ポケットモンスター 遥かなるチャンピオンロード   作:メンマ46号

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ロケット団とポケモンハンターの話です。

短パン小僧とジグザグマの話はカットです。流石に全部やってたらキリがなさそうで……介入する余地があんまなさそうな話はカットします。できる限りは書きますが。


サヨウナラなんてしなくていい

 side三人称

 

 サトシとミテキのホウエンリーグ出場の為、カナズミシティを目指して歩く一行。しかし彼らの旅は少しだけ足止めを喰らっていた。

 

「ミテキの奴、どこ行っちゃったんだ?」

 

「しっかりしてるミテキが一人だけはぐれるなんて珍しいな」

 

 辺りをキョロキョロと見回して旅の仲間の一人を探すサトシ達。なんとミテキ一人だけ一行からはぐれてしまっていたのだ。

 マサトもポケナビの通話機能を使ってミテキのポケナビへ連絡を取ろうとしているが一向に繋がらない。

 

「ポケナビの通話も繋がらないよ……。電波悪いのかなぁ」

 

「もぉ〜!何処行っちゃったのよミテキ〜。私もう疲れちゃった……」

 

「何言ってんだよハルカ。さっき休憩したばっかりじゃないか」

 

 元々歩き疲れていたハルカは項垂れて膝からへたり込んでしまう。

 

「あ!すぐ先にポケモンセンターがあるよ!ミテキもポケナビ持ってるから、もしかしたらミテキも僕達が来るかもしれないと思ってここに来るかもしれないよ!」

 

 ポケモンセンター=ジョーイさん=大人のお姉さん

 

 この図式を瞬時に頭の中で構築したタケシはハルカの前までこうそくいどう。その手を引っ張り先を急ごうとする。

 

「さ、行くぞハルカ!ミテキを早く見つけないといけないからな!」

 

 タケシは完全にジョーイさん目当てだと察したサトシは苦笑い。歳上の綺麗なお姉さんに目がないタケシはジョーイさんをナンパする為、ミテキとの合流の建前の元、ポケモンセンターに行きたがる。

 

「ちょっと!そんなに引っ張らないでよ……って、あ〜!!」

 

 無理に引っ張ろうとするタケシの手を振り解いたか、勢い余ってバランスを崩してそのまま後ろに転けそうになってしまう。背後に木があった為、それが勢いを止めてくれるが、ぶつかった以上はやはり痛い。それも何か出っ張りのようなものがあったので余計に痛い。

 

「いたた……」

 

 ミテキがいてくれたら、木にぶつかる前に回り込んで後ろから優しく受け止めてくれるのにと思いつつ、その木の出っ張りを見てみる。

 

「あれ?木に何か変なものが刺さってるわよ?」

 

 何かの杭のようなものとそれに網のようなものが付いている。

 

「本当だ」

 

「なんだろうな?」

 

 見れば周囲の木々は枝が折れたり、表面の幹が抉れていたりする。

 

「一体何があったの……?」

 

「ポケモンバトルかな?」

 

「でも、バトルにこんなの使うか?」

 

 疑問は尽きないが、答えが出ない為、休憩とミテキとの合流の為、サトシ達は近くのポケモンセンターに急ぐ事にした。

 

****

 

 sideミテキ

 

「迷った」

 

 迂闊だった。ハルカ達とはぐれてしまった。

 先日、ジグザグマを狙う面白い短パン小僧とハルカがポケモンバトルして、ハルカが負けたり、その際センリさんが馬鹿にされたと誤解したマサトがそいつのジグザグマゲットを妨害しようとして逆に助けられたりと色々あったが、その事を思い出してホウエン種のジグザグマとガラル種のジグザグマのどっちが俺向きかを考えていたらハルカ達とはぐれていた。

 

「う〜む。イーブイ、お前鼻でピカチュウの匂いとか辿れるか?」

 

「ブイ〜」

 

 兄イーブイはピカチュウと特に仲が良いから、ピカチュウの匂いでも辿れないかと思って駄目元で聞いてみたけど、困ったように首を傾げるだけ。兄イーブイが無理なら妹イーブイもできないだろうな。そもそも匂いを辿る事に長けたポケモンが手持ちにいない。

 

「ポケナビもマサトのと繋がらないし……」

 

 近くにポケモンセンターがあるし、そこで合流できないか?

 そんな事を考えて、ポケナビを頼りにポケモンセンターを目指す。そのついでに近くにくさポケモンの一匹でもいないかとキョロキョロしていると何やら近くから声が聞こえてきた。

 

「フフ、フフフ……ジャリボーイ達、あのポケモンセンターに入ったようね」

 

「早速罠を仕掛けるか!」

 

 目の前で双眼鏡を手にポケモンセンターを監視している二人組とニャース。俺は思わず指をさして叫んでしまった。

 

「あー!ロケット団!」

 

「んなっ!?ジャリボーイ4号!」

 

 ……4号?1号2号はサトシとタケシだろうけど……3号は誰?あっ、タケシが降板してる間、サトシの旅に加わってたスケッチブックの……名前なんだっけ?

 今叫んだ事で俺に気付いたロケット団は俺に向き直って睨んでくる。しまった。奴らが気付いてなかったのなら背後からサーナイトなりジバコイルなりでやなかんじーにしてやれば良かった。

 

「なんでお前一人……いや、あのポケモンセンターに入ってるジャリボーイたちの中にお前だけいなかったな。ははーん?さては迷子だな!?」

 

 一瞬で俺の状況を看破するコジロウ。なんだろう、コイツらに迷子だとバレたのは物凄く屈辱だ。

 

「ここで会ったが100年目!ピカチュウより先にアンタのポケモンを頂いてやるわ!!」

 

「はっ!返り討ちにしてやんよ!」

 

 俺はサーナイトのモンスターボールを取り出して構える。こいつらはどくタイプをメインに使ってくるからエスパータイプのサーナイトを主軸に攻める。サーナイトはフェアリーも持ってるからそのどく技に気を付ける必要があるがそこはジバコイルでカバーすれば良い。

 

 ムサシの手持ちはアーボック、パルシェン、ソーナンス。コジロウの手持ちはマタドガスとウツボット。ニャースはまぁ数に入れなくて良いだろう。ゴウカザル、サーナイト、ジバコイルで充分勝てる。

 

 唯一厄介なのはソーナンスだが、奴は自分から攻撃する技がない。イーブイ兄妹にはあくタイプの特殊技のわるわるゾーンがあるし、他の四匹を片付けたら経験値稼ぎに使わせて貰おう。ニャースもまぁ、マリルリのトレーニングにはもってこいのサンドバッグだ。

 

「行くのよアーボック!」

 

「頼むぞマタドガス!」

 

「サーナイト!ジバコイル!行くぞ!」

 

 ムサシとコジロウの初手はアーボックとマタドガス。俺はサーナイトとジバコイルを出して対抗する。

 たがアーボックが出た事でスペースと立ち位置が被っていたニャースが押し除けられてバランスを崩して反対側の森林へと落ちた。

 

「ニャアァァァッ!?」

 

「ちょ、ニャース!?」

 

「大丈夫か!?」

 

 ムサシはアーボックに、コジロウはマタドガスに乗って丘を緩やかに降りて、落ちたニャースを追いかける。……仲間はちゃんと大事にしてんだよなこいつら。

 

「……しゃあない」

 

 一旦バトルはお預けだ。この後、ピカチュウを狙ってサトシ達を襲うつもりらしいからぶちのめす事には変わらないが、ニャースも一緒にぶっ飛ばす事にしよう。仲間外れは良くない。

 

 俺はサーナイトをボールに戻し、ジバコイルにさっきのムサシ達みたく、丘を降りる為に運んで貰う。

 幸いニャースは落ちた先から移動していなかったのですぐに見つかったのだが、ニャースが落ちた先には巨大な檻とそこに閉じ込められたアーボ達がいた。

 

 ニャースがアーボ達から聞き出した話によると密猟者に捕まって酷い目に遭ったそうだ。しかも檻の出入り口には電流があって触れたら感電するらしい。

 

「こいつら檻に流れてる電流で随分傷付いてるニャ」

 

「その密猟者って素人なんじゃないの?折角捕まえたポケモン傷付けるなんてさ!」

 

「全くだ。それにこんな所に獲物を置きっぱなしにするなんてな」

 

「やったのはポケモンハンターだな。捕まえられたらどれだけ傷付こうが構わねーってタイプなんだろう」

 

 それにしてもポケモンハンターか。嫌な奴を思い出す。やりのはしらでギンガ団を壊滅させた後、八つ目のジムバッジを揃えてファイトエリアとバトルタワーを拠点にしてシンオウリーグ前の調整とレベリングをしていた時に俺のポケモンを二体ほど狙って来たので返り討ちにして部下諸共全員豚箱にぶち込んでやったが、油断ならねーんだよな。リーダーだけはいつ脱獄してもおかしくなさそうっつーか……。

 

「いっそこのアーボ達、ニャー達が頂いちゃうニャ!」

 

「良いね良いね!」

 

「俺達の手間も省けて、オマケにホウエン地方での初手柄だぜ!」

 

「させると思うか?」

 

 目の前でロケット団が禄でもない事を言い出したので、俺とジバコイルは臨戦態勢に入る。ポケモンハンターに捕まろうが、ロケット団に捕まろうがそれじゃあこのアーボ達の未来は終わりだ。

 ハンターに売られるか、ロケット団に兵力としてこき使われ続けるか。どっち道禄な未来じゃない。

 

「何よ、邪魔しようっての?」

 

「このアーボ達はニャースが見つけたんだ!当然、所有権はロケット団にある!」

 

「そういう事ニャ!」

 

 ロケット団も臨戦態勢だ。けどこんな奴らに負けるとは微塵も思わない。全員瞬殺してアーボ達も助ける。ジバコイルがいるから電流も大した問題にならないしな。

 

「よーし、アーボック!まずは……ってどしたのよ?」

 

 アーボックに指示を出そうとしたムサシだが、その肝心のアーボックは檻に入れられたアーボ達に視線が釘付け。泣いてすらいる。まぁ進化前の同族だからな。情の一つも湧くよな。

 

「アーボックの進化前はアーボニャ」

 

「そっか……アーボックの仲間だもんなぁ」

 

「……これでもアーボ達をロケット団で利用する気か?」

 

「当然よ!アーボック!どーんと私に任せときなさい!アンタの仲間を悪いようにはしないわ!サカキ様に話を通せば酷い使い方はされないはずよ!ロケット団の仲間としてこのアーボ達を迎え入れてやんのよ!!」

 

 物は言いようっつーか、結局何も変わらないんだが。アーボックはそれに感激したようだ。妙にキラキラした目でムサシを見てる。

 お前らの中のサカキ像ってどうなってんだ?少なくともアニメでよくニャースが想像してたコミカルな面とか絶対無いと思うぞ。絶対そのアーボ達、死ぬまでこき使われて使い潰されるぞ。

 

「とゆー訳でさっさと邪魔者をやっつけるわよ!アーボック!ようかいえき!」

 

「来るぞ!ジバコイル、ラスターカノン!!」

 

「させるか!マタドガス!ヘドロばくだんだ!」

 

 コジロウもマタドガスを出して加勢してくる。だが残念。ジバコイルははがねタイプだからどくタイプの攻撃は効かないんだよ。

 だが次の瞬間、物凄い速さで飛んで来たオニドリルがマタドガスにつつくを喰らわせて弾き飛ばした。

 

「な…オニドリル!?」

 

 すると遠くから車の音が聞こえてきて、また別の檻を牽引する車が俺達の前で止まった。こいつがアーボ達を密猟したポケモンハンターか。

 

「そこのお前達、俺の獲物に何か用でもあるのか?」

 

「そこのお前達、何か用でも「大有りだ!お前、ポケモンハンターだな!?アーボ達をこんな酷い目に遭わせて無理矢理檻に入れて……恥ずかしくないのか!?」ちょっと!口上の邪魔すんじゃないわよ!!」

 

「このジャリボーイが敵に回ってから口上が最後まで言えた試しがないニャ……」

 

 ロケット団の口上なんか気にしてられるか。俺はこのポケモンハンターを倒してアーボ達を助けるんだ。あと最初の一回はやらせてやったろ。

 

「フン、何を言うかと思えば……ポケモンを捕まえるなんて誰でもやっている事だろう」

 

「ポケモンを捕まえたかったら、バトルしてモンスターボールを使って捕まえるのが普通だろうが!必要以上に傷付けて、電流の流れる檻に入れる必要があるのか!」

 

依頼人(クライアント)は余計なモンスターボール登録の無い、野生としてのポケモンがお望みなんでな。個人ならではの拘りといった所だろう」

 

 淡々と返すポケモンハンターに俺は怒りが増幅する。そもそもポケモンを売買する行為自体が許せないし、違法だ。ポケモンは金儲けの商品でもなければ鑑賞して楽しむものでないんだよ。

 

「お前も依頼人も最低だ!ポケモンに関わる資格なんてねぇよ!」

 

「知った事か。俺は金さえ貰えれば依頼をこなす。それだけだ」

 

 このポケモンハンターが牽引して来た檻にはアーボ達とは別にドガース達が閉じ込められている。あのドガース達も助けねぇと。

 

「所でだ、俺は依頼人(クライアント)の依頼で今回どくタイプのポケモンを捕獲しているんだが……そこの小僧はともかく、お前達は俺の獲物を横取りしようとしていたようだな?普段ならタダじゃおかない所だが、そのアーボックとマタドガスを寄越せば見逃してやる」

 

「なんですって!?」

 

「アーボックとマタドガスを!?」

 

 ポケモンハンターはロケット団のアーボックとマタドガスの身柄を要求し始めた。とことん腐ってやがるな。

 ……でも思い出した。これ、ロケット団がアーボックとマタドガスとお別れする話だ。

 

依頼人(クライアント)は進化系を捕まえれば更に礼金を弾むと言っているんでね。ああ、モンスターボールもちゃんと渡せよ。破壊してボール登録は消しておかなきゃいけないからな」

 

「ふざけんじゃないわよ!アーボックはずっと苦楽を共にしてきた、大事な相棒なのよ!?」

 

「俺だってマタドガスを愛してるんだ!」

 

 お前らそれサトシの前で言ってみろ。

 

 でもこいつらなんでロケット団なんてやってんだろ。お前らのボス、ポケモンを道具としか思ってないんだぞ。サカキにお前らがそこまで尽くすだけの価値なんてないぞ。

 

 ぶっちゃけこいつらがいつもサトシにやろうとしてる事はこのポケモンハンターと大差ないが、今はこのポケモンハンターを倒すのが先決だな。ポケモンハンターを倒したらロケット団もやなかんじーにしてやれば良い。

 

「ならば仕方がない。腕づくで頂いていこう…!」

 

「やれるもんなら!」

 

「やってみな!」

 

「そっちこそ返り討ちにしてやるニャ!」

 

 一触即発のロケット団とポケモンハンター。まぁ先にロケット団に戦わせるか。消耗させるなり、情報を引き出すなりしてくれ。

 

「オニドリル!こうそくいどうだ!」

 

「アーボック!どくばり攻撃!」

 

「マタドガス!ヘドロこうげき!」

 

 アーボック達の攻撃をオニドリルは積み技で躱しながらスピードを上げていく。攻撃を躱すとすぐにみだれづきで纏めてぶっ飛ばした。

 その後ドリルくちばしで追撃を図るもアーボックのしめつけるで嘴を拘束された所をポケモンハンターはボールに戻す事で回避する。せっこ。

 

「行けサナギラス!すなあらしだ!」

 

 次にポケモンハンターが繰り出したのはサナギラス。開幕一番にすなあらしを起こしてロケット団を空へと吹き飛ばしてしまった。

 

「「「やなかんじ〜!」」」

 

「フン、手応えが無さすぎてゲットし損ねたぜ」

 

「弱えなぁ……つーか、トレーナーが駄目だろアレ。あのオニドリルならやり方次第じゃアーボック一匹で勝てただろ」

 

「ほう、言ってくれるな。お前も俺の邪魔をする気か。あいつらみたくなる前に尻尾を巻いて逃げないのか?」

 

「あいつらと一緒にしないでくんない?まぁちょっとピンチになった途端にボールに戻してバトルを無理矢理中止する程度の実力じゃあ相手の実力なんて読める訳ないよな。謝るよ」

 

「ガキが……随分と図に乗ってるようだな」

 

 この手の切断厨は速攻で倒すに限る。隣に浮くジバコイルと共にポケモンハンターとサナギラスの前に立つ。

 

「お前は……シンオウリーグの放送で見た事があるぞ。確かホウエンでは見かけないシンオウのどくタイプを持っていたな。丁度良い。お前のどくポケモンも頂く事にしよう!」

 

 残念ながらロズレイド達はシンオウのナナカマド研究所だけどな。ポケモンハンターはもう一度オニドリルを出すので俺はサーナイトを出してポケモンハンターのサナギラスとオニドリル相手にダブルバトルを始める。

 

「ジバコイル!!サーナイト!!こいつらを倒すぞ!!」

 

「オニドリル!ドリルライナー!!」

 

「ジバコイル、でんじふゆう!」

 

 まずはでんじふゆうでジバコイルをふゆう状態にして四倍弱点のじめん技を予め無効化しておく。いわタイプのサナギラスとひこうタイプのオニドリル相手ならでんき・はがねタイプのジバコイルは重要な戦力だ。

 

「サーナイト、マジカルリーフ!!」

 

 サーナイトのマジカルリーフでサナギラスには四倍弱点のくさ攻撃を仕掛ける。すなあらし状態のせいで特防が上がっているから大したダメージにはならないが狙いは足止めだ。続いてジバコイルにはこの状況をひっくり返す一手を命じる。

 

「あまごい!!」

 

 そう。あまごいですなあらしを上書きする。すなあらし状態だといわ、じめん、はがね以外のタイプは継続してダメージを負うし、いわタイプは特防が上がるからな。

 ジバコイルはダメージを受けずに済むが、サーナイトはダメージを負う。何よりあまごいにはダメージを受けない以上の利点がジバコイルにある。

 

「サーナイト、サイコキネシスでサナギラスを足止めしろ!ジバコイル、オニドリルにかみなり!!」

 

 雨天時にはかみなりは必中技になる。でんき技の中でも高威力で命中率に難のあるかみなりが必ず当たるのだ。

 当然、ひこうタイプのオニドリルには効果抜群。その一撃でオニドリルは戦闘不能だ。

 

「俺のオニドリルが一撃だと!?ならば行け、グライガー!フーディン!」

 

 どうやらどくタイプに有利な構成で来ていたらしい。その上でんき技の効かないグライガーと、サーナイトのエスパー技に対抗できるように同じエスパータイプのフーディンか。

 

 しかも三対二。本当に恥知らずな奴だ。

 

「だったらこっちも三体目だ!いっけぇゴウカザル!」

 

 雨天時にエスパータイプの敵がいる場にほのお・かくとうタイプのゴウカザルを出すのは本来悪手だが、俺のゴウカザルならばこの程度のディス・アドバンテージ、大した問題にはならない。

 

 ゴウカザルの登場にポケモンハンターも嘲笑う表情だが、別にタイプ相性だけがポケモンバトルじゃない。

 

「フーディン、サイコキネシスでゴウカザルを仕留めろ!」

 

「ゴウカザル!ねこだまし!」

 

 予想通りエスパー技でゴウカザルを狙って来たのでねこだましで怯ませる。そしてその隙を突いてサーナイトにシャドーボールを指示して逆にフーディンに大打撃を与えてやった。

 

「ジバコイル!フーディンにかみなり!!」

 

 驚いて固まるポケモンハンターに構わず、もう一度必中のかみなりでフーディンに追撃。流石に効果抜群のシャドーボールを怯んでる時にモロに受けた上、特攻の高いジバコイルのかみなりは耐えられなかったようでフーディンも戦闘不能だ。

 

「な、なんだと……!くそっ!もう半分も戦闘不能だと!?」

 

「ボケっとしてる暇あるのかよ!ゴウカザル!マッハパンチ!サーナイトもマジカルリーフ!!」

 

 ゴウカザルのマッハパンチでサナギラスを殴り上げ、空中を舞う所をマジカルリーフで狙い撃ち。どうやら他にポケモンはいないらしく、追加のポケモンを出しては来ない。

 数でゴリ押すのはお前が先にやったんだ。俺も今更ダブルバトルに拘ってポケモンを下げたりしないぞ。

 

「くそっ!グライガー!サーナイトにポイズンテールだ!!」

 

「サーナイト!サイコキネシスでグライガーを止めろ!ジバコイルはグライガーにラスターカノン!!」

 

 フェアリータイプのサーナイトに弱点攻撃を狙うが、サイコキネシスで届かなくしてしまえば良い。固定した所を狙撃してやる。

 

「クソォ!サナギラス!すてみタックルでサーナイトを倒せ!」

 

「ゴウカザル!くさむすび!」

 

 グライガーを助ける為にそのグライガーを拘束してるサーナイトを狙うがゴウカザルを忘れて貰っちゃ困る。くさむすびで転ばせて大ダメージだ。タイプ不一致だからまだ倒せてはいないがもうそろそろ限界だろう。

 

 グライガーも動けない所をラスターカノンを連発して戦闘不能にしてやった。

 

「く、クソ……!こんな小僧に……!!」

 

「これ以上痛い目に遭いたくなかったら、さっさとあの檻の鍵を渡して大人しく自首しろ!」

 

「誰が…!!」

 

 これであと一歩の所までポケモンハンター達を追い詰めた。そんな時だった。

 奴のサナギラスが白い光を出してその姿を変え始めたのは。

 

「バァァァン!!」

 

 ポケモンハンターのサナギラスがバンギラスに進化した。ポケモンハンター自身、一瞬だけ唖然としていたが、すぐに意識がこちらに向いて悪どい笑みを浮かべる。

 

「フフフ、そろそろ進化する頃だと思ったんだ!」

 

 ここで進化か……。バンギラスになった以上、タイプはいわ・あくタイプになってじめんが消えたか。つまりでんき技は通用するようになった。エスパー技は残念ながら効かなくなってしまったが、その分フェアリー技で効果抜群を取れる。状況は悪くない。奴が600族である事を除けば。

 

 それにバンギラスの特性上、そろそろ天候が雨から砂嵐に変わる。

 ほのお技半減はキツいがどうせ相手はいわタイプだし、ここはあまごいで天候を上書きして……

 

 ……あれ?砂嵐にならない?

 え、まさかあのバンギラスの特性、すなおこしじゃなくてきんちょうかん?馬鹿じゃねーの?いやサナギラスまでは通常特性と夢特性が同じだっぴだから分からなかったのかもしれんけど。

 

「これでお前はおしまいだ!!」

 

「……本当にトレーナーとしてのレベルひっくいな」

 

 ただ進化しただけで形成逆転とか本気で思ってるよあの顔。他のポケモン全滅して、進化する前に相当ダメージ喰らってんのに。

 ポケモンハンターはドヤ顔でバンギラスに新しい技を指示する。

 

「やれバンギラス!はかいこうせん!」

 

「ジバコイル!まもる!」

 

 追加効果狙いでもないのになんでタイプ不一致のノーマル特殊技なんだよ。バンギラスならいわタイプの物理技使えよ。少なくともゴウカザルを倒すならいわ技だろ。

 当然、まもるで防いでこちらはノーダメージ。

 そしてはかいこうせんの反動でバンギラスは動けなくなった。この大きな隙を見逃す訳がない。

 

 ゴウカザルに距離を詰めさせ、普段なら時間がかかるから、基本使わない技で一気に仕留めにいく。反動で動けないなら、遠慮なくぶつけさせて貰う。

 

「ゴウカザル、きあいパンチ!!」

 

「ウキャアァァァ!!」

 

 四倍弱点の物理攻撃だ。元々大きなダメージを受けていたならバンギラスでも耐えられない。この一撃を腹に喰らってノックアウトだ。

 バンギラスを使ってこの程度か。なんならゴウカザル、サーナイト、ジバコイルの内、一体だけで勝てたな。時間はかかったかもしれないけど。

 

「そ、そんな馬鹿な……!」

 

「折角のバンギラスなのに使い方が全然なってないな。三流トレーナーが」

 

 夢特性でバンギラスの強みを台無しにしてるのはまぁ、仕方ないにしても技のチョイスも戦い方も何もかもあまりにもお粗末だった。公式バトルと違って技の制限なんて気にする必要もないのに。サーナイトを狙った時だってすてみタックルなんて使わずにストーンエッジを使っていればくさむすびを喰らっても、仕留め切れなくても、サーナイトを妨害できてグライガーはやられずに済んだだろうし。

 

「さぁ、覚悟はできてるんだろうな?ポケモンをあんな目に遭わせやがって!」

 

「ま、待て…!!」

 

「ウツボット!パワーウィップ!!」

 

「パルシェン!みずのはどう!」

 

 サーナイトにねんりきで拘束を指示しようとしたが、そのタイミングで砂埃で汚れまくったからかあまごいもあって泥だらけのロケット団が割り込んでポケモンハンターをぶっとばした。

 

「……」

 

 どうやらすなあらしで吹き飛ばされてもここに戻って来たらしい。俺がポケモンハンターのポケモンを全滅させたこのタイミングで。

 

「どうやら私達の完全勝利のようね!」

 

「俺達ロケット団を敵に回したのが間違いだったな!」

 

 なんだこいつら。なんなのこいつら。このポケモンハンターとバンギラス達を追い詰めたの俺と俺のポケモン達だよね。なのに最後のトドメだけ掻っ攫うとかなんでそんな真似をドヤ顔でできんの。

 

 ムカついたのでジバコイルのかみなりでやなかんじーにしてやろうかと思ったけど、状況が状況なのでポケモンハンターを拘束する事にした。お前らを黒焦げにするのは後だ。

 

 ロケット団がサトシのピカチュウを奪う為に用意していた縄でポケモンハンターを縛り上げ、アーボやドガース達の閉じ込められた檻をジバコイルのラスターカノンで破壊する。解放されたポケモン達を傷薬やサーナイトのいやしのはどうで回復させるとあいつらは俺に頭を下げてから群れで揃ってこの場から去って行った。

 

 意外にもロケット団は何もして来なかった。

 

「逃すのか。てっきりこのままアーボやドガース達をネコババするつもりなのかと思ったけど」

 

 アーボ達をまだロケット団に引き込む気なら遠慮なくやなかんじーにしてやるつもりだったが。

 

「私らにだってね、プライドくらいあんのよ!」

 

「それ最後のトドメを思い返した上で言ってみろ」

 

 要するにほぼ何もできなかった自分達が我が物顔でアーボやドガース達を貰っていく程恥知らずじゃないという事らしい。……本当か?そういう漁夫の利とか一番やりそうじゃん。

 

「もう疲れちゃったし、今日の所はこのくらいにしといてやるわ。じゃあね」

 

「そういう事。そいつを警察に突き出すのは任せるからな」

 

「通報なんて悪のロケット団がする事じゃないのニャ」

 

 そう言って無駄に格好付けて俺に背を向けて去って行くロケット団。俺はそんな後ろ姿に思わず手を伸ばし……

 

「ジバコイル、かみなり」

 

 奴らを指差してジバコイルに技を指示した。

 俺は躊躇なくジバコイルのかみなりをロケット団に浴びせてやった。

 

「「「やなかんじぃ〜〜〜!!!」」」

 

 お前らが最後の良いとこだけ掻っ攫ったの忘れてねぇから。

 

 さて、このポケモンハンターの身柄を警察に引き渡すなら、まずこいつをポケモンセンターに連れて行かないとな。

 そう思っていた矢先、後ろから仲間達の声が聞こえた。

 

「「「「ミテキー!」」」」

 

「そこに倒れているのは……ポケモンハンターのリョウ!?」

 

 何故かジュンサーさんも一緒にいた。聞けば俺と合流する為にポケモンセンターに行ったら、このポケモンハンターを探すジュンサーさんに会い、道中でポケモンハンターの捕獲ネットを見つけていた事から、そこにジュンサーさんを案内していたらしい。

 

 そんな時に大きな音が聞こえて、行ってみると俺とこのポケモンハンターがいた……という事らしい。

 

「ポケモンハンターを倒したのか!流石だな」

 

「やっぱりミテキって凄いかも!」

 

「いや、俺一人じゃなくてロケット団も一緒に戦ったんだけど……一応」

 

「ええ!?ロケット団!?」

 

 物凄く変な組み合わせでの戦いだった。いや、ほぼほぼ俺一人で倒したようなもんだけど。でも最後にポケモンハンターの拘束なんかはあいつらにやって貰ったし。

 

 

 

 

「え?バンギラスがいない?」

 

 ゴウカザル、サーナイト、ジバコイルの回復の為、ポケモンセンターでみんなと談笑しているとポケモンハンターを護送し終えたジュンサーさんにポケモンハンターの手持ちがいないが何か知らないかと聞かれた。

 

「ええ。というか、リョウの手持ちのポケモンが一匹もいないのよ。モンスターボールも無いし……」

 

 ……ロケット団だ。戦闘不能になったバンギラス達の入ったモンスターボールを持って行きやがったな。バレるのを遅らせる為に俺の意識がそっちに向くようにアーボやドガース達を諦めたんだろう。

 

「あいつら……転んでもタダじゃ起きないってか」

 

 かみなりで遠くに飛ばしたし、既にロケット団本部に献上してんだろうな。直接敵対して強奪したポケモンが素直にあいつらの言う事なんて聞かないだろうから、この先あの三人の手持ちとして来る事はないだろうけど……。

 

 そんでウツボットだけじゃなく、アーボックとマタドガスの離脱も無しか……アニメより楽に倒せる展開にはならないだろうな。てか、なんでウツボット離脱していなくて、アニメにはいないパルシェンなんてメンバーが加わってんだ?

 

「にしてもくそっ……あんな間抜けな奴らに出し抜かれた」

 

 これ結構な屈辱だ……。

 

 

 

 ……まぁ、良いか。あのポケモンハンターのせいで別れるなんて事になったら、アーボックとマタドガスが可哀想だったし。

 ポケモンとトレーナーに絆があるのなら、サヨウナラなんてしなくていい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーボとドガースの軍団は惜しかったけど」

 

「アーボックとマタドガスも満足したし、バンギラス達を献上してボスからお褒めの言葉と報奨金を貰えたし」

 

「これで暫くは食べ物にも困らないニャー」

 

「「「なんだかとってもいいかんじー♪」」」

 

「シャーボック♪」

 

「マタドガース♪」




ロケット団のポケモンとの別れは基本無しでいきます。
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