰えないって事よね……」

 

「明日になってもトゲピーが来ないなら器じゃないって事だろ。国の未来とか継承をポケモンに左右されている時点でどうかと思うけどな」

 

 お手伝いさんに俺のトゲキッスからトゲピーのタマゴを貰えないかなんて相談もされたが、ポケモンがタマゴを産むタイミングなんて狙えるもんでもないし、そもそも俺のトゲキッスは♂だ。てかトゲピーのタマゴが手に入っても普通にハルカにあげるし、それらの問題がなくても俺のポケモンの子供をこの国に渡そうとは思えない。

 

「つーか、どうしてもトゲピーじゃなきゃ駄目なのか?」

 

 そもそもの話として国の方針で自分のパートナーポケモンが半ば強制される事自体おかしいとも思う。人間側もポケモン側も互いに通じ合ってこそのパートナーな訳だし、少なくとも人間側が伝統なんかを理由にこのポケモンじゃなきゃ駄目だと言うのはトゲピーにも失礼な気もする。

 

 単純に好きだから、通じ合えたからこのポケモンが良い。そんな理由で良いじゃないか。

 

 早い話が、国の伝統がどうとかじゃなくて、自分の心で選んでパートナーとなるべきだ。セーラ姫としては王族の責務だからトゲピーが欲しい……なんて理由じゃトゲピーに向き合おうとしてないようなもんだからそりゃ来ねえだろ。

 

「歴代の王様はそんな責務とか伝説とか関係なく、単純にトゲピーが好きだったから自然とパートナーになったとかそういう話なんじゃねーの?それが大袈裟に伝わって継承権とかそんなドロドロした話に繋がったんじゃないか?」

 

「確かに俺も最初のポケモンはフシキダネ、ヒトカゲ、ゼニガメじゃなくてこのピカチュウだったからな!」

 

「サトシ、そういう事じゃないと思うよ……」

 

 サトシの場合は余り物という理由もあって他に選択肢が無かった訳だし、微妙にズレてる……とは俺は思わない。最初のポケモンだって同じだ。初心者用の御三家だから相応しいとかじゃなくて結局はそのポケモンとトレーナーが心を通わせられるかだ。

 

 で、さっきも言ったがセーラ姫はトゲピーと心を通わせられる状態とは俺は思えない。次の王様になる為にトゲピーを必要としているだけに見えたからな。

 

 そんな人間の権力闘争に利用されるような事になればトゲピーだってそりゃ嫌だろう。セーラ姫の前に現れた所でハンゾウとの奪い合いに巻き込まれるのは目に見えてる。そりゃ現れねぇわ。

 

 で、肝心のハンゾウとロケット団は城の地下牢に閉じ込めてはいるらしいが、ハンゾウがどうやってロケット団にカスミのトゲピー強奪を依頼したのかは王様達にも分からないらしい。

 まぁロケット団はアニメでも通りすがりの困ってる人に自分達から売り込みかけて儲けようとしていた事は何度もある。でも今回は完全に別だ。仮にも一国の摂政な訳だからロケット団がそう簡単にコンタクトを取れる相手じゃないし、そもそもサトシのピカチュウを狙うロケット団は俺達を付け回しての行動を取るのが常だ。そんな状態で通るどころか近付いてもいないミラージュ王国摂政と関わりなんて持てるはずがない。

 

 ……ぶっちゃけこのミラージュ王国自体が凄く怪しい。

 

 俺は今度はあの姫さんがカスミのトゲピーを強奪しようとしても驚かない。そもそも摂政がロケット団と繋がりを持ってるような国なんだ。後ろ暗い事があってもおかしくない。それ程までにこの国はトゲピー狂いと言っても過言じゃない。いざとなったらぶちのめすだけだが。小規模な都市国家くらいなら武力制圧するだけの勝算もある。

 

「……ちょっとガサ入れするか」

 

 良い加減本当に鬱陶しくなってきたので、ここでロケット団も豚箱にぶち込んでやろうという気持ちもある。

 

 だからこそ俺はポケナビを取り出し、普段は着信拒否にしている番号に態々自分から電話をかける。

 ……あ〜あ、ナナカマド博士やミツミに口止めしてたのが水の泡。

 

「もしもしコウヤ、今大丈夫か?」

 

 怒鳴られたのは言うまでもない。

 

****

 

「凄い怒鳴り声だったね……。こっちまで聞こえて来たよ」

 

 帰りの為に手配された飛行船に向かう中、マサトにそう言われた俺の心境は微妙だ。正直関わりたくねぇんだよ国際警察。

 

「なぁミテキ、電話してた奴はなんでそんなに怒ってたんだ?」

 

「あー…それはな「ねぇみんな、見て見て!」」

 

 崖の上にある発着場を目指す中、ハルカが指差した先にある先程まで滞在していた王宮の真上の空に鏡や水面に写ったかのような上下逆の王宮の景色が浮かんでいた。恐らくは蜃気楼と思われるが、それを見てカスミのトゲピーが妙に思わしげな反応を見せている。

 

 その瞬間、妙な地響きが周囲を揺らした。停泊していた飛行船が振動を受けて大きく弾かれて崖の下に落ちた。

 

「な、なんだ!?」

 

 そして地面が砕け、巨大ロボットに乗り込んで這い出てきた。そのコクピットには地下牢に閉じ込めていたはずのロケット団とハンゾウが。どこにあんなもん用意して隠してたんだよ。お前ら地下牢に閉じ込められてたんだろ?

 

『逃しはせんぞ!!』

 

 ハンゾウの声と共に巨大ロボットの手から大きなカプセルが発射されて、モンスターボールの様に開いて俺達に迫る。

 

 飛んできた巨大なカプセルにタケシとハルカ、マサト、セーラ姫、お手伝いさんが閉じ込められた。俺とサトシはすんでの所で躱した。カスミは最初から捕獲の対象外だったか。

 

「お前達!しつこいぞ!」

 

『お前達!しつこいぞと言われたら!『私が欲するのは国王の座だけでなく、トゲピーの持つ力だ!その全てを手に入れた時、ミラージュの新しい歴史が始まる!!全てはこの国の未来の為!』』

 

 いつもの口上を垂れようとしたムサシだが、その前にハンゾウが割り込んで失敗した。何が国の未来だよ。自分の野心で動いてるだけだろうが。

 

『丁度良い!貴様のトゲキッスも頂くぞ!!』

 

「お前本当カスだな」

 

 誰が渡すかよ。王様になりたくて人のポケモン強奪しようとか、政治云々の前に人としてのアレコレから学び直せ。

 巨大ロボットのハッチがいくつか開いてヌケニンやテッカニンなどのポケモンがかなりの数出てくる。ありゃ50じゃ効かねえな。

 

「ピカチュウ、10まんボルトだ!!」

 

 まずはハルカ達が捕まったカプセルを破壊しようとするサトシだが、ピカチュウの電撃は通らない。

 

『ニャハハハ!いつもの通り、電撃対策はバッチリなのニャー!!』

 

「……壊すのにも時間がかかるだろうな。三人でやるしかない」

 

「みたいね……」

 

 俺はゴウカザルを出して、サトシもピカチュウと共に臨戦体制。カスミもポケモンを出したいだろうが、下手にボールを取り出そうとすればテッカニン辺りが、トゲピーを奪い取りに来る可能性が高いのでトゲピーをギュッと抱き締めて警戒を強める。むしタイプが苦手とか言ってられないようで、目は覚悟が決まってる。

 

「サトシ、ヌケニンの特性はふしぎなまもりだ。効果抜群以外の攻撃を無効化するというものだ。かたやぶりの特性でも持っていない限りは効果抜群以外では変化技しか通じない」

 

「じゃあピカチュウじゃ不利か……」

 

 この世界にメガストーン以外の持ち物の概念がなくて本当に良かったと思う。でなきゃ風船でんきテラスタルヌケニンがマジで成立しちまうからな。基本変化技以外でダメージを与えられなくなる。第四世代の改造ポケモンのふしぎなまもりミカルゲ程ではなくても、技枠の消費具合など場合によっては本当に詰む。まぁそうなっても俺にはラムパルドがいるから問題ないけど。特性かたやぶりだからな。

 

『それだけじゃニャいのニャー!!』

 

 スピーカー越しのニャースの声が響くと巨大ロボットの手が伸びてハルカ達を捕らえるカプセルを掴みにかかる。

 

「ゴウカザル、マッハパンチだ!!」

 

 ハルカ達を守る為にゴウカザルに指示を飛ばす……が、ロボットはカプセルを掴んで空高く掲げる。マジかよ、テッカニン軍団の他にもこの巨大ロボットからハルカ達を助けねえと!

 

「トゲキッス、サーナイト!力を貸してくれ!」

 

 ここで俺はゴウカザルの他にもトゲキッスとサーナイトを出す。サトシも他のポケモンを出そうとしたらロボットからハンゾウとロケット団が飛び降り、俺達の前に立つ。……自動操縦って訳じゃなさそうだな。

 

「さぁ、トゲピーを頂こうか!」

 

「あんた達なんかにトゲピーは絶対渡すもんですか!」

 

「ミテキ、こいつは俺が何とかする!ハルカ達を助けるんだ!」

 

「分かった。ヌケニンの対処法は分かってるな?」

 

 今のサトシの手持ちはピカチュウとバタフリーしか分からないが、まぁバタフリーがいればヌケニンはどうにでもなるだろう。むしろ厄介なのはテッカニン達。タイミングを合わせてゴウカザルのねっぷうとピカチュウのほうでんで纏めて対処しなければならないだろう。

 

 サトシはハンゾウと対峙し、俺はサーナイトにゴウカザル共々浮かび上がらせて貰い、ハルカ達の救出に向かう。

 

 そして肝心のカスミにはロケット団が迫る。

 

「ジャリボーイはハンゾウ様を相手にして手が離せない。その上ジャリボーイ4号も手出しできないならこっちのもんだ!」

 

「ジャリガール一人くらいなんとでもなるわ!」

 

「え?なんでそんな理屈になる訳?カスミはどう考えても俺やサトシより強いぞ?」

 

「「「え?」」」

 

 思わず俺はそう聞いてしまう。

 キョトンとして俺の発言の意味が分からないとでも言いたげなロケット団だが、俺からすればこいつらが口走った理屈の方が理解できない。なぜ俺やサトシがいなければカスミを制圧できるなんて考えになる?

 

「ジムリーダー資格持ってんだぞ。本気を出せば地方リーグ優勝すらできていない俺やサトシじゃ逆立ちしたって勝てないぞ」

 

 ジムリーダーになるには当然、相応の実力が求められる。ジムリーダーってのはジム戦においてはチャレンジャーのレベルに合わせた、“乗り越えられる壁”として戦うからこそ、負けるケースが多いだけだ。

 

 実際のバトルの腕前は超一流。四天王に準じる実力の持ち主達。それがジムリーダーだ。

 

「最低でもチャンピオンリーグ上位クラスの実力はある。下手な地方リーグ優勝者が本気のジムリーダーに挑んで手も足も出ずに負けたなんて話はザラにある」

 

 説明を聞き終えたロケット団はダラダラと汗を流し、ギギギ……と変な音が聞こえる動きで首だけをカスミに向けて凝視する。

 

「……そんな説明されたら」

 

「……ニャんだかジャリガールが」

 

「……とんでもなく強そうに見えてきた」

 

 てゆーか、ジョウトまでの旅でサトシがいなくてもカスミにボコボコにやられた事もあるんだろお前ら。

 

「そーゆー事。覚悟は良いかしら?」

 

 少し気分が良くなったように見えるカスミはモンスターボールを取り出し、ギャラドスを繰り出した。

 これはもう絶対負けねえなと思い、俺はサーナイトとゴウカザルと共にハルカ達を助けに行く事にした。途中で襲ってくるテッカニンはゴウカザルとトゲキッスに対処して貰う。

 

 

 

 

 サーナイトのテレポートでカプセルからハルカ達を出して、再び浮かびながら下まで降りるとロケット団は既にギャラドス一匹に蹂躙されてズタボロになって伸びており、サトシとカスミが二対一でハンゾウを追い詰めていた。見ればヌケニンも既に倒れている。バタフリーがやってくれたようだ。

 

「ピカチュウ!10まんボルト!」

 

「ギャラドス、ハイドロポンプ!」

 

 ハンゾウのポケモンと思われるテッカニンを丁度二体倒したようだが、そもそもが大量に用意されたポケモン達なのでこのままじゃジリ貧か。元々素早さ種族値に加えてかそくの特性も持っているから攻撃を当てるのも一苦労のようだし。

 

「ミテキ!みんなを助け出せたのか!」

 

「ああ。サトシ、ここはピカチュウとゴウカザルで全体攻撃だ。一気に叩くぞ」

 

 それを聞いたカスミはギャラドスがほうでんの巻き添えを喰らわないようにボールに戻す。俺もトゲキッスをボールに戻しつつ、サーナイトにひかりのかべの展開とまもるの発動を指示。こちらの被害も最小限に抑える。

 

「おのれ……!テッカニン!はかいこうせん!!」

 

 形勢不利と悟ったハンゾウはヤケクソのはかいこうせんを指示。しまった!まずはさっきみたいにマニューラかゴウカザルでハンゾウ自体を仕留めておくんだった!

 

 サーナイトがまもるを発動したおかげで俺達は被害を受けなかったが、まだサーナイトの後ろに回っていなかったカスミはその余波を受けて吹き飛ばされてしまった。

 

 そしてその先は……崖。

 

「きゃあああーーーっ!?」

 

「カスミィーー!!」

 

「ピカチュピー!!」

 

 吹き飛ばされて崖から落下するカスミ。ハンゾウもトゲピーまで吹き飛ばしてしまった事に気付いてハッとする。遅えよ!!

 

「サーナイト!カスミとトゲピーを助けるんだ!!」

 

 落下するカスミを助けようとサーナイトに指示した瞬間、俺達の眼前を何かが猛スピードで駆け抜けて落ちるカスミに先回り。その背中に乗せる形で灰色の翼竜のようなポケモンがカスミを受け止めていた。

 

 かせきポケモンのプテラだ。カスミを受け止めたその背中にはもう一人トレーナーらしき人間が乗っている。

 

 プテラはすぐに上昇し、俺達よりも遥か上空を旋回する。

 

「あ、あのプテラはまさか!!」

 

 タケシの言葉に呼応するかのようにプテラが急降下して、俺達の前に降り立つ。ロケット団もその姿を確認したのか驚きに満ちた間抜けな声が響く。

 

「「「ジャ、ジャリボーイ3号!!?」」」

 

 カスミを抱き抱える形で金髪のトレーナーがプテラから降りて来た。俺はこいつの顔に見覚えがあった。以前ムロ島のポケモンセンターで観た二年前のセキエイ大会の動画で観た顔だ。

 

「ユーリ!」

 

「どうしてここに!?」

 

 カロス地方、シャラシティのユーリ。二年前のセキエイ大会優勝者にして、チャンピオンリーグ挑戦中のトレーナーだ。カスミと会った時から予想はしていたがやっぱりサトシの旅仲間だったか。

 

 サトシがその名を呼び、ハルカとマサトは大きく驚いた顔をする。タケシもまさかこいつがいる事に驚きを隠せないようだ。ぶっちゃけ俺も驚いてる。アローラ地方に行ってんじゃないの?

 

 ……ところであのプテラはもしかしてサトシのリザードがリザードンに進化した時の奴かな?

 ユーリは爽やかそうな顔で助けたカスミの安否を問う。

 

「大丈夫か?カスミちゃん」

 

「……来るのが遅いのよ、馬鹿」

 

 顔を赤らめながら素直になれなさ全開で文句を言うカスミ。だがそこに普段からの気の強さはなく、しおらしさが目立つ。

 

 ……この場で俺が指摘できる事は一つだけだ。

 

 乙女顔だ!カスミめっちゃ乙女顔だ!!これ絶対好きじゃん!!




ユーリ:原作外のサトシの旅仲間。カロス地方シャラシティ出身。パートナーは色違いのゲッコウガ。色々と設定はあるが、その存在そのものよりも存在する事で発生した影響の方が物語というか作者にとっては重要なキャラ。多分チャンピオンリーグくらいしか本格的な出番はない。つまり主人公が地方リーグで優勝しない限りこの先基本出番が来ないから泣いていい。

経歴
無印二年前:トレーナーデビュー。カロスリーグ出場。
無印一年前:ホウエンリーグ出場。
無印赤緑編:サトシ達と出会う。共に旅をしてカントーリーグ優勝。
オレンジ諸島編:チャンピオンリーグ挑戦の為不参加。
無印金銀編:ジョウト地方をサトシ達と旅した。サトシのシロガネ大会後、二回目のチャンピオンリーグ。
現在AG編:次のチャンピオンリーグに向けてアローラ地方で島巡り中。

書いてて結構無理矢理な気はするけど、ここでユーリの登場は元々予定していた事です。
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